今日はレジスタンス組織リヴァイヴァーの親睦会の日です。
当初、リーダーがこの企画を会議で提案したとき、
"このようなときに何をのん気なことを…!"
"やる気あんのかコラ"
などと異議を唱えるメンバーも少なくありませんでした。
しかし、考えてみてください。
私たちレジスタンスに一番必要なもの… それは『結束』です。
ただでさえ、巨大な国家の力の前ではプチっと潰されそうな私たちです。
互いに強く結びついていなければ、この先の戦いを生き抜いていくことなどできません。……だというのに、この組織はどうでしょうか?
まずリーダーからして怪しさ大爆発です。
想像してみてください。
もしもあなたの会社の上司や、部活のキャプテンが常に仮面をつけた謎の人物だったとしたらどうおもうか。
レジスタンスとてひとつの人間社会である以上、常識をわきまえることは大事です。
なのにリーダー自らこんなことでは示しがつきません。
それだけじゃありません。
このひと変な仮面してるくせにすっげえキザなんです!
かつて結婚式で花嫁に逃げられたというのも無理からぬことだとおもいました。
他にも、いい歳して協調性に欠けまくるシンさんとか、いつも一言多いコニールさんなど問題のあるメンバーがいっぱいいます。
当初、リーダーがこの企画を会議で提案したとき、
"このようなときに何をのん気なことを…!"
"やる気あんのかコラ"
などと異議を唱えるメンバーも少なくありませんでした。
しかし、考えてみてください。
私たちレジスタンスに一番必要なもの… それは『結束』です。
ただでさえ、巨大な国家の力の前ではプチっと潰されそうな私たちです。
互いに強く結びついていなければ、この先の戦いを生き抜いていくことなどできません。……だというのに、この組織はどうでしょうか?
まずリーダーからして怪しさ大爆発です。
想像してみてください。
もしもあなたの会社の上司や、部活のキャプテンが常に仮面をつけた謎の人物だったとしたらどうおもうか。
レジスタンスとてひとつの人間社会である以上、常識をわきまえることは大事です。
なのにリーダー自らこんなことでは示しがつきません。
それだけじゃありません。
このひと変な仮面してるくせにすっげえキザなんです!
かつて結婚式で花嫁に逃げられたというのも無理からぬことだとおもいました。
他にも、いい歳して協調性に欠けまくるシンさんとか、いつも一言多いコニールさんなど問題のあるメンバーがいっぱいいます。
―こんなことでは私たちは負ける。ていうか私が死ぬ…!まだバージンなのに!!!
気がつくと、私は熱心にリーダーの提案に賛成していました。
なんとしてでも皆の結束を強めたかったのです!
リーダーは協力的な私の姿をみていたく感心してくださったようです。
かくして、割と柔軟なメンバーの消極的賛成もあって"第一回リヴァイヴァ―親睦バーベキューパーティー"が開かれることになりました。イエーイ
なんとしてでも皆の結束を強めたかったのです!
リーダーは協力的な私の姿をみていたく感心してくださったようです。
かくして、割と柔軟なメンバーの消極的賛成もあって"第一回リヴァイヴァ―親睦バーベキューパーティー"が開かれることになりました。イエーイ
そして今、私の前にはひとつの試練がたちはだかっています。
そう、試練です。
レジスタンスのみんなで予約してあった焼肉屋におしかけたところまでは良かったのです。
しかし、どういう巡り合わせか私のテーブルに一番濃い面子ばかり集まってしまったのです。
リーダー、シンさん、コニールさん、そしてその飼い犬……
キザに油よけの三角ナプキンを着用してポーズを取るリーダー。
ろくな食生活をしてこなかったため、低い唸り声をあげて身構えるコニールさんとその飼い犬。
"バーベキュー…… マユ… マユ… ううう、ぐすっ…(じゅるる!)"などと意味不明なことを呟くシンさん。
思わず治安局に通報したくなる光景です。
わたしは… この試練を乗り切ることができるでしょうか?
そう、試練です。
レジスタンスのみんなで予約してあった焼肉屋におしかけたところまでは良かったのです。
しかし、どういう巡り合わせか私のテーブルに一番濃い面子ばかり集まってしまったのです。
リーダー、シンさん、コニールさん、そしてその飼い犬……
キザに油よけの三角ナプキンを着用してポーズを取るリーダー。
ろくな食生活をしてこなかったため、低い唸り声をあげて身構えるコニールさんとその飼い犬。
"バーベキュー…… マユ… マユ… ううう、ぐすっ…(じゅるる!)"などと意味不明なことを呟くシンさん。
思わず治安局に通報したくなる光景です。
わたしは… この試練を乗り切ることができるでしょうか?
じゅー じゅー
黒々とした木炭が加熱され灼熱の赤外線を放っています。
それはまるで破滅をもたらすジェネシスの光のようにみえました。
鉄串を突き通された黒毛オーブ牛からもうもうとした煙が立ち上ります。
その中で身じろぎもせず、ひたすらにバーベキューの具が最も美味に焼きあがるタイミングを待つ獣たち。
牛肉なのですから今すぐに食ってしまってもかまわないのですが、この人たちは妙なこだわりがあるのか火の通し加減にやたらうるさいのです。
ついさっき私が生焼けのままの串を取ろうとしたらリーダーに叱られました。
『ノンノンノン!キミはまったくバーベキューというものをわかっちゃいないな。
これだから庶民は困るネエ』
さすが鍋奉行はセイランのお家芸だな…?!
私、肉も野菜もわりと生焼けが好きなのになあ。
ともかくそれが1分ほど前のはなし。
いまや肉は香ばしく焼き上がり、あとは誰がそれを先に奪い取るのか、緊迫した空気が流れていました。
二時間食い放題コースで予約したんだから奪い合う必要などないはずなのに、今のこの人たちはそんなことも忘れ去っています。
二時間食い放題コースで予約したんだから奪い合う必要などないはずなのに、今のこの人たちはそんなことも忘れ去っています。
…アクションは唐突に起こりました。
互いの動きを牽制して動けないでいたシンさんたちでしたが、後ろのテーブルでウィラードさんが、
『なにがラクス・クラインじゃ!あのファッキン女めが!』
と怒鳴りながら生ビールのジョッキをドシン!と乱暴に置いたショックを引き金として戦いの火蓋が切って落とされました。
パシ!バシン!パシ!パシ!
テーブル上で交錯し、叩き合い払いあう手と手。
激しくぶつかりあう感情。
『リーダー!あんた上流階級なんだろ?!肉くらい庶民に譲れよ!』
『ええい!僕が栄養をつけなくてこの戦い、どう勝てるというのだね!キミこそ譲りたまえ!』
『あんたたち、肉は女に譲るのがガルナハンのしきたりだよ?!』
『バウッ!バウッ!』
この場に人間しかいなければ、超人的な反応速度を持つシンさんにかなう者などいなかったでしょう。
しかし、コニールさんの飼い犬がシンさんの手が肉に伸びるのを妨害しておもうようにいきません。
ならばその隙にと、リーダーが手を伸ばすと、こちらはコニールさんが妨害して激しい戦いが続きます。
えんえんと肉が焦げるまで続くと思われたその戦いですが、勝負は唐突につきました。
『きゃっ!』
店の隅で、こちらのテーブルの争いに気を取らたウエイトレスさん(巨乳)が転んでパンツがみえそうになったのです。
リーダーとシンさんの目はそちらに釘付けになりました。
『ヒュー ヒュー お姉ちゃんカワイイヨー』
その隙に肉を奪うコニールさんと、犬。
シンさんたちがそのことに気がついたときには、犬とコニールさんは思いっきり肉を喉にがっこんでいました。
が、
「うぐっ?!!」
犬はともかく、人間のコニールさんはさすがに喉を詰まらせてしまいました。
「大変っ、大丈夫ですかコニールさん!」
急いで喉をかきむしるコニールさんの背中を叩き、水を飲ませようとする私。
「ふふふ。ありがとうコニール・アルメタ、そしてさようならだ」
私は馬鹿なことをほざいているリーダーに蹴りをいれました。
それからしばらくして、ようやく落ち着きを取り戻した私たちは肉をつつきながらまったりと語り合っていました。
「しかし、ソラ。今更だけど、あんたってホントにレジスタンスって感じがしないね。
なんか手芸でもしているほうが似合ってるというか」
「そりゃあしょうがないですよ。私だってまさか自分が反抗勢力に身を投じてラクス・クラインに逆らうことになるなんて夢にも思いませんでした。
ほんと、あの頃が嘘のようです……そう。私はラクス様を信じきっていました。
友達と一緒になってラクス様やキラ様の姿にキャー キャーいってたものです。
春や夏には同人誌をつくって"ラクスさまオンリー同人誌即売会"に参加したりもしました。
あ!私自身はどちらかというとキラ様総受けのほうがジャンルとしては好きだったんですけどね。
ほら、ニュースとかでみてると、ラクス様っていまいち感情表現に乏しいじゃないですか?
いつもニッコリーて感じで。その点キラ様はなよなよしたところが弄りがいがあるというか……そんなことを考えていた私がレジスタンスとは… ふっ」
その頃のことを思い出すと顔から火がでそうなほど恥ずかしくなります。
若気の到りとはいえ、痛すぎる過去です。
…て。
気がつくとテーブルについているみんなが白い眼をわたしに向けていました。
どうやら余計なことを語りすぎてしまったようです。ち。
「ラクスがなんじゃあああああああああああ!!!!」
きゃっ!
どうやら後ろのテーブルのウィラードさんが話をきいていたようです。
興奮していきりたっています。
『ラクスがなんじゃ!いいか皆の衆、よくきけぃ!ラクス・クラインはファッキン女じゃ!』
あんたソレさっきも言ってたジャン。
『おおー!そうだ!ラクスはファッキン女だ!』
『おお!ファッキンだ!』
『よし、おれも!』
『ラクスはファッキン!ラクスはファッキン!』
酒の勢いにまかせて、みんなでラクスファッキンコールが鳴り止みません。
まあ仕方のないことでしょう。
私たちは大ラクスファッキン帝国に立ち向かうレジスタンスなのですから。
しかし、こんなことをしていたらどうなるか?
『治安局のダコスタだ!!!ここで反ラクス主義の集会が開かれていると通報があった!
貴様ら両手をあげて大人しくしろ?!』
アチャー、やっぱりこうなりました。
ホールドアップしろといわれているにも関わらず、リーダーは立ち上がって彼らに近づいていきます。
両手を広げて反意がないのを示し、フレンドリーな微笑を浮かべてなんとか彼らを説得しようとしているようです。
「やだなー、反ラクスさま集会だなんて!誤解ですよ!
我々はリバイバー声優学院のもので、今度ヤキン攻防戦を題材にしたお芝居をするんで、その練習をしてたんですよ。
ハハハ!どうもお騒がせして申し訳ありません」
「嘘をつくな!そんな言い訳が通じるとでも…」
「なにいってんのさ、お役人さん!その人の格好みてみなよ!そんな仮面つけた怪しい人が真っ昼間から出歩いてんだよ!
本物の犯罪者だったらそんないかにもな格好してるわけないじゃん!!!」
慌ててフォローを入れるコニールさん。
「むぅ…、そういわれてみれば確かにな…」
「ちょっと調子に乗りすぎました。ホントにすみません以後気をつけます」
「うむ。あまり余計な手間をかけさせるなよ」
「ええ、それはもう!…よし、みんなそろそろお開きにしようか。会費を集めるぞー」
ふう。なんとか無事に収まり…
「か、会費っ、きいてないぞ……?!」
シンさんが硬直しました。
「なにをいってるんですか。二時間食い放題飲み放題で2,500クレジット。
連絡きいてないんですか?」
「聞いてない… 全部組織の活動費から出るものだと」
「あら、しょうがないですねー。でも2,500クレジットくらい手持ちありますよね」
「ぐっ… 実は、ない」
………は?
「1,400クレジットくらいしか持ってない」
元ザフトレッドにしてネビュラ勲章の連続叙勲者、シン・アスカ。
しかしいまやその収入はザフトグリーン以下であった。
「もう、しょうがないですねー、じゃあ誰かから借りて…」
「実は… あたしも、ない」
苦しそうに声を搾り出すコニールさん。
「わしもじゃ… 老人サービスだとばかり…」「俺も…」「俺も…」
ザワ ザワ
この組織って…
リーダーも状況を察して青くなってます。
「くっ、こうなったら仕方ない…!」
「リーダー…?」
『みんな!走れ!逃げるんだ!!!』
大声でレジスタンスメンバーに食い逃げを指示するリーダー。
堰を切ったように店の出口に駆け出すメンバーたち。
あまりにメンバーたちの行動が迅速だったため逃げ遅れたダコスタさんらを踏み潰して逃走する私たち。
「ふっ、みたかねこの作戦行動力。僕の狙いはピタリと当たったようだね?
あとであの店には犯行声明を送りつけておこう」
逃げながら得意になってふんぞりかえるリーダーを、私は思い切り蹴りました
黒々とした木炭が加熱され灼熱の赤外線を放っています。
それはまるで破滅をもたらすジェネシスの光のようにみえました。
鉄串を突き通された黒毛オーブ牛からもうもうとした煙が立ち上ります。
その中で身じろぎもせず、ひたすらにバーベキューの具が最も美味に焼きあがるタイミングを待つ獣たち。
牛肉なのですから今すぐに食ってしまってもかまわないのですが、この人たちは妙なこだわりがあるのか火の通し加減にやたらうるさいのです。
ついさっき私が生焼けのままの串を取ろうとしたらリーダーに叱られました。
『ノンノンノン!キミはまったくバーベキューというものをわかっちゃいないな。
これだから庶民は困るネエ』
さすが鍋奉行はセイランのお家芸だな…?!
私、肉も野菜もわりと生焼けが好きなのになあ。
ともかくそれが1分ほど前のはなし。
いまや肉は香ばしく焼き上がり、あとは誰がそれを先に奪い取るのか、緊迫した空気が流れていました。
二時間食い放題コースで予約したんだから奪い合う必要などないはずなのに、今のこの人たちはそんなことも忘れ去っています。
二時間食い放題コースで予約したんだから奪い合う必要などないはずなのに、今のこの人たちはそんなことも忘れ去っています。
…アクションは唐突に起こりました。
互いの動きを牽制して動けないでいたシンさんたちでしたが、後ろのテーブルでウィラードさんが、
『なにがラクス・クラインじゃ!あのファッキン女めが!』
と怒鳴りながら生ビールのジョッキをドシン!と乱暴に置いたショックを引き金として戦いの火蓋が切って落とされました。
パシ!バシン!パシ!パシ!
テーブル上で交錯し、叩き合い払いあう手と手。
激しくぶつかりあう感情。
『リーダー!あんた上流階級なんだろ?!肉くらい庶民に譲れよ!』
『ええい!僕が栄養をつけなくてこの戦い、どう勝てるというのだね!キミこそ譲りたまえ!』
『あんたたち、肉は女に譲るのがガルナハンのしきたりだよ?!』
『バウッ!バウッ!』
この場に人間しかいなければ、超人的な反応速度を持つシンさんにかなう者などいなかったでしょう。
しかし、コニールさんの飼い犬がシンさんの手が肉に伸びるのを妨害しておもうようにいきません。
ならばその隙にと、リーダーが手を伸ばすと、こちらはコニールさんが妨害して激しい戦いが続きます。
えんえんと肉が焦げるまで続くと思われたその戦いですが、勝負は唐突につきました。
『きゃっ!』
店の隅で、こちらのテーブルの争いに気を取らたウエイトレスさん(巨乳)が転んでパンツがみえそうになったのです。
リーダーとシンさんの目はそちらに釘付けになりました。
『ヒュー ヒュー お姉ちゃんカワイイヨー』
その隙に肉を奪うコニールさんと、犬。
シンさんたちがそのことに気がついたときには、犬とコニールさんは思いっきり肉を喉にがっこんでいました。
が、
「うぐっ?!!」
犬はともかく、人間のコニールさんはさすがに喉を詰まらせてしまいました。
「大変っ、大丈夫ですかコニールさん!」
急いで喉をかきむしるコニールさんの背中を叩き、水を飲ませようとする私。
「ふふふ。ありがとうコニール・アルメタ、そしてさようならだ」
私は馬鹿なことをほざいているリーダーに蹴りをいれました。
それからしばらくして、ようやく落ち着きを取り戻した私たちは肉をつつきながらまったりと語り合っていました。
「しかし、ソラ。今更だけど、あんたってホントにレジスタンスって感じがしないね。
なんか手芸でもしているほうが似合ってるというか」
「そりゃあしょうがないですよ。私だってまさか自分が反抗勢力に身を投じてラクス・クラインに逆らうことになるなんて夢にも思いませんでした。
ほんと、あの頃が嘘のようです……そう。私はラクス様を信じきっていました。
友達と一緒になってラクス様やキラ様の姿にキャー キャーいってたものです。
春や夏には同人誌をつくって"ラクスさまオンリー同人誌即売会"に参加したりもしました。
あ!私自身はどちらかというとキラ様総受けのほうがジャンルとしては好きだったんですけどね。
ほら、ニュースとかでみてると、ラクス様っていまいち感情表現に乏しいじゃないですか?
いつもニッコリーて感じで。その点キラ様はなよなよしたところが弄りがいがあるというか……そんなことを考えていた私がレジスタンスとは… ふっ」
その頃のことを思い出すと顔から火がでそうなほど恥ずかしくなります。
若気の到りとはいえ、痛すぎる過去です。
…て。
気がつくとテーブルについているみんなが白い眼をわたしに向けていました。
どうやら余計なことを語りすぎてしまったようです。ち。
「ラクスがなんじゃあああああああああああ!!!!」
きゃっ!
どうやら後ろのテーブルのウィラードさんが話をきいていたようです。
興奮していきりたっています。
『ラクスがなんじゃ!いいか皆の衆、よくきけぃ!ラクス・クラインはファッキン女じゃ!』
あんたソレさっきも言ってたジャン。
『おおー!そうだ!ラクスはファッキン女だ!』
『おお!ファッキンだ!』
『よし、おれも!』
『ラクスはファッキン!ラクスはファッキン!』
酒の勢いにまかせて、みんなでラクスファッキンコールが鳴り止みません。
まあ仕方のないことでしょう。
私たちは大ラクスファッキン帝国に立ち向かうレジスタンスなのですから。
しかし、こんなことをしていたらどうなるか?
『治安局のダコスタだ!!!ここで反ラクス主義の集会が開かれていると通報があった!
貴様ら両手をあげて大人しくしろ?!』
アチャー、やっぱりこうなりました。
ホールドアップしろといわれているにも関わらず、リーダーは立ち上がって彼らに近づいていきます。
両手を広げて反意がないのを示し、フレンドリーな微笑を浮かべてなんとか彼らを説得しようとしているようです。
「やだなー、反ラクスさま集会だなんて!誤解ですよ!
我々はリバイバー声優学院のもので、今度ヤキン攻防戦を題材にしたお芝居をするんで、その練習をしてたんですよ。
ハハハ!どうもお騒がせして申し訳ありません」
「嘘をつくな!そんな言い訳が通じるとでも…」
「なにいってんのさ、お役人さん!その人の格好みてみなよ!そんな仮面つけた怪しい人が真っ昼間から出歩いてんだよ!
本物の犯罪者だったらそんないかにもな格好してるわけないじゃん!!!」
慌ててフォローを入れるコニールさん。
「むぅ…、そういわれてみれば確かにな…」
「ちょっと調子に乗りすぎました。ホントにすみません以後気をつけます」
「うむ。あまり余計な手間をかけさせるなよ」
「ええ、それはもう!…よし、みんなそろそろお開きにしようか。会費を集めるぞー」
ふう。なんとか無事に収まり…
「か、会費っ、きいてないぞ……?!」
シンさんが硬直しました。
「なにをいってるんですか。二時間食い放題飲み放題で2,500クレジット。
連絡きいてないんですか?」
「聞いてない… 全部組織の活動費から出るものだと」
「あら、しょうがないですねー。でも2,500クレジットくらい手持ちありますよね」
「ぐっ… 実は、ない」
………は?
「1,400クレジットくらいしか持ってない」
元ザフトレッドにしてネビュラ勲章の連続叙勲者、シン・アスカ。
しかしいまやその収入はザフトグリーン以下であった。
「もう、しょうがないですねー、じゃあ誰かから借りて…」
「実は… あたしも、ない」
苦しそうに声を搾り出すコニールさん。
「わしもじゃ… 老人サービスだとばかり…」「俺も…」「俺も…」
ザワ ザワ
この組織って…
リーダーも状況を察して青くなってます。
「くっ、こうなったら仕方ない…!」
「リーダー…?」
『みんな!走れ!逃げるんだ!!!』
大声でレジスタンスメンバーに食い逃げを指示するリーダー。
堰を切ったように店の出口に駆け出すメンバーたち。
あまりにメンバーたちの行動が迅速だったため逃げ遅れたダコスタさんらを踏み潰して逃走する私たち。
「ふっ、みたかねこの作戦行動力。僕の狙いはピタリと当たったようだね?
あとであの店には犯行声明を送りつけておこう」
逃げながら得意になってふんぞりかえるリーダーを、私は思い切り蹴りました