"例の古城"の再調査

依頼主:バクハーン国漁師ギルド「風と波を友として」
内容:"例の古城"の再調査
報酬:150,000メタルを参加人数分
装備品の貸出:ショートソードエレキスタッフブリガンダイン、望遠鏡(冒険者ギルド協会公式品)
場所:バクハーン国▓▓▓▓▓▓▓▓の古城
期日:厳密な指定無し、但し可能な限り早く
依頼主からのコメント:近年、周辺各国で壊滅させられたはずの「ブラックシープ商会」と似た特徴を持つ、暴力的な傾向の密漁者の集団の報告が挙がるようになっている。
つい先日、当ギルドのメンバーからも不審な男たちに襲撃されたとの報告が挙がった。
さらに、黒羊達が拠点としていた古城に、ここ数ヶ月の間不審な者たちが出入りしている所も目撃されているようだ。

嫌な予感がする。

冒険者達に例の古城の調査を願いたい。
とりあえず、今は内部調査までは求めない。外から確認するだけでいい。



-ったく、相変わらず薄気味悪いボロ城だぜ。ヴァンパイアでもいたりしてな
「まあな。但しここに巣食ってたのはある意味魔物よりも魔物な連中だったがな」
-それにしても外からあの城を見物するだけでメタルで15万なんて、楽な仕事だよな
「そうかな。だったら貸し出しは望遠鏡だけあればいいだろう。
 それに加えて剣、エレキスタッフ、挙げ句にブリガンダインだ。見物にしちゃ重装備だとは思わないか」
-知らね。まともに装備もしてないアホか貧乏冒険者へのフォローじゃねえのか?
「だったらいいけどな。俺の勝手な想像に過ぎないが、これは正面切っての戦闘というよりは、万が一のときの護身用という意味合いが強い気がする。
 特にエレキスタッフだ。あれはただ雷魔法を放って相手をしびれさせるだけじゃないんだぞ」
-へ?
「だったら試しに背負ってみろ」
-…なんだか、身体がピリピリして疲れがどっかに吹っ飛んでいく感じだな
「エレキスタッフは装備していると疲労を取り去る効果もある。
 …これが重要だ。もし『気づかれた』としたら、この効果で追手を振り切る可能性を格段に上げることができるだろう」
-万が一の時に逃げることも視野に入れてる、ってわけか…なんか、とんでもない仕事を引き受けちまったみてえだな
「その可能性は大いに有り得るってことだ。伊達に遠くから見張るだけで一人15万メタルってわけじゃなさそうだ。
 ただ、今あの古城に巣食ってるのが黒羊だと決まったわけじゃないけどな」
-もしかしたら、黒羊よりももっとやっべぇヤツらだったりしてな、ははは…
「縁起でもない事を言うな。
 …シッ、誰か来たぞ」

-どうやら縁起でもない事が本当に起こったみてえだな。あの羊野郎共、地獄から舞い戻ってきたのかもしれねえ
「あの服装からすると間違いない。それに…門の奥に、見えたか?」
-まあな。一瞬だったが黒地に人を殺してそうな目つきの羊…奴らの旗だ
「懸念していたことが本当になったみたいだな。
 ギルドに戻るぞ」


何があったか、起こってたなんて、俺たちを追いかけ回してここまでついてきた「お友達」を見れば、誰でもわかるだろう。
(今、表でグザンとかいうよくわからないヤツと戦ってる連中だ)
あの羊野郎共が地獄から舞い戻ってきたことはほぼ確実だ。
証拠…なんてのは、俺たちの目と頭の中しかない。あとは強いて言えばありのまま見たこと起こったことを書いた報告書、ってとこだ。
俺たちは画家でもなんでもないから風景を絵にする技量なんて持ってないからな。

見物だけで15万メタルなんてどんなに楽な仕事か、と思ってたのが、
15万メタルなど危険手当にもなりゃしねえ、に変わっている。
エレキスタッフで疲れを取れなきゃ追いつかれてやられていたはずだ。

と同時に、黒羊のしぶとさには一周回って感心するとも言える。
潰しても生き返る黒虫みたいな奴らだ。黒「羊」じゃなくて黒「虫」でもいいんじゃないか?

一つだけ、確実に言えるのは…
この世界に面倒がまた増えた、いや、戻ってきたってことだ。


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最終更新:2022年08月09日 10:33