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ハーレムエンドになる為には




谷口を殺した杉崎は考えながら階段を降りていた。
血のついた制服を気にする事も無く考えていた。
今まで過ごして来た生徒会の日々は、雑談ばかり。
そして解散後に仕事を初めて家へと帰ってエロゲ。
優良枠を狙って、成績最下位クラスから1位まで成り上がってまで、
手に入れたあの生徒会の日々、それで杉崎は満足の一段階へ進んでいた。
後は好感度を徐々に上げていき、ハーレムエンドを目指す。
そうやって杉崎の、生徒会攻略ルートは進んでいた筈。
………だが、気がつけばいつもの日々を盗まれて殺し合いをしている。
殺し合いはハーレムエンドルートには含まれていないイベントだ。
自分の計算は間違った、一体どこでどう間違えたかが分からない。
それ故に杉崎は混乱して、考える事も無く谷口を殺してしまった。
自分の手を汚してまでハーレムエンドになる必要はあったのだろうか?
殺し合いは信頼勝負ともいえる。故に今の状況が不味い事はわかっている。
だからこそ、制服の血を誤魔化す術を考えなくてはならない。

(参ったな……取り敢えずこれ隠さないとな)

だから、杉崎は制服を脱いで今はシャツ一枚とズボン。
脱いだ奴はデイパックの中へぶち込む。
……そこで気がつく。そういえば谷口を殺した際にデイパックを取った事に。
信頼勝負において、矛盾を発見されればそれまでだとも言える。
平等に配られたデイパックを、相手が+1持っていたと知れば……。

直ぐに杉崎は、谷口のデイパックの中身をすべて自分の方へと移した。
今更ながらこのデイパックは不思議なものだった。
どんなにいれても全然、満たされる気配が無いのだ。
外見は普通の鞄サイズなのに、中身は魔法がかけられてる様な量。
現実では有り得ない、ゲームでもファンタジーじゃないと無理だ。
違和感……だが、殺し合いの中では共通しているなら問題じゃない。
逆にそちらへとこちらの思考を合わせる事が重要。
頭が混乱しそうな程、現実味の薄い事も受け入れる心が大事。
そこまで考えて杉崎は気付く。

(……つまり、もしここに皆がいて殺されてしまった事まで受け入れるしか
 ねえのかよ!)

杉崎の考えていたハーレムエンドの難易度は予想よりも高かった。
あの生徒会メンバーが全員いた場合――誰一人として死亡してはいけない。
戦場の中、助ける事によって好感度は異常なまでに上昇する。
そのリスクとして、死亡する事もあるということ。
この広い戦場の中で生徒会全員を見つけて、死なせず帰還する。
………それは、あまりにも荷が重いものだった。
一言で示すなら、それは―――――。


―――――無理ゲー―――――


杉崎のハーレムエンドは、絶望に陥った。
一人でも死亡したらゲームオーバー。
居場所不明で、守りながら敵を撃退する。
あまりにも無理な条件で、今までの生徒会の日々でしてきた活動の無意味さが、
今になって杉崎に襲ってきて、殺し合いが感じさせたこれはあまりにも酷かった。
ハーレムエンドは不可能、それはつまり杉崎の生きる意味を失うに値した。
単独キャラを攻略するなど、杉崎にとっては外道。
この殺し合いの中で巡り合った美少女を目にしたってルートを変更する気もない。
ただ生徒会のハーレムエンドを見たかった彼はただ絶望した。

杉崎は静かに階段を降りる。
足を踏み外してしまいそうなぐらい、フラフラとしながら……。
もし階段から落ちればどうなるかなんて、考える気にもなれない。
考える必要もないが、今は何も考える気力がなかった。
……だが、階段に潜む悪魔には嫌でも気付いてしまった。
ここは階段――ある学校の七不思議の一つの場所。
その昔、ある一人の女子生徒が階段から転げ落ちて死んだ。
死体の姿がまるでブリッジをしている様だったからこう名付けられた。
『ブリッジ女』と。学園の七不思議と一つとして歴史に刻まれた。
歴史は蘇り、現実にて登場する。


「っ!?うわああああああああああああ」


杉崎がふと背後を見れば、そこには有り得ない方向に曲がった首。
人じゃない何かのような存在が直ぐ後ろで存在していた。
その事に杉崎は絶叫を上げる他、なかった。
とにかく逃げるしかない、全力で逃げるしかない。
幾ら現実味の薄いものを信じろと言われても、これは無理だ。
エロゲはやって来た、だからグロゲなんて知らない。
ホラーゲーも全然やってない。だから耐性というのは分からない。
だが、実際に見てみるとなれば本当に恐怖でしかない。
イレギュラー過ぎる存在は、杉崎の平常心を容易く砕いた。

杉崎は背後を見ず、ひたすら階段を駆け降りる。
それを見て、ブリッジ女は気付かない様な笑みを浮かべる。
………原作では、逃げるコマンドを選ぶとどうなるか。
逃げるとは敗北を意味する。ホラーゲーの敗北とはどういうことか?
簡単、ホラーにはかかせず存在する死という展開。
それを体験させる事こそが、ホラーゲーの敗北なのだ。
杉崎の背中を押そうと、ブリッジ女が手をかけようとした。


「そこだぁっ!!」


ふいに、そんな男の声がした。
飛んでいったサッカーボールは、ブリッジ女の気を引かせた。
その隙に杉崎は階段を降り切ると、叫んだ男は一気に階段を駆け上がる。
サッカーボールに気を取られているブリッジ女を、背後に回って―――。
そして、手はそのブリッジ女を押した。
七不思議の封印方法の一つとして、ブリッジ女の対処方法は階段から落とす事。
ブリッジ女が階段から落ちて行く。そして――――消滅した。
杉崎は何が何だか分からないままだった。そこに近付く小さな子。

「大丈夫!?」

心配して、様子を見に来てくれたらしい。
殺し合いの中においては、これ程甘い存在はいないだろう。
本来なら杉崎は何も言わず殺害しただろう。
……だが、ブリッジ女によって恐怖で埋め尽くされた杉崎に殺害の余裕はなかった。
子供の心配に返答もしない杉崎に、何度も声をかける小さい子。
その中、階段の上でブリッジ女を倒した男は気分が良さそうに叫んだ。


「正義は勝つ!!」


正義を愛する者、アメリカはそう言って内心でキマッたと気分良くして、
階段を降りて杉崎の元へと向かう。
救助した人間からは、必ずお礼の言葉を言われるものだ。
それを言われたい故にアメリカは杉崎の方に向かう。

「怪我はないかな?」

よくあるヒーローの言葉の一つである。
大体この後の返信は、決まってるものだが……。
殺し合いはイレギュラーの塊。イメージ通りいかない事もある。
放心状態の杉崎から返ってくる言葉は無かった。
何も言わない事に少しムッとするも人を助けた快感はたまらなかった。

「この人、どうする?」
「そうだなー……何も言わない何て予想外だったよ……。
 取り敢えず、人を守る事こそも正義の役目!この人が
 返事するまで、俺達は守ろう!!」
「そうだね!よぉーし、杏がんばろぉーっと!」

オー!と二人仲良く手を挙げる。
それに反応すらしない杉崎は、固まったまま。
ハーレムエンドも無理で生きる意味を失った自分。
そして化物と出会ってもう何も考えれない。
恐怖と絶望で埋められた心はそう易々と安定出来ないだろう。
杉崎のハーレムエンドは険しそうである。

そして、アメリカと杏の考えも制覇される時はくるのか?
正義として、最大の力を発揮する事。
つっちーに出会い、感動のラブストーリーに仕立てる事。
どちらも険しい道が待っているであろう。


【ブリッジ女@いちろ少年忌憚 封印】


【E-3 - 学校内階段付近】
【杉崎鍵@生徒会の一存】
【状態】健康 放心状態
【服装】シャツ
【装備】刃物が一つ
【道具】基本支給品 不明支給品1~3 谷口の不明支給品1~3  血のついた制服
【思考】基本思考:会長達の為に殺し合いを続ける。
0、……………。
1、これも、仕方ないんだ………。
2、ハーレムエンドは不可能なのか………。
※血のついた服はデイパックの中へとしまわれました。


【E-3 - 学校内】
【アメリカ@ヘタリア Hetalia Axis Powers】
【状態】健康 ヒーロー
【服装】アメリカの服
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3 サッカーボール@いちろ少年忌憚
【思考】基本思考:ヒーローとして皆を助け悪を倒す。
1、覚悟しろ!悪の親玉!
2、放心状態の人が返事するまで護衛。
3、正義として、頑張るぞ!


【E-3 - 学校内】
【杏@はなまる幼稚園】
【状態】健康 心配
【服装】はなまる幼稚園の制服的な服
【装備】なし
【道具】基本支給品 不明支給品1~3
【思考】基本思考:つっちーを探す。そして、つっちーとのラブストーリーを……。
1、ああ……つっちー……
2、放心状態の人が返事するまで守る。


※【サッカーボール@いちろ少年忌憚】
 ブリッジ女封印の際にいちろが使用したもの。
 空き缶では見向きもしないブリッジ女の気を何故か引ける。
 至って普通のサッカーボールで仕掛けなどない。


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最終更新:2011年03月21日 04:06