第4話 「燃ゆるミッドウェイ」 2

485 : ◆gnI8YzVxOo:2011/07/03(日) 17:51:28
『私がアイノクス・クーガー少佐だ。君は何者だ?』
『初めましてクーガー少佐。私はホリゾントです』
『あのホリゾントか? EOTI機関が建造した?』
『その通りです。クリストフ・アサイラム卿の命により伊豆基地へまかり越しました。僭越ながら、ドックへの入港許可を求めます。お手数ながら艦内へお越しください』
『私一人でか?』
『あらかじめTEX計画関係者には乗艦許可が与えられています。TEXチームのメンバーもその中に含まれます。私個人としても、メンバーの方々と会えることを楽しみにしています』

すぐに説明を求めてきた基地司令への通信を二度手間になりそうだからと事後報告を約束に切り、集まったTEXメンバーを引き連れて空きドックに停泊したホリゾントに乗り込む。
軍用の簡素さの中に、それでも隠しきれない風格を漂わる艦内の調度。元は迎賓館ならぬ迎賓艦として政財界の歓待を行なっていた艦だけに、設備の使い勝手は良さそうだ。
ブリッジへ入ると、女性の声が柔和に響いた。
『ようこそ、TEXチームの皆様。当艦はあなた方を歓迎致します』
浮かび上がるホログラム――EOTI機関職員の証である品のいいタイトスカートの制服を身につけた、銀髪の女性の姿。
『この姿は当艦に搭載されている仮想人格の、言わばアイコンです。当艦と同じくホリゾントとお呼び下さい』


527 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/04(月) 18:10:31
こちらは新たにTEXチームの母艦となる事が決まったホリゾント。その訓練室である。
セーラー服姿の幼い少女、民間人の藤村紫亜はここの艦長である疑似人格ホリゾントに一足先にクーガー少佐と共に面会。
その後、追撃戦のミーティングの始まる時間までずっとこの部屋で訓練している。クーガー少佐も許可済みである。
弱いまま出ていってもTEXチームのメンバーに迷惑がかかる。紫亜はそれがどうしても嫌だったのだ。もう前回の様な誰かが犠牲になる展開は起こしてはならないのだ。
「……んしょ。早く操縦マスターしないと。今回の追撃戦まで協力するって言ったんだから」
シミュレーターマシンにて実際の戦闘に近い実戦的な訓練を行っている。
もっともマシンにはまだグングニールのデータは入っていない。クーガー少佐の薦めでそれに近い武装の『アバリス』という機体を使っているが。
「言ったからにはちゃんとさ。出来るだけの事はしたいから……ね!」
数時間程の練習の成果で撃つ、避けるの基本動作は大分身体に覚えさせた。前回の様に機体が一歩も動かないなんて事はもう無いはずだ。
「……うー。私、格闘戦は苦手だな。ちゃんと敵に当てられる気がしないよ」
シミュレーター内でも紫亜操るアバリスがソードを構え振りかぶるが、標的のガーリオンにひらりと避けられ、その隙にアサルトブレードの一撃をくらってしまう。
「またやっちゃった…」
もし積極的にインファイトに持ち込まれた場合これでは不味い。
だがPT、AM戦の中心と言えば今や中距離での射撃戦だ。紫亜は射撃戦には意外にもなかなかの適性を見せた。なおかつ実戦はグングニールの射撃武器の性能も有り、そうそう撃ち負けない。だから接近戦を許す危険な状況にはならないと予想していた。


528 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/04(月) 18:31:33
>>527
???「……格闘戦と聞いて駆けつけましたわよ!」

気がつくと、彼女の後ろ側には目が焼け付くようなピンク色のドレスを着た少女がいた。少女はしたり顏で自信を振りまくように息巻いて身を乗り出してくる。

???「格闘戦の基本はやられるより先にやってしまう事ですわ。こう……なんと言えばよろしいのかしらね……そう、度胸と根性!」

細かい事は考えるな、気合いで乗り切れと豪語する。小難しい事を考えるからこそ動きが鈍り、それが隙となるのだとアドバイスをする。

???「逆に貴女の場合、中距離以上での射撃戦はこなせるみたいですわね。それなら、いっそのことわたくしのように格闘戦の方が得意なパイロットとコンビを組んでみるのも一つだと思いますわよ」


529 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/04(月) 18:49:58
>>528
「ひゃぁああ!?」
急に声をかけられて驚いたのか思わず変な声がでてしまう
「ご、ごめんなさい。私ったら集中してて……」
そこにはお嬢様チックな綺麗な女性が居た。
(……どっかのVIPかな?しかもべったべたなお嬢様口調。……うん。綺麗な人だなぁー)
その豪華なドレス、ツインドリルの髪とを一瞬で網膜に焼き付けると頭がくらくらした。
「無心で振り抜く……か。アドバイスありがとうございます。えーっと……お嬢様?」
彼女は何者なのだろうか?


530 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/04(月) 18:59:28
>>527、>>528
「はぁ……これじゃダメか」
先ほどからにらめっこをするようにケイトはシュミレーターと向き合っている。
紫亜が来る前からひたすら打ち込んでいたのだが、思った以上にスコアが伸びない。比較的安定して高スコアは残せるのだが、95点の壁が越えられずにいた。と言ってもそんなスコアを取れるようなものはそうはいない。彼女がこれ以上伸びるには圧倒的に経験が足りていなかった
「やっぱり、あのビジョンが見えるのを使いこなすしか」
THE MAGICIANとの戦いの時に見せた彼女の力の片鱗、あのような経験は数えるほどしかなかったが、一回限り……というわけではない。普段はなんとなく勘が冴えている程度だが、もし、あの力を自在に使いこなせたら──きっと自分はまだ伸びる。もっと強くなって、みんなを守る。
エレナがMIAになってからというもの、ますます彼女のその想いが強くなっていた。
「あれ、誰かいたんですか」
会話が聞こえてきたのをきっかけにシミュレーターから抜けた。
数時間以上集中していたのは彼女にとっても久しぶりの出来ごとで、やや疲れ気味の表情を浮かべていた。
「えーと……知らない顔が一人と……あれ、あなたどこかで会ったことありましたっけ?」
そう言って、レイカの方を見る。よく見えない、と言われるが、ケイトは温室育ちのお嬢様だ。
父親は某巨大企業の経営者の一人。彼女がやけに口調が丁寧なのも、その教育の代物だという。
何度かレイカとは顔を合わせたことがあるのだが、彼女の決して良いとは言えない記憶力では思い出すことは出来なかった。


531 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/04(月) 19:03:19
>>529
???「ええ、何を隠そう、このわたくしが――」
エドガー「ハミルトン家の次期当主であらせられるレイカ・ハミルトン様で御座います。そして、私は執事を務めるエドガー滝沢。以後、お見知りおきを」
レイカ「きーっ……エドガー、わたくしの出番を取るなんて!」
エドガー「も、申し訳ありません、お嬢様」

何処からともなく現れた初老の男性が名乗りを横取りしてしまい、隣にいた高貴な少女は彼に指をビシィと指して叱りつける。
紫亜もいる事をすっかり忘れて漫才をしていた事に後から気付いたレイカは恥ずかしそうに顔を赤らめ、

レイカ「お、おほん。少々、取り乱してしまいましたわ。ところで……貴女も此処に居るということは、TEXチームの一員ですわよね? わたくしもTEXチームには入ってきたばかりですので、これからは戦友として宜しくお願いしますわ!」

嬉しそうに握手を求めるレイカ。彼女はお友達候補が早くも見つかって喜びを隠しきれていない様子である。


532 : ◆YZUHAnFXK6:2011/07/04(月) 19:15:39
>>527>>531>>530
「……っと」
何処に居ようがピンクのドレスは目立つ。
白や銀といったものが多い戦艦の中で、パーソナルカラーが存在する格納庫でもなければ
強い暖色であるその色目に付くのは仕方がないことであろう。

(誰かと話しているのか、あれはラインハルト少尉と……誰だ?)
眼を少し細め、眉間に皺を寄せながらセーラー服の少女の姿を見る。
普通に考えたなら民間人だろうが、ここはTEXチームの母艦だ、異邦人も受け入れてしまう機関
そこに革質や身分の違いは余り関係がない、そう考えるなら彼女はそういった引っこ抜かれた一般人といったところか……
(ただ、どこかで……見覚えはないんだが)
「まぁいい、とりあえずレイカ達にお礼だけでも……」

「レイカ、先日はありがとう……運んでくれたんだろう」
白い髪を梳くように掻き、頭に浮かんだ疑問符を文字通り掻き消しながら
レイカ達の下へ近づいてきた


533 : ◆gnI8YzVxOo:2011/07/04(月) 19:18:49
「よーっす! 元気でやってっか!」
訓練室に響く陽気な声。ツンツン頭の若い男と、セミロングの黒髪の少女だ。
「俺ァタツキ・イバってんだ。こっちはサクラ・エスクード。よろしくな、新兵ども!」
紫亜に視線を向け、真面目な表情になるタツキ。
「お前が左京の従妹か……似てない……いや、似てるっちゃあ似てるかな……よくわかんねえや」
サクラがケイトに声をかける。
「あの、ケイトさん、イータちゃん知りません? さっきからあの子見当たらなくって」


534 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/04(月) 19:24:36
>>530
レイカ「えーっと、そう言われると会った事があるような……ないような……」
エドガー「お久し振りで御座いますね、ケイト・ラインハルト様」

レイカでなく、エドガーがケイトの事を覚えていたようである。流石はレイカの公務全てに付き添う執事といったところか。

エドガー「貴女様も、TEXチームにいらっしゃるとは。驚きを隠せません。」


>>532
レイカ「べ……べべべ、別に感謝されるような事をした覚えてはありませんでございますわよ!?」

ユーリに感謝の意を伝えられ、顔を真っ赤にして慌てふためく。言葉がおかしくなる程に動揺しているのかもしれない。

レイカ「そそ……それより、もうご無事でそのね?ふぅ……よかった。」

最後の方は小さく、自分だけに聞こえるように呟く。彼がすっかり治っていて安心しているらしい。


535 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/04(月) 19:33:33
>>530
「……あ、どうもです」
(……かっこいいお姉さんだなぁ。背が高くてスラッとしてて。綺麗な金髪で)
ケイトの内面を知らない紫亜の第一印象である。ケイトの事を知る過程でその評価もいくらか改まるだろう。

>>531
「ええ!? ハミルトン家って私でも知ってるぐらいの金持ちの…」
そんな世界有数の金持ち(しかも美少女)が握手を持ちかけて来ている。正直、頭がおかしくなりそうだった。
「私は藤村紫亜。伊豆の学校に通っているふつーの高校生です。お嬢様の言っている……そのTEXチームとやらとは違いますよ」
紫亜には軍属になるつもりはこの時点で微塵も無かった。
だからこの様に、仲間が出来て嬉しいという様な満足な顔をされても困った。
結果、申し訳無さそうな苦笑いを浮かべる顔で、有り難く握手に応じる。


536 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/04(月) 19:45:00
>>535
レイカ「シア……ニホン人にしては変わった名前ですわね。」

ユーリをいい名前と言ったが、紫亜という名前にはピンと来ないらしい。

レイカ「? でも、貴女は先ほどTEX-14という新型機を動かしてしまったのでしょう? その場合、軍の機密事項を知ってしまったという扱いになるでしょうから……多分、シアは後戻り出来ない立場に置かれている可能性が高いですわ」

いつもはボケ飛ばしたりする彼女であるが、真剣な話の時は本来の貴族らしさを見せる。


537 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/04(月) 19:46:50
>>532
「あなたはひょっとして、グングニールを援護してくれた超速い機体の……?」
根拠は無いが、なんとなくそう感じた。間近で念動力の発現を見たからだろうか。
>>533
「……?? なんでした?」
突然、自分の事を知っているらしい元気な男と負のオーラを展開している様なスタイルの良い黒髪美人がやって来た。何やら言っているが紫亜には全く見当がつかない。
「……従姉妹? ……あの、ちょっと話についていけないです」
眉をよせて困った様な顔をする。何故ならこちらの知らない事を彼が知っているからだ


538 : ◆YZUHAnFXK6:2011/07/04(月) 19:52:31
>>533
「エスクード少尉にイバ少尉、どうも」
スッと頭を下げる、軍部というものは階級制、そこに年功序列という概念はない……とは言っても、

「本当に、パイロットは年下ばかりなんだな……」
こうして見るとやはり年下が目に見えて多い、一応そういう部隊だという知識はあった。
それでも渡された資料を読んだとき、成人のパイロットが1人しか居ないことに驚愕した
噂で聞いていた以上の特殊な環境だと思ったからだ。
そして今、こうして未成年の相手にこうも囲まれると、なんとも感覚が麻痺しそうだ。

>>534
「あぁ、俺のほうはもう大丈夫だが……機体のほうはもう少しかかるかもな」
ため息を零さないように気を使って声を出したが、多少落ちたトーンになってしまう。

正直な話、TEXのような完全オリジナルフレームではない、量産機のチューンであるメガリオンが耐えられたことは奇跡に近かった。
とはいってもこれからは追撃戦を中心に戦線は展開していくはずだ……
こういった撃墜寸前を何度も繰り返すことは出来ない、純粋に自らの腕の無さを呪うしかないだろう。

「ともあれ、あの時完全に意識を失っていた訳だ。まさか医務室にまで運んでくれているなんて、本当に助かったよ」
すっと右手を差し出した、普通に考えれば握手を求めているように見えるだろう。
当然ユーリも普通な考え、握手を求めていた。

>>537
「……そういうことか、君がグングニールのパイロットだった訳か」
なるほど、見たことも聞いたことも無かったが知っていた――――
そんな“感覚”がした理由が今分かった、本当に感覚で触れ合っていたということだ。

「初めまして、俺はユーリ・クルス……よりも、日本人の君には来須祐里って伝えた方が覚えやすいか?」
白髪に灰色の瞳、見た目は確実に白人だが、伝えられた名は日本人のものであった。


539 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/04(月) 20:10:04
>>533
レイカ(品性のない男子ですわね……そう、“野生児”という言葉がぴったりな感じですわ!)

タツキに対する第一印象はそんな感じである。


>>538
レイカ「……」

彼女は恐る恐る手を伸ばす。わなわなと振るわせながら、精一杯の勢いで彼の手を握る――思いっきり力を入れて。

レイカ「……わたくしの様な人間と握手で、でで出来たのよ! あ……ありがたいと思いなさい!!」

キャー、と恥ずそうに顔を手で隠してユーリから走って離れた。


540 : ◆gnI8YzVxOo:2011/07/04(月) 20:24:11
>>537
「なんだお前、左京知らないのか?」
意外そうな顔のタツキ。それからシリアスモードに移行――やや演技過剰に。
「奴……藤村左京と俺伊葉辰希は、終生の好敵手(リヴァーレ)であり、そして莫逆の友だった。例えるなら春秋時代の藺相如と廉頗のように、互いに首を刎ねられようともその目を刳り抜いて敵国の滅亡を見届けようと――ってあれ?」
『イバ少尉は伍子胥の逸話と混同されておられるようです。しかも藺相如が活躍した年代は伍子胥より約二百年の後のことです』
現れるホログラムアイコン。言うまでもなくホリゾントである。
『藤村左京中尉はDC戦争及びL5戦役でTEXチームの中核となり活躍としたパイロットです。それ以上のことは、イバ並びにエスクード両少尉の方がご存知でしょう』
「びっくりしたなぁ、急に出るなよ……まぁ、俺たちの仲間だったんだ」
失礼しました、と詫びるホリゾント。タツキの後を受けてサクラがうつむき加減になる。
「左京君は誰からも頼りにされる、まさにTEXチームの中核でした。けれど彼はL5戦役におけるホワイトスター決戦で、パートナーのミュレッタ・レーゲン中尉と共にMIA――任務中行方不明になったんです」
「虫も殺さぬ顔して、俺より出世しやがって」
タツキが毒づく。二階級特進は原則的に戦死者にしか適用されないのだ。
「んで、もう一人の古参のイータは、左京とミュレッタを家族みたいに思ってたのさ。……あいつ、ガラスのメンタルのままだからなぁ」
TEX-05の後継機と藤村の姓のパイロット。それがイータにどのような化学反応をもたらしたのかは分からない。ただ、ショックを受けているだろうことは、付き合いの長いタツキやサクラには理解出来た。

>>538
「少尉殿って呼べよ、曹長! 先輩でも許す!」
「調子に乗り過ぎるとクーガー少佐に言いつけますよ、タツキ君」
居丈高になるタツキに釘を刺すサクラ。効果は覿面でタツキはすぐに神妙な顔つきになった。
「う……まあユーリ曹長、あんたの方が年上なんだから。タメ口でいいよ」

サクラがユーリの疑問に応える。
「部隊の特性上仕方ないのかもしれないですけど、TEXチームの平均年齢は連邦軍でも群を抜いて若いんです。つい先日に24歳の大尉が赴任してきて、わたしも楽できるかもと思ってたんですけど……」
「早々にMIAだ」
タツキの言葉にホリゾントが補足する。
『奪取されたTEX-15のパイロットだったエレナ・キサラギ大尉ですね』
「美人だったのになぁ。勿体ない」

541 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/04(月) 20:36:46
>>532
「はじめまして―、私ケイト・ラインハルトって言います。以後よろしくお願いしますね!」
ユーリが近づいてきたのに、気付き、彼女も走って近づいていった。
そして、挨拶を交わすと笑顔のまま握手を求める。

>>533
「イータさんなら先に会議室にいったと思います」
意外に思われがちだが、イータとケイトは仲が良い。ケイトの精神年齢とイータの実際の年齢が近いのもあるが、彼女が年齢や性別を隔てることなく、等しく接する性格ゆえ……なのかもしれない。

>>534
「やっぱり会ったことありますよねー……」
ケイトは自分の名前が呼ばれたことで、確信をする。
「あぁ、ハミルトン家のご令嬢の方ですか! なるほど、だから会ったことあるんですね。私はケイト・ラインハルトです、分かりません?」
ケイトの父親とレイカの父親は交友関係にある。それゆえに彼女もレイカとは何度か顔を合わせていたらしい。

>>535
「それ日本のせいふく?ってやつですよね、可愛いな―。私はケイト・ラインハルトです、よろしくお願いしますね紫亜さん」
やけに丁寧な口調で年下の紫亜に挨拶を交わす。
紫亜とは一回りほど背が違うため、目線をあわせるため、少しだけ屈んでいた。


542 : ◆gnI8YzVxOo:2011/07/04(月) 20:46:07
>>535-541
「へー、ハミルトンて有名なのかー」
「……知らなかったんですか、タツキ君?」
「うん」
サクラとタツキのやりとりを横目に、レイカに一礼するホリゾント。
『レイカ・ハミルトン様。一度だけ私はあなたを乗せたことがあります。その際もエドガー滝沢様とご一緒でしたね』


543 : ◆YZUHAnFXK6:2011/07/04(月) 20:51:17
>>539
「うおっ!?」
思い切り手を握られたとこにも驚いたが、そこから駆け出していったことにさらに驚いた
完全に置いてけぼりで立ち尽くしている。

(な、なんだったんだ……)

>>540
「タメ口といわれま……言われても、流石に階級だけは付けさせてくれると嬉しい」
階級をつけた呼称に慣れているからか、タメ口といわれてもそればかりは変えられないと踏んだ。
この二人は最初期から居るらしいというのは本当なのか、とても馴染んでいる。

「大尉……MIA、か」
目を伏せて言葉を漏らす。
MIA――――その理由が自分にあるのだから、さらにその言葉に含まれた意味は重い

>>541
「ユーリ・クルス曹長です、よろしくお願いします、ラインハルト少尉」
差し出された手をそっと握り返す。少し照れたように目を伏せ、口をゆがめた。


544 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/04(月) 20:56:33
>>536
「……それって本当ですか!? うぅ、私、バイト始めたばっかりだし将来性のある良い大学も狙ってるのに」
目を大きく見開いて信じられないと言うような顔をする。軍の機密に触れたのは確かだが、そんな事になりそうだとはいざ知らず。
>>538
「藤村紫亜です。危ない所を助けてくれて、本当にありがとうございます」
深いお辞儀をする。ユーリは命の恩人である。彼がいなければきっとやられていた。
>>540
「わたし……軍人の従兄弟が居るなんて聞いたこと無いですよそんな事? しかも殉職したんならお葬式有ったはず。呼ばれてませんよ、私?」
タツキの誇張表現のある話は何とも非常に信じがたい。深く考えるのはやめにしよう。

>>541
「はい。よろしくしちゃって下さいケイトさん///」
元気良く答える。何をよろしくしちゃってかは謎であるが。


545 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/04(月) 21:05:40
>>541
レイカ「けいと……毛糸……け……ケイト!ケイト・ラインハルトじゃありませんの! 久しぶりですわ~」

ケイトに近寄って彼女の両手を掴んでブンブンと振り回す。こんな所で顔なじみと再開するとは思ってもいない出来事であった。

レイカ「まさかわたくしより先にTEXチームにいらしたなんて! これからは共に地球の平和を守りますわよ!」

肩を組み、えいえいおーと鬨の声を上げる。


>>542
エドガー「ええ、アサイラム財団との会食パーティの際に、お披露目として乗船致しましたな……」
レイカ「モチロンですわ。喋る戦艦だなんて面白くて忘れる事が出来ませんわ」

二人ともハミルトン家一行として改装前のホリゾントに乗ったことがあったのだ。

レイカ「しかし……すっかり“おめかし”をしたのね、ホリゾント。なかなか立派なものよ」


>>543
エドガー「お嬢様は、ああ見えてお歳以上に乙女なのですよ……ユーリ曹長。」

それだけで伝わるとは思っていないが、エドガーは微笑ましくしている。


546 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/04(月) 21:18:12
>>544
レイカ「――その様なお覚悟でアレに乗られたというのであれば、今すぐにここを立ち去りなさい・・・シア。今回の件はハミルトン家からかけあってみますから」

急に冷たい視線で紫亜を見る。

レイカ「あの時、あの悲惨な状況であったとしても……貴女は拒否をすることが出来ましたわ。そして、貴女は初陣で敵をいきなり撃墜してますわ。この意味がお分かり?」

彼女は更に言葉を続ける。抑揚もなく、淡々と。

レイカ「敵のパイロットが脱出し、仲間に回収されたから良いものの・・・貴女、人を殺したかもしれませんわ。戦いに参加したということは、貴女が殺すかもしれませんし……貴女が殺されるかもしれませんわ、キサラギ大尉や貴女の従兄妹のように」

少々、キツい話かもしれない。それでも“そんなこと”も考えずに成り行きでTEX-14に乗るべきではなかった……とレイカは語る。

レイカ「――――それでも、何かを護りたい……その気持ちがあるのでしたら共に戦いましょう、シア。貴女にもあるはずですわ……あの時、グングニールに乗った時に心の底から願ったことが」


547 : ◆gnI8YzVxOo:2011/07/04(月) 21:19:30
>>543
「分かった、イバ少尉でもタツキ少尉でも好きに呼びなよ。よろしくな、ユーリ・クルス曹長」
握手しながらタツキは、ユーリがもう少し上の階級ならサクラの負担も軽くなると思う。真面目だし年長だし。

>>544
「左京君は子供の頃に家族を事故で亡くし、孤児として施設で育ったそうです。紫亜さんが彼を知らなくても、無理はないでしょうね」
サクラがフォローを入れるのは、左京と血のつながりのある紫亜に彼がどんな人間だったかを知って欲しいからだ。

>>545
『お褒めに預かり恐縮です』
微笑を浮かべるホリゾント。


548 : ◆YZUHAnFXK6:2011/07/04(月) 21:32:40
>>544
「そういう仕事なんだ、感謝されることじゃない」
軍人にとって民間人を守ることは責務だ。ひらひらと手を動かし、気にしないで良いとジェスチャーも行う。

「それに、その感謝の言葉は少佐に伝えるべきだと思うよ」
聞いた話では少佐が身を挺して守ったとかなんとか……
もしそうならば、自分よりもその言葉に相応しいであろう。

>>545
「……それは首を突っ込みづらい言い方ですね、エドガーさん」
“お歳以上に乙女”なんて、取り様によっては様々な方向に取れる。
例えば異性と触れ合うのに照れてしまうという微笑ましいところから―――

(……女性特有の、生々しいところまで……な)
気まずそうに目を下に向けると
意識していないのだろうが、口に当てた右手の指が自らの泣きほくろを触っていた。

>>547
「いや、こちらこそよろしく……イバ少尉」
握手に応じ、軽く頭を下げながらその名前を呼ぶ。
苗字―――先ほどからの会話を聞くに、大抵の人(あのピンクのドレスの子とそのお付を除く)を苗字で呼んでいた。
曹長でもチームの隊長レベルの階級ではある、むしろ特別な部隊であるTEXチームの平均階級が高いのだろう。


549 : ◆gnI8YzVxOo:2011/07/04(月) 21:32:49
>>541
「そうですか……ありがとう、ケイトさん。わたし、呼んできます」
退室しようとするサクラをタツキが制止した。
「そっとしておけよ。イータだって、独りになりたい時があるだろうさ。ホリゾント、お前艦内モニタしてるんだろ?」
『はい。常時、リアルタイムで』
「じゃあイータに何かあったら知らせてくれ」
『「何か」という言葉に具体的な志向性がないのが不安ですが、何かあればお知らせします』


551 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/04(月) 21:49:27
>>543
「はい、よろしくお願いします!」
屈託のない笑顔を浮かべ、握手を交わすとぶんぶんと振り回す。
そっと握られていた拳は彼女の手で強く握り返されることになった。

>>544
「はい、よろしくしちゃいます!」
ニコニコと笑いながら答えるが、言葉の意味は分かっていない。
こういう時に気がつくほどの洞察力を彼女に求めるのは──酷だろう。

>>545
「おぉ!覚えててくれた?よろしくお願いしますねレイカさん」
普段は握手をした時に振り回すのはたいてい彼女の方だ。そのため、こうやってリードされるのはある種新鮮ではあった。むしろノリノリで「いえいおー」とやっていた。

>>549
「あぁ……サクラさん頼み……」
「あんまり遅いから……来ちゃった」
そう言って現れたのはイータであった。ずいぶん長い間待っていたのか表情はどこかしら不満げなものを浮かべている。
「タツキにサクラは何をやって、完全に遅刻だよ……?」
ふと、藤村紫亜の姿を目の当たりにする。
似ていた。ミュレッタ・レーゲンの姿に非常に酷似していた。
その赤い髪も、その仕草も、笑い方も、顔の造形も……
「あなた……誰?」
わなわなとふるえながら――イータは吸い寄せられるように紫亜の方に向かって言い放った。


555 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/04(月) 23:22:12
>>548
「クーガー少佐には本当に感謝してますよ。あんまり気にするものだから“もういい”って言われちゃいましたよ」
何度もクーガー少佐に謝ったのだが、度が過ぎて逆に鬱陶しく思われてしまったかも知れない
>>547
「……そんな。……施設に入ってたなんて。私のお母さんの所を訪ねて来てくれてたら…」
その藤村左京はなんとも不憫な人生だったのだろう。思わず悲しくなって来る。胸が苦しくなる。
「……それで戦って戦って、最後は居なくなって。あんまりですよ! ……こんなのって、無いよ」
顔も知らない従兄弟の事だが、紫亜の家に引き取られていれば今頃は仲の良い“お兄ちゃん“になっていたかも知れないのだから。

>>546
「……わ、わたしは」
言い返す事が出来ない。自分が甘かった。これはゲームじゃなく、お互いに等しく命が失われる殺し合いなのだ。
自分が人を殺す側になるかも知れないという事を完全に失念していた。
「……ひ、ひとをここ、ころすなんて」
自分がやられる覚悟はしたつもりだったが、相手の事を殺す覚悟はまだ無かった。
しかし、自分には戦える力がある。使わない事には申し訳がつかないという気持ちがある。
――――それでも、何かを護りたい……その気持ちがあるのでしたら共に戦いましょう、シア。貴女にもあるはずですわ……あの時、グングニールに乗った時に心の底から願ったことが。
レイカの言葉である。思えば自分とそう年齢は変わらないだろう。それなのに……
「……レイカさん。凄く強い人なんですね。……わたしは…駄目だ……ちょっと考える時間下さい」
紫亜はレイカの事を素直に尊敬した。
こんな時、紫亜には即答出来ない。苦笑いを浮かべて先伸ばしにするぐらいの事しか出来ないのだ。

>>551
(……なんでこんな可愛い子どもまで!?)
背は自分と同じぐらいだろう。むしろ紫亜の方が低い。という事は中学生ぐらいだろう。
その少女もまた可愛らしかった。銀髪碧眼のフランス人形の様な女の子。ぶっちゃけて言えばストライクゾーンだ。何気に妹キャラっぽい雰囲気も感じられる。
「えへへ、はじめまして。私は藤村紫亜だよ」
少し人見知りな態度の銀髪少女だったが、紫亜にとってはむしろそれが良いのだ。好感度が最初から高いのは面白く無いと言うのが彼女の考えだ。


556 : ◆hrBR6tpC7Y:2011/07/04(月) 23:34:04
>>555
レイカ「わたくしも強くはありませんわ……みんなお父様やハミルトン家の代々当主のご先祖様達の威光に縋っているだけですもの……」
エドガー「お嬢様……」
レイカ「……でも、それでもわたくしはカラヴィンカで闘いますわ。それは、それだけはわたくし自身が選んだ道――と、思いたい所ですわね」

精一杯の笑顔で応える。今はそれで紫亜を勇気付けるしか彼女には出来ない。

レイカ「今スグにとは言いませんわ。けれど、そう遠くない日に貴女の言葉が聞けると……そう思っていますわ」

ポンと肩に手を置き、紫亜に軽く迫ってみる。


557 : ◆gnI8YzVxOo:2011/07/04(月) 23:35:37
>>555
「いやさ、紫亜ちゃん、藤村伍長」
タツキが困った顔をした。なんと言うべきか迷ったように口篭もり、十秒掛けてようやく最初の言葉を紡ぎ出した。
「俺思うにだな……人間の幸福と不幸ってのはさ、結局主観の問題でしかないと思うんだよ。少なくとも日常の行状から見て、左京が不幸だったとは俺は全く思わない」
為すべきことを為して死んだ人間は、為すべきことを為さぬまま生きている人間より余程幸運だとタツキは思う。無論そんなことは紫亜には言えはしないが。
「そんでさ、これは古参TEXメンバーの共通見解なんだが、左京やミュレッタが生きている可能性も俺は捨ててないんだ。あのクーガーのおっさんだってそうじゃないかな」


558 : ◆gnI8YzVxOo:2011/07/04(月) 23:37:53
>>551
「イータちゃん……顔色、大丈夫?」
イータが尋常ではない様子なのは誰の目にも明らかである。
ただここまで紫亜に対して露骨な反応を示すとは、サクラにも予想出来なかった。


559 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/04(月) 23:54:58
>>555
「えっ……藤村……紫亜、藤村……」
長い沈黙の果て、やっとひねり出して出てきた発言は一言であった。
なんたる偶然だろう。藤村という名前にミュレッタそっくりの顔。イータは目まいのようなものに襲われる。
──馬鹿げている、悪い冗談にもほどがある。
だが、彼女の前に現れた藤村紫亜という少女は幻覚でも悪夢でもない。リアルだ。
後ずさるように、震えながら歩いていく。ドアにぶつかったところで、正気を取り戻したのか、そのまま走り去って行った。

「どうしたんだろうイータさん」
ケイトは心配そうな表情でイータが走り去った後を見る。彼女は藤村左京ともミュレッタ・レーゲンとも面識がない。だからこそ、イータが、彼女がどれだけあの二人を慕っていたのかを知らなかった。


562 : ◆gnI8YzVxOo:2011/07/05(火) 00:27:48
>>559
「イータちゃん!」
駆け去るイータをサクラが追おうとする。その足を止めたのはクーガー少佐によるアナウンスだった。
『TEXチーム各位へ。現在ホリゾントはミッドウェイ島のジュワユーズ基地の防空圏に入りつつある。各自、出撃準備に入れ』
ホリゾントのホログラムアイコンがたちまちに姿を消した。
「ほら、行くぞサクラ」
心配そうな顔のサクラに声を掛けるタツキ。どうしようもないことなのだ、これは。
多分イータ自身、何故ショックを受けているのか分かっていないのだから


564 : ◆FB0Vu0hpIc:2011/07/05(火) 01:50:03
>>556
「……レイカさん」
レイカは紫亜に何か伝えようとしている。紫亜はそれに対して、何か気の利いた言葉にしようとするが
「……とりあえず、わたし。なるべく人が死なない様にやってみます」
今はこれが精一杯だった。

>>557
「……タツキさんはうちの従兄弟と仲良しだったんですね」
なんとなくだが、良い友達だったのだろう。そう感じた。
「……藤村の男は焼いても死なない。確かお爺ちゃんがそんな事を言ってました。……左京お兄ちゃんもきっと」
“お兄ちゃん”と咄嗟に出てしまった。一人っ子の紫亜にとって新鮮な感覚だった

>>559
「ふぇぇ? ……なんで?」
フランス人形の様な少女は、紫亜の名前を聞くとたちまち血相を変えて出ていってしまう。
意中の彼女に強い拒否反応をとられた事で目が点になっている。何か嫌がらせた覚えがあるか?イヤ、そんな覚えは無い。
「……あの~、わたし、どうしたら?」
その場に居る者に尋ねてみるも皆渋い顔ばかり。紫亜は少女の拒絶の意味もわからず、ただ、しょんぼりとするのだった。
>>562
「出撃ですか!?」
心に色々な悩み事を引っ掛けたままだが、そうも言ってられない。
「っし……がんばるぞ」
迷ってなんかいられない。平手で両頬をパチンと痛いぐらいにひっぴたく。腑抜けた自分に渇を入れる我流の気合入れ。
気持ちの切り替えの速さ、潔くもあるそれが紫亜の長所だ。


565 : ◆rJzb6vv1uA:2011/07/05(火) 12:34:24
>>562
「出撃か! このまえは……え、いたのっていわれたが! 今回は大車輪の如き活躍をお前らに見せてやるぜ!」
まえの戦闘ではなんの活躍もできなかったトウジは格納庫で入念に機体を整備して、雪辱をせんと頑張っていた。

「てめぇら! 今回こそは今回は! 俺の独壇場だ! 汚名挽回だ!」
どうにもしまらないがトウジのやる気だけは全員に伝わっただろう。


566 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/07/05(火) 15:50:51
>>562
トレーニングルームを抜け出したイータは自分の部屋に戻っていた。
かつてのTEXチームでとった画像データを眺める。そこにはタツキやサクラだけでなく、当然左京やミュレッタの姿もあった。
「うぅ……どうして、どうしてイータを置いて……」
いなくなってしまった二人のことを考え、涙を零す。
紫亜の顔を見ていると、どうしてもつらかったことを思い出してしまう。
この二年で吹っ切れたはずだったのに、彼女の心の弱さまではどうしようもなかった。
「出撃……」
艦内アナウンスが響く。
「出なきゃ……」
涙を拭うと、重い足取りで格納庫へと向かう。
流石に理由が理由だ。こんなことで出撃を拒否することも出来ないし、拒否するつもりもなかった。
──昔、似たような状況で出撃した時にどれだけ自分が足手まといになっていたのかを、彼女は忘れてしまっていた。

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最終更新:2011年07月13日 16:56
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