オリロワ2nd @ ウィキ

遭遇

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遭遇◆o7DW0ESrOc




それは、何百年も前の事じゃったらしい。
とある地方にある有力者がおった。
その有力者は歴史の表舞台に立つ事は無かったが、彼には一人の娘がおってな。
そしてその娘が大層な美人だったらしいのう。
有力者はこの娘を使って、自らの権力を高めようと、画策した訳だったのだ。

一方、娘の方はというと、育ててくれた父親の為にも、醜い貴族の息子達や、卑猥な目で見てくる、父親と同じ程の年齢の男にも我慢して会い続けた。
なんと親孝行な娘な事か。
そして、様々な事があってある天皇一家の分家に当たる跡取りと結婚する事となった。
喜ぶ父と同じ様に、娘も喜んだ。それはそれは、婚約が決まった際は、一族全員で喜んだそうな。

そんな時、結婚の日が残り二日に迫った頃、娘はとある老人に会った。
身なりはかなり汚かったが、泥に足をはまらせ、困っていたところであった。
心優しい娘がその老人を助けたところ、お礼として小さな小瓶を貰ったそうだ。
その時に、こう老人は言った。
『これは、死ななくなる薬だ。龍の血と呼ばれる、希少価値があるものだ』、と。

その晩、娘は恐る恐る小瓶の蓋を開けた。
中には、赤に染まった、液体が片手ですくった水程度入っておったらしい。
娘はそれを小皿に出してみた。
小瓶の中に閉じ込められていたかの様な、老人が言っていたそのまま、血の様な、真っ赤な色をしていたというでな。
そしてそれを…娘は血に引かれる様に飲んでしもうた!


味は苦く、とても美味と言える物では無かったらしいが、身体中に妙な感覚が廻ったらしい。
そしてそのまま、娘は夢の中へと行ってしまったのじゃよ。

次の日、娘は起きた。
どうやら特に変わった事もない。
今日は晴れ舞台だ、と大層意気込んだらしいの。
母に純白の着物や、化粧等をしてもらい、人に化けた狐とも言わんばかりの妖絶さをかもし出しておった。
そして、婚約相手の元へと出向き、式が始まった。
厳正な守備のもと、行われとった式だったが…おそらく天皇に反対しておった者が差し向けたのじゃろうな。
式の中に、刀を持った男達が、次々と入り込み、目に映った者をすべて切り伏せていったそうな。あぁ、かわいそうにのう。
娘の父母は互いに首を斬られ即死。
婚約相手の男は胸を貫かれたそうな。
…ん?娘?勿論斬られたぞ?喉元をかっきられて、間違いなく死んだと思われたらしい。

…しかし、娘は生きておった。
斬られた場所が今でいう逆再生の様にみるみるふさがって、最終的には元に戻り、立ち上がったのだ。
気持ち悪がった襲撃者達は様々な方法で娘を殺そうとしたらしい。
生きたまま火で燃やしてみたり、一枚ずつ、包丁で皮を剥いでみたりの。
…おっと、そういうのは嫌いだったか?すまんの。

だが、どんな事を使っても、娘は死ななかったらしい。
更に気持ちが悪うなった彼等は、そのまま娘を山へと捨て、自分らも消えてしまった。

…ただ、今なお生きてるのじゃよ。その娘は。
案外、君の側に居るかもしれんぞ?
では、老人のうわごと語りもここいらにするかのう。
ん?娘の名前だと?確か、彼女は―――

――――――――


俺の名はイチカ・キリノ。とある国の、現在は日本に来日中の、しがない宮廷の護衛騎士だ。
突如連れてこられたこの殺し合い。
当初は馬鹿馬鹿しくてやってられないと思ったが、荷物の中に入っていた、おそらく俺の殺し合う相手の中に、俺が守らなきゃならない相手が居た。
…今の俺が、人間らしい生活を出来る様にさせてくれた、大事な人だ。
俺は、その人の為ならどんな汚名でも、どんなに鬼と呼ばれようが構いやしない。
俺の主―――エステル・R・O・フィンロレンを護るのならば。

「…っと、早速参加者発見」


前方向の、やや遠め。
木と木の間より、その姿が見える。
黒髪に、日本の独特らしい服である着物に、清楚な顔立ちと中々いい所育ちにも見える。
頭にがよぎるが、すぐに頭から消す。

(今からお前の為に人を殺すんだから、お前は俺の頭に映らないでくれ。
…お前が見てる様で、怖いんだ)

そう思いながら、俺はバックの中に入ってあった短刀に手を触れた。
最もこの武器の扱いには自信がある。
そこばかりはついている、と思った。

「よし、行くか」

そう意気込んで、俺は走りだす。
迅速に、気づかれずに、そして、急所を狙え。
俺の人を殺す際の、モットーの一つだ。
狙うは首元。頸動脈辺りだ。
あそこに攻撃したら―――間違いなく普通の人間は死ぬ。

大体目測で5m程までに近付いた頃、その女が俺に気付いた。
だが、ここから俺の攻撃を防ぐのは、時間の問題だ。

(―――そこだッ!)

俺は潜り込む様にして、女の懐へ入り込み、喉元を短刀で斬った。

「が…」

女が喉元を驚きを隠せない様子で押さえながら、倒れこむ。
こうなれば、そのうち出血多量かなんかで死ぬ。

「これで一人、か」

スコア1。早いと思うが、最高のスタートだ。
さて、次は何処へ行くか…ん?
飛び散った血が、まるで生き物みたいに動いてる?
しかも、現に徐々に、徐々に動いて、死んだはずの女へと戻っていた。

俺は不気味さを感じたとともに、どうなるのか立ち尽くすしかなかった。
おそらく、術者か何かが使う魔術かなにか、もしくは―――

「不死、者…」
「いたた…まさか、本当に殺し合う人が居るなんて…」
「なっ!?」

…女が立った。
まるで、何事も無かったかのように。
首元の傷は一切無くなり、苦しみに満ちた顔は、既に消えていた。

「まぁ、私みたいな奴を殺そうとすんのが間違いなのよね。殺すなら、もう少し殺し合いに邪魔な奴殺してほしいんだけど」

…駄目だ。

「…そりゃあ、私はあんたに首元斬られて今度ばかしは駄目かと思ったけど」

こいつの話は、狂気じみている。

「私、不死者って奴なのよね~生憎」
「!」

今俺が殺しかけた相手が、俺に自信という脅威を与える。
『死なない』という、大きな後ろ盾を持って、壮大な場数を踏んだであろう、狂気と自信が。

「…くっ!」
「あっ、どこいくのよ」

俺は気付けば、その女と逆方向へと走りだしていた。
恐ろしいのだ。
ただ一人の女が。
殺せないというからではない。
あんなのがそこらにうろうろしてると考えると、俺はあいつを守れるのだろうか。
その恐怖で、どうにかなってしまいそうだったからだ。

「…エステル…」

空を見上げ、夜空を眺める。
夜は、さらに更けようとしている。
最高のスタートなんかじゃない、最低のスタートで、俺の殺し合いは始まった。

【一日目・深夜/B-5 森】
【イチカ・キリノ】
【状態】精神疲労(小)
【装備】コンバットナイフ
【所持品】基本支給品
【思考】
1、エステルを守る為、他の奴等を殺し回る
2、なんかあの女が恐い。てか、あんなんばっかなのか?
3、他にも不死者の様な存在に注意したい
【備考】
※何処に行くかは分かりませんが、織香の方には行かないと思います。

【中野町織香】
【状態】健康
【装備】なし
【所持品】基本支給品、不明支給品
【思考】
1、とりま、まだ様子見かな
【備考】
※不死者ですが、首を切り落とすか、全身をこっぱ微塵にすれば死にます。ただし、本人は知りません。


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中野町 織香 17:場違いな女


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