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 マイが物心ついた頃、既に親はなく、孤児を集めた施設の出身だった。
 施設には同じく身寄りのない多くの子供達と、その世話をするためのスタッフ。そして、子供達のためにと彼らが連れてきたポケモン達が居た。
 ポケモン達に囲まれ育っていく中で、やがて周りの大人達はマイにトレーナーの才能があることに気がついた。
 マイ自身、施設どころか町の子供達の中でも自分が一番ポケモンに指示を出すのが上手いと思っていたし、それを誇ってもいた。
 施設の仲間達に酷い言葉をぶつけた男子達をポケモンバトルで懲らしめたり、町に立ち寄った大人のトレーナーとの勝負でも多くの勝利を収めて褒められたり。マイにとってポケモンバトルは、自分に確かな居場所を与えてくれるものだった。

 やがて11歳を迎えた日、マイは旅に出た。施設の仲間も街の皆も、挙って見送りに来てくれた。
 種類によってはタウンマップにすら載っていないような、小さな町。その名を最強のポケモントレーナーの故郷として轟かせてくれるのではないかという、希望をマイに見出して。
 家族と呼ぶべき町の皆から、正しく未来を渇望されたホープトレーナーだったマイは幾つかの小大会で結果を残し……しかし初めて参加したポケモンリーグで、あっさり挫折した。

 一回戦二回戦を順調に勝ち進んで、観客からも期待されて迎えた三回戦。どうしようもないミスをした。
 施設の頃からマイと一緒にいてくれた、一番親しいガルーラの親子。旅立つ直前、メガシンカの力を手に入れて、その後数々の強敵を打ち破る力となったポケモン。

 実の両親を知らないマイが、何より信じるその力……とくせい、《おやこあい》。

 その力があれば負けるはずがないと思った。いいや、負けるわけにはいかないと思っていた。
 自分のことも親子の一員のように接してくれて、ここまで連れてきてくれた彼女達との絆の結晶、《おやこあい》で全ての敵に勝たなければならないとすら、思っていた。

 だからその戦いでも、マイは迷うことなく初手でメガシンカを選択し――じゃくてんほけんを持っていたギルガルドによって、返り討ちにあった。

 メガシンカする前のとくせいがきもったまであるガルーラを引き連れて、敵のパーティーにギルガルドがいることを理解していて。
 どうしようもなく明らかな、マイの失態だった。

 そしてその敗北で、マイは余りに多くを失った。
 心無い一部の者からは、所詮強いポケモンの能力に頼りきりだった田舎者だと馬鹿にされ――そんな報道が、応援してくれていた故郷の町にまで轟いた。
 さらにギルガルドに倒された際、何のアクシデントなのか。通常ではありえないことだが、ガルーラナイトを紛失してしまった。壊れたのか、単なる行方不明か。それすらわからないまま、マイは《おやこあい》を失った――否。ガルーラ親子から、失わせてしまった。

 その顛末がトラウマとなり、観客のいる公式戦には臨めなくなってしまった。

 ガルーラ達とも、あれから向き合うことができないまま、ボックスに預けっぱなしとなってしまった。

 苦しい経営状況の中、大会に出るためにと支援してくれた施設にも、期待してくれた故郷にも、もう……便りの一つも、出せなくなった。

 自らを知る者との連絡を絶ち、人付き合いを断ち――マイは、自分の居場所を見失った。

 死にはしなかった。しかしそれは、確固とした理由があってのわけでもなく。何かしら理由があって生きているとも言い難い、生きながら死んでいるような日々を過ごした。
 将来を渇望された面影もなく、バッドガールの仲間入りまでもう一歩、あるいは通り過ぎたかという頃になって――それでも一人生きていたマイは、パロロワ団に拉致された。




      ○○○



「――おまえさん、もう詰んでるよ」
「……っ!」

 そしてマイは、この地でも敗北寸前だった。
 支給されたポケモンは、決して弱くなかった。ゲッコウガとガブリアス――華やかな舞台で、今も第一線で活躍し続けている強力なポケモン達。
 それも、優れたすばやさから高い打点を発揮するこの二匹ならばただバトルに強いだけでなく、そこに至る前に対戦相手を消すことも容易い。
 殺し合いに乗ったマイにとっては、この上なく有力な札――勝ち抜いて行くことも容易いと思われた。

 しかし、最初に発見したこの参加者は、ベテラントレーナーだけあって実力者だった。支給されていたエルレイドの相手の考えを敏感にキャッチする能力でマイの先制攻撃にも完全に対処し、そのままポケモンバトルに持ち込まれた。

 それでも本来なら、おそらく支給された全てのポケモンの中でもアタリに属するだろう二匹を持つマイには、かなりのアドバンテージがあったはずだ。

 だが、ポケモンを出される前に――即ち相手のポケモンを確認する前に先制で放っていた鉢巻エッジをエルレイドに受け止められてしまい、岩技で拘ってしまった。
 そしてこの局面で耐久の下がる接触技である“インファイト”はないと判断して、“サイコカッター”や“れいとうパンチ”読みでゲッコウガに交代した瞬間に、“トリックルーム”の発動を許してしまったことで、そのアドバンテージは脆くも崩れてしまった。

 慌てて再度ガブリアスを繰り出し、特性《さめはだ》によって接触ダメージを与えることはできたが、エルレイドの“インファイト”を二発耐えることはできなかった。
 戦闘不能となったガブリアスの下敷きになりながらも、何とかマイが繰り出したゲッコウガは、エルレイドが残った体力と引換に繰り出した“おきみやげ”で攻撃力を半減させられ、時空の歪みによりすばやさが逆転した状態で、リングマとの対峙を強いられた。
“からげんき”で体力を半分以上奪われたのに対し、最大火力の“ハイドロポンプ”でリングマのHPは半分も減らない。その状況でリングマは更にかえんだまを発動し、自らやけど状態となった――特性《こんじょう》を発動させたのだ。
 次は、“かみくだく”を選択するだけで――《へんげんじざい》で何タイプに変化していようと、無効化できない以上いのちのたまの反動で削れたゲッコウガも瀕死となり――手持ちを失ったマイは、首輪が爆発して死に至る。

 最初から真っ当に勝負していれば、あるいは展開は変わっていたかもしれない。しかしバトルすらせずに相手を殺そうとした結果、マイは手にしていたはずのアドバンテージを失い、こうして窮地に陥っていた。

「まだ……まだっすよ……!」
 それでもマイは、残された可能性を見失ってはいなかった。
「トリルの効果も切れた……今度はこっちの番からっす。急所に当てれば、まだ、あたしは……!」
 優勝しさえ、すれば。
 莫大な褒賞。パロロワ団が提供するというそれがあれば、せめて施設に払って貰った金銭の穴埋めはできる。
 それで故郷に戻れる、とは思っていない。そんな面は下げていない。
 それでも、せめて。生きているなら、この程度の精算は……っ!

「……せいぜい一割以下の可能性に、命を賭けようってのか?」

 覚悟を決めんとするマイに対し、呆れたようにベテラントレーナーは呟いた。

「勿体無い真似をするな。どうしてあんなアホどもの言いなりになっているのかは知らんが、おまえさんまだ若いだろ?」
「……ハッ。だからなんすか。旦那が言った通りっすよ。あたしはガキのまま、もうとっくに詰んでるんすよ……!」
 ありがちな年寄りの諌め文句に、マイは乾いた笑声で反発した。

 ああそうだ。生きているなら、どん底からだろうと最低限、精算する必要はある。
 だがここで潰えるのも……それはそれで、楽になれるじゃないか。


「だから……殺そうが殺されようが、どっちにせよ、これで終わらせてやる」
 どの道、急所が出なければ“ハイドロポンプ”でも届かない。ならば、ここは命中安定――!
「“あくのはどう”――ッ!!」
 マイの号令に合わせて、主に寄り添うように構えていたゲッコウガが、命を削ってその両手から暗黒の波動を解き放った。

 大気を染めて行く闇の殺到は、しかしリングマの前方に展開された光の膜によって遮られる。
「――えっ?」

「“まもる”」

 ――予想外の一手に、マイは眼鏡越しに目を丸くした。

 何故ならそれは、完全な悪手だったからだ。
「――悪いな」
 ベテラントレーナーが小さく呟いた。続いてリングマの展開していた光の膜が失せると同時に、リングマの体を炎が走り、その巨体を仰け反らせる。ターン終了時の、やけどダメージが発動したのだ。
「な……にを、考えて……?」
 今の“まもる”は無意味――否、利敵行為だった。リングマの体力がやけどで削れた分、威力の低下した“ハイドロポンプ”でも戦闘不能に追い込める可能性が出てきたからだ。
 急所に当たる可能性も、依然変わりない。マイはともかく、ベテラントレーナーにとっては不利益しかない行動だった。
 そして、このトレーナーはそれがわからぬような愚か者ではないと、ここまでの攻防で悟っていたが故の戸惑いだった。

「別に――こんなことで、終わら“させ”たくなかっただけだよ」

 対しベテラントレーナーは、変わらぬ表情のままで告げた。

「な……っ、何を偉そうに……!」
 思わず反発した、がしかし。決死の覚悟で繰り出した、幕引きだったはずの一撃を流されたのは――それでマイが有利になったとは言っても、毒気を抜くだけの効果が存在していた。

 またここまでの言動から、彼がパロロワ団の思惑に乗ってはいないだろうことも理解できている。急激な虚脱感が、マイを襲っていた。
 とはいえその間も、不利になった相手からの不意打ちを警戒してか。ゲッコウガは自身を盾にするようにしたまま、マイの傍らで構えていた。

「おまえさんもだが、嬢ちゃんだけの話じゃねーよ」

 そう答えたベテラントレーナーが視線を向けるのは、依然マイの傍らに立つゲッコウガ。労わるように撫でるのは、彼の操るリングマだった。

「自棄っぱちになってるみたいだが、嬢ちゃんもポケモンが好きなんだったら殺し合いの道具になんかしてやるなよ。あの阿呆ども以外、誰も喜ばんぞ」

 ――ポケモンが、好き。
 何気なく発せられた言葉に、マイは胸を刺されたような痛みを覚えた。


「……この子らは、元々そのために用意されたポケモンっすよ」
 誤魔化すように、マイは何とかそれだけを搾り出した。
「パロロワ団っていう、阿呆な『おや』どもはそのつもりらしいな」
 対して眼前のベテラントレーナーは相槌を打ちつつも、明確な肯定の意志は見せなかった。
「だけど人間だって、子供は『おや』の思惑全部に沿わなきゃいけないわけじゃないだろ? まぁこいつらを人殺しの道具にしたくないってのは俺のわがままだし、それこそ従う義理はないけどな」
 知らないっすよそんなこと、という反駁ですらない反発は寸でのところで飲み込んだ。
 ――親なんて知らない、という。自分の事情を、あれこれ触れ回る気にはなれなかったからだ。

「嬢ちゃんも……何が理由かは知らないが、勝手に自分を殺して他人の気持ちに応えなきゃいけないなんて決め付ける必要はないんだぞ。義務がないからこそ、本心で応えてくれた時が嬉しいもんなんだしな」
「……また寒い説教をするってんなら、お断りっすよ」
「なら断られるのを断る」
 年配だろうに、子供地味たわがままでマイの返答を退けたベテラントレーナーは、そのまま何となしと言った様子で続けた。

「それに……どうせ応えるならパロロワ団より、あいつらに捕まっている自分のポケモンの気持ちにしてやれよ」
「――っ!!」
 瞬間、えも言えぬ不快感がマイを埋め尽くした。
 余りにも無遠慮に、恥部と呼ぶべき心の領域に踏み込まれてそれでも暴発しなかったのは、終わることのない逡巡に囚われた葛藤と――もう何年も顔を合わせていない《おやこ》の顔が浮かんだだけでなく。路地裏での食い扶持を稼ぐために力を合わせている今の手持ちとも、決して越えたことはない最後の一線を、改めて意識したからだった。
 ただ、これ以上は耐えられない。そんな拒絶の感情に支配される。
 しかし葛藤の余り吐き出すべき言葉を選べず、押し黙って睨み返すしかできなかったマイに代わって、口を閉ざせとばかりにゲッコウガが相手を威嚇していた。

 その拒絶の色を認識した老人は一瞬、確かに口を噤んだ。しかし次の瞬間には、得心した様子で口を開いた。

「……成程な。勝手に贖罪を設定して、それができるまではポケモン達とだって顔向けできないとか思ってる、ってところか」
 見透かされた。そのことに対する驚愕と、踏み込んでこられたことへの反発心とに思考が追いつく前に、更なる衝撃がマイを襲う。
「そうだろ? ホープトレーナーのマイ……何年ぶりだったかな、思い出したよ。メガガルーラのトレーナー」
「――! あんた……っ!?」
 そこまで言われて、ようやく。この瞬間まで察せなかった己の愚鈍さに腹立たしさを覚えながらも――マイは、自身が戦いを挑んだこのトレーナーの正体に気がついた。
「ベテラントレーナーの、アーサー……っ!」

 目の前に立つこの老人こそ、マイの挫折の始まり――あのじゃくてんほけんギルガルドの、トレーナー。クレイジー・アーサーその人だった。



      ○○○



 多くの場合、壮年期を以て呼ばれ出す、ベテラントレーナーという肩書き。
 しかしアーサーは、既にそれを得るまでに要したのと同等の年月を、その肩書きのままで過ごしていた。
 いくら旅を続けるために鍛え続け、筋骨隆々とした体格を保っているとはいえ、本来ならばとっくに隠居しているべき年頃だ。

 長い経験で身に付けた、特別な技の伝授。若いトレーナー達の知らない、特別な場所の案内人。あるいはどこかのジムリーダーや、バトルフロンティアといった施設のブレーンとして腰を落ち着けられるだけの実力もキャリアも知名度も、彼には十二分にあった。

 それでも彼は、未だ野を行く一人のポケモントレーナーであり続けた。

 ――死ぬまで俺は、ポケモントレーナーさ。

 それが口癖。夢は今でもポケモンマスター。時折残念な人扱いをされるたびに嫌な顔を浮かべながらも、決して生き方を変えようとはしない。そんな様から、古い馴染みは愛情を込めクレイジー・アーサーと呼んでいた。

 何が彼をクレイジーにしたのかと言えば、それはやはりポケモン達だ。
 人間とは違う生き物。種族が異なる以上、言葉を交わすことはできない存在。
 しかし、相互に語り合うことができずとも。確かにアーサーの言葉は通じ、お互いの気持ちを共有することができる、別種の生命。
 ただ命令に従うロボットなどではなく、こちらの心に応えてくれる人外の相棒――そんな彼らと共に過ごせる素敵な喜びに、アーサーは幼い日から魅せられていた。

 まだまだいろんなポケモン達と、もっともっと触れ合いたい。彼らと出会いや勝利の喜びを共有できるトレーナーでありたい。そんな願いが、未だ老兵を第一線に留めていた。

 そうしてあちこちの地方を巡る中で、友は大勢できた。ライバルも居た。家族は持たなかったが、気がつけば子供代わりの弟子のような奴らもできていた。
 自由気ままに生きているだけなのに、随分と恵まれたものだとアーサーは己の半生を振り返る度、頬を緩める。

 ただ、友やライバルや、或いはポケモン達の中には、もう何年も会っていない者も居た。
 そういう機会がない者もいれば……イッシュチャンピオンの相棒のように、永別してしまった者もいる。
 アーサー自身、幼少期から手持ちにいたポケモンの過半数とは、既に別れを経験していた。

 まだ存在すると思われた、一緒に過ごすはずだった時間。それが突然消えてしまう悲しみを、アーサーはよく知っている。
 だからそれを強要しようとするパロロワ団には、決して許せないという敵意しか存在していなかった。
 まして、己の手持ちと引き離された上で、ポケモンを殺し合いの道具にしろなどと言われてはなおさらだ。

 必ずパロロワ団の目論見を阻止し、己のポケモン達を取り戻す。そう固く決意していた。
 あんな悪の組織に利用されているリングマやエルレイド達にも、身の振り方を自分で選択する機会ぐらいは作ってやりたい。そんな気持ちも、この決心を後押ししていた。

 とはいえ、相手は幻のポケモンであるダークライを手元に置いている。自身と並ぶベテランにして格上の実力者である、イッシュのポケモンリーグチャンピオンでさえ伝説のポケモンには遅れを取ったと聞いている。実際、長いトレーナー人生の中で何度か間近に目にした彼らの力は、友人の敗北も納得できてしまえるほどに凄まじい代物だった。

 それらと並ぶポケモンであるダークライを有する敵に単独で挑むのは、いくらクレイジー・アーサーといえど自殺行為だ。故に団結できる仲間を探そうと行動を開始して、最初に遭遇したのがこの元ホープトレーナーの少女だった。
 かつての活発な印象を覚える明るい色彩の格好から、紺色のシャツの上に黒いパーカーと、真逆の印象の服装に変わり。成長期故に随分大きくなっていたため、一目で遠い記憶と結びつけることはできなかったが……攻防を重ね、言葉を交わしていく中で。あの時対戦した、メガガルーラを連れた眼鏡の少女だと、気づくことができた。

 元より殺し合いに乗る気はない。どうしようもない輩相手なら、正当防衛もやむを得ないとは考えていたが……アーサーは対戦当時、マイに見出した未来を思い出していた。

(まぁ、ちょっと回り道していたみたいだがな)

 あの時も、手強い少女だったことを覚えている。本来彼女のレベルならまず犯さない戦術ミスがあったおかげで勝利したが、あれがなければ勝負はまだまだわからなかったほどだ。
 ただ、あれから彼女の活躍を全く耳に挟まなくなり――今回の戦いで見えた脆さから推察するに、おそらくはあれも感情由来の失敗だったのだろうと、今のアーサーには推察できていた。
(確か、孤児院の出身だったか……それで、村の期待を一身に背負ったホープトレーナー……)

 期待に応えられなかったことから居場所を見失い、真っ直ぐ歩けなくなってしまったのだろう少女の複雑に歪んだ表情に、アーサーは静かに対峙する。
 噂を聞かなくなってしまってから、どんな世界を生きてきたのか――勝手に想いを馳せながらも、躊躇う様子からまだ一線は超えていなかったことは読み取れていた。
 ただその一線を、ここでも踏み止まらせることができるのか――こちらの正体に気づいてからの様子を見るに、不安が鎌首をもたげて来る。


(強制するわけにはいかないが……俺の希望ぐらいは、伝えてみてぇな)

 若い彼女には、未来がある。まだまだたくさんの人やポケモンと関わり、過ごして行く時間が。
 何かで挫折したって、まだまだ立ち直りやり直す時間がある。ましてやあの年であれだけのバトルセンスに、メガシンカを可能とするほどの絆をガルーラ親子と築いていたその可能性を、こんなところで終わらせて欲しくない。
 居場所なら――寂しいという気持ちに応えて傍にいてくれる者なら、少なくとも既に、アーサーにだってわかるところにいるのだから。

 ……とはいえ、この一ターンの猶予を得るために、余裕は全て捨ててしまった。アーサーとてまだまだいろんなポケモンに会いたいし、ギルガルド達を置いて先に逝くつもりはない。自分の方が残された未来は少ないとは言っても、やむを得ない場合には――

「――まぁ、なるようになるさ」

 楽観的なベテラントレーナーは独り言ち、次に発するべき言葉について考え始めていた。



      ○○○



 過去に縛られた少女と、未来を見据える老兵と。
 再会した二人の戦いは、そう遠くはない決着に、しかし今はまだ、至ってはいなかった。




【C-2/中央道路/一日目/日中】

【ホープトレーナーのマイ 生存確認】
[ステータス]:精神疲労(中)、思考がまとまらない
[バッグ]:基本支給品一式、ランダム支給品×1(確認済み)
[行動方針]優勝して賞金を得る――?
1:???


【ゲッコウガ♀/Lv50】
とくせい:へんげんじざい
もちもの:いのちのたま
能力値:おくびょうCSベース(H16n-1等微調整)
《もっているわざ》
ハイドロポンプ
あくのはどう
れいとうビーム
じんつうりき
※残りHP30%ほどです。
※こうげき、とくこうが2ランクダウンしています(ボールに戻せば元に戻ります)


【ガブリアス♀/Lv50】
とくせい:さめはだ
もちもの:こだわりハチマキ
能力値:いじっぱりAS特化
《もっているわざ》
げきりん
じしん
ストーンエッジ
アイアンヘッド
※現在瀕死状態です。



【ベテラントレーナーのアーサー 生存確認】
[ステータス]:健康
[バッグ]:基本支給品一式、ランダム支給品×1(確認済み)
[行動方針]パロロワ団の企みを阻止し、自分のポケモン達を取り戻す。
0:マイに対処する。できれば殺したくも殺させたくもない。
1:ダークライに対抗するために仲間を集める。
2:支給されたポケモン達にも意思を聞いてみたい。


【エルレイド♂/Lv50】
とくせい:ふくつのこころ
もちもの:きあいのタスキ
能力値:いじっぱりふくつのこころ込みで最速メガガルーラ抜き残り耐久調整及びA
《もっているわざ》
インファイト
サイコカッター
おきみやげ
トリックルーム
※現在瀕死状態です。

【リングマ♂/Lv50】
とくせい:こんじょう
もちもの:かえんだま
能力値:ゆうかん最遅HAベースやけどダメージ調整
《もっているわざ》
からげんき
かみくだく
じしん
まもる
※残りHP50%以下です。
※現在やけど状態です。

第25話 ただ疾走する 第26話 過去と未来の再会 第27話 私の世界に私だけ

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最終更新:2014年11月30日 20:09