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remnet緊急被ばく医療の知識・頸部甲状腺に沈着した放射性ヨウ素の測定

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remnet緊急被ばく医療の知識・頸部甲状腺に沈着した放射性ヨウ素の測定


3.頸部甲状腺に沈着した放射性ヨウ素の測定

 頸部甲状腺部位の測定は、放射性ヨウ素の体内量のさらに精密な測定、医学的な診察等を行う二次被ばく医療のためのスクリーニング測定の一部として行われます。
 ここでは、頸部甲状腺部位の測定方法と、そのために使用される代表的な1″φ1″ NaI(Tl)シンチレーションサーベイメータについて述べます。
(1)頸部甲状腺汚染スクリーニングの準備

  1. 単位の表示がμSv/hのγ線量率測定用NaIシンチレーションサーベイメータ を準備します。

     シンチレーションサーベイメータ
     NaI(Tl)シンチレーションサーベイメータ
  2. サーベイメータの検出器の先端を頸部甲状腺部位に密着させた場合の指示値 (μSv/h)から131Iの甲状腺残留量(Bq)を求める換算係数[Bq/ (μSv/h)]は、 NaIシンチレーションサーベイメータの型式に従い次の値を用いるのが適切です。

      NaIシンチレーションサーベイメータ           20 KBq/(μSv/h)
          (ディスクリレベル 50KeV,100KeV)
       NaIシンチレーションサーベイメータ(DBM型)     30 KBq/(μSv/h)

      ただし、サーベイメータの校正は137Csのγ線を円筒形の検出部の軸方向から照射することによって行われているとします。
  3. 別法として、アクリル製の甲状腺用ファントムであるオリンスファントムに模擬 ヨウ素線源(133Baと137Csを混合した線源により131Iのγ線スペクトルを模擬し、 131I相当の放射能が値づけされている。日本アイソトープ協会から購入できる。) を挿入して、換算係数を求める方法があります。

甲状腺用ファントムによる値づけ
甲状腺用ファントムによる値づけ
(2)頸部甲状腺部位の測定の方法

  1. 近くに線源や汚染のないとき、測定場所のγ線のバックグランド線量率を測 定します。
  2. NaIシンチレーションサーベイメータの検出部の先端を、男性では甲状軟骨 (“のどぼとけ”のある位置)の下に付け、女性では頸部中央に付けてできるだけ 密着させて測定します。測定は、20秒間以上その状態を保持した後、指針のふれの平均(μSv/h)を読み取って、記録します。そして、指示値とスクリーニン グレベルに対応する値 (μSv/h)と比較します。 (スクリーニングレベルは、測定時3KBqです。)
  3. 読み取った指示値(μSv/h)からバックグランド線量率を引き、その答えに換 算係数を乗じ、甲状腺における131I残留量を算出します。

(3)NaIシンチレーションサーベイメータの指示値(μSv/h)から
131Iの甲状腺残留量を求めるための換算係数[KBq/(μSv/h)]

 NaIシンチレーションサーベイメータによる頸部測定位置(男性では、甲状軟骨“のどぼとけ”のある位置の下、女性では、頸部中央)での甲状腺中の131I残留量とサーベイメータ指示値との間の関係は、図4-2のとおり与えられています。成人についての換算係数は、グラフから20KBq/ (μSv/h)を用います。

 最近DBM型のNaIシンチレーションサーベイメータが市販されており、そのエネルギー特性は、従来の計数率型のものとは異なっています。

 両型式のサーベイメータについて、オリンスファントム中に模擬ヨウ素線源(日本アイソトープ協会で購入できる)を挿入して換算係数を実測し、比較したものを表4-1に示します。

131残留量とサーベイメータ指示値
図4-2:年齢層別甲状腺(ファントムによる)中の131I残留量とサーベイメータ指示値との関係
(Tanaka,G.,Kawamura,H.,J.Radiat.Res.,19,78-84(1978),および科学技術庁、“緊急時における放射性ヨウ素測定法”、放射能測定シリーズ15、P24(1977);ただし、単位をSIに変えたもの。)
表4-1:甲状腺131I残留量測定における
   NaIシンチレーションサーベイメータの換算係数の例
サーベイメータ型式 換算係数
KBq/(μSv/h) 標準偏差
KBq/(μSv/h) DBM型 32 1.0
計数率型(ディスクリレベル50KeV) 17 0.4
計数率型(ディスクリレベル100KeV) 18 0.4


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