第317話:The quartet goes to the west 作:◆7Xmruv2jXQ
 陽の光が薄い森の中。
女二人に男が二人、かなりのペースで森を踏破していた。
前を歩く女性陣のコース取りがいいのだろう。
障害の多い地形にも遮られることなく、四人は西へと進んでいく。
女二人に男が二人、かなりのペースで森を踏破していた。
前を歩く女性陣のコース取りがいいのだろう。
障害の多い地形にも遮られることなく、四人は西へと進んでいく。
「おのれ……なぜこの天才が荷物持ちなど」
「あきらめろ。オレ達の扱いなんてこんなもんだ」
「あきらめろ。オレ達の扱いなんてこんなもんだ」
 不遇を呪うは白衣にお下げ、半ば木枠がはみ出てたバックを背負い、同じバックを左手で抱えた少年――――コミクロン。
コミクロンは自分と同様二つのバックを抱えた相方・ヘイズの諦観を聞くや否や、無意味に大きくかぶりをふり、唾を飛ばして訴えた。
口を開くのに合わせてこれまた無意味に目の奥が光る。
コミクロンは自分と同様二つのバックを抱えた相方・ヘイズの諦観を聞くや否や、無意味に大きくかぶりをふり、唾を飛ばして訴えた。
口を開くのに合わせてこれまた無意味に目の奥が光る。
「なぜだ、ヴァーミリオン!
俺達は今いわれのない労働を強いられているんだぞ!?
俺は認めん、断じて認めん!
そもそもこういうのはキリランシェロかハーティアの役目だろうに。
くそ、こういう時になぜあいつらはいないんだ!
弁護士だ……腕利きの弁護士を呼べ!」
「いいじゃねえか、バック持つくらい。
向こうは女の子なんだしよ……――――今でも信じられないけどな」
「うむ、残念ながら黒魔術士は性差廃絶主義だ。
そもそもこの天才に言わせれば、女がか弱いなどというのは史実離婚の妄言だな。
政府の巧妙なプロパガンダ以外のなにものでもない!
アザリーなんか、にっこり笑いながらリンゴを片手で握り潰すんだぞ!?
あの怪物どものどこがか弱い!?」
「シジツリコン…………事実無根のことか?
とりあえず落ち着け、コミクロン。
そのアザリーとやらは知らんが、あの二人にリンゴは潰せんだろ。
せいぜい果物ナイフで人体バラす程度のはずだ」
俺達は今いわれのない労働を強いられているんだぞ!?
俺は認めん、断じて認めん!
そもそもこういうのはキリランシェロかハーティアの役目だろうに。
くそ、こういう時になぜあいつらはいないんだ!
弁護士だ……腕利きの弁護士を呼べ!」
「いいじゃねえか、バック持つくらい。
向こうは女の子なんだしよ……――――今でも信じられないけどな」
「うむ、残念ながら黒魔術士は性差廃絶主義だ。
そもそもこの天才に言わせれば、女がか弱いなどというのは史実離婚の妄言だな。
政府の巧妙なプロパガンダ以外のなにものでもない!
アザリーなんか、にっこり笑いながらリンゴを片手で握り潰すんだぞ!?
あの怪物どものどこがか弱い!?」
「シジツリコン…………事実無根のことか?
とりあえず落ち着け、コミクロン。
そのアザリーとやらは知らんが、あの二人にリンゴは潰せんだろ。
せいぜい果物ナイフで人体バラす程度のはずだ」
「あんたらさ、ひょっとしてわざとやってるの?」
さきほどから後方でわめいている子分二人を半眼で見やり、火乃香は深くため息をついた。
眉の間に無意識に皺が寄る。
軽い頭痛を感じるのは気のせいなのかそうでないのか。
海洋遊園地に向けて歩き出してまだ五分も経っていない。
その間にコミクロンが叫ぶこと七回。
ヘイズが合いの手を入れて悪化すること三回。
後方が騒がしくなるたび一睨みして黙らせていたのだが、さすがの火乃香も根負け寸前、
メリットに釣られて二人を仲間にしたのをこっそり後悔する有り様だった。
居合い使いの忍耐をわずか五分で削りきるのは、偉業といえば偉業ではある。
もっとも相方のナイフ使いは無表情のまま歩みを止めない。
木の根を越えてすいすいと進んでいく。
心なしか後姿が楽しそうに見えるのは、まあ目の錯覚だろうと火乃香は判断した。
さきほどから後方でわめいている子分二人を半眼で見やり、火乃香は深くため息をついた。
眉の間に無意識に皺が寄る。
軽い頭痛を感じるのは気のせいなのかそうでないのか。
海洋遊園地に向けて歩き出してまだ五分も経っていない。
その間にコミクロンが叫ぶこと七回。
ヘイズが合いの手を入れて悪化すること三回。
後方が騒がしくなるたび一睨みして黙らせていたのだが、さすがの火乃香も根負け寸前、
メリットに釣られて二人を仲間にしたのをこっそり後悔する有り様だった。
居合い使いの忍耐をわずか五分で削りきるのは、偉業といえば偉業ではある。
もっとも相方のナイフ使いは無表情のまま歩みを止めない。
木の根を越えてすいすいと進んでいく。
心なしか後姿が楽しそうに見えるのは、まあ目の錯覚だろうと火乃香は判断した。
「つまらないことで騒いでて襲われでもしたら目も当てられないからね。
すこし音を抑えて。 ……コミクロン、次騒いだらお下げを片結びにするよ」
「なっ!? お、横暴だぞ!」
「言ったろ、ワンランク下だって。子分は親分の言うことを聞かなきゃね」
「あきらめろ、コミクロン。お前の扱いなんてこんなもんだ」
「裏切る気かヴァーミリオン! 自分には罰がないからってずるいぞ!」
「ずるいってあんた……。じゃあ、ヘイズは騒いだら髪を全部青くするってことで」
「……勘弁してくれ」
すこし音を抑えて。 ……コミクロン、次騒いだらお下げを片結びにするよ」
「なっ!? お、横暴だぞ!」
「言ったろ、ワンランク下だって。子分は親分の言うことを聞かなきゃね」
「あきらめろ、コミクロン。お前の扱いなんてこんなもんだ」
「裏切る気かヴァーミリオン! 自分には罰がないからってずるいぞ!」
「ずるいってあんた……。じゃあ、ヘイズは騒いだら髪を全部青くするってことで」
「……勘弁してくれ」
 不毛な騒ぎは一分ほどで終結した。
その間無言で歩き続けたシャーネに追いつくために、若干駆け足になる三人。
追いついてからは駆け足の音も消え、奇妙な静寂が四人を包んだ。
その間無言で歩き続けたシャーネに追いつくために、若干駆け足になる三人。
追いついてからは駆け足の音も消え、奇妙な静寂が四人を包んだ。
(なんか、逆に落ち着かないかもね)
 胸中で頬をかきながら火乃香はシャーネの背中に従う。
少女はその細腕に似合わず卓越した刃捌きで枝を払っていく。
その分後続は楽に歩けるはずなのだが、最後尾のコミクロンは木枠が邪魔で幾分苦労しているようだった。
時々白衣の裾を自分で踏んづけて、べちゃりと潰れている。
少女はその細腕に似合わず卓越した刃捌きで枝を払っていく。
その分後続は楽に歩けるはずなのだが、最後尾のコミクロンは木枠が邪魔で幾分苦労しているようだった。
時々白衣の裾を自分で踏んづけて、べちゃりと潰れている。
 葉の擦れる音が耳に馴染んできた頃、森の出口が見え始める。
ここから先は平原だ。
南へ行けば城があるし、真っ直ぐ西へ進めばまた森に入ることになる。
どちらも危険度は未知数だ。
否、もとよりこの島に安全な場所などない。
必要なのは危険を払いのけるだけの実力だ。
多少手荒なことになっても、この面子なら切り抜けられるという自信はある。
ここから先は平原だ。
南へ行けば城があるし、真っ直ぐ西へ進めばまた森に入ることになる。
どちらも危険度は未知数だ。
否、もとよりこの島に安全な場所などない。
必要なのは危険を払いのけるだけの実力だ。
多少手荒なことになっても、この面子なら切り抜けられるという自信はある。
 出発前に、どちら寄りを進むかは決まっていた。
「じゃあ、予定通り森を掠めるようにして西へ突っ切るってことで」
火乃香の言葉に、残りの三人が頷く。
火乃香の言葉に、残りの三人が頷く。
 まさか南の城に探し人がいるとは露とも知らぬまま、四人は草原へと踏み出した。
【F-4/草原と森の境目/1日目・11:25】
【戦慄舞闘団】
【火乃香】
[状態]:健康
[装備]:魔杖剣「内なるナリシア」
[道具]:
[思考]:1、シャーネの人捜しを手伝う 2、子分が出来た
【火乃香】
[状態]:健康
[装備]:魔杖剣「内なるナリシア」
[道具]:
[思考]:1、シャーネの人捜しを手伝う 2、子分が出来た
【シャーネ・ラフォレット】
[状態]:右手負傷
[装備]:騎士剣・陽
[道具]:
[思考]:1、クレアを捜す 2、子分が出来た
[状態]:右手負傷
[装備]:騎士剣・陽
[道具]:
[思考]:1、クレアを捜す 2、子分が出来た
【ヴァーミリオン・CD・ヘイズ】
[状態]:左肩負傷、子分化
[装備]:騎士剣・陰
[道具]:支給品一式 、有機コード、火乃香のデイパック(支給品一式)
[思考]:1、刻印解除構成式の完成。 2、もうどうにでもなれ…
[備考]:刻印の性能に気付いています。
[状態]:左肩負傷、子分化
[装備]:騎士剣・陰
[道具]:支給品一式 、有機コード、火乃香のデイパック(支給品一式)
[思考]:1、刻印解除構成式の完成。 2、もうどうにでもなれ…
[備考]:刻印の性能に気付いています。
【コミクロン】
[状態]:軽傷(傷自体は塞いだが、右腕が動かない)、子分化
[装備]:未完成の刻印解除構成式(頭の中)・エドゲイン君一号
[道具]:シャーネのデイパック(支給品一式)
[思考]:1、刻印解除構成式の完成。2、クレア、いーちゃん、しずくを探す。
3、この大天才の有能さを気づかせてやる 4、片結びの危機
[備考]:服が赤く染まっています。
[状態]:軽傷(傷自体は塞いだが、右腕が動かない)、子分化
[装備]:未完成の刻印解除構成式(頭の中)・エドゲイン君一号
[道具]:シャーネのデイパック(支給品一式)
[思考]:1、刻印解除構成式の完成。2、クレア、いーちゃん、しずくを探す。
3、この大天才の有能さを気づかせてやる 4、片結びの危機
[備考]:服が赤く染まっています。
[チーム目的]:1、海洋遊園地に向かう。2、情報収集
- 2005/05/11 修正スレ97
- 2005/05/31 改行調整
| ←BACK | 目次へ(詳細版) | NEXT→ | 
| 第316話 | 第317話 | 第318話 | 
| 第330話 | 時系列順 | 第335話 | 
| 第312話 | ヘイズ | 第386話 | 
| 第312話 | 火乃香 | 第386話 | 
| 第312話 | シャーネ | 第386話 | 
| 第312話 | コミクロン | 第386話 | 
