出典
2006年12月3日 河北新報・河北春秋
違ったのはサッカーのスタイルだけじゃない。文化も不思議だった。J2ベガルタ仙台の監督を解任されたサンタナさんは、こんな思いを強くしたのでは
▼続投をにおわせながら、手のひらを返すようにクビを通告する球団首脳。「君子は豹変(ひょうへん)す」。日本ではよくあることです
▼J1昇格を逃した責任を、監督だけに押し付ける。「ハラキリ」なら有名。しかし「詰め腹」までは知らなかったでしょう。「トカゲのしっぽ切り」。非礼はお許しを。球団の経営も苦しいのです。そこは「阿吽(あうん)の呼吸」で、と言っても無理ですね
▼この際、サンタナ語録をひもときましょう。最も重んじたのはフェアプレー。「勝つことだけを考えるのではなく、相手に敬意を払ってプレーする」。ベガルタサポーターには賛辞を惜しまなかった。「レギュラーが約束されている選手は1人(サポーター)しかいません。彼らの忠誠心は素晴らしい」
▼哲学的でもあった。「サッカーは人生と同じ。雨も晴れも雪も霧のかかる日もあります。解決できるのは我々だけです。人生は続きます」
▼勝負ごとは結果がすべて。が、「勝敗は兵家の常」という格言もあります。今後はブラジルに帰り、再び監督に就く機会もあるでしょう。ただ、地球の裏側にいる熱烈サポーターのことだけは忘れないで。