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  • 駆ける黒、欠ける黒、そして陰る黒

ラノベ・ロワイアル @ wiki

駆ける黒、欠ける黒、そして陰る黒

最終更新:2008年02月26日 17:52

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だれでも歓迎! 編集

第445話:駆ける黒、欠ける黒、そして陰る黒 作:◆l8jfhXC/BA



『上等だ貴様っ!』
 咆哮と同時にスピーカーから発せられた空気の塊が衝撃波となり、刃を振るおうとした黒衣の騎士を教壇へと激しく叩きつけた。
 文字通り間一髪刃を逃れた宮野は後方に退避しながらも、さらに後ろを走る茉衣子へとエンブリオを投げ渡した。
『そのまま持っていてくれりゃどさくさに紛れて死ねたのによお』
「今あなたに死なれたら意味がありませんわ」
 争いになった場合、直接戦闘をする自分よりも彼女に持っていてもらった方が安全──そう考え、事前に決めていたことだった。
 彼女はぼやくエンブリオをデイパックに閉じこめ、こちらと距離を離す。しずくと兵長も右手通路へと離れていくのを確認する。
(殺人強要の次は従者を使っての力試しときたか。だが戦いになった場合の対策は十分に練ってある!)
 衝撃から復活しつつある黒衣──アシュラムとやらと自分の間の虚空に向けて、指先で五芒星を閉じこめた同心円を描く。
 EMP能力によって発生したブラックライトがその軌跡をなぞり、燐光を放つ魔法円が生み出されていく。
「ファンタジーにはファンタジー、騎士には魔物で対抗しようではないか!」
 進撃してくるアシュラムに向けて、複数の魔法円から生み出された黒い触手の群れが襲いかかった。
 彼の表情に一瞬驚きの色が現れたがすぐにそれは消え、触手に怯むことなく突撃していく。
 足をかすめる触手を跳躍してかわし、胴体に絡みつこうとする触手は刃で薙ぎ払う。
 縦横無尽に暴れ回る黒い鞭の軌道を長い柄で反らし、足場を転々としながらも確実に倒していく。
 触手の何本かは彼の甲冑や四肢に当たり衝撃を与えるも、すぐに体勢が立て直され斬り払われた。
(まぁ、これだけで倒せるとは思っておらん)
 自らの実力と二人の援護を信じながらも、大気に直接魔法円を刻みつけ触手の補充を急ぐ。
 操作と平行して行うのは骨が折れるが、耐えるしかない。
「──っ!」
 触手の合間を縫ってアシュラムが鋭い突きをこちらに放とうとするが、しかし直前で大きく後方に跳んだ。
 その刹那、彼とこちらの間の虚空に光線が走る。その先端には青白い光。
 突如出現したピンポン球大の蛍火の群れは、彼や触手に向けて一直線に突き進み──そのまま何事もなくすり抜けた。
「まぁ、所詮想念体専用ですわ」
 触手に巻き込まれないよう走りながらも茉衣子がぼやく。
 その指先に仄白い光が宿ったかと思うと、すぐにそれは球体となって舞い上がり、輝線を描いて触手の奔流の中へと飛んでいく。
(……確かに茉衣子くんのEMPは無害だが、攪乱には使える。それにささやかだが照明としても役立てられる)
 もとより彼女は、蛍火をアシュラムに当てるつもりでは撃っていない。かすろうが直撃しようが何の効果もないからだ。
 ただ狙いをつけやすい真紅のマントに向けて、適当に放てばいいのだ。それだけでも相手にとっては相当目障りな存在になる。
 さらに空が雲に覆われ、埃と触手の群れが舞うこの室内において、蛍火が放つ光はかなり貴重な光源だ。
 所詮はピンポン球大の明かりだが、ないよりはずっと目標の捕捉や仲間の位置確認がしやすくなる。
「こっちです!」
『おう!』
 そしてアシュラムが着地し数本の触手を切り払ったところを、しずくが正確に狙いをつけ左手で支えたラジオを向けた。彼女に闇は意味をなさない。
 吐き出された空気の塊は、両腕と薙刀を盾にして受け止められるも彼をそのまま床へと叩きつける。
 虚を突かれた先程とは違い防御されたものの、その隙は次の触手を生み出す時間をこちらに与えてくれる。
 そして蛍火を目印に新たな触手を動かし、反撃の機会を奪う。その時にはもうしずくは避難していた。

 ヒットアンドアウェイ。
 それが論議の結果採用された戦術だった。
 自分のEMPは強力ではあるものの、やはり後衛向きだ。能力制限という問題もある。
 現に本来ならば発生すれば数分はそのままの触手が、わずか一分程度で消えてしまっている。大半はその時間制限に引っかかる前にアシュラムに斬られていたが。
 茉衣子のEMPは攻撃にすらならない。加えて彼女はごく一般的な少女並の体力しか持っていないため、どう考えても対人戦闘には向いていない。
 そこで鍵になったのがしずくと兵長だった。
 しずくの持つ、人工筋肉による見た目にそぐわない身体能力と、知覚・聴覚センサーによる環境に左右されない感知能力。そして兵長の純粋な攻撃力。
(しずくくんに戦闘技術はない。だが、目標に近づける脚力と目標を見失わない感覚──機動力がある。
そこに兵長殿の力を加えれば、立派な遊撃兵になる)
 もっとも彼も能力制限の憂き目に遭っているらしく、威力を抑えて撃たなければすぐに意識が途切れてしまうらしい。
 だが、それこそしずくのセンサーで狙いをきちんと定め、さらに時機を選んで撃てば問題はない。
 そしてなにより──たとえラジオに意識が宿っていることは気づかれても、そのラジオが衝撃波を放つなどということは普通予測できない。不意をつける恰好の武器になった。
 見破られる確率がほぼゼロである、確実な対抗手段。彼がいなければ真っ向から乗り込むことなどしていない。

(触手で攻撃と防御両方を行い、茉衣子くんのEMPで全体捕捉と攪乱。
そしてしずくくんと兵長殿に要所要所を補ってもらう。相手を出来る限りこちらに近づけさせない。
……作戦はおおむね成功していると言ってもいい。だがこのまま長期戦になれば、体力面から明らかにこちらが不利になる。何か打開策を考えなければ──)
 予期していなかった問題点は二つ。
 絶対に勝たなければならない状況であるということと──相手が強すぎるということ。
 こちらに相当な被害が予期されれば、素直に一旦退いて立て直すつもりだったのだが──“力試し”なので逃げるわけにはいかなくなってしまった。
 ここで逃げてふたたび教会を訪れても、問答無用で斬られるだけだろう。せっかく掴んだ千鳥かなめを助ける機会がなくなってしまう。
 そしてそのため、後者が致命的な問題になってくる。
 彼は見るからに重そうな甲冑を着けたまま、今も触手の海を薙刀で払いのけ進撃している。その動きは疾く、鋭い。
 白磁を思わせる白い肌とは対照的な、黒く炯々とした双眸からは、こちらに対する殺意のみしか感じ取れない。
 戦士という言葉がふさわしい、元の世界では無縁の人物。その刃は今、あの女性のためだけに振るわれている。
「っく──」
 倒され、あるいは時間経過によって消滅する触手の補充に追われる。
 持続時間が短いため、拘束したと思ったら消えてしまうという事態が何回か起きている。
 意識の半分を補充に回しているせいというのもあったが、触手の操作自体も完璧には程遠い。
 いつも通りに扱えない能力と途切れることのない猛襲に、自分でも珍しいと思える焦燥を感じていた。

(美女殿との正面衝突よりはマシな状況だが、やはり苦しいな。まあ、操られた仲間と戦うよりはずっといいが────ふむ?)
 ふと、ある仮説が思い浮かぶ。
 ──あの女性は千鳥かなめの身体を操り、相良宗介の心を読んだという。おそらく精神そのものを操ることも可能だろう。
 ならば。
「アシュラム殿! 一つ聞きたいのことができたのだが!」
「……」
 こちらの呼びかけを無視し、彼は触手を倒し続ける。その表情に感情の色は見えない。
『っち──』
 そして数度目のラジオの衝撃波の直撃を回避、体勢を立て直しながらも一瞬こちらに目を向けた。
「キミはこの島の中で美女殿と出会い、彼女と行動を共にするようになった。違うかね!?」
 確率は五分。沈黙はおそらく肯定。
 その答えを、しばし待つ。
「班長! こんな時に何を──」
「そうだ」
 触手が暴れ回る轟音の合間に、短い返答が聞こえた。
「つまり彼女とは初対面で忠誠を誓った、そういうことになるな!」
 否定はなく、無言。
 茉衣子の光球を気にも留めず、彼は触手の群れを抜けこちらに直進、刃を薙ぐ。
 新たに生み出した触手を壁にして、何とか後方に飛びそれを回避。額に冷たい感覚が走り、前髪がはらりと落ちた。
 紋様を描く手を止めずに、しかし大きく口を開け、思いついた可能性を叫ぶ。

「その忠誠は──その感情は、果たして本当に自分の意志なのかね!?」



(……なんだと?)
 予期していなかった言葉に、頭の中が無で満たされる。
 だがすぐに我に返り、アシュラムは左手に絡みつこうとした触手を薙いだ。続けざまに顔面を狙うそれも柄を打ち付けてかわす。
 ──今の自分が偽りであることは、実際薄々は感じていた。何かよくわからない違和感が、己の中に渦巻いているのだ。
 だが、それを自称客人に指摘されるとはまったく思っていなかった。
 白衣の少年のその声が、異物が喉に挟まったかのような不快感と共に頭の中を回る。
「……たとえ今のオレが偽りだとしても、あの方が騎士としてやり直す場を与えてくれたことに、変わりはない!」
 声を振り払うように叫ぶ。
 胴を狙う触手を横に跳んで回避、さらに長椅子を越えて少年の横合いへと猛襲をかける。
「伏せてっ!」
 声の指示通り伏せた少年を挟んで反対側。白衣の少女が、首から提げた箱をこちらに向けていた。
 殺意と共に箱から放たれた衝撃波を、直前で横に跳んで回避。完全には避けきれず左肩に痛みが走るが無視。
 跳んだ勢いを殺さぬままに彼女に突きを放とうとして、さらに後退。長い柄を横にして、胸部を抉るような触手の一撃を己の膂力と得物の強度で防御。
 左後方に跳んで体勢を立て直し、追撃してきた何本かを切り払った。
 その直後、また少年の声が聞こえた。
「やり直す場をもらった? 身の上話でもしたというのかね?
……いや、キミも心を覗かれたというわけか! その結果手をさしのべられた、そういうわけだね!?」
「──だから何だというのだ!」
 不快感が増す。
 頭部を狙う黒い触手の軌道をそらし、右手に絡みついたそれは自力でふり払う。
 息つく暇もなくさらに数本が強襲するも、こちらにたどり着く前に消えてしまった。時間切れらしい。
「そんな相手に──心をのぞき見て過ちにつけ込んだだけの相手に、キミは忠誠を誓っているのかね!?」
「…………違うっ!」
 何が違うのか、自分でもわからぬまま叫ぶ。
 気がつけば触手を手当たり次第に切り裂き、少年に向かって駆けていた。蛍火のような光球の群れがやけに眼に障る。
『いい加減にくたばれっ!』
 雑音混じりの男の声が聞こえ、横から空気の塊が飛んでくる。
 いい加減に慣れたそれを今度は完全にかわし、一歩左に踏み出して少女の腹部を石突きで突いた。
「あぐっ……」
『くそ、しず──』
 漏れる悲鳴と空気の抜けるような音には興味が無く、光球が舞う中ひたすら少年の方へと走る。
「キミほどの戦士だ! 彼女と出会ったときも警戒はしていたはずだろう? それがなぜ易々と堕ちた? 何かがあったのではないかね!?」
 不快を通り越して怒りさえも覚え始める。そんなことは知らない。
 ──知らない?

(出会ったとき──だと?)
 彼女に出会ったとき、何があったのかが思い出せない。
 頭の中に霧がかかっているような状態。光球が闇を舞い目をちらつかせ、苛立ちが増す。
(いや、思い出す必要など無い! あくまでオレの主がベルド陛下とあの方であることに変わりは──)
──知っている人に似ていたんです──
 ふと、誰かの言葉が脳裏をよぎる。誰なのかは思い出せない。だが無性に頭にこびりつく。
 振り払えないそれに歯噛みして──刹那、嘲うかのように複数の光球が一直線に飛び込んで来た。
 ──邪魔だ。
「ひ──」
 光球を放つ黒衣の少女に軌道を変更、一気に距離を詰め彼女の首を一閃──しようとしてまた触手に阻まれる。
「茉衣子くん! もういい!」
 それを薙ぎ払う隙に少女はよろよろと逃亡し、その姿も新たな触手に遮られ見えなくなる。
 次々と生み出され──しかしそのペースは次第に落ちている触手の群れをかいくぐり、ふたたび少年の方へと駆ける。
「何らかの理由で隙が出来た……たとえば、かばうべき誰かがいたのではないかね!?」
──私も昔は他人とは壁を作っていて、それを自分では気付いて無くて──
「違う!」
 慈悲深い微笑みを浮かべた少女の顔が一瞬頭に浮かぶ。誰だ。
 それがわからず、さらに違和感と不快感が増すのを感じながらも触手の奔流を大きく避けて長椅子に乗り、跳躍する。
「もう一度問おう! キミのその感情は、本当に自分の意思なのかね!?」
「オレは……違う!」
 叫びながらも強襲する触手の一本を切り裂き、もう一本の上に着地。
 すぐさま跳んできた三本目に乗り移り、そしてさらに少年の方へと跳び降りる。背後で触手が天井にぶつかる音が聞こえた。
「く──」
 少年の指先から放たれる不気味な光が魔法陣を描き、そこから黒い触手が顔を出す。だが遅い。
「はあああああああっ!」
 咆哮と共に、すべての不快感を叩きつけるように刃を少年へと振り下ろした。




『何か話してるようだな。なにやってんだあいつらは?』
 明かりがなくなった暗い教会の床に、茉衣子は何もせずただ座り込んでいた。
 自身の震える膝と拳を見つめ続けるだけで、デイパックの中から聞こえる暢気な声も聞き流す。
 すぐそばで触手が蠢く音や、二人の男が叫ぶ声も確かに聞こえていた。だがそれもただ耳を通り抜けていくだけだった。
「……っ」
 怖い。
 無害な光球を撃つだけの自分に向けられた、憎悪にも似た鋭い殺意。深淵のような黒い瞳が、頭の中に焼き付いている。
 ……毎日と言っていいほど想念体と戦い続け、ある時には文字通り世界の崩壊を防いだこともある。場慣れはしていた。
 だが、これほどまでに顕然とした死を紙一重に感じたことはなかったし、明確な殺意を直接己へと向けられたこともなかった。
 純粋な暴力。
 あの女性とはまた違った恐怖の具現に包まれ、動けない。
「はんちょ……」
 無意識に口から呟きが漏れる。
 いつも近くにいる彼は、しかし今はそばにいない。
 彼は戦っていた。殺意を一身に感じながらも、戦う術と抗う意志を持って立ち向かっている。──自分とは違って。
 彼を助けなければいけないのは自分のはずなのに、身体が震えて動かない。
『……さっきからまったく動いてねえように感じるが、何かあったのか?』
「……」
 エンブリオの不思議そうな声にも返答する気になれず、ただ怯える。
 ──すべて投げ出してやめてしまいたい。
 ここに放り込まれた直後抱いた思いが、ふたたび脳裏をよぎった。

「はあああああああっ!」
 だがその思考は、憎悪に満ちた男の叫びによって遮られた。
 反射的に声の方へと頭を上げ、しかしすぐに目をそらす。あの男を──あの眼を見るのがどうしようもなく怖かった。
「……?」
 ただその瞬間、何かがこちらへ転がってくるのが見えたことに気づく。
 宮野かあの男のデイパックかと思ったが、違う。そもそもあれは転がるようなものではない。
 しずくはもう少し離れたところにいたはずなので、兵長でもない。そもそも彼もボールのように転がらない。
(ボール……?)
 行き着いた考えに疑問を持ち、おそるおそる視線をふたたび正面へと向ける。
 と。
「え……?」
 それは赤い軌道を描きながら、ボールのように転がっていく。
 それはこちらの足下まで転がり、赤い液体をまき散らしながら止まった。そっと拾う。重い。
 それはこちらに掴まれた後も、暗闇の中でもよく映える赤をぽたぽたと垂らしている。
 それは、








「いやあああああああああああああああああっ!」
 茉衣子の絶叫が雨音を塗りつぶし、聴覚センサーを塞ぐ。
 それが一部始終を見て思考を止めていたしずくの正気を取り戻させ、立ちつくしていた身体を茉衣子へと向かわせた。
(宮野さんっ……)
 頬に涙が伝うのを感じながらも必死に駆ける。
 ……あの時の不発の衝撃波を最後に兵長の意識がとぎれてしまい、その後自分はただ邪魔にならないよう逃げているだけだった。
 遠距離攻撃ができなければ、自分はただ身体能力があるだけの足手まといだ。さらにあの一撃によって、駆動系とセンサーにそれなりのダメージが出ていた。
 こんな状態であの剣士に立ち向かえるとは到底思えない。捨てたバットを回収しても意味がないだろう。
 ──戦えず、無力。そしてその結果がこれだ。
「ぁぁああ、あああああああああああ!」
 宮野の首を両手に持ち、壊れたように絶叫し続ける茉衣子の元へと急ぐ。とにかく今は、彼女だけでも助けなければいけない。
 あの剣士は、なぜか宮野を殺した場──彼の胴体が倒れている場で立ちつくしている。今しかチャンスはない。
「ごめんなさいっ……」
「っぁ──」
 茉衣子の元へとたどり着いて、素早く彼女の腹部に左掌をたたき込み気絶させる。
 力加減はわからず、内部を傷つけていないかどうかは祈るしかないが、ショック状態の彼女がここから自力で移動できるとは思えなかった。
「……っ」
 彼女の手からこぼれた宮野の首と一瞬目が合い──だがすぐにそれは鈍い音をたてて床へと落ちた。
 頭に焼き付いてしまったその見開かれた眼にふたたび思考が停止しかけるのを何とか耐え、茉衣子をデイパックごと抱きかかえる。
「う……ぁっ……」
 そして嗚咽をこらえながらも教会の入口へと駆け、外へと飛び出した。
 冷たく激しい雨が、一斉に刺さるように全身に降り注いだ。



「……」
 胴をなくした亡骸に視線を下ろし、薙刀を手に持ったままアシュラムは立ちつくしていた。
 その少年の命はもはやなく、こちらを揺さぶる台詞を吐く口も存在しない。
 だが戦いの最中に少年が言った言葉と、聞き覚えのない誰かの言葉が、ずっと頭の中に張り付いて離れなかった。
 少女の慟哭と走る足音が聞こえたが、もはや彼女らにかまう気は起きなかった。
「……っ」
 脳裏にふたたびあの謎の少女の微笑みが浮かぶ。やはり誰だかわからない。肩で大きく息をしながらも、その像をなんとかかき消す。
 ……それが引き金になったかのように、戦いの最中には忘れていた疲労と打撲の痛みが今更のように身体を蝕みはじめた。
 耐えきれず背中を壁にもたれさせ、ゆっくりと床に腰を下ろす。
「……」
 ふと視線を右にやると、転がり落ちていた少年の首が目に映った。茶色の頭部がこちらを向いている。
 入口の方に顔を向けているその首は、走り去った仲間を見つめているようにも、また何かを伝えようとしているようにも見えた。
『心をのぞき見て過ちにつけ込んだだけの相手に、キミは忠誠を誓っているのかね?』
 彼の言葉が頭の中で反響し、思わず首から目をそらす。息が更に荒くなり、頭に鈍痛を覚えた。
「オレは…………、違う」
 こびりつく彼の台詞に反論しようとして、言葉に詰まる。
 ただ否定することしかできず、不快感だけがじわじわと思考を侵食していった。




「……ふむ、死んだか。まぁ、他の者達を生きて帰らせただけでも驚嘆すべきか」
 暗く、しかし地上とは違い美しく荘厳な装飾がなされた礼拝堂の中で美姫は呟きを漏らした。
 彼らがアシュラムに打ち勝つなどということは、それこそ“期待”していなかった。だがそれゆえに、予想外の余興として十分に楽しめた。
(しかもわたしがかけた催眠に気づいたか。なかなか勘が鋭いではないか)
 あの少年に揺さぶられた今、彼は相当苦悩していることだろう。
 もとよりアシュラムは、弱体化しているとはいえこちらの魅了の術を一度見破るほどの強さがあった。
 あと一つ何か大きなきっかけがあれば、おそらく完全に破られるだろう。
 その結果彼がこちらに牙をむく──というのも、それはそれで面白い。
「さて……おまえの処遇はどうするべきかのう」
 ふたたび眠り──というより気絶してしまったかなめに向けて話しかける。当然返事は帰ってこない。
 確かに宮野に言われたとおり、あのカラクリ娘がかなめを救うために奔走し、その結果仲間を引き連れてくることは予想していた。
 だが本当にそうなった場合には、宣言通り躊躇なくかなめを殺すつもりだった。約束を違えることは許さない──予定だったのだが。
(こちらの思考を読み、さらに関雲長にも劣らぬ将相手によく耐えた。……それにこの娘自体もやや惜しい)
 彼女は悪夢と欲望に苦しみながらも、それに必死に抗っている。
 特に雨が降り出してしばらく経った後──何かを感じ取って泣き出した後は、なぜか抵抗が強くなった。
(宮野とおまえのその気丈さに免じて、日没が来るまではその命、奪わずにおいてやろう。それまでおまえが人であり続けられるかは、おまえ次第だがのう。
……残りは既に一刻を切った。宗介よ、待っておるぞ)
 苦悶の表情を浮かべるかなめに対し優しく微笑みかけ、その髪をそっと梳いてやった。




【076 宮野秀策 死亡】
【残り 62人】
【D-6/教会前/1日目・16:30頃】
『カラクリスリーと黒娘』
【しずく】
[状態]:右腕半壊(自動修復中・残り2時間)。濡れ鼠
    激しく動いたため全体的にかなり機能低下中(徐々に回復)
    精神的にかなりのダメージ。
[装備]:ラジオ(兵長・力の使いすぎで一時意識停止状態。数時間で復帰)
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)
[思考]:茉衣子を保護するために逃亡・どこかに避難。
    火乃香、BB(以上しずく)、キーリ、ハーヴェイ(以上兵長)の捜索。
    かなめと宗介を助けたい(具体的な行動は未定)

【光明寺茉衣子】
[状態]:気絶。腹部に打撲(程度は次の人におまかせ)。疲労。体温低下。濡れ鼠
    精神的に相当なダメージ。ショックが大きく復帰後恐慌・錯乱状態に陥る可能性あり。
    両手と服の一部に血が付着。
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)、エンブリオ
[思考]:不明


【D-6/教会/1日目・16:30頃】
【アシュラム】
[状態]:全身に打撲。かなり疲労。
    催眠状態(大きな精神的衝撃があれば解ける)。精神的に不安定。
[装備]:青龍偃月刀(血塗れ)
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水1700ml)、冠
[思考]:自分の意志にやや疑問を持つ。
    美姫に仇なすものを斬る 。

※教会内部に宮野のデイパック(支給品一式・パン12食分・水2500ml)が落ちています。


【D-6/教会地下/1日目/16:30頃】
『Succubus&Rusty metal』
【美姫】
[状態]:健康。
[装備]:スローイングナイフ
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)
[思考]:日没まで宗介を待つ。
    己の欲望の赴くままに行動。

【千鳥かなめ】
[状態]:気絶。吸血鬼化進行中。精神的なダメージ。
[装備]:鉄パイプのようなもの@バイトでウィザード
[道具]:支給品一式(デイパックはなし。パン6食分・水2000ml)
[思考]:吸血鬼化進行による黒い欲望や妄想に抗う


  • 2006/01/31 修正スレ250

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第444話 時系列順 第462話
第444話 しずく 第474話
第395話 千鳥かなめ 第464話
第444話 アシュラム 第464話
第444話 宮野秀策 -
第444話 光明寺茉衣子 第474話
第444話 美姫 第464話
第444話 兵長 第474話
第444話 エンブリオ 第474話


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