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  • ラノベ・ロワイアル @ wiki
  • 犬と二輪、そして

ラノベ・ロワイアル @ wiki

犬と二輪、そして

最終更新:2011年08月05日 20:02

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だれでも歓迎! 編集

第579話:犬と二輪、そして 作:◆5Mp/UnDTiI



 夢を見ていた。
 何もかも曖昧な、だけど幸せと分かる、惰眠のような夢だった。
 笑いもせず、騒ぎもせず、それでいて満ち足りている。
 ――果たしてそれが本来あるべき日常だったのだと、いつまで覚えていられるだろうか?

◇◇◇

 雷撃による気絶から約数時間後、陸は目を覚ました。
 これほどまでに早く覚醒できたのは、ひとえに陸が犬だったからだろう。
 獣のタフネスと、そして気絶させた下手人が犬相手にどれ程の電流を流せばいいのか計りかねていたということもある。
 まどろみから現実に回帰し、回復した視界に浮かび上がってきた光景は特に面白みも無い木々の群れだ。
 少なくとも、自分がいたテーマパークではないことは確かである。
「ここは……?」
 自分は何故ここにいるのか。今の今まで気絶していたのだから、分かる筈もないが。
 周囲に人の気配はしなかった。李淑芳。傍にいた筈の彼女さえも。
 おそらく、自分を気絶させたのは彼女だろう。今だぼんやりとした思考回路で、ただ過去の事実を復唱する。
 だが何故彼女は自分を襲ったか――?
 気まぐれ、発狂、腹いせ。愚にもつかないことならばいくつか思いついたが、だからと言って正解など分かるはずも無い。
「ああ全く、猫の手でも貸してほしいくらいです」
 口をついて出たのはただの愚痴だった。口にした後、ああやっぱり意味は無いな、と後悔するような類の言葉だ。

 だから、横から本当に手が差し出されたことに陸は少々驚いた。
 自分は地面に臥せっていたとはいえ、気配も臭いもしなかったはずだ。
 ならば、その正体は――
「……」
「さあ、卵を産め」
 半漁人だった。
 とりあえずそう形容したくなる外観だった。
 いや、陸を目指して中途半端に進化した魚といったほうが正しいのかもしれない。
 巨大な魚に、人間の四肢を直接糊付けしたようなフォルム。
 生態系とか、たぶん考えてない。そんな、進化の過程において失敗を重ね重ねた先にある生物だろう。
 思考は瞬時に停止。だが口はほとんど反射的に――相方にツッコミをいれる芸人のような心境で――質問を紡いでいた。
「あの、誰ですか、あなた」
「さあ、卵を産め」
「ここはどこでしょう?」
「さあ、卵を産め」
「それしか喋れないんですか?」
 半眼で呻く。確実に参加者ではない。ならば自分と同じような位置づけなのだろうか。
「……いえ、それは控えめにいって死ぬほど嫌ですね」
 げんなりとする。このデイパックの中身を選別した者には文句のひとつでもくれてやりたいところだった。

 ――陸は気付けなかった。
 誰が造ったのかは知らないが、この半漁人の模型は恐ろしく悪趣味なまでにリアルである。
 細部まで、それこそ鱗の一枚一枚まで丁寧に作り込まれている。
 だから、気付けなかった。
 外観のインパクトに圧倒され、彼我の身長差も手伝って、胴に貼り付けられた手紙に気付けなかった。
 それゆえに陸は、それほど悩まずに決定を下せた。
 シズを探したいという気持ちはもちろんあるが、だからといって淑芳をこのまま放っておくというのも後味が悪い。
 彼女の変異の理由、あるいは彼女が陸に渡そうとした偽りの手紙の内容さえ知らぬ陸は、痛む体に渇をいれ立ち上がる。
「……とりあえず、淑芳さんを探しますか」
「さあああああああ! 卵ぅをぉぉぉおおおお! 産めええええええ!」
「黙ってくれませんか?」
「……」
 そして気付かぬままに、陸の『淑芳を探す』という言葉を命令と受け取った魚は犬の後を追っていく。
 ――あるいはこの時手紙を見つけていれば、彼らの運命も変わったのかもしれないが。

◇◇◇

 現在地がまったく分からなかったので、海岸線を頼りに陸がF-1の海洋遊園地にたどり着けたのは第四回放送まであと三十分を切った頃合だった。
 途中でゲームからの脱出を目論む集団の放送があり、淑芳ももしかしたらそっちに向かったのかもと思ったが、
 場所もよく分からなかったし、とりあえず先に海洋遊園地を見てからにしようと判断したのである。
 そして、その判断は正しかったようだ。
 ここには淑芳の匂いが確かに漂っている。
 それもまだ新しい。少なくとも、数分前まではここにいたのだろうと確信を持てる。
(ですが、それだと解せませんね)
 自分を気絶させて、そしてわざわざ遠い場所まで運び、そして再びここに帰ってくる――
 そんなことをした理由が、陸にはさっぱり分からなかった。
 ――仮に、彼女が殺し合いに乗ったのだとしたら。
 彼女の情報を知る自分は明らかに邪魔なはずである。ならば自分がこうして生きているはずは無い。
(では私を遠ざけたかった? 何のために? まあ確かにそれほど仲が良いとは言えなかったかもしれませんが)
 それに対する仕打ちがあの電撃なのだとしたら、それは少し以上に理不尽である。
 結局、彼女に聞かなければ分からない。ならばこうして思考することに意味は無い。
 それでも、無駄なことを完全に切り捨てられないのが人という生物である。
 まあ人でこそ無いものの、陸は人間的な思考を持ち合わせている。あまり有意義でないその想像も尽きなかった。
 だから、『それ』に気付くのにも少しばかり遅れてしまい、相手に先手を取らせることになってしまう。

「――なんだ、馬鹿犬じゃないか」
 響いたのは、声変わり前の男の子のような声である。
 陸はその声に聞き覚えがあった。
 声の方を睨むと、そこには予想通り口の悪いあのモトラドが停められていた。
「お前も来てたのか、ポンコツ」
「まあね。ちょっと持ち主が襲われた挙句井戸に放り込まれて、僕達はその犯人にここまで連れてこられたんだけど」
「キノさんが?」
「いや別の人。っていうか、そっちに反応するんだ、スケベ犬が」
「うるさいな。自分じゃ歩けないくせに生意気だぞ――ところで、僕達?」
「ああ、ほら、僕の後部キャリアの上」
 言われて見てみると、そこには何か六本足の動物のようなものがいた。
 紐やらなにやらで拘束された上に猿轡を噛まされ、むーむーと呻いている。
「……自己紹介、という雰囲気でもありませんね」
「そうだね。出来ればそれ取ってあげてほしいんだけど」
「ふぅむ――流石に噛み千切れそうにありません」
「何だよ、役に立たないなぁ。――じゃ、そっちの人は? いや人?」
 ついに突っ込まれて、陸は観念するように目を閉じた。
 例の半漁人は、あれからずっと陸の後を付いてきている。
 もう関わりたくなかったのでずっと無視をしていたのだが、これでそうもいかなくなった。

 ――空気よめよ、ポンコツ。
 溜息をひとつはいて、うんざりと告げる。
「何故かは分かりませんが、ずっと私の後を付けてくるんです」
「ふうん……ん? なんか持ってるね?」
「私は何も?」
「スケベ犬じゃなくてそっちの魚のほう」
 同列に扱われたことに憤慨しながらも、陸は半漁人を横目で見やった。
 確かに、手に紙袋のようなものを提げている。
 もっとも陸は最初からそれに気付いてた。
 ただその紙袋にも半漁人の絵が描いてあったので、たぶん専用の呪われた装備品か何かだろうと大して気にしていなかったのだ。
 正確にはもうこの半漁人自体を気にしないようにしていた、だが。
「たぶん魚肉ソーセジとかでしょう。気にしてもしょうがないのでは?」
「いや、でも何か約に立つものかもしれないじゃない」
「……そうだとしても、アレに飛び掛って奪うのは御免こうむりたい」
「お願いでもしてみたら?」
「その袋をこっちにください半漁人さん、とでも? 冗談で――」
 しょう、という言葉尻にまで到達する前に、どさりと紙袋が放り出された。
 無論、それを行ったのは例の半漁人である。
「……」
「……言っといてなんだけど、本当にくれるとは思わなかったなぁ」
 中を見てみなよ、と言外にエルメス。
 正直生理的な嫌悪感を覚えないでもなかったが、だからといってくれたものを無視するのも気が引ける。
 ゆっくりと――半漁人を警戒しながら――陸は、その袋の中を覗き込んだ。
 中にあったのは、なんと言うことは無い。ペットボトル入りの飲料水とコッペパンだ。
 ――だが、それに付着していた匂いは、探し人のものだった。

「淑芳さん……?」
「んん?」
 エルメスが何か訝しげな声を出しているが、それを無視して陸は考えた。
 何故、この半漁人の持っていた紙袋の中に彼女の匂いがついた品が入っているのか。
 それは単純に考えれば、彼女がこの半漁人にそれを持たせたということだ。
 ならば、この半漁人が自分の後を付いてくるのにも彼女の思惑が――?
「ねえ、ちょっと」
「うるさい。少し黙れポンコツ」
「そうしてもいいんだけど、ひとつだけ――そのシュクホウって、血塗れの服きてる女の人?」
「っ!? お前、会ったのか?」
「さっき襲ってきたって言うのが、その人。あ、ちなみに向こうから襲ってきたよ」
「馬鹿な、どうして……」
 彼女は、やはり殺し合いに乗ったのか。
 いや――
 その考えを打ち消すように頭を振る。
 それならやはり、自分を殺さずに遠ざけるだけに留めるのは不自然だ。
 彼女がゲームに乗ったはずは無い。
 だが、それは自分がそう思い込みたがっているだけではないのか――?
 答えを得るため、問いを紡ぐ。
「彼女は、淑芳さんはその人を殺してしまったんですか?」
「うーん。僕はモトラドだから生死の判断は出来かねるけど、でも死体を拘束はしないと思うから、たぶん生きてると思うよ」
「そうですか……」
 ほっと安堵の息。だが、それを聞いてますます訳が分からなくなる。
 殺せるときに殺していない。だが自分から戦いを挑んでいる。
 彼女は一体、どんな立ち位置にいるのだ?

「あ」
「今度はなんです?」
「いや、その魚、お腹になんかくっついてるよ」
「? どこに?」
「いやだからそこに――ああそっか。喋るけど犬だもんね。
 ちょっと分かりにくいかも。ぴったり貼り付けられてるし」
 またお願いすればいいんじゃない? と言われ、陸は張り付いているものをこちらに渡すように要求した。
 半漁人から渡されたのは一枚の紙切れだった。
 どうやらそれは手紙であるらしい。女性らしい丸みを帯びた文字が、びっしりと書き込まれている。
 誰の字であるかは、考えるまでも無かった。
 内容は――想像していたものより酷い。
 殺し合いに乗ったこと。シズを殺すのは最後にするということ。その他様々。
 見るものに嫌悪感を催させるような文の組み立て方で、最悪の決断が綴られている。
 最後の行まで読み終わると、陸は深々と――疲れたように溜息を吐き出した。

「嘘が、下手ですね」
 例えば、もしも陸がこの手紙をエルメスと出会う前に見つけていたのなら、それを信じていたのかもしれない。
 だが、いまではもう零崎をわざわざ拘束して井戸に放り込んだという、彼女の奇妙な行動を知ってしまっている。
 彼女に聞いてみなければ、正確な答えは分からない。
 だけど、李淑芳は殺人者でもなければ脱出派でもない『奇妙な立場』にいることは間違いが無いのだ。
 ならばこの手紙は、自分を遠ざけるために書かれたもの。
「決めました。私は淑芳さんを追いかけます」
「そういえば知り合いなの? ずいぶん物騒な人だねえ、まあキノも零崎もたいがいだけどさ」
「彼女が乱暴な行動に出たのにはなにか理由があるはずなんです。それを私は聞きに行きます。
 ポンコツに頼むのは癪なんですが、もしも機会があったら、淑芳さんが傷つけたという人に謝っておいてはくれませんか」
「まあ伝えておくよ。もうすぐ僕の仲間が迎えに来てくれる筈だしね」
 その返事を聞くと、陸は別れの挨拶もそこそこに去っていった。

 モトラドに呼吸器はないが、エルメスは嘆息でも尽きたい心情だった。もとよりあの犬に礼儀は期待していなかったが。
 暗闇の中に薄れていく犬の後姿を見つめながら、エルメスはふと独りごちる。 
「なんだかなぁ、割とノリで返事しちゃったけど、不味かったかもしれないなぁ」
 自分達が連れてこられたのは十数分前かそこらというところだから、臭いを辿る犬の追跡を逃れる事は出来ないだろう。
 つまり、それほど時間を必要とせず、彼らは再び邂逅することになる。
「よく考えてみたら、そのあとシュクホウって人が僕に何するかなんて分かったもんじゃないよね」 
 陸がどの程度ここでの会話を伝えるかによるが、零崎の仲間がもうすぐ来るという事を知れば、再び襲ってくる可能性もある。
 その際、自分が巻き添えにならないとも限らない。
 電撃やら炎やらを飛ばしてくる相手だ。可燃性燃料と電子機器を搭載したモトラドにしてみれば天敵である。
「あれ、僕もしかしてピンチじゃない? 不味いなぁ。佐山くんじゃなくてもいいから誰か早く来ないかなぁ」
 そんな願いを口にしても、残念ながら流れ星の類は見えなかったが。

◇◇◇

 再開は障害もなく驚くほどスムーズだった。
 格納庫。カイルロッドが死した、彼らにとって因縁の場所。ここから全てが狂いだした。
 玻璃壇の前で、入り口から入ってきた陸に背を向けるようにして彼女は立ち尽くしていた。
「――来てしまったんですね、陸。せっかく殺さずに生かしておいてあげたというのに」
 振り返りもせず、彼女は後ろ向きに声を飛ばした。
「あの手紙には、邪魔をしても構わないと書いてありましたからね」
「ええ。それと、そんなことをしても無駄だとも」
 彼女は依然として振り向こうとしなかったが、それでも変化があった。いつの間にか呪符を握り締めている。
 振り向きざまに雷撃でも放たれれば、避けきれるかどうかは賭けになる。 
 それでも、陸は身動ぎもせず、彼女の背中をじっと見つめていた。
「淑芳さん。あなたがどうしてこんな事をしているのか私は知りません。でも、」
「去りなさい、陸。次は手加減をしません。私はゲームに乗りました。
 これから参加者を皆殺しにするのに、足手まといは御免です」
 鋭い囁きが陸の言葉を切り裂いた。
 強い言霊だった。常人なら、思わず従ってしまっただろう。
「貴女は殺し合いに乗っていない」
 だけど、最初から嘘だと分かっていれば別だ。
「さっきポンコツのモトラドに会って事情を聞きました。少なくとも一人の参加者を貴女は殺せたのに、殺していない」
 その事実を告げても、彼女は動じなかった。
 だが僅かに発汗の量が増えた事が、陸の嗅覚によって察知される。
「嘘が下手ですよ。淑芳さん。あの手紙もです。
 貴女くらい性格が悪ければ、わざわざ殺し合いに乗ったなんて情報を広めるような文書は書かないでしょう。
 私が起きる前に、あの半漁人から誰かが奪ってしまえばそれまでですから。
 淑芳さん、貴女は、まるで貴女が殺人者であると広めたかったみたいだ」
「全て、気まぐれです。そう言ったら?」
 彼女の囁き。それも、少しだけ上擦った様子を見せている。
「そんなんで優勝を目指す、なんて人は危なっかしくて放って置けませんから、やっぱり付き纏おうと思います」

「そうですか――じゃあやっぱり、殺さないと駄目みたいですね」
 彼女はミスをしていた。
 彼女の目的は自分を脅威として参加者に認識させ、結束させ、アマワに対する勢力にすること。
 その為に彼女が行った行動や演技は完璧だっただろう。
 だけど一匹だけ。それを決意する前の彼女を知っている犬を、彼女は生かしてしまっていた。
 彼女の変わりよう、その不自然さを推察できる存在を放置してしまった。
 もっとも、そのミスを清算するのは簡単だ。
 幸い、陸は覚醒してからすぐに彼女を追いかけてきたらしい。あまり他の参加者とは接触していないだろう。
 ならば、ここで陸を殺せばいい。あの二輪車も戻って破壊すればいい。
 そうだ。アマワを倒すためになら、誰かを殺すのだって躊躇わない。
 呪符を握る手に、力がこもる。
「――出来るわけ、ないじゃないですか」
 だけどその手は、すぐにだらりと力なく垂れ下がった。
 そうだ。仲間を失うというアマワの予言を恐れて、彼女は陸を遠ざけた。
 そんなアマワを恐れて憎んだから、彼女は悪役に徹した。
 その最初の原点。それを、殺せる筈がない。
「淑芳さん、貴女はやっぱり――」
「陸、お願いです。何も聞かないで、誰にもこの事を喋らず、私に関わらないで下さい」
 それは懇願だった。
 神仙としての力強さなどなく、ただ途方にくれる迷子のような脆弱さ。
「泣いている人を放ってなんか置けませんよ。知り合いなら尚更です」
「どうしてですか……! 私は陸に、いっぱい酷い事をしたじゃないですか。
 そんなに仲だって良かったわけじゃないのに、どうして私に付き纏うんです」
 大粒の涙を浮かべながら、淑芳。
 陸は、その笑っているような顔を少しだけ困った風に歪ませ、
「貴女が、カイルロッドのことを気に病んでいるのは分かります。
 それは私も同じです。同じだから、傍にいたいと思います。それでは駄目ですか?」
「違う――違うんです。カイルロッド様が死んだのだって、私のせいなんです。
 あいつが、アマワが私にそう」
「あの馬鹿げた予言とやらを、まだ気にしていたんですか」
 聞き返されて、失言に気づく。これでは殆ど肯定しているようなものだ。
 仲間がいるという暖かさを、彼女は長い間忘れていたような気がした。
 それに久しく触れて、どうやら気が緩んだらしい。
 だが、駄目だ。陸を巻き込めば、これまでの覚悟が水の泡になる。
 彼女は涙を拭った。そして、躊躇しなかった。
 振り返り、呪符を振りあげる。
 その様を見て、陸は泣き叫ぶように声を張り上げた。
「淑芳さん!」

「陸――『逃げなさい』!」
 その言葉の意味に陸が気づく前に。
 淑芳の身体がぐらりと傾いだ。まるで頭部に強い衝撃を受けたかのように、後頭部から地面に叩きつけられる。
 同時に陸の耳朶を打つ乾いた音。これは聞き慣れた音だった。パースエイダーの発砲音。
 ――撃たれた!?
 陸が現状を認識把握するまでに掛けた時間は最短。
 主人は荒事に巻き込まれることが多かった。故に、こういう時の躊躇が危険なのは骨身に染みている。
 だがその最短よりも更に早く、淑芳を撃った下手人は陸をも撃ち抜いていた。
 振り返る事すら叶わず、陸もその場に倒れ伏す。
 だがそれでも陸は自分を撃ったのが誰か理解できた。
 漂い始めた血の臭いに邪魔されながらも、それでもこの臭いを知っていた。
(まさか、貴女は――)
 下手人が近づいてくる。陸の横を通り過ぎ、淑芳が覗き込んでいた玻璃壇を調べだす。
 その横顔は――

◇◇◇

「じゃ、行こうか。エルメス」
「オッケー。それにしてもキノに乗られるのも久しぶりに感じるなぁ」
「きの よろしく」
 海洋遊園地の、その地下――格納庫から戻ってきたキノが、エルメスのエンジンを始動させる。
 その様子は平静そのものといった感じで、とても人一人と犬一匹を射殺したとは思えないものだ。
 ――陸が海洋遊園地に到達する以前から、キノはここに潜んでいた。
 偶然、というわけではない。キノは潜伏先を探していたからだ。
 A-1の地点から比較的近く、それでいて先住者が居そうにない場所というのは限られている。
 大規模破壊のあった東側、C-3商店街の近くは望むべくもないだろう。
 故に南下してみたが、公民館は死体の山が積み上げられていた。
 E-1の商店街に身を潜めようかとも思ったが、そこで目と鼻の先にある海洋遊園地が目に入る。
 荷物の保管場所というだけなら、広さとアトラクションの複雑さがあるあっちの方が適しているかもしれない。
 そういった理由でキノは海洋遊園地に足を運び、適当な事務室らしき場所に荷物を放り込んでこれからの計画を練っていた。
 そこで聞こえてきた声に気づき、物陰から会話を盗み聞きしていたのである。
 疲労から捜索を徹底しなかったのは、逆に幸運だった。
 もしも陸より早くエルメスと再開していれば、淑芳を殺すチャンスは失われていたからだ。
 少なくとも、エルメスや草の獣に気取られずにことを済ますのは不可能だっただろう。
 エルメスと陸の会話から、キノは近くにあの淑芳が潜んでいることを知った。しかもあの零崎と戦って勝ったということも。
 このゲームで優勝を重ねたというのも、嘘ではないのかもしれない。
 だからこそ、この機を逃すわけには行かなかった。零崎とやりあったのだから、多少なりとも疲労は溜まっているはずだ。
 キノが生き残りを狙う上で、大きな障害になるであろうと予想される彼女を殺害するのは、今しかない。

 あとは簡単だった。臭いを辿れる陸の後を追いかけていけばいい。
 常に風下に陣取り、こちらの気配を悟らせないこと位、キノにとっては造作もないことだ。
 さらにヌンサの模型が陸の後を足音も殺さずについて回った事もキノにとっては幸運だった。
 そして道案内が終わったあと、隙を窺って背後から撃ち殺したのである。
 だが危なかった。その後知った事だが、淑芳が覗き込んでいた模型は、どうやら参加者の位置を表示するものだったらしい。
 それで最後はこちらに気づいて、咄嗟に攻撃を仕掛けようとしてきた。
 彼女が泣いていなければ――視界がぼやけていなかったら、もっと早く気づかれていただろう。
 その後、淑芳の支給品を奪い、何食わぬ顔でエルメスたちと合流。
 草の獣の拘束を解き、事情を聞いて、まずは佐山という人物と合流することにした。
 その佐山の仲間であるという零崎は井戸に落とされたらしいが、さすがにキノ一人では引き上げられない。
(零崎、か)
 その名を反芻し、思わず顔をしかめる。
 零崎に苦手意識があるのは確かだが――どうやら今の集団に属している間は殺人癖も抑えられているようだし、それに何より利用できるものを利用しなくては生き残れない。
(何より、『殺人者でも構わず取り入れる』というグループは稀有だ。
 受け入れて貰えれば僕が生き残れる確率はかなり上がるだろう――上手く立ち回る事が条件になるけど)
 その佐山の集団に受け入れて貰ったとしても、いずれダナティア達とは対立することになる。
 最悪の場合、抗争すら起きるだろう――その際、自分は生き残れるような最適のポジションに居なければならない。
 だけど僕は最後まで生き残って見せますよ、師匠――

◇◇◇

 地下格納庫の中で、陸はゆっくりと死に近づいていた。
 胡乱になっていく思考が、先ほど起きた出来事を発狂しそうな緩慢さで検分していく。
 使用されたのは小口径のパースエイダーだろう。聞きなれた音と硝煙の匂いでそれを察する。
 そして、それを使用した人物にも見覚えがあった。
 正確無比に陸の内臓を撃ち抜き、こちらを一瞥すらしなかった彼女は――。
(キノさんが、どうして。ゲームに、乗った?)
 容赦のない人だとは思っていたが、まさかこんな馬鹿馬鹿しいゲームに乗るなんて。
 ……いや、それよりも重要なことがある。
「淑芳、さ、ん」
 掠れるような声で、呼びかける。
 生きているだろうか。彼女は生きているだろうか。
 残った力で何とか首を向けることに成功した。
 ――彼女に向けて放たれた弾丸は、眼球を貫き脳へ達していた。
 赤い脳漿が、玻璃壇を濡らしている。
 即死だった。
(ああ――すみません、淑芳さん。どうやら、私は、貴女を――)
 思考が散乱していく。失血のせいで何処かまどろむように、陸は目を閉じた。


【033 李淑芳 死亡】
【支給品 陸 死亡】
【残り 34名】

【F-1/海洋遊園地/1日目・23:45頃】

【キノ】
[状態]:冷静/体中に擦り傷(処置済み/行動に支障はない)
[装備]:懐中電灯/折りたたみナイフ/カノン(残弾4)/
    /ヘイルストーム(残弾6)/ショットガン(残弾3)/ソーコムピストル(残弾9)
    /エルメス/草の獣/自殺志願 (マインドレンデル)(少し焦げている)、
[道具]:支給品一式/師匠の形見のパチンコ
[思考]:佐山・宮下と合流/
    最後まで生き残る(人殺しよりも保身を優先)/禁止エリアの情報を得たい
    /零崎などの人外の性質を持つものはなるべく避けるが、可能ならば利用する
[備考]:第三回放送を完全に聞き逃しましたが、冒頭部分の内容を教わりました。
    玻璃壇の存在を知りました。

  • 使わない支給品と残弾0の『森の人』は海洋遊園地の建物の中に隠してあります。

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