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ルーミア4

最終更新:

orz1414

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 ガサガサッガサガサッ


 うーん、すっかり迷ってしまったようだな。
 月があっちだから、こっちが来た方向だと思ったんだが…


 ガサガサッガサガサッ


「あー、だめだな、これ以上は動かない方が良さそうだ」
 口に出して見て初めてくる現実感。
 幸いリュックに食料はたんまりある。まあ、1週間くらいは持つだろう。
 そうと決まれば、キャンプする場所を探さないと、だな。



 ガサガサッガサガサッ



「ここが開けてて丁度よさそうだ」
 開けた場所の中央に荷物を降ろし、ふと空を見上げる。

「ここの月は、なんだかでっかく見えるな」
 親父のカメラが押入れから出てきた事を機に、田舎の山登って写真を撮ろうと、息巻いてきた結果がこれだよ!

「――ま、景色は綺麗だから、目的は達成できたかな」



 とりあえず、この幻想的な月を写真に収めようと、ファインダーを覗く
(……あれ、誰かいる?)

 金色の髪、黒い服、赤いリボン、小柄な体型。このあたりの村の子かな? それはともかく……
(これは絵になる!)
 気づかれないように、抜き足差し足忍び足で近づく……


(おお、我ながら芸術的な配置!)
 ベストポジションに着き、月と女の子の美しさに感動した。
 ……だが、それがいけなかった。

「ヒュゥ♪」
「……え?」
 思わず口笛を吹いてしまっていた。
 気がついた女の子が振り返る。
 だが、シャッターはすでに押し始めていて……


 カシャ!!
「わきゃ!」



「――うきゅ~………」
「うわ、ごめん! 大丈夫かい?」
 どうやらフラッシュの光に驚いて気を失ってしまったらしい、あれか、ポ○○ンフラッシュ現象か!?

 このままって訳にはいかないよな…
 とりあえず、あっちに寝かせておこう。

「…うわ、軽」
 抱きかかえると予想しているよりも軽かった。ちゃんと食べてるんだろうか…

「――も~、食べれないのだ~……」
 食べているようだ。




「…ん~む~……ん……お……おー?」
 まぶたをこすりつつ、ぼーっとこっちを見上げてくる。

「気がついたかい? さっきは驚かせてしまってごめんね」
「…おじさん、だれ?」
「がーん! お、おじさんは酷いな…まだ一応20代なんだけどな…
 ま、まあいいか、僕は○○! フリーのカメラマンさ!」


 ……ちょっと言ってみたかっただけなんだが、
 ものすごい死亡フラグが立った気がするのは気のせいか? 気のせいだろう。


「いやまあその、本当はただのかんこう…」
「ふーん、で、○○は食べれる人間?」
 流された…ってなにか聞き捨てなら無い単語が…? 聞き違いか?

「へ? 何、お腹すいたの?」
「うん、おじさん、おいしそうだし」


 こ、これはあれか、よくある廃村とかで何らかの呪いのせいで村人同士で食べあうとか、
 それとも、なんらかの国家機密的な実験で、カニバリズムを標準化させてるとか、そんなんか!?


「いやいや、俺なんて食べてもおいしくないぞ」
「えー、そーかなぁ?」
 じーーーっ、と俺の身体を見つめてくる。なんとか逸らさないと…。

「それに今日は歩きづめだったから、乳酸が溜まっててすっぱいぞ、たぶん」
「あー、すっぱいのはいやぁ~」
 うーっ、と眉をしかめてすっぱそうにしてる、すっぱいの苦手なのか。

「でしょ、ほら、このカップ麺作ってあげるから」
「かっぷめん? なにそれ、おいしい?」
 身を乗り出して顔を近づけてくる。

「おいしいぞー、こういう山とかで食べると、またこれがうまいんだ」
「おおー、食べたい食べたい!」
 ふう、なんとか逸らせたな。食料の消費は痛いが。



 がさごそとリュックからカップ麺を取り出すと、
「それがかっぷめん?」
 不思議そうにカップ麺を見つめてる。食べたこと無いのかな、やっぱり。

「うん、ちょっと待っててね、すぐ出来るから」
 ミニコンロと小さいやかんを取り出し…

「いただきまーす♪」
「……え?」


 ごりっ


「……硬いよー…まずいよー…」
 いや、そんな泣きながら訴えられても…

「待て待て、中にお湯を入れて、やわらかくしてから食べるもんなんだ」
「………そーなのかー?」
 小首を傾げて聞いてくる。あ、かわいい。

「本当だって、ちょっとおとなしく待ってるんだぞ」
「はーい」
 片手を上まで上げて、大きな返事。落ち着きはないけど、結構素直な子だな。



「よし、お湯を入れたから、あと3分待ってね」
「あと3分!」
――――30秒後――――
「ねー、まだー?」
「まだまだ」
――――1分後――――
「もう3分経ったよね!?」
「いや、ぜんぜん」
――――1分半後――――
「今度こそ3分経ったよね!!?」
「…いいから、少し落ち着くんだ」
 カップ麺を目の前に立ったり座ったりで危ない。ので、手を取り、

「…ほえ?」
 ぐいっと引き寄せ、膝の上に座らせる。

「ほら、この針が1週したら3分だよ」
「おー…」
 じーっと時計の針を見てる。わくわく、って音が聞こえてきそうだな。


――――3分経過――――
「できたのかー!?」
 きらきらした瞳でこちらを見上げてくる。

「うん、これで完成。はい、箸はここに…」
「いただきま~す♪」

 がぶっ

「あちちちちちちちち!」
「…やれやれ」





「はい、あ~ん」
「あ~ん♪…むぐむぐ…おいしいのだー♪」
 箸は渡したのだが、麺がつかめず断念。
 結果、俺の膝の上で食べさせることに。

「けふぅ、満腹なーのだー♪」
 実にご満悦のようだ、だらーっと体重をかけて寄りかかってくる。
 俺はといえば、この子の満足そうな笑顔を見ながら、のびきったカッ○ヌー○ルカリーを食べているところだ。


「そういえば、まだ名前聞いてなかったな」
「ルーミア」
 やっぱり日本人じゃないのか、えらい流暢な日本語だけど。

「かわいい名前だな」
「そーかな?」
「そーですよ」
「…えへへ」
 はにかんだ笑顔は、とてもかわいかった。



 腹も満たされ、ぼーっとでっかい月を二人で眺めていた。
 なんとはなしに、ルーミアの頭を撫でていたが、気持ちよさそうにしてたのでいいだろう。
 相変わらず膝の上から離れようとしないが、こっちも温かいのでよしとした。

「ルーミアはこの辺に住んでるのか?」
「うん」
「でも、そろそろ帰らないとパパもママも心配するぞ?」
「パパ? ママ? そんなのいないよ~?」

 はっ、ひょっとしてこの子は外界から隔離された施設に引き取られたとか
 小さいころに捨てられ、このあたりの村に拾われた子だったとか…!?

「…ごめん、ルーミア、気が回らなくて」
 謝罪と共に、また頭を撫でてやった。
「?…ふあぁ~あ」
 ルーミアはよくわからなそうに首をかしげた後、大きなあくびをした。

「…ねぇ、○○… パパって、なーに?」
 けだるそうな声で尋ねてくる。眠くなってきたのかな?

「んー? そうだなぁ。遊んでくれて… 守ってくれて… いろいろなことを教えてくれて…
 一緒にいて安心できる… そんな人のことかな」
 話してる間にも、ルーミアの目がとろんとしてきた。

「…そーなの…かー……」


 程なく、静かな寝息が聞こえてきた。



「…やれやれ、おやすみ、ルーミア」

うpろだ1463

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360度の景色が闇に包まれた昼、俺はルーミアを抱き締めていた。

あたりが真っ暗なのは紛れもなく、「至って近い距離にルーミアがいて今が昼である」というふたつの事実に起因するのであって、光が欲しければルーミアの元を離れればよいわけだが、俺はそれができない。否、できる筈がない。
何故なら、少なくとも俺は「抱き締めたまま離れる」なんて器用な真似ができないし、俺が関わってきた数多の妖怪人間その他森羅万象のなかにもそんな事をやってのけた奴を見たことがなく、故にやりようがない。
つまりそれは俺が闇から出る事ができないということでもあり、そうあれば俺は目の前のルーミアをより強く抱き締めるということ以外できないという証明にもなる訳だ。

「彼女の事以外ろくに考えていない」という言葉の「ろくに」という意味は、脳の片隅で少し、ほんの少しは考えているということであり、
この時の俺の頭は実際ああいい匂いだなあとか柔らかい肌だなあとかそんな事でほとんど埋まっていたのだが、かろうじてほんの少し残ってたスペースでそんな事を考えた。

つまり、俺はルーミアをもう少し強く抱き締めたわけである。


さて、この状況下にたったひとつ些細な不満があるとするならば、それは彼女の顔が見えないということであろう。
今、二人は互いの首をすげかえるような(目のある位置が元と逆だが)、更に言えば首を交差させるような体勢にあり、これは肌の触れる面積こそ多くなれど、彼女が今どんな表情にあるのかが見えないのだ。

言うなれば視覚情報か、触覚情報かというところであろうか。しかし、まあ、実際見えなくても彼女の表情は分かっているようなものである。
あの顔───他の誰にも見せない、俺だけのあの表情。気恥ずかしさと幸福が入り混じったような、あの顔をしているのだろう。

……
………

顔を見るのをやめたまま1、2分ほど経ったが、先程ルーミアの顔を思い描いて以来、俺はなんとなしにまた彼女の顔を見てみたくなった。
いや、彼女の顔なら四六時中いつでも見たいというのが俺なりの「当然」なのだが、そういうのとはまた少し違う、といったらよいのだろうか。俺なりの「好奇的欲求」…いや、これも違う。
なんだかこんがらがってきたので、とりあえずルーミアの顔を見てから考える事にした。抱き寄せた手を一旦解き、彼女の顔をこちらに向ける。
闇の中だから何も見えるはずはないのだが、それでも薄ぼんやりと輪郭くらいなら分かる、気がする。
人はそれをただの妄想から来る幻覚だとでも言うかもしれないが、なに、元々彼女とは暗中模索の付き合いなのだから、多少を妄想で補った方がちょうどいい。多分。

「どうしたのー?」
彼女の声が聞こえる。妄想ではなく、本当の事だ。

「…いや、なんとなく、お前の顔が見たくなったんでな」
言葉を一切飾らず、事実のみで答える。一寸先も見えないような闇の中、どうして飾り付ける必要があるだろうか。

「ふーん。闇の中でも視界が利くのかしら。鳥目じゃないのね」


そういうと彼女は、不意に俺の顔にぴたりと手を当てた。
「私は夜目が利かないから、見たいものを見るときはいつだってこうするの」


そのまま指を動かし、存在を確かめるようにぺたぺたと触る。

俺もやり返すように、ルーミアの顔に手を当ててぺたぺた触った。その指が触れた肌は柔らかく、暖かで、彼女が確かにそこにいる事を俺に力強く教えてくれた。


「鳥目じゃないんじゃなかったかしら?」
少し意地悪そうに、彼女が聞く。

「…お前の感触を確かめたくなったんだよ」
ばつが悪いというふうに、俺が答える。
彼女はクスリと笑い、笑顔を浮かべてこう答えた。


「そーなのかー」


俺の手は一通りルーミアの顔を撫でまわし、そのまま額、頭、髪、首、肩、腕、手、胸、背、腹を経て、最後に彼女の腰回りを腕で抱え込むようにして落ち着いた。
そのままの体勢で言葉もなく、二人はただ、互いの体を確かめ合っていた。








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うpろだ1490

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