Where amI? ◆7WJp/yel/Y
高い、高い、空まで続いていそうなほど高い天井を、私は何をするでもなくぼんやりと眺めていた。
ここは私の、我威亜党等幹部であり子爵の名で呼ばれる寺岡 薫に与えられた研究室ではない。
兵器がその力を発揮するまでの間、穏やかに眠り続ける寝室の役目を果たす格納庫だ。
その代表的な兵器が、格納庫の西に堂々と仁王立ちしている巨大な蒸気型鉄人である。
ちょうど八時間前、人の命を奪った兵器だ。
それを思い出すと何もかもが嫌になってくる。
何が一番嫌かと言うと、人殺しに加担していると言うのにのうのうと研究を続けている自分自身だ。
以前は何千万と言う人間を無差別に殺す兵器を開発し、今回は六十に届く人間を殺し合わせるという悪魔の如き所業に手を貸している。
しかも、この二つの非道を起こしているのは同じ組織であり、その事実を知っていて研究成果を渡しているのだ。
愚かなものだ、人道的な思考をするよりも早く研究が出来るという欲に目が行っている。
そこで思い出すのは自身がかつてある冒険家に放った言葉と、ある革命家に放たれた言葉。
ここは私の、我威亜党等幹部であり子爵の名で呼ばれる寺岡 薫に与えられた研究室ではない。
兵器がその力を発揮するまでの間、穏やかに眠り続ける寝室の役目を果たす格納庫だ。
その代表的な兵器が、格納庫の西に堂々と仁王立ちしている巨大な蒸気型鉄人である。
ちょうど八時間前、人の命を奪った兵器だ。
それを思い出すと何もかもが嫌になってくる。
何が一番嫌かと言うと、人殺しに加担していると言うのにのうのうと研究を続けている自分自身だ。
以前は何千万と言う人間を無差別に殺す兵器を開発し、今回は六十に届く人間を殺し合わせるという悪魔の如き所業に手を貸している。
しかも、この二つの非道を起こしているのは同じ組織であり、その事実を知っていて研究成果を渡しているのだ。
愚かなものだ、人道的な思考をするよりも早く研究が出来るという欲に目が行っている。
そこで思い出すのは自身がかつてある冒険家に放った言葉と、ある革命家に放たれた言葉。
『このご時世に女に資金を提供する組織などない』
『貴方は何かを発明しなければ気が済まず、我々はそれを使わずにいられない』
まさにその通りだ。
私が満足に研究するためには我威亜党に傅くしかなく、我威亜党はその研究成果を良心を一切持たずに使い続ける。
そんなことはよく理解している、一度は口を挟んで使い捨てのようにされたのだから。
そして、それでもなお私はここに居る。
本当に愚かな女だとしか言いようがない。
私が満足に研究するためには我威亜党に傅くしかなく、我威亜党はその研究成果を良心を一切持たずに使い続ける。
そんなことはよく理解している、一度は口を挟んで使い捨てのようにされたのだから。
そして、それでもなお私はここに居る。
本当に愚かな女だとしか言いようがない。
「おや? 誰かと思えば寺岡子爵じゃないでやんすか」
「……!?」
「……!?」
何の前触れもなく、後方から声をかけられる。
振り返るとそこに居るのは一人の男。
その容姿からは平凡な一般男性と似たような印象しか持てない。
しかしながら、実態は『一般男性』なんて言葉が世界一似合わない人物。
権力欲、自尊心が人の五倍は大きく膨らんでいる典型的な悪い独裁者を形にしたような男。
能力は高いことは高いが、天才と言えるほど高いわけではない。
この男を『最悪』たらしめているのは『世界』と『世界』を行き来できる不可思議な効果を持つ機械が原因だ。
現に我威亜党がここまで大きな犯罪を続けることができたのは、この男の持ち込んだ『別の世界』の道具あってこそなのだから。
振り返るとそこに居るのは一人の男。
その容姿からは平凡な一般男性と似たような印象しか持てない。
しかしながら、実態は『一般男性』なんて言葉が世界一似合わない人物。
権力欲、自尊心が人の五倍は大きく膨らんでいる典型的な悪い独裁者を形にしたような男。
能力は高いことは高いが、天才と言えるほど高いわけではない。
この男を『最悪』たらしめているのは『世界』と『世界』を行き来できる不可思議な効果を持つ機械が原因だ。
現に我威亜党がここまで大きな犯罪を続けることができたのは、この男の持ち込んだ『別の世界』の道具あってこそなのだから。
「どうしたんでやんすか、こんなしみったれたところで?」
「いやぁ、それを言うなら皇帝陛下も一緒じゃないですか」
「いやぁ、それを言うなら皇帝陛下も一緒じゃないですか」
少しの強がりを含めた咄嗟の返しに亀田皇帝は笑みを深くする。
その質問を待っていた、と言わんばかりの笑みだ。
つかつかと格納庫の奥へと向かい、降ろされた暗幕をにやつきながら怪しい手つきで撫でる。
その質問を待っていた、と言わんばかりの笑みだ。
つかつかと格納庫の奥へと向かい、降ろされた暗幕をにやつきながら怪しい手つきで撫でる。
「こいつをね、見に来たんでやんすよ」
「こいつ、と言いますと~?」
「こいつ、と言いますと~?」
まさか暗幕のことではあるまい。
案の定と言うべきか、亀田皇帝は鍵を取り出し、閉じられていたスイッチの集まりをむき出しにする。
状況から考えると、あの中のどれかのスイッチを押すことで暗幕が開かれるのだろう。
想像通り、亀田皇帝の指一つで暗幕は反応し、ゆっくりと暗幕はその姿を消していく。
そして、その暗幕の奥から、一つの巨体が姿を現した。
その姿には私もよく見覚えがある。
これは、この巨大な鉄の塊は、蒸気型鉄人だ。
案の定と言うべきか、亀田皇帝は鍵を取り出し、閉じられていたスイッチの集まりをむき出しにする。
状況から考えると、あの中のどれかのスイッチを押すことで暗幕が開かれるのだろう。
想像通り、亀田皇帝の指一つで暗幕は反応し、ゆっくりと暗幕はその姿を消していく。
そして、その暗幕の奥から、一つの巨体が姿を現した。
その姿には私もよく見覚えがある。
これは、この巨大な鉄の塊は、蒸気型鉄人だ。
「これでやんす、どうでやんす? 湧き出る威圧感がそこのゴーレムとは段違いでやんすでしょ?」
暗幕の奥に眠っている『それ』は西に聳え立つ蒸気型鉄人とは明らかに違ったものだった。
人型と呼ぶには明らかに異質すぎる。
『それ』は見るからに大きく、重く、太く――――例えるなら辛うじて人を連想させる形を取った小さな要塞。。
ずんぐりとした体躯には足と呼べるものが存在せず、下半身には短く配電線のような何かがはみ出ている。
巨大な樽のような胴体に繋がれた両腕も従来の鉄人のそれとは大きく違う。
肩は丸みを帯びているが、一つの大きな角が外へと向かって突き出ている。
その西に聳えるもう一体との明らかな違いから、これが特別な何かなのだということは十分に理解できた。
人型と呼ぶには明らかに異質すぎる。
『それ』は見るからに大きく、重く、太く――――例えるなら辛うじて人を連想させる形を取った小さな要塞。。
ずんぐりとした体躯には足と呼べるものが存在せず、下半身には短く配電線のような何かがはみ出ている。
巨大な樽のような胴体に繋がれた両腕も従来の鉄人のそれとは大きく違う。
肩は丸みを帯びているが、一つの大きな角が外へと向かって突き出ている。
その西に聳えるもう一体との明らかな違いから、これが特別な何かなのだということは十分に理解できた。
「こいつがオイラの切り札、遺跡から見つけた幾つかのオリジナルの一つをオイラが独自に改造したゴーレム。
巨大さと耐久力に関しては最高のガンダーロボでやんすね」
「……」
「ふふ、今日はひどく気分がいいでやんす。子爵にはこいつの本当の凄さを見せてやるでやんすよ」
「本当の、凄さ?」
「そう、こいつの凄さは機体自身の火力や機動力、耐久力でもないでやんす」
巨大さと耐久力に関しては最高のガンダーロボでやんすね」
「……」
「ふふ、今日はひどく気分がいいでやんす。子爵にはこいつの本当の凄さを見せてやるでやんすよ」
「本当の、凄さ?」
「そう、こいつの凄さは機体自身の火力や機動力、耐久力でもないでやんす」
嬉しそうに語る亀田皇帝の表情は嘘ついているようには見えない。
興奮が前面に押し出してつかつかと大股でガンダーロボへ近づいていく。
どうするか迷ったが、結局私はスポンサーのご機嫌を取っておくことにした。
こんな状況でも私は研究できる施設を手放すのが惜しいと思っているようだ。
ガチャリと腹部に当たる箇所が開く、ここが搭乗口になっているのだろう。
亀田皇帝に続き、自身もその内部へと這い上がっていく。
興奮が前面に押し出してつかつかと大股でガンダーロボへ近づいていく。
どうするか迷ったが、結局私はスポンサーのご機嫌を取っておくことにした。
こんな状況でも私は研究できる施設を手放すのが惜しいと思っているようだ。
ガチャリと腹部に当たる箇所が開く、ここが搭乗口になっているのだろう。
亀田皇帝に続き、自身もその内部へと這い上がっていく。
「こいつでやんすよ……オイラがこの形式を切り札と呼び、暗幕に隠していた理由は」
少し手こずりながらも私はなんとかガンダーの内部へと入ることができた。
私はメガネのずれを直しながら、頭を上げて内部を見渡す。
内部は思っていたよりも広かった。
奥行きも深く天井も高い、下手な長屋住居よりも広いぐらいだ。
押し詰めれば十五人は入るのではないだろうか?
しかし、そんな広さの感想も直ぐに打ち消された。
それよりも目を引かれるものが中心に聳え立っていたからだ。
私はメガネのずれを直しながら、頭を上げて内部を見渡す。
内部は思っていたよりも広かった。
奥行きも深く天井も高い、下手な長屋住居よりも広いぐらいだ。
押し詰めれば十五人は入るのではないだろうか?
しかし、そんな広さの感想も直ぐに打ち消された。
それよりも目を引かれるものが中心に聳え立っていたからだ。
「……人間、ですか?」
「そう、人間でやんすよ。最も、これを人間と呼べるのだろうかは微妙なところでやんすけどね」
「そう、人間でやんすよ。最も、これを人間と呼べるのだろうかは微妙なところでやんすけどね」
亀田皇帝の言葉は何もおかしくはない。
ガンダーの中心にあったのは培養液に満たされた巨大な信管とその中に目を瞑って浮かんでいる一糸纏わぬ姿の少女だ。
少女の肌にはシミ一つ存在せず、何らかの液体の中に揺れる長い髪には癖一つなく艶やかに広がっている。
顔立ちも整っており吊り上った目と、透明な何かに覆われた小さな鼻と口はバランスよく配置されている。
生まれたままその均整のとれた裸体には何本の線が纏わりついている。
絶世の美女、とはいかずとも成長すればとても魅力的な女性になるだろうと思える。
ガンダーの中心にあったのは培養液に満たされた巨大な信管とその中に目を瞑って浮かんでいる一糸纏わぬ姿の少女だ。
少女の肌にはシミ一つ存在せず、何らかの液体の中に揺れる長い髪には癖一つなく艶やかに広がっている。
顔立ちも整っており吊り上った目と、透明な何かに覆われた小さな鼻と口はバランスよく配置されている。
生まれたままその均整のとれた裸体には何本の線が纏わりついている。
絶世の美女、とはいかずとも成長すればとても魅力的な女性になるだろうと思える。
「この人は、生きているのですか?」
「生きてるでやんすよ、オイラの持つ全ての技術と知識を総動員して延命を施しているでやんす」
「え……?」
「生きてるでやんすよ、オイラの持つ全ての技術と知識を総動員して延命を施しているでやんす」
「え……?」
亀田皇帝の言葉は私にとって意外としか言いようのないものだった。
血も涙もない自尊心と権力欲の塊のような亀田皇帝が一人の女性を延命しているなんてにわかに信じられない。
ひょっとすると、今までの悪行にも何か理由があってのことなのだろうか?
血も涙もない自尊心と権力欲の塊のような亀田皇帝が一人の女性を延命しているなんてにわかに信じられない。
ひょっとすると、今までの悪行にも何か理由があってのことなのだろうか?
「あの、この女の子は一体……?」
「こいつが、オイラの最大の長所を限界までに伸ばした正体でやんす。
いや、弱点を失くしたと言うべきでやんすかね?」
「……?」
「こいつはね、超能力者なんでやんすよ。それもオイラと相性ピッタリのね」
「こいつが、オイラの最大の長所を限界までに伸ばした正体でやんす。
いや、弱点を失くしたと言うべきでやんすかね?」
「……?」
「こいつはね、超能力者なんでやんすよ。それもオイラと相性ピッタリのね」
僅かの間だけその言葉が理解できなかったが、失望と共にその言葉の意味が胸の中へと訪れた。
生かしておいておく価値とやらまでは分からないが、この女性の人格には何ら興味はないらしい。
少しでも亀田皇帝の善性を信じた私が馬鹿だった。
生かしておいておく価値とやらまでは分からないが、この女性の人格には何ら興味はないらしい。
少しでも亀田皇帝の善性を信じた私が馬鹿だった。
「この女の名は……なんでやんしたかね? まあ、それは些細な問題でやんす。
こいつは世にも奇妙な超能力を操る者、超能力者の中でもさらに希少な存在。
ワームホールだとか、デス・マスだとか、ババヤガンなんて能力よりもオイラと相性ピッタリの能力の持ち主。
ずばり、『確率変動』の能力を持つ女でやんすよ」
「確率変動……って、言いますと?」
こいつは世にも奇妙な超能力を操る者、超能力者の中でもさらに希少な存在。
ワームホールだとか、デス・マスだとか、ババヤガンなんて能力よりもオイラと相性ピッタリの能力の持ち主。
ずばり、『確率変動』の能力を持つ女でやんすよ」
「確率変動……って、言いますと?」
あまりにも突飛な単語に、私の脳が追い付かない。
私はなんとかオウム返しのように問いかける。
亀田皇帝は説明をするのが楽しくてたまらないと言った風に、口を止めずに言葉を滑らせていく。
私はなんとかオウム返しのように問いかける。
亀田皇帝は説明をするのが楽しくてたまらないと言った風に、口を止めずに言葉を滑らせていく。
「その名の通りでやんすよ、この女は1%を100%に出来るんでやんす。
確率の操作、起こる出来事がどんなに低くても絶対に成功させるんでやんす。
証明は厳密に言えば不可能でやんすが、」
「……えーっと、つまり自分が望んだ通りの出来事が起こるってことですか?」
確率の操作、起こる出来事がどんなに低くても絶対に成功させるんでやんす。
証明は厳密に言えば不可能でやんすが、」
「……えーっと、つまり自分が望んだ通りの出来事が起こるってことですか?」
それが真実ならば凄い、としか言いようがない。
頭のいい人間が手に入れても、頭の悪い人間が手に入れても、悪い結果にしかならない。
絶対に不可能なこと以外は自分の思い通りにことが運ぶようになるのだから。
頭のいい人間が手に入れても、頭の悪い人間が手に入れても、悪い結果にしかならない。
絶対に不可能なこと以外は自分の思い通りにことが運ぶようになるのだから。
「……って、ちょっと待って下さい。それならそれで世界征服をすればいいだけの話じゃないですか」
そうだ、そんな一厘しかない事象を十割に変えられるのならば、手下など必要ない。
この少女とガンダーロボともう一体のガンダーロボ、そして鉄人さえあれば今にでも世界を征服できるのではないか。
我威亜党なんて芝居がかった組織を作る必要なんてない。
私の言葉に亀田皇帝は楽しそうに、しかし少しだけ憂いを持った複雑な表情で言葉を返した。
この少女とガンダーロボともう一体のガンダーロボ、そして鉄人さえあれば今にでも世界を征服できるのではないか。
我威亜党なんて芝居がかった組織を作る必要なんてない。
私の言葉に亀田皇帝は楽しそうに、しかし少しだけ憂いを持った複雑な表情で言葉を返した。
「つまらないでやんすよ、そんなもの」
「は……?」
「オイラ自身の手で愛と勇気を振りかざす連中を倒してこそ意味があるんでやんす。
あの借金探偵に勇者やら中間管理職の忍者、英雄に近い宇宙船長たちの鼻を明かせるんでやんすよ!
だから、準備に準備を重ねてからやることに決めたでやんす、どーせ例の如くお邪魔虫が湧くに決まってやがるでやんすからねぇ」
「……これも、準備なのですか?」
「当然!」
「は……?」
「オイラ自身の手で愛と勇気を振りかざす連中を倒してこそ意味があるんでやんす。
あの借金探偵に勇者やら中間管理職の忍者、英雄に近い宇宙船長たちの鼻を明かせるんでやんすよ!
だから、準備に準備を重ねてからやることに決めたでやんす、どーせ例の如くお邪魔虫が湧くに決まってやがるでやんすからねぇ」
「……これも、準備なのですか?」
「当然!」
亀田皇帝の目はその『次』への野望に輝いている。
そして、その目には今行われている惨劇自体への興味は薄いように私には見えた。
この惨劇での目的が達成されるのが当たり前だと、そう確信している。
そして、その目には今行われている惨劇自体への興味は薄いように私には見えた。
この惨劇での目的が達成されるのが当たり前だと、そう確信している。
「ところで、この少女は……?」
「ああ、そう言えばその話だったでやんすね。
こいつは暗示装置と薬の連続でほとんど自我と言う物が薄まっているでやんす。
つまり、心の一番深いところが無防備なまでに剥き出しになっている、とも言えるでやんすね。
まあ、この状態で電気信号やら口八丁やらを使って能力を強制的に使わしてる、って感じでやんすよ」
「……」
「ああ、そう言えばその話だったでやんすね。
こいつは暗示装置と薬の連続でほとんど自我と言う物が薄まっているでやんす。
つまり、心の一番深いところが無防備なまでに剥き出しになっている、とも言えるでやんすね。
まあ、この状態で電気信号やら口八丁やらを使って能力を強制的に使わしてる、って感じでやんすよ」
「……」
吐き気がする。
もはや表情を取り繕うのも厳しくなってくる。
聞くんじゃなかった、人体実験は私の専門外だ。
いや、今さらからも知れない。
私は既に殺し合いなんて馬鹿げた、悲惨極まりない企画の手伝いをしているのだから。
もはや表情を取り繕うのも厳しくなってくる。
聞くんじゃなかった、人体実験は私の専門外だ。
いや、今さらからも知れない。
私は既に殺し合いなんて馬鹿げた、悲惨極まりない企画の手伝いをしているのだから。
「ふふ、どうしたでやんす? ずいぶんに顔色が悪いじゃないでやんすか。
じゃあ、オイラは秋穂侯爵の所に行ってくるでやんすからね。
ああ、そうそう。ガンダーを勝手に弄ったら……どうなるかぐらい分かるでやんすね?」
「ッ!?」
じゃあ、オイラは秋穂侯爵の所に行ってくるでやんすからね。
ああ、そうそう。ガンダーを勝手に弄ったら……どうなるかぐらい分かるでやんすね?」
「ッ!?」
脅しのような、からかいのような、どちらにでも取れる言葉を放ってガンダーの中から亀田皇帝は出ていった。
取り残された私はじっと内部を眺める。
今の私では理解できない水晶板と複雑な英数字。
中心へと向かい、私は巨大な試験管へと手を触れる。ちょうど少女の眼前に当たる位置だ。
長い髪の少女は何の反応も示さなかった。
亀田皇帝の『暗示装置と薬の連続』という言葉の通り、少女は外からの何かしらの衝撃がない限り目を覚まさないだろう。
目を覚ましても亀田皇帝の持つ妖術という胡散臭いものや、何処からか持ち込んだ暗示装置で操られる。
彼女は今までそうされてきたのだろう。
そして、これからもそうなるだろう。
亀田皇帝は自身が立ちあげたこの殺し合いを『次への準備』と言った。
つまりこれは、亀田皇帝の暗い欲望を満たすためだけでなく、世界征服という目的を果たすための準備なのだろう。
それがなんの実験なのかは私は知る由もない。
今の惨劇を超える未来の惨劇への実験なのか、単純な何かを作るための儀式なのか。
実験を続けることが出来る、という欲望に抗い切れない愚かな私にはそれを察することが出来ない
取り残された私はじっと内部を眺める。
今の私では理解できない水晶板と複雑な英数字。
中心へと向かい、私は巨大な試験管へと手を触れる。ちょうど少女の眼前に当たる位置だ。
長い髪の少女は何の反応も示さなかった。
亀田皇帝の『暗示装置と薬の連続』という言葉の通り、少女は外からの何かしらの衝撃がない限り目を覚まさないだろう。
目を覚ましても亀田皇帝の持つ妖術という胡散臭いものや、何処からか持ち込んだ暗示装置で操られる。
彼女は今までそうされてきたのだろう。
そして、これからもそうなるだろう。
亀田皇帝は自身が立ちあげたこの殺し合いを『次への準備』と言った。
つまりこれは、亀田皇帝の暗い欲望を満たすためだけでなく、世界征服という目的を果たすための準備なのだろう。
それがなんの実験なのかは私は知る由もない。
今の惨劇を超える未来の惨劇への実験なのか、単純な何かを作るための儀式なのか。
実験を続けることが出来る、という欲望に抗い切れない愚かな私にはそれを察することが出来ない
ただ、そんな愚鈍な私にも一つだけ分かることがある。
私はどうせ研究を続けるだけだろうし、少女に至っては思考することすら許されないということだ。
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| 000:生きるために殺し合え! | 亀田皇帝 | ― |
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