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1-95 『火おこし器』で『火』を手に入れる - (2005/05/14 (土) 11:50:16) のソース

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95 :1:05/01/28 23:57:11 ID:RKWfbGp9
カリカリ・・・カリカリ・・・カリカリ・・・ 
乾いた音をたてて、木の軸が回る。 
『火おこし器』の音だ。 
はじめは、うまく回らなかった軸だが、軸の先を細く削ったり 
軸そのものに太い木を使い 
やわらかく、しなやかな蔦をつかったりと、多数の改良を重ねた結果だ。 

軸は回すたびに、勢いを増し、やがて、軸の先から白い煙が上がる。 
木の焦げる独特なにおいもする。 
やがて、煙の隙間から、赤い光が見えるようになった。 
その光にゆっくりと息を吹きかけると、光は大きくしっかりとしたものになる。 
光の上に、小枝を乗せ、再び息を吹きかけると、そこには、炎が宿っていた。 
ついに、彼らは、『火』を手に入れたのだ。 

もし、文明の夜明けと言うのがあったとしたなら、この炎の色がその色だろう。 
あらゆる獣を退け、あらゆる獣を滅ぼし、力を生み、力を育て 
人類が地球上の生物の頂点である証 
       『火』 
このときから、彼らは、獣におびえる弱者から、あらゆる獣に恐れられる強者になったのだ。

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