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萃香1

最終更新:

orz1414

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■萃香1


萃香へ
「え?この酒をよこせって?
 だめだめ、いまや日本に何本も無い銘酒なんだから。
 まぁ、どうしてもって言うんなら…固めの杯で飲ませてあげてもいいけど?」

1スレ目 >>93

備考:・固めの杯(かためのさかずき) 夫婦、主従、師弟などの結びつきを堅固にするために取り交わした杯。約束を固くするために取り交わした杯。
ってけーね(>>95)が言ってた。

───────────────────────────────────────────────────────────

「萃香ー、付き合ってくれ!」
「もぅ、うるさいなぁ。いいよ。どこに行くの?」
「いやそうじゃなくて……えーと、俺の恋人になってくれ!」
「えっ……う、嘘じゃないの?騙してない?」
「当たり前だ、萃香の嫌いな嘘をつくわけないじゃないか!」
「じゃ、じゃあ、私と勝負して勝ったら、いいよ……?」
「よし、何でも来い!」

――何か勝負後。

「ま、負けた。勝てねぇ、鬼だ……」
「当たり前じゃない、こう見えても鬼なんだから。」
「惚れ直すぜ。じゃなかった、分かった、諦めるよ……」
全力を出してもやはり鬼には適わないということか。
しょうがない。帰ろうとしたそのとき、萃香が鎖を構えてるのが見えた。
「ちょっと待って。鬼が気に入った人間に勝負して勝ったら……どうするか、知ってるよね?」
「え、それって」
「もう絶対逃がさないんだから。ずっと傍に居てもらうよ!」

1スレ目 >>172

───────────────────────────────────────────────────────────

 初恋の人は紫だった。遠くから一度見ただけだったけれども、子供心になんて綺麗な人だと思ったものだった。胸は大きかった。
 最初に告白したのは慧音だった。やっぱり子供のころ。里の人たちを守ってくれる彼女に憧れていた。「お前の気持ちは嬉しいが、お前は人間だ。人は人と共に生きるべきなのだ」と言って振られたけど。胸はやはり大きかった。
 中国と友人になった。始めは自分と年の近い女の子だと思っていたけれど、次第に話すうちに自分よりもかなり年上だと気づいた。胸はこれも大きかった。
 永琳を師匠と仰いで医術を学ぶことにした。学ぶことはたくさんある。何しろ人外の知識、月に納められた知識まであるからだ。胸は言うまでもなく大きかった。
 ……そして、現在。
 「……ん?どうしたの、こっちじろじろ見て」
 「別に。ただ、俺もいい嫁をもらったなって思っただけさ」
 「う……。お、おだてても秘蔵のお酒はあげないんだからね!」
 なんて褒めてやると真っ赤になる彼女。まったく、酒で赤くなることなんてないのにさ。俺よりはるかに長い時間を生きているのに、こういうところは少女そのものだ。
 「俺、まさか鬼とこうしているなんて思ってもみなかったな」
 「ふふん。あなたが私と勝負してボロ負けしたからよ。鬼にかなう人間なんていないんだから」
 「違いないな」
 「分かったらほら、もう一杯飲みなさいよ」
 「はいはい。ありがたくいただくとも」
 まあ、こんなに惚れてしまったから、たとえ月の秘術を駆使してもこいつにはかなうわけないか。それにしても、俺の女性の好みも年を取ると変わってくるってことなんだよな。
 なあ、幻想郷の子鬼。伊吹萃香。

・バストのサイズ(予想。一部事実)
中国>永琳>紫>慧音>>>>(越えられない絶壁)>>>>萃香

1スレ目 >>417

───────────────────────────────────────────────────────────

萃香という妙な鬼に連れ去られて割と経った頃か。
俺は彼女といつものように酒を飲んでいた。

「…鬼か。お前のペースは」
「そりゃ鬼だからね」

彼女は鬼であり酒豪だ。
見ているこっちが心配になるほど空けられた酒の量。
何なんだこの量は…

「少しは止めないと病気になるぞ」
「鬼が病気とかになると思ってるの?」
「いや、少しは素面になれって事だ」

俺も結構酒飲みの方だが、こいつに比べるとやっぱり負ける。
…鬼と比べるほうがどうかしてるなんてツッコミは勘弁してもらいたいが。

さて結局の所、俺が酒飲みという事は大体分かるだろうが、
やっぱり何度も同じ酒を飲んでいると飽きるわけで。
今日も今日とて同じ味の酒を飲んで、俺は結構ぐったりしていた。

「あれ、もう終わり?」
「…あぁ、何つーか…この酒飲むのが飽きた」
「私はそうでもないけどねぇ。だってお酒だよ?飲んでも飽きないよ」

四六時中酒ばかり飲んで飽きることすらも忘れた鬼と一緒にされたら
堪ったもんじゃない。

「あー、でもお酒を甘く飲む飲み方なら知ってるよ?」
「甘く?」

そんな方法があるとは、俺も聞いた事がない。
果汁と混ぜて飲むって方法なら一度試した事があるが、ちょっと合わなかった。

不味くはないんだが…。

「…甘い酒ねぇ。どんな飲み方だ?」

正直どんなものかも見当がつかない。
ここは正直に彼女に聞いたほうが早いだろう。

「うーん、と」

彼女は一杯の酒を口に含むと、その唇を――俺に押し付けた。
頭が真っ白になり、流れてきた酒の味は、微かに甘いものだった。

「…ぷはっ」
「ふぅ…」

なるほど、口移しか…。
確かにこの味は甘くて…クセになるかもしれない。

「甘いでしょ?」
「確かにな」

これはある種、恋人同士がやるゲーム感覚に近い。


「…萃香はこの方法で酒を飲んだことがあるのか?」
「甘くなるって話だけで、私は飲んだことはないけど…」

そう答えた彼女の顔は赤いもので、それが急に愛しくなり
俺は甘い酒を彼女の口に流し込んだ。

「ん、うん、甘いね」
「だろ?」

これなら、確かに他の酒も違った味で飲めるかもしれない。
キスとして考えるなら、これほどロマンがないキスもないだろうけど。

「お酒の匂いがすごくする」

「ずっとあーゆー飲み方してればな」

こうして、俺はぶっ倒れるくらいに、酒を煽っていた。
無論、翌日は言うまでもなく二日酔いだった。






後書きとチラシの裏。

===ここからチラシの裏===

短い、時間足りない。たすけて、えーりん

===ここまでチラシの裏===

ご め ん な さ い

589の人、一応、リクエストは書きました。承りました。
めちゃくちゃ短くなったのは本気で申し訳ありません。
んーと、甘い話という風に書こうとしたんですけど、力量と語彙のなさが恨めます。
何か、短くなりすぎて、それだけを恨んでください。
最初からプロット無しで書いていたんで…。
色々、精進していきます。もしよろしければ、気が向いたらリクエストでもどうぞ。

1スレ目 >>640

───────────────────────────────────────────────────────────

酒席にて
「あ~、萃香は可愛いなぁ~。嫁にこ~い」
「いいよぉ~。お酒もあるし三々九度~」
「え、そんな簡単に・・・ってでかっ! それ杯じゃなくてタルだから! 無理! むっ・・・」

1スレ目 >>825

───────────────────────────────────────────────────────────

(萃香、俺の為に花嫁衣裳を着て待っててくれたのはこれ以上なく嬉しい。
霊夢も祝言の為に祭壇を作ってくれたのも嬉しい。
他の皆も祝福の為と宴会の為に萃まってくれたのもすごく嬉しい。)

「けど、何でまだプロポーズしていないのに知ってるんだっ!?」

萃香「私の能力は密と疎を操る程度の能力、疎になって散々聞かせてもらったの、プロポーズの練習を」
「情緒の何もあったもんじゃないな…って、こんな時にもお前泥酔かよ!!」
萃香「まぁ気にするな、今から祝詞を上げる巫女も酔ってるから」

(ヒデェ…無茶苦茶だ)

萃香「そんな事より…おかしくない私の格好?」
「そんな事無いさ、凄く綺麗で似合ってるよ。ただ…」
萃香「ただ?」

「萃香お前…、角隠しから立派な角が出てるぞ、全く隠れてない」
萃香「うるさい!!」
「まぁいいさ、端から萃香に『角を隠し従順に従う』なんて求めちゃいない。俺は自由奔放な萃香を好きになったんだしな」
萃香「……」
「これからもよろしくな、萃香」
萃香「…うん!」

1スレ目 >>828

───────────────────────────────────────────────────────────

「おーい萃香、夕食できたぞ」
空に向かって呼ぶ。端から見たら危険な光景だ。
しかし、誰もいない空から返事が返ってくる。そして食卓に戻るといつのまにか夕食が乗った炬燵に子鬼がいるのだ。

「「いただきます」」

どれだけこんな事をしたのだろうか?
ここ幻想郷に来たばかりの時、妖に喰われそうな所を気紛れに彼女、伊吹萃香に助けられた。そして今ではこんな関係になっている。

「なぁお前、何でこんなにしてくれるんだ?」
不意に萃香が話す。
「…助けられた恩だ」
「ふぅん…義理堅いと言うか、損な性格だな。」
「なんでだ?」
思わず萃香に問い返した。
「だってそうだろう。お前、私の為に飯を作って何年経つ?」
「…さぁな。けど、義理堅いならお前達鬼だってそうだろう。泣いた赤鬼の話もあるしな」
「鬼は義理堅いの。けど、その例えじゃあ最後にお前が居なくなるじゃあないか…」
「まぁな…けど、所詮俺は流れ者だし」

─いつかは幻想郷から出て行く─

そう思った瞬間、彼女と俺の間に嫌な空気が流れる。きっと同じ事を考えたのだろう。
「……」
「……」
「なぁ人間…」
突然、萃香が俺の事を『人間』と呼んだ。その呼び方をされたのは助けられた時だけ、名乗った後は一度も無かった。
「私は嘘が大嫌いだ。だからこそ言う、私はお前が好きだ。だから私はお前を帰さない。
例え、嫌がっても強引に勝負をして、お前を攫ってもだ」
凄む彼女の言葉にと共に流れてくる強い妖気、しかし不思議と恐怖は無かった。
「じゃあ勝負な!まずは鰯を二十分間でどれだけ捌けるかだ!」
意地悪を言う。萃香にとっては自分が気化する位苦手なものを作る勝負、勝敗は丸分かりだ。
「そんなの出来るか!卑怯だ!」
まるで駄々っ子の様にばたつく萃香、その萃香に杯を差し出して言った。
「あのな、よほどの事でも無い限り人間は弱い。だからこそ人は必死に頭を使う、そうやって生きてきた結果だ、あまり責めるな」
それを聞くと萃香は静かになり、俯きながら杯を受け取る。
「けどな萃香…俺は頭が悪い。だから俺は萃香に飲み比べで勝負する。
そしてもし、俺が勝ったら俺は萃香、お前を嫁にもらう。逆にお前が勝ったら俺は帰れないから責任をとって嫁になれ。
それで良ければ勝負してやるぞ。」
その言葉に萃香は一瞬固まり赤い笑顔で答えた。

「やっぱり人間は卑怯だ。だけどそんな勝負ならいくらでもしてやる」

そう言って笑う小さな強い鬼には涙が浮かんでいた。





寝る前に置き逃げ
萃香かわいいよ萃香

2スレ目 >>66

───────────────────────────────────────────────────────────

ザナたんを見ててレベッカ萃香なんてのが浮かんだ

萃香「なんだよー! おにだぞー! つよいんだぞー!」
○○「うわぁ、かわいーなコンチクショウ!!」
萃香「うー! おまえなんかさらってやるー!(ガッシとつかむ)」
○○「え!? あ、ちょっと、えー!!?(さらわれ)」

で、最後に

萃香「へへーん、だ」

と涙目ウインク舌出しな萃香

ヤッヴェカモ!

λ…帰ります。

>>293

───────────────────────────────────────────────────────────

143 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/01/07(土) 02:44:05 [ ARd1pt8Y ]

「あ、萃香だ! 結婚して!」

萃香が目の前を歩いていたので速攻で結婚を申し込んだ。
当然ボディがひしゃげる程のボディブロー喰らって吹っ飛んだけど、不思議と生きている。
生きているなら諦める必要は無い。可愛い可愛い萃香に出会えた千載一遇のチャンスを物に
すべく、翌日からも俺の全力のラブアタックは続いた。

「萃香、花! 花持ってきた! 角に飾ってやる! きもいかな?」
「萃香、酒! 酒持ってきた! 一所に呑もう! 俺は一杯飲むと吐くけどな!」
「萃香、飯! 飯持ってきた! 中身はしそひじきだ! 俺これ大好きなんだ!」

最初のうちはボディからフック、よろめいた所にアッパーと散々な結果だったが、
しかし、しつこい程俺が諦めないでいると、ある時から萃香の態度ががらりと変わった。

「あー、うー、その・・・・・・、有難う・・・・・・」

雨の時傘を持っていってやったり、寒いときにカイロを持っていってやったりと
あしげく通う俺と会うたびに、萃香の元気が無くなってゆくのだ。
あの豪傑無双な鬼娘が一体どうしてしまったのだろう。
俺は心配になって、医の心得のある友人に相談した。
友人は、一連の話を一通り聞き終えると、あきれるように言った。

「お前もマメな奴だねぇ」


144 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/01/07(土) 04:51:22 [ vw6HSwbg ]

うむ
落語乙


150 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/01/09(月) 00:55:48 [ XmnPT37g ]

>>144
座布団1枚


3スレ目 >>143-144>>150

───────────────────────────────────────────────────────────

ただいま
日曜出勤マンドクセ
すいかに豆でもぶつけてうさ晴らししてくる

すいかに豆ぶつけたらやめてよぅやめてよぅって言うもんだから二人で恵方巻食べてくる
すいかが恵方巻にかぶりついたら大きすぎて顎が外れちゃうよぅだって
太くてかじり付けないから輪切りにしてくれってすいかが言うけど
細巻きも買ってきてあるから切らなくても良いよね
すいかよ細巻きをそんな風に咥えたまま食べるなんてあああ
すいかが笑点見ながらぱぴぷぺぱぴぷぺぱぴぷぺぽーなんて言うもんだから

都市の数だけ豆食べてるんだけどすいかが信じられないようなものを見た目つきでこっちを見て困る
すいかが食べてみたいって言うけど豆が摘めないから食べさせてあげたんだけどまずっ
だって
ああ俺のビールで口直しするな
ビール取替えして飲んだらあっとか言って俯いてるでやんの
ふふふ初奴よのう
何食わぬ顔で飲み足りないのかとビールを差し出したらおずおずと飲みだした
めんこいのう
ウ
フ
おっと本性が出るところだったぜ
すいかの奴てれてるだけかと思ったらニコニコしだした
こっちが照れちまうじゃないか
暖房つけてるのに寒いから隣座っていい?だとぅ
いつの間にそんな武器を待て待てもう少し端によるから時に落ち着け
目が合ったらえへへだって
おおおちちちいおちおちいちつうとつつけけkっけっけえけ
くっついてるけど隙間風が炬燵の中に入るって?
いい事思いついたっておおおおお俺の上にののの乗るな
がが我慢できんん

3スレ目 >>345

───────────────────────────────────────────────────────────

今日は節分だ
節分と言えば鬼と豆撒きと相場は決まっているがしかし俺には嫁に豆をぶつけるなどできない!
そんなこんなで苦悶していると萃香がどっちゃりと豆を持ってきた
何のつもりだと訊くと
「鬼は退治されるもんなの。人間は退治する側なの。
どうせ日頃はあんた絶対そんなことなんてしようとしないんだからこんな時ぐらいちゃんとしな!」
と怒られた。
なんとなく癇に障ったので豆をいくつか口に含み口移しで食わせてやった
予想通り顔を赤くしてぐったりする萃香。やはり外からより内からのほうが効果が高いんだな!だな!

しかしまだ意地悪し足りないのでとりあえず豆の中に生き埋めにしてやった
いい気味である

3スレ目 >>356

───────────────────────────────────────────────────────────

ここは幻想郷のとある草原。
今日は気温も高く、すごし易い日だった。
僕はせっかくなのでここで昼寝をすることにし、草むらに寝転がり、うたた寝をしていた。
・・・・・・

「…ょぉ」

うん・・・なんか揺れている様な…

「…ぼーよぉ…」

それに誰かが喋っているような…

「ねぇねぇ~、遊ぼーよぉ~」

僕はゆっくりと目を開けてみる。するとそこには…

「あはっ♪起きた起きた。ねぇねぇ、遊ぼ~」

僕に馬乗りになってゆすっている萃香がいた。

「ほらほら起きてよぉ、こんなにいい天気なんだから遊ぼーよぉ~」
ゆさゆさゆさゆさ
-ん…僕はまだ眠いんだが…-
「えーっ、こんなにいい天気なのにもったいないよぉ。ねぇ~、ねぇってばぁ~」
ゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさゆさ
-うーん…-
「このこのぉ、起きるまでやってやるぞぉ~」
-わかったわかった。わかったから止めてくれ…そろそろ酔っちまうよ…-
「やったぁ!じゃあ何して遊ぶ~?」
-うーん…そうだなぁ…-

まぁ、この子と遊ぶのも面白いし…良しとしようかな。



いや、稲咲しらう氏の萃香の絵を見たら書きたくなってしまった。
今は反省している。

3スレ目 >>411

───────────────────────────────────────────────────────────

「なあ、西瓜」
「西瓜言うな人間。無知で非力な癖に」

 ――カチン。

「ほーら豆だぞー。柊だぞー」
「なんだよいきなりー! 鬼だぞー! 強いんだぞー!」
「うひゃあ! 可愛い!」

3スレ目 >>775

───────────────────────────────────────────────────────────

「暑い……」
「言うな。もっと暑くなる……スイカでも食ってろ」
「あるの?」
「ない」
「他には?」
「ない」
「クーラー」
「ない」
「扇風機」
「ない」
「ウチワ」
「ない」
「……暑い……」
「言うな……」
「それで、さっきからジロジロと何こっち見てるの……」
「別に……汗で透けてノーブラ具合を見てるだけだ」
「みみみ見るなああ!!!」
「袖口の横からピンクの乳首がうっすらと……」
「いいい言うな!口に出すな!!」
「お前、意外にいい形してんのな」
「殺す!絶対殺す!!」
「うっせ!炒った豆ぶつけんぞ!!」

3スレ目 >>856

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>>856は俺と同一の精神を持ってると見た

「あづい・・・」
「せめて冷蔵庫くらい無いの?アンタん家・・・」
「電気止められた・・・」
「電気・・・集めようか?」
「メーターに貯まるから意味ねーよ・・・」
「そっか・・・」
「それよか良い案がある・・・」
「何ぃ・・・?」

ひょいっ

「ねぇ・・・背負われたりしたら余計暑い・・・」
「ロングホーントレイン・・・」
「寒・・・・・・・」
「だろ?」
「・・・鬼火出すよ?」
「・・・お前柔らかいなぁ。」

鬼神「ミッシングパープルパワー」

「愛が重いぜ・・・」
「馬鹿・・・」

3スレ目 >>858

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萃香と一緒に風呂に入りたい
下手な歌を上機嫌で思い切り歌ってほしい
風呂上がったら隣人が近所迷惑だと怒鳴り込んでくるので
俺が平謝りに謝りたい

4スレ目 >>287

───────────────────────────────────────────────────────────

※誤字を修正しました

―――――――――――――――――――――――――――

萃香は毎晩うちに来る。
「あのさぁ。ずっと気になってたんだけど」
思い切って訊ねることにした。
「何かしら?」
大吟醸を1升あけ、今なお喉を潤しながら相槌を打っている。
その姿は見た目幼いくせに妙に艶やかで、見ていてうっとりしてしまう。
ちなみにいま飲んでいる大吟醸は彼女が八雲家からパクってきたものだ。
美女と旨い酒など最高の贅沢ではあるのだが…
なんたってこう毎晩俺の家に転がり込んでくるんだ?
「何でうちに来るの?」
「迷惑かしら?」
むせ返るような酒気と色気を放ち、微笑みながら聞き返す。
それだけで酒と彼女の両方に酔ってしまうのだから不思議だ。
「そりゃもう…」
「はっきり言うのね…」
「別所でやたら萃まってる日以外は、ほとんど家にきてるだろ…」
「じゃー、もうこないわ…」
何でもないようにそう言ったときの彼女の顔は…とっても寂しそうだった。
「私はただ…あなたの傍で飲みたかっただけなのに…」
(グス…)
泣かれる。
きっとウソ泣きだろうが、それでもものすごい罪悪感がこみ上げてくる。
「い、いや、来てもいいよ。萃香が来てくれると嬉しい。
 だから、泣くな。」
あぁ、言っちまった。俺はどうしても彼女に甘い…
酔っ払って絡むわ戻すわこの上なく迷惑なのだが、
同時にこいつはこの上なくかわいいんだよ…
「俺は、萃香がどうしようもなく、好きみたいだからな…」
「そうでしょう、そうでしょう!?だからあなた大好きよ!」
(ぐびぐびぐびぐび…)
「あ、あはは…(汗)」
「あはははははは!」
腹のそこから気持ちよさそうに笑い…
「くか~…」
そこで酔いつぶれる。
俺の膝の上で、禁断の逆膝枕状態で、だ…
「(お、重りはずしてから寝てくれよな…orz )」
ああ、今夜もこのパターンか…宴会、俺も行こうかな…

4スレ目 >>390

───────────────────────────────────────────────────────────

そんなことよりちょっと聞いて下さいよそこの人。イチャとはあまり関係無いんですけど。
この間、近所の博麗神社へ行ったんですよ。博麗神社。
そしたら何かちんまい鬼の娘が魂ココに在らずボケーっとして寝転がってるんです。
で、何事かと紅白の巫女に聞いたら「恋煩い」とか言いやがるんです。もうね、バカかと、アホかと。


萃「はぁ……」
文「どしたんですか、スイカさん。元気ないですよ?」
萃「スイカっていうな」
文「やっぱり元気ないですね。いつもなら「今必殺のミッシングパープルパワー」って言いながr―――」
萃「言ってないから」
文「あぁ、突っ込みもそっけないぃぃ……。むしろそこが逆に鋭利で冷たくわたし濡れちゃう」
萃「……はぁ」
文「んー、やっぱり愛しの旦那さんが出張中だからですか?」
萃「べ、ベベベ別にそんなこと」
文「図星ですか?」
萃「違う! あいつなんかいつも五月蝿くて喧しくて目障りで鈍感で馬鹿で酒に弱くて」
文「またはじまった……」
萃「おっちょこちょいで情けなくて頭悪くて意地悪で捻くれてて…」
文「そこが大好き?」
萃「うん」
文「……(天狗が見ている~ Black Eyes)」
萃「……あ」
文「本音ゲット☆」
萃「あ、あ、あああああ! ちがっ、違う違う違うそうじゃないそうじゃない!
  今のなし! 忘れて忘れて! ていうか忘れろ! なしなしなーーーしっ!!」
文「あはっ☆ 赤鬼じゃないのに顔真っ赤ーー! 号外ー号外だよー!」
萃「うあああああっ! やめてやめてやめて! うああああん!」

(省略されました
 全てを表示するにはミッシングパープルパワー中の萃香に
 スモールライトの光を当てて、元の大きさに戻して下さい)

5スレ目>>745-746

───────────────────────────────────────────────────────────

萃香におふざけで告白したらいつになく真剣な顔で見つめられて
頬を染めた萃香が「それ…もう取り消せないよ?」とか言いながら俺に

6スレ目>>737

───────────────────────────────────────────────────────────

ある夜のこと。 俺はいつもの様にありあわせの晩メシを腹に収め終わり、
これまた簡素極まりないベッドに寝転がってまったりした食休みを過ごしていた。
物食ってすぐ横になると牛になると言われるが、果たして本当なのか。
だとしたら、慧音さんも食っちゃ寝食っちゃ寝してたからワーハクタクとか言う
難儀な存在になったりしたのだろうか。 今度機会があったら聞いてみよう。
そんな頭突きかCaved!!!!確定なことを考えていると、いきなり。

ドガッシャァン!!

「うおぉ!?」
ベッドの斜め前方に位置していた玄関のドアが轟音とともに
「外」からの圧力で吹っ飛ばされて宙を舞い、反対側の壁に激突して木っ端微塵になった。
おいおい、ホントに慧音さんがオシオキしに来たのか…? ああ、思えば儚い一生でした。
お父さんお母さん、異郷の地にて先立つ息子をお許しください。 すべてはこのバカな頭が…。
「うぉーい」
声がする。 っていうか柄にもなくしんみりしている俺の気分をぶち壊すこのヴォイスは何だ。
「○○ー、寝てるのかー」
「まさか?」
衝撃に備え瞑目していた両目を見開くと、狭い室内に立ち込める土埃の向こうに小さな影が。
金色の髪を貫いてにょっきり生えている捻れた角と、こちらに歩を進めるたびに揺れる鎖。
俺の奇妙奇天烈な交友関係の中で、この両方を満たす存在といえば一人しか居ない。
「す、萃香ぁ!?」
「Yes,I am!!」(チッチッチ)
「て、テメェ、驚かすな!」
恐怖の反動か必要以上にデカイ声を張り上げる俺を
どこ吹く風と受け流し、ふふんとばかりに薄い胸を張って萃香は声高くのたまった。
「起きてるならさっさと行く!」
「行くってどこに」
「神社に決まってるだろう」
「神社で何を」
「宴会だ、え・ん・か・い!」
「いや、だからさ」
そう言われてもピンと来ない。 なおも反駁しようとする俺を、
「…いいから来いッ!!」
「おわ!?」
苛立たしげな声を上げた彼女は右腕一本で掴みあげ肩に担ぐ。
「ぎゃー、人さらいー!!!」
「安心しろ、鬼は人を攫うモノだから問題ない」
「そう言うこtってうおぁあぁぁぁ!!?」
言い終わる前に萃香が地を蹴り走り出す。 当然、担がれたままの俺も同時に前へ。
大きく口を開けたままの我が家がみるみる遠ざかり小さくなっていく。
泥棒に入られなきゃいいが、などと諦めに満ちた頭にそんな考えが浮かんで、消えた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


電車…ではなく萃香に揺られて数分後。 俺は彼女の言葉通り博麗神社に辿り着いていた。
そのスピードも然る事ながら上下動が激しかったため、かなり気持ちが悪い。 うぇっぷ。
「なに、始まる前から酔ってるのか?」
「誰のせいだ、誰の…おおぅ」(ぐらぐら)
「そんなんじゃ最後まで保たないぞー?」
からからと笑う萃香に恨めしげな視線を送りながら鳥居をくぐると、巫女が相変わらずの
無表情で俺達を出迎える。 霊夢はまず俺に目を向け、微かに眉を寄せて萃香を見て、
また俺へと顔を戻した。 まあ確かに奇妙なツーショットなんではあろうが。
「珍しい顔ね。 貴方も出席かしら」
「おう。 まだ受け付けてるんだろ?」
正直に『拉致られた』とか言おうものなら間違いなく隣の鬼から拳を貰う。
まぁね、と霊夢は興味のなさそうな顔で返事をすると、神社の本殿を指差して続けた。
「面子は殆ど萃まってるから、適当に始めちゃって」
「あいよ、萃香は?」
彼女に目を向けると、僅かに顔を伏せて
「わ、私は霊夢と少し話がある。 先に行っててくれ」
「…そか? じゃあお先に」
話というものにも少し興味があったが、立ち入ったことかも知れない。
萃香と霊夢、二人に軽く手を振って、俺は小走りで『宴会場』へ向けて駆け出した。

「随分と大仰な真似をしたものね」
知り合いの青年、その背中が視界から消えたのを確認して、私は目の前の鬼娘に切り出す。
「…どういう意味?」
「わざわざ宴会を開いてまで彼を連れてくるなんて」
萃香はつま先で地面を突付きながら
「発案は私じゃないぞ? 紫だ」
「じゃあ少なくとも二人、貴女の事情を知ってるわけか」
「うぅっ!」
本当にわかり易い性格をしている。 口元に笑みが浮かぶのも仕方のないことだろう。
「こ…こらぁ、何をニヤニヤ…」
「別に良いでしょう、場所を貸してるんだからこれ位」
「答えになってない!」
「あら、じゃあ答えてあげましょうか…面白いからよ」
自分で言って軽く驚いた、ついにあのスキマ妖怪に感化されたか。 そんな私に、
萃香はぶるぶると体を震わせて言葉を紡ぐ。 おそらくは、真っ赤になった顔で。
「あ、あんたは…」
「答えを求めたのはそっちでしょ…そろそろ行くわよ?」
皆まで言わせず被せる様に切り返し、私は先ほどの彼と同じように本殿へと向かう。
当然、背中に浴びせられる意味のない唸り声は無視しておいた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「こりゃスゲェな」
会場の襖を開けて、目にした光景に驚きながらも搾り出した第一声がそれだった。
畳部屋に犇く酒瓶と、一様に紅い顔を緩ませて談笑する者、酒を呷る者、ひたすら肴を貪る者。
そんなカオスに目を奪われ棒立ちになっていた俺に、高らかな笑いと共に声が浴びせられる。
「よーぅ、○○じゃないか!」
声のした場所…部屋の真ん中辺りに目を向けると、見慣れた帽子と白黒の装束が目に入る。
御多分に漏れず彼女も顔を高潮させて、いつも高いテンションが3割増になっていた。
「あぁ、魔理沙も来てたのか」
「当然だ、こんなイベントを私が見逃すか」
「流石ですなぁ」
「ふっふっふ。 まぁお前もこっち来て呑め!」
「おぅよ!」
威勢のいい声を返して、俺も彼女の隣にどっかと座り込む。 やはりこういう場では
楽しんだ者勝ちなのだ。 そこら辺に無造作に転がっていた茶碗を引っ掴み、酒を注ぐ。
「ん、いきなりソレか?」
「へへ、酒なんか随分と呑んでなかったからな!」
にたりと笑いを返して、茶碗を一気に傾ける。 喉と胃から感じる熱を大きな息と共に
吐き出すと、同時に眩暈にも似た強烈な浮遊感と恍惚が脳を揺さぶる。 コレだよ、コレ。
「いい呑みっぷりだ」
「嘗めて貰っちゃ困るぜ。 ホレ、魔理沙も呑め呑め」
酒瓶を勢いよく逆さにして魔理沙のコップにも酒を注ぐ。
手元が狂って少し畳に零れたりもしたが、俺も彼女も何ら気にする様子はなかった。

それからしばらく酒宴は続き。
「私が遅い? 私がスロウリィ!?」
「貴女に足りないものは慎み度量教養熟考整頓良心独自性! そして何よりも速さが足りない!」
「冗ッ談じゃねぇーッ!!」

とか。

「ウサギが寂しくて死ぬなどと迷信だ、このバカモノが!」
「ニンジンは? やはりキャベツよりニンジンが好きなのか?」
「私はなッ!!」

とか。

「モォコォオォォ!!」
「見せてやる、藤原の拳をォ!!」
「「死ぃいねぇえェェェェェッ!!!」」

などなど、酒の呑みすぎか、はたまたこの空気にテンションが臨界を突破したか、
イイ感じに壊れまくって色々と展開する面子をぼんやり眺めていた俺の背中に、
重みがかかる。 柔らかな感触に驚いたのも束の間、振り向いて目に入った顔を見て
俺は飛び上がらんばかりに驚いた。 その女性はヒラヒラと手を振りながら笑顔で、
「はぁ~い♪」
「ゆ、紫さんっ!?」
慌てて彼女の体を引っぺがし距離を取る。 悪い人(いや、妖怪か)ではないのだろうが
俺はどうにも苦手だった。 紫さんは支えを失ってつんのめるも、すぐ体勢を立て直すと、
『じめっ』とした視線を俺に向けてきた。 う、ちょびっと罪悪感。
「ひどいじゃないのぉ」
「す、すみません。 ちょっとびっくりしたモンで」
不機嫌モードの紫さんに平謝りしつつ、俺は居住まいを正す。
「…何か御用ですか? あ、言っときますが俺はもう呑めねっスよ?」
驚きのためか少し醒めてはいたものの、前後不覚になるまで酔うようなことはしたくない。
「そうじゃないの。 ちょっと頼みたいことがあってね」
「まぁ、俺に出来る範囲でなら構いませんけども」
効果のほどは怪しいが、一応予防線は張っておく。 しかし紫さんはつい、と外を指差して
「そこの縁側に」
「はぁ」
「一人寂しくしてるのが居るから、話し相手をしてあげて頂戴な」
周りがこの状況ではゆっくりなんぞできないだろうし…酔い覚ましに夜風に当たるのもいいだろう。
俺は立ち上がるとぐらつく頭を押さえながら縁側へと向かう。 閉めた襖ごしに声が-おそらくは
紫さんのものだろう-聞こえたが、残念ながら何を言っているのかまでは聞き取れなかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


火照った頬に風が心地いい。 急速に醒めていく酔いと頭の芯、幾らかクリアになった視界に
小さな影が映る。 ぼんやりと胡乱げな目で夜空の月を見上げて、深い息をつく、萃香だった。
「おい、萃香」
「!! ○○ッ!?」
気がついていなかったのか、大きく身を震わせて俺を見上げる。
…つい先刻の俺もこんな感じだったのかねぇ。 小さく笑みを零した俺に、萃香は慌てた表情で
「な、何か用か?」
「うんにゃ、風に当たりに着たのと…紫さんに頼まれたから」
「紫に?」
「『折角の宴会なのにわざわざ縁側で呑んでる変わり者が居る』って。
 まさか萃香だとは、俺も予想してなかったけどな?」
珍しいこともあるもんだ、と続けると、彼女が微かに唇を噛み締めて一言、
「…やっぱり言うんじゃなかった…」
「あぁ?」
「何でもないッ!」
妙な凄みのある表情で怒鳴られた。 何がどうなってやがんだか。
疑問に首を傾げながらも横に腰を下ろすと、萃香が小さく息を呑む。
「な、何で座る!?」
「同じ事を二度言うのは嫌いなんだ」
「…ッ! 酔い覚ましなら他所でやれ!」
「だが断る」
「○○…!」
「まぁまぁ、そう邪険にしてくれるな。 頼むよ」
精一杯友好的な笑みを見せながら言うと、彼女が言葉に詰まった。
心なしか顔が赤いような気もするんだが…酒呑んでんだから当たり前かー。
「…るわけ……じゃ……か…」
「あん? 聞こえねぇぞー」
ケラケラと笑いながら萃香の肩を軽く叩く。 何時もならしないようなことを
勢いでしてしまえる辺り、俺はかなり酔っていたようだ。 うむ、ご用心ご用心。
そんな俺をキッと睨み付け、萃香は大きく息を吸い込むと
「邪険になんか、するわけないじゃないか!!」
「うわ!!??」
間近の大音声に比喩でなく飛び上がる俺。 その襟首を引っ掴んで、彼女は捲くし立てる。
「私がお前を邪険にすることなんか、あってたまるか!」
「な、な」
「お前と一緒に居ると楽しい、同じ酒も旨く感じる」
「え、え?」
「もっとお前の笑顔が見たい。 私に、笑顔を向けていて欲しい」
「すい、か…?」
「好き、なんだ…どうしようもなく!」
それだけ言って、彼女は襟を握り締めていた手を解き、今度は胴に腕を回してきた。
反応するよりも早く、彼女は俺の胸に顔を埋める。 あまりの勢いに倒れそうになるが
すんでのところで何とか踏み止まることが出来た。 襟元の伸びたシャツに、濡れた感覚。
「おい、萃香…」
「うるさい、見るな! 見たらブン殴る!」
ここまで言うからにゃマジなんだろうなぁ…。 俺はだらりと下げていた手を、
胸元で震える鬼の頭へぽん、と乗せ、そのままゆっくりとあやすように撫でてやる。
「…そっか。 そんなにも想ってくれてたんだな…」
「…○○?」
「いかんな俺も。 女の子に告白させた挙句に泣かせちまうとは」
カッコ悪いにも程がある。 あの閻魔様が聞いたら即刻地獄行きかも分からんね。
「じゃ、今度は俺の番だな。 よく聞けよ?」
「………」(こくん)
胸元に顔をへばり付かせたまま、萃香が頷く。
どんな顔をしてるのかは知りようがないから、俺は簡潔に答えだけを述べる。
「俺も、萃香が好きだ」
「ホントに?」
「無論だ」
「酔ってない?」
「そう言うお前はどうなんだ」
「酔ってるわけないだろう、バカ」
「バカで結構。 それより萃香、顔を見せろ」
「何だ?」
やっと萃香が顔を上げる。 若干赤くなった目の周りに、改めて自分のしでかした事に
気がつく。 だから、コレは罪滅ぼしなのだ。 断じて、俺の個人的な欲求などではない。
両手で彼女の頭をがっちりホールドし、そのまま動く隙を与えず唇を重ねる。
「んむぅ!?」
萃香がじたばたともがくがもう遅い! 脱出不可能よ!! 二秒経過! 四秒経過!
たっぷり十秒経ってから、俺はゆっくりと顔を離した。
同時に掴んだままだった萃香の頭を解放する。 それはしばらくゆらゆらと
メトロノームの様に左右に揺れていたが、俺がスコンとチョップを入れてやると、
「ハッ!?」
虚ろな両目に光が戻った。 うむ、やはりチョップは効き目が違う。
「ダーイジョーブかー?」
棒読みでの問い掛けに、萃香はぼんやりと俺の顔を見つめ、続いて自分の唇に手を遣り。
「○○…おおおおお前と言うヤツはぁ!!」
まさしく烈火の如く怒り出した。 普段なら一も二もなく逃げ出すところだが、
そんな赤面状態で言われてはむしろもっとからかいたくなってしまう。 そんなわけで。
「いやいや萃香」
「何だ!」
「恋人同士なんだからさ、コレくらい当然だろう?」
「~~~ッ!!?」(ぼふん)
「ワハハハハハ!!」
勝利の高笑いを上げる俺の隣、萃香は真っ赤な顔で握り拳を振り回す。
隙だらけなその攻撃を素早くかわし、彼女を後ろから、しっかりと胸に納める。
いまだ暴れる体を押さえつけながら、俺は腕の中の恋人に囁きかけた。
「これからもよろしく頼むぜ、萃香」
「うぅ…当然だ! 鬼は義理堅いんだぞ!」
「分かってる。 でもって人を攫うんだろう?」
他愛無い軽口と共に、俺は確かな朱の差した頬にもう一度、口付けをした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「はぁ…俺を呼ぶためにこの宴会を?」
「そ、そうだ。 悪いか!」
「悪かないけどさぁ…」
「何だ?」
「発案者が紫さんってことは…その」
「だから、ハッキリ言え!」
「出席者全員に知れ渡ってんじゃないのか、お前のコト」
「……………」
「……………」
(ババッ!!)
[襖|∀・)×拾参[襖]
「……………」
「……………」
「ホラ、な?」(///)
「ゆ、ゆぅかぁりぃーーーッ!?!?」

《フスマの裏》
「『恋人同士なんだから当然だろ』だと! 平然と言ってのけたぜアイツ」
「シビれはしないしアコガれもしないけど背筋が痒いわねぇ、ものすごく」
(いつか私も霊夢と…うふ、うふ、うふふh)
(いつか私もお嬢様と…うふ、うふ、うふふh)
「ふ、ふぇえ…」(プスプス)
「あらあら妖夢、この程度で中てられてちゃダメじゃないの」
「あーあー、いい酒の肴だわねぇ全く」
「姫、目つきがやさぐれたオヤジになってmごふぅ」
「し、師ぃしょぉおぉぉ!?」
「熱い、熱いね…心も、体も…」
「幻想郷では、いつものことだ…」
「ねぇねぇ藍さまー、紫さまは?」
「知らん、私は知らんぞ。 知ってても言うものかー!!」
「明日の一面はコレで決まりです…って萃香さん? 何でそんな怖うわぁぁぁ」

翌日、ボロ雑巾のようになった烏天狗とスキマ妖怪が
神社の鳥居に縛り付けられているのが目撃されたとか、されなかったとか。


7スレ目>>528

───────────────────────────────────────────────────────────

「たらったら~ら~♪」

意味の分からない歌を口ずさみながら、少女が歩いている。
その足取りは軽く、舞うように、跳ねて、如何にも楽しげだ。
俺はその後ろを、両手に料理を持って歩いていく。
床から伝わる、彼女の跳ねる振動がとても気持ちいい。
人は元来感受性が強いといわれるが、きっと俺の気持ちが浮ついているのも、そのせいに違いない。
両手に持つ料理。一切俺は手を加えていない。俺は料理なんて出来ない。
いや、この幻想郷に住むようになってからは、多少の家事は出来るようにはなったが……料理なんて、人に見せられたもんじゃない。
だから、俺の持つ料理は、俺が作ったものじゃない。
だからといって、目の前を歩く少女が作ったものでもない。
要するに、出来合いの物だってこと。この幻想郷でもスーパーマーケットのようなものはあるらしい。
そこから買って来たと、言っていた。

「ちゃんとお金は払ったよ!」

嘘をつけ。俺はお前が金を払っている所なんて見たことがない。
どうせ、今回もきっと、かっぱらって来たのだろう。「ツケで」とかぬかして。まあ、俺にはどうでもいいのだけど。
そして、いつかは、金を払わなければいけないのだろうけど。


足の裏で、彼女の足音を聞く。
たん、たん、たんっ。
気持ちのいい、足音だ。そしてそれに混じる、嫌な金属のような音。
それは、彼女の体に巻きついた鎖から連なっている。
形はそれぞれ違うけれど、その鎖と金属が示すのは――戒めと呪縛だ。
小柄な体躯に、何でそんなものをつけなければいけないのか、俺は知らない。
知らないけれど、俺の気持ちはそんな事を気にはしていなかった。
無慈悲なほどに、知ろうとしていなかった。



↓↓↓



「というわけで、今日は○○としっぽりお酒でも呑みましょう」
「萃香……。俺はお前が酒とお茶以外の飲み物を飲んでいるところを見たことがないんだが?」
「それは○○の目が節穴なんだよ。お酒を呑めば直るよ!」
「なんでだよ。そして字が違う」


「お酒は百薬の長だって言うじゃない」
そう言って萃香は杯に酒を注ぐ。ツン、と強い匂いが部屋の中を満たす。
それを幸せそうに嗅いでから、萃香は杯を俺に差し出した。
受け取って、軽く口をつけた。途端、口の中が酒の匂いで一杯になる。
悪くない、とてもいい味をしている。だけど…………!


「から…………」
「あははは、○○ってまだこの味に慣れないんだね。毎日のように飲んでるのにさ」
「その酒が辛すぎるんだよ……あ~、喉がひりひりする」
「軟弱者だぁ~」


俺を指差して萃香は笑う。花がほころぶような、笑顔。
その笑顔に突き動かされたのか、俺はこう言っていた。
「萃香、好きだ」と。
萃香は、その言葉に首をかしげる。意味が分からないといった風に、首をかわいらしく曲げて見せた。
ほんの少しの時間、それでも意味を理解するには十分だったらしく、やにわに彼女は顔を赤くした。


「や、やだなぁもう。冗談きついよ、○○」
「冗談なんかじゃない、お前のことが好きなんだ」


ぴたりと、萃香が動きを止める。
手の平で顔を覆ったまま、くぐもった声で俺に問いかける。
「本当に? 手の込んだ悪戯でなく?」
俺は頷いた。悪戯なんかじゃない、本気なんだ。そう答えた。
萃香俺の近くへと、ほとんど膝の触れる距離まで、つつと近寄る。
そして、そっと俺の手を握った。顔は俯いたまま、握った手と手を見つめている。

「あのね、だったら誓って」
「誓っ……?」
「うん、私と一生、ずっと、私が死ぬまで、○○が死ぬまで、一緒に居てくれる?」

俯いたまま、そう呟く。
妙に艶のある声で、撫でるように萃香は言う。
跳ねる心臓を気合で抑えつけて、俺は声を絞り出した。
当然、俺はその問いに『応』と答えた。否定などするはずない、しようもないからだ。
萃香が小さく頷いた。
その顔をあげた。ゆっくりと、俺の目にはビデオのスロー再生のように見えた。
その表情は、俺の顔を見つめるその瞳に、薄く開いた唇に、





「嘘つき」





何の感情もなかった。


うpろだ287

───────────────────────────────────────────────────────────



「○○~~宴会なのに酒を飲まないのかぁ~?」

「いや、萃香さん…僕はお酒は苦手なんですよ……」

「いいから、飲め飲めーーー」

「ちょ……やめ! んぐぅぅっ!! 」


・

・

・


数時間後――――

私の目の前には酔っぱらっている○○の姿があった。

数年前、幻想郷に迷い込んできた外の世界の人間。

性格は至って大人っぽく穏やかで優しい。

人畜無害が服を着て歩いているような男。

私は、そんな大人しくて優しい○○のことが大好きだ。


でも、私が○○を攫おうと彼に勝負を挑もうとしても――――

いつも黒白の魔法使いや紅白の巫女が邪魔をする。

だから、皆に酒を飲ませて前後不覚になったところで

○○に勝負を挑み、強引にでも攫ってやる!!


……本当はこんな卑怯な真似は大嫌いだ。

だけど……私は、どうしても○○が欲しい。

○○が、他の女のモノになる前に。


「○○……」

「んん~~~なんだ萃香ー?」

「私は、おまえが好きだ! おまえが欲しい……」

『ぶふぅぅ―――――――!!』


何人かが飲んでいた酒を噴き出す。


「ス、スクープです!! 特ダネですっ!!」


天狗が酔っぱらいながら騒ぎ、パシャパシャ写真を撮っている。


「ぉぅぃぇ~! 俺も好きだよ~~萃香ぁ~~」

「え?」

「霊夢も、魔理沙もみんな、皆、だいすきさぁ~~~」

「ち、違う……そうじゃなくて……」

「ほぇ?」

「私は、一人の女としてお前を愛しているんだ!!」


○○の動きが止まる。

そして、酒に侵食された頭で、私の言ったことを理解し――――


「う、嘘だろう~……?」

「いいや、本当だ……私は、今すぐおまえが欲しい」

「じゃあ……俺に勝てたらいいよ~~!!」


一瞬、呆気にとられた。

人間が?

鬼である私に?

酒に酔うあまりに、どれだけ無謀な発言をしたかわかっていない○○に

少しだけ罪悪感が湧いてくる。


だ…だけど……

こんなチャンス、もう2度とない!!


「言ったなぁ! なら、一対一で勝負だ!」

「おぅけぇ~ べいべぇ~~! 」


表に出ようとする○○の歩行は、完全に千鳥足になっている。


「おっとっと~! ……ってお菓子あったなァ~」


そして、私たちは表に出て対峙した。


「んじゃ、いくよん~~」


一枚のカードを取り出した。


「……スペルカード!? 使えないはずじゃ――――」

「   ド リ フ の
 約束『 突き穿つ――――

              金 ダ ラ イ
         ――――死翔の金皿 』!! 」


上空から私めがけて金ダライが降ってきた。


「ふん、こんなものすぐにかわして――――」


カ ー ン !!


!!!!????


これ以上ないほどに奇麗な乾いた音が響き渡った。

確かにかわしたはずの金ダライが私の頭に直撃する。

痛い。

ものすごく痛い。

な、なんで……?

かわしたはずなのに……!!


「ちなみに、その金ダライは『お約束』なのらから……絶対に回避できないのら~~~ウイック!」

「~~~~~~~~~ッッ!!」

「むー……大丈夫、萃香?」

「いたい~~!」

「う~ん……ごめんよう、萃香ぁ……」


なで なで なで……


「痛いの 痛いの~~飛んでけぇ~~~」

「う……(////⊿//)」


○○の手……大きいなぁ

頭を撫でられるのがすごく気持ちいい――――


――――って、そうじゃなくて!

今は勝負の最中だってば!!


「それでね~ 萃香ぁ、やっぱり将棋で勝負ら!!」

「は?」


何がやっぱりなのかわからない。


「な……なんで将棋?」

「うんとねぇ、弾幕とかスペカとかで傷つけちゃったらヤらからぁ~~~ウイック!」

「――――ッ!!」


舐められた屈辱と……『傷つけたくない』と言われたことによる喜び。

……怒っていいのか喜んでいいのか複雑な気分だった。


そして10分後……


「ははっ、全然ダメダメだな」


勝負の舞台を将棋へと移した私は、○○を完全に追い詰めていた。

○○の戦法は、私の駒をしゃむに取って 手駒を増やそうとする典型的な素人戦法。

一見、駒が少ない私のほうが不利に見えるが

○○の玉将は完全にこっちの駒に囲まれてしまっている。


――――このままいけば、間違いなく勝てる!!


「ダメじゃないよん~~、ゲームは家に帰るまでが遠足なのですよぅ~」


……意味がわからない。


「うい~……ヒック! んじゃ、そろそろいこうかな~~くふふふふ!」


何を思ったか、○○は 一枚のカードを取り出し

突如として、詠唱を開始した。


「I am bone of my turn. ―――― 体は我道で出来ている。――――」


「え?」


「I have created over a thousand turns. ―――― 幾たびの戦場を越えて不敗。――――

 Unknown to Death. ―――― ただ一度の敗走もなく――――

 Nor known to Life. ―――― ただ一度の 理 解 も されない。―――― 」


「な……なんだ、この詠唱!?」


「So as I pray,  ――――


          ア ン リ ミ テ ッ ド  タ ー ン  ワ ー ク ス
 ―――― 我道『 ず っ と 俺 の タ ー ン 』!! 」


「――――!?」


周囲の空気が異質のモノに変わる。

しかし、何かが起こる気配はない。


「俺のターン!! 三4歩! アレ、四3歩だったかな~~?」

「ふふん……何か よくわからないけど、お前の負けだよ! 王――――」

「俺のターン!! 飛車ゲット~!!」

「ちょっ……何で2回も――――って、嘘!? 動けない!?」

「ご覧のとおり~、萃香が挑むのは無限のターン。我道の極地~! 恐れずしてかかってこいやぁ~!! 」

「な……」


あまりのことに声すらも上げられない。

そうして、○○は身動きがとれない私に次々と――――


「いくぞ~萃香ぁ! 駒の貯蔵は十分か~!? 俺のターン!! 角行ゲット!!

 俺のターン!! 銀将ゲッ(ry

 俺のターン!!(ry

 俺のタ(ry

 俺(ry 」

・

・

・


「……これでターンエンドだ!」


数十回のターンが終わった時には、すでに大勢は完全にひっくり返されていた。


↓↓のような感じで

__________________
|○○ ● ○○○
|○○   ○○○
|○○○○○○◎○
|○○○○○○○○
|

※注意
●:萃香の王将
◎:○○の玉将
○:○○の駒(なお殆ど成り金)




萃香も含め、その場にいた全ての者たちの心は――――


『鬼だ……』


――――今、完全に一つになっていた。


「あははははァ! 俺の勝ちだ――――」

「くっ……」

「んじゃ、萃香を攫うかぁ~」

「は!?」

「鬼は人間を攫う~~~」

「や、ちょっと……!!」


ち、違う 逆だよぉ!

私が鬼で、あなたが人間だって!!


「むむむぅ~~~暴れないの! いい子にしなさいってばぁ~~~」

「きゃっ!」


私の両腕が頭の上で、○○の片手に抑えつけられた。

え? ちょ、ちょっと待ってよ……!


「んんん? そういえば そういえばぁ~……鬼は地獄だから……えーと……」

「う、うそ!? 外れない!!」


力を込めて外そうとしてもビクともしない。

う、嘘でしょ……!?

なんで人間にこんな力が!?

お酒飲ませただけなのに!?


「そーだぁ……キス地獄に落としてやろう!!」

「へ? んぐぅっ!? ……ん………んんッ!!」


気付いた時には、私の唇は○○に蹂躙されていた。

否、唇だけではない。

○○の舌は、私の舌や口の中すべてを嬲り尽している。

けれど、それは脳髄がトロけるように、甘くって情熱的で激しくて――――

数十秒も経った頃には、私の身体には全く力が入らなくなってしまっていた。


「っぷはぁ……」


唐突にキスが終わる。


「あ、あの……○○?」

「んん~~~い・い・に・お・い~♪」


悪意などは全く感じられず、ただ無邪気そのものな目。

しかし、今はむしろそれが恐ろしい。

このままじゃ、私 ○○のされるがままに……

ヤ、ヤだっ……

嬉しいけど……求められるのは 嬉しいけどっ!!


「だ……ダメダメダメぇっ!!
 嬉しいけどっ! そういうのは結婚してからじゃなきゃダメなの――――!!」


○○の身体がのしかかってきて

ああ……


「……ねむ…………」


―――― 私は覚悟して目を閉じた。


「え……?」

「……すー……すー……」


目を開くと、酔いつぶれてしまった○○が私にのしかかっていた。

え……と

助かった?


「び……びっくりしたぁ……」


こ、ここまで大胆な性格になるなんて――――

生まれてからひどく長い時間生きてはいるが、ここまで強く迫られたことはない。

ものすごく、ドキドキして

自分が自分でないような昂揚感がして

クセになりそう……


「ん?」


そして

いくつも生温かい視線が 襖の向こうからこちらに向けられていることに気づき――――


「み……みみみ見るな―――ヽ(//Д////)ノ―――!!」


・

・

・


「あ~ぁ、失敗だったなぁ……」


―――― ○○さんの能力発覚!『妄想ネタを武装とする程度の能力』+『怪力』!!(酔いどれ時のみ) ――――


天狗の新聞を見ながら、私は呟いた。

当然、私のセリフも全部記載されてあった。

恥ずかしい。

しかし、それ以上に厄介なのは――――

○○のことが……もっと好きになっているってこと。

平常時の大人っぽくて優しい○○と、酔いどれモードのちょっと子供っぽいけれど強引に迫ってくる○○。

そのギャップがたまらなく愛おしい。

け、結婚するまではああいうのはダメだと思っていたけれど

昨日、あんなに強引に唇を奪われて、押し倒されて――――

今までにないくらいドキドキしたというか……


「べ、別にあのまま ○○に襲われたかったとか……そ、そんなこと……」


などと我ながらベタなセリフを言っていることに気づく。


「うぅぅ~~~~(////_//)」


たぶん、私の顔は相当に赤くなっている。

気を紛らわす意味も含め、私はボソッと一言呟いた。


「こ、今度……二人っきりの時に酒飲ませようっと」

うpろだ316

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                 たった一つの酒瓶





幻想郷唯一の鬼、伊吹 萃香。
幼い外見に騙されがちだが、その力は山を砕くことも可能とする怪力を持つ。
力が強力過ぎるので、鬼狩りが行われるのも無理は無い。

あぁ……だけど、その強大な鬼を狩る為にこんな馬鹿を連れてきたのは、誰だ?

「おぅおぅおぅおぅおぅ!!
いきなりうちの街に乗り込んできて、酒を要求するたぁ……なんてぇ鬼だぁ!!」

鎧を身に着けるどころか上半身裸で、
特殊な武器を持つどころか普通の刀を片手で持ち、
鬼除けの道具を身に着けるどころか酒の入った瓢箪を腰につけ、

馬鹿がやってきた。

「……はぁ、その蛮勇は認めてあげるわ。
だけどね、人間一人如きが私の相手になるの?」
上から下まで体を見やるも、やはり特殊な武装をしてるようには見えない。

とするならば……裏があると見るか。
例えば、奴の後ろには街の屈強な男が揃ってるとか、目に見えない特殊な装備を持っているとか――。

そんな勘ぐりをしている私を尻目に、馬鹿が私に向かって鼻を吹いた。
「相手になるかどうか? 知るかんなもん!!
俺はお前の相手をしに来たんだ、なるかどうかは二の次だ!!」

……いや、酒を煽りながらそんなことを抜かしたあいつは――私と同じ、まっすぐで嘘を嫌う馬鹿だ。
間違いない。あいつはそんなことを絶対にやらないだろう。

腕を握り締め、自分の名を名乗る。

「私の名前は伊吹 萃香。あなたの名は?」
「俺か? 酒屋の〇〇だ」

〇〇は鞘から刃を抜きながら、既に臨戦態勢。
これは――戦わないと、いけないだろう。

「酒屋の息子だから、来たの?」
既に敵と化した『たかが人間』の一挙一動を見極めながら、気になっていた一つの質問をする。

「違ぇよ。俺が酒屋だろうが豆腐屋だろうが八百屋だろうが、お前に喧嘩を売りに来た」

やはり、こいつは馬鹿で……なかなかに面白い人間のようだ。

「行くぞ!!」
あからさまに素人な構え方で、
「っ!!」
それでも――ありえない程の脚力で、地面をぶち抜いて襲い掛かってきた。



「そう言えばそんな事もあったなぁ、良くそんなもん覚えてんな」
「そんな事って、私たちの出会いの理由じゃないの……」

まぁ、そんなこんなで、鬼狩りという理由で戦ったのに結果として俺たちは酒飲み仲間となった。
街の皆には倒したと話したが、たまに酒を飲みに俺が行くという関係である。
そしてその折に、萃香の話を聞くと言う感じ。

幻想郷に入ったときの話や、天狗との争いの話、人間の小狡い罠に引っかかった話など様々で、
萃香のジェスチャー付きの遥か昔の話は、俺にとっては最上級の酒の肴である。

んで、そしてついさっきまで、二年以上前の俺との出会いを話していたわけだ。

「酒屋の息子の分際で、手加減していたとは言えども、鬼と喧嘩できるなんて……どんな馬鹿なの?」
「頭が弱い分、反射神経とかに全部行ったんだろ? 多分」
酒を飲みながら、つまらなげに返す。
俺は馬鹿とは言えど、過去を掘り返されるのは恥ずかしかったりするんだぜ?
そこら辺、女の勘でどうにかして気付け。

「それより、お前の話は無駄に誇張が入ってたりすんだよ。
『地面をぶち抜く』だぁ? 人間の足にそんな事が出来るもんか」
「語り部は話を程よく誇張するものなのよ。それで客を集めるの」
「いつ語り部になったんだよ……」
「でも、上半身裸は当たってるでしょ? 今もそうだし」
「……いや、青年期の男として、カッコつけたいお年頃なだけでぃ」

などと言いつつ、酒瓶に手を伸ばす。
今夜は家で作った酒をチョッパって、萃香と共に飲んでいる。
しかし、度数が高いものを水のように飲まれると反応に困る、マジで。
「俺も酒には強いんだがなぁ、流石にお前には敵わねぇよ」
「ふふ、鬼に喧嘩を挑もうなんて馬鹿のすることよ」

あぁ、だから一升瓶をラッパ飲みすんなって!!
結構高いんだぜぇ、それ。
まぁ、俺が作った酒を飲んでくれるのは嬉しいが、それは言わない。
なんつーか、つまらない男の意地みたいなもんだ。

「ぷはぁ、やっぱり〇〇のとこの酒はいいねぇ。
飲んでて飽きないよ」
「それは結構、お駄賃として……また、楽しい話でも頼むぜ」
「話す程度で酒が飲めるんだったら、お安い御用」

カラカラと陽気に笑いながら、酒を……あぁ、また、ラッパッパかよ。
マジ勘弁願うぜ、酒はチビチビ飲むもんだろうに。

「しかしながら、今日はここら辺でお開きだな。
そろそろ帰らんと、周りの奴らに怪しまれる」
「そっか。夜道は妖怪が闊歩するからさ、送ろうか?」
「マジ勘弁してくれよ」
女の子に送り向かいされる男ほど、恥ずかしいものは無いだろ。
「……じゃあな、逃げ足には自信があるんだ」

そう言って、鬼が倒されたと言われた穴倉から去っていった。


帰り道。
既に道が無いと思えるほどに小さな道の途中で。
俺の仲間がいた。
「お……おぃ、お前――鬼と何してんだよ!?
しかも、鬼は倒したとか、お前……言ってたろ!!」
「あーーー、畜生」
見られたか。
いや、別に見られること自体は構わないが、それをうちの街の領主とかに伝えられるのはマヅい。
しょうがない、説得するしかないか。

「あのな水沢。あの穴に住んでいる鬼は、悪者じゃなかったらしい。
聞いた話ではだな? 昔、この村の者と――」
「それも、鬼から聞いた話だろ……そんなインチキ、信じられるか!!」

数歩下がった後、俺を『鬼』を見るような目で、
「お前は、〇〇じゃない。
鬼に操られた、違う人間だ――」
そんな事を言い、去っていった。

「水沢……」

俺の脚だったらすぐさま追いつけたが、追いかけられなかった。
それほどまでに奴の顔は、俺を『恐れていた』。

さて、どうしたものかと思ったが……面倒だし、明日にするか。
酒が入ってるから余計なことも言いかねんからなぁ。
まずは寝ることにしようか――。



数日後。
「よぉ、萃香。今回の酒は、上物だぜ」
「両手一杯に酒を持ってくるなんて、宴会でも開くの?」
「いや、もうすぐ……お前との出会いと三年になるから、ってな」
飲まないか? と酒瓶を掲げる。
言葉の代わりに、少女のようなあどけない笑みを向けられた。
もう三年も経ってるんだ、言葉など俺たちには必要ない。

穴に入ってから数分後、まぁ、間が空いたのは気を使ったせいだろう。
ためらわれながらも、質問してきた。
「……でさ、その痣は何?」

俺の顔にある、大きな痣のことを指して言ってるんだろう。

「はは、親父との喧嘩だ。あまり気にしないでくれ。
――まぁ、宴会の時にこんな顔ですまないがな」
酒の蓋を開けながら答える。

蓋を開けながらなのは――彼女の意識を酒に向ける為だ。
案の定、酒の方に飛びつく。
マジで安心した、こいつ勘は異常に良いからな。
変なことさえ勘ぐられちまう。

「ねぇ、〇〇。いつもよりペースが速くない?」
「あぁ、この頃、うちの酒の売れ行きが悪くてな。処理する酒が増えただけだ」
と、萃香のようにラッパ飲み。
「……そっか。じゃあ、今回の話はね――」

彼女の話をBGMにして、空に目を向ける。
今日の月は、寝待月――か。
曇り雲が一つなく、こんなにも月が綺麗だ。
……お天道様も、今日くらいは綺麗な月を見せてくれるようだ。

「って、ねぇ!! 〇〇? ちゃんと話を聞いてるの!?」
「ん? あぁ、スマンスマン。ちと酒を入れすぎたか」

マジで頭がクラクラする。
変な妄想にふけっていたようだ。
こんなに飲むなんて、何年ぶりだろうか。

「はぁ、私にペースを合わせようなんざ千年どころじゃ効かないよ?」
「ふん、お前にペースを合わせてるわけじゃないっての。
たまには好きなだけ飲むのもいいじゃねぇか」
と、つまみのスルメをかじる。
なんか幼子として扱われてる感じがして、悔しい。

「今日は、寝待月だね。
知ってる? 『寝待』の意味は、そのまんま寝て待つって意味らしいんだよ?」
「本当に幼子にモノを教える態度だな、なんかムーカーツークー」
「ふふふ、幼子のほうが頭がいいんじゃないの?」

と笑った後、一瞬の静寂が訪れた。

「えっと、ねぇ? 〇〇?」
「なんだ? 猫撫で声出しても、口から酒は出ないぞ。
出るのは馬鹿な戯言と、恐ろしい吐瀉物と、熱烈的なキスだけだ」
「ほんとに酔ってるんだ……。
コホン、えっとね? 会ってから三年になるんだね、とか」
「そうだな。そんなにも時間が経つのか」

俺の言葉が終わった後、一瞬どころか永遠とも思える静寂が訪れた。
……お互いに何も言わずに月を見ていたが、俺から切り出すことにした。

「なんか良い感じの雰囲気だな」
やべぇ、なんか酔いすぎてるぜ、俺。
最初に言おうとした言葉と全然違う言葉が出てきた。
「そ、そうだね。えと、酔ってない? 〇〇」
「俺は酔ってると裸になって奇声を上げる癖がある。
逆説的に言うと、俺は酔ってない」

小さな声で、絶対酔ってる、とか言われたがあまり気になんなかった。
酔った勢いか、それ以外の何かは知らんが、無性に恋しくて萃香の体を抱きしめた。

「ちょ、酔ってる勢いとは言え、何を――!?」
「萃香、お願いがある」

世にも恐ろしいとされた鬼の言葉を遮り、自分の言葉を言う。
自分よりも、遥かに低い身長の女性を大事に抱きしめながら、

「街に来ないで欲しいということと、
街の人間を殺さないで欲しいということと、
出来れば今すぐにでも、ここから去って欲しいということだ」
「……〇〇?」


と、抱きしめていた体が、消えた。
いや、萃香の体が霧となって手をすり抜けた。

「萃香?」
「いなくなって」

きっぱりと拒絶の言葉を言われた。

「――萃香」
「約束は守るわ。
そのためだけに私と付き合った人間なんて、初めてだものね。
面白いわね、私と付き合わせて、約束させて? この街から脅威から救うなんてね。
本当に貴方は『英雄』ね」

ちょっ、ちょっと――待て、萃香!!
お前が考えていることは、誤解なんだ!!

「おい、萃香――っ!!」
「お願い、いなくなって。約束は……守るから」


そして、声が消えた。
萃香の声が、無くなった。

もう、何を言おうが現れないことを俺は解ってる。
だから当初、言おうと思ってた言葉を言うことにした。

「なぁ、萃香。
いつか、最高の酒が出来たら持ってくから。
どんなに遠くに行っても、届けに行くから。
待ってくれないか――?」

どんなにお前が遠くたって、どんなに時間が掛かろうと、どんなに障害があっても、
絶対に届けるから。


……やはり返事は無く、無音だけがその場を支配していた。
しかし俺には返事が解った。

だから、

「萃香、ごめんな」

それ以上、言うのも無駄だと解っていたので、去った。






萃香は彼がいなくなるのを確認して、霧から元の状態に戻った。
ため息混じりに、自分の愚かさを呪う。
はぁ、やっぱり私は馬鹿な事をしてたんだな。
信じていたモノからの裏切り、何回受けたといえどもやはり慣れない。

「……でも、約束したからには去らないとね」

〇〇を頭から払う為に頭を二振りし、どこか遠いところに行こうと考えよう――として、違うことを考えた。
去るにしてもさして時間は掛からない。
ならばもう一回くらい、自分を裏切った人間の顔を覚えておこう。
そうすれば、二度とこう言う……押しつぶされるような胸の痛みを覚えなくてすむから――。


もちろん、〇〇との約束は守る。

『街に行かない』

言うなれば、私が街に来るときに起こる影響を考えてだ。
ならば、『鬼ではない』姿で行くのならば問題は無いだろう。

幻惑の術。
実際にあるものを無いものとして見させる、あまり難しくない術である。
それを鬼の角にかけて、〇〇が去っていった方に向かった。


〇〇の街へ帰る道のりは、既に解っている――伊達に隠れて後を追ってはいない。
いつも私と酒を飲んで帰ってるわけだから、妖怪に襲われたらひとたまりも無い。
だから先回りして、妖怪を一捻りしていたが、

「意味の無いことだったんだね」

昔の自分が行っていた行為を鼻で哂った。
だけど、あの頃は本当に楽しかった。
酒を飲みに来る〇〇をウズウズしながら待っていた、あの頃が。
既に消え去ってしまった、あの頃が。

「……あ」

途中、彼のとぼとぼ歩く姿が見えた。
私と約束を守らせたのに、あんなに風なのは――どうせ私が約束を守らないとでも思ってるんだろう。
愚かだ、鬼は必ず約束を守るというのに。

と、〇〇が街に着いた。
大勢の人間が〇〇を待って、街の入り口に立っていた。
「どうせ、声援を受けていい気でいるんだろうに」
そう言って、〇〇を見下していたら、

いきなり一人の男が〇〇に踊りかかった。


「……えっ?」

まずは体格のいい男が〇〇の腹を蹴り上げる。
そして二人目が頭を殴り地に伏せさせ、三人目が〇〇を蹴り、それに五人がそれに参加し、十人が、三十人が――。

「え、えっ、え――?」

何が起こっているのか、何もわからない。
なんで? 鬼から街を守った英雄を――!?

「良いもんだなぁ、鬼の従者になって自分だけ助かろうなんてな――!!」
「鬼を倒したと言って、自分の酒屋を儲けさせるなんて、策士だなぁ!? 〇〇さんよぉ!!」
「楽しかったか? 鬼と、この街を落とす作戦を練るのは!!」
など、もろもろの罵詈雑言が吐き出されながら、〇〇のタコ殴りが続く。

その状態が三十分近く続き、ようやく終わった。
既にボロボロになった〇〇を二人の男が腕を掴んで、街の中に連れて行った。

連れて行かれるのを見送って、〇〇を殴りつけた男に話しかける。
「あ、あのおじさん」
「ん? 見かけない子だな。なんだ?」
「あの人は何をしたの?」

街の奥に連れて行かれた〇〇を睨み、
「あいつは罪人だよ。
鬼を倒したと偽り、鬼に懐柔を諮って自分だけ助かろうとしたんだよ」

え?

「鬼を倒したと言うのも酒屋として有名になって、金儲けに成功しようとしたせいだろう。
儲けた金のいくらかをあいつの両親が持って逃亡したが、いくらかは取り戻せた。
幸い、あの男の知り合いが奴の件を知って、直々に領主に伝えたらしい。
調べてみたら本当に鬼がいるし、鬼との話し合いが行われたのも目撃され、あいつが罪人であることは確実だ」

……違う、違う、違う違う違う違う。
全てが、何から何まで違う。
彼の行動も、村の人々の考えも――何より、私の勘違いが。

「と、すまないな。
まだ若いのに、嫌な話を聞かせてしまって」
「いえ、それよりも……彼は、これから何をされるの?」

男は、言いにくそうに頭をかき、重たい口を開き、
「奴は死罪だ、すぐさま首を落とされてさらし首だよ」

聞き終わる前に、街の中へ走りこんだ。



「〇〇よ、己が罪を認めるか?」

その言葉に俺は、伏せていた頭を起こす。
腕は縄で縛られており、後ろには二人の兵士がいる。今、何をしようが無駄だろう。
「俺は嘘はつかねぇ。あいつとはただの酒飲み仲間なだけだ。
罪など犯した記憶は無ぇよ」

多分、俺の目は既に死んでいるだろう。
いつも以上に酒を飲み、街の人間からありえないほどの暴力を受けた――せいではない。
それ以上にショックなことが、頭を揺り動かしている。

「萃香……」

嫌われたなんてもんじゃないだろう。
あいつには大きな傷を負わせてしまった。
その償いも出来ずに、ここで死んでしまうのが何よりも――ショックだ。
約束もしたのに、大事な約束を。

「ならばなんだ、貴様は鬼を相手に酒を飲み合うと言うのか。
いつでも自分を殺せる相手を隣において?」

何と言うか、町奉行の言葉に反抗心を覚えた。

「人間だって、酒に毒を混ぜれば殺せる、刀など一振りで殺せる、やろうと思えば素手でも殺せる。
力が違う者同士が酒を飲み合うのになんの遠慮がある!! 貴様らは鬼というだけで、あいつを差別してんじゃねぇのか、あぁ!?」

やべぇ、イライラ大爆発。

「あいつはなぁ、貴様らとは違う。
俺を人間として見下さなかった、話す時でさえ何の気概も無く話しかけてきた、俺の酒に何の疑いも無く飲んでくれた。
タイマン張らずに高みの見物決めてる貴様らとは全てが違うんだよ!!」

そんなあいつが、悪者なわけが無ぇ……!!

「言う言葉はそれだけか」

ま、どういう風にしろ、俺は死ぬようだ。
その前に一つだけ、こいつに教えておいてやるか。

「いや、もう一つだけ。
あいつとは約束をした、もうこの街には何もしないだろう。
だから鬼狩りはしないで欲し――」

「戯言は聞かない。
鬼が約束を聞くわけが無いし、貴様の言動も容認できない」

……まぁ、いいか。
あいつは既に穴から去っているはずだ。
後は、これで全て丸く収まる。

「〇〇、罪状を述べよう。
一つ、鬼との懐柔を諮り一人生き延びようとした。
一つ、事実を偽り金儲けをした。
一つ、金を両親に渡して街から逃した。
そして何よりも、今ここで事実を否定した」

空を見上げる、あいつと共に見た寝待月が浮かんでいた。
殺されることは既に解っていた。
水沢が領主に萃香の件を話すのが、あまりにも迅速だったのは計算外だったが。
だから、両親に萃香のことを述べて逃げてもらった――その折にくらった拳は、かなり痛かったなぁ。

以上より、〇〇はさらし首とする。

はて、なんか声が聞こえたが……まぁ、いい。
しかしながら、大見得切って『最高の酒をつくる』なんて言ったが、これじゃあ届けるどころか作れさえしない。
死んでも幽霊になって酒を作れるんだったらいいが、人生はそんなに甘くない。

と、横に誰かの気配。
首を落とされるか――しかし、恐怖心は無い。
俺を占めているのは、萃香への想い。

萃香に好かれたというだけで受けた、幸福感とか。
萃香に笑われたというだけで受けた、満足感とか。
萃香に嫌われたというだけで受けた、虚脱感とか。

俺の中心は、あいつだけで出来てたんだ。
だから――大丈夫、殺されてでも、約束は絶対になんとかしよう。
覚悟を決めて、目を閉じた。

そして数秒後、


「人に約束しておきながら、諦めないで頂戴」

聞き覚えのある……いや、聞き飽きた声が耳を打つ。

『街に来ないで欲しいと言うことと、
街の人間を殺さないで欲しいと言うことと、
出来れば今すぐにでも、ここから去って欲しいということだ』

ありえねぇ、あいつは約束は守る奴だからここにいるなんて無いんだ。
あぁ、そうだ。だから俺は幻覚を見てるに違いない。

「だから最低限、目を開けて少しは抗いなさいよね」

俺の隣に、二本の角を惜しみなく見せ付ける幻想郷唯一の鬼がいるという幻覚を――。

「約束、は……どうしたんだよ」
「ごめん、破った」

一言で、言い切りやがった。
ボコボコに晴れ上がった醜い俺の顔を見ていながらも、少女のようにあどけない笑みを俺に向けながら。
まるで、さっきのことは大丈夫だと俺に伝えるかのように。

「やはり、鬼は嘘を吐く種族だったか――!!」
「違うわよ。私の勘違いで友達を傷つけてしまったから、仲直りしに来ただけ。
あんたらには何をする気も無いわよ」

だから失せなさい、と視線だけで言う。
視線の先にいる町奉行は、それでもなお笑っている。
まるで策略通りだ、と言わんばかりに。
敵対した鬼を目の前にして、笑っていられるなんて言うのは――絶対に、何かがある。


「言うこと聞かないと、」
「殺せ」

萃香の言葉を遮って、町奉行が囁いた。
そして一斉に矢が放たれた、俺に対して。

「っ!!」
萃香は反射的に俺を守る位置に立ち、俺から矢を守る。
矢は服を破くが、萃香自信には何も効果など無い。

それでも、そんな彼女を尻目に、豚のようにのうのうとしてるなんて、絶対に俺が許さない。
今できることは、気合で縄を切ることだけだ。

「あ……あぁぁぁあああ」

後ろ手に縛られた縄が悲鳴を上げる。
それ以上に腕が折れそうだが、気にするに値しない。
萃香は俺以上に辛いんだから――この程度、耐えられなくて何が男か。

「っ!!」

縄が切れた。
既に俺、泣きそうだが泣いてる暇など無い。
すぐさま次の行動に移る。

「萃香っっ!!」
「何!?」
「すまん!!」
「……え?」

お姫様抱っこをして、逃げ出した。
塀を乗り越えて、自分の体の限界を超えて走った。
――やべぇ、半端なく体が痛ぇ。

「ちょっと! あんな奴ら、私の敵じゃないわよ!!」
「約束覚えてるか!?」

道には刀を携えた兵士が闊歩していたので、
屋根に乗りあがって街の出口へと向かう。

「覚えてるよ! 殺さない程度の力加減は出来る!」
「俺が言いたいのは、んなことじゃねぇんだよ!!
今すぐ去れ、っつぅのはすぐさま鬼狩りが行われるからだ、
街に来るな、っつぅのは俺のさらし首を見てお前にショックを受けて欲しくなかったからだ、
街の人間を殺すな、っつぅのは街の人間が殺されたら国のレベルで鬼狩りが行われるからだ」

俺が言いたかったのは、この街の平和を守りたいと言うことなんかじゃない。

「お前が幸せに暮らして欲しかったからだ、馬鹿」
「……途中で気付いたわよ、馬鹿」

だったら戦うな、と呟き屋根から地面に降りて、走り始める。


などとカッコいい言葉を言った後でスマナイが、満身創痍だ。
しかもさっきの屋根から地面へ下りるときの衝撃が、体中に浸透してやがる。
全力以上の力で自分の体を酷使してるから、マジで死ぬ。
うわ、こけた。カッコ悪いなー、俺。
なんとか体の位置を変えて背中から地に激突。

「〇〇、大丈夫!?」
「……おぅ、大丈夫だ。すまねぇな転んでしまって」
ふら、と既に立つこともままならない体で立ち上がる。
周りの状況に意識を向ける。

街の出口には、ほど遠い。
街の人間は、結構近いところにいるだろう。
ならば、やることは一つか。


街の中心へと歩を進める。
「ちょっ!? 〇〇、逃げるんでしょ!?」
「いや、困ったことにだな。後、一走り程度しか出来そうに無い」

時間稼ぎには、なるだろうか? いや、時間稼ぎをするんだ、こいつのためにも。
元々、街に戻ったのも、鬼狩りが行われるのを遅らせようと思ったからで。
だったら、前の状況と、今の状況になんの変化がある?

――あるとしたら、俺の心境か。
萃香に嫌われたと思ってた状況と、萃香に好かれている状況――うん、天と地の差だ。

酒もたっぷり入ってるから痛みなんて緩和されていて我慢できる程度だ。
しかもそれでいて、意識はしっかりしているんだ。
足が動かないからどうした、今の俺に不可能など無い。

「よし、やる気出てきた」


と、いささか強い勢いで右肩を引っ張られた。
なんか出足をくじかれた感があったが気にせず、

「ん、なんだ萃香?」

振り返るが、萃香が手を伸ばすには程遠いところにいて、
代わりに、俺の右肩から棒が生えていた。

「……?」

棒の先っぽを見ると、鏃がついていて、
顔を戻して、前を見てみると棒には羽がついていた。

やはり俺は泥酔してるらしい。
体に矢が刺さったことにも気付けないなんて――。


左肩に衝撃。
もう、確認するまでもない。
見る方向は、前方。
弓矢を構えた十人ほどの男たち。

「――なめんな」

どうやら神経を傷つけたわけでは無いらしく、腕は普通に動く。
その拳を握りしめ、走り出した。
満身創痍とか、全力とか、限界とか、関係無しに弓矢を構える十人に。

後ろから、悲鳴が聞こえる。
なんて言ったかは聞き取れなかった。
聞き取るはずの器官は、既に失せた。

俺の全意識は前方の矢の軌跡と、弓矢兵との距離だけに向けられている。
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
握り込んだ拳を全力で振りかぶって――殴りつけた。


恐ろしく鈍い音が、俺の手から響いた。

「いってぇぇぇぇぇええ!?」

折れた、絶対に折れた!! 普通に人を殴ったのになんで、こんなに痛ぇんだ!?
と、その男を見やる。


男は、柱だった。
「……?」
ジンジン響く右手にフーフーしながら、左手で触ってみる。
やはり柱だった。
突いても、叩いても、なでても、柱だった。

「紫様ー、この人間、相当頭が悪いようですね」
「……本当に頭が悪いようね、なんで萃香はこんな男に惚れたのかしら?」

声が聞こえた方に振り向くと、猫耳少女と妙齢の美女がいた。
そして気付く。

「あれ? ここは……家?」
畳張りで、柱のつくりを見るからに頑丈なつくりをした家だ。
「良かった、猿並の脳でも言語は理解できるようね」

橙、薬を取ってきて、と美女が隣の猫耳少女に言う。
はーい、と猫耳少女が元気良く飛び出して行った。

それを見送って、美女に話しかける。
「質問いいでしょうか?」
「何かしら」
「ここはどこ? 私は誰? 今はいつ?」
「女性に対して、変な質問ね。
まず自分の名を名乗ってから、私の名を聞くものだと思ってたわ」

ツボに入ったのか、楽しそうにククと喉を鳴らした。
俺、変なこと言ったか?

「えっと、俺の名は〇〇。あんたの名は?」
「紫よ、八雲 紫。あの子は、橙」

と、黒っぽい液体を持ってきた少女を指す。
どうにも塗り薬らしく、そのまま足の傷口に塗り始める。

「――っ!!」
かなり痛むが、女性の前で悲鳴を挙げるのは躊躇われる。
しかも小さな子が俺の怪我を見ても平気で手当てしてくれてるんだから、と歯を噛む。

「……えっと、紫様、どうします?」
「醤油じゃ堪えないわね、塩を持ってきて」
「はーい」
「ちょっと待て」

明らかに食用の入れ物であることに気付けない俺も俺だが、醤油はねぇだろ!?
やべぇ、足にかけられたモノの正体に気付くと痛みが倍増になってきたぁ……!!
橙という子がいなくなると同時に、悶え始めた――釣り針につけたミミズみたいな感じで。

「橙ー? 大分堪えてるようだから、薬を持ってきてー」
「解りましたー」

悶えている俺を興味深そうに眺めて一言。
「面白いわね」
「それ以外に言うことはねぇのか!?」
やべぇ、自分の声が足に響くぅ……。

「うるさいわねぇ。助けないほうが良かったかしら?」
「……へ? 今、なんと仰られました?」
「たーすーけーたー、って言ったの」

……そう言えば、萃香を守る為に戦ってたんだ。
すっかり忘れてたぜ、はは。
あれ? 萃香?

「すいかぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」

まるで蛇のようにずりずりと畳の上を動くが進まない。
やっぱり足と手をかばいつつ動くのは無理があるようだ。
しかも、肩に刺さった弓矢がどうにも邪魔だ。

「萃香ぁぁぁぁ、どこだー!?」
襖を頭の動きで開け放つが、何も無い。
「萃香ぁぁぁぁ、どこなんだー?」
「本当にうるさいわね。食べるわよ?」

見下したかのような声が、後ろから聞こえた。
おぉ、俺としたことが、冷静さを失ってしまったようだ。
と、気になるキーワードが頭に入った。

「食べる?」
「えぇ、私は妖怪ですもの。スキマ妖怪の八雲 紫」
「……食べる?」
「友人の知り合いが助けてとか言ってたから助けたまでよ、その後は私の勝手よ」
ぺロリと、唇を舐める仕草はエロティズム溢れるが、逆に怖いのは何故だ?

その行為と、意味を頭の中で咀嚼し、味わい、理解した。
「あの紫さん? 黙りますから、食べないでください」
「……ふん、しょうがないわね。次やったら、容赦なく食べるから。それで萃香の件だけど、」
「大丈夫なんですか? 傷は負ってませんよね? 一人で困ってたりはしませんよね!?
こんなことしてらんねぇ、探しに行ってくる!!」

また、スネークモードに移行した俺を眺めながら、紫さんは薬を探しているであろう橙に言う。
「橙ー、薬の代わりにあんこを持ってきてー。美味しくないだろうけど食べるわー」
「はーい」
慌てて自我を取り戻して、繰り返し、土下座した。

そっからは傷の手当をして貰いながら、話を聞いた。
もし、俺があのまま弓矢兵の一人を殴っていたら、隣からの矢を受けて死んでいたというわけらしい。
だからスキマを開けて俺を助けたという
今現在は、八雲 藍という紫さんの式を送って説得中。
その藍と言う人は、かなりの知識を持っており、街の人間を言いくるめるなんて造作も無いとか何とか。

「そっか、あいつは無事かぁ……つっ!!」
肩に刺さった矢が抜かれた、痛ひ。
血がドバドバですよ、あぁ、橙ちゃん、薬で無理矢理蓋するなー!!
「もうすぐで帰ってくるようね」
「そ、そうですか。それは良かった」
「どうしたの? 顔色悪いわよ?」

そりゃあ顔色も悪くなる。
体中ボロボロなのに加えて、酒の過剰摂取、傷に醤油を塗りたくられればこうなるわな。
あ……やべぇ、目の前が真っ暗になってきた。
「ど したの〇〇、眠っ ら食べ わよ?」
「紫 ま、 んこを用 しま たが、どう ま ?」
「食 よう しら、あま 美味 くな ても 腹は満 せる 」
なんか物騒なことを言われてる気がするが、どうにも目蓋が重たくて――。

そして、俺は意識を失くした。


「――ん、ここは」
布団の上で目を覚ました、辺りを見回すと、

「ふふ、紫のお腹の中かもね」
そんなことを笑顔で言ってる萃香がいた。
「すい、」
そこまで言って、気づいた。
今すぐにでも抱きつこうとした体が動きません、ってか痛すぎだぞこれ。

「あー、絶対安静だってさ。
動いたら体中激痛が走るから、動いちゃダメ」
と、頭を抑えつけられた。
動きようが無いないので、萃香を下から見上げることにした。

恥ずかしそうに目を合わせず、頬を膨らませて、何をしたらいいか解らずモジモジしてる姿は、
何と言うか――

「何と言うか、言葉にして表せられないもどかしさが〇〇を襲う。
〇〇は動けない体を悔しく思っている」
「ナレーション口調で何言ってるの!」
空気読んでよ、と小声で囁かれた。

いや、この空気に耐え切れずに違う空気に変えようとしたんだが。
この空気のままだと、言いたいことも言えないだろうに。

「まぁ、なんだ? 誤解させちまってすまなかったな」
何かを言われる前に言って、顔ごと萃香と逆方向に向ける。

先制攻撃とか思ってたが、やべぇ、体が動かないから恥ずかしいことを言っても逃げることが出来ねぇ。
どうしよう? 「なーんちゃって」とか言って空気を変えるか?

「いや、私こそ気付けなくて、ゴメン」

……このもどかしい雰囲気をどのようにして変えるべきか。
あいつの顔をまともに見れねぇよ。

「えっとね、〇〇。その償いなんだけど」
「なんだ?」
と、言葉を言い切る前に唇を塞がれた――萃香の唇で。


数秒後、どちらからと言わず、唇を離した。
「……熱烈的なキスは無かったね」
「萃香が猫撫で声を出さなかったせいで、熱烈的なキスは出なかったんだ」

あんまりキスが上手くないと言われたようで、拗ねながら反論する。
体が動かないせいで、萃香を支えられないのが痛いなぁ。

「えと、〇〇。あの……いい、かな?」
恥ずかしそうに布団を指差す。
――――――――――――――――――――萃香が何をしたいのか具体的に聞きたいが、いや、その前に。

「いや、萃香!? お前、経験あるのか?」
「……経験なんてないよ。
人とここまで関係したこと自体が初めてなんだから――それで、返事は?」

恥ずかしそうに俯く彼女に断る術を俺は持ってなかった。

「いいが、どうなっても知らんぞ?」
「うん、〇〇が相手なら……どうなっても良い」
なんでこいつは、こんなに恥ずかしい言葉を平然と言えるんだ!?
と、萃香が布団を上げて潜り込んできた――。




「そっ、それで、それからどうなったんじゃ――!?」
「おい爺ちゃん、発情し過ぎだ。肩をつかんでガタガタすんな」


まぁ、そんなこんなで、新しい村に萃香と共に住むようになった。
誤解も解けたことだし街に住むのも一つの手だったが、
あんなことの後に戻るなんて言う勇気は俺には無かった。

「〇〇、聞いてるのかっっ!? それから――」
「爺ちゃん、忘れてるぞ。
俺の体は満身創痍で、少し動かしただけで激痛が走るというのに何をしろと言うんだ?」

爺ちゃんはガタガタ動かしていた腕を放し、呆然とした目でこっちを見た。
「じゃ、じゃあ、その後は何をしたんじゃ?」
「問答無用、情け容赦無しに一緒に寝た」

そう、布団に入って背中合わせに一緒に寝た。
すぐ近くにいるのにあちらからは何もせずに、こちらは動けないと言う生地獄。
正直、寂しかった。

「しかも、爺さん。一番重要なのはな?
萃香の奴、そう言う行為を何も知らないってことなんだ」
「う……嘘じゃろ?」
「本当なんだよ。
裸を見るのも見られるのも恥ずかしがるくせに、性的知識はゼロ」

どうにもショックなのか、愕然な表情をしていたが――すぐさま表情が変わった、やたらと自慢げだ。
「わしの嫁はのぉ? 初めての時も、にゃーんにゃんじゃよ。
嫌がりながらも逆らえずに、にゃんにゃんする姿は〇〇にも見せてあげたいもんじゃよ。ほっほっほ」
「お爺さん? なに店頭で客と話し込んでるんですか?」

おぉ、噂をすれば影。婆ちゃんが現れた、包丁両手に持って。
目の端にそれを捉えて、慌てる爺ちゃん。
「それで、〇〇。注文はなんじゃ!?」
「いつもので」
「婆さん、油揚げ十枚、十枚じゃー!!」
「あいよぉ」
と、婆ちゃんはキッチンに戻っていった。
壁に包丁を押し付けることにより、やたらと手に持った包丁を強調しながら。

それを尻目に、爺ちゃんがこちらに振り向く。
「〇〇、一つだけ言っておこうかの」
「なんだ、爺ちゃん?」
「貸そうか?」

何を貸すかは、口で言わなくても解る。
この爺ちゃん、所持するエロ本の数からエロ爺さんと村の中であだ名されている。
――そんな彼が、貸すものと言えば?

奥にいる婆ちゃんに意識を向けながら、
「……大丈夫か?」
「大丈夫じゃ、お前さんの部屋に数冊置いとくだけで良いんじゃ。
掃除しに来たお前さんの嫁がそれを見つければ、試合は終了じゃ。
全てが上手く行く」

まだ結婚してねぇよ、と言い返すのも忘れて目の前の人物に恐怖を抱いた。
やべぇ、この爺ちゃん、かなりの孔明だ。
俺の考えの先の先を行ってやがる――!!

「報酬は?」
「ふん、わしと〇〇との間には、そんなモノなど必要ない。
いつか宴会やる時に呼んでくれれば、それでいいんじゃよ」

目を擦る。
今、一瞬だけだが、この爺ちゃんが菩薩に見えてしまった。

「いつか間が空いたら行くが、時間は大丈夫か?」
「夜に来い。婆さんにバレると全部捨てられる――」
などと、俺の後ろを見て固まった。
振り向く。婆さんが笑顔で立っていた。

「〇〇さん、これ品物ですよ」
「はぃ、ありがとう御座います。それでは」
「〇〇、わしを見捨てる気か!?」

スマン爺ちゃん、俺の力では貴方の婆ちゃんを止められん。
「爺ちゃん、忘れてると思うが今日の九時にいつものとこで宴会あるからなー。気をつけろよー」
言い切って、豆腐屋から去っていった。

「お爺さん? 随分、楽しそうにお話していたように聞こえましたが」
「違うんじゃ! ただの男の話というだけで、見栄っ張りも多量に含まれてたりするんじゃ!!」
「そうですか。先程、部屋を見てきたのですが、いっぱい積んであったのは何ですか?」

頑張れ、爺ちゃん。
俺には、そんなことしか言えない。


と、豆腐屋から出て、とある場所に向かう。
その折に考えるのは、この村のこと。

「萃香が鬼だって話しても、驚かなかったなぁ……」
まずあの街の二の舞になる前に話したのだが、笑顔で『そんな可愛らしい鬼だったら大歓迎だ』と返された。
そっからと言うものも、古くなったから使ってないと言う酒屋を俺と萃香で直して、今、酒屋を営んでいる。

しかし、村の人は、鬼以上に俺の格好が気に入らないらしい。
「上半身裸だと、子供が怖がるからやめてください――か」
あの事件での傷跡は癒えずに未だ残ってる。
男の子に見せると興味津々に見るが、女の子はやたらと怖がる。
――だから、服を着ることになった。

「服を着るのは、なんかに縛られるようで嫌なんだがなぁ」
萃香も、そっちの方がいいって言ってたが、やはりこの年で上半身裸はマズいのか――。


物思いに耽っていると、目的地に着いた。
そこは、八雲家。
ノックをして、返事があった。
たまに返事が無いときもあるので、正直、ほっとした。

「おや、〇〇ではないか。入るか?」
「あぁ――いや、客もいるようなので、これを渡して帰ろうと思います」
どうにも二人分の見慣れない靴があるから、当たってるだろう。

紹介が遅れたな、今俺と話しているのは八雲 藍さん。紫さんの式と言う立場に立つ方だ。
頭も良いので、紫さんにこき使われて毎日、忙しい日々を送っている苦労人である。

と、奥から橙の声が聞こえた。

「藍様ー」
「なんだい、橙」
「食料が切れましたー」
「……やはり足りなかったか」

食料難に陥ってるようなのである。
何と言う幸運、ナイスタイミングにも程がある。
「あの、藍さん。良ければ、これを使ってください」
「ん? ああ、〇〇、ありがと……う」

袋の中身は、油揚げ。先程、豆腐屋から貰ったものである。
藍さんの好物だったと思ったが……何故、もの凄く苦い顔をしてるんだ?
そんな俺から震える手で、袋を受け取り確認。

「幽々子様の摂取量から、全ての油揚げが無くなることは予測できる。
ならば――私の油揚げの摂取量は、ゼロ。
いや、可能性はあるかもしれない。一枚一枚の油揚げを二つに分けて出せば――いや、量が変わらないからダメだ。
精神学的に腹を満たせるようにするには、どのようにするべきか――」

意地でも油揚げを一枚だけでも残したいらしい、小学生の計算から俺には理解できない精神学的なところまで手を出し始めた。
そう、真面目そうな藍さんは困ったことに変なところが二つほどある。

「藍を発見~。しかも手にしているのは、油揚げと見た!!」
とても無邪気な声と共に、藍さんから油揚げが消えた。
「幽々子様っ!? 何をするんですか!!」

藍さんが叫ぶ先には、優雅な服装をした一人の女性。
とても華やかだと思ったが、手に油揚げの袋を抱え、口には油揚げ。一気に台無し。
「美味ひい油揚げらね~、全部食べちゃえ」
「っ!! いくら幽々子様と言えど、それだけは許せません――!!」

一つ目は、異常なほど油揚げを好き好んでいること。

「んむ、美味しい。それはさて置き、橙ちゃんがあっちでお腹が痛いって、倒れてたわよ~?」
「橙がっ!? く、くそぅ……」
藍さんが、どこぞのアニメのように涙を残して走り去ってしまった。

二つ目は、、異常なほど自分の式である橙を可愛がっていること。

「まぁ、倒れてるなんて嘘だけどね。しかし、本当に美味しいわね~、この油揚げ」
本当に美味しそうにと食べている女性を見ながら、思う。

ここに来ると言うことは、やはり凄い人なんだろうなーとか、
油揚げを至高の食べ物を食べるかのように頬張ってるなとか、
――色んな意味で、ただもんじゃない。

ふと、目が合った。

「あらあら、ここに人間が訪れるなんて珍しいわねぇ」
「いやはや、色々とお世話になりましたので。
そのお礼に、たまに来るんですよ」
「ほうなんだ、はむ、美味ひい~」

油揚げを食べる様子を見ながら気付く。
ペース速いな、既に七枚目にかかっている。
まぁ、深い関係にはならないだろうなと思いつつ、
「えっと、私の名は〇〇と言うのですが、貴女は?」
「私は、幽々子。西行寺 幽々子よ」

よろしく、と微笑んだ。やはり油揚げを口に咥えて。
「えっと、八雲さん家とも縁があるみたいなので言うのですが。今日にでも宴会やるのですが、来ます?」
その質問は気軽に言ってみたつもりだったのだが、

「〇〇!! 止めろ、止めるんだー!!」
廊下の奥から、藍さんが必死の形相で走ってきて、俺を庇うかのように前に立った。

「……あの、藍さん?」
「幽々子様の胃袋は異常だ、八雲家の食料庫を食べつくして未だお腹が減ると言うんだ!!
貴様の家のエンゲル数が一気に五倍――いや、八倍に跳ね上がるぞ!!」
流石は『お母さん』と呼ばれてないな、と混乱した頭で思った。
やはり家計とか考えてるんだ――。

「ふふ、藍。そんなことを言っても良いのかしら?」
と、幽々子さんが無邪気な顔から大人な顔になった。

「なっ、何を仰るのですか!?」
「ふふふ」
自信満々で、差し出す手には油揚げが一枚。
既に残っているのは、その一枚のみだ。

「なっ……それはっ!?」
「そうよ、貴女は見捨てることが出来るのかしら?」
とても色っぽく笑う幽々子さん。
何と言うか、子供な面から大人な面まで持った人である。

ぴらぴらと油揚げを振る美女と、そんな彼女に対して手も足も出ない狐耳の女性。
部外者の俺が見たら馬鹿っぽく見えるが、空気がそうではないことを表している。
「さぁ、どうするのかしら?」
「橙、今だっっ!!」
ガタンと天井裏から現れた橙が、目にも留まらぬ速さで油揚げに飛びつき――あえなく捕まった。
油揚げに触れる、一瞬前にもう片方の手で首元を掴まれたのだ。

「これで人質は二人になったようね」
「藍さまー!!」
橙が、ジタバタと暴れるが逃れられる様子は一向に無い。
「橙っ!! 幽々子様、卑怯ですよ!」
「自分の式を使う方が卑怯でしょう?」
ふふ、と余裕の笑みを浮かべる幽々子さん。
くっ、と歯を噛み苦汁の表情を浮かべる藍さん。


――ちょっと、面白いかも。

もう少し見てから帰ろうかと、玄関先に正座して、彼女たちを見守る。
と、隣に俺と同じように一人の少女が座った。
腰に刀を二本差し、いかにも真面目そうな子だ。
「君は……幽々子さんの知り合いか?」
「えぇ、幽々子様のところの護衛や庭師をさせてもらってる魂魄 妖夢と申します」
「俺は〇〇って言うのだが、俺に用か?」

こんな道中を見る為に座る俺に付き合う程なんだ、それしかないだろう。
「先程の宴会の件ですが――私たちも参加しても良いでしょうか?
お金はこちらで持ちますから」
苦笑気味に言うその言葉には、藍さんのような『お母さん』染みた何かがあった。
――多分、この子も苦労人なのだろう。

「何かあったのか?」
「いえ、なんと言いますか。幽々子様も最近、お仕事での疲れでストレスが溜まってると思うのです。
ですから、参加させていただきたいな、と」
その言葉を聞きながら、話に出てきた張本人の方を見る。


「さて、貴女は橙と油揚げ、どちらを取るのかしらね?」
「何っ!? 私は橙を取るに決まっている――」
そんな藍さんを幽々子さんは見下すように鼻を鳴らす。

「貴女の油揚げへの愛情はその程度だったのかしら?」
「な……なんだって?」
「油揚げ一枚、されど一枚よ。それを貴女は見捨てた。
要するに、あなたの――油揚げへの思いなんて、普通の食べ物と変わらないのよ」
ビシッ、と油揚げを藍に見せ付ける。

「違う、私はただ橙を――」
「そう、自分の式と油揚げを比べて、式を取った。
油揚げなど、その程度に過ぎない。そうでしょう?」
と言いながら、油揚げの角に口を付ける。

やたらとエロく感じて、正座から体育座りに移行。
男なら、この行為の理由を解って欲しい。


「で、妖夢よ。今の彼女はストレス満々か?」
「……いえ、久々に八雲家の方々にあって上機嫌なのでしょう。
いわゆるストレスの発散中です」
かく言う妖夢も楽しそうなのは、それだけ繋がりが高いからだろう。

その様子を見ながら、一言。
「まぁ、宴会を荒らさないんだったら、誰でも大歓迎だ」
時間を確認すると、宴会が始まる三時間前。

「そろそろ帰らないと、家の奴に怒られるな。
家には八雲家の方々に着いて来れば、行けるだろうから」

小声でお邪魔しました、と八雲家から去って行っ――

「あら、〇〇。これからが良いところなのに~。ちょっとこっちにいらっしゃい」
一番厄介な人に見つかってしまった。

「……あの、俺、帰って萃香の手伝いを」
すぐ終わるから、と手招きされた。
余裕を見せ付けるようでいて隙が無いのか、藍さんも動こうにも動けないようだ。

――どうにも怪しいので、注意深く近づく。
「それで、幽々子さん、俺に用ってなんもふ、もふもふもふ、ごっくん」
口に入ったものを反射的に飲み込んでしまった。味からして、油揚げ?
あぁ、そうですか。俺に全てを擦り付ける気ですか、はは、あははは。

『全てを擦り付ける』、『油揚げはクリア』、『橙は?』

頭の中がフル回転、何をされるかは明らかだ。特に右腕を掴まれてる時点で――
「っ!!」
幽々子さんの左手に橙が、右手に俺の手がいて、橙の胸に俺の手が触れるまで数cm。
踏ん張って、逆ベクトルに力を込める。
「あら、人間にしては力があるのね、〇〇」
「お褒めに預かり光栄ですが、右手を離して欲しいんですが!!」
目の端で、藍さんを確認。

あぁ、ここで、触れたら俺の命が無い――明らかだ。

幽々子さんの力と、俺の力は拮抗している。
ならば藍さんが助けに来るまで、ふに、拮抗を続ければ大丈b……『ふに』?

……相変わらず、俺って馬鹿だよなぁ。
俺と幽々子さんの力が拮抗していても、橙は首元を掴まれてるんだから容易に動かせるんだもんな。
なんて簡単な公式♪ しかも、橙も「きゃ」なんて悲鳴も挙げちゃったし。
見るまでもないが、藍さんの顔を確認。

わぁ、凄い笑顔です♪
あれ、ジェスチャーですか? 『表に出ろ』?
――死亡フラグが立ちました。
それも胸を切られて死んだとか綺麗なのじゃなくて、破片も残らなさそうなのが。


誘われるまま庭に出た。
周りを見渡すと、ほくほく顔の幽々子さん、焦り顔の妖夢、泣き顔の橙。
そして俺の前に立つ、笑顔の藍さん。うん、目が笑ってませんよ?

「さぁ、どっからでも掛かって来い」
笑顔のまま、そんな事を言ってきた……怒ってるのそっちだし、俺は濡れ衣じゃないんデスカ?
しかしながら、どうにも襲い掛からないといけないらしい。
どうせ刀を持とうが、ひのきのぼうを持とうが、素手だろうが変わらない。
本気で殴りかかろうが、赤子のように扱われるだろう。
「……ふぅ、萃香に一言、言ってやりたかったな」
ストレス解消の手助けになればと、全力で走りこんで殴りかかった。

「フタエノキワミ、アー!!!」

額に鈍痛。
視覚することも出来ないほど素早い拳がめり込んだ。
そこから数m吹っ飛び、石段にぶつかった。

「――ァア……」
正気に戻った藍さんが慌てて寄って来たことや、
妖夢と橙が薬を取りに屋敷に戻ったことや、
幽々子さんがニコニコと上機嫌で微笑んでいたことを見ながら――。

そして、俺は死んだ。


「――勇者よ、死んでしまうとは情けない」
「死んで蘇らせるほど世の中はファミコンじゃありません、ってなんで悠長にツッコんでんだ、俺。
ここはどこ? 私は誰? 今はいつ?」
「ここは貴方の家、貴方は〇〇、今は午後十時よ。
本当に〇〇は、意識失ったらそんなことを聞くのね」
クク、と上機嫌に喉を鳴らすのは八雲 紫さん、その人だ。

「八雲家でバタバタしていたと言うのに、出てこなかったのは何故です?」
「ウフフ、寝てました」
そっか、それはしょうがない。
うんうん、そんな事は突っ込むに値しない事だ。

「さて本題ですが、俺の上に座っているのは何故ですか?」
なんか俺の貞操ピンチ。
「あら、女性に対して重いとか言うつもり?」

いや、目がマジですよ、紫さん! 逆切れされると反応に困ります!
「大丈夫、大丈夫です!!
暗に秘めた物言いではなく、ストレートに理由を聞いただけです!!」
だから首を噛まないでー!! 俺は食べても美味しくないですよー!!

満足したのか、俺の首から口をはずして、紫さんは笑いかける。
「……最近思うのだけど、〇〇って変わったわね」
「いや、何故、私の上に乗っているのか理由を聞きたいのですが?」

俺の言葉を無視して、扇を口に当てながら。
「特に変わったのは口調ね。
私とかを相手にしたときには、『俺』から『私』とか、ですます口調になったりとか」

そりゃあ傷口に醤油を塗ったり、
あんこを付けて食べようとしたり、
たちの悪い悪戯をされたら、こうなるわな。

「それよりどいて下さいよ。
萃香に見られたら嫉妬ファイアで焼かれちまう」
嫉妬で妬く、ファイアで焼く、と言う親父ギャグを言ったつもりだったが、

「一番変わったのは、これよねぇ。
初心になったわねぇ、ふふ、食べちゃいたいくらい」
「ちょ!? 止めてー!!」
座った姿勢から一気にのしかかってきて、服を脱がし始めた。
マジで駄目です!! 最近のアニメでこういう場面は、失恋フラグで死亡エンドと王道なのですよー!!
――ってか、立場逆転してないか!?

「紫!! それは、ダメー!!」
襖から、萃香が飛び出してきた。
上半身裸の俺と、そんな俺に乗っかっている紫さん。
――失恋フラグで、死亡エンド確定しました。皆さん、今まで、ありがとう、本当にありがとうー!!

「いや、貴女がこういう事をしないのは何故かと思って自分で実験をしてみただけよ」
と、何でもないかのように退かれた。
「「……あれ?」」
俺と萃香の声が重なった。

「幹事は貴女の代わりに幽々子に任せなさい。
ストレス解消に何かやりたいとか言ってたから。
お邪魔だろうから、これで」
バイバイ、などと無茶振りしてスキマに入って、何か思い出したのか、首だけ出して一言だけ呪いを残していった。


「早くしないと、本当に食べちゃうかも」

完全にスキマが無くなったことを確認した。
「……なぁ、萃香。
誤解を解こうと思うが、どこから聞いてた?」
「『――勇者よ、死んでしまうとは情けない』から」
始めからかよ、だったら誤解は無いだろうが……別の意味で困った。


場を緩ませようと先制攻撃をしようとしたが、先に質問された。
「えと、〇〇。あのままだったら、何をされたの?」
ストレートに責められました。
危険です、俺の意識がレッドゾーンを突破しました。

そんな頭で、必死にR指定が付かない言葉を探った。
「――戦争、戦争になっていただろう」
「? 〇〇と紫が争ったところで、紫が勝つに決まってるじゃない」

違う、違うんだ萃香。俺の苦労を知ってくれ。
「基本的には、男が侵略国で、女が防衛国でだな?
そして『戦争』を行うんだが――こぅ、『戦争』でありながら、平和なんだ!!」
「〇〇の説明は、解り難い」

あぁ、もぅ、不機嫌な風に頬を膨らませるな。俺だって困る。
「……説明が難しいな」
「じゃあさ、私に『戦争』のやり方を教えてよ」
時速300km/hの剛速球が、頭の中を突き抜けた。
超危険です、俺の意識がリミッターを既に超えました。

「萃香、よく聞くんだ。
平和な中にも、危険は隠れてるんだ。言葉に騙されちゃいけない」
「言葉がグチャグチャだよ、〇〇。
それに〇〇だったら、手加減してくれるでしょう?」

――頭の理性がパッ、と消えた。
手加減とか、俺に対して信頼しかしてない萃香がたまらなく可愛かったから、
頭の中の中枢神経に住んでる〇〇が、雄叫びを上げる。


そんな様子を見せないように無言でクイクイと、萃香を手招きした。
上機嫌で近付いてくる萃香が、四つん這いに俺にかぶさる。
紫さんのように扇情的な感じではなく、表現するならば猫が昼寝のために無防備をさらす感じ。
そんな萃香を俺の胸に抱き寄せた。
「え……っと、〇〇。あの、ね」
既に俺と萃香の体は密着してる、そのことを訴えたいのだろう。

しかし、無視して萃香の喉元に歯を立てた。
「ちょ、〇〇!! 止め……て、あぅぅ――!!」
噛むのではなく、歯を喉にくっつける程度だが、効果は抜群のようだ。


キスと同じように数秒後、
「はい、終わり。体験版はここまでです」
萃香の喉から、口を離した。

――正直、口を離すのがコンマ一秒でも遅れてたら、R指定がかかる行動を起こしかねなかった……。
鬼の力だったらすぐさま俺くらい引き剥がせるのにそれをしない萃香が可愛かったから、ついついやり掛けた。
ふぅ、俺にしては上出来だと思いつつ――さきほどから気になっていた事がある。

「おいこら、襖の奥!! 何人いる!!」
「……」
無言で去る足音は、一人や二人なんかじゃなくて――おい、まさか宴の参加者全員か!?
眩暈が起きたが、まぁ、いいや。事も済んだし、俺たちも宴に戻るか。

「おい、萃香ー。宴に行くぞ」
「う、うん」
恥ずかしそうに、頷く萃香。どうにも首に歯を立てるのは早過ぎたようだ。
そして襖を開けて誰もいないことを確認した俺に向かって、

「また、お願いね」

あー、あー、あー、ゴホン。萃香、お前って言う奴は――
まったく可愛過ぎるぞ。

「……逆にこっちからお願いしたいくらいだ」
ふふ、と後ろから聞こえる声を無視し、満月が浮かび満開の桜が咲く宴へと向かった。



今日で萃香と会って五年目となる――その宴と言うわけで、目の前にいる大勢の人々が集まったわけだ。

宴の最中にも言われたが、五年目にもなっていながら俺と萃香との進展が遅いと言う話、その話に対して俺は、それでも良いと思ってる。
あいつは長い年月を生きてきたんだ、あいつにもあいつなりのスピードがある、いきなり慣れろというのも酷だろう?
うん、ゆっくりと二人の仲を縮めていこうと思うんだ。
だから、爺ちゃん、お願いだから勝手に俺の部屋にエロ本置くなよ?


――あぁ、最高の酒のこと? 今でも開発中だよ。
こぅ、タイミングとか、どんな風にするのかとか、何秒するのかとか、あいつにもこだわりがあるからな。

え、酒の銘柄は決めたのか、って? 当たり前のことを聞くなよ。
『鬼殺し』って、俺は呼んでるがな。
俺が知ってる彼女の好みと言えばな?


宴中、辺りに誰もいない時に、俺と萃香がどちらからともなく目を閉じて、きっちり十秒間、一緒に飲みあうのが好みらしいんだ。


ん? それは酒じゃないだろって?
馬鹿言え、あいつが酔ってくれるんだ。酒でない訳が無いだろ?

まぁ、困ったことに酔うのは、あいつだけじゃないんだけどな―――――。




終わり。


            ~ついでに~

「……あれ?」
「どうしたの? 〇〇」
辺りを見回すが、どうしてもあの人が見つからない。

しょうがないので、紫さんに聞くことにした。
「あの、藍さんはどこにいるのでしょうか?」

優雅に酒を口に運びながら、
「ちょっとした罰を与えてるわ、手加減したとは言えあなたを殴ったから」
その様子を見ながら、どんな罰かと聞いてみた。

「ふふ、簡単よ。
まず、体中を鎖で雁字搦め(がんじがらめ)にして、天井からぶら下げる。
そして一時間藍の体を回した後、橙の写真と油揚げと見せる。
何らかの反応を見せたら、もう一時間、って感じね」
「それじゃ一生経っても逃げれないんじゃ――」

ヤバイ、全恨みが俺に集中して殺されてしまう。

幽々子様のせいであることは隠して、殴られたのは俺のせいであることを述べてみた。
「あら、そうなの? だったら何故、藍は怒ったのかしら?」
「いえ、俺が油揚げを食べて、橙の胸を――」
「胸を?」

橙の方を見る。
思い出し泣きをしており、妖夢が慰めている。

――もう駄目だやられちゃうよ。
「えーりん、えーりん、助けてえーり、ムガ」
いきなり猿轡(さるぐつわ)で口を塞がれ、体中が雁字搦め。うわ、本当にスキマって凄いな。

って、あれ? これは誰かさんと同じ状況じゃね?
「エサは、萃香のドロワーズにしようかしら」

違う、誤解なんです、と首を振るも何の効果も無く、俺の下に開いたスキマに飲み込まれた。

消えてすぐさま、入れ替わりに萃香が現れた。

「あれ? 紫、〇〇はどこいったの?」
「〇〇は、疲れたから寝たわよ」
「そっか、もうちょっと飲もうと思ったんだけどね」


俺が八雲家から解放されたのは、それから三日後の話だ。

10スレ目>>362・393・415

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