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あなたのボイジャーが見つかるかもよ。

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2007年1月8日 社説:成人の日 87年生まれのつぶやき

20歳のみなさん、おめでとう。
と、かくいう私も同い年。自分で言うのもなんですが、本当に成長しました。
私たちが生まれた年は、バブルのただ中だったよね。
私? ケータイって呼ばれてます。当時は無名だったけど、今では日本人の4人に3人が持つまでに広がっちゃった。
最近は、お財布代わりに使えたり、居場所まで教えたりすることができるんだ。ほんと、重宝がられてます。
でも、最近、ちょっと風あたりが強くなって……。私のせいで「待てない人、せっかちな人が増えた」って言われる。
そういえば、駅前とかで待ち合わせしてる人が減ったような。みーんな、近くまで来て、私を使って居場所を確かめ合ってるもん。こくる(告白する)のも、ふるのもボタン操作で出来るし。待ち焦がれてとか、待てど暮らせどなんて言葉、死語になってしまいそう。
便利で簡単。でも、なんか、余裕のない世の中になったなあって感じがする。
そういえばおととしの春、JRの通勤電車が脱線し、たくさんの人が亡くなった。「お客様のため」といって、スピードアップさせたダイヤが組まれて、運転士が「遅れちゃいけない」とあせったのが原因じゃないかって言われている。
皮肉なのは、あの電車が「快速」という名前だったこと。「快さ」の一線、どこで踏み越えてしまったんだろう。
ファストフードの店も、パソコンの機能も「速さ」を競っている。故障した電化製品なんて、1年もたってないのに、部品がないって言われるもの。
速いことって、本当に幸せを運んでくれるのかなあ。待たなくてよくなった時間、何か有意義なことに使ってる?
このあいだ、最近の学生は人と話している最中にも私を使ってメールしてるって、ある先生が嘆いていた。その人、宇宙物理学者で、三重県の鈴鹿短大で学長している佐治晴夫さんという方。
いつも誰かと連絡を取り合っていないと自分の存在を確かめることができなくなっているって、若い人たちのこと、心配してた。目の前にいる生身の人間とのかかわりが大事なんだけどね。
先生はいろんな所で講演して、地球外生命体との交信の話をしてくれる。
私たちが生まれる10年前に飛び立ったボイジャーという探査機の話。今は、太陽系の端っこにいて、1秒間に15キロずつ、太陽から遠ざかってる。機内にはバッハのプレリュードのレコードを積んでいるんだけど、先生が米航空宇宙局(NASA)に提案したんだって。「地球外生命体との接触には聴覚への刺激が一番。それならバッハだ」ってね。
実現は不可能に近いよね。だけど、ボイジャーからの知らせを待ち続ける気持ち、きっと大切なことかもしれない。
みんなも1日に一度ぐらい、私を置いて、夜空を見上げてみたら。あなたのボイジャーが見つかるかもよ。

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