「ネメシス」について

ここでは、おもにライジングのOPテーマ「ネメシス」を巡って、一部のファンによる「タイバニ」キャラクターに対する作曲者の意図とは
異なる一方的な考察や過激な中傷批判、またそれに伴うアーティストへの弊害及び公式の対応の拙さについて記すものとする。

◆NOVELSについて

「ネメシス」を作曲したNOVELSは、トイズファクトリー所属のアーティストである。結成当時メンバーは4名だったが、2014年4月に2名が脱退。
その後は残りの2名とサポートメンバーで音楽活動を続けていたが、2017年3月1日、公式HP上にて「2017年5月をもって活動休止期間に入る」旨が発表された。
【NOVELSより大切なお知らせ】http://the-novels.jp/news/0/34169/

TV版2クール目のOPテーマ「ミッシングリンク」でメジャーデビューを果たし、以降劇場版第1作目の「ビギニング」OPテーマ「アースダイバー」に続いて今作の「ネメシス」はタイバニ第3作目にあたる。
ちなみにネメシスとは、ギリシア神話に登場する女神の名前で、無礼を働く人間に対する神の憤りや罰を表すものと言われている。

◆ネメシスができるまで

NOVELSは、公式から予めライジングの台本を渡され、それを元に今回の楽曲を作った。(Bros公式ファンブックより)
その際「ネメシス」の他にもう1つ候補曲を作り計2曲を提出、結果選ばれたのが「ネメシス」だったという。
※なお、もう1つの候補曲については、本項目の【追記】を参照の事。
『プロデューサーに見せたとき
「君が今まで書いた歌詞の中で1番良いよ、これで行こう」
という物凄く意外な返事が返ってきて。その言葉には未だに驚いたままなのですが(笑)』
(ブロス特別編集内Sum Up!!より一部抜粋)

プロデューサーの具体名は記されていなかったが(※後述にあるEP尾崎雅之氏による話の内容から、おそらく尾崎氏本人かプロデューサーの田村一彦氏、又はトイズファクトリーのプロデューサーのいずれかではないかと思われる)絶賛にも近い評価を受けた「ネメシス」は、2014年1月18日公式HPのPV内に登場。
TIGER & BUNNY@TIGERandBUNNY
「劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-」の映像を使用した「ネメシス」(NOVELS)のPVを公開いたしました。
オープニング使用部分の楽曲をすべてお聴きいただけるスペシャルPVです。http://www.tigerandbunny.net/ #tigerbunny

しかし、その後「ネメシス」(主に歌詞)を巡り、あちこちからNOVELSが楽曲にかけた想いとは無関係、かつ無責任な憶測や考察が飛び交う事となった。

◆一部ファンによる考察と思しきツイ

@xxxxx  1月20日
虎徹さんはライジングでようやく、ヒーローという概念を信仰し、実際にヒーローになり、
ヒーローと呼ばれることで短絡的かつ楽観的に信じてきた自分の精神的清潔さが
実は薄皮一枚はぎとったら人並みに汚れていることに気づくのかもしれない
ネメシスってそういう歌なのかも

@xxxxxxx
NOVELSさんも『君』になってる…『あなた』じゃなくなってる…
シャーデンフロイデっていわれてもしやって思ってたけど…虎徹さんのうたっぽくね?おじるしじゃね?!

@xxxxxxx
「どうして解雇のこと言ってくれなかったんですか?」「言ったらお前心配すんだろ?」
「すみません。気付けなくて…」ってなるのはもうやめてー。
ばにちゃんの弱さを盾に強がるのはやめてー。
それやったらこの先またシャーデンフロイデさんは同じことしそうだよー!

※シャーデンフロイデ:心理学用語。
シャーデンフロイデ(独: Schadenfreude)とは、他者の不幸、悲しみ、苦しみ、失敗を見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情。
ドイツ語で「欠損のある喜び」「恥知らずの喜び」の意味である。
日本語で言う「様を見ろ」の感情であり、日本でのシャーデンフロイデの類義語としては
「隣(他人)の不幸は鴨(蜜)の味」、同義の「メシウマ((他人の不幸で)飯が美味い)」
という俗語が近い物として挙げられる。(Wikipediaより)

僕らが日常で思ったりする“この人のことはすごく好きだけど、意地悪したい”だとか
“好きだけど幸せになって欲しくない”という、公共の場において大声では言えないような、
否定したいけど存在している人の感情の一部分“シャーデンフロイデ(他者の不幸を喜ぶ感情)”
苦悩する“人”が自分なりの答えを見出すまでについて描きました。
(TV Bros.公式総括ファンブック内・NOVELS竹内真央氏のインタビュー記事より)

TVブロス特別編集ファンブック内でこの言葉が使用された(P71より)ため、これを引用した憶測・考察が広まったと思われる。
しかし上記のようにファンブックでは「この人は好きだけど意地悪したい」という程度の説明しかされておらず、ましてやこの言葉と虎徹とを関連づけるような表現は一切為されていない。

@xxxxxxxxxx
僕さんにとって君さんはきれいで清くて、
自分がシャーデンフロイデ感じる相手の痛みの元を探す
→断ち切ろうとするような行為も純粋な善意と愛情からのように見えて、
だから僕さんは余計に自分のエゴを見せつけられてる気がして自己嫌悪しちゃうのかな。

@xxxxxxxxxx
自分がヒーローやりたいのは人の為だと言いつつ、本当は自分のエゴじゃないかと気付くおじ
一方相棒は裏表なくヒーロー...おまえも俺利用してよ、俺と同じエゴ見せてよ、
みたいなシャーデンフロイデ

また、ファンだけでなくミラクルジャンプ(MJ)版コミカライズの作画担当の上田宏氏も、「ネメシス」の歌詞になぞらえたような虎徹のイラストを、当時の自身のツイッターで発表している。(一部抜粋。他にネメシスとは無関係の呟きや画像等あるが、ネメシス歌詞と共に描かれた絵は虎徹のみである)

上田宏@UEDAsensei
ネメシスを聴きながら描いてました虎徹さんです。

僕は光をかざして
救った気になっていた
https://twitter.com/UEDAsensei/status/427448341543137280/photo/1
posted at 23:30:01

君の弱さを盾に強がっていた
臆病な 僕の弱さを見せるよ
全てはそこからだ
https://twitter.com/UEDAsensei/status/427102278068101120/photo/1
posted at 00:34:53

これらに対し、当時NOVELSメンバーの山田裕起氏(現在は脱退)による牽制とも取れるツイが数度にわたって流れたが、収まる気配はなかった。

山田裕起 @yuki_yNo51
この先出てくるインタビューとか読んでもらえるとうちのボーカルが命削って書いてくれた歌詞の意味が分かるから
焦らずちゃんと言葉の真意を読み取ってもらえたら嬉しいな。 一回でそこまで読み取る力があるなら大丈夫だと思うけど
多方面からいろんな意見があるのも見越してるから大丈夫! 2014/01/25 08:28

@xxxxxxxxxxxxxxx
@yuki_yNo51 フル聞きました!めちゃジワジワ来てます…
ここまでえぐい程自分(タイガーさんだと思ってますが)と向き合った、
また相手とも向き合おうとする姿をえがかれた歌を作られるのに大変な、葛藤の様な層の厚みを感じました…
改めてめちゃくちゃカッコイイです…有難うございます!

山田裕起@yuki_yNo51
おいおい。
腰ふってサティスファクション(注:「ネメシス」内の歌詞の一節)って部分に反応しすぎだろお前らww
どんだけそういうの好きなんだよw
俺は見てるぞ(O_O) 2014/01/26 01:17

その後、2014年2月9日の星空サンライズ(以下星サン)によって、「ネメシス」がバーナビーをイメージした曲である事が判明する。
(星サンの2014/2/10ツイによると、星サンの中の人は聴いた時「バーナビーの歌だなーと感じてた」「だからお話を聞いて納得」だったらしい)

星空サンライズ @hoshi_sun
収録でNOVELSのお二人から「ネメシス」はバーナビーのイメージで作った曲というお話を聞く前、
星サン用に音源をいただいた時から個人的にこれはバーナビーの歌だなーと感じてたんですよね。
だからお話を聞いて納得で。これは私が男性だからなのかなー?と思ったり。

星空サンライズ @hoshi_sun
「ネメシス」私的解釈、“男性だから”ではなく“歌われている恋愛観・対人関係観が似てるから”が正しいかも。
「君の瞳に映った僕に乾杯」系の人は心臓えぐられる(笑)
そんな「ネメシス」が収録されたNOVELS「PROTOCOL」は概ね本日着店日なので夕方CDショップをのぞいてみよう!

星空サンライズ@hoshi_sun
あくまで個人的見解ですが、歌詞の細かいところは置いておいて「ネメシス」は、前を向いて今を生きるバーナビーが
諦めちゃいそうな虎徹に手を差し伸べて引っ張り上げようとするイメージで聴いてました。
劇場版観る前からそう感じさせるNOVELS「ネメシス」すごい。 #tb_movie

さらに、2014年2月12日に2ndアルバム『PROTOCOL』をリリースしたNOVELSも、HP内のインタビューで次のように答えている。
『PROTOCOL』
「アニメ「TIGER & BUNNY」とのコラボ曲(「ミッシングリンク」「アースダイバー」「ネメシス」)、
インディーズ時代から高い評価を得ている「惑星パーティ」「レムリア」などの再録バージョン、
さらに新曲「息もできないほど」をコンパイルした本作」http://www.whatsin.jp/feature/novels_protocol/3
●“The Rising”のために2曲書いた
●最初の曲は“虎徹”つまりタイガーの目線で書いた曲
「ネメシス」はバニーの目線
●映画で使われてる部分は“男同士”っていう感じの曲に聴こえると思う
●フルで聴くと、実は女性に向けて歌われてることがわかる
●そういう二面性の面白さを考えて作ったところも|

だが、それまで虎徹の歌だと思っていたファンなどから「これ、バーナビーの歌だったの?」「似合わない」という感想よりも多く、曲を作ったNOVELSに対して「ふざけるな」「許さない」などと矛先を向ける者が後を絶たなかった。
(個々の好みはあるだろうが、これまでタイバニに登場したNOVELSの楽曲である「ミッシングリンク」「アースダイバー」からは、上記のような反応はなかった)

それを受けてか、EPの尾崎氏が「ライジング」公開中の2014年2月14日、博多でのUSTREAM番組「RE:ショールーム」にて
「誤解を解いておきたい事がある」と前置きした上で、ライジングに関する他の項目に続いて「ネメシス」など音楽についても述べていた。

音楽について、ユニゾン、ノベルズともラジオで、今回の楽曲を作るにあたって具体的なオーダーはなかったですと
いうことを言ってるがそれは本当である。
だが、田村、尾崎、トイズ(ファクトリー)のPは十数回のブレストを何度もしている。

テーマ曲でこんなに打ち合わせするのはあまりないというぐらいにやってる。
トイズのPからユニゾン、ノベルズに伝えて貰っている。
自分たちから直接打ち合わせすることもできるけど、つかず離れずの距離感が丁度いい。それによって期待する化学変化があった。

各アーティストへのオーダーはトイズ任せ。トイズからユニゾン、ノベルズにどう伝えたかは知らない。
投げっぱなしのオーダーではない、時間はとてもかけて作っている。

(【RE: ショールーム Vol.52】尾崎氏の話より一部抜粋)http://www.ustream.tv/recorded/43807326

この尾崎氏の説明から、何度も入念に打ち合わせを重ねた末、公式の判断で「ネメシス」をライジングのOPに決めた事が窺える。
もしも「ネメシス」がライジングに相応しくないと判断されたならば、NOVELSの用意していたもう1つの候補曲を選ぶか、それこそ作り直しを依頼すれば良かった話だが、それをせず「ライジング」のOPを「ネメシス」に決定したのは、他ならぬ公式である。

しかし、トイズファクトリーのプロデューサー越しではなく、直接アーティスト達にオーダーや交渉その他をした方が、いらぬ誤解を招かず真意を伝えられよりよい楽曲が作られたのではないだろうか?

また、尾崎氏が説明をするより前に「ネメシス」は発表されていたのに、その時点では見当違いの考察や批判を受けていた(公式の依頼通りに仕事をこなしただけの)NOVELSに対して、何のフォローもしていなかった公式の杜撰さと不手際は、否めないものである。


【追記】
2015年5月26日、NOVELSのHPにて同年6月10日発売のアルバム『KICK BOOK』に関するニュースと共に、リード曲として収録された『バタフライエフェクト』が「ライジング」のもう一つの候補曲であった事が、NOVELS竹内真央氏のツイッター上で発表された。
竹内真央(NOVELS) ‏@mao_takeuchi · 5月26日
今回の「KICK BOOK」リード曲のバタフライエフェクト、これ実は去年公開された
「TIGER&BUNNY-The Rising-」のOP候補として書いた曲です。
採用されたネメシスはバーナビー曲、バタフライエフェクトは虎徹曲なイメージ。
全編公開をお楽しみに(*_*)
最終更新:2017年03月08日 20:43