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早苗3

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■早苗3




僕が東風谷早苗と知り合ったのは、まだ僕が小学生だったときのことだった。
本家のお祭だからと、両親に連れられて行った先。
そこで僕は、彼女と出会った。



父さんの姪にあたる早苗さんは、僕より二つ年上のお姉さん。
一族はほとんど本家のある諏訪の周辺にいて、僕の父さんだけが東京に出ていたため、従姉妹と顔を合わせるのは、実はこれが初めてだった。


「はじめまして、○○君。私は、早苗。よろしくね?」


そう言ってはにかんだ笑顔にどうしようもなくドキドキして、思わず脱兎の如く逃げ出してしまったのを覚えている。
もっとも、直後父さんに思いっきり拳骨を喰らって、涙目で謝らされたけど。
思えば、これが僕の初恋だったんじゃないかって思う。



以来、僕の家族は年に一回、早苗姉さんの家の祭りの日に、諏訪へ訪れるようになっていた。
この年になるまで父さんが本家を訪れなかったのは、何でも父さんが結婚する際のゴタゴタが原因らしいのだけど、僕は詳しいことは知らない。
ただ僕にとって重要だったのは、どんどん綺麗になっていく大好きな早苗姉さんに会えるということだけだったから。
年に一度のお祭りの、数日間。
それは、早苗姉さんだけじゃなく、他の従兄弟たちとも思いっきりはしゃぐことのできる、僕にとっては最高の『ハレ』の日だった。


だけど僕が中学生になるくらいの頃から、だんだんと僕は従兄弟たちと早苗姉さんとの間にある『溝』のようなものが気になりだしていた。
酒に酔った本家の伯父さんから聞いたところによると、姉さんは『風祝』と呼ばれる神事を司る巫女であり、その力は歴代でも最高クラスだという。
凡人には見ることさえ叶わぬ神に仕え、奇跡を操る巫女。
正直眉唾物だと思ったけど、大人たち――僕の父さんさえも――が皆、姉さんに対して一歩引いた態度で接しているのを見れば、なるほど姉さんの立場というものが、子供ながらに少しは分かった気がした。
だから僕は、少しでも姉さんの支えになりたいと、子供の精一杯の背伸びで姉さんに話しかけ、遊びに連れ出し、時間を共にした。


「ねえ、○○君…………どうして、○○君は私を気にかけてくれるの?」


あるとき、湖のほとりを散歩していて、姉さんにそんな質問をされたことがある。
ここで『好きだから』と答えられたらよかったんだろうけど、あいにく僕は思春期真っ盛りの中学生。
とてもじゃないけどそんな恥ずかしい言葉を、しかも年上のお姉さんに言うことなんかできずに、僕は曖昧にごまかした。


「姉さんのこと、尊敬してるから、かな?」


瞬間、姉さんの顔が見て分かるくらい真っ赤になった。
姉さんは凄い人だから、多分こういう言葉なら言われ慣れているだろうと思ってボール球を放ったら、何故かストライクコースに突き刺さってしまったらしい。


「だって…………まっすぐ面と向かって言ってもらったことなんて、なかったから」


意外だった。
照れ隠しの言葉だったけど、僕の言った内容に間違いはない。
どうしていいか分からなくなって固まった僕の代わりに、姉さんは赤くなった頬をごまかすように照れ笑いを浮かべると、ぽつりぽつりと語り始めた。


「みんなね、私のことを特別だって言ってくれる。
 私自身も、神に仕える自分の仕事に誇りを持ってる。
 だけど誰も、神様の姿なんて見たこともないの。
 見たことのないものを、信じることはできない。
 だからみんなにとって、私は遠くて触れられない存在。
 人とは違う、薄気味悪い女の子なん…………」


「違う!」


だんだんと自虐的になっていった姉さんの言葉が悲しくて、僕は思わず叫んでいた。
大好きな姉さんが、誇りを持っているはずの自分の立場を自虐的に話したその姿が、辛かったから。
だけど、僕が思わず否定の言葉を叫んだのは、それだけじゃなかった。


「僕は、神様を信じるよ!
 確かに、僕には神様をこの眼で見ることはできないけど…………
 でも、そこに『在る』ことは感じることができるから!」


「…………え?」


姉さんが眼を丸くする。
だけど、僕の言っていることは嘘じゃない。


僕は、初めて諏訪を訪れたとき、湖の周辺に何か奇妙な『モノ』がある感触がして、怖くなった。
見えないはずなのに、何かが確実にそこに『在る』という感覚。
その感覚は、僕の小さな頃からあって。
思い悩んで先生に話したら一笑されて、友達には『霊感でもあるんだろ』とか軽く言われて、僕自身嫌な感覚だと否定していたものだけど。
でも早苗姉さんに初めて会ったときに、確信した。
早苗姉さんからも、何か得体の知れない感覚が漂ってくる。
だけどそれは決して不快じゃなく、やさしいものだったから。
だからこの感覚も、きっと気味が悪いだけのものじゃない。
そしてその優しい気配を纏う姉さんは、きっと素敵な人なんだと。

見てごらん、この世界を。
確かに眼に見えず、耳にも聞こえない『モノ』は不安になるけれど。
でも眼を閉じて感覚を研ぎ澄ませてみれば、それは春のそよぐ風のように心地良いもののはずだから。


「だから僕には分かる!姉さんは薄気味悪くなんかない!むしろとっても素敵な人なん…………」


「ありがとう、○○君…………」


気が付いたら僕は、早苗姉さんにぎゅっと抱きしめられていた。
その柔らかい感触に僕の心と身体はオーバーヒート寸前だったけど、でも残ったわずかな思考回路で、きっと姉さんは寂しかったんだと、思う。
さすがに僕より背の高い姉さんを抱きしめ返すようなことは、照れ臭くてできなかったけど、それでも僕はその時、誓った。

姉さんと同じものを見ることはできないけど。
それでも、姉さんの理解者として、姉さんのことを支えていくと。




それから、姉さんは照れ笑いを浮かべて、


「このことは内緒ね?」


と、人差し指を唇に当てる仕草をした。
時代遅れなそんな仕草も、姉さんのように本当に綺麗な人がやると、恐ろしいほど様になる。
だから僕は、壊れたおもちゃのように、真っ赤な顔で首を馬鹿みたいに振るしかできなかったけど。
それでも、多分姉さんに最も近い位置に座れた気がして、とても嬉しかった。
そして、それはこれからもずっと続くものだと思っていた。




―――あの、運命の夏の日が来るまでは。


















幻想郷にやって来て、二週間ほどが過ぎた。
さすがの私でも目にしたことのなかった妖怪だらけの世界に、最初は正直肝が潰れる思いもしたけど。
それでも、神奈子様のお力は偉大で、その御威光によって周囲の妖怪たちが続々と参拝に訪れるようになる。
元の世界では力が足りずにふてくされた表情をなさることの多かった神奈子様であるから、私、東風谷早苗は、それだけでも此処に来た価値があると嬉しくなった。


「早苗ー、ごはんー」


「はい、ただ今」


今日も一日が終わり、神奈子様と私、そして諏訪子様との一人と二柱の夕食が始まる。
電気も水道もガスもない生活は確かに不便だけれど、それでも私は、元の世界では姿を現すことさえ叶わなかった私の主と共に在ることができる。
それだけで、我慢できるような気がしていた。


「そういえば神奈子様。
 湖ごとこちらに引っ越したということは、その…………
 向こうの湖は干上がってしまっているのでしょうか?」


そろそろ、私もこちらの生活に慣れた頃だ。
今までは元の世界の話をすると、帰りたくなったのかと勘繰られる気がしたので止めておいたけど、いい加減それも不自然なので、私は何気なさを装って話を振ってみる。


「ああ、あっちの湖かい?
 そうだね…………少なくとも、物理的に消滅する、ということはないよ」

「そうなのですか?」

「ああ。
 私たちが持ってきたのは、『神湖』としての諏訪の湖(うみ)だ。
 諏訪子の時代からずっと信仰を集めてきた霊場としての、神湖という『概念』。
 だから見た目には何も変わらないのさ。
 ただ、これまでの信仰の『歴史』を失った、でかい溜め池が残るだけ」


その話を聞いて、私は思わず安堵してしまっていた。
それはきっと、あの子との思い出の場所が消えなかったからということだろうか。
両親ですら意識せずに距離を置く私に、自然に近づいてきた従弟の少年。
私の心の支えとなって、いつの間にか…………大好きになっていた年下の男の子。


「でも早苗。こちらにやって来たのは、何も湖だけじゃないわ。
 …………他ならぬあなた自身。そして、湖と同じようにその歴史もね」


「諏訪子!」


神奈子様が、普段は見せない剣幕で諏訪子様を一喝する。
たしかにそう。
私は、こちらに来る際、東風谷早苗という『存在ごと』私を持ってきた。
つまり、元の世界にはもう、私がいたという事実は存在しない。
数少ない友達からも、両親からも、そして…………あの子からも、私の存在は消えてなくなっている。

諏訪子様は、私を気遣ってくれたのだろう。
未練を持ってしまっているなら、これから先の幻想郷での生活は辛くなる。
私にとって、文明の発達した元の世界の方が生きやすいのは当然だし、何より大好きだった人たちに二度と会えないという事実は、重すぎるから。
ならば、多少厳しい言葉でもと、未練を拭ってくれたのだと思う。


「ご心配をおかけして申し訳ありません。神奈子様。諏訪子様。
 早苗は、元の世界での思い出を糧に、この世界であなた方の御為、精一杯お仕えいたします」
  

私はそう言って、あらためて我が主二柱に頭を下げる。
本当は一刻も早く幻想郷に行きたかったのを、私のために、あの夏の日まで、あの子と最期に会えるあの日まで、待っていてくれた。
そんなお二方に、これ以上心配をかけるわけには行かない。


「そう。ありがとう、早苗」


二柱から、同時に頭を撫でられる。
普段なら子ども扱いしないでと怒るところなのかもしれないけど、今の私には、その暖かい手が心地良かった。
私を気遣ってくださる主の御心が、嬉しかった。


…………そう。だから私は気が付かなかったのかもしれない。
私の心に刺さった、未練という名の最後の棘。
それが、ゆっくりと私の心を侵していたという事実に。
















「…………どういうことですか?」


市役所の戸籍係の窓口で、僕は思わず低く湿った声を出していた。


「ですから、東風谷早苗という方は、この□□市には存在しません。
 もしや、どなたかとお間違えではないですか?
 もしくは、結婚されて苗字が変わったとか」

「そんなはずありません!
 姉さんはまだ高校二年のはずです!
 確かに、法律的には結婚はできますけど…………」

「とにかく、こちらで分かることはここまでです。
 申し訳ありませんが、お引取りいただけますか?」


窓口の人の良さそうな眼鏡の男性に困ったような口調でそう言われると、僕は引き下がらざるを得なかった。
フラフラとおぼつかない足取りでロビーの椅子まで歩き、そこにがっくりと腰を下ろす。
そして、僕はようやく悟ったのだ。


『早苗姉さんは、この世から消えた』


という事実を。





最初に感じた違和感は、珍しく父さんが早くに仕事が終わり、家族三人で夕食をとっていたときのことだった。
僕は早苗姉さんのこともあり、諏訪の街が大好きだった。
だから、食事時にその話をすることはそれほど珍しくはなかった。
それに小学生の初恋など、親にとっては手に取るように分かるものなのだろう。
父さんなどはことあるごとにそれをネタにするので、僕もすっかり開き直っていた。
だから。


「早苗?誰だそれは?」


その言葉は、悪い冗談にしか聞こえなかった。




結局、それから何度尋ねても答えは同じだった。
終いには僕の頭を心配されたので、なんでもないと無理やりごまかして、とにかくその週末、諏訪の街へ向かった。
だけどそこでも、僕には絶望するしか選択肢は残されてはいなかった。




「ここは…………何処だよ!?」


電車を降りた僕が、思わず叫んだのが、そんな言葉だった。
諏訪の湖に感じられた、荘厳にして穏やかな『あの』感覚が消え失せている。
姉さんの言うところの『神様』の気配が、そこにはまったく感じられなかった。

嫌な予感に押されながら、次いで向かったのが、姉さんの実家だった。
だけどそこでも僕は、信じられない言葉を耳にすることになる。


「貴方は、まだ聞いていなかったのね…………
 おばさんね、子供ができない体質なの。
 だから、私たちには子供がいないのよ」


その言葉が嘘でないことくらい、そう語るおばさんの悲しみに満ちた目を見れば分かった。
だけど信じたくなくて、精一杯の謝罪の言葉を残して市役所へ出向き…………
そこで、最期の絶望を味わった。


「姉さん…………」


気が付けば、もう夜の帳が下りている。
僕はいつの間にか、姉さんと最後に語り合った湖のほとりへと、やって来ていた。









あの湖のほとりでの誓いから、二年目の夏。
僕は例年通り、諏訪の本家へとやって来ていた。
ちなみに今年は父さんも母さんも仕事だったので、僕一人で電車を乗り継いでの参上だ。
わざわざ一人ででも来る以上、どうやら僕の想いなど伯父さんたちにはとっくにお見通しらしく。
両親の居ぬ間にとばかり、大人たちの席で僕はそれをネタに散々飲まされていた。
ちなみにかなりの量を飲んだはずだが、僕はちっとも酔った気がしなかった。
ここで、僕は実は驚異的なウワバミだということが判明する。
最後の方など、おじさん方全員で唖然としながら僕を見ていたものだ。

まあ、それは置いておいて。
飲まされながらも、僕の眼は自然と姉さんを追っていた。
それすらもからかわれるネタになっていたのだけど、やがて僕は、一つの不自然な点に気が付いた。

あまり人と関わろうとしない姉さんが、従兄弟たちやおじさん、おばさん方に酒やジュースを注いで回り、なにやら話をしている。
そのこと自体は、孤高の気がある姉さんが少しずつ柔らかくなってきたということで、別に問題じゃない。
だけど、その表情が問題だった。
あまり笑顔を浮かべない姉さんが笑っているということで、おじさんたちは上機嫌だ。
従兄弟たちも、そんな姉さんをまぶしそうに見ている。
けれど僕には分かる。
あの姉さんの笑いは、二年前僕にだけ見せた、悲しみの乗ったあの自嘲の笑みだ。
何が姉さんをそうさせているのかは、分からない。
正直いてもたってもいられなかったけど、さすがに満場の中姉さんの手を引いて退場するような真似は、僕にはまだできない。
仕方なく僕は、眼だけは姉さんを追いながら、そろそろ限界が見えてきたおじさんたちに付き合うことにした。





「まさか、おじさんたち全員潰すなんてね」


僕の隣で、早苗姉さんがくすくすと可笑しそうに笑っている。
あの湖のほとりを、僕と姉さんは今、ゆっくりと歩いていた。

あの後、子供に負けてなるものかとペースを上げたおじさんたちが相次いで撃沈。
好機とみた僕は、あちこちに転がる旦那と料理の片付けに取り掛かりだしたおばさん方に一言謝罪し、早苗姉さんを連れ出した。
姉さんは片付けを手伝ってから、と言ったが、酒の入ったおばさんたちの豪快な笑いで送り出され、今こうして僕と共に歩いている。
対岸には、温泉街の明かり。湖面には、波に揺られる十六夜の月。
そんな中を長い髪をなびかせて歩く姉さんは、一生心に留めておきたいほど綺麗で。
そんなことを考えていると、不意に姉さんが僕を追い越して前に出て、しばらくしてくるりと振り返った。
今夜の晴れ渡る夜空のような、満天の笑顔を乗せて。


「そういえば、此処だったね。
 ○○君が私のこと、素敵だって言ってくれたのは」


「う、うん。そう、だったかな~?」


二年前の恥ずかしい台詞をよりによって姉さん当人の口から言われ、僕はわざとらしく横を向いて口笛を吹いてみせた。
悪戯っぽい姉さんの表情なんてすごくレアだ。
あの日から僕にだけ見せてくれるようになった姉さんのいろんな表情を、僕はもっと見てみたくて、ついそんな返答をしてしまう。
けれど姉さんは僕の予想に反して、追撃をかけることはしてこなかった。
不思議に思って前を見ると、そこには相変わらず笑顔の早苗姉さんがいる。
二年間で、姉さんは僕にかなり心を開いてくれたと思う。
だから僕は、姉さんの本当の笑顔を引き出せるのは僕だけだと、まったく愚かにも思い込んでしまっていた。そう信じていた。

なのに、どうして姉さんは、そんなに寂しそうな笑顔を向けているの?


「○○君が私のことを認めてくれて、私すごく嬉しかった。
 私ってこんな仕事してて、しかも他の人には見えないものまで見えるでしょ?
 君は否定してくれたけど、私は周りからずっと薄気味悪い女の子って言われ続けてきた。
 だから私のことを一生懸命考えて、理解しようとしてくれる○○君には、とっても感謝してる。
 本当に、ありがとう」


夜の闇でよく分からないけど、そう言った姉さんの目には、涙がたまっているように見えた。
姉さんは静かに佇み、僕が何か言うのを待っている。
でも、僕には何も言うことなんてなかった。

ありがとうだって? 冗談じゃない! そんなの、さよならの挨拶みたいじゃないか!


「姉さんっ!」


「きゃっ!?」


気が付いたら、あの時とは反対に、僕は姉さんを抱きしめていた。
二年の間に、あの時姉さんに届かなかった身長は伸びて、今では姉さんと額を合わせられるくらいまでになっている。
姉さんはこんなに小さかったのかと、ずっと姉さんを憧れの眼差しで見てきた僕は不思議な気持ちになった。


「○○君…………」


姉さんの腕が、ゆっくりとまるで恐る恐るといった様子で、僕の背中に回る。
瞬間、僕は決意した。


「早苗姉さん。僕は、姉さんが好きです。
 姉さんの見ている世界を僕は見れないけど、それでも僕は姉さんと一緒に歩んでいきたい」


「ありがとう、○○君。私も、貴方のことが好き…………」


腕の中で姉さんが小さく震える。
どうやら、泣いているらしい。
それを見た僕は、抱いている腕に力を込める。
姉さんも、僕を好きと言ってくれた。それが、ただ単純に嬉しかった。
その涙が何を意味するのかを、考えもせずに。


「んっ…………」


やがてどちらからともなく腕が離れ、お互いに顔を見合わせる。
そして僕は、眼を閉じた姉さんの表情を合図として、ゆっくりとその小さな唇にキスを落していった。
ただ触れるだけの拙いものだったけど、想いを交換するのには十分過ぎる。


「姉さん。
 僕はまだほんのガキだけど、いつかきっと姉さんの隣に立つにふさわしい男になるから。
 高校、大学と先は長いけど、必ず姉さんの下に来るから。
 だからその時まで、待っててもらえないかな?」


「うん。待ってる。ずっと待ってるから…………」


言って、姉さんはもう一度、今度は自分から僕の唇を求めてきた。
夜の街明かりに照らされる湖岸で、何度も、何度も。
そうして想いを交換し合って、やがて姉さんはゆっくりと離れる。


「ごめん。嬉しすぎて、涙が止まらない…………先、帰るね?」


言うなり、姉さんはするりと僕の拘束から抜け出し、湖岸を走り出していた。
僕は止めようととっさに腕を伸ばしたけれど、振り返った姉さんの表情がこれまで見たことがないくらい儚くて、綺麗で。


「ありがとう、○○君!」


最後にそう言って夜に消えていく姉さんを、僕はただ黙って見送ることしかできなかった。







そして、この数日後。
東風谷早苗という少女は、この世界から、消えた。















―――僕は今、早苗姉さんと想いを交わした、あの湖のほとりに来ている。
あの時感じられた、湖に宿る荘厳な気配も、今はもう欠片もない。
ただのでかいため池が鎮座しているだけだ。

姉さんの実家。市役所。そして通っていた学校。
その全てを回ったけど、結局得られたのは、誰も早苗姉さんを覚えていないということだけだった。
そして、全ての神様の気配が消えたという事実。
それらのことから、僕は一つの仮説を導いていた。


早苗姉さんは、多分自分が消えることを知っていた。
それも、諏訪の湖におわします幾柱の神々と共に。
風祝の巫女である姉さんだから、神々の黄昏に付き従うのは当然のことだったのだろう。
そのことで神様を恨むつもりは、僕にはない。
姉さんの態度は、どんな理由があったにせよ、最終的には自ら決断を下したであろうことが今なら分かるから。

そして、消えることが分かっていたにもかかわらず、僕の想いに応えてくれたこと。
それは、僕の都合のいい解釈かもしれないけど、どうせ消えるならせめてその瞬間まで、綺麗な思い出としてとっておきたかったからだと思う。
それに僕がこうして覚えていることが分かるなら、決して姉さんは僕に期待を持たせるようなことはしなかったはずだから。


『ずっと待ってるから』


最後のあの言葉も、姉さんにとっては幸せな記憶をその時のまま閉じ込める、魔法の言葉だったに違いない。


「ハッ、ハハッ、アッハハハハハハハ!!!」


不意に、腹の底から笑いがこみ上げてきた。
夜の湖のほとりで、一人高笑いする少年。
お巡りさんに見つかれば職務質問一直線だろうが、僕は笑いを押し止めることはできなかった。

なんてことだ。
姉さんは僕と自分自身のために、綺麗な思い出のままで終わらせてくれようとしたのに。
なのに僕はまだ、忘れるはずの記憶を独り、ずっと持ち続けている。
これほど皮肉で、愉快なことがあるだろうか!


「…………待っててね、早苗姉さん。僕は必ず、姉さんの下に行くから…………」


やがてひとしきり笑いの発作が収まった頃、僕の口からそんな言葉が漏れる。
発した僕自身が信じられないほど冷たく、それでいて煮え滾るような狂気を宿したその言葉は、まるで呪いのように、僕の中へ沁み込んでいった。





私が幻想郷へとやってきてから、早いものでもう五年が経った。
まるで濁流のように周囲の環境が流れ変わっていく元の世界と違い、こちらの世界はなんとも静かなもの。
最初の数ヶ月こそ、信仰を広めようとして麓の神社の巫女に逆襲されたりとかいろいろあったけど。
その事件が一段落すると、私の日常はほぼ一定のパターンを繰り返すものになった。
ちなみにその時侵攻をかけてきた博麗霊夢と霧雨魔理沙とは、同じ人間の女の子ということもあって、随分と仲良くなって、お泊まり会とかする仲になっていたりする。

遊びに来た霊夢と魔理沙と一緒にお泊まり会をして、宴会が催されれば神奈子様の付き添いで参加する。
これはこの五年間、ほとんど変わらないこと。
だから多分一番変わっていくのは私で、心は何も変わらないのに、身体だけがどんどんと歳をとっていく。
気が付けば、私ももう二十歳をとうの昔に越えてしまっていた。

誰もいない静かな部屋で、私は想いを巡らせる。
彼は今、どうしているんだろう。
あの日から五年が経つなら、彼ももうすぐで二十歳だ。
あそこのおじさんは背の高いキリッとした人だったし、おばさんも凛としたキャリアウーマンだった。
だから多分彼も、精悍なかっこいい青年になっているんだろう。
…………どうしてか、最近特に彼のことばかり考えている気がする。


「んっ…………」


今日は神奈子様も諏訪子様もお出掛けになり、この広い守矢の神社には私一人。
だから、誰にも見られることはない。
彼を想って火照る身体を鎮めるため、静かに袴の隙間から手を差し入れ、指が秘所に触れる…………


「早苗」


瞬間、私は真っ赤になって後ろを振り向いた。
そこには、お出掛けになったはずの神奈子様と諏訪子様がいる。


「あ、あのっ、これは…………!」


「恥ずかしがることはないさ早苗。
 健康な若い女だったら、身体を持て余すことくらいある」


神奈子様が何やらフォローしてくださっているが、私は恥ずかしさで固まったまま動けずにいた。
そんな私を静かに見下ろしながら、諏訪子様が口を開く。


「でも、そうね。早苗も『女』になったのね。
 神奈子、もうそろそろ頃合じゃないかしら」


「ふむ、そうだな」


私を放り出して、何やら相談を始める二柱の神。
その隙に私は乱れた衣服を整え、二柱の御前に傅く。


「あの、何かありましたか?」


まだ恥ずかしさが抜けないのか、声が上ずってしまう。
だけど普段ならそれをからかうはずの神奈子様は、逆にひどく真剣な表情で私を見ていた。


「早苗。貴女は今、誰を想ってしようとしてたのかしら?」


「かっ、神奈子様っ!?」


訂正。やっぱりこの神様は私をからかおうとしている。
そりゃあ、神奈子様から見れば私なんて子供みたいなものだろうけど。


「もうっ、知りません!」


だったらこちらも、子供らしい手段をとってやろう。
いつもみたいにアタフタしてたら、それこそ永遠亭の兎よろしく弄られ続けるに決まってるから。
だけど。


「私は真剣に聞いているのよ、早苗。
 もう一度だけ問うわ。正直に答えなさい。貴女は今、誰を想っていたのかしら?」


その神奈子様のお声は真剣で、私の口はまるでそれに引きずり出されるように、答えを紡いでいた。


「そ、その…………○○君、です…………」


瞬間、私は自分の頬が一気に熱くなったのを自覚した。
ううっ、二十歳を通り越して大人になった私が、こんなことで顔を茹で上げなければならないなんて。
だけど。


「そう、良かったわ。
 これなら、貴女が望まぬ子を宿す必要もないようだから」


「…………どういうことですか、諏訪子様?」


神奈子様の背後でそう言って安堵の声を漏らす諏訪子様のお言葉に、私の熱くなっていた心が、冷水を浴びせられたかのように一気に冷えた。
私が、子を、宿す…………?


「東風谷の一族は、代々私たちに仕えるのが定め。
 貴女の代で、それを絶やすわけにはいかないの。
 なら貴女はどうするべきか、分かるわね?」


「…………はい。分かります」


それは、分かっていたことだ。だからこそ、考えたくもなかった。
私は人間である以上、いつかは死ぬ。
加奈子様と諏訪子様に永遠にお仕えすることは叶わない。
だけど、その役目を絶やすわけにもいかない。
そして、その任を背負った東風谷の系譜は、幻想郷へと移住した今、私しかいない。


そう。
私は、その時が来ることが怖かった。
特殊な力故に人を遠ざける傾向があった私は、男子に対する免疫なんてほとんどないに等しい。
告白もかなりされたけれど、彼を除いて全て断ってきた。
だけどいつか私は、東風谷の血を次代に伝えるため、多分好きでもない男に抱かれて子を成さなければならない。

日々、女として成熟していく私の身体。
神社に参拝に来る男性には、明らかに私にそういった視線を向ける者も増えてきた。
そして私自身、身体の内から溢れる熱を持て余すことが多くなる。
だけどいつか私が子を成すとき、側にいて欲しいと思える男性は、彼しか思い浮かばなかった。
もう二度と会うことすら叶わない、彼の姿しか。


あれ?
でもちょっと待って。
ついさっき諏訪子様は、『望まぬ子を宿す必要がない』と仰らなかったか?


「あの、諏訪子様。私はいずれ男に抱かれ子を成すことを覚悟しております。
 それが私に与えられた、おそらく至上の命題だということも理解しております。
 しかし、それをする必要がないとは…………?」


「あら、何を勘違いしているのかしら早苗。
 貴女にはきちんと立派な跡継ぎをつくってもらうわ。
 ただ、今貴女が考えているように、好きでもない男に抱かれる必要がないだけ」


「でもっ!○○君は私のことを覚えていません!
 それに、彼とはもう二度と…………」


「会えない、かしら?」


焦って盛大に○○君のことが好きだと自爆しているが、今更だ。
この二柱の神様は、私の気持ちなどとっくの昔に知っている。





そう。
あの最後の日だって、黙って彼の前から消えるつもりだった私の背中を押してくれたのは、神奈子様と諏訪子様だった。
いつものように、神奈子様が前に出て私にお言葉を下さり、諏訪子様がその後ろから小さく後押しをされたっけ。


『早苗。貴女はこう考えているのでしょう?
 どうせ消えてしまう運命なら、この想いも内に秘めたまま、彼とはこれ以上関わらないほうがいいと。
 逆に考えなさい。
 どうせ消えてしまう運命なら、最後だけでも美しい夢を見たらどうかしら。
 貴女にとっての初恋。彼にとっての初恋。
 想いの根元から断ち切られるなら、その恋の華を盛大に咲かせてからの方が、未練は残らないわ。
 ずっと覚えている貴女にとっても、恋をした記憶ごと失ってしまう彼にとっても』


『最後は悲恋で終わる物語の舞台に貴女を上げてしまったことは、申し訳なく思うわ。
 だからせめて、貴女には幕が下りるまでの刹那の間だけでも、最高の恋をして欲しいの』


『だから頑張って』と、二柱の神にぎゅっと抱きしめられた私は、自分の心に素直に、○○君の告白を受け入れた。
彼に抱きしめられたときは、このまま二人でこの世界に残ってもいいとさえ、本気で考えた。
だけど精一杯の自制でそれを振り切って、私は元の世界を後にした。
彼の行く末にある、光り輝く幸せな日々を祈りながら。


「会えないことはないわ」


だというのに、神奈子様はそんな言葉で私の心をかき乱す。
無礼を働いてはいけないと理性が叫ぶのに、彼のことになると私は止まれない。


「神奈子様っ! お願いです、お願いですから、○○君の名を出してそのような戯言を仰らないでください!」


「戯言ではないわ。早苗、貴女と○○との運命の糸は、まだ繋がっている。
 その糸を手繰り寄せれば、彼をこの幻想郷に招き入れることは不可能ではない」


「そんなっ…………!」


彼はすごくいい子だと思う。
優しくて、偏屈な私を受け入れる度量があって。
そんな彼なら、きっとあの世界で素晴らしい人生を歩んでいける。
だからそれを、もう覚えてもいない私なんかのために失わせるわけにはいかない。


「早苗、貴女はもう一つ勘違いをしているわ」


だからこそ、私は諏訪子様のそのお言葉に、愕然とする。


「○○は貴女に関する記憶を失ってなどいないわ。
 東風谷早苗という少女が確かにあの世界に存在したこと、その少女と想いを交わしたこと。
 彼は、全て覚えている」


「そんなっ、どうして!?」


「呪いよ」


短く呟かれた神奈子様のお言葉に、私は今度こそ頭が真っ白になってしまったらしい。
気が付けば、畏れ多くも神奈子様の服にすがり付き、私は声を荒げていた。


「どういうことですか、神奈子様ァ!?」


「言葉通りよ。貴女がいずれ子を成さねばならないことは分かっていた。
 だったらせめて、相手の男くらいは貴女に選ばせてやりたかったの。
 あの日、貴女を送り出したあの時。私と諏訪子で貴女を抱きしめた時、二人で貴女にとある呪をかけたわ。
 想いを交わした相手を、永遠に束縛する呪い。
 だからたとえ、あの世界で誰も貴女のことを覚えていなくとも、彼だけはずっとその記憶に囚われる」


「そんな、解呪する方法はないのですか!?」


「ないわ。呪を仕込んだのは確かに私たちだけど、実際に彼と想いを交わしたのは貴女。
 つまり、彼を呪った直接の術者は、貴女。
 強力な呪いの類は、術者が死ななければ解呪できないことくらいは知っているわよね」


私はその場で、がっくりと膝をつく。
私は、一時の快楽のために、彼の人生を滅茶苦茶にしてしまった。
私が幻想郷にいる限り、彼は二度と私と出会うことはない。
そして私は、幻想郷から抜け出すことは出来ないし、今すぐ死ぬことも出来ない。
つまり彼は、永遠に届かないものを追って、一生足掻き続けるしかないというのか。


「神奈子、あんまり追い詰めては可哀想だわ。
 ねえ早苗。あの呪いは、向こうの世界だったら他の女なんか目に入らないくらいの強力なものよ。
 だけど世界が断絶する以上、いくら私と神奈子の全力を投じた呪いでも、その効果は細い一本の糸程度になってしまう。
 繋がりがある以上彼は貴女を忘れないけれど、雲を掴むような目標に彼が諦めたとき、簡単に切れてしまうほどのね。
 だから貴女がそこまで気に病む必要はないわ。
 ひょっとしたら彼は、向こうでもうきちんと自分の人生を歩んでいるのかもしれないから」


諏訪子様がそう言って私をフォローして下さるが、その時私は、自分の中にあるおぞましい感情を見つけてしまい、冷たい床に両手をついて呆然となっていた。
私は、喜んでしまったのだ。
○○君が私のことを忘れていなかったと聞いて。
そして、一生をかけて私のことを追い続けてくれているかもしれないと聞いて。
ああ、私はなんて醜いエゴイストなのだろう。
私に繋がる糸なんてさっさと断ち切って、自分の人生を歩んで欲しいという想い。
だけどその反面、ずっと私だけを見つめていて欲しいなんて考える、思わず目を背けたくなるほど醜悪な自分もいる。


「私は…………どうしたらいいの…………?」


全身がだらんと弛緩したまま、私はそう呟く。
しばらく、私は独りになって考えたかった。

だけど、そんな時に限って、世界は忙しなくその歯車を回す。
玄関の引き戸が開けられる音がして、続いてよく通る澄んだ声が、守矢の神社に響いた。






「早苗ーいるー?」


「邪魔するぜー」


この声は、もう何度も聞いているあの二人の声だ。
博麗霊夢と霧雨魔理沙。彼女たちの訪問はたいていが突然だけど、何もこんなときに来なくてもいいのにと思う。
今日は、ショックな事実が多すぎた。だから正直なところ、一人で横になって考えたい気分だった。


「ごめん、今日はちょっと調子が悪くて…………
 用事なら明日以降にしてもらえないかしら」


それでも顔を出さないわけにはいかなくて、私は玄関までふらつく足に無理やり活を入れて歩き、霊夢と魔理沙にそう言って謝罪した。
私の表情を見て取ったらしい霊夢が眉を寄せる。


「ちょっと、本気で調子悪そうね?」


「ええ。だからお願い、今日だけは…………」


「だが残念だ。悪いけど今日だけはこっちもこのまま引き返すわけにはいかないのさっ」


言って、魔理沙がすいと身体を横にずらす。
それに合わせて霊夢も静かに場所を空けて、


「嘘…………」


そのまま私は、二人の間から現れた人を見て、頭が真っ白になってしまった。
次の瞬間、さっきのショックが尾を引いていたのか、私はその場にぺたんと座り込んでしまう。
するとその人が静かに私の元に歩み寄って、


「…………約束を果たしに来たよ、姉さん」


そう言って、私に手を差し伸べてくれた。


「○○君、なの?」


ああ、確かに分かる。
五年の歳月を経て背はぐんと伸びて、いつの間にか眼鏡もかけていて。
顔つきも可愛い感じだったのが、眼鏡の奥の瞳に怜悧な光を宿す美青年に変わってたけど。
それでも私を優しく見つめる目元に、あの日の少年の面影を残すその人は、間違いなく○○君だった。
どうしよう。握られた手から伝わってくる彼の温もりに、私の心臓が爆発しそうな勢いで早鐘を打っている。
私の本能が、このまま彼の胸に飛び込んでいけと、叫んでいる。だけど、私は。


「馬鹿ッ!なんで、何で来たのよ!?」


そう言って、彼の手を振り解いていた。
直後図々しくもまだ残っていた霊夢と魔理沙が抗議の声を上げるが、当の○○君は平然とした表情のままで。


「何でって、早苗姉さんが俺のことを選んでくれたからだろ?
 他の皆は姉さんことを忘れても、俺だけはずっと覚えていた。
 それに何より、立派な男になって姉さんの下にやって来ると約束したしね」


「でもっ!あなただけが私を覚えていたのは、私がかけた呪いのせいなのよ!?
 だから、あなたが抱いてるその感情は偽物なの!
 今ならまだ間に合うわ。呪いで形作られた偽りの感情なんて捨てて…………」


「ああ、そんなのとっくの昔に分かってたさ。俺が呪われてるってことくらいな」


そして、変わらない表情のままで、そんなとんでもないことを言い放った。
思わず絶句する私に、彼は言い聞かすように語り掛ける。


「姉さんが消えた後、俺は諏訪の伝承や、守矢神社の由緒なんかを徹底的に調べ上げた。
 そして分かったんだけどさ、守矢の神社って、元々土着神のミシャグジ様を奉ってたんだよな。
 ミシャグジ様っていったら、圧倒的な力を持った祟り神様だ。
 だから俺が呪いをかけられたことくらい簡単に予想はついた。
 むしろ、姉さんがそうしてまで俺を束縛してくれたのは、男冥利に尽きるくらいだぜ?」


「でもっ、それは…………!」


「そこから先は、私が説明するわ」


その時、私の背後から厳かな声が響いた。
○○君は一瞬びっくりした表情を浮かべたけど、やがて小さく笑って、私の背後に現れた神様に向かって傅く。


「まずは、はじめましてといったところか、東風谷の眷属。私は…………」


「八坂神奈子様、ですね。それと、お言葉ですが訂正させていただきます。
 お久しぶりです、八坂様。
 こうしてお姿を拝見することこそ初めてですが、以前何度か私の下へ足を運んでくださっていたのを、気配で感じておりました」


私はその光景に、あんぐりと口を開けたまま固まってしまった。
見れば、霊夢と魔理沙も驚いている。
○○君は少し霊感があるだけの普通の人間なのに、神様を前にして畏れることもなく、それでいてなおそのお言葉を遮って口上を述べたのだから。
神奈子様もほんの少し驚かれた様子だったけど、○○君の丁寧な言葉遣いによってかそれほど気分を害された様子もなく、話を再開される。


「汝に早苗を覚えているよう呪いをかけた張本人は、私だ。
 東風谷の一族は代々私に仕えるがその役割。
 よって早苗にもいずれは必ず子を成してもらわねばならない。
 ならばせめてその相手は、早苗が心に決めた者がいいと考えた。
 だから早苗に黙って呪いを仕掛け、汝に告白するよう仕向けたのだ。
 分かるか東風谷の眷属。私が汝に求めているのは、所詮種馬としての役割でしかない。
 早苗の身体の準備が整うまで早苗を想い続け、そして子種を与えた後に消え失せる。
 ああ、案ずるな。無事早苗が子を成した暁には、私が責任を持って汝を現世まで送り届け、未練を抱かぬよう記憶の一切を消してやろう。
 無論、報酬として汝には一生金と女に困らぬほどの運気を吹き込んでやる。どうだ、悪い条件ではあるまい?」


神奈子様が、そう言って残酷な言葉を○○君に投げ付ける。
○○君はさすがにそれまでの平然とした態度から、眉を寄せてほんの少し不機嫌さをかもし出しているけど。
でも神奈子様の言うことを理解したのか、静かに私を見据えていた。
その瞳は、私にそれでいいのかと問いかけている。

―――止めて。そんな眼で見つめられたら、私はもっと残酷な言葉をあなたに突き付けてしまう。


「ちょっと神奈子!
 五年間も一生懸命早苗のことを想い続けて、遂には結界を突き破ってまで此処に来たような人間に対する、それがあんたの態度!?」


「そうだぜ、早苗も早苗だ!私らが泊まった時、お前散々惚気てたよな!?大好きな男の子だって!
 なのにそれでいいのかよ!子供だけつくってはいさようならで、本当にいいのか!?」


何かここまで来たら最後まで付き合わせてもらうぜ的な雰囲気を醸し出していた霊夢と魔理沙が、揃って神奈子様と私に猛抗議を加える。
確かに、傍で見ているだけの二人なら、そう言うだろう。
女の子として、そんな物語の終わりなんて許容できないのも分かる。
でも、私は、○○君のことを本気で愛しているから。大好きだから。
だから彼には、自分の幸せをきちんと掴んで欲しいから。


「おい、○○! お前からも何か言えよ! この機を逃したら、お前ずっと早苗に会えなくなるんだぜ!?」


黙っている私たちに痺れを切らしたのか、魔理沙の矛先が○○君に向く。
けれど○○君はそんな魔理沙に柔らかく微笑んで、そして今までの静かな瞳から一転、そこに滾るような情熱を乗せて、神奈子様に向き直った。
神様に真っ向から対峙する一般人。
巫女としての本来の私なら血相を変えているところだろうけど、今の私は○○君のその真剣な横顔に、ただ魅せられていた。
…………なんか魔理沙まで魅せられてるっぽいのは、後で問い詰めることとしよう。


「申し訳ありませんが、私はただの種馬で終わるつもりはございません。
 願わくば早苗と、一生を添い遂げたいと思い、全てを捨てる覚悟を固めてこちらの世界に参りました。
 それに…………」


そこでいったん言葉を切って、今度は私に向き直って、私をあの日のように強く抱きしめる。


「姉さんが俺に帰って欲しいのは、俺のことを本気で愛してくれてるからだろう?
 俺には現世に居場所があるから、そっちで暮らす方が遥かに俺にとっていい人生が待ってると思うからだよな。
 そう思ってくれるのは、正直すごく嬉しい。
 だけどさ、姉さんはもっとわがままになってもいいと思うんだ」


「で、でも…………」


○○君の腕に抱かれて、それを拒否することすらもう出来ないくせに、みっともなくそんなことばを吐く私。
すると○○君はいったん私を離して、苦笑いを浮かべながら…………最後の武装を開放した。


「それに、正直現世に帰ったとしても、俺は困るんだ。
 だって、五年間で貯めたバイト代全部つぎ込んで、こんな物を買っちまったんだからな」


そう言ってジャケットの懐から、青い小箱を取り出す○○君。
それを見た私は、もう溢れる涙をこらえることが出来なかった。
そして、これ以上ないほどにわがままで醜い呪いの言葉が、喉元までせり上がってくる。


「俺は、早苗姉さんのことが好きだ。
 ずっと諦め切れなかった。誰からも忘れ去られたまま終わるなんて、認められなかった。
 結婚してくれ、早苗。そして俺と、ずっと一緒にいよう。
 早苗が幸せなら、きっとそれが俺にとっての一番の幸せだから」


「…………私で、いいの?」


瞬間、私は思いっきり唇を塞がれていた。
それは多分、五年間ずっと私を追い続けてくれていた彼の、その情熱全てを注ぎ込むような熱烈な口付け。
○○君の舌が私の口の中に侵入して、私が対処する間もなく私の舌に絡み付き、蹂躙していく。


「…………ん、ちゅ…………」


ぬちゃ、といやらしい音が響いて、私の唇から溢れ出した唾液が口を伝い、首筋を濡らしていく。
それは彼らしくない乱暴な行為だったけど、私は抵抗しない。
だって、私だってずっと彼のことを、追い続けてきたから。
何だかシャッター音がしてフラッシュが焚かれた気がするけど、そんなことなんか気にならないくらい、私はこの甘い感覚に酔いしれていた。

やがてゆっくりと、彼の唇がきらきら光る細い糸を引きつつ、離れていく。


「ん、ぁ…………はぁ、ん」


「早苗、返事を聞かせてくれる?」


○○君が、多分涙と唾液でぐちゃぐちゃになってる私の顔を覗き込んで、悪戯っぽく呟いた。
何で、私はこんなにいっぱいいっぱいなのに、彼はあんなにも余裕があるんだろう。
私の方がお姉さんなはずなのに、いつの間にかすっかり彼のペースに乗せられている。
名前も、姉さんがいつの間にか早苗になってるし。でもそれも、嫌じゃない。


「ったく、しょうがないわね。ほら、使いなさい」


いい加減まだ残っていた霊夢が、ハンカチを私に貸してくれる。
確かに、ぐちゃぐちゃの顔のまま告白の返事をするなんて、ちょっと恥ずかしい。
私は友達の心遣いに感謝しつつ、お約束で鼻までかんで、それを目立たないよう隅に放り投げた。
ごめんね霊夢、ちゃんと洗って返すから。
そして顔を整えた私は、返事を待ってそわそわし始めた○○君の正面に正座をして、そのまま三つ指をついて静かに返しの言葉を紡ぐ…………
と見せかけて、思いっきり彼の胸の中にダイブした。
驚きつつもしっかりと私を抱き留めてくれた○○君。
そんな彼の耳元に唇を近づけて、私は。


「不束者だけど、末永くよろしくお願いしますね。私の大好きな○○君っ!」


そう言って、今度は私から五年分の想いを込めた、情熱の口付けを交わした。
















神社の裏手にある神の湖。
すっかり日も落ちて辺りには闇が立ち込めている。
時折吹く風が湖面を凪ぐだけの、静かな湖。
そのほとりに、蛇のように絡み合う二つの影があった。


「んぁっ…………やぁっ、はぁん…………」


涙に濡れた、しかし歓喜に満ちた艶声が、静かに闇を震わせる。
そしてその闇の中、虚空からその絡み合う影を見つめる、二対の瞳があった。
言うまでもなく、この神湖の主、八坂神奈子と洩矢諏訪子である。

その二柱の背後に、突如開かれる隙間。
しかし八坂神奈子は慌てる風もなく、現れた影に振り向きもせずに言葉をかけた。


「世話になったな、八雲の大妖」


「ふふっ、それほどでもございませんわ。
 それより、訊いてもよろしくて?
 …………何故、彼でなくてはならなかったのかしら?」


「東風谷の神官は風を操る。それは人には過ぎたる力だ。
 故にその能力を継承する子の親となる者は、ただの人間であってはならない。
 もっとも、力在る者は同じように力在る者に惹かれるもの。
 これまでも半数ほどの神官たちは、自由恋愛の末良き伴侶を得ていたが」


「でも上手くいかない場合はどうしてもあるものだわ。
 だからそんな時は私が力ある人間を見繕って、当人たちに気付かれず呪いをかけてその仲を取り持つ。
 私のミシャグジの呪いは強力だから、その程度のことは造作もなかった。
 けれど、今回ばかりはそうもいかなかったわ。
 なぜなら、幻想郷へと旅立つ以上、早苗の身体が成熟するのを待つ時間なんてなかったから」


「さらに、旅立った先に相応しい男がいる保障もどこにもなかった。
 だからこそ、早苗が好きになったあの男に霊力があると分かった時、やるべきことは決まっていた」


「そして時が満ちた時、私の力でその呪いを辿り、相手の青年を神隠しに遭わせこちらの世界に連れてくる。
 結局、全てはあなたたちの計画通り、といったところかしら」


「そういうことだ。
 だがそれも、貴殿の助けがなければ成功してはいなかっただろうな。
 よって相応の対価を払いはしたが、今回ばかりは礼を言わせてもらおう。
 東風谷の未来と、早苗の幸福の分の礼をな」


頭こそ下げないものの、神たる存在が妖怪に感謝の言葉を述べるなど前代未聞であろう。
早苗が知ったら、秘め事を見られていた分も含め二重の意味で倒れるかもしれない。
だがその妖怪、八雲紫は、神からの感謝の言葉に目を細めて口元を扇子で覆い隠すと、そのまま二柱に背を向けて再び隙間の中へと姿を消した。
去り際に、普段の胡散臭いそれとは違い、心底愉快そうな笑みを張り付けた顔で振り返り、


「それと、私は別に神隠しで彼を連れて来たわけではありませんわ。
 彼は自力で幻想郷の伝説と基点となる向こう側の博麗神社を探り当て、挙句境界を自らの霊力で突破してきた。
 私がしたのは、不穏分子として彼を処理しようとしていた霊夢を説得して、彼をここまで護衛するように仕向けたことくらい。
 それにしても彼、随分と見所がありそうですわ。これから、楽しくなりそうですわね」


そう、言い残して。


「神奈子…………」


「ああ。―――どうやら早苗は、素晴らしい伴侶を得たらしい」


二柱の神は、隙間妖怪の言葉に一瞬言葉を失ったものの、やがて彼女と同じように愉快そうに笑った。
あの青年は、呪いなど関係なく早苗を追い続け、さらに不可能を可能にしてみせた。
彼なら―――自分たちに巻き込んでしまった早苗を、幸せにするだろう。
そして、神奈子に宣言したとおり、生涯早苗の隣を守り続けるだろう。


「幸せになってね、私たちの可愛い娘…………」


最後に慈愛に満ちた言葉を残して、二柱も虚空へと姿を消す。
後に残ったのは、愛の言葉を囁き激しく情熱をぶつけ合う男女。
彼らのいる場所が、二人が初めて想いを交わしたその場所だったのは、果たして偶然か必然なのか。
いずれにせよ、確かなことは。
止まっていた二人の物語を紡ぐ歯車が、今再びゆっくりと廻り始めたということだった。


10スレ目>>439

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早苗を見送った後俺は防温結界を貼るため神社の居住スペースまで行った
守矢神社には何度か来たこともあるし早苗の部屋にも入ったことがある


「勝手したたるなんとやら、だな
 取り合えず早苗の部屋は本人が帰ってきた後でまずは居間に結界を貼るか」


ついでにコタツにも色々と仕掛けておくか
ガラッ
戸を開いた先には……


「あーうー寒いよー何とかして神奈子ー」
「諏訪子は蛙だからねー、そろそろ冬眠でもしたら?」ボリボリバリバリ
「人事だと思ってー!あー、ぬくいおこたが懐かしいよー」


電源の入ってないコタツに肩まで入りながら寒い寒いと嘆く諏訪子さんと
寝そべりながらせんべいをボリボリと齧る神奈子さんが居た
…………神としての威厳はどうしたあんたら


「ありゃ、ボリボリ、○○じゃない、バリバリ、どうしたんい?バキバキ、早苗ならいないよ、モリモリ」ボロボロ
「知ってますよ、さっき境内で会いましたから、ってか食べるか喋るかどっちかにしてください
 あーもう、ぼろぼろ溢して」
「あー、○○だー、ねーねー一緒におこた入って暖めてよー」
「ちょっと足をつかんで引き釣り込もうとしないでくださいよ
 寒いのなら俺が防温結界貼ってあげますからちょっと手を離してください」
「本当に!?やったー!○○大好き!!」


両手を挙げて喜ぶ諏訪子さん、外見の所為かどう見ても幼女にしか見えない
喜ぶ諏訪子さんを尻目に俺は居間の四方に護符を貼り小咒を唱えた


「のうまく さんまんだ ばざらだんかん !!」


護符に火の力が注がれ暫くすると部屋が暖かくなってきた
ついでに同じ護符を炬燵の中に貼り付けておいた


「暖かいー、ありがとー○○」
「いえ、どういたしまして」
「○○、ついでにテレビもつくようにできない?」
「電源をつけれても電波がないんじゃ意味ないですよ」
「使えないねわね」
「……電波はないですけど電撃ならありますよ、タケミカヅチの
 ご所望ならレプリカですけどセットで布都御魂剣もつけますよ」
「あ、いや、贅沢言ってすいません」
「でも知り合いにテレビやパソコンを持ってる人が居ましたから今度聞いてみますね」
「お願いね、いやー昼ドラがないと暇で暇で」


頬をかきながらケラケラと笑う神奈子さん
随分と俗世に馴染んでるな


「ただいま帰りましたー」


そうこうやってると玄関のほうから早苗の声が聞こえてきた


「お、早苗が帰ってきたね」
ガラッ
「遅くなりました、直ぐにご飯の支度しますね」
「あれー?早苗そのマフラーどうしたの?出かけるときは無かったよね?」
「これですか?これは○○さんが編んでくれたんですよ
 ○○さん、ありがとうございます、とっても暖かかったです」
「いーなーいーなー私も欲しいなー」ダキッ
「今度護符入りのチャンチャンコ作ってあげますからしがみ付かないでください」
「それじゃあご飯作ってきますね」
「俺も手伝うよ」
「○○さんはお客様なんですから座っててください」
「そういうことなら、待ってるよ」


~少女料理中~


しばらくして早苗が持ってきたのはおいしそうな匂いの漂うすき焼だった


「今日はすき焼か、豪勢だね」
「すき焼好きだよー」
「マフラーに居間の結界のお礼です」
「後で早苗の部屋にも結界を貼りたいから入ってもいいか?」
「ええ、構いませんよ」
「それじゃあ話はこれぐらいにしていただこうか」
「「「「いただきます!!」」」」


「あー、食べた食べた」ポンポン
「あーうーお腹一杯」
「洩矢様、食べた後直ぐ横になると牛になっちゃいますよ」
「諏訪子の場合は牛蛙だろうけどね」
「神奈子酷いよ!」
「あははははは、洩矢様ならそうなっちゃいますね」
「早苗も酷い!」


本当に楽しそうに笑う三人
血は繋がってないけれどそれは本当の家族のように見えて
俺には眩しいと思えた


「…………本当に仲がいいんだな三人とも」
「それは私が生まれたときから一緒ですから、家族同然です」
「……そっか、なんか羨ましいな、そういう関係」
「そういえばさー、○○は家族いるの?」
「…………家族は、いないよ、天外孤独だったから……
 まあ幻想郷に来てる時点で家族とは離れ離れだから気にしなくていいよ」
「あ……ごめんね○○」
「馬鹿諏訪子」


うっわー食後の和やかな空気が一気に重くなった
ここはなにか話題を出して話を変えないと


「あ、そういえば今日貼った結界はさ、あんまり長続きしないよ」
「そうなんですか?」
「俺個人の力だと定期的に力を注がないと燃料切れを起こしてただの紙になっちゃうからね」
「どれぐらいのペースで切れるんだい?」
「大体一週間ですかね?まあ切れそうになったらその都度伺いますよ」
「…………ねえ○○」
「なんですか、諏訪子さん」
「○○は家族がいないんだよね?だったら私たちの家族になればいいじゃない!」
「確かにそれならいちいちここまで来なくてもいいしね」
「それにさ、されにさ!早苗のお婿になってくれたら嬉しいな」
「も、ももも洩矢様!!??」


突然何を言い出すんだこの神は俺と早苗が結婚だなんて……
いや、確かに早苗はきっといいお嫁になるだろうし子供が出来たらいいお母さんになるだろうな
それに早苗可愛いし俺も満更どころか嬉しいし……


「ってそうじゃないだろ!!??」
「うわぁ、びっくりしたー、なに、突然大声出して」
「出すよ!大体早苗の意思はどうした!!」
「わ、私はその……○○さんが良ければ/////」


顔真っ赤にして照れる早苗可愛いなー
正直その…性欲を持て余す


「じゃあ早苗の了解も取った所で一応婚約成立だね!」
「おい、俺の意思はどうした!?」
「なんだい、○○は早苗相手では不足だと?」
「いや、是非も無い!」
「なら良いじゃない、式はいつしよっか?」
「天狗たちや他の神にも伝えて大々的にしよう」
「そんなこと言ってー、神奈子はそれに乗じて宴会したいんでしょ?」
「ばれた?誤解の内容に言っとくけど式だって大切だよ」
「分かってるよー」
「「あはははははは」」


ああ、なんかとんとん拍子に話が進んでる
くそっ!神の意思の前には一人の人間の意思なんかちっぽけだと言うのか!?

クィクィ
「ん?どうしたんだ?早苗」
「あ、あのよろしくお願いします旦那様」


満面の笑みでこちらに笑いかける早苗を見て
神の思惑に乗るのも悪くないと思いながら早苗を抱きしめこれからの日々を想像した

11スレ目>>19

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皆さんこんにちは東風谷早苗です!


準備がとても大変だったけれど本番はとっても楽しかった文化祭も終わり、学生さんが愛してやまない夏休みに入ることが出来ました。

正直全く勉強してなかったので、(神奈子さまと遊んでいたので)期末テストの点数がある意味幻想なんじゃないかというくらい悪く、(特に数学!)
これ夏休み補習なんじゃないかそしたら神社勤めも全部パァになっちゃうと脅えて夜も眠れず昼間眠ってしまうという私にあるまじき悪循環だったのですが、
追試前に○○くんが毎日ここでは言えないようなスパルタ式勉強法で私を扱いてくれたので、どうにか追試では合格点を取り補習を免れることができました!


そして、○○くんのスパルタ式勉強法の恐ろしさを思い知り、これからは遊んでないで自分できちんと勉強しようと思いました。
いやいつもは優等生なんだよ?ちょっと浮かれてただけなんだよ?


まあそんな感じの夏休み前のひとコマでした。
本当に勉強は大切ですね・・・。

○○くん、勉強教えるのもすっごく上手だったので、何だか頭が良くなったような気になって、勉強が少し好きになった気がしないでもないです!
というか、いくら神社で働く道があるからといって、それに甘えていては信仰心も集まりませんよね。
勉強、少しは好きにならなきゃなぁ、と思います。

私一応○○くんと一緒の高校希望だし、夏休みは働きつつ沢山勉強しなきゃいけないなーとは、ええ、思っているんですが・・・!!









夏休みに入ってすぐ、記念すべき第一日目の日。
いつものように神社で汗を流しつつ色々と働いてちょっと一休みしに部屋へ向かったら、なんと。


○○くんからで、電話が!留守電電話が入ってて、しかも内容が、早苗今日図書館行かないか、みたいな感じの留守電で、
○○くんから初めてのお出かけ・・・・ううんデート!?デート!!のお誘いだ・・・・・!
ってもうすごく感動してしまって、泣きそうなくらい感動してしまって、
その留守電のメッセージは消さずにとっておいて、とにもかくにも大急ぎで返事。


そうしたらすぐ○○くんが電話に出てくれて、じゃあ一時間後に図書館の前で待ち合わせね、って事になって、
もう、なんでしょうもう、その時の私の喜びっぷりったら半端なくて(神奈子さま談。ちなみにすぐOKしてくれました)、
今なら車に轢かれても蘇ります!!巫女ですから!くらい、うん、本当に嬉しかった。


だから私、神奈子さまに相談したりとかして図書館で勉強するには無駄に気合が入ってしまって、
(だって正直私にとっては図書館で勉強というより○○くんと会うというのが重大なんです)
二人でどうにかこうにか悩んだ挙句白い清楚なワンピースを着ることになって、
遅刻しないギリギリまで変なところがないか鏡に向かってチェックして(私らしくもない)、
図書館に着くまで嬉しいわ緊張するやらで、とても胸が高鳴ってどきどきして、どうやって歩いていったのか覚えてないくらいだった、のです、けれど。



だからって、だからって、毎日毎日図書館で勉強の日々を続けることないと思います!!(どどーん)



○○くんと図書館に通うようになって、はや三日。
学校も何もないのに、毎日毎日○○くんに会えるのは、それは嬉しいですよ?
これ以上の幸せはありません、って胸を張って言える自信も、それはもうたっぷりあります。

でも、でもですね!

折角の夏休み、幾ら受験生だからって三日も図書館に篭りっきりで、勉強ばっかりしてるのは、不健康だと思うんですけど、どうなんでしょう。
神様を祀って神社に篭りがちな私が言えることではないけれど。
どうなんでしょう、○○くん。



本当は、○○くんと映画とか、行ってみたい。
私がこんな普通の女の子みたいなことを望むのは間違いだって分かってるけど、それでもしてみたい。
買い物も、いつか一緒に行こうって約束はしたけど、まだ一度も行ったことないし。
もうすぐ、うちの神社で夏祭りもある。海も、楽しそうだなあ。海なんてあんまり行ったことないから行ってみたい。
遊園地なんて小さい頃連れて行ってもらったおぼろげな記憶しかないけれど、そういえば新しくオープンしたって聞いたのはいつだっけ。

三日間真面目に勉強に取り組んでいたせいでもうほとんど終わってしまっている夏休みの宿題のプリント冊子をぼんやり眺めながら、空想してみる。

○○くん、どんな映画が好きなんだろう。感動するの観たら、泣いたりするのかな?
買い物も、楽しそうだなぁ。○○くんってどんなお店で服買ってるんだろう、興味あるなぁ。
夏祭り、○○くん、浴衣とか着ないのかな。絶対似合うだろうなぁ。花火、○○くんの隣でみたら、もっと綺麗に見えると思う。
海も、いいなぁ。○○くんの水着姿とかカッコよすぎて直視できないと思う。カキ氷とか、好きかな○○くん。私は大好きなんですが。
遊園地も、きっと楽しいと思う。乗り物とかよく分からないけれど、○○くんと観覧車とか乗ってみたい。


・・・私の空想の内容は、映画とか、海とか、遊園地とか、そんなのより、ほとんどが○○くんで、馬鹿みたいって自分で思った。


ため息が漏れてしまう。
・・・時間もないのに。最近休みだからといって怠けすぎな気がする。
その分神社に帰ったら頑張ってはいるけれど、でも頭の中は○○くんのことばかりなのだ。



○○くんは、大分前に本を探しに行ったきり戻ってこないし。
私は少し、ほんの少しだけ、寂しくなってしまった。
神様神奈子さま、私は欲張りな女ですよね。
人の欲望には、際限がない。
目を閉じたら、○○くんと色んな所に行く夏休みの図を考えてしまう。
私って、なんて欲張りでワガママでもうそうへきなんだろうああ恐ろしい!


「寝てるのか?早苗」
「まっ○○くん!?」


いきなり声を掛けられて、ぎゅうっと閉じていた目を慌てて見開く。
い、何時の間に帰ってきたの○○くん?!
全然、気配無かったのにこの人!

びっくりしすぎて大声を出してしまったので、また慌てて口を塞ぐ。
わ、私さっきから、慌てすぎ、よ!


「・・・そんなに驚かなくてもいいだろ。俺の事考えてた?」
「ええっ!?(なんで分かるの!?)」
「バカ、冗談だ」


○○くんが目を細めて、くすくすと笑う。
笑うときの○○くんの口元は、いつにも増して綺麗。ほころんでる、って感じで。
それに、口元だけじゃなくて、瞳まで切れ長で涼しげなのは相変わらずなのに、穏やかで。
見るたびに心臓が鷲づかみにされたみたいに痛む。

私は顔が熱くなってしまって、声が上手に出せなくなった。
○○くんは、きれい。
きれいすぎて、私はいつまでたっても○○くんに慣れない。

黙っているのも変だと思ったので、私は上目で○○くんを見て、えへへ、みたいな感じで可愛く笑おうと思ったけれど、
うはは!っていう、本当の愚か者みたいな笑い方をしてしまった。
私ってどうしていつもこうなの・・・!!

一人でやきもきしてるのを、○○くんは気付かないのか微笑む。
顎の下に組まれてる手のひらの先の、爪が大きくて、指が細くて長かった。
○○くんは指先まで綺麗なんだから、本当、問題です。
私にも一つくらい、○○くんくらい綺麗な部分があったらどんなによかっただろう?


「へえ、偉いじゃないか。もうほとんど終わってるな、あとは感想文くらいか?」
「あ、そ、そう!まさか、こんなに早く終わると思わなかったよ。○○くんが教えてくれたからねきっと」
「いや、早苗がやればちゃんと出来るからだろ。お前結構優等生なんだし」


言って、○○くんがまた私のほうを向いて笑った。
それだけでもう感激なのに、さらにありがたいお言葉をいただいてしまいました・・・・!!

私は嬉しくて、さっきまでの鬱々とした気分をすっかり忘れて「そ、そうかな!嬉しい!」とはしゃいでしまった。
私、本当に浮き沈み激しいからいけないなぁ。
でも○○くんに褒められたのは嬉しいから、思いっきり喜んでおいたほうがいいでしょう。

私はニコニコして、またプリントに取り掛かる。
○○くんは私の向かいの席に座って分厚い本を読んでいた。



しばらく、私たちの周りは静かになった。
当然よね、図書館だもの。
○○くんは本を読んでるし、私はプリントを解いている。




「早苗」


○○くんの声。
聞こえるか聞こえないかくらいの小さい音量でも、○○くんの声はよく通るから、すんなり耳に入る。
顔を上げて、○○くんを見ると、彼は本から視線を動かさないまま言った。


「宿題、もうすぐ終わるんだよな?」


私は頷く。
○○くんは一瞬だけ視線を上げて、私のほうを見た。
笑っていない○○くんの口元は、きりっとしている。
凛としている、という言葉を此処まで体言できる人も、珍しいんじゃないかな。
私はプリントを解くのを忘れて、○○くんのほうに釘付けになってしまう。

○○くんは、本を読んでるのだろうか、何か考えてるんだろうか、よく分からない。
黙って、指先を唇に当てた。困ったみたいな顔。私はまた○○くんの事を好きになる。


「俺、もう図書館は飽きた。だから、」


小さい声で、呟くように言う。
○○くんが顔を上げて、私と目が合ったら、普段とはちょっと違う、跋の悪そうな表情で○○くんが笑顔を作った。
困りきったような、弱りきったような、どうしていいのかわかんないみたいな顔。

○○くんは、ひどい。ずるい。私は多分一生、○○くんの事好きになりつづけるんだ。
どこまでも○○くんの事好きになってしまって、これからももっと馬鹿になっていっちゃうと思う。○○くんばか。
望む、ところだと思う。私は、○○くんになら魂を食われても良い。


びっくりして目を開いたままでいたら、○○くんが、もっともっと小さな声で囁く。
ここが図書館でよかった。もし道路の真ん中とか、そういう騒がしい場所だったら絶対に聞き取れなかっただろう。そんなの、勿体無さ過ぎる。


「・・・本当は、最初から、どこか遊びに行こうって誘いたかったんだけど」


何て誘えば良いのかわかんなくて、三日間言えなかった。

はあ、とため息を吐いて頬杖をつく○○くんに、私は、その、心の底から口付けしたいと思った。
本当に馬鹿。図書館の中なのに。
でも多分、一番最初に口付けを発明した人も、こういった爆発的な恋情だとか愛情だとかで、うっかり大好きすぎる人の口に、自分の口をくっ付けちゃったんじゃないかと私は思う。

頭がふらふらして、シャーペンを持っていた手に力を入れすぎて芯が折れてしまった。
指先まで熱い。泣きそうかもしれない。私は意気地なしだから、口付けなんて、したいと思っただけで、しなかった。

女の子はこういうとき、ちょっと不便。(○○くんもわたしに口付けしてくれるとき、こんな風な気持ちになったりするんでしょうか?)



「早苗」
「はい」
「俺、誘ったぞ。ちゃんと返事しろ」
「はい、行きたいです。嬉しいです」
「・・・ああ、行こうな。別に泣かなくてもいいぞ」
「すみません」
「謝らなくてもいい」
「はい。・・・ありがとう、○○くん」



私がもう泣いてしまったら、○○くんがティッシュを寄越して、「早苗はバカだな」って笑ってくれた。
さっきの跋の悪い笑顔とは全然違う、嬉しそうな顔。
○○くんはどの表情でも○○くんが滲み出てて、私はきっと君に何度も恋をしてしまう。

泣いちゃったから、鼻の頭が赤くなってそうで恥ずかしくて、ティッシュで顔の半分を隠して俯いていたら、○○くんが独り言みたいに呟いた。



「・・・・そんなに喜んでくれるなら、もっと早く誘えば良かった」




夏休みは全部が全部、蜂蜜みたい。
悩みや勉強すら甘いんだから、私は夏休みが終わる頃、すごく幸せ太りしてしまいそうで不安です。特に、○○くんへの気持ちとか、絶対もう100キロ越しちゃってると思います!


とりあえずは。
遊ぶ時間を作るため、神社の仕事を頑張って神奈子さまと相談してみましょうか。


10スレ目>>42

───────────────────────────────────────────────────────────

ええっと、その、図書館での一件から色々あって、○○くんと映画に行くことになりました!最高です!





映画です!○○くんと、映画です!!
私は昨日からどきどきしっ放しで、緊張のあまり昨日は眠れなかった。つまり、哲也です!じゃなかった、徹夜です!(何ですかこのテンション)
なんかもう目が冴えちゃってどうしていいのか分かりません。

私は映画館の近くの噴水の前で、一人座って○○くんを待っている。
流石に映画館に行ったことがないとは言いませんけど、それでもやっぱり緊張するなぁ。

私の周りにも、恋人同士っぽい人たちとか、いかにも待ち合わせって顔の女の人とか男の人とか、沢山の人がうろうろしている。
私はそれをぼんやり眺めて、余裕を装ってみたけどやっぱり無理で、思いっきりそわそわしちゃって、
時計を見てはあと何分くらいで待ち合わせ時間か気になってみたり、○○くんがくれた腕輪をしている自分の手首を見ながらえへえへ笑ってしまいそうになったりして、
とにかく、嬉しいんです。楽しみです。


図書館に通ってたときも私なりにおしゃれをしていたつもりだけど、流石に映画となったら本格的にデートなんだから、
私みたいなちんちくりんでも少しは○○くんにつり合う可愛い女の人に近づけるよう、もっと頑張って格好に気を使ってきた!・・・つもり、なんですけど、どうなんでしょう。

街を歩いてる女の人たちはみんな私より明らかに可愛くスタイルよく胸も大きいように見えて、私はちょっと凹む。
神奈子さまが「逢引のときはスカートを履いて女性らしさをアピール」って言っておられました(流石神奈子さま、私より何故か詳しいです)から、
そうなんですか!と感心してスカートを履いてきましたけど、これ、似合ってるんでしょうか。
似合ってない気がします。
この前買い物に行ったときに一目惚れした、白いふわふわした膝丈のスカート。の、下に、七分丈スパッツ。
裾に黄色いレースがくっついていて可愛いんだけど、500円で安売りしてたものだから、もしかしたらだめかもしれない。
1000円のスパッツを買えばよかったかな。いやむしろスパッツなんて履かないほうが、でもいつもより丈が短いし、風で捲れたら恥ずかしいし・・・。
そもそもこのコーディネートおかしかったりしないかな。

スカートのことだけでもこれだけ思い悩んでしまうんだから、髪型とか、お化粧とか、白いブラウスとか、いつも着けている髪飾りまで、
本当にこれで良かったんでしょうか!?と今更ながら不安で仕方がない。
○○くんに、ちょっとでも可愛いって思ってもらえたら、踊りたいくらい嬉しいのだけれど、駄目かな。
難しいかもしれない。
私はこんな性格だから、映画の事より前に、そんな事ばかり一生懸命考えてしまう。
○○くんと映画、嬉しいです。楽しみで、昨日は眠れなかった。
でも、しかし!それだけじゃ、駄目だ。
私は、○○くんの事がめちゃくちゃになってしまうくらい好きなので、ちょっとだけでも○○くんに私の事を見直して欲しいと思ってしまう。

大丈夫、頑張ろう!
○○くんの隣を歩いても、そんなに変じゃないくらいの女の人には、なろう!
私は一人で意気込んで、小さく体の前で握りこぶしを作って気合を入れていた。
ら?


「早苗、何ガッツポーズしてるんだ」
「うひゃあ!?(ま、またいきなりの登場ですか○○くん!)」


私がびっくりして慌てて立ち上がったら、○○くんにまた笑われてしまった。
私、たぶん、いや絶対、一日に10回は○○くんに笑われてると思います(・・・)

一人で気合を入れまくっていて気付かなかったけど、いつの間にか待ち合わせの時間になっていたらしい。
○○くんは、時間きっかりに来た。流石だなぁ、と思った。
あ、でも、私がガッツポーズなんて訳の分からないポーズをしていたせいで、ずっと憧れてた「ごめん、待った?「ううん、今来たところ!」の流れが出来なかった・・・。
ちょっと残念だなあ、と思って、一瞬落ち込んだけれど、
すぐに○○くんが出会い頭から私に向けてナイススマイルをしてくれたんだからこれはむしろラッキー!?最高じゃないですか!
と思い直してまたガッツポーズしたくなった。
早苗やりました!


「あ、あっと!えーと、○○くんこんにちはっ」
「ああ、こんにちは。今日も元気だな、早苗」
「そ、それは、もう!だって○○くんと、映画だし!」


そうだな、映画だもんな。優しい声で言って、○○くんがまたふわりと微笑む。
どうしよう、○○くんはあまりにも素敵過ぎるので、私、どんなに頑張っても釣り合う女の人になれそうにありません・・・。

○○くんが突然登場してビックリしたとかマイナス思考とプラス思考の狭間を彷徨ってたせいで気付かなかったとか色々理由はあるけど、
改めて見た○○くんの私服はとんでもなく格好よかった。
制服のときの○○くんは、なんかもうどれもこれもきっちりしてるけど、私服の○○くんは、ああ、もう、どうしよう、違う。
かっこいい。ほんとかっこいい。かっこいいなんて凡庸な事しかいえない私の語弊の少なさが悔しいです!ってくらいに、かっこいい。
私は思わず「うっ」と呻くみたいな可愛くない声を上げて、○○くんに見惚れてしまった。
何ですかこの人!かっこよすぎるでしょう!問題です!


「・・・?どうした、早苗」
「!あ、あー・・・あの、○○くんも、そういう服とか、着るんだなって思って」
「何言ってるんだ。そりゃあ着るよ。いつも制服じゃ暑いじゃないか」
「あ、あとジーパン、とか、履いてるの初めて見ました。驚いた」
「そんな事ぐらいで驚くなよ。お前、一体俺の事何だと思ってたんだ」


ほ、ほんと、なんだと思ってたんでしょう、私。
だって○○くん、図書館のときも何故か制服だったし、私服、想像できなかったんですよ。
なんて表現したらいいのか、すごく難しいんですけど。
とにかく、かっこいいことだけは確か。
ごちゃごちゃしたグラフィティっぽい柄が入った深い紫色のTシャツに、細身のブラックジーンズ。ベルトも黒で、大きなバックルが重厚な鉛色に輝いてる。
ほほう、さすがに○○くん、色合いが暗くて、それっぽい。
全体的にぴったりした感じで、なんですか、こんなこと言ったら私本当変態みたいだけど、色っぽいなぁと思った。
ていうか、おしゃれです○○くん。おしゃれさんです。
私は憧れるやら見惚れるやらで、すっかりぽうっとなってしまって、「○○くんかっこいいなぁ」と呟いてしまった。
「早苗、馬鹿じゃないのか?」って言われたけど。はい、ばかです。ばかでいいです。というか、ばかです、わたし!


「○○くん」
「何だ」
「かっこいいです。すごく、かっこいい」
「・・・・・。
 ほら、もうすぐ映画始まる。行くぞ」
「でも、本当だよ、ほんとかっこいいよ。○○くん、世界で一番かっこいいよこれ決定事項だと思う国連 でっ?!」


○○くんが歩き出してしまったから、私も早足で追いかけながら、○○くんの格好よさについて語っていたら、
いきなり○○くんが立ち止まって、私は○○くんの背中に顔を突っ込んでしまった。
う、ううっ?またビックリしたやら恥ずかしいやらで2、3歩後ずさったら、久々に見る怒った顔の○○くんが私を睨んだ。

な、なんですか!?い、今、私褒めてたつもり満々だったんだけど、○○くんからしたら私から褒められたという事自体心外なのだろうか。
レベルが違うんだよ!ということなんだろうか・・・!

私は一瞬のうちに恐縮してしまって、すっかり縮こまって、こっちを見下ろしてくる○○くんの絶対零度な視線に脅えて、
「あ、あ、その、○○くん、すみませ、ほ、本当にかっこよかった、から」みたいな事を言い訳がましくどもりながら言ってたら、
○○くんがまだむっとした顔のままで、一歩私との間合いを詰めてきた。
ひ、久々に感じるこの恐怖!
最近○○くんが私のことむちゃくちゃ甘やかしてくれてたせいですっかり忘れちゃってたけど、こんなにも威圧感のあるものだったのか…!

往来の真ん中で、睨みつけられる大馬鹿者な私。
往来の真ん中で、迫ってくる史上最強にかっこいい○○くん。奇怪な光景だ。

でも○○くんの怒った顔もぞっとするほど綺麗なので、一部美しい光景と言えるかもしれない。(でも怯えている私は相当見苦しいと思いますすみません)


「早苗」
「・・・は、はいっ!?」


「お前のが、ずっと可愛い」


○○くん、真剣な顔でそんな風に言われたら、私は、死んでしまうと思います。
私たちの町から三駅離れた繁華街の喧騒の中で、顔真っ赤にしてる白いスカートの女の子と、難しい顔してる割に赤らんだ頬をしている男の人を見かけたら、
それ、多分私と○○くんですので、そっとしておいてほしい。

○○くんはそれだけを短く低く言って、またすぐ歩き出してしまったから、
追いつこうと必死になって早歩きしたらまだむっとした顔のままの○○くんに手のひらを掴まれて、ぐいぐい引っ張られたので、
私は○○くんの後ろを一生懸命追いかける人から、○○くんの隣で真っ赤になって俯く女の子に昇格した。

私の小さなパンプスを履いた足が、○○くんの手よりずっと筋張ってる大きな足の、すぐ近くでちょこちょこ動いてる。
親指の爪の大きさひとつでさえこんなにも違うんだから、同じ種類の動物なのに、違う生き物みたいだと思った。
でも、一緒に歩く事は、ちゃんとできますよ。掴まれたままの手のひらは、いつもより熱いので、私はちょっと笑ってしまった。










※映画の最中のおふたり!※


『(洋画アクションお約束の無駄に濃厚なキスシーン放映中の時のふたり)』
「!!ゲホッ!?、げほげほっン、んんっ!(←衝撃でポップコーンを喉に詰まらせた早苗ちゃん)」
「・・・(無言)」


『(洋画アクションにありがちなあまり意味の無いベッドシーン放映中の時のふたり)』
「・・・っ!!(←声にならない衝撃を受ける早苗ちゃん)(ポップコーンは○○くんに取り上げられました)」
「・・・・・・(無言)」


『(洋画アクションにありがちなあまり意味の無いベットシーンが思いのほか長かったりした時のふたり)』
「・・・!!・・・っ!・・・!?(←いちいち衝撃を受ける早苗ちゃん)(他の映画にすればよかったと後悔)」
「・・・・・・・・・(無言)」


『(洋画アクションにありがちなあまり意味の無いベットシーンが思いのほか長かった上過激だった時のふたり)』
「っ・・・ひ、・・・(←○○くんに目隠しをされている早苗ちゃん)(暗くてわかりませんが顔真っ赤です)」
「・・・・・・・・・・・・(頑なに 無 言 )」










・・・何ででしょう、映画を見てただけなのに、とても疲れてしまった。
まさかあんな、ふしだらなシーンのあるやつだったなんて・・・!
な、なんで近未来カーチェイスもの!なんていうかっこよさげなやつなのにあんな無駄に、む、むだにふしだらな、シーンがあるんですか!
ひどいじゃないですか!

こんな事になるなら、○○くんに「早苗、何の映画みたい?」って聞かれたときに、○○くんも楽しく見れるようなの選ばなきゃ!
って勝手に気を回してよく分からない映画選んだりしないで、
素直にブレイブストーリーだとかハチミツとクローバーだとかラブコンだとか見たいって言えばよかったです・・・・
(でもブレイブストーリーとかハチクロとかラブコンとか楽しそうに見てる○○くん想像出来なかったんですもん!)

し、しかも、キスシーンで、思いっきりむせちゃうし。
ら、らぶしーんでも、恥ずかしくてもじもじしてたら、○○くんに目隠しされちゃうし、もう!ああ恥ずかしい!どうしよう!


映画館の女子トイレで、私はひとり、あまりの恥ずかしさにああ!と悲鳴をあげたくなった。
恥ずかしい。本当に恥ずかしい。鏡見たら、顔、妙に真っ赤だし。
○○くんに、私がああいうシーンあるってわかってて、あの映画選んだと勘違いされてたらどうしましょう!?
そう考えたら本当に顔から火が出そうで、想像だけなのにもっと真っ赤になってしまった。私の馬鹿!

だけど、このままトイレに引き篭もってるのも問題なので、ささっと髪の毛を整えて急いで外に出る。
○○くんがもう待ってて、私はとりあえず笑って手を振ってみた。
お、○○くん、案外普通そうかな!?こ、これなら、あまり映画のことに触れず楽しいデートができるかも・・・!


「す、すみません○○くん、お手洗い混んでて」
「いい、俺も今出たところだし。ついでだから買い物とかしてくか?」
「!は、はい!」


買い物!ずっと前から夢だった、○○くんとお買い物!
なんていうとてもデートっぽい行動が一日のうちに叶ってしまうなんて、私はなんて幸せ者なのかしら!と思った。
たまたま見た映画が、ちょっとやらしかったのなんて関係ありません!
だって、○○くんが、○○くんが、今私に笑いかけてくれてるんだものーって大喜びしてたら○○くんが普通の顔して
「映画まあまあ良かったな」
などとふってきたのでここにポップコーンがあったらまた咽るところだった。
げほん!と一度だけ咳が出た。ま、○○くん・・・!(そ、その話題は、やめましょうよ!)


「う、うん!そ、そうだね、凄かったね、車、すごく速く走ってたし。ピカピカしてたし(ど、どうしましょう、ストーリー覚えてない)」
「早苗、そんなところ見てたのか?あの話って結構人間ドラマが主体だったと思うんだが」
「!あ、あ、うん、そういう感じではあったよね!わ、私、赤い車が好きだったなぁ・・・・」
「赤い車・・・ああ、主人公の乗ってたやつ?」
「う、うん!あとヒロインの乗ってた紫の軽自動車みたいなの?あ、あんなに速く走れるとは思わなかったよ・・・・!」
「そうだな、まさかアレが世界最速の座に上り詰めるとは思わなかったよ」


あ、そういう話だったんだ・・・!(世界最速!?)
私はあのうんにゃらなやらしいシーンに話題が及ばないように、細心の注意を払って
「ね、ね、そうよね!あれは本当にびっくりしたよ!」
みたいな事を大声で言って、他の話をしようと目論んでいた。
よ、よし、じゃあこの辺で映画の話題は切り上げて、私の親戚の中で今更パク・ヨンハさんが流行っている話でも・・・!


「なあ、びっくりしたと言えばさ」
「えっ!?(なにっ!?)」
「ベッドシーン、あんなに長いなんて驚いたな。早苗、すっごい困った顔してて俯いてて、面白かった」


私は、持ってた鞄を、ばたばたと落としてしまった。
前もこんな事があった気がする。
○○くんが全く気にも留めない感じで拾って、私に手渡した。ふ、普通過ぎます、この流れ!


「早苗、照れてただろう」
「(!!)て、照れてない、です!」
「嘘だな。別に恥ずかしいことじゃないのに。俺も少し、照れたよ」


○○くんがくすくす笑って、次は、もっと可愛い映画見に行こう。早苗、本当はああいうのが好みだったんだろ?
って優しく言って、ブレイブストーリーだとか、ハチクロだとか、ラブコンだとか、うん、確かに、本当に私が見たいと思ってた映画を指差したので、びっくりした。
どうしてわかったんだろう?
驚いて、「え、どうして、」って言ったら、○○くんがまた声を漏らして笑った。


「早苗が好きそうな映画くらい、大体分かる」
「う、うそっ。すごい、○○くん!」
「今日は何だ?俺に合わせようとしてくれてたんだろ。気、遣わなくてもよかったのに」


○○くんの言葉を聞いて、そうだったのかぁ・・・と私はしょげてしまった。
バレバレだったんだなぁ、私。
しょんぼりしてたら、○○くんがまた私を見て少し笑って、「何、なんでへこんでるんだ?」って聞いてきた。だ、だって、それは!


「ま、○○くんが好きな映画見ていいよ!って言ってくれたのに、無駄な気を回しちゃったみたいだし」
「別に、無駄だなんて言ってないだろ。嬉しかった。俺の事考えて映画選ぶ早苗、可愛いと思った」
「!そ、それに、あんまり面白い映画○○くんに見せられなかったし」
「面白かったぞ?それに俺は映画より、早苗のことばっかり見てたから」
「あ、あと!へ、変なシーンもあって、恥ずかしい思いした、し!」


やけくそになって叫んだら、○○くんにまた笑われてしまった。
○○くんは私の事、面白い生き物か何かとしか思ってなさそうな節があって困る。
私はこんなに真剣なのに、からかわれているみたいだ。


「○○くん」
「なんだ、早苗」
「笑わないでよ、ひどい」
「だって、早苗があんまり可愛いから」
「○○くん、意地悪」
「ああ、俺は意地が悪いよ。気付かなかったか?」


映画館を出たら、もう空が暗くなっていた。
日が沈んだみたいだけれど、まだ街はきらきらと輝いている。
ずらりと並んだファッションモールのネオンが、目に痛いくらいに光っていた。

たくさんの人が、私たちの前を通って、後ろを通って、追い越されて、追い越して。
ひとつの生き物みたいに蠢いているのに、私には景色の一環のようにしか見えない。
○○くんは、まだ私のほうを見て笑っている。優しい。いとおしい。切ない。苦しい。とても、好きだ。

私たちの間に、暗い事情とか辛い事実とか、そういうのは多分無いと思うんだけど、
薄ら暗い景色の中で、○○くんが瞳を透き通った水面みたいに揺らして、私に向けて微笑んでいるというそれだけで、私の心の中は、沢山のことで埋め尽くされてしまう。

表面は、下らない。
私の選んだ映画で、変なシーンが連発だった。
それを、○○くんが笑った。私、からかわれてるみたいだって腹を立てて、むくれる。
でも、その少し奥では、自分でも驚愕するくらいたくさんの感情が渦巻くのだ。


やさしい、いとおしい、せつない、くるしい、すき、大好き。とてもあなたに、恋をしているよ。○○くん。


「早苗、俺にからかわれるの嫌か?」
「うん、少し、悲しいかな」
「でもさ俺、早苗を馬鹿にして、からかってるんじゃないんだ。少しふざけないと、どうしようもない事もあるんだ」


俯いてたら、早苗、と○○くんに呼ばれた。
顔を自力で上げる前に、そっと顎に添えられた指先。
緩やかな力なのに、絶対的な支配の匂いのする瞳と視線がかちあったから、私は反射的に目を閉じた。
それは、正しい反応だったと思う。

落ちるみたいに○○くんの唇が私の唇に触れて、ちゅ、って吸い上げられたみたいな音がした。
○○くんの手のひらは私の後ろ頭をしっかり掴んで、もう片方の手のひらが私の腰を捕まえる。
柔らかい舌が一度私の唇を突付いたけど、私がびっくりしてしまって、小さく震えたら、すぐ引っ込んで唇まで離れてしまった。
そっちからキスしてきたくせに、○○くんのほうが、ぼんやりと虚ろな目で私を見下ろした。
私の唇が、私以外の人の唾液で濡れている。


「○○くん、ここ、外よ。人がたくさん、」
「誰も気付いてないから、いいんだよ」


○○くんは笑ったけど、寂しそうな笑い顔だった。
もしかしたら○○くんも、私のように色々な気持ちがお腹の中で渦巻いて、苦しいのかもしれない。
私も寂しく笑って、○○くんの手のひらに初めて自分から指先を伸ばした。
握るっていうより、ただ寄り添っただけに近い。

二人並んで、ぼんやり映画館の外の薄暗いコンクリートにもたれながら、輝かしいままの景色を見ていた。
むやみやたらに泣きそうなくらい切なくなるのは、子供の悪い癖だと思う。


「少しふざけてないと、早苗のことが、すごく好きで、どうしていいか分からなくなることが多いんだ」
「うん」
「何処にいてもすぐキスしてしまいたいって思うことがたくさんあるし、
 キスしてももっとお前が欲しくなって、取り返しの付かないことをしてしまいそうになった事だっていっぱいあるんだ。
 俺は、早苗をこんなに大事にしたいと思ってるのに」


どうしたんだろうか、俺は駄目だな。
○○くんは呟いて、前を向いたまま少し笑った。
○○くんの口から、駄目だなんて、自分を卑下する発言が出てくるなんて、夢にも思わなかった。

私は、哀しいのか嬉しいのか分からない。
ただ、心臓の辺りがぎゅうっと痛む。


前からだ。ずっと前から。でも、ここ最近もっと酷い。
全部が全部、私が、東風谷早苗という人間が、○○というたった一人だけの人を、恋だとか憧れだとかそういったものを超越して、欲しがっている。
手に入れる方法も分からないのに。

私たちは、多分結構子供なのだ。
子供だけれど、この世界の中で一番尊いものの形を見つけ出そうとしている。
もう、ほとんど見えているのかもしれない。
だから、どうしたらいいのか分からなくて、戸惑って、苦しんでいる。


私は、○○くんと色んなものが見れたらいいと思う。色んなものを、感じればいいと思う。


「○○くん」
「ん」
「今年は、二人で色々な所に行こう。色んなもの見て、色んなもの食べよう。色んなことしよう」
「・・・何だそれ。喧嘩とかでもいいのか?」
「喧嘩でも、いいよ。口付けだっていいの。手も繋ごう。
 ○○くんのしたい事と、私のしたい事は全部しよう。そんなこと出来る時間なんて、少ないんだから」


言いながら、何故か目の前がじわっと滲んでしまった。
確固とした証拠もないのに、どうしてだか私は思ってしまった。


こんな幸せな日々がずっと続くわけはないと。
いつか、○○くんと離れ離れになってしまう日が来るのを、何故か知っている、だなんて。


分からない。
ただの不安が嘘のような確信に変わりつつあるだけかもしれない。

黙っていても私たちは大人になるだろう。
私たちくらい、大事なものをきちんと抱えている大人が、一体この中に何人いるのだろうか。
手放してしまったり、これから見つけようとしていたり、また奪おうとしてたり、拾おうとしてたり、たくさんの事柄が溢れていると思う。
私は、大事なものを離さない人になりたい。
黙っていれば大人になるとしても、大切なものだけは見失わないで生きていきたい。
だから離れ離れになるかもしれない、なんて本当のことがあったとしても、強い気持ちがあれば乗り越えられると思うのだ。

それが、胸が大きいとか、すごい美人だとか、スタイル抜群だとか、そういう諸々のことよりずっと大切なんじゃないかなって今私は初めて思った。
そうじゃないかな、○○くん。


「早苗、泣かなくてもいいんだよ、目が腫れる」
「そしたら私の事嫌いになる?」
「馬鹿だな、ならないに決まってるだろ。俺は毎日早苗のことばっかり好きになるから困ってるくらいだ」
「私もだよ、○○くん。苦しいくらい」


私が言ったら、○○くんは神妙な顔して、そうだな、って言った。
○○くんの目はびっくりするほど澄んでいて、覗き込んだらどこか遠い空の満点の星が透けて見えそうだと思った。
ティッシュ持ってないから、ぐずぐずと手の甲で涙を拭っていたら、○○くんが私の頬っぺたにくっ付いたままの涙の粒を撫でて、拭うのを手伝ってくれた。


「変、だな」
「?何が、○○くん」


お前が泣いてると、俺まで泣きたくなってくるんだ。


○○くんは微笑んだけど、瞳の奥が不確かに揺れて、きらりとどこからか来た光を弾いて輝いた。
○○くんの瞳は満天の星空が透けて見えるわけじゃなくて、その瞳そのものが星なのかもしれないなぁ、と私は真剣に想った。

そして、貴方が必要だということも。

11スレ目>>69

───────────────────────────────────────────────────────────

「もしも~だったら」がテーマです。
要するにパラレルです。小ネタ集です。あと何故か神奈子とか諏訪子とかチョイ役で出てきます。
○○の外道率が異常。









① もしも早苗さんと○○くんが幼稚園の頃出会っていたら


「ねえ早苗ちゃんなにしてんの」
「あ、○○くーん!いまね、せみをつかまえてるんだよ。○○くんもいる?」
「いらない。おまえ、せみなんかつかまえられるの。そんなすばやいうごきできんの」
「できるよー!ほら、かごみてごらん!せみねーいっこいるでしょつかまえたんだよわたし」
「いっぴきだけ?すくないな、早苗ちゃんってやっぱりへたくそだね」

「え、ええ・・・で、でもいっしょうけんめいつかまえたんだよ!それにこれからもっとがんばるもん!」
「むーりーだーねー。ねえ早苗ちゃんしってる?せみってさ、にんげんのこと、かむんだよ。かまれたらどくがまわってしぬんだ」
「ほ、ほんとに!?」
「ほんとだよ。ほら、早苗ちゃんのつかまえたせみみてごらんよ。おまえのことかんでやるってかおしてるだろ?おこってるんだよ」

「きゃあっ!う、いや、こわい、○○くんせみかごからださないで、かまれちゃうよ!わたししんじゃうよ」
「・・・いーやーだーねー。ほら、ほらほらほら、ほーら」←蝉を押し付けています
「ひゃあ!?やっ、やだ、ぁあっいやあ!ふぁ、あぁあんっく、うぇ、ぇえっいやぁあ、いやぁ○○くんやめてぇ、ひぅっ」
「っ、ふふふ、ふふふ、 っんく(唾飲んだ) さ、早苗、『○○くんごめんなさい』っていえよ」
「うっ、○○くんごめんなさい、ごめんなさいっ、○○くんせみこわいのやめてもう、」
「・・・・早苗、かわいい・・・・」


「ねー諏訪子、早苗また○○にいじめられてるわよー?ほっといていいの?」
「いいのよ神奈子。だってなんかふたりともきもちわるいんだもん」









② もしも早苗さんと○○くんが小学生の頃出会っていたら


「なあ早苗なにしてんだ」
「あ、○○くん!わたし今日給食当番だからね、みてのとおり給食を運んでるの」
「へえ。それはそれはご苦労様なことで」
「そ、それほどでもないよ!あっ○○くん今日給食カレーですよ!うれしいですね!」
「ほんとだ。カレーはみんな大好きだからな。こぼしたりしたらみんな怒って大変なことになるだろうし」
「?うん。こぼさないように気をつけないと」
「・・・・」


ガッ(※○○くんが足引っ掛けたためこぼしました)


「え、う、うそ・・・!あ、っあ、ど、どうしよ、ど、・・・カレー、う、うそー!?」
「うっわー、本気でこぼしちゃったのかよ?早苗。お前ってほんとありえないよな。俺たちのクラスのカレーどうするつもりなわけ?」
「ご、ごめんなさい・・・え、でも、だって今、○○くんが、○○くんが足ひっかけ」
「俺のせいにするんだ?それ、証拠あんの?自分の失敗を人に押し付けようとするなんて、早苗性格悪いよ」
「・・・!わ、わたし、そんなつもりじゃ・・・」
「俺カレー楽しみにしてたのになあ?今日はちょっと残念だ、早苗がそんな奴だとは思わなかったし」
「そ、そんな、ちがうの、ごめんなさい○○くん、ちがうの、いや・・・」
「(ぞくぞくっ)早苗かわい・・・じゃない、早苗さあ、ごめんですんだら警察って、いらないよな・・・・・!」←すごく嬉しそうに


「ねえ・・・諏訪子・・・、早苗また○○に虐められてるんだけれど・・・・」
「はあはあ言いながら女子をいじめてる同級生に声をかけたくない」









③ ○○くんが「おおきく振りかぶって」にはまったようです


「・・・・『俺ならいつでも早苗を気持ちよく出来る!』」


ガラッ


「○○くんお待たせー委員会終わったよ!あれ、何の本読んでるの?」
「マルクスの資本論」


うそつけ









④ ○○くんに願望を実現する能力があっておまけにいつも憂鬱だったら


「ただの人間には興味ないな。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、俺の所まで来い。以上」


(休み時間)


「○○くん!あの、いきなりごめんなさい、質問なんですけど、○○くんの自己紹介ってあれ本気なんですか?冗談じゃないんですよね!?」
「冗談じゃないに決まってるだろ。何だお前、わざわざ追いかけて俺を笑いに来たというわけか」
「違います違います!私も、そういうのがいたらいいなーって思ってて、というか私も不思議な力とか使えるんですけど・・・あっこれまだ秘密でした、
 だから○○くんの役に立てるかもしれないっていうか、○○くんと一緒にやりたいっていうか、迷惑かもしれないんだけど」

「(きゅん←胸キュン音)へえ・・・お前、名前は?」
「え?あ、すみませんまだ名乗ってませんでしたね!早苗っていいます、東風谷早苗!」
「早苗。・・・そうか、これからよろしくな。あと敬語やめろ、くすぐったい」
「うん!よろしくね○○くん!」


(握手)


「・・・!!(なんてちっこくてかわいい手なんだ・・・!)」


※その後○○くんが望んだため確実に世界は崩壊してふたりきりの世界になりました


「あれ?僕、古泉役で待機してるように魔理沙から言われたんだけどな」←取り残されたりんのすけさん









⑤ ○○くんがまた「おおきく振りかぶって」にはまったようです


「・・・・『俺が早苗を気持ちよくしてやる』!!」


ガラッ


「(ビクッ)ま、○○・・・・あの、早苗のことについて、話が・・・あったんだけど・・・あっもう結構です失礼します」
「どうしたんだ諏訪子?いきなり敬語になって。まあいいか、とりあえず2、3個話があるから入れよ」


ドアはきちんとノックしようね!









⑥ 早苗さんの頭がとんでもなく良かったら


「○○くん、委員会の予算のことで上に掛け合ってほしいことがいくつかあるんだけど。
 ○○くん一応生徒会副会長だしそれくらい出来るよね」
「・・・早苗、しりとりしよーぜ、しりとり・・・・」
「○○くん、今私がしてるのはしりとりの話じゃないでしょ?とりあえずこれ、まとめた資料なんだけど。早めに目を通してもらえるかな?」
「早苗・・・。しりとりの、り・・・」
「輪姦。○○くん、私すごく急いでるの。これから塾もあるし、折角の貴重な放課後の時間をこんな不毛な会話で終わらせたくない」
「・・・・」


「神奈子・・・、俺と早苗はもうだめかもしれない・・・」
「うん、ダメでしょうね」









⑦ 早苗さんの頭がかわいそうなくらい本当にバカだったら


「おっぱっぴー!!○○くん、おっぱっぴー!!!」
「あ、ああ、早苗、危ないから車道に出るなよ。車にぶつかるぞ」
「○○くん、みぎからひだりにうけながす!みぎからひだりにうけながす!みっこみこにしてやんよ!」
「う、うん?うん、分かった、分かったから早苗・・・っあ、おい!ボタンは口に入れるものじゃない!出しなさい早苗、出せ!!」
「こばんざめ~」


「神奈子・・・っ、俺と、俺と早苗はもう、もうだめかもしれない・・・!」
「うん、そりゃダメでしょうね」









⑧ 早苗さんがツンデレだったら


「早苗、今日の弁当何だ?」

「べっ!別に○○くんのために作ってきたんじゃないんだからねっ!
 うなぎ業者の方々が中国産うなぎに押され気味で経営が大変って聞いてそれで作ってきただけなんだからねっ!」
「あ、鰻重か。すごいな、これ、さばくのも早苗がやったのか?」
「あっ!あんなぬるぬる滑ってさばきにくくて瞳が思ったよりつぶらで頭を落とすのに2時間躊躇っちゃうような生き物、私がわざわざさばいたりするわけないでしょうっ!
 スーパーで買ったのっスーパーで買っただけなのっ」
「鰻って瞳がつぶらなんだな。さばくのだけで二時間もかかったのか?早起きするの大変だったろ?」
「べっ!別に○○くんの事考えてたら一晩中鰻と格闘しても眠くなかったとか、○○くんに美味しい鰻を食べて夏ばてとかしないで欲しいなーと思ったとか、そんなことないんだからねっ!
 勘違いしないでねっ」

「早苗すごく美味しいよ、食べたら元気でた。
 でもさ、そんな夜更かししてたらお前のほうが具合悪くなりそうで心配だから、明日からもっと簡単なのでいいからな。
 俺が元気でもお前が元気じゃなかったら意味ないだろ?」
「まっ!○○くんは余計な事心配しなくていいんだからっ!
 そ、そんなこというと明日からそうめんしか作ってこないんだからっ!毎日そうめんでうんざりさせてやるんだからっ!」
「俺はそうめんでも全然いいぞ?・・・いつもサンキュな、早苗。俺、お前の作ってくれる弁当も、お前のことも本当に大好きだ」
「!!ばっ!ばかじゃないの!?
 ○○くんってほんとに女の子見る目ないねっ!そのうち悪い人に騙されて絵とか買わされちゃうんだからねっ!きらいきらい」
「すきすき」


うぜえこいつら









⑨ ○○くんがツンデレだったら


「○○くん今日のお弁当はうな重ですよー」

「はあ?お前の作った弁当なんて本当に腹が減って死にそうな限りは食べたくなんかねえよ。
 でも今は腹が減って死にそうだから食べてやる」
「ありがとう!お茶もお吸い物もあるからね。お漬物もあるから沢山食べてね!」
「お前ってほんとどれだけ暇人なわけ?
 朝っぱらからうな重だのお吸い物だの漬物だの作って、お前は弁当を宅配しに学校に来てるのか?
 お前なんか病気になったら誰も看病してくれなくて一人で死ぬだけなんだからちゃんと睡眠とれよ」
「でも○○くん最近夏ばて気味って言ってたから、うなぎ食べたらスタミナつくかと思って!はいお茶」
「!あ、・・・ありがt 

 ・・・っぜぇよ誰がお茶飲みたいなんて言った!?お前のそういういちいち気が利いて優しくて良い子ちゃんなところ俺はだいっきらいだ帰れ!」
「あっだめですっ○○くんお茶こぼれちゃうお茶!」


(補足説明※と言いながら○○くんは早苗さんに抱きついてます)


「・・・俺に抱きつかれてお前はさぞかし嫌だろう・・・」
「え、え!?い、嫌じゃないよ○○くん全然・・・あ、その、少し恥ずかしいけど、うー・・・」
「嫌だと言え早苗。俺はお前に嫌がらせをしてるんだよ・・・(ぎゅうう)
 う・・・早苗・・・早苗、俺の可愛い・・・・・・・・くない!!!早苗・・・」
「!?ま、○○くんいきなり大きい声出すからびっくりしたぁ」
「・・・(好き・・・!)」


うぜえこいつら









⑩ どっちもツンデレだったら


「お前の弁当なんかちっとも食べたくないが食事如きに小銭を払うのも面倒だから一応聞いてやる!今日のお弁当一体なんだこの偏屈女!」


バアン!!(弁当を応接室の机の上に叩きつけた音 では無くお弁当を机の上にそっと置きつつ握りこぶしでテーブルを叩いた音)


「私だって○○くんにお弁当なんか全然食べて欲しくないけどお弁当はとりあえずここにあるんだから自分で開けて中身確認したらいいじゃあーりませんか!?
 この岩窟王!」
「何でいちいち机叩くのか意味わかんないんだけど!?
 煩いし、ってか煩いし、あっ別にお前の手が痛くなったら困るからもうこんなことしないでなんて思ってないんだからな!
 勘違いするなよばーかばかばか」
「かっ勘違いなんてしてないっ!
 そ、それに○○くんに優しくされたって私全然嬉しくないんだからっ・・・そっちこそ勘違いしないで下さい!ばーかばかばか」
「!し、心配しなくても俺だってお前みたいな、何のとりえも無いぶっさいく巫女に優しくしようなんて、これっぽっちも思ってないし!
 ほんと勘違いうざいんだよこの自意識過剰女!」


「、・・・ぶっさいくで、悪かったですね・・・わ、わる・・・、(泣いた)」
「!!」


(○○くんのトゥルーマイハート※やばいやばいこれはやばいこれはやばいっすこれはまずいこれはやばい)



「・・・泣くなよ・・・」
「っ、嫌ですさわらないで、きらい○○くんなんか」
「うるさい、逃げられないくせに。不細工なんて嘘だ、分かるだろ?」
「あ、や、やだ嫌い抱きしめないで、や、もう」
「・・・嫌だ」
「んっ、・・・○○くん・・・」
「好きだ。嫌いだなんて言うな・・・」



くせえーッこいつはくせェーッッ!ゲロ以下のにおいがプンプ(ry









⑪ どっちもデレデレ


「早苗、俺実は度重なる授業で手がすごく疲れてるんだよね。弁当食べさせて欲しい」
「えっ、それは一大事ですね○○くん!ちなみに今日のお弁当はうなぎですよーはいあーん」
「あーん」


(お二方へ※少しは【あーん】することを躊躇ってください)


「○○くんどう?美味しい?」
「すっごくおいしい。もっと食いたい」
「うんうん!たくさん食べてねおかわりもありますから!はいあーん」
「あーん」


(お二方へその2※少しは【あーん】することを躊躇ってください)


「早苗、口が疲れた」
「え!それってどうしたらいいの○○くん」
「え、だから・・・ほら、お前がさ、噛んだのをさ、俺にこう、なんか、にゅるって」
「あ、うんいいですよー。(もぐもぐ)んー」
「あー・・・」←嬉しそう



(お二方へその3※ただちにその気色の悪い行為を止めろ)




11スレ目>>82

───────────────────────────────────────────────────────────

「ねぇ、ちょっと○○」
ちびちびと一人酒を飲んでいたら、霊夢の声が背後から聞こえた
「ん、どうした腋巫女」
ノリで霊夢に返したら、瞬間頬に拳がめり込んでいた
「痛いじゃないか」
はっはっはと笑いながら返す
「…効いてるのか効いてないのか…」
頭が痛いといった風に手を当てる
すいませんぶっちゃけ痛いですやせ我慢です
「というかなんでいきなり殴るかね」
「胸に聞いてみなさい」
ぺたんと胸を触る
霊夢の
「うむ、ひらt」
最後まで言えずに吹き飛ばされる
かーちゃん、俺空飛んでるよっ
数メートル吹き飛ばされた後平然とした風体で立ち上がり
「痛いじゃないか」
はっはっはと以下略
「ええい、酒の入った○○は化け物かっ」
胸を触られたことより、俺が平然としてることのほうがインパクトでかいらしい
すいません酒が入ってテンション高いだけで普通に痛いですぶっちゃけ限界です

今更になるが、ここは神社で宴会の真っ最中
何でも、新しく来た神様御一行を迎える宴会だとかなんとか
現世から湖ごと引っ越すとかいう豪快な神様だと聞いている
つい最近こっちに来た自分としては、若干だが親近感が湧かないでもない
まぁ、あちらさんは自分の意志で、俺は半強制的にという違いはあるが
ちなみに、俺が宴会に参加すること自体は珍しいことではない
というより、八雲の紫さんが手を回した所為で、幻想郷での俺の地位が変に確立してしまって参加したくなくても引っ張り出されている
おかげで来て数ヶ月だというのにこの有様さっ

「で、なにようですかい霊夢さんや」
悪ふざけが過ぎたので、というか俺が限界なので、と話題を戻す
と、霊夢もああ、とさも思い出したふうにって忘れてたのかい
「ほら例の神様なんだけどさ、それの付き人というか巫女というか、その娘とちょっと話しててくれない?」
「別にいいけど、何で俺?」
「いやね、向こうから来たばかりっていうことでちょっと話が合わないというかわからないというか、ね。だったら向こうにいた○○のがまだ話があうでしょ」
「成程、それでその娘さんは何所に?」
あっちと霊夢が差した先には、緑の髪の一部を左側で纏め、霊夢みたいな一部というかどう考えても巫女装束じゃねーだろなそれでいて巫女っぽい服を着ていた
もちろん腋は出ている
違うのは青いというところか
…うーむおしい
「黄色がいない」
「は?」
しまった思わず口に出してしまった
いやだってさ!思うじゃん!赤腋巫女青腋巫女って来たら黄腋巫女欲しいだろ!?
何故って理由は聞くな
わかるやつにはわかるさ
「いやなんでもない」
今度魔理沙あたりにでもやってもらおうかと思案しつつ誤魔化す
「んじゃちょっくら話してくるわ」
「お願いね、何も出ないけど」
「その後、しっぽりむふふといきたいところですな」
また殴られた
こりないな、俺

「隣いいかい?」
その娘の横に立ち、一応の確認をする
ここで断られたら俺、泣いちゃうっ
「あ、はいどうぞ」
よかった俺はまだ落ちぶれちゃいないみたいだぜっ
「んじゃ失礼してっと」
横に座る
まずは自己紹介といこう
「俺は○○ってんだ。目麗しい貴女のお名前は?」
自分で言ってて鳥肌がたった
やばい何俺言ってんだ
「あはは、東風谷 早苗と言います。そ、そんな…目麗しいだなんて…」
ぽっと頬を赤らめものすごい照れ様
かわいいじゃないかこの野郎っ
「まぁ半分本音で半分御世辞だ。酒の入った俺の言動は話半分に聞いてくれ」
というか、酒が入ると思ったことをいいまくる癖があるため自重したいが自重できない
今のは若干の嘘が入るがまぁ流石に取り返しのつかないことになったら困るので
「ああ、貴方が○○さんですか。向こうから来たっていう」
ようやっと得心したというふうにぽんっと手を打つ
「そうそう、つってもつい最近だけどね。で、何やら赤い腋巫女に話し相手を頼まれたわけなのですよ早苗ちゃん」
「腋巫女…?ああ、霊夢さんの事ですか」
「ただし本人の前では言うなよ?言ったら鉄拳制裁が待ってる」
いまだに赤い頬を指しながら言う
くすくすと笑う早苗ちゃん
「ところで肝心の神様は何処だ?」
きょろきょろと見渡すが近くには見当たらない
というか俺と同じく一人で飲んでたわけだしな
「あ、ええと、八坂様ならあちらに」
指す方向を見ると、何やらすんごいのとちんまいのがよろしくやっていた
なんだあの鉄パイプはとかいう心の声はなんとか堪えた
これは堪えるべきだ
「えーと、どっち?」
「八坂様なら背の高いほうです」
「ふーん?」
なんだ、普通に話せるじゃないか
「不躾なこと聞くんだけど、一体何が話が合わないんだ?」
「あ、ええと、ですね」
ごそごそと懐を弄る
そこはかとなくえろいぞ早苗ちゃん
「こういうことなわけです」
恥ずかしそうに両手で顔の横にもってくる
さて、取り出したるはー四角くてーぱかっと開いてー液晶画面が二つーペンがついててーっておい
「いやいや早苗ちゃん、何故それを持っているんだ」
「その、仕事柄といいますか、外に出ることが少ないので暇な時にはこれとかあれとかあれとかで…」
そこはほら、読書とかさ
とか言いたいけど言えない
あれとかあれとかってほかにもあるんかP○PとかW○iとか
「それで、向こうにいたのに向こうに疎くてついでにこっちじゃそれの話題も振れないから話が合わないと」
「お恥ずかしながら…」
たはは、と笑う早苗ちゃん
「現代っ子というかなんというか…ところで何をやってるんだ?」
「何…といいますと?」
「いや、ほらどんなジャンルのゲームやってるのかなーと」
「あ、はい。これです」
といってカートリッジを抜き出す
「…何故に遊○王…」
「あれ?おかしいですか?」
疑問にすら思ってないかのように聞いてくる
「いやほら、他にもあるじゃん。世界○の迷○とかル○ナス○ークとか」
男の子ならいいんだろうが何故に○戯○
俺のターン!ドロー!とかしたいのかそうなのか
「ちなみにデッキはどんなのを?」
「サイドラです」
顔に似合わず1ターンキル…
恐ろしいわこの娘っ
「何故かこれが目についたんですよね、なんでだろう」
今になって気がついたとばかりに悩む
あれか、スペルカードとかに通ずるものでもあったのか
「でも、一つだけ悲しいことがありまして」
若干トーンを落としていう
「こっち充電とかできないじゃないですか。おまけにテレビもないし…」
よよよ…と早苗ちゃん
「あー成程、それはしょうがない」
携帯機器なのにバッテリーの持ちが異常に短いP○Pはともかく、W○iなんざテレビもないし、一番持つN○Sももうすぐってところかな
「…ん?」
そういえば
「…?どうかしました?」
「いや、それなんとかなるかもしれん」
何所ぞの姫様んとこにテレビとか発電機とかなぜかネット環境まであるとか聞いたことがある
「ほ、ほんとですか!?」
がしぃっと思いっきり手を掴まれる
「あ、ああ、うん多分だけど」
その勢いに気おされてどもってしまう
というか手!手!
ああ、柔らかいとか思ってる場合かー!
「あ、すいませんっ!」
早苗ちゃんが脱兎のごとく離れる
顔が真っ赤で可愛いぜっ
じゃなくて
「あ、いやうん、気にしてないからダイジョブ」
「…」
「…」
お互いにちょっと気まずい雰囲気が流れる
こういうのは耐えられない
耐えられないので、解決策を行使する
「さ、さぁ!思えばさっきから飲んでないじゃないか!一緒に飲もうぜ早苗ちゃん!」
「え!?わ、私そんなに酒は強く…」
「いいからいいから!ほらぐぐいーっと!そこの芋焼酎なんていいんじゃないかなっ」
「え、ちょ、んぐっ」



この時はまだ気づいていなかったんだ…
この後あんなことになるなんて…



「あはははははははっほら、○○さんももっと飲んで飲んで!」
とか言いつつバンバンと俺の背中を叩く
あんなことってこんなことなんですはい
「痛い!痛いから早苗ちゃん!」
弱いとか言ってた気がしないでもないがこれはちょっとタチが悪いだろっ
「ぶー、らって○○さん全然飲んでないりゃないれすかー」
口にそのままぶーとか出す人初めて見たよ…
というか呂律回ってない
「いや、ほらちゃんと飲んでるから」
言って杯を見せる
と言ってもそこまで飲めるほうでもないのでちびちびだが
対して早苗ちゃんは思いっきりがぶがぶ飲んでた気がしたんだけど
文字通り浴びるように
「はふー、なんらかあついれすー」
ぱたぱたと胸元を仰ぐ
見える見える!胸が見えちゃいましゅううううぅぅぅ!
その控え目な胸が!
巨乳なんてただの飾りです、そこに少しのふくらみがあれば僕は満足です、ぺったんこならさらに満足です
何言ってるんだろうね俺は
「うー眠くなってきましたー」
なんか頭がぐらぐら揺れてるんですが
「…ちょっと横になったら?」
「はひーそうしますー」
そういってこっちに倒れてくる
…こっち?
ぽすんと俺の胡坐を枕に横になる
「ちょ、ちょっと!?」
「はー気持ちいいれす」
うふふっと笑って上目づかいに見上げてくる
「嫌れしたか?」
「いや、寧ろ嬉しいというか幸せというか落ち着かないというか」
とろんと潤んだ目で見つめられてる上に早苗ちゃんは美人だし、嫌なわけがない
誘われてるんじゃないかとか勘違いしちゃうよ?
流石に自重するけどね
「…」
「…」
むずがゆいような、心地いいような
先ほどとは違った沈黙がお互いに流れる
「…最初は不安だったんです」
「…ん?」
「八坂様はいるけれども、話題は合うわけでも無いですし、こっちに来てから…いえ不安というより寂しかったんでしょうね、私は」「…」
続きを促すわけでもなく、ただ聞く
「向こうにいたときから、私は他の人とは違いましたし、こっちに来てみたら同じような人達が多かったらから…少しは期待したんですけれども話題が合いませんでした」
「…そうか」
そりゃ、こっちでそんな話があいそうなのは何所ぞの姫様ぐらいのものだろうさ
ですからね、と俺の顔を見つめてくる
「嬉しかったんですよ。話をわかってくれる人がいるのがわかって」
「…まぁ、わからないでもないけどね。でも、そういうのはこれからいくらでも作っていけるだろ?このままじゃ俺ぐらいしかいなくなるぞ?」
「…まぁ、それはそうなんですけどね」
あら、ちょっと不機嫌
何故だ
とにかく、といいつつ寝たまま俺の腰に手を回し、引き寄せる
「貴方は私の中でちょっとした特別になったんです!そう言いたかったんです!」
なんか怒った
「そ、そうか」
よくわからんが
「…はぁ、…んかんなんですから」
「ん、何か言った?」
よく聞き取れなかったので聴き直す
「なんでもないですよーだ」
ぷいっと顔を背ける
ただし腕は腰に手を回したままだ
ついでに体勢的にとっても見えそうなんです
何って主に足のほうとか足のほうとか足のほうとか
「ところで一つ聞いていいか?」
「はい?」
「酔ってないだろ」
一瞬だけキョトンとして、あはは、と笑う
「ばれちゃいました?実は途中から奇跡使って水にしてたんです」
そんなことに使っていいのか奇跡っ
奇跡は起こらないから奇跡って~とか起こすから奇跡っていう以下略なやり取りがやすっぽくなっちまうっ
「なんだってそんなことを…」
「酔った勢いにしたほうがいろいろしやすいかなーと」
いろいろってなんだいろいろって
でもですね
と位置を直して
「途中までは飲んでたんで酔ってるには酔ってるんです。というわけで、このまま寝ますね」
…は?
「では、おやすみなさいです」
そのまま目を閉じて
即座にとっても気持ちよさそうな寝息が聞こえてきた
「…マジで寝やがったっていうかはえーよ」
まぁ悪い気はしないしいいんだけどさ
ところで、今ので更に見えそうになってるんだ
主にももの更に上とかももの更に上とかももの更に上とか
というかもう見えてます黒いのが
ん・・・?
黒いのがももの辺りまでピッチリと
「ス…スパッツぅぅぅぅぅぅぅ!?」
思わず口に出してしまった
しかもよくよく見たらスニーカーはいてるしっ
なんという現代っ子…
「おや、うちの早苗に不埒なマネしようとしてるのはどちらさんだい?」
声に反応して振り向くと、そっちには早苗ちゃんが言っていた神様がいた
えーと確か
「八坂様?」
「八坂 神奈子だよ。神奈子ちゃんとでも呼んでくちょうだい」
「神奈子さん、別にこれは不埒とかそういうわけでは」
そんな茶目っ気は無視しよう
名前で呼ぶがちゃんをつけるのはあくまで…いやこれ以上は言うまい
それが俺のジャスティス
「…人の話を聞かない子だね…まぁいいか。早苗がなんだか知らんがそんなに気を許したような顔してるしね」
久しぶりだわ、と神奈子さん
言いつつ早苗ちゃんの髪を撫ぜる
その顔はとても優しく、さながら母親のようだった
「こんな朴念仁っぽいのの何所がいいんだか…いや、まぁいいんだけど」
俺の顔を見た瞬間にうさんくさそうな顔になったが
何やらすごい失礼な事を言われている気がしますよ?
「今日は早苗を預けておくよ。変なことしたらただじゃおかないけどね」
そう言って去っていく神奈子さん
あの人もあの人なりに心配してるんだな…
「ふう…しかし」
眠い
程よく酔いとともに眠気も回ってきた
まぁいいや、このまま早苗ちゃんの寝顔をオカズに寝てしまおう
襲いたい気持ちはがm…やましくなんかありませんよ?




「…ん」
目が覚めたらもう朝だった
周りを見渡すと、お馴染みの宴会後の惨状が広がっていた
何人かは見つからないが、帰ったか変な所にいるんだろう
ふと、足に重みを感じてみてみると、早苗ちゃんが気持ちよさそうに寝ていた
しかし、このままにしておくのも流石に足がやばい
「おーい、起きろー朝だぞー。朝ごはん食べて学校いk…いやいや」
自分で言っといて突っ込むとは寝ぼけてるな流石俺
…起きる様子が無い
しょうがないので耳元でちょっと囁く
「…キスしちゃうぞ」
「ぶふぅ!?」
思いっきり吹いた
「なんだ、起きてるじゃないか」
「ぐ、ぐーぐーぐーぐー!」
「いやいや早苗ちゃん」
それは流石に無いって
「うぅ…狸寝入りには自信があったのに…」
どんな自信だどんな
観念したのか起きて向き合う
「それで、キスしないんですか?」
「…は?」
「キス…しないんですか?」
唐突過ぎるというか軽い悪戯の心算だったんだけども
「えーと、いいの?」
ムードの欠片も無い俺
「いいも何も…昨日から結構誘ってたのに…」
えーと?
「え、でも昨日あったばかりですよ俺ら」
確かに早苗ちゃんは美人だし、好かれるのは悪い気はしないし、こっちとしては願ったりかなったりなんですけども
「一目惚れから始まる恋愛っていうのもいいと思いますよ?」
そう言って
俺達は、キスをした
「それで…返事は…」
潤んだ瞳で見つめてくる
「そうだな…返事は…」
そう言って
俺たちは、もう一回キスをした



















「うおーい霊夢ー」
何かを見つめ愕然としている霊夢を見つけて話かける魔理沙
いつも通りに後片付けを押しつけて帰る算段だ
「…んで」
「ん?」
見るとぷるぷると震えている
「何で…」
「おーい?どうした霊夢?」
怪訝そうに聞く
「私はあの娘の話し相手を頼んだだけなのに…」
「えーと?」
霊夢の見るほうを同じく見ると、なるほど例の○○と例の青い巫女がいちゃいちゃやってる
「どうして一晩明けたらくっついてるのよおー!?」
頭を抱えてうがぁー!と叫ぶ
「あー…えーと、あれだ」
ぽんっと霊夢の肩に手を置き
「…運が悪かったな、まぁ次があるさっ」
親指を立ててにかっとスマイル
ぐりんっと霊夢が首だけこちらに回し
おおぅ怖いぞ霊夢
目が血走ってる
「あんたに言われたくないわー!」
「うひゃー!霊夢が壊れた―!」
「うわあああぁん!○○の馬鹿ー!」

霊夢の叫びが朝の博麗神社に虚しく響き渡った



















あ(と)がきというか言い訳というか解説というか
徹夜で書くとろくなことが無い典型
ちなみにこの早苗は某絵師の影響(特に某一枚の絵)を100%受けているためちょっとおかしいです
イメージぶち壊しちゃったらすみません
でも俺の中ではこれで固定されちゃってるんです
まぁ話的には早苗が○○のこときにいっちゃったんで落としにかかった感じです
途中変ですがまぁそんな感じです

一応解説
遊戯王、サイドラデッキについて
サイバー・ドラゴンとその融合モンスターを中心とした機械族デッキ
パワーボンドで攻撃力倍のサイバーエンドドラゴン(Atk4000*2防御貫通)を出したり、未来融合で融合素材を墓地に送り、オーバーロードフュージョンでそのモンスターすべてを使ってキメラテックオーバードラゴン(Atk融合素材数×800融合素材数分連続攻撃)を出したりするデッキ
安定する高火力かつ1ターンキルもできるんだぜっってこんなのどうでもいいですねはい

うpろだ431

───────────────────────────────────────────────────────────

「ん…ふぁ……もう、朝ですね」
「おはよう早苗」
「!?ま、ままま○○さん!?」
「なんだよ○○さんって、夫婦なんだからそんなに他人行儀にならなくてもいいのに」
「ふ、夫婦ですか!?」
「昨日祝言挙げたじゃないか、まあその後の宴でしこたま飲まされてたから忘れちゃったのかな」
「ご、ごめんなさい」
「謝ることは無いよ、ほら、朝ご飯作ったから食べよう」
「ありがとうございます」
「早苗は巫女の仕事とかあるし、こういう家事はこれからは俺がするよ」
「あの、そういえば八坂様たちはどちらに?」
「気を利かせてくれたのか博麗神社に居るよ」
「そうですか」


「そういえばさ、早苗」
「なんですか?」
「昨日早苗は酔いつぶれて寝ちゃったから初夜、まだしてないんだよね」
「しょ、しょしょしょしょ初夜ですか!?」
「そ、もう夫婦になったんだしね」
トサッ
「あ…………」
「愛してるよ、早苗」
「はい、私もです」



「おーい早苗大丈夫かー?」
「○、○さん?ここは博麗神社?」
「酒結構飲まされて倒れたみたいだから霊夢に頼んで部屋を貸してもらったんだ」
(じゃあさっきのは夢?)
「大丈夫か?なんか欲しい物でもあるか?水とか、なんなら術で酔い覚ませるぞ」
(でも、夢のままにしたくないぁ)「じゃあ一つ頼んでもいいですか?」
「俺にできることなら何でもいいぞ」
「じゃあ…私と結婚してください」
「ああ、分かっt、なにぃ!?」
「よろしくお願いしますね、旦那様♪」

10スレ目>>398

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