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第一話「全ての始まり」

此処は埼玉県のとある一軒家・・・・。土曜日の深夜だった。
既に時刻は1時を回っていたが二階の部屋に明かりがついていた。
「グヘヘヘヘヘ〜やっぱヒナたん萌え〜。俺の嫁☆」
何やら部屋から変人とも言える声が聞こえる。
「あ、そこいいお!ヒナたーん!」
ヒナたん・・・とは「ハヤテのごとく!」のキャラクター、桂ヒナギクである。ハヤテのごとく!で一番人気のある女キャラである。奇声を発した少年もそのファンである。女は二次元しか興味無い・・・典型的な現実逃避である。
「ふ〜眠いが深夜まで起きて見る甲斐があるってモンだぜ!・・・・・・ん?」
テレビの画面が急に切り替わった。ニューススタジオが映っていた。
「おいおい、せっかくいい場面だったのになんなんだお!?」
少年は怒りつつテレビを確認した。
「チャンネルは変わってないよな?どうしたんだ?」

「番組の途中ですが切り替えて急遽ニュースをお伝えします。」若い男のニュースキャスターが出てきた。
「はぁ!?舐めてんのか!週に一度の楽しみを奪う気かテレビ局め!」
少年は大好きなアニメを邪魔されてキレギミだった。
「急遽、国民に内緒で国会で単純所持禁止法を可決された為、只今全国全てのアニメが放送禁止となりました。アニメの原作となった本も全て明日から撤去作業が始まる予定との事です。では、国会の様子を中継します。中村アナ、お願いします。」
画面が国会議事堂に移り変わった。
「はい、こちら国会議事堂です。会議中ですが特別に阿宗総理に取材の許可を頂きました。では、中継致します。」
これを呆然とする少年。少年は怒り心頭になった。「ふざけんな!ヲタクを舐めてんのか!全国の非リア充を敵に回したな!?覚悟しろ!」
ボカ!少年はテレビに八つ当たりし、殴った。
「イタタタタタ!クソ!どうなってんだよ!」


テレビに現在の内閣総理大臣、阿宗次郎が映った。
「え〜単純所持禁止法とは児童ポルノ法を厳しくしようと言うわけですが三次元だけでなく二次元を全般規制する事になりました。健全な青少年の教育の為、何卒ご理解頂けますよう・・・・・」
ブチッ!
起こった少年はテレビを消した。
「な〜にが単純所持禁止だ!ヲタク文化を破壊するつもりか?」
ピロリロリロ〜♪少年の隣に置いてあった携帯が鳴った。どうやら着信で電話が来たらしい。真・三國無双のBGMである。
「もしもし、直江ですけど〜。」
少年は名乗りながら不機嫌そうな声で応答した。
「セールだ。おいテレビみたかよ!?あのニュースだよ!全くふざけんなって感じだよ!」
電話の声の主はセール。直江と名乗った少年の友達である。以後、少年を直江と呼ぶ事にする。
「俺達非リア充はこれからどうやって生きていけばいいんだよ・・・。現実見たって顔がキモいから無駄だし、生き甲斐を失ったな・・・。いっそ死んだ方が・・・・。」

「バッカヤロウ!それよりテレビ付けろ!前首相の副田がヤベエ事言ってるぜ!」
セールに促され、「分かった。」と直江はテレビを付けた。
テレビには前首相の副田高男が映っていた。
「え〜気持ち悪いヲタク文化など目を覆うばかりの物です。全世界に恥を晒してる様な物です。また、このようなヲタク共は日本改善の為、排除しなければなりません。つきましては、一ヶ月後から秋葉原を中心とするヲタク狩りを始めます。え〜、自衛隊を秋葉原に派遣し、ヲタクと見られる人間が居たらその場で射殺する事を決定致しました。全国の気持ち悪いヲタク共は改心し、早々に現実に戻られる様努力を・・・」

「なんてこった!これじゃ俺達もいずれ殺される!」
堪忍袋の緒を切らした直江はワナワナと手を震えさせ、拳を床にぶつけた。
「どうする直江さんよ。今更リアなんて見てられるか?」
セールは深刻な顔で問いかけた。
「んな事出来るか!死んだ方がマシだ!」
「って言うよりいずれ俺達も殺されちまうな。」
「・・・・・・・。」

その後ベッドの布団に潜り込んだ直江は考えた。
「どうせ殺られるんなら、いっそ、抗って見る方が良いのでは・・・・?」
「殺るか、殺られるか、これはヲタク文化の存亡を掛けた一大事・・・。」
そう考える内に、直江は寝た。

ーーーーー翌朝・・・・。
小鳥の囀りが聞こえる。明日は月曜日。本来なら「絶望先生」と「かなめも」がやる筈だが政府による規制でアニメ一切放映されなくなった。
「・・・・・・・。」
直江はベッドから起きて、洋服に着替えた。いつものNIKEの服だ。一晩寝た後のベッドの上の布団はグチャグチャだった。直江は面倒なので直さないでまた寝転がる。
直江は悔しかった。悔しいけど何をすればいいのか分からなかった。
「このまま、俺達ヲタクは消える運命なのか・・・?」
直江は天に問いかけた。天に問うても答えが返って来る筈が無い。
「ゲームでもやるか・・・。」
直江はベッドの引き出しに手を伸ばし黒いPSPを手に取った。

「駄目だ。界賊団出ないな。あ〜ディスガイア飽きたな。」
直江は一時間もしない内にPSPを閉まった。
「生き甲斐を一つ失ったな・・・。このまま俺は政府軍に殺されるのか・・・。」
直江以外誰も居ない家の中。シーンと静まり返って居た。両親は直江に愛想を尽かし二年前に何処かへ姿を眩ましている。何処へ居るかは直江も全く分からない。ただ、居場所は告げないが、金は仕送りしてくれている。
弟と二人暮らしだが弟は普段家に居ない。サッカーの練習で忙しい。
直江は休日は全く外に出ない。外に出る時は友達の家に遊びに行くか、ゲームを買いに行く時だけである。

おっと説明だけで終わってしまいそうだw
話を戻そう^^

直江は部屋にある扇風機を持ち出し、パソコンのある部屋に向かった。
「そういや、この事を受けてポケガイ住民はどうしてるだろ・・・。」
直江は気になりながらパソコンを立ち上げた。

直江はパソコンを立ち上げ、ポケガイのお話掲示板を開いた。
予想通り、単純所持禁止法の事で持ちきりだった。
「やはり・・・。」
直江は呟きながらセールのスレを開いた。
そこにはセールの悲痛な叫びが綴られていた。

「何故政府はヲタクを迫害するんだ。俺達は生き甲斐を失った。俺達はヲタクと言う事だけで殺されるんだ。阿宗や副田のわがままによって犠牲になるんだ。あ〜あ、生まれて来るんじゃなかったな。朝のニュースを見たらゲームも全部規制するそうだ。もう世も末だな。じゃあな、俺は自殺する。短い人生だった。政府の手に掛かるくらいなら俺は自分で死ぬよ。皆今まで有り難う。」
全部読み終わった直江の頬には多量の涙が伝っていた。
「馬鹿野郎!こんな・・・・・・こん・・・な・・!ウワァァァァァー!」
誰も居ない静かな部屋で直江は一人大声上げて泣き出した。

泣きやんだ直江はハッとなった。
「こうしちゃいられねぇ!まだセールは死んでねぇよな!?」
直江は慌ててセールに電話をかけた。
「もしもし!?おいセール!直江だ!生きてんだろうな!?」
心配した直江は強い口調でセールを呼ぶ。
「まだ・・・・・・生きてるよ・・・。」
「馬鹿野郎!何で自分から死のうとするんだよ!」
直江は昨日の自分の発言を棚に上げて怒鳴った。
「お前だって昨日死んだ方が・・・って言ってたろうが・・・。」
力の抜けたセールの返事が返ってくる。
「俺は決めた!政府に抗う!どうせ殺されるんなら犯罪なんて恐れない!」
「馬鹿か?政府軍は全国で30万は居るんだぞ?それに全国のヲタ共は臆病でデモも起こさず塞ぎ込んでいる!お前一人で何が出来る?」
セールは絶望した顔で問う。
「誰かが決起すれば皆呼応する筈だ。誰かがやらなきゃいけないんだ。なら・・・俺がやる!お前も死ぬ前に俺に命預けろ!」
「え・・・・ちょ・・・・待て直江!」
ブチッ!電話が切れた。

直江は朝のニュース番組を見ていた。
アニメと歴史番組しか見ない筈だがこの一大事となって世の中の動きが不安でたまらない直江だった。
阿宗総理が出てきた。どうやら記者会見を行ってる様だ。マスコミに囲まれコメントをしていた。
「え〜。目を覆うばかりのヲタク文化と不健全な青少年を育成する社会を破壊する為に、ギャルゲーは勿論、ゲームと言うゲームを撤去する事に決まりました。」
ボゴッ!直江は拳を壁に思い切りぶつけた。
「己下劣で非道な政府めー・・・・・許さん!この手で潰してやる!」
直江は烈火の如く怒った。もう我慢の限界だった。
非リア充である直江にとってゲームとアニメが人生の全てだった。それを除去されるとあらばもう生きてても意味が無い。
「こうなったらまず行動だ!人を集めるぞ!」
直江はパソコンの所に戻りキーボードをカタカタ打ち始めた。

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最終更新:2009年08月22日 18:34