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エジェイ(SC24~SC116)

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rai6puk

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邪推SS/エジェイ(SC24~SC116)


地球軍古参の士官であり、歴史書にはブラウン派幹部としてその名の残る彼。
歴史家たちからは、同じブラウン派幹部でもバッカスやチャクラ等
人格を批判されても能力は評価されている人物たちとは違い
“ブラウンの太鼓持ち”
“ブラウン時代を象徴するかのような無能”
等の、散々な評価を受けている。
そんな彼が本当に無能であったのか、ここでは彼の歴史を追ってみることとする。

エジェイは、力の弱い少数民族の王子として生まれた。
しかし、彼が6歳のとき、一族は海賊に襲われ徹底的な暴行・略奪を受ける。
父と母を目の前で殺された彼は奴隷として海賊たちに連行され、奴隷商人に売り飛ばされた。
それからの彼の生活は、悲惨そのものであった。
その後すぐに彼は男娼として娼館で働かされ、娼婦として人気が落ちてきた後は
肉体労働用の奴隷として売り飛ばされた。
そんな悲惨な人生の中で、彼は一つのことを知った。
笑顔を浮かべていれば、周囲の辺りがほんの少しだけ柔らかくなるということを。
そうして、彼は常に笑顔を浮かべるようになった。自己防衛のために。
その笑顔は、張り付いた仮面のように、いついかなる時も崩れることがなかったという。

そうして奴隷として各地を転々としていた時、当時使えていたある地球軍要人の家に
ブラウンが訪ねてきた。これが彼の運命の転機となった。
エジェイの働きぶりを目にしたブラウンは感心し、その場で彼を買い上げた。
そして、自身の家で忠実な小姓として教育していった。
自身に恭順を誓う者ならば、出自や経緯に関係なく平等に扱う。
それは、悪名高いブラウンの数少ない美点の一つであった。

エジェイもまた、恩義あるブラウンの期待に応えるべく猛烈な努力をし
ブラウンの援助を受けて士官学校へ入学し、優秀な成績をもって士官学校を卒業する。
(余談であるが、当時に士官学校を首席で卒業したのが後の同僚であるバッカスであった)
その後はすぐに地球軍の士官として登用され、ブラウン派に所属。
同期であるバッカスやエジェイが使える以前からのブラウンの腹心であったチャクラら
後のブラウン派の主要幹部らと親交を深めていく。

王子ゆえにプライドの高いエジェイであったが、自身の能力がバッカスやチャクラ等
同じブラウン派の同僚と比較して遅れをとっているということを受け入れられる程度の度量はあった。
それゆえ、彼は自ら陣頭に立つことよりも、優れた能力を持つ人材を見出し
自身の忠実な部下とすることに重きを置いた。
そうして発掘されたのが、アカンディやワーナー、テラルバといった
銀河統一史マニアならば聞けばニヤリとするような玄人好みの将軍たちである。
もっとも、彼らはその優秀さ故にブラウンに見切りをつけ早々に他陣営へと移籍することになるのだが。

エジェイのもう一つの顔として、地球軍の公共事業管轄者という立場がある。
支配下にある各惑星の公共施設建築計画やインフラ整備計画等の責任者として、それらを取りまとめる立場にあった。
その立場から、支配下にある各惑星の多くの企業と深いコネクションを持っており
アグデッパ等の要人の款待や技術研究、用地確保等にそのコネクションを大いに活用した。
ララウィンが暗殺された場所も、エジェイがとある高級リゾートチェーンに依頼して用意した場所である。
ララウィンの応対をして暗殺部隊の準備ができるまでの時間稼ぎをしたのも彼であり
実際にララウィン暗殺の指揮を執ったのがチャクラであれば、エジェイはそのお膳立てをした
ララウィン暗殺の影の立役者であると言えるだろう。
概して、内務官僚として彼は優秀な部類であったと言える。

ブラウンの時代がくることを信じ、そのためにひたすら動き続けたエジェイ。
だが、時代の風はブラウンではなく、その息子プロベットに吹くこととなる。
コスタルでドーラが挙兵したのを受けデクレアに遷都したものの
ザクソンからの支援を受けるドーラの討伐に手間取るブラウン軍。
『ドーラ如きすぐに叩き潰せる』と高をくくっていたブラウン軍が浮足立つのを見計らうかのようにして
プロベットは土星で反ブラウンを掲げ挙兵を行った。
当時、ブラウンの強い推薦を受けてデクレア基地司令に着任していたエジェイは
プロベット軍への亡命を図るアグデッパ最後の子女ジュリアとその母キャサリン
さらにはブラウンの妃であるアムの逃亡を、監視をしていたにも関わらず許してしまうという失態を犯す。
相次ぐ要人の逃亡を受け、ブラウン軍内にはさらなる動揺が広がっていった。
(なお、この時エジェイはジュリアとキャサリン・アムの逃亡を許したとして三階級降格の罰を受け
基地司令を解任されたという記録がある)

各地にくすぶっていた反ブラウン派勢力を吸収し、急速に勢力を拡大したプロベット軍は
速やかにソース星系の平定を完了させ、ブラウンの本拠地でデクレアを目指して
イーズ星系へと侵攻の足を伸ばしていった。
ソース平定で勢いに乗るプロベット軍はここでも快進撃を続け、ナレッソ・バニモ両星を制圧した。
その中で、チャクラ、バラジャラらブラウン派の同僚が次々と戦死・脱走していく中でも
彼は決してブラウンの袂を離れることはなかった。
だが、結果としてブラウン軍は主星デクレアを残すのみという状況下まで追い込まれることになる。
そんな状況下にあったブラウン軍最後の切り札、オクトパス要塞。
ナレッソ・バニモに残っていた資金と人材・技術かき集めて建造した、文字通りの最終決戦兵器である。
本来ならば、エジェイがこの要塞の指揮を執るはずではなかったが
その頃のブラウン軍は人材不足が著しかったため、やむなく彼がその指揮官を務めることとなった。
当初はそんな状況を若干不安視していたエジェイであったが、オクトパス要塞は
カタログスペック通りの圧倒的な性能を見せた。
それは、戦場の指揮官としては凡庸な彼の采配を補って余りあるほどの性能であり
プロベット軍艦隊をデクレア手前で足止めさせることに成功する。

前述の通り、圧倒的なプロベット軍の物量を前に善戦していたエジェイとオクトパス要塞であったが
ある日、要塞内に入り込んでいたプロベット派の間者にオクトパスの設計書を盗まれるという
決して許されない大失態を犯してしまう。
おそらくは、これこそが彼を歴史家たちに無能と印象付けた最も大きな出来事であったのだろう。
だが、これには仕方がない面もあった。
間者の正体は彼が見出した最後の人材であり、当時の腹心であったドラムロ7位その人であり
エジェイとしてもドラムロが裏切るということは想定外であったのだろう。
しかし、結果として盗まれた設計図は速やかにプロベットの手に渡り、弱点の露呈した要塞は
一点に集中砲撃を受け、それまでの頑強さが嘘だったかのようにあっけなく轟沈した。

最後の腹心に裏切られたエジェイは、失意の中、要塞と共に果てるつもりであったが
残っていた将兵たちの手で強制的にデクレアへ脱出させられる。
まるで、自分たちを巻き込んでおいて楽な死に方はさせないとばかりに。

彼がデクレアに帰還した際、大勢はすでに決していた。
各地ではプロベット軍の傭兵や一部将兵らの手で暴行や略奪が繰り返されており
まさに地獄絵図の様相を見せていた。
司令部に戻った彼を、ブラウンは激しく叱責した。
いや、叱責というよりは罵倒という表現のほうが近いのかもしれない。
そして、事が済んだ後、ブラウンは自身が脱出するまで時間を稼ぐための捨て駒となるよう
エジェイに命令を下す。
彼は自身の意思でそれを受け入れ、格納庫に残っていたヘビーウォーカーを駆って
艦隊打ち上げ基地の防衛についた。
打ち上げの準備が進む中、雪崩のように迫るプロベット軍と雨のように降り注ぐ惑星直撃砲。
全ての武装を捨て装甲に特化させたエジェイのヘビーウォーカーは、文字通りの“盾”として
打ち上げ準備の最中、これらを受け止め続けた。
そして、最終防衛ラインが崩壊し、プロベット軍が目前に迫った時。
ブラウンの乗った高速艦はかろうじて宇宙へと打ち上げられた。
エジェイはそれを見届けると、ヘビーウォーカーと共に爆死を遂げた。
プロベット軍メカニックの一人は懐述する。
『損傷具合を考えると、あの機体は打ち上げ前にはとうに限界を超えていたはずだった』と。
だが、そうまでして守ったブラウンの高速船が打ち上げ直後にあっけなく拿捕されたというのは
エジェイにとってはなんとも皮肉な話であった。

戦後処理が進む中、ヘビーウォーカーの残骸から焼け焦げたエジェイの遺体が回収される。
遺体となっても、彼の顔は笑顔を湛えたままだった。
その後、彼がどこにどうやって葬られたのかという公式な記録は残っていない。
諸説あるが、現在はデクレアにある無縁墓地へと人知れず葬られたという説が有力となっている。

前述の通り、内務官としては優秀な部類であったエジェイであったが
戦場の司令官としては極めて凡庸であった。
個々人の能力よりも己への忠誠心と己の判断を重視するきらいのあったブラウンであったが
それを制御していたのがバッカスらブラウン派の知将幹部たちであった。
だが、帝国の最期期になるとブラウンは焦りと苛立ちから彼らの意見をことごとく撥ね退け
全てを独断で行うようになっていった。
このことが、ブラウン帝国の死期を早めたと言えるだろう。
エジェイの場合も、彼が基地司令や要塞司令といった分不相応な任務でなく
一内務官として職務を続けていたら───。
歴史に“もし”は禁物なのだろうが、そう思わずにはいられない。






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