[[前>1-88 『尖頭器』で鹿狩り、まだきつい]]|[[歴史]]|[[次>1-115 『土器』発明]] 95 :1:05/01/28 23:57:11 ID:RKWfbGp9 カリカリ・・・カリカリ・・・カリカリ・・・ 乾いた音をたてて、木の軸が回る。 『火おこし器』の音だ。 はじめは、うまく回らなかった軸だが、軸の先を細く削ったり 軸そのものに太い木を使い やわらかく、しなやかな蔦をつかったりと、多数の改良を重ねた結果だ。 軸は回すたびに、勢いを増し、やがて、軸の先から白い煙が上がる。 木の焦げる独特なにおいもする。 やがて、煙の隙間から、赤い光が見えるようになった。 その光にゆっくりと息を吹きかけると、光は大きくしっかりとしたものになる。 光の上に、小枝を乗せ、再び息を吹きかけると、そこには、炎が宿っていた。 ついに、彼らは、『火』を手に入れたのだ。 もし、文明の夜明けと言うのがあったとしたなら、この炎の色がその色だろう。 あらゆる獣を退け、あらゆる獣を滅ぼし、力を生み、力を育て 人類が地球上の生物の頂点である証 『火』 このときから、彼らは、獣におびえる弱者から、あらゆる獣に恐れられる強者になったのだ。 [[前>1-88 『尖頭器』で鹿狩り、まだきつい]]|[[歴史]]|[[次>1-115 『土器』発明]]