◇
パーマが掛かった栗色の豊かな髪。
野性的な鋭さを備えた三白眼。
苛立ちと不服に窶れた面持ち。
若き日を越えた中年の顔立ちからは、年相応の摩耗が浮かび上がる。
何処か草臥れた様子を覗かせながらも、彼女はあくまで堂々と、不敵な眼光で歩き続ける。
全てを失った己に残された、“なけなしの風格”を着飾るように。
国際刑務所“アビス”の一角にて。
その女囚は、廊下を歩いていた。
両手にはシステムA子機の手錠。
両脇には沈黙を貫く2名の看守。
無機質な機械を思わせる偉丈夫たちに挟まれながら、女囚は無味無臭の通路を進み続ける。
何度かちらりと看守達を流し見るも、彼らは何の反応も見せず。
やがて得られるものは何もないと悟るように、女囚は前へと向き直す。
この隙を狙って逃げ出せないか、などと無謀な考えも浮かんでいた。
しかしそれが馬鹿げた暴挙であることを理解できないほど、女囚は愚鈍ではなかった。
地図にない監獄。この世の果ての掃き溜め。
悪党達は支配の枷を嵌められ、一切の抗う術を奪われている。
開闢を迎えた人類に与えられし祝福、超力(ネオス)の行使を封じられているのだ。
例え枷から解き放たれたとしても、あるいは純粋な体術ひとつで抵抗を試みたとしても――。
“個々人が囚人複数名を制圧できる”とされる精鋭揃いの看守達を相手取ることになるのだ。
世界各地から選抜された選りすぐりの人材が、この施設には掻き集められている。
近年では“星条旗の守護神(マン・オブ・スティール)”ことカーネル・アンダーソンも、異例の好待遇を得てアビスに就任したと聞く。
合衆国大統領の血縁者とされる男であり、米国史上最悪の虐殺者と呼ばれた“炎帝”フレゼア・フランベルジェを討伐した傑物だ。
カーネルが米国を離れてアビスに就任したのは、過激な自警行為への批判の高まりやGPAとの軋轢などを収める為の政治的意図があったと噂されているが――。
ともあれ。この地の底の監獄は、彼ほどの怪物でさえも刑務官として包括するのだ。
枷に嵌められたアビスの囚人にとって、もはや暴力とは手札になり得ない。
必要なものは――――要領、人脈、後は政治だ。
今の彼女にとって、それは喉から手が出るほどに欲しいものだった。
この女囚は、もはや後が無かった。
娑婆では疑心暗鬼の末に、自らの手で組織を衰退させた。
やがて警察によって逮捕され、組織は壊滅。自らも無期懲役を喰らった。
全てを失った彼女は檻へと放り込まれ、地道な人脈作りに走らざるを得なかった。
そんな屈辱の時間を過ごしていた中で、突如として“呼び出し”をされた。
その要件については伝えられず、ただ看守達に連れられるがままに廊下を歩いていた。
やがて二人の看守は、通路の片隅で足を止めた。
ある部屋の扉の前で電子ロックを解錠し、そして女囚へと促した。
――“入れ、好きに話してこい”と。彼らは告げた。
訝しむように眉間に皺を寄せつつも、女囚は促されるがままに部屋へと入る。
彼女が足を踏み入れた直後に、ガチャリと電子ロックが再び掛けられた。
ほんの一瞬だけ扉の方へと振り返ったものの、すぐに部屋の内部へと視線を向けた。
ある程度の広さを持った、小綺麗で殺風景な内装。
部屋の中央には、ぽつんとテーブルが置かれていた。
テーブルを挟むように、椅子が向かい合う形で添えられている。
此処が“特別面会室”であることを、女囚はすぐさま悟った。
特定の模範囚などにだけ許される、仕切りのない面会室だ。
――――白煙の匂いが、部屋に漂っていた。
“先客”が既に片方の椅子へと腰掛けて、悠々と煙草を吸っている。
『信頼できる仲間ってのは、得難い宝だ』
その男はどっしりと居座り、煙草を手に取っていた。
黒い肌の老人。まるで岩石を思わせる程の偉丈夫。
威風堂々とした出で立ちが、其処に存在するだけで威圧感を放つ。
男は、囚人服を纏っている。そう、囚人である。
『裏切りだらけの世界じゃあ尚更のことさ』
にも関わらず、その男はまるで帝王のように振る舞っていた。
不敵に笑い、不敵に構え、何てこともなしに待ち受けていたのだ。
口からふぅと煙を吐き出しながら、男は女囚を見据える。
『だから俺達は“契約”を重んじる。確かな絆って奴をな』
彼こそが、女囚を呼び出した張本人。
欧州最大の巨悪、ルーサー・キング。
新時代の裏社会を支配するゴッドファーザー。
『――――てめえもそう思うだろう?
“サイシン・マザー”、ラバルダ・ドゥーハン』
そして、この場に呼び出された女囚。
彼女こそがオーストラリアに君臨した“ドゥーハン・ファミリー”のボス。
違法薬物の製造・密売による現地の社会汚染を牛耳った“麻薬女王”、ラバルダ・ドゥーハンだった。
『ハッ、まさか直々にお呼び出しとはね。
このアタシに説教でもしに来たのかい?牧師様よ』
気を張るように、不敵に宣うラバルダ。
刃のような威圧を覗かせ、睨むような眼差しでキングを見据える。
そんな彼女を、キングはただ悠々と眺め続けている。
まるで値踏みをするかの如く、余裕綽々の態度だった。
二人の視線が、暫しの静寂の中で交錯していたが――。
やがてラバルダは歩を進め、キングと向かい合う席へと腰掛ける。
『アタシに何の要件だい』
じゃらりと、手錠の鎖が揺れ動く。
金属がテーブルに触れて、閉鎖的な部屋に音が響く。
逃れられぬ枷に縛られながらも、ラバルダは取り繕うように不遜な態度で振る舞う。
『てめえへの“投資”を持ち掛けに来た』
対するキングは、悠々と葉巻を蒸しながら。
肩の力を抜いた様子で、そんな話を振る。
『才気ある悪党に手を貸してやりたくなったのさ』
にやりと笑みを見せるキング。
寛容を飾り立てながら、その裏に狡猾を滲ませる。
その欺瞞を感じ取るように、ラバルダは眉間に皺を寄せた。
『組織再興の為の援助を、俺が請け負ってやろう』
されど、ラバルダは彼の話に耳を傾けざるを得なかった。
理由は明白――その申し出は、今の彼女にとって何より必要なものだったからだ。
『俺の傘下を動かし、現地の公権力どもに差し押さえられたてめえの“資産”を買い戻してやる』
大盤振る舞いと言っても差し支えのない提案を、キングは黙々と並べていく。
悠々とした口振りで、彼は自らの組織力を示す。
『事業を立て直すための資金も提供する。
俺が指示ひとつ出せば、てめえの望む“口座”にすぐさま振り込まれる』
カネを動かす――そう告げるキングの言葉に嘘はないと、ラバルダも噂には聞いていた。
彼は欧州で数々の大規模なビジネスを牛耳り、中でも鉄鋼業界への関与は深刻な域に達しているとされている。
全世界の金属生産量において、あらゆる産業へと利用可能な“鋼鉄”の割合は9割にまで上ると言われている。
鋼鉄を自在に生成・加工するキングの超力は、仮に組織力を持たなかったとしても“ただ一人で産業を支配できる”とさえ評されていた。
『必要なら、こちらで用意した人材も派遣しよう。
いつ裏切るかも分からない、てめえが恐れるような“身内”じゃなく――粛々と仕事をこなす“手駒”をな』
――――ラバルダは、かつて“メルシニカ”との麻薬密売抗争に敗れている。
事業が行き詰まり、追い込まれていく中で、彼女は疑心暗鬼の末に部下の粛清を繰り返した。
言葉の裏でその件を突くように、キングは人材の派遣も提案してきた。
ラバルダの表情に、笑みはない。
顰め面のまま、キングの持ち掛けを耳にしていた。
不服と屈辱が胸の内で渦巻きながらも、その提案を咀嚼していた。
『アタシが無期喰らってることは知ってんだろうな』
『そのうえで持ち掛けてるのさ』
自らの置かれている状況を省みながら、ラバルダは問いかける。
己が提示する取引に耳を傾けざるを得ない――そんなラバルダの姿を、キングは高慢に見据える。
『ウチの弁護士を使って、ドゥーハン・ファミリーの“本当のボス”をでっち上げられるか試してやる。
例え空振りに終わったとしても、俺とのコネがあればてめえは娑婆への影響力を作れる』
娑婆には血の繋がったガキも2、3人ほど残ってるんだろう――と、キングは付け入るような笑みを浮かべる。
その瞬間、青筋が浮かぶかのように、ラバルダの表情がぴくりと動いた。
ラバルダという後ろ盾を失った子供達がどうなったのか。どのような生活を送っているのか。
それを言外で悟らせるように、キングはラバルダをせせら笑うように見据える。
『後が無いてめえにとって、悪くない話だと思うぜ?』
牧師が何を言いたいのか。その答えは明白だった。
苛立ちを仏頂面の裏に押し留めながら、ラバルダは口を開く。
『アタシを“買おう”ってのかい』
つまるところ――――買収である。
“勢力の立て直しに手を貸す代わりに、キングス・デイの傘下になれ”と言っているのだ。
そうすることで娑婆での影響力と、子供達の生活が保障される。
もしかすれば釈放の余地もあると、牧師は突き付けていた。
『そういうことさ。お嬢さん』
合点が行ったラバルダに対し、キングがほくそ笑む。
かつて欧州進出の足掛かりを求めていた麻薬女王は今、牧師による豪州進出の足掛かりになろうとしている。
『……舐めやがって。この老耄め』
『威勢が良いねえ、立派なこった。
組織の首領ってのは気骨があってこそだ』
忌々しげに吐き捨てたラバルダ。
その苛立ちをキングは飄々と受け止める。
『てめえは安い女じゃねえ。
だからこそ、俺が買うだけの値打ちがあるんだよ。
分かるよな?なあ――――“サイシン・マザー”様よ』
旧時代のオーストラリアにおいて、犯罪組織は多層的な対立構図を形成していた。
人種・文化的背景の異なるギャング達が乱立し、社会の暗部でそれぞれの勢力を築いて犯罪に手を染めていた。
その群雄割拠の様相が現地における組織犯罪の実態を錯綜させ、結果としてギャングの秘匿や潜伏を加速させていた。
されど開闢の日を迎え、オーストラリアの犯罪勢力図は大きく変化した。
人類の超人化による混乱の最中、麻薬の製造・密売を高度に組織化した“サイシン・マザー”が現地で台頭したからだ。
ラバルダはオーストラリアで最大規模の犯罪組織を形成し、現地を麻薬密輸の大国へと変貌させた。
“GPA崩れのとある科学者”の参入も後押しとなり、彼女は現地で盤石の勢力を築き上げたのだ。
旧時代以上に暴力支配の比重が大きい開闢後の裏社会は、勢力図の塗り替えも極めて激しい。
しかしその結果としてオーストラリアにおける組織犯罪の一極化を引き起こし、犯罪勢力図の交錯を解消させてしまった。
ドゥーハン・ファミリーという大勢力は、他のギャングを次々に淘汰・吸収していったのだ。
結果として、錯綜を重ねていた豪州組織犯罪の輪郭は却って浮き彫りになったのである。
そしてドゥーハン・ファミリーの壊滅とラバルダの逮捕によって、オーストラリアは一気に“洗浄”された。
摘発を逃れた残党は海外逃亡を余儀なくされ、現地の組織犯罪は大きく衰退したのだ。
『てめえが消えたことで、今の豪州裏社会には大きな空洞が生まれている』
大規模な組織犯罪という点において、現在のオーストラリアは空白地帯となっている。
麻薬取引のリストや構成員の資料などを盗み出し、ドゥーハン・ファミリーの摘発に貢献した“怪盗ヘルメス”。
彼女は“現地の犯罪に限って見れば”、確かに一定の浄化を果たしたのである。
『今のてめえ一人じゃどうにもならないだろうが――俺が手を貸せば、その空洞に再び割り込めるのさ』
そしてキングは、オーストラリアのそうした状況に目を付けた。
オーストラリアの巨悪“サイシン・マザー”を支配下に置き、彼女の再興を手助けすることで現地での確固たる影響力を確保するのである。
先にも述べた通り、それは紛うことなき買収だった。
危機に陥った組織を大組織が吸収し、自らの傘下へと加える。
ラバルダからすれば、それは牧師への屈伏にほかならなかったが――。
『俺の手を借りないというのなら、それも構わんがね』
自らが置かれた状況が分からぬほど、サイシン・マザーは愚かにはなれなかった。
人脈作りに奔走せざるを得ない己の立場を、彼女は正しく認識していた。
『地道に媚でも売ってりゃあ、そのうち芽が出るかもしれねェぜ。
熟れた女なら尚更だ。生娘にはねえ“色”ってモンがあるからな』
嘲るように薄ら笑みを浮かべるキング。
そんな彼を無言のまま、ラバルダは忌々しげに見据える。
睨むような眼光に苛立ちと嫌悪を滲ませながら、閉ざした口の裏で歯軋りをする。
煮え滾るような感情を胸の内に抱え込んで、されどあくまで平静を保ち続ける。
今にも弾けそうな自らの激情を律しながら、ラバルダは“牧師”と相対する。
彼女は理解していた。己自身が今、どのような立場に在るのかを。
『……仮に娑婆に出られたとして、アタシにまたヤクを仕切らせたいのかい』
『いいや。ヤクは引き続き“メルシニカ”の連中から仕入れるさ』
――――サイシン・マザーには後が無い。
ラバルダの逮捕後、ファミリーの僅かな残党はアジアを中心に海外へと逃亡した。
そのうち東南アジアへと逃げ延びた元幹部数名は、協力者であった“GPAの化学者”の研究成果を現地の麻薬密造組織へと提供した。
そうして彼らは“次なるサイシン”を生み出した。
すなわち、ネイティブ・サイシン。
人工超力の新世代“デザイン・ネイティブ”、最初の完成形。
程なくしてその技術はアジア諸国のブラックマーケットにも拡散し、やがては欧州への流入に繋がっていくことになる。
ラバルダは超力や人材を駆使し、麻薬密造を高度にシステム化した。
システムが構築されたが故に、彼女が逮捕された後にも“代替品”が用意された。
組織的な麻薬密造において、もはやサイシン・マザー個人の特別な価値は失われていた。
『てめえの真価はそもそも“麻薬製造”じゃねえ。
キイチゴによる“超力の抑制と増強”にこそある。そうだろう?』
だからこそラバルダはアビスに収監されて以来、人脈の構築に勤しんでいたのだ。
あらゆる地位と後ろ盾を失った中で、少しでも有利な立場を作るために。
自らの堕落の一因となったルメス=ヘインヴェラートにさえも、彼女は友好を装うことを余儀なくされた。
『てめえにはまだ再起の芽がある。
俺がそいつに水を与えてやるって訳さ』
ルーサー・キングは、そんなラバルダの苦心へと付け込んだ。
息のかかった看守か、取り巻きの受刑者か。
出処は不明だが、彼は先んじてラバルダの情報を“仕入れていた”。
俺だけが、今のお前に再起の道を示せる。
麻薬以外のビジネスの土台を用意してやれる。
退くのも進むのも、お前次第。
機会を得るために、強者へと頭を垂れるか。
あるいはプライドのために、果てしない徒労を続けるか。
――キングはラバルダへと、拒否権のない選択を迫っていた。
――その選択の意味を、ラバルダは正しく理解していた。
だからこそ彼女は、口を閉ざす。
葛藤と屈辱を噛み潰し、後が無い己を俯瞰する。
メルシニカとの対立に敗れ、身内の粛清を繰り返し、地の底へと落とされ――。
今やサイシン・マザーに、かつての栄華は無い。
看守の目を盗みながら、三下共を味方に付けようと小癪な努力を繰り返す溝鼠だった。
キングが吐き出す、葉巻の白煙。
霧のように漂う、背徳の薫香。
その匂いが、ラバルダの顔を撫でる。
まるで魂さえも絡め取るかのように。
『……アタシが払うのは、誇りだけかい』
そして、ラバルダはぽつりと呟いた。
自らが払うべき対価の確認。
諦念に等しい問いかけだった。
『いいや。もう一つだけある』
くっくっく、と満足気に唸りながら。
そのままキングは言葉を続ける。
ある意味で彼にとって、ラバルダの懐柔以上に重要な事柄。
新たな枷に嵌められた女王の心を覗き込むように。
キングはラバルダを、じっと凝視していた。
『てめえんトコで草鞋脱いでた“シエンシア”。
――――奴について全て話せ。洗いざらいにな』
◇
◆
日中――牧師、ルーサー・キングは平野を往く。
情報確保のために、ブラックペンタゴンを目指す。
ハヤト=ミナセとセレナ・ラグルスの恩赦ポイント、計27pt。
それらを利用し、交換リストから20ptの“応急処置キット”を確保していた。
足首の刺傷や胴体の裂傷などへの処置を行い、幾らかの治癒を果たしたのだ。
あくまで応急処置に過ぎず、完治にはまだ時間は掛かるものの、即席の止血よりは遥かにマシだ。
食糧の調達も天秤に掛けたが、“煙草があれば問題ない”と判断した。
キングはディビット・マルティーニに負けず劣らず、筋金入りのヘビースモーカーである。
まだ煙草が残っていることを確認した上で、彼は応急処置キットを選んでいる。
――――15から20ってとこか。
第2回放送時の脱落者について、キングは大まかに見積もっていた。
ブラックペンタゴンに受刑者が集い、潰し合いが始まっているのならば――前回放送よりも幾らか死者の数は増えているだろう。
場に残る絶対数の都合上、受刑者の数が減れば減るほど恩赦ポイントの確保は難しくなる。
恩赦を狙う受刑者からすれば、長期戦になればなるほど状況は悪化する。
生存優先で徒党を組む者達が現れる可能性が高いからだ。
故にこそ、恐らくは第二回放送前の段階で多くの火種が弾けている。
ジェーン・マッドハッターはそろそろ落ちる頃かもしれない、とキングは考える。
“喧嘩の腕”ならスプリング・ローズに劣る小娘が、ローズより長生きしただけでも大したものだ。
とはいえ彼女が今も生存し、ネイ・ローマンなどの厄介者を討っていたとすれば――。
そのときは、キングス・デイによる相応の褒美を与えてやってもいい。
エルビス・エルブランデスは、その実力からして未だ健在と考えたい所だが。
娑婆にいる“恋人”のことを考えれば、奴は確実に恩赦を欲するだろう。
故にエルビスは積極的に他の受刑者を攻撃し続ける必要が生じる。
数々の死線を潜り抜けた奴と言えど、今なお無事で居る保証はない。
ドン・エルグランドが序盤に敗走したのだ。
ルーサー・キングを真正面から追い詰める“武神”もいた。
最早何が起きようと不思議ではない。
その点に関しては、ネイ・ローマンも同様。
実力を考えれば未だに健在である可能性が高いが、奴ならばキングを探すべく自ら鉄火場へと向かっているだろう。
“ギャングスター”と恐れられたローマンであっても、熾烈な乱戦の果てに脱落していることは十分にあり得る。
曲がりなりにも奴と肩を並べる実力を持ったスプリング・ローズが脱落した以上、決して奇妙なことではない。
エンダ・Y・カクレヤマは未知数だが――。
もしも今も生きているとすれば、出来る限りは潰しておきたい。
“キングス・デイ”は癒着する欧州の政治家達を通じ、反ヤマオリ・カルト運動を支援している。
他の非合法的な組織を排除し、欧州における影響力を盤石にするため、というのが主な理由だが――。
その最大の目的は、欧州から“ヤマオリ”そのものを排除することにあった。
揺蕩う怪異――――永遠のアリス。
山折村を永遠から解き放ったギャルの伝達を通じ、キングはその存在を把握していた。
キングがなぜエンダ・Y・カクレヤマを敵視していたのか。
なぜエンダを捉えていたカルト教団の襲撃を、かつてギャルに依頼したのか。
それは欧州から“ヤマオリの残滓”を排除し、支配地域における“怪異”の介入を少しでも妨げるためだった。
ヤマオリに連なり、ヤマオリと共に在る存在。
組織を通じてギャルからの情報提供を得ていたキングにとって、それは最早ただの都市伝説ではなかった。
確固たる実態を持った“災厄”であり、防ぐべき“現象”だった。
そしてヤマオリを崇拝して遺物を掻き集めるカルトの存在は、怪異を引き寄せる要石と成り得た。
故にエンダの生存が表舞台で明るみとなり、大規模なカルトが再び形成されることをキングは警戒していたのだ。
「マルティーニ坊やは……生きているだろうな」
そして、キングは思う。
誰が落ちても不思議ではない。
どんな強者が散っても可笑しくはない。
そう考えた上で尚、彼はそう呟く。
引き際と攻め際。駆け引きの手筈。
あの若僧はそれを正しく弁えている。
自らが如何に立ち回るべきかを、奴は理解している。
例え鉄火場に居たとしても、奴はまず落ちない。
マルティーニはそれだけの傑物だ。
キングス・デイに引き抜きたい程の逸材だが。
あの男はあくまで“リカルド・バレッジ”の忠臣である。
奴は確固たる神器のために、打算と合理を張り巡らせる。
だからこそキングは彼を評価しており、故にこそ決して警戒を怠らない。
さて、氷藤 叶苗や“リトル・ターザン”はくたばったか?
ルメス=ヘインヴェラートといった“こそ泥”も健在か?
それらに関しては、今は一旦隅に置く。
今はまだ優先度が低いが故に、あくまで現状へと目を向ける。
キングは平野を進みながら、思考を切り替える。
ブラックペンタゴンが罠であるのは、明白だ。
第一回放送前の禁止エリアの配置によって、多くの受刑者が誘導されているだろう。
今のタイミングで“何か”が発動している可能性は極めて高い。
例えば、猶予を与えた上での施設全体の禁止エリア化などが考えられる。
唐突な危機に放り込まれた受刑者達は、右往左往を余儀なくされる。
そして、仮にそうだとして。
受刑者を一箇所に追い込み、その施設を罠に転じさせたのなら。
それからアビスの連中は、どのような手を打つのか。
十中八九、施設から容易に抜け出せなくする細工を行うだろう。
例えば出入り口の封鎖。最も分かりやすい手段だ。
あるいはシステムAの発動などによる行動制限も考えられる。
ハヤトが子機となる手錠を持っていた以上、施設には確実に親機が存在する。
より即時的な罠が発動し、既に受刑者達は犠牲になっている――という推測も浮かんだが。
刑務に何らの目的が見受けられる以上、その可能性は低いだろうと考えた。
この刑務の目的とは何なのか。恐らくは超力同士による戦闘実験だろう。
そして“秘匿受刑者”と思わしき者達が参加している以上、別の思惑も確実に存在する。
そもそもこの刑務場は、一体何処なのか。
首輪を嵌めているとはいえ、アビスの囚人達を本当に外界へと放り出しているのか。
刑務作業者には“脱獄王”や“メカーニカ”と言った、脱出や首輪解除の適材すら選抜されている。
それらも含めた脱獄のリスクすら考えず、手錠による枷からも解き放っているのか。
常識で考えれば、有り得ないと言わざるを得ない。
地の底の監獄に押し込めた受刑者達に、わざわざ脱獄のチャンスを与える筈がない。
受刑者の反抗を妨げるための仕組みが存在するのは確実だろう。
例えば――――かつてラバルダ・ドゥーハンから聞いた話だが。
この会場そのものが、“超力の産物”だとすれば?
ラバルダ・ドゥーハンはGPAの元科学者“シエンシア”と結託していた。
組織拡張のために彼女の研究を積極的に取り入れ、その理論についても把握していた。
曰く、シエンシアは“超力のシステム化”に関与していたとされる。
彼女が知る理論の中には、超力構築と呼ばれる技術も存在していたらしい。
この刑務会場そのものが“箱庭”ならば、幾ら受刑者を放り込んでも問題はない。
シエンシアの関与した事柄の全容は、ラバルダも聞かされていなかったそうだが――。
奴から聞き出した情報の断片に加えて、その後の世界の跳梁から推測できることはある。
“デザイン・ネイティブ”、“ネオス・ブースト”、“ハイエンド・チルドレン”。
“ブレイン・セデーション”、“ソウル・コントロール”、“リザレクション・オールド”――――。
この数年で欧州へ流入したとされる理論。
裏社会にて結実した、非合法的な研究の数々。
それらはいずれも、元を辿ればシエンシアに端を発していた。
妄想に等しい机上の空論もあれば、実際に体系化された研究に至るまで。
数多の技術が世界の闇へと拡散していった。
その殆どが、何らかの形で“超力の干渉・制御・拡張”を目的としていた。
ラバルダによれば、シエンシアはGPAと袂を分かって裏社会に行き着いた。
思惑の対立があったことは明白だが、恐らくGPAの目指す理論自体はシエンシアの研究と交錯している。
超力の制御や支配――この混沌の時代において、支配者達からすれば何よりも求める技術であろう。
故にこそ、GPAもまた近しい実験を行なっている可能性が高い。
まさに超力の抑制を目的とするシステムAの存在がそれを証明している。
では、抑制の次に必要なものがあるとすれば――それこそ“デザイン・ネイティブ”のように。
超力を人為的に統制し、より普遍的な力として管理する術ではないだろうか。
――――例えば、生体兵器の類い。
――――例えば、人造超力兵士の類い。
ブラックペンタゴンには受刑者が集結している可能性が高い。
では、その受刑者を罠に嵌めたところでどうするのか。
ただ窮地に追い込み、彼らを奔走させるだけに留まるのか。
この刑務に、戦闘実験以外の思惑があるとして。
一箇所に集った受刑者達を、何らかのテスト要員として駆り出す意図があるのではないか。
「とはいえ……だ」
そこまで思考を巡らせて、キングは苦笑する。
可能性としては高い。そう、可能性としては。
しかし答えを導き出せない以上、それは可能性の枠を超えない。
ただ推測するだけならば幾らでも出来る。
問題なのは、確証となる情報が手元に無いという一点。
どれだけ理屈を練ろうとも、どれだけ状況を元に推理を重ねようとも。
その“答え合わせ”となる裏付けが取れない以上、結局は考察の域を出ないのだ。
事実であるか否かを確かめる為には、他の受刑者と接触せねばならない。
キングは何よりも情報を重んじ、それを武器として利用する。
だからこそ定時放送を聞き逃したことは、間違いなく痛手だった。
刑務の情勢について、彼は出遅れる形となっていた。
あの小娘達を侮り、出し抜かれた結果がこれだ。
俺もムショで勘が鈍ったか、と内心自嘲する。
己の油断が招いた必然としての事態――キングは己を戒める。
ジャンヌ・ストラスブールに“第二段階”の兆しが見られた。
それは即ち、超力を行使する脳の出力拡張による“超力進化現象”。
脳の自認による超力や心身の変容とは異なり、リミッターの限界突破によって超力自体の出力・性質が増大化するのだ。
――如何なる強者であろうと、超力を制御する脳のリミッターは基本的に生涯変わらないとされる。
それは肉体の自衛機構によるものであり、過度な出力による自滅を避けるための本能だ。
自発的に脳の限界値を解除しようとすれば、大抵の人間は負荷に耐えきれず廃人化する。
かつて世界の暗部で進められていた“ハイ・オールド研究”は、人為的かつ過剰な第二段階への移行であるが。
そうした施術を介さずに第二段階への進化を果たした者は、世界的に見ても極めて稀少である。
キングが把握する限り、この刑務において自身以外で該当するのはメアリー・エバンスただ一人。
――彼も把握していないが、バルタザール・デリージュもまた理論上は“第二段階の到達者”である。
とはいえ肝心な絶対数の少なさ、覚醒要因の乏しさ、実現性の薄さ。
更にはハイ・オールド研究の衰退に加え、それらの実験で明るみになったリスク。
そうした様々な要因が重なり、この“第二段階”なるものは研究対象として現状軽視されている。
ラバルダから聞くところのシエンシアも、“既に手を引いていた”とされる。
それでも尚、対峙すれば脅威であることには変わりない。
異能の更なる拡大。出力と性質の限界突破。
その潜在性は、まさに“第二段階”を物にしたキングが証明している。
ジャンヌ・ストラスブールは、明確に“牧師”の宿敵へとなりつつあった。
奴らからすれば、“ルーサー・キングの討伐”は必要不可欠な試練だ。
単純な正義感だけではない――牧師を敵に回すことの意味を理解しているのなら、確実に首を狙ってくる。
この刑務という絶好の機会でキングを仕留めない限り、奴らは死ぬまで“キングス・デイ”の魔手から逃げ続けることになるのだから。
情報収集に動かざるを得なくなったキングは、密集地帯であろうブラックペンタゴンへと向かう。
ジャンヌ達がその行動を適切に推測しているのならば、奴らもまたブラックペンタゴンに接近するだろう。
“キングを鉄火場に放り込み、後は他力本願に身を任せる”というのなら話は別だが――。
そんな確証のない消極的な賭けを行うほど、奴らは日和ったりはしないだろう。
故に改めて、あの小娘達への殺意を確かめた。
この“牧師”を虚仮にしたのだ。始末することは確約されている。
特に己へと幾度も挑んできたジャンヌ・ストラスブールは、確実に仕留める。
進めば確実に鉄火場へと足を踏み入れる。
されど今は、前へと進まざるを得ない。
キングは自らの失態によって、戦いへと赴くことを余儀なくされる。
しかし彼の目には、静かなる闘志が宿っていた。
――――鉄ってモンは、叩かれて強くなるのさ。
そんな言葉を思い返して、ふっと笑みを浮かべる。
どこか郷愁にも似た感傷を抱きながら、再び覚悟を固めた。
窮地など幾度も経験してきた。死地など幾度も味わってきた。
それでも己(ルーサー・キング)は、常に這い上がってきたのだ。
泥水を啜ろうとも、勝ち抜いてきたのだ。
その果てに、今の自分がいる。
◆
◇
GPAを追われた“シエンシア”は、キングス・デイとの接触を避けていたとされる。
彼らは既に盤石の勢力を築いている大組織であり、シエンシアの才覚や研究を必ずしも求めていない。
故にこそ後ろ盾を必要とするシエンシアにとって、彼らの下で草鞋を脱ぐことは大きなリスクに繋がる。
圧倒的な組織力を翳すことで、シエンシアの生殺与奪を意のままに出来る。
ともすれば、その研究成果を徹底的に簒奪することも不可能ではない。
何よりルーサー・キングならば、大罪人であるシエンシアの身柄を“GPAと取引するための交渉材料”として利用する可能性も高い。
キングス・デイの懐に足を踏み入れた時点で、主導権は確実に相手の側で握られることになる。
シエンシアにとってもそれは避けねばならなかった。
だからこそ彼女は、勢力拡大の途上であり自らの才能を積極的に求める“サイシン・マザー”との結託に至った。
『――――“真の悪とは、人類の停滞である”』
ふぅ、と白い煙を吐き出した。
気怠げに窶れた顔で、耽美な味を嗜んでいた。
『“巨悪を打ち破るためなら、全ての小悪は肯定される”』
ラバルダ・ドゥーハンは、葉巻を吸っていた。
キングから“取引成立の記念”として渡されたものだった。
久しく味わっていなかった、上等な嗜好品だった。
『あの女の口癖さ。笑えるだろう?
アタシからすりゃあ、そいつこそ巨悪だ』
その顔には、乾いた笑みが張り付いている。
諦めに屈したような、草臥れた表情だった。
もはや現実を割り切ったように、活力の失われた眼差しで軽薄に喋る。
『御立派な方便だ。拍手でも送りてえくらいにな』
『同胞のよしみとして、大目に見てやったけどねえ』
ふてぶてしい笑みを浮かべるキングが、同じく葉巻を嗜んでいた。
豪胆にして傲岸不遜。諦念に敗北したラバルダとは、まるで違う。
得るべきものを根こそぎに奪い取り、彼は満足げに踏ん反り返っていた。
『本当に、笑えるさ。馬鹿馬鹿しいもんさね』
ラバルダ・ドゥーハンは、屈していた。
サイシン・マザーは、再起のために身を売った。
彼女の反骨心は、現実の壁を前にして“妥協”を選んでしまった。
それは紛れもなく、この女傑にとっての敗北だった。
その恥辱を理解できぬほど、彼女は愚鈍ではなかったが。
得られたものを易々と手放せるほど、彼女は愚直にはなれなかった。
キングの取引に乗り、“シエンシア”について知る限りの情報を吐き出し。
今の彼女は、ただキングの身内としての立場に甘んじる他なかった。
彼の暇潰しの相手として、親睦の証として、歓談に勤しんでいた。
『……なあ、牧師様よ』
そしてふいに、ラバルダは問いかけた。
『アンタにとっての“悪”ってなんだい』
ただの会話の弾み。好奇心から出た疑問だった。
欧州に君臨し、新時代最大の巨悪として立つ大首領。
あのシエンシアにとっての“悪”が、そういうものならば。
この牧師にとっての“悪”とは、何なのだろうか。
そんな何気ない疑問を、ラバルダは投げかけた。
――――キングは、ほんの数秒。
――――ただ“沈黙”していた。
先程までの笑みは、掻き消えて。
過去に思いを馳せるように。
静かに、思案していた。
何気ない問いを前にして、沈黙するキング。
そんな彼の姿を、ラバルダは目を細めて見つめる。
なにか、思い抱くことがあるかのような態度。
遠い記憶を振り返るかのような眼差し。
其処には冷徹な帝王としての姿ではなく。
皺の刻んだ面持ちに相応しい、老人としての表情があった。
『ガキの頃、兄貴が殺された』
やがて、キングが口を開いた。
白い煙が、憂うように吐き出される。
『やってもいねえ罪で警官に難癖付けられて、銃弾をぶち込まれた』
淡々と、神妙な面持ちで、牧師は語る。
遠い何処かを見つめるように、言葉を紡ぐ。
『事件現場で俺は、兄貴の死体を見た。
屠殺場の豚みてえに扱われる、兄貴の死体を』
蜃気楼のような灰煙を燻らせて。
九十年以上の時を生きる老人は、追憶を続ける。
『見張りの警官共が、俺をじっと睨んでやがった。
あいつらにとって、俺も兄貴も同じだった』
その瞳には、感情が宿っていた。
その言葉には、感情が篭っていた。
粛々と語り続ける中で、言い知れぬ情緒を滲ませていた。
『俺達はニガーだった。
あいつらだけが人間だった。
いつでもお前たちを殺せるんだぞ、と。
奴らはその目で俺を脅してやがった――――』
刮目するように、目を見開く。
無意識の感情が宿るように、声に熱が篭る。
悲壮と激情が入り混じるように、彼は過去を吐き出す。
“自分にとっての悪”――それを示すように、彼は淀んだ意思を唱え続ける。
やがて牧師は、ふっと一息を置いた。
先程までの情動が、唐突に静まり返る。
嵐の果てに訪れた“凪”のような瞬間。
その異様な動静を前にし、ラバルダは思わず言葉を失う。
息を呑み、ただキングをじっと見据えることしか出来なかった。
虚空を見つめ、何かを思案するように、キングは沈黙していた。
そうして、暫しの静寂を経て。
退廃に芯まで染まった低い声で、牧師は言葉を続けた。
『あのとき俺は、本当の世界を知った』
あの記憶。あの瞬間。
兄の死を目の当たりにした、あの出来事。
世界を覆う“仕組み”に直面した、あの絶望感。
それこそが、あの日の少年にとっての“悪”であり。
それこそが、あの日の少年にとっての“力の象徴”だった。
『どうだ』
そして、牧師は――――。
『俺の話は、笑えるか?』
つい先程までと同じように。
皺の刻まれた顔で、不遜に笑ってみせた。
静寂。答えは、何も返ってこない。
ラバルダはただ沈黙を貫き、視線を微かに落とす。
彼女は最早、笑うことも出来なかった。
今この瞬間、自分は牧師に“誠意”を試されている。
己が真の意味で牧師に屈伏したか否かを、確かめられている。
ここで牧師の話を“嘲り笑う”という不義を働くか否かを、見定められている。
ラバルダにはそれを察することが出来た。
だから彼女は、ぴくりとも笑わなかった。
そして、改めて――ラバルダは酷く恨んだ。
己を此処まで堕落させた“メルシニカ”を。
◇
【C-3/平野(南東)/一日目・日中】
【ルーサー・キング】
[状態]:疲労(大)、肉体の各所に打撲(大)、左脇腹に裂傷と火傷、右足首に刺し傷(いずれも応急処置済み)
[道具]:漆黒のスーツ、私物の葉巻×1(あと一本)、タバコ(1箱)、応急処置キット(幾らか残量あり)
[恩赦P]:7pt
[方針]
基本.勝つのは、俺だ。
0.情報を得る為に他の刑務者と接触する
1.生き残る。手段は選ばない。
2.使える者は利用する。邪魔者もこの機に始末したい。
3.ドン・エルグランドを殺ったのは誰だ?
4.ルーサー・キングを軽んじた以上、りんか達もいずれ潰す。手段手法は問わない。
5.ジャンヌ・ストラスブールも、第二段階に到達しつつあるのか?
※彼の組織『キングス・デイ』はジャンヌが対立していた『欧州の巨大犯罪組織』の母体です。
多数の下部組織を擁することで欧州各地に根を張っています。
※ルメス=ヘインヴェラート、ネイ・ローマン、ジャンヌ・ストラスブール、エンダ・Y・カクレヤマは出来れば排除したいと考えています。
※他の受刑者にも相手次第で何かしらの取引を持ちかけるかもしれません。
※沙姫の事を下部組織から聞いていました
※超力の第二段階を既に体得しています。
全身に漆黒の鋼鉄を纏い、3m前後の体躯を持つ“黒鉄の魔人”と化す超力『Public Enemy』が使用可能です。
※アビス内でラバルダ・ドゥーハンと面会し、彼女からシエンシアについて聞き出していました。
※恩赦ポイントの増減は以下の通りです。
+15pt ハヤト=ミナセの首輪
+12pt セレナ・ラグルスの首輪
−20pt 応急処置キット
=計7pt
最終更新:2025年09月17日 20:12