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Kensaku Kawauchi[uniting-peace][11369] アジアを考えるための本(15)2009/10/06


河内謙策と申します。“独善的”立場から、アジアを考えるうえで重要と思われる
本や興味深い本を紹介させていただいています。(この情報を重複して受け取られた
方は、失礼をお許し下さい。転送・転載は自由です。)

 中国建国60周年なので、最近読んだ中国関係の本を取り上げてみます。

  • 田久保忠衛『米中、二超大国時代の日本の生き筋』海竜社
 中国を分析するには、中国だけを見てても、日中だけを見てもダメです。真にグ
ローバルな分析が求められます。この本は、G2時代が既に到来した(!)と言う問
題意識に立っています。その問題意識は面白いのですが、中身は、やや竜頭蛇尾の感
があります。

  • 韓鋼著、辻康吾編訳『中国共産党史の論争点』岩波書店
  • 中島嶺雄、石平『「日中対決」がなぜ必要か』PHP研究所
 中国本土で、中国共産党史の見直しが進んでいます。この動きを紹介したのが前著
です。私も、自分の共産党史像を再点検しなければ、と痛感しています。
日本の研究者の立場から、中島嶺雄は、「中国革命は必然だった。しかし、新社会の
建設は失敗だった」と明確に言い切ります。一時期、毛沢東万歳だった私としては、
にわかにイエスと言えないで悩んでいます。

  • 麻生晴一郎『反日、暴動、バブル』光文社新書
 私は、色んな中国分析の中で、民主主義と人権を求めて闘う中国民衆の姿が描かれ
ていないのは問題だ、と強調してきました。その意味で、「アジアを考えるための本
(14)」で紹介した『毛沢東は生きている』は画期的な本でした。そして遂に、日
本のジャーナリストで、中国現地を歩いて「闘う」民衆の実像に迫ろうという本が出
版されました。日本のジャーナリストも捨てたものではない、と嬉しくなりました。
私は2005年の反日デモの評価などで意見を異にしますが、そんなことは小さなことで
す。絶対の必読本として購読をお勧めします。

  • 宋暁軍、王小東、黄紀蘇、宋強、劉仰著『不機嫌な中国 中国が世界を思いどお
りに動かす日』徳間書店
 遂に、こんな本が中国国内から出てきました。「中国は軍事力を背景に商売をせ
よ」「中国が世界の指導者になる」「金融危機は必ず戦争を招く。中国は軍事力を増
大せよ」「チベット問題に文句があるなら奪いにくればいい」などの文句が、この本
にはあふれています。極め付きは、以下の文句でしょう。
 「13年前、われわれは中国のことは中国が決めると宣言した。現在、われわれは世
界のことは中国が決めると宣言する。」
 たしかに、この本は、中国の公式見解ではありません。おそらく、現在時点では、
中国国内の多数意見でもないでしょう。しかし、この本が反響をよぶ基盤が中国国内
にあることも確かです。また中国共産党の見解と一部分は確実に重なっています。
「それ見たことか」という意見が日本国内に広まることを恐れます。
 それにしても、中国問題に沈黙を守り続ける日本の平和運動と左翼知識人は、中国
の覇権確立・世界制覇を助けた共犯者であると、歴史に名を刻まれても良いと考えて
いるのでしょうか。


河内謙策

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