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「事典編纂者の手紙」
ダニエル・ドロルム 2008年 2月16日

昔々のことですが、ANN の百科事典に関して新しくどんな事柄が起きているかを利用者に知らせる為に、「事典編纂者の手紙」と題する文章を時々書いていた事があります。お恥ずかしい話ですが、一番新しい物でも四年以上も前の物である事を白状しなければなりません。きちんと新しい物を書いていなかった事はお詫びするべきですが、事典も古いままほったらかしであった訳ではありません。実際はそれとは逆で、データは加えられ続けてきました。時々新しい機能や改良も加えられました。フォーラムでその告知が行われた事もありましたし、ひっそりとつけ加えられた事もあります。さらにデータが加えられていきました。編集者達は情報の確認や間違いについての報告に忙殺されてきました。またさらにデータが加えられていきました。フォーラムでの言い争いやスパム投稿もありました。とにかくその間ずっと、さらにさらにデータは加えられ続けていきました。それも大量に。実際、世界中の国々の人々が、あまりに膨大な量の情報を投稿したので、今では ANN の百科事典は有限の命しかもたない人間には、全体を把握する事が出来なくなる程になってしまいました。少なくとも、不死の存在ではない私には無理です。

ANN の百科事典は常に、ウィキのような情報を与えてくれるが整理されていない文章の集まりではなく、整理された情報と統計資料であるように意図して編纂していました。それは、それぞれのページの内容は編集ではなく追加によって肉付けがされるという事を意味していますが、これは、百科事典の設計に関して私が最も後悔している欠点に繋がっています。事典の纏まりを浸食してしまう根本的な問題点です。

困難の年月

殆どのユーザーは本質的には「善良」で、正しい情報を投稿しようと思っている、と私は推測していました。これは実際にそうであると分かりました。また、まぎれこんだ間違いは数人の管理者がいれば直ぐに直せるとも推測していましたが、こちらは、とんでもない誤算であると判明しました。事典のガイドラインに関する単純な勘違いから、他のサイトにあった誤情報の伝染まで色々ですが、善意の人でも簡単に間違いを犯す事があり得るのです。そして、非常に大勢の人々が非常に大量の情報を投稿してくる訳ですから、例え間違ったデータの割合は小さな物であっても、それは ANN の少人数の事典編集者には、とても越えられないような山になってしまうのです。そして、数人の管理者の必要とする物だけを考えていたので、私の作った管理用のツールは、いわば工業用の動力式器具の様な物でした。重くて使いにくく剣呑な物なのです。投稿される情報の量を手早く処理できるだけの人数に事典担当のスタッフを増やす事は不可能でした。

投稿の方はどんどん増えるのに対し、その編纂作業もどんどんこなせる様にするという訳にはいかないのです。

今までの所、我々は、事典担当スタッフの超人的な--この「超人的な」という点は強調しておくべきでしょう--努力のお陰で何とかやってきました。しかし、データを投稿する人の数がそれを直せる人の数よりも桁違いに多いので、事典には規模の拡大と正確さに関する問題があるという事実は変わらぬままでした。

今日から状況は変わるでしょう。少なくとも、私はそう願っています。本日、Encyclopedia Audits を開始しました。これは、利用者による ANN の百科事典上の情報の組織的な検討・改訂を自動化するシステムです。

これは小さな規模で始める事になりますが、理由は、人々の反応を伺う為という事もありますし、根深い構造的な問題点を直しているからという事もあります。このシステムを百科事典の全ての部分で使えるようになるまでに、ある程度時間がかかるでしょう。

では、何から始めるのかというと

ジャンル

ANN の百科事典をジャンルで検索出来る様にしてもらいたい、というのは、ここ数年間で要望を受けた回数がとびぬけて多い事柄でしたが、それに取りかかるのを今まで延期してきました。というのは、データを検索できるようにする前に、ジャンルの定義をもっとちゃんとした物にしておきたかったからです。以前使っていたジャンルは、現在では、ぱっと見ですぐ分かるような一般的な幾つかのジャンル(アクション、冒険、ドラマ等)とより細かいテーマ(メカ、ニンジャ、サムライ等)とに分けられています。もちろん、この新しいジャンル-テーマ分類に合わせて、ジャンル検索が出来る様になっています。さて、このジャンル検索の結果が実際に正確なものかどうか確かめるというのは望ましい事な訳ですが、その為に、皆さんには、少し時間を割いて検査に参加して頂けないでしょうか。この文を執筆している時点で、正しいかどうか確認すべきジャンル-テーマの総計は17231もあり、おそらくその数は増える一方でしょう。現在活動中の数人の事典編纂者にはこれがとても処理しきれない程の重荷である、という事はご想像いただけると思います。言うまでもなく、ある作品があるジャンルに属するかどうかは、時には意見の分かれる所です。そういう場合には、素直に多数意見を採用するというのが恐らく良いでしょう。もし十分な人数の人々が手を貸してくれれば、全部のデータを検査して確認するのも、かなり早く出来る事だろうと思います。ANN の百科事典に協力したいが何から始めていいのか分からない、という人には、検査はうってつけの簡単な仕事です。特典として、検査に参加すると、それが事典協力者のページの点数にカウントされるようにしました。

検査

検査というのは具体的にどんな風に行われるのか、という点ですが、基本的には、どんな情報でも、それを事典に入れるかどうかを決める審理にかける事が出来るでしょう。小形版の裁判のような感じで、情報が本物であるか、正確であるかが、無作為で選ばれたユーザーによる陪審団によって吟味される訳です。なぜ無作為かというと、スパマーがやたらと仲間を呼んできて検査に参加しお気に入りの『ナルト』の架空のエピソード名を本物であるかの様に祭り上げてしまうのを防ぐ為です。また、より大局的な面を見れば、くじで選ぶ方法は、中立的な参加者に有利ですし、ウィキペディアでの編集合戦のような不快な争いにつながる感情的な利害対立を最小限にしてくれます。

しかし、貴方が、ある情報が間違いであるとよく知っているので、その特定の検査にぜひ参加したいと思っている場合は、どうなるのでしょうか。間接的に検査に参加するという方法があります。間違いがある事を報告すると、その結果検査が行われる事になり、貴方はその検査の「スポンサー」として登録されます。その後、あなたが何か検査に進んで参加すると、あなたが「スポンサー」になっている検査の優先度が上がり、他のユーザー達がその検査を行えるようになります。(その為、完全に無作為的であるとは言えない訳ですが。)つまり、貴方は、ある特定の検査に直接に参加する事は出来ませんが、事典の検査に進んで協力する事で、他の誰かを参加させる事が出来るのです。お返しといった所です。

私の説明で、皆さんに事典の検査に協力する気になって頂けたら良いのですが。ANN の事典はあまりに大規模になっているので、それを切り盛りするのに、出来るだけ多くの助けが必要なのです。ジャンルやテーマが妥当かどうか調べるのは、大した事が無い事だと思うかもしれませんが、これはとても長い道のりの第一歩に過ぎないのです。行く行くは、検査方式によって、作品の粗筋をユーザーが編集したり、新しい作品を加えたり、今はスタッフによる確認が事前に必要な多くの情報の入力も出来る様になるでしょう。これは単なる事典の一機能ではなく、ANN の百科事典の全く新しい方向性と言えます。私はとてもわくわくした気持ちで、これが将来どのように結実するかを早く見たくてなりません。
最終更新:2008年03月27日 23:49