「本当に誰一人としていない……」
剣崎、志村、みく、瞬の四人は町中を見て回ったが誰一人として見当たらなかった。
「そうだ、なんで気付かなかったんだ! これがあるじゃないか」
瞬がデジタイザーをみくに見せた。
「そうか! 通信機能」
瞬がうなずいき、デジタイザーで呼びかけた。
「健太! 聞こえるか?」
『瞬!? 大変だ! 急いで来てくれ』
すると、通信機の向こうから声がした。
「健太! どこにいる!?」
『春日部!』
健太はデジタイザーをブチ切った音がした。
「みく! 健太は春日部にいるみたいだ」
「じゃあこの近くだね。……あれ? 健太は繋がったの?」
みくは瞬に疑問を問いかけた。
「え?」
「千里と耕一郎は繋がらなかったよ」
「……そうか、ここはネジレ空間!?」
「……! そうかもしれない!」
剣崎と志村は二人の会話について来れなかった。
「ね……ねじれくうかん?」
「悪の王国・ネジレジアが作り出す空間のことです。前に俺とみくもそこに……」
「ようするに異次元の空間のことですね?」
志村がようやく理解する。剣崎はともかく。
「はい。そこでもデジタイザーが通じなかったんです。多分この空間にいる人同士だと通じるんじゃないかと思って……」
あの時は変身すらできなかったという事実に、瞬はまだ気付いていない。
「なるほど……。君の友達もここに?」
「多分……。こうしちゃいられない! 早く健太の元へ急がないと」
瞬が思い出したように言った。
「どうかしたんですか?」
「健太が大変みたいなんです」
「健太くんはどこにいるんですか?」
「春日部……みたいです」
「おい、春日部っていっても結構広いんだぜ。二手に分かれたほうがいいんじゃないか?」
志村が提案しようとしたことを剣崎が先に提案した。志村が心の中でニヤリと笑う。
「そうですね。それじゃあ通信できる二人がバラバラになるようにして決めましょう」
「それじゃあ俺は瞬と行く」
これも志村にとって嬉しい方向に進んでいた。弱い女の方が、殺しやすい。
瞬と行動したかったみくには物凄くいやな方向だったが。
「それじゃあ僕は今村さんとですね。健太君も助けを急いでいるようなので、こちらも急がないと」
志村がみくと歩き出した。
それを見て、剣崎と瞬も逆方向に歩き始めた。
さらに志村はその二人がいなくなるのをじっと見ていた。
「今村さん、少しお腹が空きました。さっきのお菓子を分けてくれませんか?」
「いいですよ」
みくがスーパーの袋を開いた。
「どれがいいですか……あれ?」
みくが志村のいた方向を見ると、誰もいない。
背後から迫る、白い異形・アルビノジョーカーが志村なのだから。
アルビノジョーカーがゆっくりとみくの首に手を寄せた。
みくはさすがに背後から気配を感じ、振り向いた。
「きゃあ!!」
その悲鳴も瞬たちには聞こえない。
「インストールメガレンジャー!!」
──335──
みくがメガピンクに変身した。
「志村さん!?」
志村は容赦なくメガピンクに攻撃した。
「メガキャプチャー!!」
メガピンクがメガキャプチャーでアルビノジョーカーの器官に超音波でダメージを与えた。
「グァッ!」
アルビノジョーカーはその攻撃に苦しんだ。
「グッ!!」
しかしアルビノジョーカーは手に持つ巨大カマでメガキャプチャーを地面にたたきつけた。
「きゃあ!」
メガピンクが手を傷めて後退する。
そこにアルビノジョーカーの重い一撃が入った。
メガピンクが変身を解いて逃走する。
「無駄だ」
アルビノジョーカーはすぐに追い駆けた。
あと1メートル。
50センチ。
30センチ。
10センチ。
「きゃあ!!」
みくがつまずいて転ぶ。
「死ね!!」
アルビノジョーカーのカマが、みくの眼前まで迫っていた。
そのとき、デジタイザーから声が聞こえた。
『みく! 健太たちは……』
「瞬? 助けて……」
□
そのしばらく前、メガレッドとイエローレーサーは目の前で爆発した二つの閃光を見て唖然としていた。
そして、光が消えて全てが見えた頃、そこには二人の男が全裸で倒れていた。
まるでどこぞの仮面ライダーのように、幸いにもうつ伏せで。
「おい、あんた!!」
メガレッドが変身を解きながら始の元へ立ち寄った。
「大丈夫、気を失ってるだけみたいだから」
イエローレーサーも変身を解いて始の具合を見た。
全裸の男を見ても悲鳴をあげないのが、菜摘らしいところだ(ちなみに、OOオーパのぬぎぬぎビームガンで裸になった
ダップを見ても、菜摘は何も言わなかった)。
「うん? 待って、この腕から出た血……」
始の腕からは緑色の血が流れていた。
「キャー!!」
「うわっ!!」
ここでようやく悲鳴をあげる菜摘。
「何コレ……。もしかしてあっちの男の人がいい方なの?」
菜摘が指差した方向には、怪しげな化粧をつけた、いかにも悪そうな中年くらいの男性が倒れていた。
「そんなわけないか……」
「いや、正義の味方がルックスで判断しちゃダメだろ!?」
「いいえ、正義の味方はルックスで判断しなきゃダメなの!」
菜摘が健太を睨む。
「……そうですね」
菜摘の気迫に思わず珍しく敬語で菜摘に返した。
「それより、看病しなくちゃ。健太だっけ? できる? 看病」
「いや……。どちらかというとできないかも」
その直後、健太のデジタイザーから声が聞こえた。
『健太! 聞こえるか?』
□
「始!? 始だよな……」
剣崎たちが健太たちの居場所に到達すると、剣崎の目に始が映った。
「どうしてだ?」
起きるまで答えてくれないであろう始を、剣崎は揺さぶった。
「とりあえずみく達に連絡します」
瞬がデジタイザーを口の前まで持ってきた。
「みく! 健太たちは見つかった。場所は……」
瞬が回りを見渡して特徴的なものをさがす。
『瞬? 助けて……』
「みく!? どうした、みく!!」
通信が途絶えた。
「剣崎さん、みくが!!」
「どうした?」
「多分、誰かに襲われました! 助けてきます」
「待て。志村さんは?」
瞬は一瞬制止するが、すぐにデジタイザーを眼前に持ってきて、インストールする。
「インストール! メガレンジャー」
──335──
瞬がメガブルーに姿を変えた。
「瞬! 俺も行く。インストール! メガレンジャー!!」
──335──
二つのサイバースライダーが現れ、それぞれを乗せた。
「おーい!! 気をつけろよ!」
剣崎が心配そうに見送った。
□
直後、アルビノジョーカーは以外な行動をとった。
カマをスレスレで止めたのだ。
「お前を人質にとるのも悪くないな」
そういえば、剣崎はラウズカードを持っていた。
アルビノジョーカーには、アンデッドの封印を解く力がある。
それを使って自分に忠実な僕(しもべ)を蘇らせるというのは悪くない。
そして、そのラウズカードを奪うためには人質作戦というのもいいだろう。
「フン」
アルビノジョーカーは強引にみくの髪を引っ張る。
「痛い、痛い!!」
そして、そのままビルに登っていく。
上空から迫る赤と青の戦士の目に留まりやすいよう、屋上で待機するのだ。
階段が近づくにつれ、みくの心の不安と恐怖が高まっていく。
□
「おい、健太。あれ!!」
メガブルーが目で、ビルの屋上を指した。
「ああ。多分みくと、みくを襲った奴だな」
メガレッドとメガブルーがビルに向けてスピードを上げた。
「待て」
ある程度近づくと、白い怪物の声が聞こえてきた。
「それ以上近づくな。近づけばコイツを殺す」
二人は緊張で鼓動が高まっていた分、はっきりと聞こえた。
二人は同時に唾を飲む。
「
剣崎一真という男を知っているな?」
「なぜ、その名を?」
「いいから聞け。ヤツの持っているラウズカードを全て俺によこせと言って来い」
「ラウズカード?」
メガレッドがアルビノジョーカーに問うたが、アルビノジョーカーは「いいから言って来い!」と怒鳴った。
「そうだ。志村さんは?」
メガブルーが唐突に聞いた。
「殺した」
アルビノジョーカーが無情にも言い放つ。
「そんな……」
みくが悲しそうな顔をして言った。
「赤い方! さっさと剣崎に言って来い!!」
みくののどにカマが近づいた。
「クッ!」
メガレッドが悔しそうに逆を向き、剣崎を呼びに行った。
「青い方の戦士よ、お前はコイツの命が大事か?」
アルビノジョーカーが唐突にきいた。
「あたりまえだ。みくは俺たちの仲間だ! そして、俺の大事な人だ」
その言葉はとても力強かった。
「瞬……」
「俺からもきいていいか?」
メガブルーがアルビノジョーカーに聞く。
「なんだ」
「二度目の質問になるが……お前はどうして剣崎さんのことを知っているんだ? もしかして、アンタ志村さんなんじゃないか?」
メガブルーの言葉に一瞬、アルビノジョーカーは冷や汗を流した。
「志村……? 知らんな」
「おかしいな。さっき殺したとか言ってなかったっけ?」
瞬がマスクの裏で微笑んだ。
「男を殺した覚えはある。だが、志村という名前だとは知らなかった。それだけだ」
「さっきの会話で知ってるはずだぜ? 俺が『志村さんは?』と聞いたら、迷わず『殺した』と答えただろ? お前、なんで名前まで知ってるんだ?」
アルビノジョーカーが追い詰められて、ついにみくを屋上から突き落とそうとした。
「それ以上しゃべったらコイツは死ぬ」
「残念だな。そこから落としてもみくは死なないよ」
メガブルーがアルビノジョーカーに向かって体当たりした。
そのままみくが落下する。
「インストール! メガレンジャー!」
──335──
「サイバースライダー!!」
みくがメガピンクに変身してサイバースライダーを出現させた。
「おのれ! こうなったら退散だ」
アルビノジョーカーがビルから飛び降り、着地した。
「あ! 逃げた」
「待て! 今は放っておこう。剣崎さんたちのところに怪我人がいるんだ。どうやらこの世界にいる皆はメガレンジャーみたいに変身できるみたいだから志村……いやあの怪物が襲ってきても平気だろう」
メガブルーがメガピンクに言い聞かせた。
「それに……」
「それに?」
「みくも心配だ」
この一言で、メガピンク──いや今村みくという一人の女子高生はときめいた。
□
その少し前──。
「だから、レンズガードくれよ! レンズガードがないとみくが怪物に!」
「レンズガードってなんディスか?」
「ディス? ……あーもう、いいから来てくれ!」
ラウズカードとは果てしなく違う名前を覚えた健太と、それを要求される剣崎はビルに向かおうとしていた。
□
「みく……?」
突然涙を流し始めたみくに、瞬は戸惑うばかりだった。
「あの……私……しゅ、瞬のことが……」
「おい、みく助けに来たぞ!!」
「アンデッド!! ……はどこだ?」
メガレッドと変身直前の剣崎はものすごくタイミング悪くその場に駆けつけた。
□
「いててててててて!!」
「怪我人が三人になっちゃったわね」
菜摘があきれながら健太の顔を消毒した。
「だって、俺はみくを助けに……」
「俺は健太君に来いって言われたから……」
「ごめんなさい、剣崎さん!!」
みくが剣崎に頭を下げた。
「瞬、さっきのことは忘れて!!」
今度は瞬に頭を下げる。
「ん? あ……ああ」
瞬は既に忘れていて、みくの意思をまったく感じていないんじゃないかというくらいきょとんとしながら剣崎の顔を消毒していた。
「いたたたたたたた」
剣崎もまた顔にしみた消毒液に痛みを感じていた。
□
「面白い……ここがだめならば他の集団を壊滅させてやる。……そうだ!
橘朔也。あいつなら簡単に騙せそうだ」
志村純一は自分の闇の面を路地裏で一人爆発させていた。
【現代地:埼玉県】
【剣崎一真の持ち物:ブレイバックル、ラウズアブゾーバー、ラウズカード(スペードA~10)】
【志村純一の持ち物:グレイブバックル、ラウズカード(チェンジケルベロス(黄))】
【並木瞬の持ち物:デジタイザー】
【今村みくの持ち物:デジタイザー、食料】
【
相川始の持ち物:ラウズカード(ハートA~10、K)】
【伊達健太の持ち物:デジタイザー】
【志乃原菜摘の持ち物:アクセルチェンジャー】
【ゴ・ガドル・バの持ち物:なし】
参戦時期
剣崎一真⇒劇場版序盤(虎太郎に再会前)、志村純一⇒劇場版終盤(ブレイドKFに敗北後)、並木瞬⇒32話終了後、今村みく⇒40話終了後、相川始⇒38話序盤(トライアルF撃破後)、伊達健太⇒44話終了後、志乃原菜摘⇒最終回後、ゴ・ガドル・バ⇒45話終了後
その他
※剣崎一真のブルースペイダー、相川始のバイクに関しては次の書き手さんに任せます。
※ラウズカードのスペードのJとQ、ハートのJとQ不明、スペードのKは封印開放されています。
※始は、ハートの2のカードがなければ人間の姿のなれません(始がこのガドル戦のどこで人間になったのかは何も言わないで下さい^^;。
※志村の目的は正義の戦士の集団に紛れて中から壊滅させることです(橘朔也ならば簡単に騙せそうだと思っています)。
最終更新:2008年11月28日 19:53