『先の大戦――南北聖教戦争――』(4年間)
教会内部の異端が現教会の教義に疑義を示し、新教義を掲げて活動を始める。この新教義は旧教義の解釈に間違いがあるとするもので、確かにそう読み解くこともできるとして教会内でも一定の支持者が存在した。
教会上層と王国は当初これを認めないとしていたものの強行的な排除はためらっており、教会内部は紛糾していた。これに目を付けたのが北方の領主たちである。彼らはかねてから南方の領主たちが南方植民地の利権を独占していることに反感を持っており、この新旧教義の論争を題目にその分け前をはねようと画策した。
新教義の支持を宣言、旧教義を支持する教会関係者を追放するとともに新教義支持勢力に大規模な支援を行った。そのうえで南方の領主ら追従するよう迫ったのである。新教義派のメッカを北方領土に置くことによって宗教的権威を得るとともに、将来的には支援した事実を利用して新教義派から上納を受けようと画策したのである。南方領主陣と王国は当然これに反発。教会も末端は新旧教義のハト派タカ派が入り乱れており十分な団結はできていなかったが、上層は王国側についていた。交渉を決裂と判断した北方領主らは連合を組んで南方領土への侵攻を開始。これに呼応して南方領も軍事行動を起こした。
北方領主連合対王国軍以下南方領主軍の戦争が起こることとなったのである。序盤は奇襲効果もあり北方軍が優勢にことを運んでいたが、南方領主軍が南方植民地の奴隷や志願者を利用した亜人部隊を利用し戦力を強化すると状況は一変し、最終的には王国軍以下南方領主軍が勝利することとなったのである。
しかしこの際に運用された亜人の多くは奴隷であり、また戦後も開放はなされなかったことから、亜人部隊=亜人全て=奴隷と思い込んでいる人間が多いのも事実である。
また旧北方領は現在南方領主陣と王国で分割されて統治されているが、いまだに残党や旧領主派領民による反発も強く、その結果治安維持のために軍事力を大きく割いている現状がある。これが結果として現在の王国や南方領地の治安維持をギルド中心の自警団に任せる方針につながっており、治安自体は落ち着いているもののギルド間の小競り合いや闇ギルドの跋扈などの問題が残ることとなっている。
最終更新:2022年06月28日 23:59