「えーと、お話は判りましたか?」
オスカー・サザーランドの態度は見るもの全てを不快な気分にさせる。
それはこの現地の警備隊司令も同様であった。
「君の意見は判ったがね。オーブのやりようがココでも通じると思ったら」
「大間違い、ですか?まあ、レジスタンス気取りのテロリストへの対処なんて何処も変わらないと思いますが」
そう言って小首を傾げる。
「確かに、地域の特異性を理由に一向に成果が上がらない言い訳になさる方もいらっしゃるご時世ですけどねぇ」
「き、貴様…」
一瞬、司令の両の拳にギリ、と力が込められるが、殴りつける寸前に相手の素性を思い出し、ギリギリで踏み止まる事に成功した。
オスカー・サザーランドの態度は見るもの全てを不快な気分にさせる。
それはこの現地の警備隊司令も同様であった。
「君の意見は判ったがね。オーブのやりようがココでも通じると思ったら」
「大間違い、ですか?まあ、レジスタンス気取りのテロリストへの対処なんて何処も変わらないと思いますが」
そう言って小首を傾げる。
「確かに、地域の特異性を理由に一向に成果が上がらない言い訳になさる方もいらっしゃるご時世ですけどねぇ」
「き、貴様…」
一瞬、司令の両の拳にギリ、と力が込められるが、殴りつける寸前に相手の素性を思い出し、ギリギリで踏み止まる事に成功した。
規模自体はさほど大きく無いレジスタンス「開かれた世界」が、つい最近になってクローズアップされた理由。
それは、アジトにニュートロン・ジャマー・キャンセラーの存在が確認された為である。
それは、アジトにニュートロン・ジャマー・キャンセラーの存在が確認された為である。
元々、ニュトロン・ジャマーにより機能を奪われた商業用原発の施設を(流石に原子炉周りは使えなかったが)基地として転用しており、基地に直接攻撃は出来ず、また、周囲に小規模ながら都市が点在したため、強引な制圧戦も出来ない、と言う状況が長く続いていたが、同時にレジスタンスとしては小規模だった為に支配地域も狭く、いわば双方でなあなあの状態が続いてきたのだ。
しかし、ニュートロン・ジャマー・キャンセラーが基地に持ち込まれたことで状況は一変した。
現在は試験運転の状況だが、いずれ本格的に操業を開始するのは時間の問題。
事実、試験運転の段階で支配地域に充分過ぎる電力の供給の開始を確認された。
将来的には地方の一レジスタンスの基地を越え、他の大規模な組織と提携や合併する危険性も高いとなればもはや一刻の猶予も許されなかった。
事実、試験運転の段階で支配地域に充分過ぎる電力の供給の開始を確認された。
将来的には地方の一レジスタンスの基地を越え、他の大規模な組織と提携や合併する危険性も高いとなればもはや一刻の猶予も許されなかった。
治安警察の動きは素早かった。
ルタンド5個中隊を現地へ派遣したのだ。そして、その責任者がオスカー・サザーランドだった。
ルタンド5個中隊を現地へ派遣したのだ。そして、その責任者がオスカー・サザーランドだった。
「開かれた世界」に支配地域外縁部にある村からSOSが届いたのはその翌日だった。
『政府軍が「テロリスト捜査」の名目で村を事実上の接収をした』
「本格的に我々を攻略するつもりか…」
軍の目を盗んで届けられた情報は、攻略に備えた橋頭堡として接収した事を示していた。
このまま手をこまねいていれば取り返しのつかない事態になるのは明白。
即座に半数以上の戦力を投入しての奪還作戦が開始された。
『政府軍が「テロリスト捜査」の名目で村を事実上の接収をした』
「本格的に我々を攻略するつもりか…」
軍の目を盗んで届けられた情報は、攻略に備えた橋頭堡として接収した事を示していた。
このまま手をこまねいていれば取り返しのつかない事態になるのは明白。
即座に半数以上の戦力を投入しての奪還作戦が開始された。
「状況はどうなってる?」
「MSはルタンド二個小隊、って所ですかね。後は、工兵が結構な数居ます。まだ本格的に基地化はされてません」
「よし…コレから襲撃するが、くれぐれも深追いはするな。狙いはMSに絞り、一撃後は即座に村から離れろ。村人を徴発して工事に使ってる可能性が0ではない以上、間違っても作業員は狙うな」
斥候の情報から、今だ橋頭堡として完成していない今ならまだ叩けると判断した隊長は、即座に攻撃命令を下した。
雪崩を打って襲いかかり、警備のルタンドの内の一機をビームとマシンガンで打ち倒すが、止めは差さずに簡易基地を走り抜ける。
「開かれた世界」が簡易基地に突入した直後、突如として左右から押し包む様に治安警察のルタンド部隊が「開かれた世界」目掛けて押し寄せてきたのだ。
「やはり伏兵か!」
彼我の兵力差は2対1。そのまままともに交戦すれば勝ち目はない。
即座に転進して退却を開始するが、その後をルタンド部隊が追い縋る。
「ええい、しつこい!」
追撃と言うには非常識なほど深追いしてくる治安警察に毒づくが、事態は更に悪化していった。
「3時と9時からも敵増援が!」
恐らく、基地突入のタイミングに合わせて索敵可能範囲のギリギリ外からこちらに向かっていたのだろう。
「突入のタイミングも、斥候を出す範囲も、全て読んでいたと言うのか?!」
そして、その進路上には都市があった。しかし、進路を変更しようにも、迂闊に変更すればどちらかの部隊と交戦することとなる。
そして、そこで足止めをされれば…
「やむをえん。このまま街中を走り抜けるぞ。発砲はするな。例え攻撃されてもだ!」
「MSはルタンド二個小隊、って所ですかね。後は、工兵が結構な数居ます。まだ本格的に基地化はされてません」
「よし…コレから襲撃するが、くれぐれも深追いはするな。狙いはMSに絞り、一撃後は即座に村から離れろ。村人を徴発して工事に使ってる可能性が0ではない以上、間違っても作業員は狙うな」
斥候の情報から、今だ橋頭堡として完成していない今ならまだ叩けると判断した隊長は、即座に攻撃命令を下した。
雪崩を打って襲いかかり、警備のルタンドの内の一機をビームとマシンガンで打ち倒すが、止めは差さずに簡易基地を走り抜ける。
「開かれた世界」が簡易基地に突入した直後、突如として左右から押し包む様に治安警察のルタンド部隊が「開かれた世界」目掛けて押し寄せてきたのだ。
「やはり伏兵か!」
彼我の兵力差は2対1。そのまままともに交戦すれば勝ち目はない。
即座に転進して退却を開始するが、その後をルタンド部隊が追い縋る。
「ええい、しつこい!」
追撃と言うには非常識なほど深追いしてくる治安警察に毒づくが、事態は更に悪化していった。
「3時と9時からも敵増援が!」
恐らく、基地突入のタイミングに合わせて索敵可能範囲のギリギリ外からこちらに向かっていたのだろう。
「突入のタイミングも、斥候を出す範囲も、全て読んでいたと言うのか?!」
そして、その進路上には都市があった。しかし、進路を変更しようにも、迂闊に変更すればどちらかの部隊と交戦することとなる。
そして、そこで足止めをされれば…
「やむをえん。このまま街中を走り抜けるぞ。発砲はするな。例え攻撃されてもだ!」
しかし、その目論みは脆くも崩れ去る。
「ふむ。まあ、予想通りですがね」
「ふむ。まあ、予想通りですがね」
都市に突入し、中心部に到着した頃。上空を二機の大型の輸送機が飛ぶ。
「なんだ?」
そして、その機体の腹から人型が放り出された。モビルスーツの降下部隊である。
「たかが一地方でここまでするのか!?」
瞬く間に包囲網が完成、レジスタンスは都市に釘付けにされる。
「なんだ?」
そして、その機体の腹から人型が放り出された。モビルスーツの降下部隊である。
「たかが一地方でここまでするのか!?」
瞬く間に包囲網が完成、レジスタンスは都市に釘付けにされる。
「で、ここからどうするのかね?」
「えーと。後はお任せします」
司令に問われてサザーランドはそっけなく返す。
「ふん。『手柄はコチラに譲る』とでも?」
今更そう言い出してもな。言外にそう匂わせる。
「僕達の仕事は「治安維持」ですから。あまり表立つのも考え物です」
フン、と鼻を鳴らして大股で歩み去る司令を見送るサザーランド。
「まあ、ここで貴方が先頭に立ってもらわないと困るんですよね」
「えーと。後はお任せします」
司令に問われてサザーランドはそっけなく返す。
「ふん。『手柄はコチラに譲る』とでも?」
今更そう言い出してもな。言外にそう匂わせる。
「僕達の仕事は「治安維持」ですから。あまり表立つのも考え物です」
フン、と鼻を鳴らして大股で歩み去る司令を見送るサザーランド。
「まあ、ここで貴方が先頭に立ってもらわないと困るんですよね」
この直後の戦闘に関する資料は何故か正確なものは残されていない。
正規軍、レジスタンス、双方の機体のブラックボックスの破損が激しかった事もあるが、正確な時間を記録した媒体が存在しなかった事も大きい(治安警察内でも問題にされた)
結論から言えば、「突然正規軍司令官の乗ったルタンドがビームライフルで狙撃され爆散」し、「ほぼ同時」に「レジスタンス隊長機がビームライフルで狙撃されて爆散」し、「都市中央で正規軍とレジスタンスが乱戦になった」のを「司令からの要請がなかった為全く戦闘に参加しなかった治安警察が確認」し、結果、都市はほぼ壊滅状態に陥った。
そして、戦力の大半と、支配領域の住民からの支援を失った「開かれた世界」は全員投降し、壊滅した。
正規軍、レジスタンス、双方の機体のブラックボックスの破損が激しかった事もあるが、正確な時間を記録した媒体が存在しなかった事も大きい(治安警察内でも問題にされた)
結論から言えば、「突然正規軍司令官の乗ったルタンドがビームライフルで狙撃され爆散」し、「ほぼ同時」に「レジスタンス隊長機がビームライフルで狙撃されて爆散」し、「都市中央で正規軍とレジスタンスが乱戦になった」のを「司令からの要請がなかった為全く戦闘に参加しなかった治安警察が確認」し、結果、都市はほぼ壊滅状態に陥った。
そして、戦力の大半と、支配領域の住民からの支援を失った「開かれた世界」は全員投降し、壊滅した。
「トガクレ1、及び2、帰還しました」
「はい、お疲れ様」
「しかし、流石に双方の指揮官を狙撃するのはバレたら拙いですよ」
「ああ、それは大丈夫。君の今日のスケジュールは『オロファトでのライヒ長官の警護』だから」
「…わかりました。肝に命じておきます」
「なんで皆ちょっと頭を働かせたらバレるような引っ掛けにつまずくんだか。人間はコレだから…」
「はい、お疲れ様」
「しかし、流石に双方の指揮官を狙撃するのはバレたら拙いですよ」
「ああ、それは大丈夫。君の今日のスケジュールは『オロファトでのライヒ長官の警護』だから」
「…わかりました。肝に命じておきます」
「なんで皆ちょっと頭を働かせたらバレるような引っ掛けにつまずくんだか。人間はコレだから…」