「ラグナさん、カウンターの裏側にこんなのがありました!」
「何だそれは」
「ピッピにんぎょうです」
埃を叩き落として、コトリが見せつけて来た。
妙に顔のパーツの大きいピッピにんぎょうだった。
特に口が大きく、頭の半分以上を占めている。
「ピッピってこんな顔だったっけ……」
「知らねぇよ、パチモンだろ」
「それに何か一回り大きい気がする」
「だから知らねぇっての」
「可愛い~」
「いや可愛くねぇだろソレ!」
「でもとりあえず持っていくのよね?」
「一応な」
と、他愛のない雑談を交わす最中にも。
……。
また轟音が響いた。これで何度目だろうか。
戦いの余波によるものじゃない、おそらく建物を壊す事そのものが目的に思える。
「さっさとあの野郎をぶっ殺さねぇと、町全部が壊されかねない」
行くぞ、とコトリに声をかけて、外へと向かう。
外からこちらを覗き込む一人の少年が居た。
目が合うと、そいつはサっと引っ込んだ。
コソコソする態度にイラっと来たので、即座にヘルガーに追いかけさせた。
首根っこから引きずられて来た少年をとっ捕まえる。
「おい待て、なんだテメェは!?」
「いや、その、俺は怪しいもんじゃ」
「さてはテメェが町をぶっ壊してる野郎か!」
「ちが……俺じゃない! 話せばわかる!」
「覚悟は出来てるなコラァ!!」
「待ってくれー、待ってくれー!」
「ラグナさん落ち着いて! 話を聞いてあげようよ!」
胸倉を掴んだ辺りで、コトリに抑え込まれた。
我に返った俺はとりあえずポケモンセンター内へ連れ込み、少年を問い詰める。
するとその少年、ケイイチがこの数時間の事を話し始めた。
「自分よりも年下の少女の仕業か……」
「あぁ、どうみても普通じゃない様子だった。
腕にうっすら傷の跡が見えてたし、顔は青ざめてて、眼は虚ろだった。
俺の呼びかけも聞こえてない感じだったんだ」
ケイイチが見かけた参加者は皆、どこかおかしい様子だったそうだ。
初めに会ったオネェ言葉のトレーナーは、危険排除を理由に平然と殺人を犯した。
彼に殺されたトレーナーは、ケイイチの発言を綺麗事だと切り捨てた。
そしてこの町で暴れる少女も、……正気じゃない。
「混乱してるだけとは考えられないかな?」
コトリはそう口にして、さらに付け加えた。
「小さな女の子だったら、強いショックを受けてるだけかも……。
どうにか落ち着いてもらえれば、その子なら止める事も出来るんじゃないかな」
彼女自身もコロシアイから逃れるために、自殺を図ろうとした。
目の前で人が死に、さらに自分たちに殺し合いを強いられると言うのは、それだけ人を追い詰めてしまう力がある。
コトリよりもケイイチよりも幼い少女ともなれば、錯乱して暴れ出すのは全くおかしくない。
「それならさっさと行くぞ。これ以上騒ぎを広げるのは面倒だ」
「あっ、と。その前に一つだけ質問させてくれ」
ケイイチが室内を見渡しながら尋ねる。
窓からの日の光だけではない。もっと白っぽく照らされた室内。
「……何でこんなボロボロのポケモンセンターなのに、電気が点いてるんだ?」
「たぶん、パロロワ団が電気を通してるからだと思う。
ほら、ほとんどのモノが風化してるのに、蛍光灯だけ新しいでしょ?
おかしいな、と思ってさっきスイッチを押したら、こんな風に光ったんだ」
「パロロワ団としてもこの施設を利用させたい、って事なのか。
……と言う事はつまり、あの回復する機械も使えるのか!?
逃げてきたばかりだから、メブキジカを回復させる暇が無くて……」
そう言ってケイイチは回復する機械へと向かった。
◆
ラグナさんとコトリさんのポケモンが戦っている。
「グランブル―――ッ! 『あまえる』ッ!」
「エルフーン、『みがわり』よ!」
ニドキングとニドクインの攻撃を完全に抑え込む。
少女の必死の叫びも虚しく、彼らはエルフーンと言う壁を貫く事が出来ずにいた。
ラグナさんとコトリさんがポケモンを食い止めている間、俺が女の子のところへ向かい、説得しに行く。
足場のままならないガレキの上を、メブキジカはヒョイヒョイと渡ってくれた。
「なぁ、落ち着いて欲しい。このままじゃキミ自身が危険なんだ。
騒ぎを聞きつけた誰かが、キミを襲うかもしれない。
俺たちはキミを守りたいだけなんだ、だから……信じてくれ」
俺はメブキジカから降りて、女の子へとゆっくりと歩み寄る。
「怯えなくてもいいよ、本当に危害を加えるつもりはないんだ。
だから攻撃をやめて欲しい、俺たちの話を聞いて欲しい……!」
女の子は憎悪の目で俺を睨んでいた。
俺が一歩進むごとに、一歩ずつ後ずさりをしていた。
躊躇っちゃだめだ。こっちにやましい事なんて無い。
こっちの強い想いをぶつければ、きっと相手に伝わるはずだ。
「なぁ、……ほら、大丈夫だからさ」
「どうして……、どうして私ばかり邪魔されるの……。
どうして私ばっかり嫌な目に合うの……!?」
近づいた事で、彼女の腕の傷跡が改めてはっきりと見える。
コロシアイに連れてこられる前に、虐待か何かを受けてきたのかもしれない……。
その青ざめた顔も、やつれた瞳も。そんなストレスが積み重なってきたものなのか。
「アナタの言葉なんて聞きたくない……。
何でそうやって乱暴するの? 何で私ばかり責めるの?」
彼女の抱いた悲しみが爆発して、こんな風に暴走を始めたんだ。
それを止めるためにどうすればいい?
その悲しみを俺たちが包み込んでやらなきゃいけないんじゃないか。
少女は頭を抱えてうずくまった。
今にも壊れてしまいそうな、とても繊細なものに見えた。
「俺たちはキミに乱暴なんてしない。
キミがどんなに酷い目に遭ってきたかもわかる。
だから今だけでも、少しでもリラックスしよう」
彼女に前で膝をついて、そして手を差し伸べる。
「さぁ……俺たちと一緒に」
「………………お前に」
「お 前 に 何 が わ か る ッ !!」
ガレキが俺のこめかみに叩きつけられた。
激痛に呻きながら地面に倒れる。
「壊れろ! 壊れろ! 壊れろ、壊れろ、壊れろ!!!」
頭に何度も衝撃が走り、そのたにに強烈な痛みが積み重なる。
同時に意識が遠ざかるのを実感した。
俺の言葉は届かなかったらしい。
それどころか、彼女の逆鱗に触れてしまった。
俺のやり方は間違ってたのだろうか。
助けたいって気持ちが、伝わらなかった
……そういや、ニドキングを倒した時にあの子は叫んでた。
――ごめんなさいパパ! わがまま言ってごめんなさい!
――悪いのは私なの! 痛かった!? 苦しかった!?
――私も同じだけ苦しむから、私の事嫌いにならないで!
もしかして腕の切り傷は、虐待じゃなくて、あの子が自分で付けたのか……?
何もわかってなかったよな。
◆
ラグナはケイイチを救出し、コトリと共にその場を後にした。
【B-6/ソナイシティ/一日目/夕方】
【バッドガイのラグナ 生存確認】
[ステータス]:良好
[バッグ]:基本支給品一式、ふといホネ
[行動方針]主催者打倒
1:コトリを守る
2:ケイイチを手当する
3:ゲームに乗った奴は倒す
4:人が集まりそうな場所に向かう
▽手持ちポケモン
◆【ヘルガー/Lv50】
とくせい:もらいび
もちもの:いのちのたま
能力値:特攻、素早さ振り
《もっているわざ》
あくのはどう
オーバーヒート
ヘドロばくだん
めざめるパワー(こおり)
◆【グランブル/Lv50】
とくせい:???
もちもの:???
能力値:???
《もっているわざ》
あまえる
????
【メイドのコトリ 生存確認】
[ステータス]:不安
[バッグ]:基本支給品一式、不明支給品×1、みどりのかけら、ピッピにんぎょう
[行動方針]殺し合いには反対
1:ラグナに着いていく
2:ケイイチの様子が心配
◆【ラプラス/Lv50】
とくせい:ちょすい
もちもの:たつじんのおび
能力値:HP、防御、特攻、特防調整振り
《もっているわざ》
フリーズドライ
こおりのつぶて
なみのり
ぜったいれいど
◆【エルフーン/Lv50】
とくせい:いたずらごころ
もちもの:たべのこし
能力値:HP、防御振り
《もっているわざ》
ムーンフォース
やどりぎのタネ
みがわり
アンコール
【キャンプボーイのケイイチ 生存確認】
[ステータス]:気絶、頭部に怪我(甚大)
[バッグ]:基本支給品一式、ランダム支給品×3
[行動方針]:殺し合い反対派
1:とにかく殺し合いを止めたい
2:ラグナ、コトリと行動
3:オーレンに恐怖
▽手持ちポケモン
◆【メブキジカ/Lv50】
とくせい:
もちもの:
能力値:攻撃、素早さ特化
《もっているわざ》
ウッドホーン
????
◆【メタモン/Lv50】
とくせい:かわりもの
もちもの:こだわりスカーフ
能力値:HP、素早さ特化
《もっているわざ》
へんしん
【B-6/ソナイシティ/一日目/夕方】
【メルヘンしょうじょのシェリ 生存確認】
[ステータス]:健康、憎悪、絶望、悲しみ
[バッグ]:基本支給品一式、ランダム支給品×3
[行動方針]
1:何もかも壊してしまいたい
◆【ニドクイン(ママ)/Lv50】
とくせい:????
もちもの:なし
能力値:????
《もっているわざ》
なしくずし
のしかかり
だいちのちから
ばかぢから
◆【ニドキング(パパ)/Lv50】
とくせい:????
もちもの:なし
能力値:????
《もっているわざ》
なしくずし
あばれる
だいちのちから
メガホーン
最終更新:2015年02月13日 17:02