アリステラ・リリーライト

ヴォルゲン神主国で『救世主(メシア)』の名を冠す聖女。
身長145センチ、実年齢は不明だが外見年齢は十四歳前後。
種族はハーフエルフと公表されている。

同国の在り方を象徴したような人物。
生まれた時から救世主となる為だけに育てられ、他の価値観を知らない究極の善人。
そして幼い頃より『癒しの奇跡』を始めとした数々の偉業から『神の地上代行者』との異名も持つ。

極光輝く夜、大聖堂に生まれ、神の御声を聞き、神の愛を一身に受けし者。
これは『神が地上に遣わす清浄にして至純の存在』と言う、ヴォルゲン神主国の神話の一節そのものである。

腰まで伸びた白銀に近い薄桜色に輝く美しき髪に、金糸を思わせる眉と睫。
雪を欺く白い肌に、宝玉もかくやという程の美しき真紅の光を湛えた瞳。
両腕には仄かな緑色の燐光を放つ聖痕が走り、静かな音調で響く声は天使の歌声。

運が良ければ聖堂で神に祈っている彼女の姿を拝見する事が出来るだろう。



―――と、上記の神話や逸話は全てヴォルゲンの『』たる古代の人工知能が作成・流布した物である。

彼女が象徴的な人物となっているのはヴォルゲンに対する疑念や不平不満を緩和する為の措置の一つ。
しかしこれらの事実は当の彼女自身も含め、誰も知る事の無い話。

出自自体も非常に謎が多い。
彼女の親である人間とエルフの両親は存在するものの、その当人達も彼女の出生に関しての記憶が酷く曖昧。
上述の偽りの神話に沿った誕生経緯をそのまま事実として認識しており、『神から直接授けられた奇跡の子』と本気で信じ込んでいるようだ。
勿論、この両親も幼少時からヴォルゲンの『神』への絶対の信仰を教え込まれてきている。

そして彼女を語る上で出て来る『癒しの奇跡』とされる事象。
これは『神』によって彼女の体内に組み込まれ、そして聖痕から放たれた“治療用ナノマシン”によるもの。
その際に周囲を照らす緑色の燐光は、彼女の身体から放出されたナノマシンの放つ光である。

ハーフエルフでありながら、彼女は魔力と呼ばれる力を一切持っていない。
だからこそ癒しの奇蹟は魔法ではなく、人々から『本物の奇蹟』として謳われているのである。

加えて、彼女から放たれるナノマシン群は『神』の目や耳も兼ねており、彼女自体を『端末』として“ヴォルゲン”を視ているとも。


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最終更新:2024年01月08日 21:20