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キョウカ&ノム(小説)

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邪推SS/キョウカ&ノム(小説)


キョウカとノム
『帰るべき処』

(1)
バン王の第三王女キョウカは、ドレスよりも鎧の方が良く似合う。
幼少よりお転婆で有名だった。
親族の女子が貴婦人の為のマナーと嗜みを体に染み込ませていた時分に,少女は戦争ごっこに熱中していた。
物静かな兄達が座学に勤しんでいた頃、少女は市井の少年達を従え,最先頭に立って敵方に突撃していた。
その戦いぶりは、父への尊敬ゆえだ。戦場のバンも覇王でありながら最先頭に立ち全速力で前進する恐れ知らずの勇者だった。
その父はというと、年をとってからの娘と言う事もあり、キョウカを殊更に溺愛した。キョウカがその日の模擬戦で大勝利を挙げたと
誇らしげに報告すると、父は娘の頭を優しく撫でながら,「女だというのに、お前は俺に一番似ている」と嬉しいような困ったような顔を
したものだ。そう言う時の父がキョウカは大好きだった。

長じてもキョウカのそうした性向は変わらなかった。士官学校を抜群の成績で卒業し,当然のように軍人となったキョウカは、
一国の王女でありながらエジェンダ艦隊所属の戦闘機パイロットになった。彼女の初陣は東ノースで反乱を起こしたトットンとの
三度目の大会戦、後に言う「第三次ペレス星系会戦」だ。
最前線に立って戦おう、亡き父の如く。前方には卑劣なる忘恩の徒、トットンの軍勢が見える。目標となる艦隊の指揮官は
トットンの第一王子で、まだ年端も行かない子供だという。甘やかされた青二才が。艦橋でただ一人佇む17歳の少女は、
じっと敵艦を睨み付けていた。

(2)
「放せ!下郎め!暴徒は礼儀も知らぬ畜生か!」
後ろ手に縛られながら司令室に引き立てられた少女は憎々しげにわめき散らした。
ご苦労、と係官を労って引き下がらせた後、トットンの第一王子にして第二艦隊総司令ノムは捕獲した敵将
―まだあどけなさの残る少女―に向き直った。
「やはり一刻も早く死して恥を雪ぐべきだな。貴様のような青二才に捕らえられたのだから!王家の名折れと言うもの。早く殺せ!」
そう叫びたてる捕虜の顔を司令官はじっと見つめていた。
「不憫なものだな。」
「同情など要らん!誇り高きバン家には敗者にかける慰めの言葉などないのだ!」
「いや、そういう意味で言ったんじゃない。」
この女は何も知らないのだ。国民から絶大な人気を得ている妹を疎ましく思ったからこそ、兄である覇王は彼女が最前線に出る事を
承認したという事を。自らの一族によって死地に追いやられたというのに、誇らしげに一族の誇りを口にするキョウカをノムは
心の底から不憫に思った。

しかし、同情の時間は、ここまでだ。
「さて、お姫様。そろそろおふざけは止めにして頂きたいのですが。」
ノムは柔和に、笑みすらたたえて言った。しかし、その目は少しも笑っていない。
「おふざけ?一体何の事だ?」
「ご冗談でしょう?姫君ともあろうものが、そのように服を着られたままだと、こちらも困ってしまいます。さあ、早く」
「ふ、服!?脱げと言うのか・・一体何のために!」
予想だにしない言葉に顔を真っ赤にする少女を見て、ノムはほくそ笑んだ。
「いやいや、ご冗談を・・・いや、待て。そうか。謀られた!何て事だ!」
柔和な態度から一転、真顔になる敵将にキョウカは戸惑う。
「お、おい。一体、・・どうしたと言うのだ。」
おろおろと不安げに見つめるキョウカに対して、ノムが返したのは大喝だった。
「黙れ!この下賎め!貴様がキョウカ王女の身代わりとなった影武者である事は分かっているのだ!さあ、本物はどこにいる?」
「な、下賎・・!?」
瞬間的に血液が沸騰し、罵り声を上げそうになるキョウカを押さえつけるように、ノムは続けて畳み掛ける。
「そうだ!仮にも王女ともあろうものが、貴人の作法、それも初歩の初歩も知らぬ筈はない!処刑する前に教えてやろう。
貴人というものは、敵の縛に付いた時は速やかに自らの衣を全て脱ぎ捨てるものなのだ。そんな常識も知らぬ貴様が、
麗しき王家の淑女である筈がない!」
知らなかった。王族の儀礼や作法など意にも介さず、子供の頃から走り回っていたキョウカには、それは初めて聞く事だった。
「さあ、誰でもいいから早く司令室に来い。卑賤の影武者を早くこの部屋から出すんだ!」
そう受話器にむかって怒鳴りつけるノムを、キョウカは慌てて制止した。このままでは処刑されてしまう。
誇り高い王女ではなく卑賤の者として!
「待て!・・冗談が過ぎたようだ。悪かった。」
そう言ってキョウカは身にまとった鎧を外し始めた。震える手で。

「これでいいのだろう・・?」
胸を隠しながら、一糸纏わぬ姿になったキョウカに対し、ノムの目は冷たいままだった。
「ふむ・・その御脱衣の物腰はやはり王族の証。疑ってすいませんでした。それで、・・いつまでそうしておられるのですか?」
「そ、そうして、とは?」
「足を閉じたままだと分からないでしょうが。『王家の誇り』が」
「な・・!?」
そんな所、父様にも見せた事がないのに!それに『王家の誇り』ってなんだろう。きっと私の知らないものだ。きっと高貴なものなんだ。
王族なら誰でも知ってるというのに。こんな事なら、儀礼についても勉強しておくべきだった!
「ま、待て・・。分かった。初めてのことで戸惑っていたのだ。勿論知らぬわけではないのだが、
そ、その、なにぶん習うたのが幼少の頃でな。さあ、今お目にかけよう。お、『王家の誇り』を。」
そう言ってぷるぷると震わせながらおそるおそる両足を開くキョウカの、恥じらいに満ちた顔を見て、ノムは舌なめずりした。
こりゃ、この調子で最後までいけるな。

(3)
父親はクズだった。そして、俺の体にはクズの血が流れている。
ノムはよくそう自嘲する。
父は手のつけられない放蕩者だった。美人と見るや誰であろうと声をかけ、ベッドに誘う。
ノムを連れて遊園地に行っている時ですら、平然とナンパに勤しむような男だ。
母は「ああいう人だから」と半ば諦めた調子だったが、ノムはそんな風には思えなかった。

ある時父は当時八歳のノムに言った。
「いいか、ノム。男には帰るべき巨乳というものがあるんだ。お前はこれから色んな巨乳に出会うだろう。
その中には良い巨乳もあれば、良くない巨乳もある。巨乳と言ってもさまざまさ。
だが、お前もやがて出会うだろう。絶対に離れられない巨乳にな。どんなに魅力的な巨乳に出会おうとも、帰るならここだな、
と思える巨乳というものが絶対にいる。お前も必ずや故郷になる巨乳を見つけなさい。それが幸福というものなんだ。
お父さんもそれを願っているよ。」
本当に最低の父親だと思う。
ある時、目立ちたがり屋の父親が立体テレビの討論番組に出ていた。彼の批判者が集計した所、二時間の討論の中で
女性器に類する単語を87回言ったという。ノムは子供ながらに情けなくて涙が出た。
討論の題目は「ラバウル防衛体制の中長期的新機軸について」だった。

そんなクズの父の血が俺の体にも流れている、とノムは自覚する。

年齢一桁の頃から女を知り、覇王になった今では四桁の経験人数を誇る。眉目秀麗な顔立ちに豊富な経験。
武将としてはまだまだ経験不足かもしれないが、こっちの世界では百戦錬磨だ。
それなのに、何だろう。この喪失感は。最近では巨乳を抱いていても、何か楽しくない。ノれないのだ。

「俺も、人生の中で見つけておくべきだったかなあ。帰るべき巨乳を。」

そう呟くノムの旗艦は敵の真っ只中にあった。旗艦を守るべき護衛はいなかった。

(4)
「尼寺に行きます。探さないでください」
ある日キョウカの元を訪ねたノムはそのような書置きを見つけた。
そんな事はしょっちゅうだ、とノムは軽く見ていた。しかし、キョウカは帰ってこなかった。
戦場で捕獲して以来、キョウカは最高の護衛だった。どんな戦場でも、いつも彼女が傍にいた。初めて抱いた時以来、
その翌朝に「責任を取って貰うぞ!!」と詰め寄られた時以来、ずっとだ。
浮気なら何度かバレた。その度にキョウカは激怒した。ある時など、部屋の真ん中で白装束を着て、刀を自分の首に当てながら
「これで恥を雪ぎます」と悟りを開いたような穏やかな面持ちで言った。後一歩止めるのが遅かったら大変な事になっていた。
それでも、これまではなんだかんだで猫みたいに戻ってきたというのに。
彼女の事を思い出すとノムはだんだん腹が立ってくる。
なんだ?尼寺って?いつの時代に生きておるのだお前は。
浮気といったって、第一、仕方ないじゃないか。あんなに大きくて柔らかいおっぱいだったんだからさ!
そこまで考えた時、憎むべき父親の血を自覚してノムは絶望した。

「直撃、来ます!」
「そうか・・」
絶望的な状況の中で、ノムは意を決した。
その時、突如として一機のスペースウォーカーが飛来した。その機は旗艦を襲うミサイルをすんでのところで破壊した。
ノムは目を疑った。そいつは、飛来してくる敵戦闘機をなぎ倒していく。
舞を舞うような美しい動きで、それはノムにとっては懐かしい舞で。

「我が名はキョウカ!我が王に刃を向ける者は、我が刃の冷たさを知れ!!」

その懐かしい声の響きを聞いて、ノムは思った。
父さん、アンタはやっぱり間違っていた。
帰るべき処は、巨乳ばかりとは限らないんだ。


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