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  • 病する天使は苦しくて○君の事を思うとつい撲殺しちゃうの

ラノベ・ロワイアル @ wiki

病する天使は苦しくて○君の事を思うとつい撲殺しちゃうの

最終更新:2011年08月05日 20:08

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第580話:病する天使は苦しくて○君の事を思うとつい撲殺しちゃうの 作:◆5Mp/UnDTiI



 本来ならば、前衛の攻性咒式士にとってこの程度の損傷は傷のうちに入らない。
 特に己の肉体を自在に強化・変態させる生体系咒式士のギギナならば尚更である。
 だが課された制限は重い。気絶から覚醒するのに彼は数時間を要していた。
 恒常咒式は最低限働くようになってきたが、それでも全快には程遠い。
(……制限の度合いが変動している?)
 意識が目覚め肉体を再び掌握しきるまでの刹那の間に、ギギナは思考回路を回転させていく。
 代謝の異常促進、つまり空腹の具合からすでに『その』兆候は確かに現れていたが、しかし――
(制限の仕様か? いや、だがそれで発生する管理側のメリットは思いつかない。
 その上で咒力制限が不安定ということは管理側のミスか……あるいは、誰かが手を加えたか)
 ギギナはこれまでさほど刻印に関しては考えたことがなかった。
 闘争の場があるのならドラッケンとしてそれに赴くだけであり、ひたすらに命を削り合う愉悦に浸っていた。
 だが相棒と仇敵の亡き今ならば話は別だ。多少は、ほかの事に意識を向ける余裕と必要性がある。
 もっとも、それだけに集中できるような状況でもないが。
 制限のことはひとまず放っておいても構わないだろう。変動といっても微々たる物だし、さほど戦力的な影響はない。
 なによりまずは、起き上がらなくてはいけない。
 その決意を鍵としたように意思による肉体の掌握が完了した。
 五感が戻ってくる。外界の状況を認識し、次いで――己の内の状況、すなわち痛みが湧き上がってきた。
 胸部の怪我はまず間違いなく重傷だった。幸い呼吸は出来るが、戦闘行動はほとんど無理だろう。
 損傷を前提とした前衛咒式士としての肉体でなかったら、十分に死ねた傷である。
 思わず咳き込みそうになるが、それをすると折れた肋骨が致命的な部位に突き刺さるかもしれない。

「……ギギ、ナ?」
 必死に耐えていると、横から彼の名を呼ぶ声がした。
 金髪の少女。彼がとある恩人から保護を頼まれ、そして先ほど間一髪のところでどうにかその約束を果たせた人物である。
 気道を遡る空気の塊を何とか鎮圧し、その名を呟いた。
「クリーオウ、か」
「ギギナっ!」
 突如、地べたに座り込んでいた彼女が弾かれたように立ち上がり、横たわる彼に駆け寄ってきた。
 彼に、触れようと。
 瞬時に湧き上がる嫌悪感。ギギナは女性から触れてくることを決して許さない。
「触れるな!」
「……!」
 剣幕に驚いたのか、クリーオウはギギナに触れる寸前、その手を押しとどめていた。
「あ……ごめん、怪我、してたよね」
 謝罪。だがその表情には拒絶されたことに対してか、それとも単純に怒鳴られたからか、
なんにせよ深く傷ついたことがありありと見受けられる。
 面倒だ。ギギナはそう断じると、ゆっくりと体を起こした。
 恩人から頼まれたのはこの小娘の保護と移送。精神面のフォローまでは含まれていない。するつもりもない。
「今は、何時だ?」
「あ、う、うん。えっと、十時半くらいだけど」
 時計を見ながら、クリーオウ。それを聞き、舌打ちをひとつしてギギナは立ち上がった。
 思ったより時間をとられた。この負傷では約束の時間までに目的地にまで辿り着くのは難しいかもしれない。
 弾き飛ばされた屠竜刀を拾い上げ、それを杖代わりにする。
「行くぞ。時間があまりない」

「……待って、ギギナ。私、まだ言ってないことがある」
 入り口に足を向けた矢先だった。
 溜息を吐きながら――その労力さえ今の体では惜しかったが――振り返る。
「――クエロの埋葬ならば、手伝えん。その時間も、義理も私にはない」
「違うの。ううん、クエロの埋葬もしてあげたいけど、私が言いたいのは――」
 そこでようやく、ギギナは気づいた。
 目の前で何やら俯いているこの小娘は、先ほどから何かに脅えているような顔をしている。
 最初は自分の態度に対してのものかと思っていたが、それにしては少しばかりこれは重症だった。
 そして、少女が口を開く。
「さっき私たちを襲ってきた子が、まだ生きてるの……!」
「な――にを?」
 咄嗟には理解できない。あれは確かに禁止エリアに投げ込んだ。ならば生きている筈などない。
 いや、そもそもあれがまだ生きているならば、自分がこうして目を覚ましていること自体がありえない。
 敵の存在を探ろうとしたギギナの目の動きをクリーオウは悟ったのだろう。
「ううん、もう居ないよ。何でか分からないけど、あっちの――」
 と、B-3へ続く通路を指差し
「――あっちの通路から、行っちゃったから」
「我々には目もくれず、か? 何故だ?」
「……分からない、けど」
 それでも、あの表情には見覚えがある。
 二度目の襲撃の時、どこかふざけているような雰囲気など微塵も感じられなかったあの時の表情。あれは、
(ライアンの、表情――)
 何かに絶望していた表情だったように、彼女には思えたのだ。

「ならば、なおさらゆっくりとはしていられんな。
 禁止エリアから抜け出てきたというのは気になるが――さっさといくぞ、娘。荷物を持て」
 まるで逃げるような体裁なのはギギナにしてみれば憤懣やるかたないが、だからといってドラッケンは無駄死も奨励していない。
 さっさと歩き出そうとするギギナを、慌ててクリーオウは再度呼び止めた。
「あの、待ち合わせしている仲間が居るんだけど……」
「時間がない、と言ったはずだが?」
「でも……」
 再び俯いてしまう、クリーオウ。
 ギギナは何度目かになる深い溜息をついた。
「……場所はどこだ?」
「行ってくれるの!?」
「常ならば貴様を担いででも連れて行っているところだ。
 だが、この怪我では貴様が本気で逃げようとすれば捕まえるのは骨が折れる。
 ならば仕方があるまい」
 堂々と犯罪チックなことをのたまうこの男に、クリーオウは思わず呟かずにはいられなかった。
「人攫い……」
「何か言ったか?」
「別に……あ、ほらあっちの道だよ?」
 そういって先導して歩こうとするクリーオウに、だが今度はギギナが静止の声をかけた。
「――娘、止まれ。貴様、先ほどあの襲撃者は逆の通路から出ていったといったな?」
「う、うん。そうだけど」
 急に剣呑な空気をまとったギギナに、クリーオウは動揺しながらも答える。
「ならば、何故あの剣が――」
「剣? 剣なんてどこにもないけど……」
「無いからおかしいのだ。私はあの通路の入り口辺りに、もう一本の剣を置いていた」
 魂砕き。
 魔神王を打ち破らんがために誕生した漆黒の魔剣が、あるべき筈の場所にない。

 だが近づいてみると、代わりに別のものが存在していることが知れた。
 ご丁寧に剣を刺してできた穴の真上に、それは置かれていた。
 紙切れと、そして先ほど地下通路でクリーオウが落とした懐中電灯である。
 正確にはドクロちゃんが拾い上げて、そのあとギギナとの戦闘で取り落としたのだが、幸い故障はしていないようだった。
 だが、ここにひとつ問題が発生する。
「これ、ギギナが拾ってきてくれたの?」
「いや? 私ではない」
 ならば、それは、
「十中八九、剣を盗んだ下手人だろうな。貴様はずっと起きていたのだろう? 犯人の姿を見なかったのか?」
「私、怖くてずっと逆の通路を見てたから……それに」
「それに?」
 剣を取られたことに静かに怒っているらしいギギナに話すのは少々躊躇われたが。
 確証というほどの確証は無い。だが犯人は通路の懐中電灯を拾い、ここまでやってきた。
 それはつまり、通路の向こう側からやってきたということに他ならず、
 そして、待ち合わせ場所だった通路の先に居る筈だったのは――
「多分、これを置いていったのは私の仲間だと思う」
 置いてあった、紙切れ――手紙を広げながら、クリーオウはそう呟いた。

■

 一方――
 ライアン・スプーン・キルマークドと同じだの絶望していただのと一見シリアスに語られそうだった三塚井ドクロは、
 現在シリアスとかハードボイルドとかとは無縁の状況だったりする。
 いや、本人から見てすれば大真面目だ。この苦悩だけで大長編が執筆できそうな、そんな凄みを彼女は纏っていた。
 だがそんなことに時間を費やしている時間は彼女には無い。彼女にはやるべきことがあるのだ。
 誰もが一度は味わったことがあるであろうあの激痛、まさしく神の試練と彼女は戦っているのである。
「僕のわっか、どこ……!?」
 天使はそのシンボルである輪っかを頭上に戴いていなければ、恐ろしい腹痛に見舞われる。
 何故彼女たち天使を創造した神はこのような弱点を設計したのだろうか。
 ミロのヴィーナスのように、欠けている美しさを演出しようとしたのだろうか?
 なんて素晴らしいんだろう。死んじゃえ。
 ――などと思考する時間も、彼女には無い。
 彼女が超絶激・真・裏闇変態覇王(憎しみによってパワーアップした)に輪を飛ばされてから、すでに一時間半ほどが経過していた。
 一時間半、である。お分かりいただけるであろうか。一時間半、彼女はあの苦痛にさいなまれ続けているのである。
 その理由はわっかが突き刺さった場所にあった。彼女の身長を超える位置にある木の幹。
 一般的に、腹痛時に視線は下がるものである。
 机の上や電車の床を一心不乱に眺め続け、この苦痛からの開放を苦行者たちは待ち望む。
 そして通勤や授業から開放された彼らは聖地へと駆け込み、そして事を済ませトイレの天井や空の青さに涙するのである。
 だが彼女を拘束しているのは時間的経過で何とかなるものではない。
 故に、もはや限界など当に突破している彼女には、わっかを見つけられない。
 ついでに言うと、彼女の消失までのタイムリミットも大幅に縮まっていたりする。割と洒落にならない展開である。
 ――故に、頃合だった。
「――探し物は、これか?」
「……! それ、返して!」
 ドクロちゃんが振り返った視線の延長上、隠れ身を解き、金色の輪と魂砕きを手にしたピロテースがそこにいた。

■

 もはや説明するまでもなく、魂砕きを盗んだのはピロテースであることは明白である。
 だが、いかにして彼女がそれを手にいれる経緯となったのか?
 時間はクリーオウとギギナが出会ったときまで遡る。
 その時、とりあえず八時まで待ってみようと城の地下で待機していた彼女は突如鳴り響いた轟音を耳にした。
 音のした方へ行ってみれば、そこにはクリーオウと銀髪の男、そして凶器を構えた少女の姿。
 無論、すぐに声をかけようとしたがクリーオウはすぐにもと来た道を戻っていってしまう。
 ここでクリーオウの仲間だと言って出て行っても、自分も事態を把握できていないし、混乱を招くだろうと判断。
 銀髪の男はどうやらクリーオウの味方であるらしかったので、いざとなれば助太刀をする心算だった。
 だがそれをするまでもなく、銀髪の男が勝利する。
 そこで出て行っても良かったのだが――その頃までには、ピロテースは銀髪の男の特徴が、
 クエロの言っていた戦闘狂の特徴と一致することに気づいていた。
 無論、ピロテースはクエロのことを手放しに信頼している訳ではない。
 だが、彼女が吐いた情報を全て嘘だと断じることも出来ない。
 良い策謀家とは、ばれないような嘘を考える者ではなく、嘘と真実をごちゃ混ぜにしてかく乱する者のことだ。
 故に、僅かに行動が遅れ――結果的に、それが彼女の命を救った。
 奇妙な呪文を合図に、目の前の少女の傷が修復されはじめたのだ。
 撒き散らされた血液はそれ自体が生物であるかのようにおぞましく蠢き、主の体内に潜り込んでいった。
 傷口はおろか、衣服、両断された凶器の類まで修復され、ゆらりと幽鬼の如く立ち上がる……

 明らかな致命傷。それをこうも容易く癒せる人物というのは、とてつもない脅威だ。
 故に彼女は慎重に後をつけていった。クリーオウがいるということは、この奥にはせつら達もいるということだ。
 それに、再びあの少女が襲い掛かってもまたあの男が撃退するだろう――そんな楽観も、無かったといえば嘘になる。
 だが、現実はそう上手くはいかない。
 せつらの姿は見えず、クエロは死体となっていた。
 せつらがクエロとクリーオウを二人きりにするとは思えない――ならば死んでしまったのか、
 少なくとも最早この集団には属していまいと彼女は判断した。
 そして少女と銀髪の男の勝負も、彼女の予想とはまるで違う展開になっていた。
 再戦までの間隔は僅か数分にすぎない。それなのに、先ほどは容易く斬殺された少女が今度は優勢さを見せている。
 空間ごと対象を粉砕するような殴打の応酬は、結果として剣舞士に重傷を与えた。
 だが、辛くも勝利を掴んだのは再び狂戦士。少女の首筋を深く切り裂き、さらに禁止エリアとなっている湖に投げ込む。
 ――これだけだったのなら、彼女はそれを選ばなかったのかもしれない。 
 怪我人を背負い込んで足が遅くなるのは勘弁だったが、それでもあの男はアシュラムの情報を持っているかもしれない。
 同盟破棄は、その上でクリーオウにきちんと告げればいい。
 彼女は様子を窺うために潜んでいた通路から身を乗り出し、自分の存在を知らせるため声を上げようとしていた。
 だが、その声は永遠に上がることはなかった。
 彼女は気づいてしまった。通路のすぐ傍にに突き刺さっていた魔剣と、天使の少女が禁止エリアから再び這い出てきたという異常に。
 魂砕きはあの銀髪のものか、それともクリーオウたちが新たに入手したのか――
 いずれにしても、それを貰ってすぐ同盟破棄など受け入れられるはずも無い。
 そして何より、禁止エリアから出てきたあの少女。
(刻印が、解除されている?)
 ならばあの超再生能力も、人外の腕力も納得できる。
 数刻前に出会った、ロードスに縁のある者と名乗った少女との遣り取りで、彼女はアシュラムと再会した後の事も考え始めていた。
 この島で勝ち残るにしても、脱出を目指すにしても、最大のネックになるのははこの刻印。
 ――ならば。
 彼女は決断した。
 突き刺さっていた魂砕きを引き抜き、残り僅かな精神力で隠れ身を張って、天使の追跡を開始したのだ。

■

 そして、現在の構図が出来上がる。
 ピロテースにとってこの天使の少女の予想外の弱体化は、降ってわいた幸運だった。
「ねえ、それ、返してぇ……!」 
「これ、か?」
 金色の輪をちらつかせる。どうやらこれがないと目の前の少女は不調をきたすらしい。
 だから、こうなるまで放っておいた。
 だから――
「返すわけなど、ないだろう」
 ――全力で、その天使の輪を明後日の方向に投擲した。
 少女が悲鳴を上げる。だがそれでどうにかなるわけでもなく、わっかは一瞬で暗い闇の中に消えた。
 もう、まともな手段では見つかるまい。
 彼女が如何な手段で刻印を解除したのかは知らないが、笑いながら何の力も無い少女を殺そうとするような異常者である。
 どうせ外道の手管であろうし、容赦する気は毛頭ない。
「――なんてことする、のぉ……!? まさかっ、お姉さんも、あの変態の仲間……!」
「さて、な。だが、質問に答えれば見つけてやらんことも無い」
 森はピロテースのフィールドである。まともでない手段など自分はいくらでも持っている。
 ドクロちゃんは割りと必死だった。
 たとえ目の前の女性があの変態王の仲間だとしても、今の彼女は悪魔にさえ魂を売り渡す所存である。
「答える! 答えるから、早くぅ……!」
「ならば、質問はひとつだけだ――貴様は、いったいどのような技術に精通している?」
 問うのと同時に、ピロテースはメモをドクロちゃんに突きつけた。
 すでに用意してあった、筆談用の紙である。内容はこうだった。
『貴様は、どのようにして刻印を解除した?』
 刻印には盗聴機能がある故、多少なりとも刻印の事情に通じた者ならこうして筆談を使う。
 ――だがこの天使は、そんなことなど知らない。
「刻印なんて知らないよぅ! 解除ってなに!? どうすればわっかを返してくれるの!?」
「ばっ――」
 絶句。思わず罵倒しようとして――だがそれも叶わないだろうという諦観が押し寄せてくる。
 しかし刻印による制裁は、いつまで経っても訪れない。
「……?」
「ねえ、わっか、取ってきてよう!」
 まさか管理者が今のを聞き逃していたという訳でもあるまい。
(刻印解除に関する話でも、取るに足らないということか?)
 くっ、と笑う。ならば今まで必死にこそこそと筆談をしていた自分達は道化以外の何者でもない。
 いいだろう。その慢心に付け込ませてもらう。
 ピロテースは、ドクロちゃんの腹にそっと足を乗せた。

「な、なに……!? 何する気!?」
 慌てるドクロちゃん。彼女の腹部はアルマゲドン状態である。いつ爆発してもおかしくない。
 だが、ピロテースはそんな彼女の腸内事情を知らない。
 ピロテースが把握しているのは、あくまでドクロちゃんの体調が悪化しているということだけである。
 具体的な症状など知らず、足を腹部に乗せたのは、ただ効果的に痛みを与えられて、
 その上で会話に支障をきたさない部位だったからという理由に過ぎない。
「話さないのならば、相応の痛みは覚悟してもらう」
「だ、だって、僕、そんなの知らない――」
 ピロテースは容赦なく足に力を込めた。
 もとより、彼女は拷問のつもりである。加減はしてあったが、その加減も死なない程度に、というレベルのものに過ぎない。
 ――故に、ヒロインにあるまじき惨劇が巻き起こった。
 空気が抜けるような音と水っぽい音が同時に響き渡り、そして立ち込める臭気。
 描写に耐えない、阿鼻叫喚の地獄絵図がそこにあった。
 ところで、慢性的な腹痛でも、いったん出してしまえばその瞬間は楽になるものである。
 三塚井ドクロも、それは同じだった。
 ――まあ楽になったから反撃した、というよりは、
 単にこの恥辱の場面を見た者を抹殺しなければという危機感が先に立っていたのだが。
「い……いやあああああああああああああああああああああ!」
 振るわれる愚神礼賛。
 それは奇しくも、先の風の騎士の最期に酷似した状況だった。
 予想外の惨状に気を取られたダークエルフの腹部を、愚神礼賛が殴打する。
 そう、それはとてもとてもよく似た状況で――
「ぐっ……!」
 だけど似ているだけで、違う結果がそこにはあった。
 吹き飛び、地面に転がるピロテース。だが彼女の腹部はまだ存在していた。何故か?
 単純に、ドクロちゃんの力が低下していたというのがひとつ。
 すでに彼女は、一般人と同程度の腕力しか行使し得ない。
 そしてもうひとつの理由は――

「……がはっ、ごほっごほっ」
 ごぷりと、口から血色の泡を吹き出す天使の少女。
 もうひとつの理由は、ピロテースが咄嗟に手にしていた魂砕きをドクロちゃんに突き刺していたからに他ならない。
 腹部を貫通し、背中にまで達したその傷は致命傷だ。
 ――だが、この天使は致命傷では死に切れない。
「ぴぴる、ぴるぴる……」
 詠唱される、呪文。死すら癒す魔法の言葉。
 しかし、ピロテースはそれをすでに二度、見ている。
 故に、対策も立てていた。
「ぴぴるっ!?」
 詠唱が中断する。
 それはそうだろう。圧し掛かられ、喉を絞められていれば、声は出せない。
 彼女の魔法が如何なるプロセスを経て使われているのかは知らないが、少なくともあの謎の呪文は必須だったようである。
 もっとも、もし不必要だった場合、ピロテースはそのまま絞め落とすつもりだったが。
「……死にたくなければ、話せ。そうすれば癒させる」
 手を僅かに緩め、ピロテース。
 だが、ドクロちゃんは話さない。否、話せない。当然だった。刻印の情報は彼女の既知の外だ。
 このままでは、遠からず失血死する。
 どうやら、完全に話す気は無いらしい。あるいは、話せないような理由でもあるのか。
 内心で舌打ちをしながら、体の上からどき、魂砕きを傷口から引き抜こうとしたその瞬間――
「――あら、じゃあその続きは私が引き継ぐわね」
「……なっ!?」
 振り向いたときにはすでに遅く。
 放たれた<火球>の呪文が、彼女に直撃していた。

■

「ぐっ……貴様、は」
「そんなに睨まないで、といっても無駄でしょうけどね」
 肩をすくめながら悪びれもせずにいるのは、数刻前に出会った貫頭衣の少女――カーラである。
 ピロテースは致命傷を負い、地面に倒れ付しながらも、自身に不意打ちをしてきたその魔女を睨みつけている。
「なぜ、ここに」
「そう不思議がることではないでしょう?
 でもいうならば、そうね、貴女との取引を重視した結果、かしら?」
「――は、」
 馬鹿なことを、とでも言いたかったのだろうが、彼女はすでにそんな言葉さえ紡げない。
 当然だ。火球は胸部に直撃していた。肺機能も横隔膜も、すでに満足には動いていない。
 それとは対照的に、カーラは言葉を紡ぐのをやめなかった。
「別に嘘ではないわ。貴女との約束の時間が迫っていたから、私は城の付近にいた。
 さっきの戦闘に遭遇して、あとは貴女の隠れ身を解くタイミングが私より早かったというだけよ。
 まあ貴女の望んでいた情報は手に入らなかったのだけど……これはしょうがないわよね?」
「……」
 ピロテースは、喋らない。
 ただ、怨敵を睨み殺さんばかりの視線が生存を主張している。
「その点、貴女は優秀ね。私の欲しかったものを二つも手に入れているんだもの」
 そう言って、カーラはとピロテースが落としていたメモを拾い上げる。
 その内容に目を通し、この娘がね、といまだ突き刺さったままの魂砕きを眺めながら呟いた。
「貴女は、魂砕きを誰にも渡さないつもりだったみたいだし……この状況だったら、こうなるのはしょうがないでしょう?」
 ねえ? と、同意を求めるかのように、カーラは再び地に臥すダークエルフへ視線を戻す。
 だが、唯一生存を証明していたその両目からも、光が完全に消えていた。
「……」
 念のために脈を取り、完全に死んでいることを確認してから、やれやれ、と溜息を吐く。
 制限下における長時間の隠れ身で、さしものカーラといえどその精神力は疲弊していた。
 もっとも、疲弊の度合いで言えばこのダークエルフの方が重度だったのだろうが。奇襲がいとも簡単に成功したのだし。
「さて、と」
 さらに視線を移し、刻印を解除したという少女の方を見やる。
 血はほとんど流し尽くし、もはやその顔色は蒼白だ。
 だが、カーラは別に治療を施そうとも思わなかった。
 それよりも、すべきことがある。
 流れている血が少ないのは好都合だった。
 魂砕きを引き抜き、そして、躊躇うことも無く少女の刻印の付いている方の腕を切り落とす。
 こちらの少女も、もはや悲鳴を上げない。
 ――死体は、悲鳴など上げない。
 死とは、停止だ。停まった彼女は、これ以上個性を損なわれることは無い。
 デイパックに、少女の手首を放り込む。ついでに、ダークエルフの死体にも同様の処置をした。
 これでデイパックの中には腕が五本。
「ぞっとしないわね――」
 そんな戯言を紡ぎながら、灰色の魔女は楽しそうに笑う。
 ――思わぬ収穫だった。まさかすでに刻印を解除している人物がおり、あまつさえ目の前で死に掛けているなど。
「運が向いてきたかしら?」
 思ってもいないこと呟き、笑いながら彼女は歩き出した。

■

 手紙を読み終わったクリーオウは、ゆっくりと立ち上がった。
 その様子はどこか泣いているようにも見える。
「……行こうか、ギギナ」
「仲間は良いのか?」
「うん……ごめんね、剣」
「……本来なら追いかけて三度は切り殺している所だが、構わん。
 もとより私の誇りを乗せ、矜持を守る剣はこれだけだ」
 ネレトーを指し示し、ギギナが背を向ける。
 ――それが無骨な心遣いのように思えて、クリーオウには嬉しかった。

 その手紙は短いものだった。
 時間が無かったのだろう。ほとんど殴り書きに近い。

『クリーオウ・エバーラスティンへ。
 まずは自分の不義理を許して欲しい。だが、私は私の忠に従う。
 私に出来ることは何も無い。私のことを千の言葉で罵り、万の言葉で呪ってくれても構わない。
 だが、もしも願えるのなら。
 できれば次に出会ったときに、お互いに殺しあわない関係であればと、切に願う。
                                        ピロテース』


【069 ピロテース 死亡】
【106 三塚井ドクロ 死亡】
【残り 35名】

【G-6/森の中/1日目・23:15頃】
【福沢祐巳(カーラ)】
[状態]:食鬼人化
[装備]:サークレット、貫頭衣姿、魔法のワンド 魂砕き
[道具]:ロザリオ、デイパック(支給品入り/食料減)
    腕付の刻印×4(ウェーバー、鳳月、緑麗、ピロテース)
    解除済み腕付の刻印×1(三塚井ドクロ)
[思考]:1.フォーセリアに影響を及ぼしそうな者を一人残らず潰す計画を立て、
    (現在の目標:火乃香、黒幕『神野陰之』)
    そのために必要な人員(十叶詠子 他)、物品を捜索・確保する。
    2.解除済みの刻印を解析する。
[備考]:黒幕の存在を知る。刻印に盗聴機能があるらしいことは知っているが特に調べてはいない。刻印の形状を調べました。

 【D-4/地下/1日目・22:30】
【ギギナ】
[状態]:肋骨全骨折。打撲。疲労。
[装備]:屠竜刀ネレトー。贖罪者マグナス。
[道具]:デイパック(ヒルルカ、咒弾(生体強化系2発分、生体変化系4発分))
[思考]:クリーオウをオーフェンのもとまで保護。
    ガユスの情報収集(無造作に)。ガユスを弔って仇を討つ?
    0時にE-5小屋に移動する。強き者と戦うのを少し控える(望まれればする)。

【クリーオウ・エバーラスティン】
[状態]:右腕に火傷。疲労。精神的ダメージ。
[装備]:強臓式拳銃 “魔弾の射手” (フライシュッツェ)
[道具]:デイパック1(支給品一式・パン4食分・水1000ml)
    デイパック2(支給品一式・地下ルートが書かれた地図・パン4食分・水1000ml)
    缶詰の食料(IAI製8個・中身不明)。議事録。ピロテースからの手紙
[思考]:1.E-5に移動。オーフェンに会う。
    2.ピロテースを……?
[備考]:アマワと神野の存在を知る。オーフェンとの合流場所を知りました。

※地下に居た為、ギギナとクリーオウはダナティアの放送を聞いていません。

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