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番外編『神話は今で言うラノベだってばっちゃが言ってた』

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番外編『神話は今で言うラノベだってばっちゃが言ってた』 ◆RFGz8y4N2E


神を信じるか?
と聞かれたら、答えはノウだ。
神様という存在は否定しない。居るかもしれない、居た方が面白いだろうから居てもいい。
しかし信仰するかと言えば、凉宮ハルヒには別問題だった。


「俺から妹キャラとのストロベリィなタイムを奪ってまで何しようってんだ」
部室に引き摺られて来たキョンは、呆れたような口調で呆れた言葉を問いかけた。
普通なのは最早見た目だけである。
「きひひ、相変わらずバカねぇキョン。不思議探索以外に何があるのよ?」
ハルヒは未だに抜けない笑い方で肩を震わせた。後遺症、と呼んだ方が良いでしょう。
それはハルヒ自身の打開策の結果だが、今となっては自分でも忌むべき症状だった。
互いに特段気にはしないが。
「…で、今日のはなんだ?俺はすぐにでも妹キャラをこの角でぐりぐりしたい訳だが」
「卑猥なこと言ってんじゃないわよ変態」
「心外だ、紳士と言ってくれ」
「きがくるっとる」
「その通り」
「訳分かんないのよ」
正面から顔に拳を叩き込み、床に転げるキョンを見下ろしながら腕を組んで仁王立ちになる。
「と言う訳で今日は正夢についてよ」
「ズッタズタ!口の中ズッタズタだよズッタズタ!」
「うるさいわね!このキノコ野郎が!」
「ぐえあ 何故キノコ…」
「局地のテント的な意味で」
「納得。…ん……正、夢?」
キョンはその言葉に片眉を跳ね上げる。
夢と言えば彼等…取り分け凉宮ハルヒにとっては触れたくない物の筈だったからだ。

凉宮ハルヒは夢に悩んでいた。だいぶ前の話だが。
光の人間に囲まれる夢だった。顔もない、光で出来た人間達。曖昧で覚えていることは殆んど無い。
光人間は消えていく。暗闇の中で希望が消えていく。なす術なく、ただ消えていく。
 自分はなんて無力でちっぽけな存在なのだろう?
 何か出来るつもりだったのに、誰か救える筈だったのに…
悲しくて恐ろしくて…つまりは悪夢だった。
しかし、いつしか打開策が示される。
自分は何でも出来る。自らが光をなぎ倒すことで恐怖も不安も全てなくなる、と。
それが幾夜も続く夢…彼女の自分信仰はそれと時期を同じくして始まる。

彼女は一時期、彼女自身を崇めていた。

「そーよ。正夢、または現実に影響を及ぼす様な夢。キョンも変な夢ぐらい見るでしょ」
「夢はハナっから変だろ…常識でかんg」
「じゃあ気になる夢は無いって言う訳?」
挑むように至近距離で見上げられ一瞬たじろいだ。思考を巡らせ、気になるって程じゃないが、と一言おく。
「妹を求めて敵をバッタバッタと倒す夢なら」
「ただ性癖の丸出しじゃない。なまじヒーローぶってるだけ不快よ」
「おま…」

キョンはそんな夢を最近は見ない。寝ても覚めても妹を追い回しているおかげ、という事か。
そして凉宮ハルヒもまた、寝ても覚めても神を気取っていた結果…夢から覚めてしまった。
最後に見たのは光の人間達と何故かサッカーをする夢だった。
率先してボカスカとボールを蹴るのだが、よく見るとそれには黄色のリボンが付いていて―――
…寝起きで過呼吸なんて生まれて初めての経験だった。
そんな夢の終焉と同時に自分信仰も収束を迎える。恥の自覚と共に。

神を信じるか?
答えはNO。圧倒的NO。
自分は神ではなかったのだから、信ずるに足る神などない。
そんな結論を叩き出す彼女の脳…それが所謂ひとつの後遺症だった。

「そんな事より、他にもあたしみたいな『凄い夢』を見てる人が居るはずよ。その数、内容が知りたいわ」
「お前は世界の基準じゃあ…」
「じゃないなら何が基準になるっていうのよ?ブツブツ言わないで行きなさい!」
「行け…ってぇ、俺ひとりでか!?」
「単騎よ。沢山サンプルが要るわ。あたしはHPのBBSチェックして待ってるから安心して行きなさい。正に単騎待ちよ!」
ひとり何故か盛り上がるハルヒに、クレイジーだぜ、と額に手を添え首を振る。
こうと決めたら曲げない事は知っているので聞き込みに出掛けるしかないようだ。
「じゃ、最低でも半径10kmはノルマだから」
「プゲラwwねーよwww」
「その辺聞いてすぐ帰ってきたらブッ飛ばすからね。このドアを開けたときが最期よ!」
「ちょ、ちょっと待て!」
貴重な放課後を無意味なマラソンで潰すなんて冗談じゃない。
――俺には再びyouちゃんを奪還し…くんかくんかする権利がある!
「半径10kmとは言わんがな、沢山の状態を集める手段はBBSと脚以外にもあるぞ」
そう言って携帯をシャキンと取り出して見せるが、ハルヒは解せない表情を返す。
「アンタにそんな知り合いが居るとは思えないけど」
「俺の不正に手に入れた幼女宅TEL番は108まである」
「ろくでもないわね。よくやったわ」
さぁさぁ早く掛けろと促され、最近手に入れた某宅へ電話をかけてみた。
暫くコールが続き、ついにハルヒにも聞こえるような可愛らしい声が響いた。
『もしもし南です』


☆ ☆ ☆


「…ちょっと、キョン?」
聞いてはいけない種類の台詞を吐いたキョンの顔を覗き込む。
「…アンビリーバボゥ」
「何がよ」
変質者…もとい、キョンの呟きに間髪入れずハルヒは突っ込んだ。携帯をパタンと閉じると、キョンは虚空を見詰める。
「妹がギャンブラーっぽい声でぱんつ履いてないっ…!」
苦々しく、心底切なそうで苦しそうで今にも泣きそうな怒りそうなそんな声で何故か鼻血が少し出ている。
「…キョーン?」
「……ああああわわてるてるなこれは孔明のわなわななだ」
「…けひゃひゃ…良い度胸じゃないの。この私を無視して妹妹妹妹妹妹妹妹妹…」
「馬鹿言うな!お前より妹の方がよっぽど美味しいですwwww異論は認めな…」
草まで生やしてからハルヒの禍々しいオーラに気付き、さぁっと青ざめた。
およそ“可愛らしい”とは言えない笑みを浮かべながらハルヒは一歩、また一歩とキョンに近づいていく。
「あー、そのなんだ…そもそもお前はだなハルヒ、荒唐無稽な夢に当てられて“やっちまった”ってだけで正夢でもなんでも…」
「ふぅぅん?」
「れ、冷静に考えればな?だから闇雲に体験を聞いて回るなんて…止めようぜこんな事…きりがなかろうぜ凉宮さん…」
「へぇぇえ?聡明ねぇキョンって?憧れるわぁ頭イイ人」
「わっふるわっふる」
ハルヒは腕を伸ばし、強張るキョンの頬から顎を指先でねっとりとなぞった。
あぁん…これはこれで…と思いかけたキョンにハルヒがやんわりと問い掛ける。
「あたしの名前を言ってみなさい…」
「…あ………あなたが神か?」
「 バ ー カ !(AA略」
「ちょおま理不尽にも程があるってかホントすんませんゆっくり許していっt」
「許す?ねーよwww屈辱を味わって氏ね!HALヒ文化アタック!!」
「ケツがアッー!!」


ハルヒは椅子に深く腰掛けると、机上のキーボードに踵落としを食らわせ脚を組む。
「あたしはSOS団団長に決まってるじゃない。バカね」
位置的にパンツ丸見えだが、当のキョンは尻の痛みに悶絶しているから問題はない。
両腕をうーんと伸ばしながら、欠伸をした。
「さ、不思議探索のために…ひとつ夢でも見ようかしら」




今度は絶対、はっぺーえんどってヤツを見てやるわよ。







※HALヒ文化アタック=廻し蹴り

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