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「セーラー服と繊さん」


作者:SS 本スレ 1-710様

312 :セーラー服と繊さん:2013/08/05(月) 00:26:38

本スレ1-710 です
1-091様のお子(本スレ1-866)と、うちの子(設定スレ1-036)のSSを書き上げましたので投下します
以下、属性表記です
 ・そんな描写は全くないけど、現代風ファンタジー
 ・1-091 様が書いてくださったSS( 創作物スレ 2-306 )の勝手に続き、でもこれだけでも読めるはず
 ・おそれ多くも、繊様一人称、そして当然のごとく繊様寄り視点!
 ・登場キャラクターは、繊様、牧先生、エイシアさんです
 ・エロなし、でも女装注意!でもって、ちょい短めのストーリーです
 ・キャラ&設定が1-091様の公式設定から外れている可能性あり
 ・以下、念の為、繊様が呼んでくれている愛称解説
  白髪→エイシア、ロン毛→ウィル、プチ→シルヴィア、ポニテ→アルシエル
  繊様、牧先生、いつも彼等を構ってくれてありがとうw

314 :セーラー服と繊さん:2013/08/05(月) 00:32:22

       『 尽きることのない牧の心労 2 』

暖かい手が俺の胸元を撫でる。……くすぐったい。
それまで気持ち良く寝てたのに、その感触で俺は、ふいに目を覚ます事になった。
てか、何処触ってんだ。いい加減にしやがれ!
そう思った途端、俺は上半身を思い切り捻るようにして起き上がった。

「うわっ! ……っ、て……白髪じゃんか。まだ寝てんのか」

俺の上に重なるように眠っていた白い髪のそいつは、俺から振り落とされるように転がさ
れても、未だに目をしっかり閉じて眠り続けている。

確かに、こいつ、新しく来た仲間の為に色々と準備しなきゃなんないとかで、黒くて長い
髪のあいつ――ロン毛――じゃなかった、ウィルを手伝ってたとか、学校の古文のテスト
勉強とかもあって、おまけに今日は学校でグループ実習ばっかりで、昨日の夜から、ろく
に寝てないとは言ってたけどよ。

なんか、俺もあんまり人のことを言えたもんじゃねえけど。こいつ、人の家で和みすぎる
にも程があるんじゃねえか。と、思う。

それに……「俺は他の奴に触れられると、そいつの考えてる事が解るから。だから、下手
に触るな」と、俺が言っても。
こいつの方は、「あんたに解って困る事なんて、何ひとつないから、安心しろ」とか言って
くっついてくるの止めないし。
「涼しいから」とかいって、俺にひっついたままで、すやすやと寝落ちしてるっていう、
この状況はどうなんだ。

なにより、この格好……セーラー服を着たまま、普段と全く変わらない様子で眠りこけて
いるってのも、どうなんだよと思う。
おまけにこいつ、「女の格好に男のパンツ穿いたままなんて、変だろ」とか言ってパンツ
脱ぐし。いや、俺も元からパンツ穿いてねえから。同じだけど。

「……ん、ぅ……寒い……」

白髪は俺の目の前で、ふいに寝がえりを打ちながら、そう呟いた。でもまだ起きない。
見事な寝言だ。
そりゃそうだ。こんな風に半ケツ出して寝てりゃ。
最初はクーラーが入ってなくて、暑かっただろうが、この部屋、元々風通しは良いし、今
となっては、確かにケツの辺りが涼しくて、少々寒いだろうよ。

それで良いのかどうか、ほんの一瞬、迷ったが、俺はその場から起き上がって、こいつが
元々着ていた男ものの学生服のシャツを腰の辺りに掛けてやった。

「……ん……」

たったそれだけの事なのに、こいつは、幸せそうな顔をしてもう一回、寝がえりを打った。
やってらんねえ。こういうタイミングで、そういう顔をするから、少なくとも、ロン毛か
らは、いつも色々と手出しされるような事になるんだよ。

そんな事を思いながら、俺は、その場から立ち上がり、元々自分が着てた服を手にとって、
立ち上がった。
そろそろ牧が帰ってくるし、暑いけど、着替えた方が良いかもしれねぇ、とか、考えてた
からだ。

それに牧が帰ってくるんなら。
とりあえず、いつも、あいつ――牧が涼みながら、俺等とビールを飲む場所――俺の部屋
くらい、クーラーを付けておいてやろう、などと思ったせいもある。
そうして、俺は、二階の自分の部屋へと上がっていく途中で、牧がもう既に帰ってきてい
た事に気付いた。

あいつ、帰って来てたんなら、俺等に声かけるとか、起こしてくれるとか、そういうのが
なんかあっても良いだろ。
一人だけで先にクーラー付けて涼むとかねえだろ。
おまけに多分……この気配からすると……もう一人でビール飲んでやがる。

「牧! お前、一人で涼むとかねぇだろ!」

俺はそう言いながら、自分の部屋のドアを勢い良く開けた。
ていうか、しまった、セーラー服、着たままだったわ。と思った時には既に遅かった。

「繊、お前、いつまでそんな格好してんだ。いい加減、着替えとけ」
「うるせぇよ。今、着替えようとしてたとこだ」

その場にぶっ座ったまま、俺のこの格好を早速、見る事になった牧からは、真っ当な言葉
を吐かれた。
牧が口にした言葉に、俺も反射的に返事を返しながら、その場で手にしていた元々俺が着
ていた牧のお古の男物の服にとっとと、着替え始めた。

「ていうか、お前、人前で勢い良く脱ぐなよ。
 それに前から言ってるが、パンツを穿けパンツを!」

「うるせぇ。ずっとセーラー服着てるよりましだろ」

ビールに口を付けて、涼んでいたのをその場で止めて俺の事をまじまじと、少し呆れなが
ら見ていた牧に向かって、俺はすぐに言い返した。

「で、何でそんなの着てたんだ」

「あいつ、ほら、白髪が、プチと、もう一人の小さいの、ポニテと一緒に、臨海学校での
 イベントで着てもらえないかって、頼まれたんだと。行く気は全くないが、試着位して
 やるってことで、自分の家で試着するのもどうかって思ったみたいで……」

「それで、なんでお前も着るんだ」

「いや、とりあえず、プチの代わりに着てみろって。髪も黒いし、ちょうどいいだろって。
 それにズボンよりか涼しいからって……」

「だからサイズが小さめなのか……っていうか、いいか、繊、言っておくが、今後、他の
 誰かに言われても、女物の服なんか着るな」

牧はまだ飲み干していないビールの缶を傍の畳の上に置いたまま、もう片方の額に手を充
てて、幾分げんなりとした表情で項垂れながらそう言った。
そんな牧に対して、俺は、もう一度、くり返すように言い返した。

「てか、好きで着た訳じゃねぇよ。何となく、あいつに付き合う感じになってただけだ」

「もういい……ところで、あいつ、エイシア、まだ下で、あの格好で寝てるのか?
 そういえば、今日、帰りにウィルが迎えに来るとか言ってなかったか」

「……ああ、確か、ロン毛がここまで迎えに来るって……言ってた気が……する」

俺のその言葉を聞いて、牧が顔色を変えた。そして、咄嗟に飲みかけの缶ビールをその
ままにして、俺達が元々寝ていた下の居間に行こうと立ち上がった。

「おい、繊! エイシアのやつをすぐに起こせ!
 このままの状況で、またウィルにあらぬ誤解を受けるような真似だけは御免だ!」

「あー、俺は着替えてから行くわ」

そんな風に俺が返事を返したすぐ直後に、この家の傍に車の止まる音がした。
あの音は、多分、ロン毛が乗ってるやつだろう。牧、悪ぃ、もう間に合わねえよ。
なんか知らんけど、またお前の白髪が増えるような真似をして悪かったな。
今度から気を付けるわ。

【END】

お付き合いありがとうございました!
繊様、牧先生、色々とお手数をおかけしまして、本当に申し訳ありません……
でも、反省はしていない模様w今後ともどうぞよろしくお願いしますw

※wiki収録後に、一部修正を加えました。
※続きは 創作物スレ 2-333


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最終更新:2013年08月18日 23:13