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魔理沙4

最終更新:

orz1414

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ガタガタと、周りの物を動かすたびに音が響く。
数多の道具に囲まれて生活していた自分は、ずっとこのままの家で暮らすと思っていた。
が、そんな今までの思いとは裏腹に、自分を囲っていた道具達は今「整理」という作業を遂行されていた。

理由?そんなの知らない。
だって気づいたらやらなくちゃ、と言い聞かせていたから。

片付けて綺麗にして、それで何なのか。
別段今まででも道具の場所は解るし、不便と感じたことはない。
むしろ片付けることによって場所が解らなくなる可能性だってある。

それなのに何故こんなことをしているのか。
決まっている、自分を良く評価してほしいから。

最後に大き目の水晶を退かして、どこぞの巫女が見たら呆れるほど不釣合いなお洒落なテーブルを置いた。
香森に頼んであしらって貰った物は自分も気に入っていた、似合う似合わないは放っておいて。
そこに色々と紅いトコロから”善意で”頂いてきた立派な紅茶の葉が入ってるティーポットを、そしてコースターとカップを置く。

―――そこに並べられたカップの数は、二つ。

チラリ、と時計を見る。
時間まであと6分。
ソワソワ、と時計とテーブルに視線を行き来させて。
時間まであと2分。
ドクドク、と早くなった動悸を深呼吸で整えて。
時間まであと―――


「魔理沙ー、約束どおり遊びに来たぞー!」


一気に赤くなった頬を隠しながら、「いいぜ」と私は言った。



さぁ、私の「恋心」を受け止めてくれるか―――?


6スレ目>>409

────────────────────────────────────────────────

「○○、なんかしようぜ!」

 彼女は俺の家に来るなりそう言った。

 「メンドイからヤダ」

 俺は瞬間そう答える。

 「なぁ、そう言わずになんかしようぜ。私は暇で暇でしょうがないんだ」
 
 しかし彼女は引き下がらない

 「たく、仕方がないな。……なら、アレをするか」

 仕方なく俺は、思いついた遊びをする事にした。



 「なら、Draw Fourだ。そして色は赤」

 彼女がそういったので、俺はカードを8枚引いた。

 その時に、彼女は怪しく嗤いながら言った。

 「ふ、ふ不不腐腐。 さっきから負け続きだが……今回はさすがに私の勝ちだな」

 彼女は勝てると思ったのかそう言ったが、俺は強気に言い返す。

 「さて? それはどうかな?」

 俺は自分が引いたカードを確認する。

 手持ちのカードは12枚。

 内容は 記号は Draw Two 赤青緑の 4枚 と Wild Draw Four 2枚 Skipが赤と緑で2枚 

 そして青と黄の 1 が4枚 。

 数は多いが内容はあほみたいに良い。
 
 対して彼女のカードは6枚か……

 すでに使ったカードの中で確か Draw Two は1枚 Wild Draw Four は1枚。

 「これなら……いけるな」

 俺はニヤリと笑いながら、彼女に聞こえない位の声で言った。


 「今回はこれだ!」

 彼女はそういい赤の6を出した。

 そして俺の番だ。

 さて、仕掛けますかね。

 「まずはSkip3枚だ」

 「ふん。1回位のSkipで私の優勢は変わりはしないさ」

 彼女は俺がカードを出すとそう言う。

 なので、さらに攻める事にする。

 「なら、これならどうだ?」

 俺はDraw Twoを1枚出した。

 「お返しだぜ!」

 すると彼女はDraw Two1枚出す。

 「ふふ、ならこれで」

 次に俺はWild Draw Four を1枚出す。

 「○○、そろそろ勝負をつけようぜ」

 そう言って彼女はDraw Twoを2枚出した。

 「では、これで終わりだ!」

 そう言い俺はDraw Twoを2枚出す。

 「クックック。それはこっちの台詞だぜ! これで私の勝ちだ!!」

 彼女は最後にWild Draw Fourを出した。

 彼女は自信満々な顔で自分の勝利を宣言した。

 この顔は彼女らしくて好きだ。もう少し見ていたいと思う。

 しかし俺は言ってやった。

 「実は……もう1枚あったりする」

 「……え!?」

 瞬間空気が凍りついた。

 「は、はは○○。嘘はいけないぞ」

 彼女はそう言う。

 気持ちが解らなくは無いが……

 そう思いながらも俺は最後の一枚を出す。

 「ほれ、Draw Four 色は青」

 最後のカード――Wild Draw Four――を俺は出した。


 「は、はは……まだ終わって無いぞ……」

 彼女は弱々しくそう言った。

 Draw Four 7枚 Wild Draw Four 3枚で、計26枚のカードを引かなければいけないので、当然と言えば当然である。

 そんな彼女の言葉に俺は、無情にもこう告げた。

 「いや、もう引かなくても良いぞ」

 「え、どう言うことだ?」

 俺がそう言うと彼女は案の定そう聞き返してきた。

 「ほれ」

 俺はそう言い手札――青と黄の1――を4枚出した。

 「あ!?」

 
 「今回は勝てると思ったのに……」

 彼女は不機嫌そうに言う。

 「まぁ、俺も負けたらやばいんで」

 そんな彼女に俺はそう言う。

 すると彼女は小さく言った。

 「だって……せっかく勝てると思ったのに…」

 「え?」


 正直驚いた。彼女が今にも泣きそうな声で言ったからだ。

 だって、彼女はいつも元気で喧しいくらいだから。そんな彼女が今にも泣きそうなら誰だって驚くだろう。

 俺は焦りながらも言った。

 「なら、もう一回やろう」

 すると彼女はこう言った。

 「もう良いよ……。それに○○は、嫌々私に付き合ってくれてるんだろう?」

 「違う。そんな事無いって」

 俺は慌てて否定するが、さらに彼女は言う。

 「違わない! 私が来たときだって嫌そうだっただろ!!」

 どうやら彼女は勘違いしているようだ。アレは所謂照れ隠しなのに。

 「○○はいつもそうだ。私の事を全然見てくれない」

 「へ?」

 なんだか雲行きが怪しくなってきた。

 「私がこんなにも想っているのに、私の事を少しも見てくれない」

 「なっ!?」

 今日一番驚いた。今のは告白と取れるからだ。

 しかしそんなことに気付かずに彼女はさらに続ける。

 「お前は、私が居るのに、霊夢や紫ばかり見ていて私の気持ちに気付かない!」

 彼女にここまで言わせては、俺もその気持ちに答えなければいけないだろう。

 その前に彼女を止めないといけないな。

 「それからおまえはっ!!?」

 そして俺は、言葉を発し続ける彼女をしっかり抱きしめて言った。

 「魔理沙、少し落ち着いて。それとこれが俺の気持ちだ」

 「あ……うん……」


6スレ目>>447

────────────────────────────────────────────────

「年末には、酒だぜ」
「いきなり飛んできて何用だ?」
冬の夜中にここまで来るとは。
「寒くなかったか?」
「寒いぜ。もの凄くな」
「ごくろうさまだ」
「なんだつれない奴だな。飲み明かそうぜ」
魔理沙が家にやってきた。
「今年あった嫌なことを酒を飲んで忘れ、新年を迎える。良いことじゃないか」
ちなみに新年まではまだ数週間ある。
「ほんとうは?」
「眠れなくて暇だったんだ」
「ああそうかい」
どこまで本当なのか分からない。
魔理沙を中に案内し座らせる。蝋燭に火を灯した。
「おお。なんだかロマンチックってやつだな」
「安い酒と野菜の漬物くらいしかないんだけど」
「構わないぜ」
「すまんな」
酒瓶数本と漬物を持って魔理沙の前に座る。
茶碗に注いで軽く持ち上げた。魔理沙もそれに倣う。
「乾杯」
「二人の夜に……ってやつか」
「ああそうだ。君の瞳に乾杯」
「ははは」




何時間経ったのか。
俺も魔理沙も良い具合にできあがってきていた。
宴会の時は酔って騒ぐのが礼儀というものだが、今は二人だけだった。
神社の宴会の時の魔理沙はどのように振舞っているのだろうか。出席したことがないから分からない。
妖精悪魔幽霊妖怪が跋扈している神社の宴会になど恐ろしくていけない。
魔理沙は魔法使いで、かなりの実力があるらしい。前に本人が言っていた。
俺はただの一般人だ。
「魔理沙さぁ」
「なんだ?」
彼女とこうやって夜に呑み合うのはこれで十回目程度だろうか。
「夜に暇なんだったら他の奴のところに遊びにいけばいいんじゃないのか?」
「んんー」
こうやって二人でいるときは魔理沙が一方的に喋って俺がそれに答える。それをどちらかが潰れるまで続ける。
「なんで俺のところに来るんだ?」
「そうだな」
酒の席でつまらない質問だったが、魔理沙は気にしないようだった。
「なんで?」
「夜眠れなくて暇な日っていうのが、そんな多いと思うか?」
じっと魔理沙が見つめてくる。彼女のその言葉の意味するところがわからなかった。
「いや、おまえに限ってそんな日があるとは思えん」
「そうかい」
いつもは酔う前も酔った後もガンガン喋ってくるのだが、今日はどうしたことか。ずいぶんおとなしい。
「まあ普通は夜寝てるよな。起きてるのは妖怪とか悪魔とか」
「そうだぜ。だからおまえのところに来るんだ」
俺も寝てるんだよ。とは言わない。
「おまえが来るたびに家のお酒が無くなるんだよ」
「そりゃあ、二人で呑んでたらそのくらいは当然だぜ」
家の中は蝋燭の火だけで照らされている。魔理沙の顔くらいは見えた。
「今度から自分の酒は持参してほしいもんだ」
「肝に銘じておくぜ」
魔理沙は泣き上戸だったろうか。
「それは前にも数回聞いたぞ」
「安い酒なんだろう? ケチケチするな」
さっきから俺は何を考えているのか。支離滅裂だ。
俺も相当酔っているようだ。




「綺麗だな」
「蝋燭?」
魔理沙が突っ伏していた顔を起こしてポツリと。
もう潰れて寝たものだと思っていた。その寝顔を肴にして俺は呑んでいた。
「でも私はもっと派手なのがいいぜ。この三十倍はありそうなのが」
そんなでかいものはどっかの屋敷かお城とかにしかない。三十倍の大きさの蝋燭も無いだろうが。
「……」
じっと火を見つめている。瞳にそれが映って、魔理沙の顔がとても綺麗に思えた。
ゆらゆらと瞳が揺れる。
「どうした。らしくない」
「私にだってな……こんな日は存在するぜ。……一応な」
「まーそうだな。女の子だもんな魔理沙も」
「……そう、私も女だ。忘れちゃいけないぜ」
身体を起こしてこちらに顔を向ける。酔っ払いの顔だった。
その顔を正視できないのは俺も酔っ払っているからか。
茶碗を呷り顔を隠すようにした。
「女には憂鬱がつきものだぜ」
「そうらしいな」
「そして私は今憂鬱だ」
「みたいだな」
「私は女か?」
「そうだ。可愛い少女で魔法使いだ」
酔っ払いをまともに相手にできない。いつものように適当に相槌を打つ。
その態度が気に食わなかったのか、突然魔理沙が立ち上がった。
何事かと吃驚する間もなく、酒瓶を引ったくりそれを一気に呷った。腰に手を当てて。
「おいよせ」
立ち上がり強引に取り返した。安い酒だが、一気飲みなどするとどうなるか分からない。俺ならまだしも、魔理沙はまだ少女の年齢だ。
多少中身がこぼれてしまった。一杯程度か。もったいない。
舌打ちし文句を言ってやろうと魔理沙を睨む。
顔は前髪で隠れていた。
ということは俯いているということだ。
まさか…………泣いてる?




んな馬鹿な。
首を振って阿呆な妄想は消し去った。
あの魔理沙が泣くのだろうか。
少し屈んで高さを合わせた。魔理沙とは身長差がそれなりにあるのでこうしないといけない。
そうしてやっと見えた彼女の顔は無表情だった。ほら泣いてない。
こっそりと安堵の息を吐いて頭に手を置いてやる。
「ごめんな」
以前にもこうやって頭に手をやって撫でてやったら怒られた。
子供扱いするなと。
俺のほうが年上だ。
魔理沙を助けてやれるのは俺以外にもいるだろうが、今は俺しかいない。
自惚れだ。
「……なんで謝る」
やっとこちらを見てくれた。表情にも変化が見れた。不満そうだ。
そういえば意味も無く謝るなと怒られたこともあった。怒られてばっかだった。
「癖だ。俺は困ったら謝ってしまうんだ」
「その癖、直したほうがいいぜ。正直嫌だ」
そう言うと俺の手を頭からどかした。
俺も背筋を伸ばす。もう屈んでる必要はない。見上げてくる魔理沙が頭を下げた。
蚊の鳴くようなか細い声で
「すまん」
「なんで謝る」
「嫌な女だぜ、私」
「気にするほどじゃ無いな」
素っ気無く返した。冷たいかもしれないが、言ってしまっては仕方ない。
気まずい沈黙。
俺と魔理沙との会話は単純だ。
魔理沙がボールを投げて俺が受け取る。投げ返すことはあまりしない。
ただひたすら魔理沙の言葉をもらうのが基本だった。
矢印は魔理沙から俺へ向けられるが、俺から魔理沙へ向けられることは今まで滅多になかった。
ひたすら受身の俺は、魔理沙の一方的な調子が合っていたのだ。
まさか、その彼女といて重苦しく感じられるとは思わなかった。
悔しい。
「……今日は泊まっていくのか?」
一応、訊いておいた。
この雰囲気で再開してもしょうがない。今日はお開きだ。
稀にだが、魔理沙は泊まっていくことがある。だから一人暮らしの俺でも布団は二人分だ。
「いや、今日は帰るぜ。お邪魔さまだ」
「そうか。で」
帽子を被り箒を持つ、帰り支度をしている魔理沙に訊いた。
「次はいつ来るんだ?」
驚いた顔でこちらに振り向いた。
いつも通りの言葉だ。
これは挨拶のようなものだった。別れの挨拶だ。
何回も繰り返して、もう俺の中ではシステム化してしまったものなのだろう。頭に浮かべるより速く発した言葉。
それをこんなにも驚いている。不思議である。
考えてもどうせ分からないだろうし、構わず続ける。
「せめていつ頃来るのか教えてくれよ。酒無しでも構わないのならいいんだが」
「……そうだな。気が変わった」
帽子を脱いで箒をその場に立てかけている。
俺のには答えてくれなかったが。
「あ?」
「今日は泊まっていくぜ。酒が抜けてないのに空なんか飛んだら危ないしな」
少し笑ったように見えた。




なぜか魔理沙は泊まっていくようだ。
何を考えているのか分からん。酔っ払っているのだろう。
窓際のベッドには魔理沙が座っていた。その横に俺が布団を敷いて寝ている。
蝋燭を消した今は窓から差し込む月明かりだけが視力を助けている。
「今日は疲れたぜ」
「そうだなー。魔理沙もお疲れだ」
「女はたいへんなんだ」
「勉強になります」
「恋する乙女ってやつだ」
「なるほどね」
感慨深そうに言ってくる。
乙女は酒を酔うほど呑むのだろうか疑問だ。
「この場合、恋する乙女ってのは私のことだな」
「そうですかい」
「私は誰に恋してると思う?」
「俺か?」
「そうだ」
「ありがてぇな」
まだ酔っ払っているのか魔理沙は。ありえないことを口にしている。
その言葉に何も感じなかった俺も相当酔っているのか。
もっと喜んだらいいのに。
冗談を言っているように、笑いながら、魔理沙はぺらぺら喋る。
「出会ってから今まで、いつ惚れたのか、いつそれに気づいたのか分からないけど、私はおまえが好きなんだ。会うたびに微笑んでくれる、ご飯くれたり、
私の無茶な要望にも文句言っててもそれなりに叶えてくれたし、素っ気無かったり子ども扱いしたり、おまえといると楽しいんだぜ」
ベッドを叩きながら笑う。なにがそんなに可笑しいんだ。笑うところが見当たらない。
寝ていた体を起こす。無邪気にベッドに腰掛けている魔理沙を見上げた。
魔理沙の顔は逆光になって見えなかった。笑っているのか? そうでないのか? どちらでもいい。
ずっと訊きたいと思ってたを訊いた。
「おまえ酔っ払ってるのか?」
「さあな。どうおもう?」
質問を質問で返すか。
「分からないが、とりあえず告白されたからには答えなくては」
正座して向き直る。言っておくが、俺は酔っ払ってはいない。酔いは醒めた。
そう信じたい。酔っているのだとしたら最悪だ。
しっかりと彼女を見据え、言い切った。
「俺も好きだ。愛してる、魔理沙」
「……いつから?」
「一目惚れで、それに気づいたのがその次の日」
覚えている。初対面で大きな笑顔だった彼女を。空からやってきた魔理沙を。
魔理沙が微笑んだ。……気がした。
顔がすっと近づいてくる。
「嬉しいぜ。夢みたいだ」
「夢かもしれない」
「そうか。だったら、好きなようにしないと損だぜ」
「ああ」
近づいてくる彼女に合わせて俺も近づく。
唇が触れ合う。それだけ。
魔理沙が倒れ掛かってきた。座ったまま抱きとめる。
「……あったかいな、おまえは」
「魔理沙も」
抱きついてくる力が強まった。ぎゅっと、きつく。
吐息を体にかけられた。
胸に顔を埋めた魔理沙が吐いたものだった。長い長い、なにもかも吐き出すような息。
その息に紛れて言った言葉を聞き逃さない。
「あぁ……幸せだぜ」
「俺も」
「おまえも、好きなようにしたほうがいいぜ?」
「じゃあこうする」
抱いたまま頭を撫でてやった。魔理沙は嫌がらない。そのまま撫でてやる。
彼女の寝息を確認するまでずっと。




魔理沙が目を覚ました。
「おぅ……おはようございます」
「おはよう」
ベッドから身を起こす。もう朝だ。どちらかというと昼に近い。
俺は、あのまま寝た魔理沙をベッドに寝かしてやってからずっと起きていた。寝たら夢になってしまいそうで。
今この瞬間が夢でないという保証もない。なにしろ眠い。
自分の体を見下ろして、魔理沙がポツリと言った。
「あー……よし、襲われてないぜ」
「疑ってたのかよ」
魔理沙はニヤリと笑い
「こんな可愛い魔法少女だ。男なら誰でも据え膳だぜ」
「意味わからん」
彼女に帽子と箒を渡してやる。それを笑顔で受け取る彼女に訊いてみた。
「なあ、昨日のこと覚えてる?」
「昨日と言ったら、おまえが酔って裸踊りをしたところまでしか覚えてないぜ」
「してないが、そうか」
やっぱり魔理沙は酔っ払っていたのだろうか。それならそれでいい。良いことがあったことに変わりない。
いつかまた、今度は俺のほうから告白するのも悪くないと思えるようになった。
「おまえのほうこそ、昨日なにがあったか覚えてるのか?」
意地悪そうに訊いてくる。
「俺も、魔理沙が酔って俺に告白してキスしてきたとこまでしか覚えてないぜ」
「そうかそうかそうか」
魔理沙はいやらしい笑みを崩さず頷く。
グイッと両手を挙げて背筋を伸ばした。もう帰るのだろう。
帽子を手に取り被ろうとする魔理沙に、慌てて言った。なんとなく、今帰してしまうのは惜しいと感じた。
「あ、朝飯……とは言えないが、昼飯とも言えないんだが。なんか食べてく? 作るぞ?」
「おお。嬉しいぜ。ありがたく頂いていこう」
その笑顔がまぶしいと思った。
ただ単に陽光が差し込んできただけだったが。
魔理沙が帰ったらゆっくり寝よう。さすがに眠いから。
あの出来事を、寝たら忘れてしまうかもしれない。夢のようなあの夜が夢になってしまうかもしれない。
それも構わないだろう。
とりあえずは、これからも魔理沙と一緒にいられそうだ。
「作るのなら早くしてほしいぜ。腹ペコだ」
「はいはい」


6スレ目>>522

────────────────────────────────────────────────

今年のクリスマスも何もなかった。
恋人同士で過ごす聖夜なんていうのは、きっと都市伝説に違いない。
一人でぼんやり空を眺めていると、一筋の光が見えた。最初はただの流れ星だと思っていたのだが、どうやら違うようだ。
それ自体が星を撒き散らしながら、一直線にこちらへ向かってくるような星は僕は聞いたことがない。

「――――――!」

数秒後、それなりに片付いていた僕の部屋は廃墟と化していた。まさに嵐が過ぎた後のようだ。
もっとも、その嵐の元はここにいるのだが。

「よっ、メリークリスマスだぜ」
「……魔理沙か」

その少女、霧雨魔理沙は何事もなかったかのように僕に笑いかけてきた。
怒る気力も出ないので、精一杯の愛想笑いで応えてやる。

「なんだ、せっかくのイブの夜だってのにお前はまた一人身か?」
「ほっといてくれよ。……ところで、魔理沙は何の用なんだい?」
「そんなの決まってるだろ。ほら」

魔理沙は背中に担いでいた白い袋を高々と掲げた。
おそらくはサンタクロースを意識しているのだろうが、基本的に白黒の服装である彼女にはどうも似合っていなかった。

「ふーん。で、僕には何をくれるんだい?」
「わかってるなら話は早いぜ。これだ」

魔理沙が取り出したのは、鮮やかな装飾の施された箱であった。

「これは何かっていうとな……」

そう言うと、魔理沙はそのラッピングを解き始めた。即座に開けるのなら飾り付ける意味がないじゃないかと突っ込みたくなったが、とりあえず黙っておいた。

「クリスマスっていったらこれだろ? ケーキだぜ」
「へぇ……しかし変な形をしているな」
「し、仕方がないだろ! 初めて作ったんだから……あ」

お世辞にも整っているとは言い難いチョコレートケーキが、箱の中から姿を現した。
僕が少しコメントしてやると、魔理沙はまたあっさりと自滅した。
顔を赤くして下を向いている。

「魔理沙の手作りねぇ……」
「い、いいから早く食えよ!」

魔理沙が押し付けるようにしてケーキをさしだしてきた。
顔がチョコまみれになるのは嫌だったので、僕は近くの食器棚から皿とナイフを取り出した。
どうせ魔理沙も食べるだろうから、皿はニ枚持っていく。

「ほら、これに取り分ければいいさ」
「妙に用意がいいじゃないか」
「これぐらいは誰でも持ってるだろう」

魔理沙の言葉を軽く受け流しながら、ケーキにナイフを入れた。
二つに切り分けると、その物体はいよいよ原形を留めなくなってきたが、食べられれば問題はないだろう。

「じゃ……いただくよ」

僕は箸でケーキをつまんで口に運んだ。あいにくフォークなどという素敵なものは持ち合わせていなかったのだ。
チョコの味が口の中に広がる。決してしつこくなく、ちょうどいい甘さだった。

「なかなか美味しいじゃないか。食べ物は見た目によらないんだな」
「あー、だからそれはもういいだろ」

それからしばらくの間、そのケーキを堪能していた。
僕は自分の分を半分ほど食べ終えたところで、魔理沙の分が全然減っていないことに気がついた。

「どうした、食べないのか?」
「いや、そうしたいのは山々なんだけどな……」

見ると、魔理沙の皿の上で箸が奇妙なダンスを踊っていた。どうやら、魔理沙は箸をうまく扱えないらしい。

「なぁ○○、フォークとかないのか?」
「あれば使ってるさ」
「そうか。うーん…………じゃあ○○、これ」
「うん?」

魔理沙は僕に箸を渡すと、大きく口を開いて静止した。
その意図がわからず、僕のほうも動きが止まってしまう。

「…………」
「……何やってるんだ?」
「いやだからさ、食べさせてくれよ。それ使えるのお前しかいないんだから」
「ああ」

ようやく合点がいった。僕は箸でケーキをつまむと、魔理沙の口の中へ放り込んだ。

「ん…………おお、これは美味いじゃないか」

ものを美味しそうに食べることに関しては彼女の右に出るものはいないだろう。
そんなどうでもいいことを考えながら、僕は満足そうに口を動かす魔理沙の顔を見つめていた。

「……ありがとな」

魔理沙の顔が、なぜか少し赤くなっていた。部屋の暖房が強すぎたのだろうか。

「なぁ○○」
「なんだい?」
「…………きだぜ」
「え?」

僕は窓を開けながら、背中で魔理沙の話を聞いていたため、その言葉の一部しか聞き取れていなかった。
今一度、魔理沙に聞き返す。

「ごめん、よく聞こえなかった。もう一度言ってくれないか?」
「……なんでもない」
「?」

魔理沙はまた下を向いてしまった。心配になり、その顔を下から覗き込む。

「どうしたんだい? どこか具合でも……」
「いや、だ、大丈夫だぜ! それより!」
「ん?」
「今日はここに泊まってもいいか?」
「別に構わないけど」
「サンキュ」

そう言うか早いか、魔理沙はすぐに横になってしまった。
布団を敷くから待てと言ったが、彼女はそれきり起きてこなかった。仕方なくそのままにして、毛布をかけておいてやる。
僕は再び窓の外を眺めた。

「メリークリスマス、か」

見上げた夜空には、ちらほらと雪が降り始めていた。
こうして僕のクリスマスは、それなりに楽しく過ぎていったのだった。

6スレ目>>584

────────────────────────────────────────────────

今日はいわゆるクリスマスというやつだ。
もう幻想郷にいる僕にはあまり関係ないのかもしれないけど。
そんなことを魔理沙に話してみたわけだ。

「ふーん。おまえの世界だと、クリスマスってのが今日になるわけだ」
「うん」
「めでたいのか?」
「えーと、みんなで騒いで美味しいもの食べる」
「こっちの宴会と変わらないじゃないか」
「そう言われてしまうと」
「しかもこっちは年に何回もやる。私たちの勝ちだぜ」
「勝ち負けがあるのね……あ、クリスマスには、プレゼントがもらえるんだよ」
「なに? おまえ、そういうことは早く言わないとダメだぜ」
「ごめん。って、その手はなに?」
「プレゼントだ。欲しいぜ」
「魔理沙……残念だけど」

肩に両手を置いてかぶりを振る。
諭すように言ってあげた。

「クリスマスプレゼントは、良い子にしてた子供しかもらえないんだ」
「なに?」

眉を顰めて驚く魔理沙。心外だと言わんばかりに

「私は子供だぜ。しかも良い子だぜ」
「なんでそう当然そうに言えるんだろう……」
「ひどいぜ」
「わかったよ……で、魔理沙は何がほしいの?」
「おまえ」
「はい?」
「おまえが欲しいぜ。身も心も。……ダメか?」

いつもどおりの口調だが、顔は真っ赤だった。ついでに瞳も潤んでいる。
いきなりだったので、僕は返す言葉が出てこなかった。

「や、やっぱりいい。忘れてくれ。バカなことを言っちまったぜ」

帽子を深く被って顔を隠す魔理沙。そっぽを向かれてしまった。
……ちょっと泣き顔だった。
そんな魔理沙を優しく包み込んであげる。
ちょっと照れくさくて、苦笑してしまった。

「バカだな魔理沙は」
「う、うるさい。なんだよ急に」
「とっくに、僕は魔理沙のものだよ。知らなかった?」
「そっ……そいつは、知らなかったぜ。なんだ。えへへ」

帽子で隠れて見えないが、きっと魔理沙は耳まで真っ赤なはずだ。それととびっきりの笑顔。
くるりとこちらを向いてきた。
やっぱり笑顔だ。
魔理沙がキスをしてきた。不意打ちだったから、一秒と触れることはなかった。
それでも魔理沙は笑っている。

「じゃあ、さっきのプレゼント無しにしてくれ」
「あ……まだそれ引っ張るんだ」
「そうだな。じゃあおまえとの子どもが欲しいぜ」
「ちょ、それは」
「いやか?」
「いやじゃないしむしろ嬉しいんだけど……魔理沙はまだ子どもだから、さ」
「愛に年齢差は関係ないぜ。それにおまえもほとんど同じくらいじゃないか」
「あ~……じゃあ、予約。うん予約にしとこう」
「それでもいいか。私とおまえとの子どもだ。予約しとくぜ」
「何年後のクリスマスだろうね」
「私はいつでもいいんだぜ。おまえさえよけりゃ」


6スレ目>>585

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