「後輩リーマン×先輩リーマン」
作者:本スレ 1-510様
148 :後輩リーマン×先輩リーマン:2013/03/16(土) 10:56:31
1-510 シエン×カイで現パロを書いてみた!ので投下させて頂きます
リーマン設定で!BLの定番で!けどリーマンらしく仕事させるの無理ゲー杉ワロタw
※
1-200 様のルーシェさんとアレスさんを現パロリーマン化した形でお借りしています
ルーシェさん(社長秘書)は登場して少々のセリフ有り、アレス様(トップ営業)は名前とちょこっと
性格など1-200様の設定から外れている可能性大ですので、どうぞご留意お願いします
※この現代パロの設定は
設定スレ 2-022 へ
それ以外はまたしてもエロなし生温仕様です、よろしければどぞ!
149 :後輩リーマン×先輩リーマン:2013/03/16(土) 10:58:31
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【to:カイ】
【from:ザック】
【title:久しぶり】
最近、恋をしているか?
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携帯に入ったメールを読んで、カイはギョッとした。
ザックは高校時代の友人だ。
ぶっきらぼうで少し変わった奴だったが、不思議と馬が合った。
その彼から、何の意図で、こんなメールが。
何度も何度もその一行だけのメールを読み返しながら、カイはひたすら動揺する。
最近恋は、していない。
そのはずなのだが、恋と聞くとついつい思い浮かべてしまう顔がある。
「先輩!カイせんぱぁい!!こっちですよ~!!!」
「あ、ああ、すぐ行く!」
「はーーーーやーーーーーくーーーーー!!!」
「静かにしてなさい、周りの人に迷惑だろう!」
お昼時の公園は、弁当やらパンやらを持ったサラリーマン、OLの姿で賑わっている。
そんな中でベンチの場所取りをしてくれていた会社の後輩が、とにかく煩い。
メールも差し当たり返信する言葉が思い浮かばず、カイは携帯を閉じた。
周囲にクスクス笑われているのに赤面しながら、カイは後輩の下へ急ぐ。
「お疲れ様です、カイ先輩!」
「ああ、お疲れ。そっちの成果はどうだ?」
「てへ」
「てへ、じゃない。成果は?」
「予定通り、来月大物3本だって。でも全部手付きみたいで、反応悪いの何のって」
「手付きって、どこの?」
「そりゃー、オレらの親会社さまの」
「またか…」
カイと、後輩のシエンは、大手建設会社の子会社で働く営業マンだ。
親会社のお陰で安定した受注があるものの、当然下請けとなるので利益は出難い。
その為、二人で役所関係を回り、何とか元請で受注出来ないかと足掻いているのだが、中々厳しい。
「先輩の方は?どうでした?」
「こっちも似たようなものかな。小粒の案件は、何とか行けそうな雰囲気なんだが」
「いやー、小粒でも実績付くだけマシですよね!流石センパイ!」
「そういうおだては良いから…」
「えー?好感度、上がりません?」
「上がりません」
言いつつ、カイはムズムズした心地がする。
「本当、先輩はお堅いなー。どうしたらオレとオツキアイしてくれるんですか?」
「ふざけた事を言ってないで、さっさと昼飯を食べる」
「全然ふざけてないけどなー…」
シエンはしょんぼりと萎びて見せた、その次の瞬間にはパンを頬張って「ウマー!」と叫んでいる。
元気が取り得、というのは、この後輩の為にある言葉だとカイは思う。
やれやれと呆れながら、次に頭に浮かぶのは「バカな子ほど可愛い」という言葉だ。
カイは、この後輩が可愛い。
入社当時は、敬語は駄目だし四則計算すらままならない、本当に駄目な新人だった。
それを手取り足取り指導してやって、何とか1人で外回りできるまでに仕立て上げたのはカイだ。
たった数ヶ月の付き合いだが、既に妙な親心染みた情が沸いている。
短所は多々あれど、素直で明るく、笑った顔が愛嬌あって何とも憎めない子だ。
人の懐に入るのも上手いので、年を経れば良い営業マンになってくれるだろう。
…あとは、ふざけた言動が減ると良いのだが。
考えながら疲れた顔をするカイの横で、シエンはニコニコと笑っている。
「先輩、オレ、お付き合い始めたら手作り弁当食べたいなー」
「そうだな。可愛い彼女でも出来たら作ってもらいなさい」
「オレは先輩が良いんですー!」
「はいはい」
「…あ!あの人すげー美人!」
「………」
「あっちの子はかわいーなー…昼時の公園、最高!」
彼は、目に映る全てに目を輝かせる。
人懐こくて、気が多い。
彼の恋人になる人は、多分、大変な思いをするだろう。
自分には関係のない話だが、カイは何だか気が滅入る。
黙って食べられないのかな、と思いつつ、カイも昼食のパンを頬張る。
味気ない。
「先輩、先輩」
「うん?」
「綺麗なのと可愛いのとカッコイイのと渋いの、どれが好きです?」
「……大事なのは、心じゃないかな」
「じゃあオレってことですね!?」
「何でそうなる」
本当に、バカだ。
バカだから、仕方がない。
慣れと諦めで、カイは笑う。
ザックへの返信は、まだしていない。
その、翌日。
「先輩!先輩!大ニュース!」
社内にあっても相変わらずの煩さで、シエンが騒いでいる。
何だ何だと尋ねれば、キラキラと目を輝かせて言った。
「親会社からお客さん!るー様!るー様がご来社!」
「るー様?…もしかして、ルーシェルさんの事か?」
「そう!ルーシェルさん!超可愛いの!オレ、行かねば!行ってきます!」
「ちょっ…シエン!」
言うなり走り出したシエンに、カイはにわかに心配になった。
親会社のルーシェルさんは社長秘書で、時折、社長直々の通達を伝えに来社することがある。
シエンが言うように、どこかふわふわとして愛らしい外見をしているが、
その顔に似合わぬ豪腕で、百億単位の受注を取る親会社のトップ営業すら従えている……と、密かに噂されているお人だ。
多少敬語が使えるようになったとはいえ、シエンはまだまだ粗忽者。
粗相があってはマズイ、と慌てて後を追いかけるが、シエンはやたらと足が速い。
「わぁールーシェルさん!オレ、シエンって言います!毎日元気に走り回る営業マンやってます!」
「はぁ……ご丁寧に、ありがとうございます。私はルーシェルと申します。社長秘書として務めています」
遅かった、とカイは頭を抱えた。
何故だか知らないが、給湯室から二人の会話が聞こえる。
「あの!あの!質問良いですか!?」
「はい?なんでしょう?」
「営業のアレスさんとオツキアイしてるって、本当ですか!?」
「…………………………………」
あんまり過ぎる会話に、カイは白目を剥きそうになった。
その噂は、カイも聞く。
聞くが、しかしそれはデカ過ぎる地雷だ。
すぐさま気を取り直し、割って入る。
「シエン!このバカ!ルーシェルさん、申し訳有りません!
コイツにはよく言って聞かせますので、どうか穏便に…!」
「……うか」
「え……?」
「シエンさん。それは、誰からお聞きになったのでしょうか」
「へ。…あ、アレスさんから、直接…?…いや、役所でバッタリ会っちゃって。
意気投合?みたいな?アレスさんモテそうですねーって話してたら、何か、そんな話が飛び出したような……」
「へぇ~~~~そうなんですか……よーく分かりました。
貴重なお話をどうもありがとうございます」
そう言ってルーシェルさんは笑った。
笑ったが、擬音を付けるなら「ギギギ」が適切だろうかと思われるほどの不自然な笑い方。
顔も可哀相なくらい真っ赤だが、怒り由来か羞恥由来かは不明だ。
とにかく何だか妙な迫力があった。
「ちょっと急用が出来ましたので、私はこれで失礼させていただきます。
あ、シエンさん。また面白いお話がありましたら、是非聞かせてくださいね」
「は、はい…!」
そうして、ルーシェルさんは丁寧に頭を下げて、去っていった。
去っていったが、何だか余韻が残る去り方だ。
ぶるりと身を竦ませて、シエンが呟いた。
「……ルーシェルさん、意外と怖いかも……」
「君が怒らせるようなことを言うからじゃないか……」
「何で!?ちょっと噂の真相に迫ってみただけじゃん!
カイが邪魔するから結局真相は謎のままだし」
その言い様には、流石のカイもカチンと来た。
「あの二人が付き合っていたら、それが何だって言うんだ!
君には関係ないじゃないか…!」
「そりゃそうかもしれないけど…気になるもんは気になる!」
「だからって何でもバカ正直に曝け出して話すのを止めなさい!
恥ずかしいと思わないのか!?」
「っ…じゃあカイなんか嫌いだ!」
「!」
「バカ正直に話すのを止めたら良いんだろ?じゃあ、嫌い。カイなんか、大嫌いだ…!」
カイは、思わず固まってしまった。
入社当時から今まで、シエンから「好き」としか言われた事がない。
叱っても呆れて見せても、ちょっと拗ねるくらいで、シエンはずっと明るくニコニコして、好意しか寄せて来なかった。
売り言葉に買い言葉なのは分かっているのに。
嫌い、という単語にグサっと来た。
言葉も見つからず、呆然とシエンを眺めていると。
青年と言うよりは少年に近い幼いその顔が、歪んだ。
「……ごめん。ウソだ。好き。オレはカイが好き」
「シエン……」
「可愛い子も綺麗な人もいっぱいいるけど、オレが好きなのはカイだけだ。
カイは全然信じてくれないけど。本当に好き。大好き」
「………」
「オレ、バカ正直でいたい。ウソなんか吐いたって、全然楽しくないよ」
ぐずぐずと洟を啜って、今にも泣き出しそうな顔をして、彼は言った。
物凄く情けない顔だ。
カイは何だかもう、熱い何かが胸の奥から溢れ出してくるのを止められなかった。
「……私も、悪かった。言い過ぎた。すまん」
「ううん…オレが悪いんだ。ウソは吐けないけど、ちょっと黙る事を覚える…」
「いいよ。君はそのままで、いい」
「……嫌いにならない?」
「ならないよ」
「じゃあ、……好き?」
上目使いに見つめられて、カイは苦笑した。
何て甘ったれた奴なんだろう。
しかし、それでも。
彼が、他の人を可愛い、綺麗だと言う度に、自分の心は痛む。
彼の興味が他へ向いているのが、面白くない。
極め付けには、嫌いと言われて酷くショックを受けた。
…苦労は目に見えているが、もう負けだ。彼には勝てない。
「……好きだよ」
「ほんと?ウソじゃない?」
「うん」
「適当に受け流してない?」
「うん」
「お、オレとオツキアイ…」
「……弁当は、作れないけどな」
「いい!全然!何ならオレが作るから!一緒に食べよう!」
「そっか。ちゃんと作れるのか?」
「が、頑張ればなんとか…!おにぎりくらいなら!」
「おにぎりか。楽しみにしてるよ」
「う、うん!……か、カイ先輩が、オレの彼女に…ん?彼氏?彼女?彼氏?」
「……恋人、で良いんじゃないかな」
「恋人……!!」
シエンは感激した様子で呟いて。
突然、イヤッフウウウウウウウウウウウウウ!!!と雄たけびを上げた。
カイは心臓が止まるかと思った。
「ちょっ…シエン!?」
「恋人!カイ先輩とオレ、二人は恋人!お付き合い始まっちゃいましたーーー!!!」
盛大に叫びながら、シエンが走り出す。
勿論、ここは社内だ。上司もいれば同僚もいる。
下手したら、噂話大好き!な掃除のおばちゃんだって。
「待て!待てシエン!やっぱりちょっと黙ること覚えよう!黙って!頼むから!」
慌てて後を追いながら、カイも大声を張り上げる。
しかし、走り出したシエンは止められない。
ドップラー効果を伴って、ついさっき出来たばかりの新しい関係を社内へ喧伝していく。
……カイの苦労は、まだまだ始まったばかり。
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【to:ザック】
【from:カイ】
【title:Re:久しぶり】
最近、恋はしてるかな…早くも少し後悔してるけど。そっちはどうだ?
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【END】
アレス様も登場させたかったんですが収集つける技量が足りず断念無念…っ
脳内では「僕の一番可愛い人はルーシェだけどね^^」とかシエンに対して言ってくれてましたw
で、ルーシェさんにプンスカ怒られる感じ!
本編ルーシェルさんも含めイメージと違ってたらすみません、そして本物ならどんな感じになるだろう…気になる気になる
1-200 様、よければ教えてください無茶振りすみません!
毎度蛇足付けたしですが、カイは料理は出来るけど朝が弱くてお弁当作れない設定でした
一応美形キャラなのに朝だけショッボイ顔してます
ザックは恋バナ出来そうな友人がカイしかいない寂しい奴です
1-091 様の各キャラどんなメール打つか、というネタが面白くて自キャラで想像してみたけど普通でした…
でもシエンは顔文字絵文字乱舞、相手の返信が遅いと追撃メール送っちゃう感じ!ウザい!
最終更新:2013年03月23日 20:03