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教科書検定審 聖域化は歪曲可能にする
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pipopipo555jp
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教科書検定審 聖域化は歪曲可能にする
2009年3月2日
教科用図書検定調査審議会(検定審)が、申請図書や訂正申請などの情報が流出した場合に審議を一時停止する規定などを盛り込んだ「審議会決定」案を総括部会で了承した。
審議の透明化に逆行し情報統制を強める動きであり、断じて容認できるものではない。
検定審は2008年度から使用される高校日本史教科書検定の際、沖縄戦「集団自決」(強制集団死)の日本軍の強制に関する記述を、ろくな審議もせずに削除・修正した。
文部科学省・教科書調査官の意見を丸のみして受け入れたからだ。その結果、県民から「歴史の歪曲(わいきょく)」と厳しい批判を浴びた。
結論を出すまで審議内容を秘匿したのでは、再び同様の事態が起きる恐れがある。
仮に、時の為政者が、ある歴史的事実について、自身の政治的信条に沿って教科書の記述を変更したいと考えたとする。
為政者の意を酌み、文科省の教科書調査官が検定審に修正案を示すとどうなるか。恐らく「集団自決」の時と同様、ろくな審議もせずに決定されてしまうだろう。
検定内容が公表された段階で「事実を正確に伝えていない」と抗議し修正を求めたところで手の打ちようがない。「教科書検定への政治介入は許されない」として政府が突っぱねるのは火を見るより明らかだ。
為政者は検定審を隠れみのにすることで、いくらでも歴史をゆがめることが可能だ。このような仕組みを放置していいはずがない。
検定審は「外部からの圧力がなく静謐(せいひつ)な環境を確保することが重要」と言うが、何よりも大切なのは歴史を正しく継承していくことだ。
時の為政者の思惑に左右されることなく正しい歴史教育を実践するには検定審の密室性を排し、会議そのものを全面的に公開するしかない。それによって、検定の過程で不適切な判断が下されていないかチェックが可能になる。
検定審は当初、教科書検定手続きの透明化をうたったが、ふたを開けてみれば情報管理の強化や執筆者の自由を束縛することに重きが置かれた。掛け声と中身がこれほど懸け離れた例も珍しい。
教科書検定の密室化が進むのは危険な兆候だ。検定審の聖域化を許してはならない。