第128話:まれびと
「ああ、くそっ! ついてねえ」
ジェイスはこぼした。ずっと森の中を歩いているが誰一人見つからない。
今はH-2地区あたりだろうか。
「殺しあう以上楽しみてえんだがなぁ」
改めて地図を開くと、H-1地区には神社があった。
きっと誰かが隠れているに違いない。
「もう後には戻れねぇ・・・」
ひとりでに唇の端がつり上がる。
ジェイスは疾走した。まだ見ぬ獲物を求めて。
ジェイスはこぼした。ずっと森の中を歩いているが誰一人見つからない。
今はH-2地区あたりだろうか。
「殺しあう以上楽しみてえんだがなぁ」
改めて地図を開くと、H-1地区には神社があった。
きっと誰かが隠れているに違いない。
「もう後には戻れねぇ・・・」
ひとりでに唇の端がつり上がる。
ジェイスは疾走した。まだ見ぬ獲物を求めて。
オドーは思考していた。仲間との合流を急ぐか、それとも見知らぬ者と手を組むか。
「どちらにしろ、どちらにしろ単体行動は危険だ」
イカれたゲームの中とはいえ油断はできない。
敵が複数の場合は、いくら自分に「悪臭」(指ぱっちん)があっても不利なのは確実である。
「とりあえず、とりあえず協力者が必要だ」
しかし、さきほどからG-1,G-2,H-1地区を歩き続けているのに、人の気配すら感じない。突然。
「!!」
オドーは悲鳴と破壊音を聞いた。声は十代女性。
「たしか、たしか向うには日本の神社と呼ばれる建築物があったはずだ!」
戦いを止めねばならない。
「己の、己の信じる正義と自由のために」
「どちらにしろ、どちらにしろ単体行動は危険だ」
イカれたゲームの中とはいえ油断はできない。
敵が複数の場合は、いくら自分に「悪臭」(指ぱっちん)があっても不利なのは確実である。
「とりあえず、とりあえず協力者が必要だ」
しかし、さきほどからG-1,G-2,H-1地区を歩き続けているのに、人の気配すら感じない。突然。
「!!」
オドーは悲鳴と破壊音を聞いた。声は十代女性。
「たしか、たしか向うには日本の神社と呼ばれる建築物があったはずだ!」
戦いを止めねばならない。
「己の、己の信じる正義と自由のために」
オドーの向かう先では、鉄パイプを持ったかなめとジェイスがにらみ合っていた。
自分が目覚め、しずくと会話していると、いきなり剣を持つ男が飛び込んできたのだ。
「朝っぱらから失礼なやつね、デリカシーってもんがないの?」
日々宗介といるおかげで、デリカシーゼロの人間と付き合うのも、襲撃者との戦闘も体験したが、今回はなかなかヘヴィな状況である。
しかもしずくは、飛び込んできた男に剣で吹き飛ばされて倒れている。
援護は無く、今は虚勢で相手になめられようにするので精一杯だ。
「千鳥かなめ絶体絶命の危機ってヤツね、これでいったい何度目なのよ」
相手に聞かれないようつぶやき、今は居ない戦争馬鹿を思う。
「何が祭られてるのかしらないけが。ここの神に祈ってみるかお嬢さん?」
自分の心を見透かしているかのように男は笑う。ガウルンを思い出すのは気のせいだろうか?
宗介は今どうしているのだろう? だめだ、今彼を思うのは危険すぎる。
「けりつけようぜ、お嬢さん」
男が跳躍した。かなめは僅かに動揺し、見上げることしかできなかった。
次の瞬間死の使いが振り下ろされた。
自分が目覚め、しずくと会話していると、いきなり剣を持つ男が飛び込んできたのだ。
「朝っぱらから失礼なやつね、デリカシーってもんがないの?」
日々宗介といるおかげで、デリカシーゼロの人間と付き合うのも、襲撃者との戦闘も体験したが、今回はなかなかヘヴィな状況である。
しかもしずくは、飛び込んできた男に剣で吹き飛ばされて倒れている。
援護は無く、今は虚勢で相手になめられようにするので精一杯だ。
「千鳥かなめ絶体絶命の危機ってヤツね、これでいったい何度目なのよ」
相手に聞かれないようつぶやき、今は居ない戦争馬鹿を思う。
「何が祭られてるのかしらないけが。ここの神に祈ってみるかお嬢さん?」
自分の心を見透かしているかのように男は笑う。ガウルンを思い出すのは気のせいだろうか?
宗介は今どうしているのだろう? だめだ、今彼を思うのは危険すぎる。
「けりつけようぜ、お嬢さん」
男が跳躍した。かなめは僅かに動揺し、見上げることしかできなかった。
次の瞬間死の使いが振り下ろされた。
「つまらん、つまらんぞ。貴様は」
声とともにかなめは3つの音を聞いた。
1つは神社の入り口に居る男から。
1つは自分の頭上で男の頭を砕いた時のもの。
1つはその力がそのまま剣を砕いた時のものであった。
そして聞いた順に音は大きく神社の中に響いた。
下を見ると今さっき自分に切りかかった男が倒れている。即死だ。
「手加減、手加減できぬ左手でな。本命を使うしかなかった、許してくれ」
前を見た。入り口には体格の良い老人が立っている。
「なに? 今の?」
安堵とともに今までしまっていた恐怖が湧き出てきた。
しかし彼女の口から出た言葉は、ウィスパードとしての好奇心から来るものだった。
「簡単な、簡単な手品と言っておこうか、私は悪臭と呼んでいる。
そして私はオドー、協力者を探している」
「ならもうここに一人居るわ。私は千鳥、千鳥かなめよ」
「ここにも居ますよ。戦力外ですが」
吹き飛ばされたはずのしずくが立ち上がる。
「こう見えても頑丈でして」
「それは、それはなによりだ。ところでこの男は何者だ? 危険なので排除したが」
「ゲームに乗った奴じゃないの? とりあえず助けてくれてありがとう。感謝するわ」
「それは、それはかまわん。信念に従ったまでだ。だがこれからどうする?
今の音は響いたはずだ。近くの者が集まるぞ」
こういう時のかなめの行動は早い。荷物をまとめ始めた。
「移動しましょ。とりあえず公民館目指して。日が昇り始めてるし、ぐずぐずしてると見つかるかも」
「その道は、その道は安全だ。私が飛ばされたとき近くに人は居なかった。
海沿いに進むのが良かろう」
荷物をまとめながらしずくが答える。
「もしかするとBBが拾ってくれるかもしれません。そろそろ6時になりますね」
「6時って言えば放送・・・」
まさにその時声が聞こえてきた。
声とともにかなめは3つの音を聞いた。
1つは神社の入り口に居る男から。
1つは自分の頭上で男の頭を砕いた時のもの。
1つはその力がそのまま剣を砕いた時のものであった。
そして聞いた順に音は大きく神社の中に響いた。
下を見ると今さっき自分に切りかかった男が倒れている。即死だ。
「手加減、手加減できぬ左手でな。本命を使うしかなかった、許してくれ」
前を見た。入り口には体格の良い老人が立っている。
「なに? 今の?」
安堵とともに今までしまっていた恐怖が湧き出てきた。
しかし彼女の口から出た言葉は、ウィスパードとしての好奇心から来るものだった。
「簡単な、簡単な手品と言っておこうか、私は悪臭と呼んでいる。
そして私はオドー、協力者を探している」
「ならもうここに一人居るわ。私は千鳥、千鳥かなめよ」
「ここにも居ますよ。戦力外ですが」
吹き飛ばされたはずのしずくが立ち上がる。
「こう見えても頑丈でして」
「それは、それはなによりだ。ところでこの男は何者だ? 危険なので排除したが」
「ゲームに乗った奴じゃないの? とりあえず助けてくれてありがとう。感謝するわ」
「それは、それはかまわん。信念に従ったまでだ。だがこれからどうする?
今の音は響いたはずだ。近くの者が集まるぞ」
こういう時のかなめの行動は早い。荷物をまとめ始めた。
「移動しましょ。とりあえず公民館目指して。日が昇り始めてるし、ぐずぐずしてると見つかるかも」
「その道は、その道は安全だ。私が飛ばされたとき近くに人は居なかった。
海沿いに進むのが良かろう」
荷物をまとめながらしずくが答える。
「もしかするとBBが拾ってくれるかもしれません。そろそろ6時になりますね」
「6時って言えば放送・・・」
まさにその時声が聞こえてきた。
【065 ジェイス 死亡】
【残り 95人】
【残り 95人】
【正義と自由の同盟】
【H-1/神社付近/1日目・05:55】
【オドー】
[状態]:健康
[装備]:デイパック一式とアンチロックドブレード(戯言シリーズ)
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:協力者を集める。知人と合流。仲間を守る。
【H-1/神社付近/1日目・05:55】
【オドー】
[状態]:健康
[装備]:デイパック一式とアンチロックドブレード(戯言シリーズ)
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:協力者を集める。知人と合流。仲間を守る。
千鳥かなめ
[状態]健康。オドーに感謝。
[装備]陣代高校の制服、鉄パイプのような物(バイトでウィザード、「団体」の特殊装備)
[道具]デイパック一式。
[思考]戦う意思は無し、宗介・テッサと合流したい。公民館へ向かう。
[状態]健康。オドーに感謝。
[装備]陣代高校の制服、鉄パイプのような物(バイトでウィザード、「団体」の特殊装備)
[道具]デイパック一式。
[思考]戦う意思は無し、宗介・テッサと合流したい。公民館へ向かう。
しずく
[状態]健康。機能異常は無いがセンサーが上手く働かず。
[装備]上下一体の白いスーツ、エスカリボルグ(撲殺天使ドクロちゃん)
[道具]デイパック一式。
[思考]戦う意思は無し、BBと合流したい。二人についてく。
[状態]健康。機能異常は無いがセンサーが上手く働かず。
[装備]上下一体の白いスーツ、エスカリボルグ(撲殺天使ドクロちゃん)
[道具]デイパック一式。
[思考]戦う意思は無し、BBと合流したい。二人についてく。
[備考]:H-1→D-1目指して移動中
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