この廃倉庫にて行われた
朽木ルキアと
ガッツの戦闘から、凡そ20分が経過した。
警察は未だ此処には来ておらず、朱々とした現場には未だ大量の屍がそこらに転がっていた。
この世の終わりを見たかのような顔をしながらその肌を朱く染めている者もいれば、首から上を失っている者もいた。
そしてその倉庫の中心に、白い陣羽織を羽織った一人の男性がいた。
セイバーのサーヴァント、
朽木白哉。
此度の聖杯戦争において、「剣騎士(セイバー)」のクラスを与えられ現界した白哉を喚び出したマスターの職業は、刑事という物であった。
曰く、掟を破った人間を取り締まるのがその職業であるとか。
現世における死神の様な存在、と言った方が彼には解りやすいのかもしれない。
先程まで、白哉はあるサーヴァントを追っていた。
そのサーヴァントは瞬間移動能力を持っており、かなりの俊敏性を誇っていた。
白哉もまた「瞬歩」と呼ばれる死神の必須技能において非常に長けていたが、彼女はそんな小細工など使わずに姿を消してしまい、その結果見失ってしまったのだった。
死神が持つ霊圧察知能力を以ってすれば、瞬間移動をされても近い距離なら直ぐに探知出来るはずだが、しかし彼女の霊圧は直ぐに消えてしまった。
恐らく気配遮断の類を使ったのだろうか、彼女の気配を見失った。
そして今白哉は、この倉庫に彼女の霊圧に近い物を感じ取っている。
霊的存在とは、霊圧に近い痕跡を足跡の如く残す時がある。
つまり、恐らく彼女は一時此処に立ち寄ったのだろう。
恐らく、この死屍累々とした場は彼女が創りだしたものなのだろう。
彼にとってあの霊圧は感じ慣れているような物だった。
朽木白哉は彼女の姿を、名を知っている。
「兄(けい)が再びあの姿を見せるとはな……ルキア。」
妻の遺した義妹の名を、白哉は呟いた。
あの姿は、彼もまた一度しか眼にしなかった物であった。
死神の本部にして幽霊の世界たる瀞霊廷は嘗て、壊滅の危機に晒された事があった。
あの姿は、その元凶に乗っ取られた時の姿なのである。
その時はルキアに関する記憶を失っていたのだが、今でもその姿はよく覚えている。
あの姿から察するに彼女の魂は最早、彼女の物ではなくなっていた。
あるのは姉弟の魂か、それか別の何かだ。
無論、白哉とてルキアがあの姿で暴れることを見過ごす訳には行かないであろう。
しかし姉弟を憎むつもりはない。
彼等が死の間際に見せた笑顔、そしてルキアが流した涙。
あれを見れば、彼等が憎いという気持ちにもなれるはずがない。
況してや、自らが彼女を忘却した贖罪という訳でも無い。
強いて言うなら、「止めること」である。
あの姉弟が何を考えているのかは、彼等との付き合いの浅い白哉の知る所ではない。
しかし、何よりも大切な人が邪な道に進むと知れば、止めるのが己の役割だ。
彼女は今は亡き妻の忘れ形見であり、背中を預けて戦った部下の妻でもある。
例え彼女を二度目の死に追い込もうが、ルキアは己が止める。
人気のない夜空を見渡しながら、冷たい表情の裏に朽木白哉はそんな考えを巡らせていた。
しかし、聖杯戦争をさておいてもこの状況もまた見過ごせない物だ。
無数に散らばる屍をこうして捨て置くことなど出来はしないだろう。
白哉は早速思考を義妹の方ではなく、聖杯戦争の方に傾ける。
(マスターに念話を掛けるか)
白哉のマスターと言えば警官だ。
この手の件はその筋の人間に任せるのが妥当とも言える。
「マスター。」
白哉は己のマスターに念話を取る。
『やぶから棒にどうした、セイバー。』
「何やら気掛かりな物があるのだが、見てもらえぬだろうか。」
そう言い、白哉は宜野座との視覚を共有し、死屍累々とした光景をマスターに見せつける。
『……見慣れてはいるが、酷い有様だな、何処の地点だ?』
「えふの弐地点だ」
『分かった、今からでも同僚に通報する、お前はまた好きに動け。』
「了解した。」
宜野座との念話を切った白哉は、辺りの死体を一瞥した後、フッと霊体化し姿を消した。
しかし、それを見ていた者がいた。
倉庫の上にある鏡に、一人の仮面の男が突如映った。
其の仮面の男は、鏡からフッと飛び出て、スタッと死体だらけの地面に飛び降りる。
全身を鎧で包んだ仮面の男の名は、
北岡秀一。「弓騎士(アーチャー)」のクラスで現界したサーヴァントである。
北岡の宝具「消えない虹を掴むために(ゾルダのデッキ)」。
この様なライダーが持つカードデッキには、鏡の世界「ミラーワールド」に飛び込む機能が搭載されている。
彼は、ミラーワールドに閉じ籠もることで、此処らの現場を観察していたのだ。
今回、アーチャーが偵察していたのはイタリアにいた頃から既に存在が漏れていた組織である。
その組織はとあるイタリアンマフィアから武器を幾らか仕入れていたらしいが、ある事件でその事が明らかになっていた。
そして、その組織に鬼兵隊に関わる人物が関わっていたことも。
彼らの監視もまた、本人曰く台本にポツッと書かれている様な設定ではあるらしい彼の上司からの司令である。
そう言う訳で、アーチャーは彼らの事も目に入れているのだ。
ふと、北岡は緑色の装甲に包まれた己の腕を見つめる。
「しかし……ミラーワールドに長い時間いられないってのも酷いもんだねぇ……まるで水の中でしゃがみ込んでいるような気分だったよ全く。」
本来仮面ライダーは、大凡10分程ではあるが、ミラーワールドに入ることが出来る。
北岡を含める13人のライダーがサーヴァントとして喚ばれた場合、この様な能力も再現されているはず……なのだが。
それはライダーのクラスで喚ばれた場合での話だ、生憎弓兵として喚ばれた今の北岡はいつも以上にミラーワールドに滞在する事ができない。
まず、ミラーワールドと現実世界を行き来するためのライドシューターが使えない。
普通に飛ばされてミラーワールドに入るのだ。
おまけに此処に居られるのは大凡2.3分ほど、只の人間と同じ程度しか居られない。
やはりクラス制限というのは窮屈な物だ。
しかし、偵察という物は北岡には大変不相応な仕事であった。
そもそも北岡の仕事といえば弁護士、隠れんぼではなく口喧嘩が本領なのである。
資料集めならスーパー秘書こと由良吾郎の仕事だし、記者である城戸真司ならまだしも隠れるのは趣味じゃない。
セールスマンの振りをして家に入り込んだ事ならあるが。
北岡は、周りに転がる死体を見つめながら、死体を踏まないようにして出口に向かってゆっくりと歩く。
ただの人なら嘔吐しても可笑しくない空間ではあるが、北岡もまた手こそ掛けずともこういう惨状には慣れっこな人間であった。
寧ろ自分が何時病死することを待たずこの様な有様になるか分からない状況にあったのだ。
死体に何匹かハエが止まっているのが垣間見える。
出口を抜けた所で、背中を振り向き北岡は言葉を漏らす。
「しっかし流石に酷い有様だね、浅倉も此処まではしないでしょ。」
嘗ての宿敵、浅倉威もまた、この様な死体を何体も積んできたような男ではあった。
だが彼は時偶近くの人間を殺す程度で、一度に虐殺するような真似はそれ程はしなかった。
最も、この様な事をしてもそれ程可笑しくない人物でもあったことは確かだったのだが。
それに、こんな芸当が只の人では出来ないということは十分分かっている。
況してやこの国は平和国家を唄うだけあってそれ程一人の殺人数は他国と比べて酷くはない。
なにせ一人で30人を虐殺しただけで記録に入る程だ、だがこの屍体の数を見れば恐らくそれを超えているであろう。
そしてこの舞台のことを考えれば、この件は十中八九、サーヴァントの仕業と勘繰って間違いない。
そうとなれば、早速北岡はマスターに念話を送る事を決める。
北岡もマスターも、ゆずれない願いを賭けてこの場に立っている。
マスターはロール上それなりに情報通ではあるが、それでも時間がない。
仮にこの一件が聖杯戦争の勝利の鍵となるとしたら、北岡はそれに賭けてみたいと思った。
中々せっかちな行動だとも内心思う、多分デッキを手に入れたばかりの自分ならゆっくり動いても可笑しくないかもしれない。
(随分と俺も急ぎ足な奴になった物だな……城戸の馬鹿が移ったのかねぇ……)
心の中でそうボヤきながらも、北岡はマスターに念話を送る。
「マスター、もしもし聞こえる?」
『はい、もしもし。』
数秒の間を置いて己のマスター、アールからの連絡が届く。
「ちょっと興味深い奴見つけたんだけどさ、見てくれる?」
そう言い、北岡はアールとの視覚を共有する。
すると、直ぐにアールからの返答が返ってくる。
『オイオイマジかよ、俺もこういう光景は見慣れているけれどさ、しかし何でこんな事になったんだろうなぁ……』
アールから返ってきた声は、いつもの様な陽気な口調だった。
「こっちこそオイオイだよマスター、その口調から察するに、もしかしてアンタもこう言う光景、慣れちゃっているワケ?」
『忘れたかアーチャー?オレはイタリア兵でスパイで武器商人の商売敵を的にしまくった奴だぜ?』
「全く、良くもこう軽く言えるねぇ……俺も言えたようなモンじゃないけどさ……で、この一件、どうするの?」
ハァっと北岡がため息を付いた後、直ぐにアールの方針が帰ってくる。
『一応警察には連絡取るよ、遅かれ早かれ通報が掛かるのは時間の問題だろうし、寧ろ情報もお先に取れるかもしれねぇからラッキーかもだろ?』
「奇遇だねぇ、実は俺も似たような事、考えていた所なのよ。それじゃマグナギガをそちらに向かわせるからさ、この件の調査は警察と共同、という訳で。
それじゃ、待ってるから。」
其処まで話して念話を切った直後、北岡を纏っているゾルダのアーマーが鏡の破片となってパリンと散る。
露わになった緑色のスーツ姿を見せて、北岡は何処かやるせない表情を夜空に浮かべながら、光の粒子となって霊体化した。
【F-2/廃倉庫/1日目 夜(22:05)】
【セイバー(朽木白哉)@BLEACH】
[状態] 健康、霊体化
[装備] 斬魄刀
[道具]
[所持金] かなり裕福
[思考・状況]
基本行動方針: マスターを護る。
1. ルキアを止めたい。
2. マスターに居場所を教える。
[備考]
- バーサーカー(朽木ルキア)の姿を発見しました、生前に面識はありますが宝具まで知っているかは不明です。
- F-2の廃倉庫からルキアの霊圧を感知しています。
- 宜野座に居場所を教えるため、当分は此処に待機している。
【アーチャー(北岡秀一)@仮面ライダー龍騎】
[状態]健康
[装備]
[道具] カードデッキ
[所持金] かなり裕福
[思考・状況]
基本行動方針:第二の生命を手にする
1. 此奴は不味いでしょ
2. マスターに居場所を教えるため待機しておく。
3.マスターは護る。
[備考]
- ミラーワールドには長い時間(普通の人と同じぐらいの時間しか)入れないそうです。
- アールの護衛にマグナギガを向かわせています、外には出られませんが鏡越しに砲撃は出来るかと思われます。
◆ ◆ ◆
此処に、それなりに賑わいを見せている一軒の寿司屋があった。
チェーン店でこそ無いが、しかし中々にこの店は繁盛していた。
レトロな雰囲気を漂わす木材で敷き詰められた壁に、提灯の如く天井にぶら下がっている電球とこれまた木製なテーブル・カウンターが大変よくマッチしている店である。
如何にも老舗らしき雰囲気の店内では、老若男女問わず、様々な人間が食を囲んでいた。
建物が老朽化していようと、駅前に大手回転寿司チェーン店があるとはいえ味に関しては、この店も決して負けてはいない。
プラスチックの皿に握り終わったネタを只管カタコト置くより、カウンター越しで握る出来たての寿司の方が美味い……
そんな思いを込めて看板を支え続ける職人達のプライドが、寿司に込められ、皆の口に運ばれていった。
そしてこの寿司屋は、和食店にしては珍しく白ワインを店に置いていた。
寿司という食べ物には、日本食であるため一見日本酒が合うという先見的なイメージが強い。
しかし、プラスとプラスは噛み合わないのか、米で出来た日本酒はご飯には合わないのだそうだ。
しかし白ワインはその限りではない。
白ワインと寿司の相性の良さとは、文明開化の時点で既に発見されており、特に銀座の寿司屋で実践されていたという有名な話も残っている。
「とまぁ、そんな感じで、ウチの店もワインを出しているって訳よ。」
この店の板前は中々にフレンドリーで、彼と良く話をする常連もいるらしい。
アールという初対面の外国人相手にも、こうして気さくに会話をしている程にだ。
もう1時間程店内に座りっぱなしだが、この様にずっと話しっぱなしなのである。
しかもこの板前は、他の常連との話を代わりばんこに次々とこなしながらアールと会話しているのだという。
かの厩戸皇子も真っ青な聞き上手だ、恐らく10人の問いを直ぐに返せても可笑しくはないだろう。
「へぇ、其奴は驚きだねぇ、やっぱしワインは色んなツマミに合うモンだぜ全く。」
「アンタが日本語上手で助かるよ、それと、酒だけじゃなくて寿司もちゃんと食ってくれよ、一応此処は居酒屋とはちょっと違うからさ。
ホイ、トロマグロ二丁上がり。」
「グラッツェ。」
アールは板に乗せられたトロマグロ寿司を、ぱくりと口に入れ、直ぐにワインを口直しに飲む。
彼は中々の酒豪で、実際上司のソウからも食事より飲酒が多い、と良く言われる程である。
少なくともワイン一本で酔い潰れる程ヤワではなかった。
そして、板前はアールの隣に座っている青年、宜野座伸元にも声を掛ける。
「それに引き換え、アンタはワインのお代わりはしていない様だなオイ。」
「あまり、お酒は得意な方ではなくて。」
そう言って苦笑いを浮かべた宜野座は、板に残っているホタテを箸で掴んで食べた後、箸を置いてワイングラスを手に取り、くぴっと一口着ける。
宜野座が酒を飲み始めたのは、つい最近の話だ。
アルコールという成分は、少なかれど脳機能に悪影響を与える飲料故、犯罪係数を上昇させてしまう危険性がある。
その為、基本はバーチャル技術に近い物で代用されており、また宜野座も色相をクリアに保つために酒を絶っていた。
それには潜在犯であり酒好きであった父と一緒にされたくないという思いも込められていたのだが、その感情が無くなり潜在犯となった今では、よく酒を飲むようになった。
肝臓の働きは父ほどではない為、隣りにいるアールの様にガブガブ飲むことは出来ないが。
アールは、「鬼兵隊」の捜査の為にこの日本に送られたインターポールの捜査官だが、あまり日本のことは知らないとか。
そこで、彼と一番最初に接触した宜野座が彼の案内役を務めることとなった。
しかしアールはこの通り大変酒好きで、宜野座を連れてはこの様に店でガブガブ酒を飲む有様だ。
因みに次はキャバクラに行くとの話だ、風俗物がバーチャルで済まされており且つ清廉潔白な宜野座には馴染みのない店だ。
いや、僅かにデジャヴが感じられるが、気のせいだ。
(やはり、佐々山や縢に近い人柄だな……)
宜野座が脳内で浮かべた二人は、既に殉職しているのだが、何れもアールに近い性格ではあった。
酒豪な所はともかく、あのような洒脱で軽快な性格には、宜野座もよく肩をほぐされた物だ。
そういう点では、彼と出会えたのはある意味で幸運なのかもしれない。
と思ったその時である。
『マスター。』
ふと、己のサーヴァント、セイバーからの念話が届く。
彼はその卓越した霊感で、普段は偵察役に徹しているのだが、念話が来たということは、きっと何かがあったのだろう。
『藪から棒にどうした、セイバー。』
『何やら気掛かりな物があるのだが、見てもらえぬだろうか。』
◆ ◆ ◆
(マズいな……)
宜野座は、平静なフリをして心内で頭を抱える。
己のサーヴァント、セイバーが宜野座に与えた光景は、俗に言う「地獄絵図」のカテゴリに入る様だった。
その場に朱い飛沫が付着していない亡骸等一切存在せず、身体のパーツが飛んだ者が時折いるという壮絶な光景。
ハッキリと言って、これはただ事ではない。
人体で悪趣味な彫刻を作ったりすると言った猟奇的な殺人事件なら幾度も見たことはあるし、この様な事例も前代未聞という訳ではない。
ただ、やっていることが悍ましい事に変わりはない。
それに彼が無意識に父から受け継いだ刑事魂がざわつき始める。
此処にアールがいなければ直ぐに警察に連絡を取りたい所であるが、しかし此処で唐突に警察に電話したらアールに不審に思われること間違いなしだ。
そう考え、宜野座はスクッと椅子から立ち上がり、レジに足を運ぶ。
「おいおい、もう帰るのか?」
苦笑いを浮かべた店主が、笑いながら問いかけ、手でレジを弄る。
「はい。」
宜野座はそう言うと、財布から引き抜いた数枚の札を店主に渡し、釣り銭を受け取った後扉を開いて外に出る。
そしてポケットからスマートフォンを、すかさず取り出し、地図アプリを起動する。
彼が教科書でしか見たことのないスマホを使うのはこれで二度目だが、だからと言って元の世界から持ってきたウォッチを使ったら余計怪しまれる。
一応操作方法はほぼ変わらないので直ぐに起動出来た。
警察の通報は此処から出来なくもないが、警官とは言え現場から程遠い通報ほど怪しい物は無い。
そもそも現場に行かなければ始まるものも始まらないだろう。
それから、宜野座は電話帳からタクシーの電話番号を探し出し、通話ボタンを押す。
本来なら車での移動でも構わないが、何せ宜野座は酒を飲んでいる。
かと言って歩いて行けば相応に時間を潰すに違いない。
幸い、金ならセイバーがくれてやる程持っているので困らない。
そう考え、宜野座はスピーカーを耳に当てる。
◆ ◆ ◆
「随分とノリがワリィな、アンタの連れ。」
宜野座が店から去った後、相も変わらない態度で店主はアールに声を掛ける。
「まぁ、あまり飲みに行くのは好きじゃなさそうには見えるよな。」
アールに関わらず、ココとその部下は基本飲酒に躊躇いはない。
何時死ぬか分からない裏社会での仕事、そこで生き延びて帰ってきた時に飲む酒は、寧ろ本当に格別なものだ。
それにアールは相当な酒飲みなため、本当にほぼ毎日よく飲んでいる。
そしてアールが聖杯戦争の世界で飲む何度目かのワインに口を付けようとしたその時である。
『マスター、もしもし聞こえる?』
己のサーヴァント、アーチャーからの念話が届く。
アーチャーには鏡の中に入る、と言う極めて特殊な能力があった。
彼は偵察は趣味じゃないとボヤいていたが、しかし今こうして偵察を任せていたのだ。
声をかけられたということは、何かを掴んだということなのだろう。
そう確信し、アールは応答する。
『はい、もしもし。』
◆ ◆ ◆
「グラッツィエ、店主、それじゃまたな。」
宜野座が出て数分後、タクシーの予約をしてからアールもまた、笑顔で店を出た。
曰く、彼は酔いやすいから連れて帰る、だそうだ。
しかし、それは真っ赤な嘘である。
アールがアーチャーから見せてもらった光景、あれはハッキリと言って只者ではなかった。
いや、一応何度か見た経験はあるが、しかし監視対象がああもなれば見過ごすわけにも行かない。
鬼兵隊がまた何かやらかした、とまで行くかどうかは知らないが、只事では無いことは素人だろうと分かるだろう。
もしかしたらサーヴァントの仕業という事も有り得るかもしれない。
しかしどの道警察に知らされる事も考えると、やはりこれは警察と組んだほうが都合がいい。
そう考え、アールは現場に向かって通報しようと考える。
時間も無い上に酒豪といえど酔っているので、タクシーで行くことを考える。
そう考え、現場の位置を調べた後店を出て、タクシーの到着を待とうとするが……
「って、ミスター・ギノ、何で此処にいるんですか?」
口で丸を作り、微笑んだままアールは店に佇む宜野座に目を向け指差す。
アールの存在に気づいた宜野座も、眉を曲げて少し驚いた態度を見せる。
「ミスター・アールこそ、もう帰るんですか?」
「歩いて帰ろうとしたんですけれど、やはりタクシーで帰ろうとでも思いましてね。」
タクシーが到着するまで、残り10分。
此処から現場まで、5分程。
【E-5/寿司屋/1日目 夜(22:11)】
【宜野座伸元@PSYCHO-PASS】
[状態] やや酔っている
[令呪]残り3画
[装備] ポリスリボルバー
[道具] スマホ、ウォッチ@PSYCHO-PASS、警察手帳
[所持金] 普通
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に帰る。
1. 聖杯戦争に付いて調べる。
2. F-2にある現場に向かう。
[備考]
- 後十分程でタクシーが到着します。
- 高級シャンパンを一気飲みして吐くぐらいの肝臓の持ち主ですが酔っています。
【
アール(レナート・ソッチ)@ヨルムンガンド】
[状態] 少し酔っている(強い方)
[令呪]残り3画
[装備] スマホ
[道具] 銃
[所持金] 普通
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界に帰る
1. 鬼兵隊について調べる。
2. F-2にある現場に向かう。
[備考]
- 酒は強い方ではありますが一応酔っています。
- 後10分でタクシーが到着します。
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最終更新:2016年11月10日 19:45