▷Step2.照明

Last modified:2024-11-19

+ ※編集メモ
○真横照明追加(左右2つとも
○デスクライトのとこ点光源と面光源
○ペンスピ魂デスクライト
  • くっきり画質のとこにsharkと飛雲客実例追加。
  • 真横照明じゃなくて左横照明、右横照明に改名するか
  • 影ラインのコラム全体的に推敲
  • ライン作りのjsなんか挙動おかしいから書き直す




照明の役割


照明と手の崩れやすさは密接に関係している。

環境作りはただ光量さえあればいいというのではなく、
どの位置からどの強さで光を当てるか?という照明の配置が重要になる。

環境論では照明の配置を理解しやすくするため、
全ての照明を大きく以下の2つの役割に分けて考える。

メイン照明 主に影を作る役割を担う照明。
影を作るのは最も明るい照明であるため基本はこれがメイン照明になる。
特性上デスクライトがメイン照明になる場合が最も多いが、
明るさのバランスによっては、デスクライトでなく
部屋の照明窓から差し込む光がメイン照明になる例も当然存在する。
サブ照明 主に影を散らす役割を担う照明。
光を散らす役割上、発光面積は広い必要がある。
そのため、初めから発光面積の広い部屋の照明がサブに適している。
デスクライトをサブ照明として使う場合には紙などを巻いて光を分散させる事もある。

この考え方は「影のライン作り」で重要になるため確実に覚えておきたい。


(3点照明)
写真や映像の業界では、3点照明というライティングテクニックが存在する。
キーライトが影を作る照明、フィルライトが影を散らす照明となる。
なおバックライト(輪郭を作る光)はペン回しで使用されることは少ない。


+ ※なぜサブ照明が必要になるのか?

▶サブ照明の必要性について

発光面積が狭くて強い光(メイン照明)を当てると陰影が濃くなり過ぎてしまい、
ライティングの雰囲気として汚い印象を与えてしまうことがある。

そのためサブ照明でこの陰影を薄める、つまり光を散らし影を分散させる必要が出てくるのである。
またサブ照明が付いていても、メイン照明に対して光量が弱すぎるとサブとして機能しない事がある。
大事なのはサブとメインの光量のバランスである

(Mix)
画像は左がデスクライトのみ、右が部屋の照明とデスクライトを並用した例である。
左は陰影が濃く暗い雰囲気が強まっている。


(Ðark_Ant)
サブとメインのバランスを欠いた例。
陰影があまりに濃いため動画全体のコントラストが高く、暗く汚れた印象が強まっている。

▶補足
陰影を用いて雰囲気を演出する方法もあるため、この方法自体は悪手ではない。
実際に効果的に用いている例(SangkmやCheuKii、Nagi等)もあるため、
基本的には雰囲気や状況に合わせた調整が重要になる。




照明選び


照明なくして環境作りは始まらない。
ここではペン回しの撮影環境における照明の選び方について解説する。


照明の種類


照明を購入する前に、照明の種類について確認する。
発光面積や色温度といった点から照明の種類はとても重要になる。


▶主な照明の種類
昼光色 少し青っぽいのが特長。
時期的にコリアンもこのタイプの照明を使っていたはずなので、
照明の種類はこれを選ぶのが一番。
昼白色 自然な色合い(日光に近い)の照明。
カメラを通すと少しオレンジっぽくなって雰囲気作りが難しくなる。
電球色 オレンジっぽい色の照明。
ペン回しには合わないので読書の時にでも使いましょう。
LED 色温度は種類によって異なる。
LED照明の色は人工的に作られたもので不自然なことが多い。(演色性(CRI)に問題がある
発光面も狭く無駄に明るいので、現時点でLEDは買わないのが吉。
(最近は演色性も改善されており、品質の高いものはそれなりに使えるかも…?
日光 照明と言う言葉とはイメージが合わないかもしれないが、環境論では日光も照明の一つとして扱う。
天気や時間帯によって色温度や明るさが異なるため日光を用いるのは難しいが、
使いこなせば電気照明では出せないような雰囲気を出すことが出来る。


(照明と色温度)
昼光色が昔ながらの蛍光灯、昼白色は2000年代以降主流になった蛍光灯となる。
基本的にペン回しでは昼光色が自然な色味に仕上がりやすい。


照明を購入する際には、とりあえず昼光色のものを選べば
色温度について失敗することはないだろう。




デスクライト


デスクライトは場合によって使わない事もあるが、
光の微調整が可能になるため最低でも1つは持っておきたい。

ライトの形状には電球タイプ横長タイプの2つ存在するが、
それぞれで発光面積が異なるため光の印象が大きく変化する。

横長タイプ 発光面積が広いことから、基本はこちらを選ぶのがいいとされる。
影を分散させやすく、影のグラデーションが作りやすいといったメリットがある。
またコリアンスピナーの多くが横長タイプを利用している。
電球タイプ 発光面積が狭く影がくっきり濃くなるため、
雰囲気が悪くなりやすく扱いが難しい。
ただし順光照明ではくっきりした光がむしろプラスに働くこともある。


基本的には横長タイプを選ぶのが一番良く
特別な理由がない限り電球タイプを選ぶ必要はないと言える。

(点光源と面光源)
発光面積による影の違い。
点光源のように発光面の狭い光では、影がくっきりとしてしまい
主題となるモチーフへの意識が散りやすくなってしまう。

+ ※順光ではどちらを選ぶのがいいのか?

▶順光照明と発光面積について

Cheukiiライト(順光照明)では、その特性上発光面が広すぎると
くっきり感がなくなりかえって微妙になることもある。

(Mix)
ペンがくっきり綺麗に映えた例。
順光ではあまりに発光面が広い照明を使うとぼやけてしまうこともあるため注意が必要。

順光では特性上電球タイプを選んでもさほど問題ないが
とはいえ横長タイプのほうが汎用性も高く、
ワイドすぎないものであれば順光も問題なく使えるため、まずは横長を購入するのが無難な選択といえる。




部屋の照明


部屋の照明はAnycamやフォンカムを利用する場合、
最低照度の都合上それなりの光量が必要となる。

部屋の照明には主に
直管蛍光灯丸型蛍光灯の2種類あるが
環境厨の間では丸型蛍光灯にアクリルカバーを被せて用いるのが普通である。


(直管蛍光灯と丸型蛍光灯)
両者で発光面積に大きな差は無いため、
ある程度明るいものを使用すれば撮影には問題ない。




照明の設置位置


メイン照明の設置位置に絶対の法則は存在しないが、
ある程度パターンは限られてくる。

ここではメジャーな照明の設置位置について解説する。


真上照明


手の上から光を当てるタイプの配置。

字面では真上となっているが、
実際は手の形や他照明との兼ね合いを考え真上からずらして微調整する。
影による雰囲気出しを行わない、正統派の環境で用いられる。

(Choochun:名誉の殿堂)
影の散り方からメインのデスクライトを上方に設置し、
サブ(部屋の照明)は頭の後ろに位置している。

+ ※その他の使用例

▶その他の使用例


(Fingerpass)
Choochunと同じく真上気味に設置している。
影や光の雰囲気は作りにくいが、王道的な分かりやすい環境に仕上がる。




CheuKiiライト(順光)


カメラと同じ位置から照明を当てる方法。
照明の設置位置も単純で分かりやすく、その上夜環境も作りやすいことから
最も楽に良い環境を目指せる設置方法である。

(CheuKii)
順光を愛用しているCheuKiiの動画。
照明の設置が非常に簡単で、お手軽に見やすい環境に仕上がる。


しかしながら、順光は後述するライン作りが使えないため
手の形について一切の補正が働かないデメリットも存在する。

最強クラスに恵まれた手でなければまともに利用できないため、
多くの人は使えないと考えたほうがいいだろう。


(Mix)
こちらも順光の愛用者であるMixの動画。
手の相性がいい場合、ペンも見やすく光の雰囲気も作りやすい最高の環境となる。




手前照明


(Sangkm)
手の平と手首に影が落ちるためダークかつシックな雰囲気になりやすい。
また机やオブジェによる陰影も作成しやすい。


撮影場所の手前から照明を当てる方法。
デスクライトとの相性が良いため作成難易度が低く、
手の補正もそれなりに効くことから強いテンプレの1つである。

後述するアウトラインによる手の補正を利用する際に、
頻繁に用いられる設置方法である。


(CheuKii)
完全な手前照明ではないが、真上で左手前気味に設置した例。
こちらも手の平や手首に影が落ちダークな雰囲気が強まっている。




真横照明(左)


手の左側から光を当てる照明の設置。
手の形が崩れやすく使える人は少ないが、
影のグラデーション光の雰囲気がお手軽に作成できるメリットがある。

(Rainyd)
左側からの照明によって、机に影のグラデーション
右方向に手の影が作られるため黄昏時のような独特な印象が生まれる。

+ ※その他の使用例

▶その他の使用例


(Petbottle)
こちらも左側から照明を当てた例。
技によっては手の形が崩れがちになっているが、光の雰囲気は良くなりやすい。


(KTH)
日光による真横照明の例。
スピーカーや腕によって右方向に影が出来るため、哀愁の感じられる雰囲気に仕上がる。




真横照明(右)


手の右側から光を当てるタイプの設置。

後述する影のインラインを作成しやすく、
手の形に非常に強力な補正を掛けることが出来る。

(Leo)
右横照明を使用した例。
手の形に強力な補正を掛けつつ、影の雰囲気作りも両立できるのが強み。
なお設置位置は真横というよりは右後ろ気味であることが多い。


+ ※真横照明における左右の差

▶真横照明における左右の差について

例えばKRHは動画によって日光の位置が左右で異なっているが、
これによって特に手の崩れやすさが大きく変化する。

(KRH)
右横照明と左横照明の分かりやすい比較例。

右横照明は手の形がとにかく崩れにくく
特に手が恵まれていないスピナーにとってはこれ以上無い照明の設置位置となる。

一方で左横照明は、雰囲気がよく明るいキャッチーな環境になりやすいが
使用技や動画によっては手の形が崩れやすいデメリットも存在する。
このため基本は使用技や手の形に合わせた選択が重要となる。




(発展)影のライン作り


手に落ちる影を利用することで、
手の形を崩れにくくさせ補正をかける事が出来る。
環境論ではこのテクニックを影のライン作りと呼ぶ。

この影のライン作りは、
ペン回しの照明における真骨頂とも言えるべきテクニックとなる。

+ ※補足解説

▶補足解説

例えば、メイクや化粧において「シェーディング」というテクニックが存在する。
これは顔に落ちる光と影を作ることで顔の形に補正を掛けるというものだが、
ペン回しの手においても同様の発想が可能となる。

(シェーディングのイメージ画像)
基本的には輪郭にシャドウを入れることで、小顔効果を狙うのが主である。
またハイライトを入れて、顔を立体的に見せることもある。

影のライン作りとはこのような発想で、
手に落ちる影をあえて作成し補正を掛けるというテクニックである。
これは手の形に恵まれていないものにとっては非常に有効な手段となる。

※一方で手の形が恵まれている場合は、
ライン作りを無視した雰囲気重視の照明作りが出来るため
これらのテクニックがさほど重要にならない例もある。




基本の考え方


以下図を交えてライン作りの基本的な考え方を解説する。



(サムネイルをクリックして切り替え表示)


画像では1,実際の境界線2,影の境界線の位置が異なっている。

このように手のひらの境界線の内側に影の境界線を作ると
2つの境界線の距離分だけ手のひらの形に補正を掛けることができる。

これは12の境界線の距離分を脳が曖昧な部分として処理するために起こる、
いわゆる目の錯覚によるもので、影のライン作りとは詰まるところ
目の錯覚を意図的に引き起こし利用するテクニックである。


+ ※曖昧に認識することがなぜ補正につながるのか?

これは人物写真にモザイクを掛けると対象が美男美女に見える現象と同じで
脳には曖昧に認識した部分を美化する機能があるため起こるものである。




ラインの種類


ライン作りは大きく分けて次の2タイプが存在する。

インライン 手の平の内側にラインを作る方法。
非常に強力な補正効果を狙えるため、
手が恵まれていない場合は有効な選択肢となる。
アウトライン 手首の境目にラインを作る方法。
元の手の形を活かしたまま程よく補正を掛ける事ができる。
また手の平ががっしりした印象になりやすい。

環境厨の間で上の2つに決まった名称はないが、
ここでは便宜上イン・アウトラインと言う言葉で定義する。


インライン


(歸還)
先ほどのKRHと同じ影の落ち方(インライン)の例。
これによって強力な補正を掛けることが出来る。

インラインとは
手の外側から光を侵食させ、手のひらの内側に影のラインを作る方法であり
目の錯覚によって強力な補正を掛けることが出来る。

(インラインの影の形イメージ図)
図のような形で手に影を作るのが基本となる。
なおイラストや3DCGでは、このような輪郭に光を入れる手法を「リムライト」と呼ぶ。

インラインは広い面積からある程度強い光を当てなければ
手のひらの内側まで光が侵食してこないため、窓から差し込む光でラインを作る事が多い。

+ ※リムライトについて

▶リムライトについて

特にイラストや3DCGのライティングテクニックに
「リムライト」という技術が存在する。

(リムライトの例)
リムライトは物体の立体感輪郭のメリハリを強調する他、
人物の輪郭やシルエットに補正をかけ誤魔化す目的でも用いられる。

そのためインラインの手法は、
リムライト的なテクニックという捉え方も出来る。





アウトライン


(Sangkm)
手前からの照明によって手のひらと手首の境界に影のラインを作っている。
これにより手の平の長さに補正を掛けることが出来る。

アウトラインとは
主に手のひらと手首の境界に影のラインを作る方法であり
元の手の形を活かしたまま程良く補正を掛ける事ができる。

(アウトラインの影の形イメージ図)
図のような形で手首に影を作るのが基本となる。

インラインに比べ影を作るのは簡単だが、
一辺(手のひらの長さ)しか誤魔化せないため補正の強さでは若干劣る。

しかし元々の手の形(親指周辺)がそれなりに良ければ、
インラインで下手に補正をかけすぎるより、こちらを利用したほうが良い場合も多い。




まとめ


影のライン作りは難しい概念だが、
基本としては2パターンしか存在しないため
手の形に応じて自分に合ったものを選択するといい。

突き詰めるとライティングとは、
"ただ光を照らすこと"を指すのではなく
どのように影を作るか?という視点が最も本質的な観点となる。

+ ※ペン回しのために太る理由

▶ペン回しのために太る理由

環境厨の間では「ペン回しのために太る」という文化も存在したが、
これは手の肉の厚みによって影のラインを作成しやすくするのが主な目的となる。

(MinI)
特に野球部スピナーは全体的に肉厚で崩れにくい手が多いため
太ったり筋肉を付けるという考え方はここに着想を得たものである。
(日本ではMinI,hikikomori,agut,bonitoなどが野球部スピナーとして知られる

また太る以外にも、ハンドグリップによって母指球筋を増やしたり
シェーディングパウダー(化粧品)を手の平に使うという試みも存在した。




(発展)くっきりとした画質を作る手法


2箇所以上から比較的狭い発光面の光を当てる事で
ペンをキラキラとさせくっきりした画質に見せる手法がある。

(Fingerpass)
左が1点照明、右がライト(2点照明)を使用した例。
カメラ設定の補正だけでは限界があるため、2点照明を使用すると自由度も高く良い雰囲気を作りやすい。


1点からの照明だけでは以下のような欠点があるため、
環境論では2点以上の照明設置を推奨している。

  • モッサリとした画質になりやすく綺麗さに欠けること
  • 影による雰囲気出しが使えず、正統派以外の環境を作る事ができない

場合によっては1点照明が最適なこともあるが、
無難な環境は作れても良い環境を作ることは難しい。
上位環境のほとんどが2点以上から光を当てていることからも、
環境を整える上でこの知識は必須と言える。

(ShAHeLL)
ShAHeLLは主に1点照明を採用しているため、影や光の雰囲気がない正統派環境となる。
全体的にモッサリした画質なのはこれが理由。




2点照明の注意点


とは言え、あまりにも露骨にこの方法を用いるのは
明らかに照明を整えていることを見る側に意識させてしまい
自然さを追求する環境厨の方針に反するため悪手とされている。

(Hills)
露骨にピカピカさせ過ぎると、
ライトの主張の激しさから玄人っぽさに欠け、逆に魅力を損なうことも。
また影が何層にも出来てFSが見づらくなりやすい。


そこで一つの基準として見かけの影は一つというのがある。

3点以上から光を当てる場合でも、遠くからうっすらと当てたり
ライトに紙を巻いて影を分散させると言った工夫を凝らす事で見かけの影を一つにすれば、
露骨さを感じることもなく自然な照明の仕上がりになりやすい。


(Apollo) (飛雲客)
どちらも2~3点から当てているが、
ぱっと見で影が一つに見えれば自然な仕上がりになる。

+ ※順光照明での例外

▶順光照明での例外

順光照明ではその特性上、多少露骨にキラキラさせるくらいがちょうどいいとされる。

(Mix)
メインのデスクライトの他、部屋の照明が右斜め後ろから当たっている。







Copyright©2013- by.penspinET all rights reserved.
_______________________________________________________
最終更新:2024年11月19日 23:58