「セーラー服とウィルさん」
作者:SS 本スレ 1-710様
333 :セーラー服とウィルさん:2013/08/18(日) 22:17:11
334 :セーラー服とウィルさん:2013/08/18(日) 22:19:55
「何だよ、途中で。こんな人通りの少ない、しかも二人連れの奴等だけしか居ないような
海沿いの岸壁に近い場所に車止めたくせに。めずらしく最後までしないのかよ」
「しないよ。君、17歳だからね。特にこの国ではね。
往来で、しかも人目に付く可能性があるところではキスまでって、決めてる」
「どうせ17歳ですよ。アルと違って。車も運転出来ないしさ。本当に不便だ。
でもさ……もう、そういう風に子供扱いするなよ。そういうの、本当に嫌だ」
「子供扱いなんてしてないよ。相手の事が好きなら。子供とか、大人とか、年齢とか、
あまり関係ないだろう。それに、今までもね、君の事を子供扱いした覚えはないよ」
「でも、これ以上、しないくせに」
「面倒は御免だからね、それだけだ。ところで。今日は家に帰らないって事でいいか?
残りの奴等の飯は作ってきたから」
「……相変わらず用意周到だな」
「まあ、一応ね」
「で? 何処に行くんだ?」
「それを今更聞くのか?」
「一応ね、聞いておこうと思って」
「相変わらずだな」
「言ってみただけだ。何処でも良いよ。付き合ってやる」
「じゃあ、お言葉に甘えて。そうさせてもらうよ。宿泊先は何時ものとおりでいいか」
「この辺だと……Conrad tokyoとか?
まあいいや。まだ少し眠いけど。気が済むまで付き合ってやるよ」
「それはどうも」
「別に。することをするだけだ」
「そうだな。いつもと変わらないな」
「変わらないよ。これからもずっとね」
「ところで」
「何?」
「それ、いい加減、着替えたらどうだ」
「えっ、さっき、牧先生の家を出る時に着替える時間もくれないで車に押し込んだくせに」
「人聞きの悪いことを言うな。君、自分の体調を保てない位に無理なんてするな。
人様の家で迷惑だろう。おかげで牧先生の家で飯も作れなかった。
まあ、でもそれは、また今度、皆で飯、食えるようにするから。あまり気にするな」
「ごめん。その件は本当に悪かったと思ってる」
「いいさ。大丈夫だよ。牧先生には、またちゃんと機会を設けてしっかりと謝ればいい。
とにかく。セーラー服を着たままの君を連れて、ホテルにチェックインできる程の神経
の太さは俺にはない」
「今、ここで俺と、こんな風にキスしてた時点で既にどうかと思うけど」
「まあ確かに。それに仮に君が普段どおりの格好だったとしても。
君と俺が男同士だって事が周囲から確認できる状況にあって、それでもなお、この場所
で、こういう風にキスをしてるっていうのも、それはそれで、どうかと思うけどね」
「煩いよ。解った、もう着替えるからさ。さっさとホテル行こう。
車の中、窮屈だし、飽きた」
「相変わらずだな。雰囲気を大切にするとか、そういう気遣いの欠片もないな、君は」
「そう? でもさ、この格好で今更、雰囲気も何もないだろう。
それに、俺がある意味、気を遣って言ってるの、解ってるだろ」
「いいから早く着替えを済ませろ。車、出すよ」
「解ってるよ。なあ、俺の事、好き?」
「何を今更、好きだよ」
「まあいいや。ねえ、着替える前にもう一度、キスしてよ」
「君は本当に手がかかるな」
「嫌いじゃないくせに」
【END】
お付き合いいただきありがとうございました!
ウィルさんが牧先生の家から速攻でエイシアさんを連れ出したらしいのは、何のことは
ない独占欲の強さ故ですw本人、自覚あるのか?
これからもまだ懲りずに、エイシアさんを連れて、牧先生のところまた謝りに出向くw
ようなのでw今後ともどうぞお付き合いくださいw
最終更新:2013年08月18日 23:31