アンドロイドは笑わない◆7WJp/yel/Y
そこは真っ暗な、何も見えない闇の中だった。
俺はそんな場所をうろうろと彷徨うように歩いている。
何処に向かっているのか、それが俺自身にも分からない。
しかし、何も見えないというのに不思議と俺は淀みなく歩いている。
足場も見えなければ一寸先も見えたりはしない。
俺はそんな場所をうろうろと彷徨うように歩いている。
何処に向かっているのか、それが俺自身にも分からない。
しかし、何も見えないというのに不思議と俺は淀みなく歩いている。
足場も見えなければ一寸先も見えたりはしない。
――――段差があるかも、壁に当たるかも、ひょっとしたらこの先は落とし穴があるかも。
そう考えると、急に恐怖を覚えた。
今まで何の警戒もなくすいすいと動いていたのが嘘のように動けなくなった。
立ち竦む、とは今の俺の状態のようなことを言うのだろう。
闇の中がこんなに怖いなんて思わなかった。
一歩も動けない、この先は底のない落とし穴があるなんて根拠もなく考えてしまう。
今まで何の警戒もなくすいすいと動いていたのが嘘のように動けなくなった。
立ち竦む、とは今の俺の状態のようなことを言うのだろう。
闇の中がこんなに怖いなんて思わなかった。
一歩も動けない、この先は底のない落とし穴があるなんて根拠もなく考えてしまう。
脚がすくんで、動けないまま何分経っただろうか?
ほんの数分だったような気もするし、一時間も立ち尽くしていたような気がする。
そんな時に俺の耳に一つの音、いや、声が聞こえた。
ほんの数分だったような気もするし、一時間も立ち尽くしていたような気がする。
そんな時に俺の耳に一つの音、いや、声が聞こえた。
「……東さん」
聞き覚えのある声、この声は誰だったろうか。
俺はゆっくりと、怯えの入った表情のまま振り向いた。
俺はゆっくりと、怯えの入った表情のまま振り向いた。
「痛いですよ……東さん、東さん……」
「甲子、くん……」
「痛い、痛いんだよ……痛くて痛くて……どうにかなってしまいそう……」
「甲子、くん……」
「痛い、痛いんだよ……痛くて痛くて……どうにかなってしまいそう……」
だが、何よりも違っているのは、彼の右腕が綺麗になくなっていることだ。
「東さん……東さん……!」
その姿に対して恐怖を怯えるよりも早く、同情を覚えるよりも早く、俺は自己嫌悪を覚えた。
あの時、甲子を追っていれば、レッドの言う通りにして居れば。
そのことに関する後悔は尽きない、甲子には謝っても謝りきれない。
あの時、甲子を追っていれば、レッドの言う通りにして居れば。
そのことに関する後悔は尽きない、甲子には謝っても謝りきれない。
「気にすることはありませんよ、東さん。ここでは人が死ぬことは『普通』なんですから」
そんな俺に追い打ちをかけるかのように、野丸君が目の前に現れる。
その顔に卑屈に嘲っているようにも見えるし、優越感に浸っているようにも見える。
ただ一つ言えるのは、野丸のかつての笑顔とはまるで別物だということだ。
その顔に卑屈に嘲っているようにも見えるし、優越感に浸っているようにも見える。
ただ一つ言えるのは、野丸のかつての笑顔とはまるで別物だということだ。
「だから東さんも殺しましょうよ、逃げるよりも楽ですよ?」
「嫌だ! 俺は……俺は……!」
「嫌だ! 俺は……俺は……!」
そんな声なんて聞きたくない、と言わんばかりに耳をふさいでうずくまる。
ひょっとすると、みっともなく涙を流しているのかもしれない。
キャプテンとして弱みを見せなかったあの時とは大違い。
まるで子供だ。
ひょっとすると、みっともなく涙を流しているのかもしれない。
キャプテンとして弱みを見せなかったあの時とは大違い。
まるで子供だ。
「大丈夫ですよ、東さん」
この声は――――!
そんな時に、聞き覚えのある声に振り返る。
もっとも親しかった後輩、ヒーローが主力となったチームで腐らずに努力を続けた男。
そして、この場に同じくして連れてこられてしまった男。
そんな時に、聞き覚えのある声に振り返る。
もっとも親しかった後輩、ヒーローが主力となったチームで腐らずに努力を続けた男。
そして、この場に同じくして連れてこられてしまった男。
振り返るとそこには―――――
____
/__.))ノヽ
.|ミ.l _ ._ i.)
(^'ミ/.´・ .〈・ リ
.しi r、_) | ヒーローはわしが育てた
| `ニニ' /
ノ `ー―i
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(^'ミ/.´・ .〈・ リ
.しi r、_) | ヒーローはわしが育てた
| `ニニ' /
ノ `ー―i
◆ ◆ ◆
「うわぁ!!!?」
ガバッ! と空気を裂いたのではないかと見間違うほどの素早さで、東は俯いていた顔を大きく上げた。
荒い息を吐きながら辺りを見回す。
ここで東は自分が夢を見ていたことにようやく気づく。
軽く頭を振って意識を覚醒しようとすると、いつもより少し視界が高いような気がする。
落ち着いてくると、謎の生き物――――ほるひすに背負われていたことに気づいた。
荒い息を吐きながら辺りを見回す。
ここで東は自分が夢を見ていたことにようやく気づく。
軽く頭を振って意識を覚醒しようとすると、いつもより少し視界が高いような気がする。
落ち着いてくると、謎の生き物――――ほるひすに背負われていたことに気づいた。
周囲にはほるひすを含めて七人、東の意識がある時よりも確かに増えている。
若い女が三人、若い男が二人、老人が一人、そしてほるひす。
あまり共通点の少ない七人だ。
気になることと言えば、後輩の湯田に似ているモグラーズのユニフォームを着た男が居るぐらいだ。
しかし、よく似ている。亀田と言う男にも、湯田にも。
若い女が三人、若い男が二人、老人が一人、そしてほるひす。
あまり共通点の少ない七人だ。
気になることと言えば、後輩の湯田に似ているモグラーズのユニフォームを着た男が居るぐらいだ。
しかし、よく似ている。亀田と言う男にも、湯田にも。
「……どうした、東」
辺りを見渡している東の耳に妙な口調の高い声が聞こえてくる。
その声の主は神条 紫杏、一緒に同行していた同年代の少女だ。
妙に落ち着いた態度と冷静な口調はひどく頼りになる。
その声の主は神条 紫杏、一緒に同行していた同年代の少女だ。
妙に落ち着いた態度と冷静な口調はひどく頼りになる。
「ああ……ごめん。ほるひす、ちょっと眠って回復したから一人で歩くよ」
「あまり、無理はしない方がいい……背負っているわけでもない私が言うのも何だが」
「いや、もういい。ありがとう、ほるひす」
「あまり、無理はしない方がいい……背負っているわけでもない私が言うのも何だが」
「いや、もういい。ありがとう、ほるひす」
辺りを見渡すと橋が見える。
かなり長い間、おぶってくれていたのだろう。
表情からは疲れや感情は読み取れないが、ほるひすが『良い奴』なのは東にも理解できた。
力もあるし、信頼できる。
この殺し合いの会場で初めて出会い、これまで一緒に居ることで東は大きな信頼を抱いていた。
無口で分かりづらいが、悪い奴ではない。
それが東のほるひすに対する嘘偽りのない評価だった。
かなり長い間、おぶってくれていたのだろう。
表情からは疲れや感情は読み取れないが、ほるひすが『良い奴』なのは東にも理解できた。
力もあるし、信頼できる。
この殺し合いの会場で初めて出会い、これまで一緒に居ることで東は大きな信頼を抱いていた。
無口で分かりづらいが、悪い奴ではない。
それが東のほるひすに対する嘘偽りのない評価だった。
「ところで、そっちの人たちは?」
東はほるひすの背から降りて紫杏に尋ねる。
なるべく当たり障りのないように、なるべく刺激しないように。
見知らぬ人物が五人、おそらく眠っている間に仲間となった人たちなのだろう。
放送の前に出会った人たちが同じ高校生が多かったことと比べて、今回は年上が多い。
一番若そうな女の人でも恐らく二十代半ば、老人は背筋がシャキッと伸びているがかなり年だろう。
そんなことを考えていると、その中のボロボロの服を着た男が声を掛けてきた。
なるべく当たり障りのないように、なるべく刺激しないように。
見知らぬ人物が五人、おそらく眠っている間に仲間となった人たちなのだろう。
放送の前に出会った人たちが同じ高校生が多かったことと比べて、今回は年上が多い。
一番若そうな女の人でも恐らく二十代半ば、老人は背筋がシャキッと伸びているがかなり年だろう。
そんなことを考えていると、その中のボロボロの服を着た男が声を掛けてきた。
「えーっと、東……くん、だったかな? 俺は九条 英雄、その、なんだ、よろしく」
ぎこちない笑顔をした(ように東には見えた)男、九条を見た時、東に何か妙な感覚が走った。
何処かで会ったことのあるような、そんな気分がするのだ。
デジャビュ、慨視感と言う奴だろうか。
少し記憶をたどってみるが、心当たりがない。
だが、何処かで会ったような気は確かにする。不思議な気分だった。
何処かで会ったことのあるような、そんな気分がするのだ。
デジャビュ、慨視感と言う奴だろうか。
少し記憶をたどってみるが、心当たりがない。
だが、何処かで会ったような気は確かにする。不思議な気分だった。
(……気のせい、なのか?)
「オイラは凡田でやんす~! よろしくお願いするでやんす!」
「凡田……って言うとモグラーズの選手だった凡田選手? ……いや、でも、若いような」
「……あー、まあ、それには海よりも深い理由があってでやんすね。
でも、知っていてもらえると嬉しいでやんすねぇ」
「ほ、本物ですか!? 凄い……こうして見ると、本当に湯田君に似てるなぁ。
でも、凡田選手ってもう30を越えてたはずじゃ……?」
「オイラは凡田でやんす~! よろしくお願いするでやんす!」
「凡田……って言うとモグラーズの選手だった凡田選手? ……いや、でも、若いような」
「……あー、まあ、それには海よりも深い理由があってでやんすね。
でも、知っていてもらえると嬉しいでやんすねぇ」
「ほ、本物ですか!? 凄い……こうして見ると、本当に湯田君に似てるなぁ。
でも、凡田選手ってもう30を越えてたはずじゃ……?」
本物のプロ野球選手に出会えた、ということに思わず場所を忘れて興奮してしまう。
どれだけ冷静な男に見えても、やはり根は野球少年。
テレビの向こうのプロを見ると我を忘れてしまうのは仕方がないことだろう。
どれだけ冷静な男に見えても、やはり根は野球少年。
テレビの向こうのプロを見ると我を忘れてしまうのは仕方がないことだろう。
「……ま、それには深い理由があるんでやんすよ。詳しいことは病院で話すでやんす!」
「そうですか……」
「そうですか……」
少し謎めいた言い方に引っかかりを覚えながらも東は頷いておく。
ひょっとすると事態は残酷なだけでなく、東が考えている以上に複雑なのかもしれない。
ひょっとすると事態は残酷なだけでなく、東が考えている以上に複雑なのかもしれない。
凡田との会話が一通り終わり、次は誰と話すべきか、と思いながら周囲を見渡す。
ふと、綺麗な女の人と目があった。
少しだけ目つきの鋭い、出来る女、と言った風な女の人だ。
ふと、綺麗な女の人と目があった。
少しだけ目つきの鋭い、出来る女、と言った風な女の人だ。
「……四路 智美よ。こっちは荒井 紀香さん」
「よ、よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
邪険、とも取れるほどに素気ない挨拶。
東は自分が何か感に障るようなことをしてしまったのではないかと不安になってくる。
東は自分が何か感に障るようなことをしてしまったのではないかと不安になってくる。
荒井 紀香なる女性は何やら等身大の人形を弄っているし、わからない二人組だと東は思った。
しかし、妙ではあるが巧妙に作られた人形だ。
関節部分も多いし、ひょっとするとただの人形ではなくからくり人形と呼ばれる類の人形なのかもしれない。
野球のユニフォームらしきものを着ているということは野球をするのだろうか?
一野球少年としては非常に気になるところだ。
しかし、妙ではあるが巧妙に作られた人形だ。
関節部分も多いし、ひょっとするとただの人形ではなくからくり人形と呼ばれる類の人形なのかもしれない。
野球のユニフォームらしきものを着ているということは野球をするのだろうか?
一野球少年としては非常に気になるところだ。
そんな風に考えていると紫杏が話しかけてきた。
「東、気にするな。四路さんは最初から機嫌が悪い。
九条さんと凡田さんの知り合いということで簡単に合流できたがな」
「……そうか。ところであのお爺さんは?」
九条さんと凡田さんの知り合いということで簡単に合流できたがな」
「……そうか。ところであのお爺さんは?」
東がそう言うと紫杏は露骨に顔をしかめた。
紫杏のその表情に、東は思わずしまったと口走りそうになる。
勝手な思い込みかもしれないが、紫杏があからさまに嫌悪の情を顔に出すのは珍しいと思った。
そして、紫杏はそのしかめた顔を直そうともせずに口を開く。
紫杏のその表情に、東は思わずしまったと口走りそうになる。
勝手な思い込みかもしれないが、紫杏があからさまに嫌悪の情を顔に出すのは珍しいと思った。
そして、紫杏はそのしかめた顔を直そうともせずに口を開く。
「黒野 鉄斎、なんでも科学者らしい」
「おっと、違うぞ小娘! ただの科学者じゃない、わしは悪の天才科学者じゃ!」
「おっと、違うぞ小娘! ただの科学者じゃない、わしは悪の天才科学者じゃ!」
紫杏の言葉に割り込むように黒野という老人が割り込んでくる。
その姿は見た目から察せられる年をまるで感じさせない堂々としたものだ。
背筋は伸び、眼光は鋭く、不敵な笑みを顔に張り付けている。
だが、その言葉はひどく物騒な物だった。
その姿は見た目から察せられる年をまるで感じさせない堂々としたものだ。
背筋は伸び、眼光は鋭く、不敵な笑みを顔に張り付けている。
だが、その言葉はひどく物騒な物だった。
それと多分、この人が大声でわしと言っていたのがあの訳の分からない夢の原因だろう。
「我が悲願、世界征服への道のり一歩じゃ! 喜んで貴様ら愚物に手を貸してやろう!」
「……とまあ、変人だ。お互いの持つ詳しい情報は病院に着いてから話すことになっている」
「……とまあ、変人だ。お互いの持つ詳しい情報は病院に着いてから話すことになっている」
紫杏はぶっきらぼうに答える。
どこか気に食わないところがあるのか、と聞こうとも思ったがそのような雰囲気でもないのでやめた。
どこか気に食わないところがあるのか、と聞こうとも思ったがそのような雰囲気でもないのでやめた。
しかし、どうにも空気が重い。
こんなふざけた状況での急造の集まりということもあるのだろうが、如何せんなんとか和ませたいところだ。
だが、年上の人間ばかりの状況で上手く場を和ます手段は東は詳しくない。
キャプテンや生徒会長として活動した経験ことから自分から引っ張っていく手段はそれなりに知っている。
だが、相手が大人の場合でもそれは通じるのか、と言われればまた別だ。
こんなふざけた状況での急造の集まりということもあるのだろうが、如何せんなんとか和ませたいところだ。
だが、年上の人間ばかりの状況で上手く場を和ます手段は東は詳しくない。
キャプテンや生徒会長として活動した経験ことから自分から引っ張っていく手段はそれなりに知っている。
だが、相手が大人の場合でもそれは通じるのか、と言われればまた別だ。
(……ここは黙っておこうかな)
「おお、そうだ若造」
「おお、そうだ若造」
「中々良い身体をしておるな、どうだ? 『怪人』になってみる気はないか?」
「怪人……ですか?」
「そう、怪人じゃ。人を超えた存在、と言えば分かりやすいの」
「……すみません、遠慮しておきます」
「そうか! まあ、気が向いたら話を聞きに来るといい!」
「……博士、戯れはやめてくれ。東は怪我人だ」
「怪人……ですか?」
「そう、怪人じゃ。人を超えた存在、と言えば分かりやすいの」
「……すみません、遠慮しておきます」
「そうか! まあ、気が向いたら話を聞きに来るといい!」
「……博士、戯れはやめてくれ。東は怪我人だ」
紫杏が横やりを入れる形で黒野に釘をさしたおかげで、東はある言葉を飲み込めた。
恐らく、世界征服をたくらんでいる黒野の機嫌を損ねただろうから。
恐らく、世界征服をたくらんでいる黒野の機嫌を損ねただろうから。
――――できれば怪人でなく、ヒーローになりたい。
ずっと思っていたことだ。
もし、自分がヒーローのような存在ならば、と。
ヒーローならば、レッドのように強ければ甲子や平山は死ななかったはずだ。
何せヒーローが二人もいることになるのだから、死ぬはずがない。
そして、野丸も止めれていたかもしれない。
もっと、もっと自分が頼りになれる存在で、もっと強ければ。
もし、自分がヒーローのような存在ならば、と。
ヒーローならば、レッドのように強ければ甲子や平山は死ななかったはずだ。
何せヒーローが二人もいることになるのだから、死ぬはずがない。
そして、野丸も止めれていたかもしれない。
もっと、もっと自分が頼りになれる存在で、もっと強ければ。
そんな風に無いものねだりをする自分が少し嫌になり、東は顔を横に向ける。
そこに、一人の少女が見えた。
その少女はけらけらと顔をゆがめながら、手に持った仰々しい鉄の塊に手をかけて――――
そこに、一人の少女が見えた。
その少女はけらけらと顔をゆがめながら、手に持った仰々しい鉄の塊に手をかけて――――
「危ない!!!!」
そこでようやく頭と身体が働いた。
あの少女が持っているのは機関銃、そしてあの少女はこちらに向かって撃とうとしている。
東は大声で注意を促した。
他にも九条と四路は気付いていたらしく、素早く周囲の人間の手を取りながら物陰に移動する。
幸い、幾つか倉庫のような建物が並んでおり簡単に隠れることができた。
あの少女が持っているのは機関銃、そしてあの少女はこちらに向かって撃とうとしている。
東は大声で注意を促した。
他にも九条と四路は気付いていたらしく、素早く周囲の人間の手を取りながら物陰に移動する。
幸い、幾つか倉庫のような建物が並んでおり簡単に隠れることができた。
その僅かな後に何発もの銃弾が発射される音が響き渡った。
もしも、九条や四路が気付かずに物陰に隠れることができなかった。
もしも、九条や四路が気付かずに物陰に隠れることができなかった。
「なっ――――!?」
少女は見た目からは想像出来ないほど俊敏な動きでこちらに迫って来ていた。
銃は撃たずに、物陰に隠れさすことで数を減らす。
最初の攻撃は威嚇、当たって殺せればラッキーと言ったところなのだろう。
フェイク、そう気づくのに時間がかかりすぎた。
銃は撃たずに、物陰に隠れさすことで数を減らす。
最初の攻撃は威嚇、当たって殺せればラッキーと言ったところなのだろう。
フェイク、そう気づくのに時間がかかりすぎた。
「あははは!」
狂ったように笑いながら、少女は銃を撃つ。
撃った方向は東とは逆、九条と凡田、黒野が居る方向だ。
完全に背を向けたわけではない、こちらにもある程度は対応できるような姿勢を取っている。
恐らくこれは威嚇、遮蔽物が多いこの場所では当たらない。
本当の目的はこちらを錯乱させるための射撃だ。
だがしかし、確かに隙は存在する。
撃った方向は東とは逆、九条と凡田、黒野が居る方向だ。
完全に背を向けたわけではない、こちらにもある程度は対応できるような姿勢を取っている。
恐らくこれは威嚇、遮蔽物が多いこの場所では当たらない。
本当の目的はこちらを錯乱させるための射撃だ。
だがしかし、確かに隙は存在する。
(……今だ!)
恐らく少女は逆の方向の人間は逃げると予想していたのだろう。
普通の人間なら殺せるチャンスよりも生きるチャンスを選ぶ。
全くおかしくない考え方だが、今の東は普通ではなかった。
さらを逆上させ、甲子と平山を死なせ、野丸が殺し合いに乗ったというのに止めることができなかった。
もう後悔はしたくない、その気持ちだけが東を動かす。
だから、端から見れば無謀と思える行動だが、東は満身創痍の身体を動かしていた。
普通の人間なら殺せるチャンスよりも生きるチャンスを選ぶ。
全くおかしくない考え方だが、今の東は普通ではなかった。
さらを逆上させ、甲子と平山を死なせ、野丸が殺し合いに乗ったというのに止めることができなかった。
もう後悔はしたくない、その気持ちだけが東を動かす。
だから、端から見れば無謀と思える行動だが、東は満身創痍の身体を動かしていた。
「ひゃっ!?」
東は羽交い絞めの形で女の子を抑え込むことに成功する。
少女の可愛らしい声に一瞬力が抜けそうにもなるが、なんとか固定する。
だが、じたばたと東の胸の中で暴れる少女の衝撃で身体に強い痛みが走る。
少女の可愛らしい声に一瞬力が抜けそうにもなるが、なんとか固定する。
だが、じたばたと東の胸の中で暴れる少女の衝撃で身体に強い痛みが走る。
「くぅ……ぁぇあ!」
「あ!?」
「あ!?」
苦痛に襲われながら、気合いを腹の底から振り絞るように言葉になっていない声とともに膝で少女の右手首を蹴りつける。
思いきり蹴りつけたから、かなりの痛みを覚えた筈だ。
強く握っていたにも関わらず落してしまったことはかなりの痛みだっただろう。
自分の年の近い少女を痛めつけた、ということに多少の罪悪感を覚えるが頭を横に振って甘い考えを振り払う。
これは仕方のない処置だ。
足元に落ちた機関銃を思いきり遠くへと蹴飛ばす。
万が一にも機関銃を再び使われないための配慮だ。
思いきり蹴りつけたから、かなりの痛みを覚えた筈だ。
強く握っていたにも関わらず落してしまったことはかなりの痛みだっただろう。
自分の年の近い少女を痛めつけた、ということに多少の罪悪感を覚えるが頭を横に振って甘い考えを振り払う。
これは仕方のない処置だ。
足元に落ちた機関銃を思いきり遠くへと蹴飛ばす。
万が一にも機関銃を再び使われないための配慮だ。
ただ、そこで安心したのが悪かった。
僅かにも力を抜いてしまったのだ。
僅かとはいえ体の自由を取り戻した少女が、さらに強く暴れ始める。
胸から伝わってくる衝撃が怪我のある左腕に響き、思わず拘束を緩めてしまう。
僅かにも力を抜いてしまったのだ。
僅かとはいえ体の自由を取り戻した少女が、さらに強く暴れ始める。
胸から伝わってくる衝撃が怪我のある左腕に響き、思わず拘束を緩めてしまう。
「……!」
その隙を少女は逃がさなかった。
素早く東から離れながら、手を背後のデイパックに伸ばす。
すると、驚くほどの速さで立ち去って行った。
素早く東から離れながら、手を背後のデイパックに伸ばす。
すると、驚くほどの速さで立ち去って行った。
「あ……」
「東、大丈夫か?」
「東、大丈夫か?」
既に機関銃を回収した九条と紫杏が駆け寄ってくる。
それに凡田、黒野が続き、智美と紀香は相変わらず一歩引いた形でこちらを眺めている。
それに凡田、黒野が続き、智美と紀香は相変わらず一歩引いた形でこちらを眺めている。
「すみません……逃げられました」
「気にするな、俺たちが出遅れたのも原因なんだ」
「気にするな、俺たちが出遅れたのも原因なんだ」
九条はばつが悪そうな顔をしながら、東を慰める。
そして、機関銃をぽんぽんと軽く叩きながら少女が逃げて行った方向を眺めた。
そして、機関銃をぽんぽんと軽く叩きながら少女が逃げて行った方向を眺めた。
「とりあえず、放っておくわけにはいかないな。
俺が追うから、皆は先に行っておいてくれ。あんまり刺激するわけにもいかないしね」
俺が追うから、皆は先に行っておいてくれ。あんまり刺激するわけにもいかないしね」
九条は平然と言い放ち、機関銃を東に手渡す。
恐らく機関銃を持って紫杏たちと一緒に病院へ行け、と言いたいのだろう。
だが、東も素直に従える状態ではなかった。
全く役に立っていない、それどころか二人もの人間を死なせてしまった。
そして、あの少女に自分の対応の失敗で芳槻さらを暴走させてしまったことも思い出させる。
もうあんな感情を抱きたくない、今度こそ救ってあげたい。
真面目で人の良い東は死に怯えるよりも、人を助けたいという気持ちが強かった。
恐らく機関銃を持って紫杏たちと一緒に病院へ行け、と言いたいのだろう。
だが、東も素直に従える状態ではなかった。
全く役に立っていない、それどころか二人もの人間を死なせてしまった。
そして、あの少女に自分の対応の失敗で芳槻さらを暴走させてしまったことも思い出させる。
もうあんな感情を抱きたくない、今度こそ救ってあげたい。
真面目で人の良い東は死に怯えるよりも、人を助けたいという気持ちが強かった。
「俺も行きます!」
「……東?」
「俺がもっとうまくやっていれば、あの子とは今ここで話が出来ていたかもしれません。
だから、俺がなんとかしたいんです」
「しかしだな、東。お前は怪我が……」
「……東?」
「俺がもっとうまくやっていれば、あの子とは今ここで話が出来ていたかもしれません。
だから、俺がなんとかしたいんです」
「しかしだな、東。お前は怪我が……」
東の言葉に紫杏が反応する。
確かに東の怪我は酷い、なるべく早く処置すべきだろう。
だが、九条は紫杏に諭すように腕で東と間に遮るように伸ばす。
確かに東の怪我は酷い、なるべく早く処置すべきだろう。
だが、九条は紫杏に諭すように腕で東と間に遮るように伸ばす。
「分かったよ、一緒に行こうか」
「……九条さん?」
「……九条さん?」
その言葉に紫杏は厳しい目を九条に向ける。
激昂しているわけではない、ただふざけたことは言うなと冷たく訴えているのだ。
九条はその紫杏の厳しい視線を真正面から受け止めて、じっと見つめ返す。
それが数十秒ほど続いた後、紫杏が先に折れた。
ふう、とため息をついて背中を向ける。
激昂しているわけではない、ただふざけたことは言うなと冷たく訴えているのだ。
九条はその紫杏の厳しい視線を真正面から受け止めて、じっと見つめ返す。
それが数十秒ほど続いた後、紫杏が先に折れた。
ふう、とため息をついて背中を向ける。
「じゃあ、行こうか。東、くん」
「はい!」
「はい!」
言うが早いか、東は機関銃を持ったまま走り出す。
その行動の速さに感心しつつも、危うさを覚える。
九条は東の素早い行動を眺めながら、凡田へと向き直る。
その行動の速さに感心しつつも、危うさを覚える。
九条は東の素早い行動を眺めながら、凡田へと向き直る。
「……凡田くん、ほかの皆を頼むよ」
「分かったでやんす」
「俺も東……くんと一緒に行ってあの子を止めるよ。男は若い君一人になるけど、構わないね?」
「構わないでやんすよ。でも、無理はしちゃダメでやんすよ」
「ほるひすだよ」
「そ、そうだったな、ほるひすも居たな……とにかく、頼んだよ!」
「分かったでやんす」
「俺も東……くんと一緒に行ってあの子を止めるよ。男は若い君一人になるけど、構わないね?」
「構わないでやんすよ。でも、無理はしちゃダメでやんすよ」
「ほるひすだよ」
「そ、そうだったな、ほるひすも居たな……とにかく、頼んだよ!」
凡田はそう言うと他の五人を連れだって逆方向、病院へと向かって進み始めた。
ギターを背負って東の後を追おうとする九条。
まだ高校生ほどの少女が殺し合いに喜んで乗っている、とは考えづらい。
恐らく錯乱したか、恐怖で襲わざるを得なかったか。
そんな少女を保護してやらなければいけないと、どちらかと言うと善人の九条は考えていた。
あまり大人数で圧迫するように探索するのは良い手ではないだろう。
ギターを背負って東の後を追おうとする九条。
まだ高校生ほどの少女が殺し合いに喜んで乗っている、とは考えづらい。
恐らく錯乱したか、恐怖で襲わざるを得なかったか。
そんな少女を保護してやらなければいけないと、どちらかと言うと善人の九条は考えていた。
あまり大人数で圧迫するように探索するのは良い手ではないだろう。
「そうじゃ、若造。これを持って行け」
そんなところを、黒野に引きとめられた。
振り返ると、少し面白くなさそうな顔をした黒野が立っている。
その手には手のひらに収まる程度の大きさのスプレー缶が握られていた。
外見から中を察することはできないが、黒一色の缶はひどく物騒な印象を与える。
振り返ると、少し面白くなさそうな顔をした黒野が立っている。
その手には手のひらに収まる程度の大きさのスプレー缶が握られていた。
外見から中を察することはできないが、黒一色の缶はひどく物騒な印象を与える。
「うぉっと……こいつは?」
「催涙スプレーじゃ! ……どうも、貴様は傷つける相手を選びそうな性質じゃからの。
こいつなら死ぬことは絶対にない、安心して使うといい。
それじゃぁの! 生きてまた会おうではないか!」
「……はは、縁起が悪いことを言いますね」
「催涙スプレーじゃ! ……どうも、貴様は傷つける相手を選びそうな性質じゃからの。
こいつなら死ぬことは絶対にない、安心して使うといい。
それじゃぁの! 生きてまた会おうではないか!」
「……はは、縁起が悪いことを言いますね」
九条はおかしそうに笑いつつ、何処かに懐かしそうに目を細めてスプレー缶を受け取る。
何度か指先でスプレー缶を遊ばさせながら、黒野に軽く頭を下げる。
後ろ向くと東はとっくに少女を追って目の届かない場所へと行っていた。
何度か指先でスプレー缶を遊ばさせながら、黒野に軽く頭を下げる。
後ろ向くと東はとっくに少女を追って目の届かない場所へと行っていた。
深い息を吐いて、顔を引き締める。
懐かしさにやられそうだったが、ここで気を抜いては行かない。
こんなふざけた物は抜け出して、笑顔で帰る。
九条には待っている人が居るのだから。
懐かしさにやられそうだったが、ここで気を抜いては行かない。
こんなふざけた物は抜け出して、笑顔で帰る。
九条には待っている人が居るのだから。
そして、志を新たに一歩を踏み出した瞬間。
パンパンパン!
後方からタイヤがパンクしたかのような乾いた音が三つ響いた。
「……博、士?」
振り返ると、そこには一人の男が地面に突っ伏していた。
仰々しい黒いマントと、髪が覆いきれていない頭部。
九条の知る限り、最も死にそうでなく、殺しても殺せないような人間。
自称・悪の天才科学者――――黒野 鉄斎の姿がそこにあった。
仰々しい黒いマントと、髪が覆いきれていない頭部。
九条の知る限り、最も死にそうでなく、殺しても殺せないような人間。
自称・悪の天才科学者――――黒野 鉄斎の姿がそこにあった。
◆ ◆ ◆
東は走っていた。
少女を止めるために、二度とあんな悲しい思いはしないために。
絶え間なく痛みが襲いかかる身体で走っていた。
息が荒い、走ることがこんなに辛いのは初めてだった。
少女を止めるために、二度とあんな悲しい思いはしないために。
絶え間なく痛みが襲いかかる身体で走っていた。
息が荒い、走ることがこんなに辛いのは初めてだった。
「居た……!」
だが、その甲斐もあってか少女の姿を見つけることは比較的早く出来た。
安堵と警戒を同時に抱くという奇妙な経験をしながら、東は大声で少女へと
安堵と警戒を同時に抱くという奇妙な経験をしながら、東は大声で少女へと
「君!」
少女は止まらない、振り返り僅かに恐怖を覗かせる顔が見せただけだ。
怯えていると判断して、ようやく東はそこで自分が機関銃と言う凶器を持って走っていることに気づいた。
確かにこれを持って追ってくる男が居れば恐怖を感じるだろう。
これは捨てた方がいい、東は素早く地面へと機関銃を投げ捨てる。
怯えていると判断して、ようやく東はそこで自分が機関銃と言う凶器を持って走っていることに気づいた。
確かにこれを持って追ってくる男が居れば恐怖を感じるだろう。
これは捨てた方がいい、東は素早く地面へと機関銃を投げ捨てる。
「待ってくれ! 俺は君を殺すつもりなんてないんだ!」
「……!」
「ほら、機関銃も捨てた! 信じてくれ!」
「……!」
「ほら、機関銃も捨てた! 信じてくれ!」
殺しにきた少女に向かってこんなことを言うのは妙なことだと思いながら、東は叫び続ける。
あの怯えたように見えた眼から、少女は本気で殺し合いに乗っていない。
東は本気でそんな風に考えていた。
あの怯えたように見えた眼から、少女は本気で殺し合いに乗っていない。
東は本気でそんな風に考えていた。
「……ホント、ですか?」
「本当だ! だから……話をしてみないかい?」
「本当だ! だから……話をしてみないかい?」
東の顔と転がった機関銃を交互にちらちらと見ている。
それを何度も何度も繰り返した後、恐る恐る、しかし確かに東の方へと歩みよってくる。
その姿にほっと溜息をついて爽やかな笑顔を作る。
それを何度も何度も繰り返した後、恐る恐る、しかし確かに東の方へと歩みよってくる。
その姿にほっと溜息をついて爽やかな笑顔を作る。
「俺は東。君の名前は?」
「私の名前は……」
「名前、は?」
「私の名前は……」
「名前、は?」
東が優しく聞き返した瞬間、少女は姿を消し――――腹部に衝撃が走った。
膝が折れ、地面へと崩れ落ちる東。
何が起こったのか理解できない。
少女が消えたと思ったら、ヘソのあたりにしびれるような衝撃が走り、まるで金縛りにあったかのように身体の自由を失った。
ただ、疑問だけを顔に張り付けて、唯一自由の効く首を餌にがっつく鳩のように動かしている。
膝が折れ、地面へと崩れ落ちる東。
何が起こったのか理解できない。
少女が消えたと思ったら、ヘソのあたりにしびれるような衝撃が走り、まるで金縛りにあったかのように身体の自由を失った。
ただ、疑問だけを顔に張り付けて、唯一自由の効く首を餌にがっつく鳩のように動かしている。
「……ッハ」
「?」
「ハッハハハッハハ!」
「?」
「ハッハハハッハハ!」
おかしそうに笑いを上げる少女。
その手には黒い髭剃りのようなものが握られている。
髭剃りと違うと言う点と言えば、先端の両端に短すぎる棒のようなものがつけられ、びちびちと水が沸騰しているような音を出している。
そこで、東にもようやく茜が攻撃を仕掛けてきたということに気づく。
その手には黒い髭剃りのようなものが握られている。
髭剃りと違うと言う点と言えば、先端の両端に短すぎる棒のようなものがつけられ、びちびちと水が沸騰しているような音を出している。
そこで、東にもようやく茜が攻撃を仕掛けてきたということに気づく。
東には知る余地もないが茜は『アップテンポ電波』で瞬発力を上げ、手に持ったスタンガンを出力全開で東へと押しつけたのだ。
当然、身構えもしていなければ、特別な装備もしてない。
当然、身構えもしていなければ、特別な装備もしてない。
だから、東はここまで。
今の茜に機関銃はない、迷うことなく追い討ちをかけてくる。
と言っても殴りかかったわけでも踏みつけてきたわけでもない。
優しく触れてきただけ。
ただ、それがスタンガンで、出力は最大で、場所が首筋なだけ。
今度のスタンガンによる攻撃が奪ったのは東の体の自由だけでなく、意識も失った。
今の茜に機関銃はない、迷うことなく追い討ちをかけてくる。
と言っても殴りかかったわけでも踏みつけてきたわけでもない。
優しく触れてきただけ。
ただ、それがスタンガンで、出力は最大で、場所が首筋なだけ。
今度のスタンガンによる攻撃が奪ったのは東の体の自由だけでなく、意識も失った。
◆ ◆ ◆
寝転がった東を眺めながら、茜はどうするかをしばらく考え込むように上を向いた。
軽く考えて思いついた方法は二つ、スタンガンを当て続けるか、機関銃を使って殺しきるか。
機関銃は音が響く。仲間が来てまたあんなことになるのは避けて置きたい。
軽く考えて思いついた方法は二つ、スタンガンを当て続けるか、機関銃を使って殺しきるか。
機関銃は音が響く。仲間が来てまたあんなことになるのは避けて置きたい。
そこで、東の腰の部分についたベルトに目が行った。
その瞬間、茜の頭にピンとアイディアが来た。
思えば、東には借りがあった。
まだ右手がビリビリとしびれている、この借りは返さなければいけない。
となると、なるべく苦しい死に方だ。
茜は素早く東のベルトを抜き取り、その長さを確認するように手を滑らせる。
十二分に首を絞めれる、それを確信すると茜はにんまりと顔をゆがめた。
その瞬間、茜の頭にピンとアイディアが来た。
思えば、東には借りがあった。
まだ右手がビリビリとしびれている、この借りは返さなければいけない。
となると、なるべく苦しい死に方だ。
茜は素早く東のベルトを抜き取り、その長さを確認するように手を滑らせる。
十二分に首を絞めれる、それを確信すると茜はにんまりと顔をゆがめた。
「では……」
地面に転がる東へと跨り、ベルトをゆっくりと首の下へと潜り込ます。
そして、潜り込ませたベルトの両端を掴み取りサイズを合わせる様にベルトを巻いていく。
ゆっくりと、甚振るようにじりじりと締めていく。
留め金がうなじについた時、ようやく思いっきり引っ張りこむ。
すると、東の身体は眠っているはずなのに非常に面白いことになった。
そして、潜り込ませたベルトの両端を掴み取りサイズを合わせる様にベルトを巻いていく。
ゆっくりと、甚振るようにじりじりと締めていく。
留め金がうなじについた時、ようやく思いっきり引っ張りこむ。
すると、東の身体は眠っているはずなのに非常に面白いことになった。
口内から唇が突き出され、瞼から眼球が今にも飛び出そうなほど目を見開いている。
涎も吹き出し、目からは涙、鼻からも液体、匂いが急激にきつくなったことから尿も出たのだろう。
涎も吹き出し、目からは涙、鼻からも液体、匂いが急激にきつくなったことから尿も出たのだろう。
「……汚い」
茜はまるで下世話なテレビの内容への非難のような気軽さで吐き捨てる様に呟く。
ここまで追い込むと、身体が勝手に再び暴れられては困る。
茜は再びスタンガンを首筋へと押し付ける。
ただし、今回は出力を弱めて、体の自由をなくす程度の電流で。
ここまで追い込むと、身体が勝手に再び暴れられては困る。
茜は再びスタンガンを首筋へと押し付ける。
ただし、今回は出力を弱めて、体の自由をなくす程度の電流で。
これを何度も繰り返す。
茜の弱い腕力で締め落とし、暴れる気配を見せればスタンガンを当てる。
何度も、何度も、何度も、何度も、繰り返す。
それを幾度繰り返したのだろうか。
覚えてきた感覚と違う感覚が来たとき、茜は頬をゆがめた。
茜の弱い腕力で締め落とし、暴れる気配を見せればスタンガンを当てる。
何度も、何度も、何度も、何度も、繰り返す。
それを幾度繰り返したのだろうか。
覚えてきた感覚と違う感覚が来たとき、茜は頬をゆがめた。
――――落ちた。
それを確認すると、念には念を、と言わんばかりに最大出力のスタンガンを突き付ける。
念入りに、首と左胸に当てる。
そこまでやってようやく死を確信し、茜は機関銃を取りに戻った。
念入りに、首と左胸に当てる。
そこまでやってようやく死を確信し、茜は機関銃を取りに戻った。
【東 優@パワプロクンポケット7 死亡】
【残り39人】
【残り39人】
◆ ◆ ◆
そこに居たのは一人の男だった。
濃い青のスーツとサングラスが特徴的な男。
両腕に銃を持ち、腰にベルトで日本刀を固定しているひどく物騒な姿だ。
背中にもデイパック以外の何かを背負っているようにも見えるが、イマイチよく分からない。
男は再び淡々とした動作で銃に再び手をかける。
濃い青のスーツとサングラスが特徴的な男。
両腕に銃を持ち、腰にベルトで日本刀を固定しているひどく物騒な姿だ。
背中にもデイパック以外の何かを背負っているようにも見えるが、イマイチよく分からない。
男は再び淡々とした動作で銃に再び手をかける。
「お前ぇ!!」
パン! パン! パン!
九条の怒りの声を無視して銃声が三発、ひどく簡単に、迷いもなく、無表情に銃を撃ってくる。
その姿で確信したこの男は殺しに慣れている。
恐怖で歪んだわけでもなんでもない、この男は自分の意志で狂うことなく人を殺している。
素早く物陰へと隠れて、姿の見えない男へと向けてロケット弾を取り出す。
ここが平地でなくてよかったと心から思う、もしも隠れる場所がなければさっきの
その姿で確信したこの男は殺しに慣れている。
恐怖で歪んだわけでもなんでもない、この男は自分の意志で狂うことなく人を殺している。
素早く物陰へと隠れて、姿の見えない男へと向けてロケット弾を取り出す。
ここが平地でなくてよかったと心から思う、もしも隠れる場所がなければさっきの
ここで退くわけにも九条もいかなかった。
あの男は危険だ、ここで排除して置いておく必要がある。
それにロケット弾と言っても物陰越し、死ぬことはない……だろう。
かなりの重傷を負うだろうが、死にはしない。
そのことが九条に躊躇いなく引き金を引かせた。
あの男は危険だ、ここで排除して置いておく必要がある。
それにロケット弾と言っても物陰越し、死ぬことはない……だろう。
かなりの重傷を負うだろうが、死にはしない。
そのことが九条に躊躇いなく引き金を引かせた。
――――――――!!!!!
その瞬間、轟音とともに男の居た場所に火の手が上がった。
まるで引き金を引くことでそこに仕掛けられた爆弾が作動したのかと勘違いする程の速さ。
それでいて固定されたバズーカ砲からの衝撃は思ったより幾分も軽いものだった。
まるで引き金を引くことでそこに仕掛けられた爆弾が作動したのかと勘違いする程の速さ。
それでいて固定されたバズーカ砲からの衝撃は思ったより幾分も軽いものだった。
「……すご――りょ――、―れ」
あまりの威力に驚きの声を上げてしまう。
だが、その声も九条自身は聞き取れなかった。
轟音が響いた所為か、耳が馬鹿になっているのだろう。
しかし、これほどの威力ならば殺してしまったかも知れない、そう考えると妙な恐怖心を覚える。
バズーカ砲をポイと捨てて、ゆっくりとした足取りで近づく。
一発切りのロケット弾をここで使うのは早計だったかもしれない。
激昂した所為か、正常な思考を失っていた。
少し反省していると、耳も回復してきた。
だが、その声も九条自身は聞き取れなかった。
轟音が響いた所為か、耳が馬鹿になっているのだろう。
しかし、これほどの威力ならば殺してしまったかも知れない、そう考えると妙な恐怖心を覚える。
バズーカ砲をポイと捨てて、ゆっくりとした足取りで近づく。
一発切りのロケット弾をここで使うのは早計だったかもしれない。
激昂した所為か、正常な思考を失っていた。
少し反省していると、耳も回復してきた。
ゆっくりとその音を追い空を眺めると、目を疑った。
「……なっ!?」
そこに映ったのは宙に浮いた男だった。
いや、宙に浮いた、という表現では甘いかもしれない。
それは空を飛んでいる男。そう、男は空を飛んでいるのだ。
背中に身につけた小型のロケットのような機械。
アレを使って、男は飛んでいるのだ
あまりの突飛な出来事に何の反応も出来なかった。
男が空から降りながら、棒のような何かを振りかぶる。
恐らく銃、黒野を殺し九条へと向けて撃ってきたものだろう。
それを思いっきり振り下ろしてくるのをまるで他人事のように見ていた。
いや、宙に浮いた、という表現では甘いかもしれない。
それは空を飛んでいる男。そう、男は空を飛んでいるのだ。
背中に身につけた小型のロケットのような機械。
アレを使って、男は飛んでいるのだ
あまりの突飛な出来事に何の反応も出来なかった。
男が空から降りながら、棒のような何かを振りかぶる。
恐らく銃、黒野を殺し九条へと向けて撃ってきたものだろう。
それを思いっきり振り下ろしてくるのをまるで他人事のように見ていた。
「がぁ……!?」
僅かに遅れて事の恐ろしさに気づき、倒れこむように男の落下点から外れる。
結果、銃による撲殺は防がれたが追撃するように蹴りを入れられる。
容赦のないそれだけで人を殺す気なのではないかと思えるほど鋭い蹴り。
内臓の奥の奥に響くような蹴りだ。
結果、銃による撲殺は防がれたが追撃するように蹴りを入れられる。
容赦のないそれだけで人を殺す気なのではないかと思えるほど鋭い蹴り。
内臓の奥の奥に響くような蹴りだ。
「……」
男は一切の躊躇いもなく追撃をかけてくる。
ただ、今度は蹴りなんて甘いものではない。
腰に差した刀を素早く抜き取り、切りかかってくる。
ただ、今度は蹴りなんて甘いものではない。
腰に差した刀を素早く抜き取り、切りかかってくる。
「くぅ……!」
痛む体に鞭をうち、なんとかその凶刃から逃れるために身を捻る。
既に動けないと判断していたのか、男の刀は空を切りなんとか一命を取り留めることに成功した。
だが、男はそれでは終わらない。
九条をサッカーボールだと勘違いしているのではと思うような気軽さで蹴りつけてくる。
再び腹部を襲ってくる鈍い鋭い痛み、吐瀉物をまき散らしながら必死に立ち上がる。
ここで引くわけにはいかない、九条はがむしゃらにギターを振り回した。
通常の人間よりも鍛えられた九条が振るうギターは風切り音が聞こえるほどの鋭いもの。
仕込み武器を警戒したのか、今度は男が距離を取り直す。
既に動けないと判断していたのか、男の刀は空を切りなんとか一命を取り留めることに成功した。
だが、男はそれでは終わらない。
九条をサッカーボールだと勘違いしているのではと思うような気軽さで蹴りつけてくる。
再び腹部を襲ってくる鈍い鋭い痛み、吐瀉物をまき散らしながら必死に立ち上がる。
ここで引くわけにはいかない、九条はがむしゃらにギターを振り回した。
通常の人間よりも鍛えられた九条が振るうギターは風切り音が聞こえるほどの鋭いもの。
仕込み武器を警戒したのか、今度は男が距離を取り直す。
その隙に懐へと手を伸ばし、九条の最後の武器を取り出す。
サングラスの男も九条が何かを取り出したのに気づき、素早く距離を詰めようとする。
だが、少し遅い。
九条はその兵器を取り出し、男へと向かって投げつけた。
それはスタングレネード、音と光で相手を麻痺させる兵器。
耳をふさぎ、情けなく灰原に背を向け、それを起動させる。
サングラスの男も九条が何かを取り出したのに気づき、素早く距離を詰めようとする。
だが、少し遅い。
九条はその兵器を取り出し、男へと向かって投げつけた。
それはスタングレネード、音と光で相手を麻痺させる兵器。
耳をふさぎ、情けなく灰原に背を向け、それを起動させる。
それは、まるで孔雀が畳んだ羽を広げるように、空中へと一瞬で広がっていく。
範囲はそれほど広くはない、多めに見積もっても五メートルあるかないかだろう。
範囲はそれほど広くはない、多めに見積もっても五メートルあるかないかだろう。
しかし、灰原のサングラス越しにも僅かに効果があったらしく、僅かにだが光を嫌う吸血鬼のように前かがみになる。
イタチの最後っ屁と言われるかも知れない。だがしかし、僅かな間で十分だった。
ボロボロになったギターを杖代わりにして体勢を保ち、通さないと言わんばかりに歯を食いしばって睨みつける。
これでようやく同じ状態。
立っているのも辛い今の状態で、この踊る様な自然さで人を傷つけてくる男にようやく並べたのだ。
だが、それもわずかな間。
イタチの最後っ屁と言われるかも知れない。だがしかし、僅かな間で十分だった。
ボロボロになったギターを杖代わりにして体勢を保ち、通さないと言わんばかりに歯を食いしばって睨みつける。
これでようやく同じ状態。
立っているのも辛い今の状態で、この踊る様な自然さで人を傷つけてくる男にようやく並べたのだ。
だが、それもわずかな間。
だからと言って逃げるわけにもいかない。
ここで逃げ出すと、この男は間違いなく病院へと向かい生き残った五人と東を殺す。
ここで逃げ出すと、この男は間違いなく病院へと向かい生き残った五人と東を殺す。
「……っ!」
歯を強くかみしめてギターを振りかぶる。
男は逃げて行った黒野達を追うことを諦めたのか、悠然とした態度で刀を構えている。
先ほどのような隠された武器を警戒しているのかもしれない。
生憎だがそんなものは持っていない。
文字通り残されたのはギターだけ。
かつての相棒、今は仲違いをして袂を分かった男、椿の物だ。
おかしな縁だが、悪い気分ではない。
男は逃げて行った黒野達を追うことを諦めたのか、悠然とした態度で刀を構えている。
先ほどのような隠された武器を警戒しているのかもしれない。
生憎だがそんなものは持っていない。
文字通り残されたのはギターだけ。
かつての相棒、今は仲違いをして袂を分かった男、椿の物だ。
おかしな縁だが、悪い気分ではない。
「……」
サングラスの男は身じろぎすらせずに九条を見据えている。
スタングレネードを食らったと言うのに、それを感じさせない不気味な男。
男よりも距離の離れていた九条ですら、頭がガンガンと鳴り響き、世界がチカチカと火花を散らしていると言うのに。
不気味だ、人間味がない。
もしかしてこの男は本当に化け物なのかもしれない、そんな考えが九条の頭に過る。
スタングレネードを食らったと言うのに、それを感じさせない不気味な男。
男よりも距離の離れていた九条ですら、頭がガンガンと鳴り響き、世界がチカチカと火花を散らしていると言うのに。
不気味だ、人間味がない。
もしかしてこの男は本当に化け物なのかもしれない、そんな考えが九条の頭に過る。
男の構える刀の透きとおった刀身は陽の光を反射し、艶美に輝いている。
そして磨かれた鏡のような刀身とは対照的に、男のサングラスは一切の光を通さずに奥に眠る瞳を露にしない。
そして磨かれた鏡のような刀身とは対照的に、男のサングラスは一切の光を通さずに奥に眠る瞳を露にしない。
サングラスの男が刀を正眼に構える。九条がギターを身体の前へと翳すように突き出す。
お互いが武器を構え合った状態での膠着は、一瞬だった。
九条が一歩踏み出す。男が刀を担ぐような構えに構え直す。
九条の狙いはギターをバットのように使い、男のこめかみへと叩き落とすこと。
リーチを考える必要はない。正確に言うならば、そんな暇はない。
お互いが武器を構え合った状態での膠着は、一瞬だった。
九条が一歩踏み出す。男が刀を担ぐような構えに構え直す。
九条の狙いはギターをバットのように使い、男のこめかみへと叩き落とすこと。
リーチを考える必要はない。正確に言うならば、そんな暇はない。
サングラスの男のスピードは異常の一言だった。
九条が先に一歩踏み出したはずなのに、男はいつの間にか懐に居る。
次に見えたのは銀色に淡く輝く鋭い何か、それは直線で喉へと向かってくるためか刀だと認識はできなかった。
首筋に鋭い痛みが走る。
喉を切られた。喉を貫かれた、ではなく、喉を切られた。
まばゆく輝く刀身を九条の喉に触れ合わせてから引き抜いたのだ。
だが、まだ動ける。
九条は自らを鼓舞し歯を強く噛みしめて脚を踏み出す。
九条が先に一歩踏み出したはずなのに、男はいつの間にか懐に居る。
次に見えたのは銀色に淡く輝く鋭い何か、それは直線で喉へと向かってくるためか刀だと認識はできなかった。
首筋に鋭い痛みが走る。
喉を切られた。喉を貫かれた、ではなく、喉を切られた。
まばゆく輝く刀身を九条の喉に触れ合わせてから引き抜いたのだ。
だが、まだ動ける。
九条は自らを鼓舞し歯を強く噛みしめて脚を踏み出す。
ギターを右腕一本で振うが、それ自体は簡単に避けられる。
それでいい、スウェーをするように逃げさすのが元々の九条の狙いなのだから。
それでいい、スウェーをするように逃げさすのが元々の九条の狙いなのだから。
(……こいつも連れて行く!)
左腕の裾に隠していた銃剣を取り出す。
朦朧とした頭と、ゆらゆらと揺れる視界だがこの距離なら外さない。
左腕を伸ばし、奴の腹へと思いっきり突き刺す。
朦朧とした頭と、ゆらゆらと揺れる視界だがこの距離なら外さない。
左腕を伸ばし、奴の腹へと思いっきり突き刺す。
「なっ……!?」
「……腹は急所だ、装甲で覆っている。銃剣程度では第三世代の装甲は貫けん。
ましてや、ただの人間の膂力ではな」
「……腹は急所だ、装甲で覆っている。銃剣程度では第三世代の装甲は貫けん。
ましてや、ただの人間の膂力ではな」
九条の左手首に手刀を落として銃剣を落とす。
だが、そんなことに意味はない。
九条は既に虫の息だ、なにせ喉を貫かれたのだから。
痛みによるショック死をしなかったのは、この男を止めるという意志のため。
しかし、それも失敗に終わった。
九条を立たせる理由はここで消えたのだ。
だから、銃剣を持たせていても何の危険もない。
それでも左手首に手刀を下したのは灰原の機械のような冷静さによるものだ。
だが、そんなことに意味はない。
九条は既に虫の息だ、なにせ喉を貫かれたのだから。
痛みによるショック死をしなかったのは、この男を止めるという意志のため。
しかし、それも失敗に終わった。
九条を立たせる理由はここで消えたのだ。
だから、銃剣を持たせていても何の危険もない。
それでも左手首に手刀を下したのは灰原の機械のような冷静さによるものだ。
「ちく……しょう………!」
その名にヒーローという単語を持った男の最後の言葉は、怨嗟の言葉だった。
目の前に居る男に届かなかったことに対する悲しみ、むざむざと黒野を殺させてしまったことに対する苦しみ。
そして、男を止めることすらできなかった無力極まりない自分への怒り。
だが、様々な感情を持った怨嗟の言葉はサングラスをつけた冷たい男には届かない。
男は笑わない、涙を流さない、苦しまない。
なぜなら彼はアンドロイド、命を持っただけの人形だから。
目の前に居る男に届かなかったことに対する悲しみ、むざむざと黒野を殺させてしまったことに対する苦しみ。
そして、男を止めることすらできなかった無力極まりない自分への怒り。
だが、様々な感情を持った怨嗟の言葉はサングラスをつけた冷たい男には届かない。
男は笑わない、涙を流さない、苦しまない。
なぜなら彼はアンドロイド、命を持っただけの人形だから。
こうして、ロマンを声高に語るドンキホーテは声の届かないコッペリアに殺させた。
結局、彼はヒーローではなかったのだ。
全てを救い、皆を笑顔にし、悪人すら改心させる。
そんな、子供の憧れではなかった。
彼はただの夢追い人。
過去も未来も関係ない、ここに居る彼は、ただの夢追い人だった。
結局、彼はヒーローではなかったのだ。
全てを救い、皆を笑顔にし、悪人すら改心させる。
そんな、子供の憧れではなかった。
彼はただの夢追い人。
過去も未来も関係ない、ここに居る彼は、ただの夢追い人だった。
【黒野 鉄斎@パワプロクンポケット8 死亡】
【九条 英雄@パワプロクンポケット9 死亡】
【残り37人】
【九条 英雄@パワプロクンポケット9 死亡】
【残り37人】
【F-6/一日目/午前】
【荒井紀香@パワプロクンポケット2】
[状態]:全身のところどころに軽い火傷、体力消耗(小)
[装備]:なし
[参戦時期]:紀香ルート・2年目クリスマス
[道具]:支給品一式、野球人形
[思考]基本:二朱くんに会う。
1:目の前の女(智美)についていく。
2:二朱君との愛の営みを邪魔するひとは容赦しないです。
3:あの女(夏目准)が二朱君を手にかけていたら仇をとる。
[備考]
※第一回放送に気付いていません。
【荒井紀香@パワプロクンポケット2】
[状態]:全身のところどころに軽い火傷、体力消耗(小)
[装備]:なし
[参戦時期]:紀香ルート・2年目クリスマス
[道具]:支給品一式、野球人形
[思考]基本:二朱くんに会う。
1:目の前の女(智美)についていく。
2:二朱君との愛の営みを邪魔するひとは容赦しないです。
3:あの女(夏目准)が二朱君を手にかけていたら仇をとる。
[備考]
※第一回放送に気付いていません。
【神条紫杏@パワプロクンポケット10】
[状態]:健康
[装備]:コルトガバメント(6/7)
[道具]:支給品一式、詳細名簿、ノートパソコン(バッテリー消耗小)、駄菓子数個
[思考]基本:どのようにも動ける様にする。
1:平山の言葉を伝える。
2:病院へと向かう。
3:出来ることならカズと朱里、十波には死んでほしくない。が、必要とあらば……
[備考]
※この殺し合いをジャジメントによる自分に対する訓練か何かだと勘違いしています
※芳槻さらを危険人物と認識しました。
※島岡の荷物は、島岡を殺害した者に持ち去られただろうと判断しました。
※小波走太一行とは情報交換を行っていません。
[状態]:健康
[装備]:コルトガバメント(6/7)
[道具]:支給品一式、詳細名簿、ノートパソコン(バッテリー消耗小)、駄菓子数個
[思考]基本:どのようにも動ける様にする。
1:平山の言葉を伝える。
2:病院へと向かう。
3:出来ることならカズと朱里、十波には死んでほしくない。が、必要とあらば……
[備考]
※この殺し合いをジャジメントによる自分に対する訓練か何かだと勘違いしています
※芳槻さらを危険人物と認識しました。
※島岡の荷物は、島岡を殺害した者に持ち去られただろうと判断しました。
※小波走太一行とは情報交換を行っていません。
【ほるひす@パワプロクンポケット6表】
[状態]:表面が焦げてる、悲しみ?
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1
[思考]基本:ころさないし、ひともまもるよ。
1:こうし……ひらやま……
2:びょーいんへむかう。
[状態]:表面が焦げてる、悲しみ?
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1
[思考]基本:ころさないし、ひともまもるよ。
1:こうし……ひらやま……
2:びょーいんへむかう。
【凡田大介@パワプロクンポケット2】
[状態]:全身に打撲
[装備]:お守り
[道具]:支給品一式、鍵
[思考・状況]基本:ガンダーロボを救出したい
1:ホテルに向かいながら仲間を集める。
2:基本人殺しはしたくない。
3:九条を信頼。
4:チームメイトにH亀田がいる
[備考]
※七原、真央、走太と軽い情報交換をしました。
[状態]:全身に打撲
[装備]:お守り
[道具]:支給品一式、鍵
[思考・状況]基本:ガンダーロボを救出したい
1:ホテルに向かいながら仲間を集める。
2:基本人殺しはしたくない。
3:九条を信頼。
4:チームメイトにH亀田がいる
[備考]
※七原、真央、走太と軽い情報交換をしました。
【四路智美@パワプロクンポケット3】
[状態]:嫌な汗が背中に伝わっている。
[装備]:拳銃(ジュニア・コルト)
[道具]:支給品一式、ダイナマイト5本
[思考・状況]基本:二度と三橋くんを死なさない。
1:しばらくは情報集めと人を集め。
2:十波典明の言葉を丸っきり信用するわけではないが、一応警戒。
3:第三放送までにはホテルPAWAに集まる人をどうするか方針を決めたい。
4:亀田の変貌に疑問?
[備考]
※メカ亀田を危険人物を判断しました。
※ピンクのパーカーを着た少女を危険人物と判断、作業着を着た少女を警戒。
※探知機は呪いの人形に壊されました。
[状態]:嫌な汗が背中に伝わっている。
[装備]:拳銃(ジュニア・コルト)
[道具]:支給品一式、ダイナマイト5本
[思考・状況]基本:二度と三橋くんを死なさない。
1:しばらくは情報集めと人を集め。
2:十波典明の言葉を丸っきり信用するわけではないが、一応警戒。
3:第三放送までにはホテルPAWAに集まる人をどうするか方針を決めたい。
4:亀田の変貌に疑問?
[備考]
※メカ亀田を危険人物を判断しました。
※ピンクのパーカーを着た少女を危険人物と判断、作業着を着た少女を警戒。
※探知機は呪いの人形に壊されました。
※五人は九条と東、黒野に何があったのかは気づいていません。
◆ ◆ ◆
―――――このままではいけない。
もう日も高く昇り始めたというのに、まだ茜は三人(一人はロボットだったが)しか殺せていない。
こんなのでは『お兄ちゃん』に見捨てられる。
嫌だ、それだけは絶対に嫌だ。
お姉ちゃんだけでなくお兄ちゃんにまで見捨てられたら茜は生きていけない。
それは誇張でもなんでもない。
誰も居ない世界に生きている価値なんてない、『お兄ちゃん』の人形にすらなれない『妹』に価値なんて存在しない。
こんなのでは『お兄ちゃん』に見捨てられる。
嫌だ、それだけは絶対に嫌だ。
お姉ちゃんだけでなくお兄ちゃんにまで見捨てられたら茜は生きていけない。
それは誇張でもなんでもない。
誰も居ない世界に生きている価値なんてない、『お兄ちゃん』の人形にすらなれない『妹』に価値なんて存在しない。
まるで寒さをしのぐように両手で身体を抱きしめる。
震えが止まらない。
死ぬのなんて怖くない、お兄ちゃんとお姉ちゃんに出会うまでは死んでいたようなものだ。
だから、だからこそ、お兄ちゃんとお姉ちゃんに見捨てられるのが怖い。
震えが止まらない。
死ぬのなんて怖くない、お兄ちゃんとお姉ちゃんに出会うまでは死んでいたようなものだ。
だから、だからこそ、お兄ちゃんとお姉ちゃんに見捨てられるのが怖い。
震えが治まったのは一時間も経った時のことだった。
「……さ、行きます!」
無理に明るい声を出して、歩き始める。
彼女は別に殺しに嫌悪も抱いていなければ、死を恐れてもいない。
ただ、依存できなくなることだけが怖かった。
彼女は別に殺しに嫌悪も抱いていなければ、死を恐れてもいない。
ただ、依存できなくなることだけが怖かった。
【F-7/一日目/午前】
【高坂 茜@パワプロクンポケット8】
[状態]:幸せ、早く殺したい、右手首打撲
[装備]:機関銃、冬子のスタンガン@パワプロクンポケット8
[道具]:支給品一式、アップテンポ電波、予備弾セット(各種弾薬百発ずつ)
[思考・状況]基本:みんな殺して幸せな家庭を取り戻す。
1:人を殺すために人の居るところへと向かう。
【高坂 茜@パワプロクンポケット8】
[状態]:幸せ、早く殺したい、右手首打撲
[装備]:機関銃、冬子のスタンガン@パワプロクンポケット8
[道具]:支給品一式、アップテンポ電波、予備弾セット(各種弾薬百発ずつ)
[思考・状況]基本:みんな殺して幸せな家庭を取り戻す。
1:人を殺すために人の居るところへと向かう。
【冬子のスタンガン@パワプロクンポケット8】
彼女候補キャラの一人、雪白 冬子が護身用に所持していたスタンガン。
違法サイボーグの動きを止める程度の威力がある。
彼女候補キャラの一人、雪白 冬子が護身用に所持していたスタンガン。
違法サイボーグの動きを止める程度の威力がある。
◆ ◆ ◆
灰原はパーカーを着た少女が橋を渡る姿を、刀についた血を拭いながら眺めていた。
あの少女は殺し合いを積極的に進めている。
体格には恵まれていないが支給品にはこの上なく恵まれている。
使える、灰原は瞬時にそう判断した。
先ほどのように、少女が取りこぼした人間を殺していけばいい。
一時間もの時間を潰したのも悪くない。
あの五人組は病院に向かっていた、そこに少女が向かえば一網打尽に出来るだろう。
あの少女は殺し合いを積極的に進めている。
体格には恵まれていないが支給品にはこの上なく恵まれている。
使える、灰原は瞬時にそう判断した。
先ほどのように、少女が取りこぼした人間を殺していけばいい。
一時間もの時間を潰したのも悪くない。
あの五人組は病院に向かっていた、そこに少女が向かえば一網打尽に出来るだろう。
「……」
灰原は何も喋らずに、じっと少女を観察する。
少し不用心だ、あんな大声を出して動くなど利になる行動ではない。
だが、少女が未だに殺しに積極的なのは朗報だ。
自分で動かずに他の人間を利用するのが利口なやり方と言う物。
少し不用心だ、あんな大声を出して動くなど利になる行動ではない。
だが、少女が未だに殺しに積極的なのは朗報だ。
自分で動かずに他の人間を利用するのが利口なやり方と言う物。
「……」
正宗が太陽の光を反射する。
灰原は何も口に出さず、ただ少女の追跡を始めた。
後ろに残る三つの死体になんの感慨も示さず、ただ動き始めた。
灰原は何も口に出さず、ただ少女の追跡を始めた。
後ろに残る三つの死体になんの感慨も示さず、ただ動き始めた。
【F-7/一日目/午前】
【灰原@パワプロクンポケット8】
[状態]:健康
[装備]:正宗、銃剣
[道具]:支給品一式、ムチ、とぶやつ(エネルギー切れ)、ボールオヤジ、催涙スプレー@現実
[思考]基本:優勝し、亀田の持つ技術をオオガミグループへと持ち帰る。
1:茜の後を追う形で動き、極力無駄な動きを避ける。
2:見敵必殺、ただし相手が複数いる場合など確実に殺せないと判断した時は見逃す。
3:白瀬に指示を与えたい。
4:喋るボール(ボールオヤジ)を持ち帰る。
【灰原@パワプロクンポケット8】
[状態]:健康
[装備]:正宗、銃剣
[道具]:支給品一式、ムチ、とぶやつ(エネルギー切れ)、ボールオヤジ、催涙スプレー@現実
[思考]基本:優勝し、亀田の持つ技術をオオガミグループへと持ち帰る。
1:茜の後を追う形で動き、極力無駄な動きを避ける。
2:見敵必殺、ただし相手が複数いる場合など確実に殺せないと判断した時は見逃す。
3:白瀬に指示を与えたい。
4:喋るボール(ボールオヤジ)を持ち帰る。
【催涙スプレー@現実】
かけられると、辛いです。
かけられると、辛いです。
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| 066:焦燥 | 東優 | GAME OVER |
| 071:嫉みと妬み | 荒井紀香 | 084:砂の城 |
| 058:再会、そして再出発 | 九条英雄 | GAME OVER |
| 061:野望と忠誠のすれ違い | 黒野鉄斎 | GAME OVER |
| 066:焦燥 | 神条紫杏 | 084:砂の城 |
| 043:ニンゲン ノ テイギ | 高坂茜 | 091:交錯 |
| 061:野望と忠誠のすれ違い | 灰原 | 091:交錯 |
| 066:焦燥 | ほるひす | 084:砂の城 |
| 058:再会、そして再出発 | 凡田大介 | 084:砂の城 |
| 071:嫉みと妬み | 四路智美 | 084:砂の城 |