古泉一樹の考察
「殺し合い……ですか」
消毒液と薬剤の独特な臭いがする診療所の内部で、古泉一樹は一人思考に耽っていた。
病人用の白いベッドに腰を掛け、手には先ほどまで目を通していた参加者名簿が握られている。
彼が考えているのは、今回の殺し合いの主催者と涼宮ハルヒの能力との関係についてだ。
このゲームにも参加させられている涼宮ハルヒという少女には、自分の望みを思い通りの形で発現させるという正体不明の力を持っている。
それはどんな非現実的な事象も実現させることができる。
宇宙人、未来人、超能力者は勿論のこと、あの神父のような存在を生み出すことも容易であろう。
つまり、今回の一件すらも彼女が原因で起こった可能性があるということだ。
涼宮ハルヒ本人は、自身の持つ能力の存在には気が付いていない。
それでも無自覚の内に力は発動してしまう。
例えば彼女が殺し合いを主軸とした娯楽小説を読み、その本の出来事が実際に起きたら面白そうだと考える。
それだけで十分なのだ。
涼宮ハルヒがそう思うだけで、それは現実のものとなる。
病人用の白いベッドに腰を掛け、手には先ほどまで目を通していた参加者名簿が握られている。
彼が考えているのは、今回の殺し合いの主催者と涼宮ハルヒの能力との関係についてだ。
このゲームにも参加させられている涼宮ハルヒという少女には、自分の望みを思い通りの形で発現させるという正体不明の力を持っている。
それはどんな非現実的な事象も実現させることができる。
宇宙人、未来人、超能力者は勿論のこと、あの神父のような存在を生み出すことも容易であろう。
つまり、今回の一件すらも彼女が原因で起こった可能性があるということだ。
涼宮ハルヒ本人は、自身の持つ能力の存在には気が付いていない。
それでも無自覚の内に力は発動してしまう。
例えば彼女が殺し合いを主軸とした娯楽小説を読み、その本の出来事が実際に起きたら面白そうだと考える。
それだけで十分なのだ。
涼宮ハルヒがそう思うだけで、それは現実のものとなる。
「……なることはなるでしょうが、可能性としてはかなり低いでしょう」
名簿をデイパックの中に入れながら、古泉は確信したように呟いた。
涼宮ハルヒは客観的に見れば常軌を逸した思考の持ち主に見える。
だがその実、彼女はまともな思考形態を持った人間である。
そのお蔭で世界は今の今まで彼女の力に振り回されること無く、多少非現実な面も有りはするがバランスを保っていられるのだ。
そして彼女は殺し合いを望むような人格の持ち主ではない。
以前、古泉が所属する機関が主催したサプライズパーティーでの出来事。
嘘の殺人事件に対して、動揺する素振りを見せる彼女を古泉は見ている。
それだけではなく、古泉は超能力に目覚めてから3年の間、機関の一員としてハルヒの行動を常に監視し続けてきた。
だから古泉は彼女が殺し合いを望むような人間ではないと知っている。
では一体、あの神父は何者なのか?
涼宮ハルヒは客観的に見れば常軌を逸した思考の持ち主に見える。
だがその実、彼女はまともな思考形態を持った人間である。
そのお蔭で世界は今の今まで彼女の力に振り回されること無く、多少非現実な面も有りはするがバランスを保っていられるのだ。
そして彼女は殺し合いを望むような人格の持ち主ではない。
以前、古泉が所属する機関が主催したサプライズパーティーでの出来事。
嘘の殺人事件に対して、動揺する素振りを見せる彼女を古泉は見ている。
それだけではなく、古泉は超能力に目覚めてから3年の間、機関の一員としてハルヒの行動を常に監視し続けてきた。
だから古泉は彼女が殺し合いを望むような人間ではないと知っている。
では一体、あの神父は何者なのか?
可能性はいくらでもある。
涼宮ハルヒは殺し合いを望んではいなかったが、異世界人やその他のオカルト的な事象を強く求めていた。
あの神父や化物は、その願いが原因で生まれた存在だとすれば説明も容易い。
彼女自身は殺し合いを望んでいなかったが、別の望みによって生まれた独自の思考回路を持つ存在もそうだとは限らない。
3年前のある日突然、古泉は自分にある能力とそれをどう使うべきかを知っていた。
彼と同じ力を持つ人間が彼と同様に力に目覚めたことも、同時にそれが涼宮ハルヒによってもたらされた物であることも知った。
理由はわからないが、何故かいつの間にか知っていた。
それと同じように、非人道的な考えを持った悪と呼ぶべき存在が彼女のことを知覚していたとすればどうだろう?
答えは非常にシンプル。
そのような能力を放っておくような真似はせずに、是が非でも我が物にしようと企むだろう。
これが古泉の本命の考え。
残る予想は『情報統合思念体』の中の数ある派閥の一つでもある急進派。
そしてSOS団の冬の合宿時にSOS団団員の5人全員を謎の洋館に閉じ込めた、『広域帯宇宙存在』と呼ばれる情報統合思念体とは起源を異にする存在。
この二つの勢力は過去にも不可解な行動を取っているために、黒幕が実はそれらの存在だという可能性もある。
涼宮ハルヒは殺し合いを望んではいなかったが、異世界人やその他のオカルト的な事象を強く求めていた。
あの神父や化物は、その願いが原因で生まれた存在だとすれば説明も容易い。
彼女自身は殺し合いを望んでいなかったが、別の望みによって生まれた独自の思考回路を持つ存在もそうだとは限らない。
3年前のある日突然、古泉は自分にある能力とそれをどう使うべきかを知っていた。
彼と同じ力を持つ人間が彼と同様に力に目覚めたことも、同時にそれが涼宮ハルヒによってもたらされた物であることも知った。
理由はわからないが、何故かいつの間にか知っていた。
それと同じように、非人道的な考えを持った悪と呼ぶべき存在が彼女のことを知覚していたとすればどうだろう?
答えは非常にシンプル。
そのような能力を放っておくような真似はせずに、是が非でも我が物にしようと企むだろう。
これが古泉の本命の考え。
残る予想は『情報統合思念体』の中の数ある派閥の一つでもある急進派。
そしてSOS団の冬の合宿時にSOS団団員の5人全員を謎の洋館に閉じ込めた、『広域帯宇宙存在』と呼ばれる情報統合思念体とは起源を異にする存在。
この二つの勢力は過去にも不可解な行動を取っているために、黒幕が実はそれらの存在だという可能性もある。
「何れにせよ、早急に涼宮さんと彼の安全を確保する必要があるみたいですね」
もし敵が本当に涼宮ハルヒを狙っているのだとすれば、この状況は非常に危険だ。
かつての朝倉涼子のように、彼女に何らかの刺激を与えそれによっておこる情報の変化を観測するか、
もしくは観測などではなく、世界の物理法則そのものを捻じ曲げようなどとしているならばそれは絶対に阻止しなくてはならない。
古泉は今の世界に彼なりの愛着を持っている。
SOS団の団員として過ごす毎日や、涼宮ハルヒのよって振り回される日常も失いたくは無い。
だから、古泉は涼宮ハルヒとキョンの身を守り、尚且つ無事にこの悪魔のゲームを脱出する方法を探ろうと決意する。
かつての朝倉涼子のように、彼女に何らかの刺激を与えそれによっておこる情報の変化を観測するか、
もしくは観測などではなく、世界の物理法則そのものを捻じ曲げようなどとしているならばそれは絶対に阻止しなくてはならない。
古泉は今の世界に彼なりの愛着を持っている。
SOS団の団員として過ごす毎日や、涼宮ハルヒのよって振り回される日常も失いたくは無い。
だから、古泉は涼宮ハルヒとキョンの身を守り、尚且つ無事にこの悪魔のゲームを脱出する方法を探ろうと決意する。
「とは言っても、既に物理法則の一部は大きく変わっているかも知れませんね」
最初の空間での化物たちの戦いを、間違いなく涼宮ハルヒも目撃している。
彼女があのような化物はどこにでもいるようなものだと納得していれば、
今頃元の世界では、街中でモンスターや魔法使いなどが激戦を繰り広げる大層愉快な世界になっていることだろう。
もっとも、それは情報統合思念体などにとっては喜ぶべき事態なのであろうが。
彼女があのような化物はどこにでもいるようなものだと納得していれば、
今頃元の世界では、街中でモンスターや魔法使いなどが激戦を繰り広げる大層愉快な世界になっていることだろう。
もっとも、それは情報統合思念体などにとっては喜ぶべき事態なのであろうが。
「そろそろ行動を開始したほうがよさそうですね、手遅れになってしまってはどうしようもないですし。
長門さんが外部から何らかのアクションを取っていてくれれば良いのですが……」
長門さんが外部から何らかのアクションを取っていてくれれば良いのですが……」
このゲームに参加していない宇宙人の少女が外部から援護してくれることを期待しながら、古泉は診療所の扉を開き表に出る。
外には灯り一つなく、満月の淡い光だけが周囲を不気味に照らしている。
そこで古泉は試しに自身の超能力を発現させてみる――が、何も起こらない。
ここが閉鎖空間と似たような場所であった場合、古泉の体が赤い球体に包まれるか、
以前のカマドウマとの戦いの時のようにハンドボールほどの大きさの火球が掌に出現してもいいはず。
しかし何も起こらない。
それはこの空間が涼宮ハルヒが原因の閉鎖空間ではなく、別の原理によって造られている空間であること意味していた。
外には灯り一つなく、満月の淡い光だけが周囲を不気味に照らしている。
そこで古泉は試しに自身の超能力を発現させてみる――が、何も起こらない。
ここが閉鎖空間と似たような場所であった場合、古泉の体が赤い球体に包まれるか、
以前のカマドウマとの戦いの時のようにハンドボールほどの大きさの火球が掌に出現してもいいはず。
しかし何も起こらない。
それはこの空間が涼宮ハルヒが原因の閉鎖空間ではなく、別の原理によって造られている空間であること意味していた。
「もしかしたらと思ったのですが、やはり無理でしたか。
いざと言う時には僕は無力……ということになりますね」
いざと言う時には僕は無力……ということになりますね」
閉鎖空間でのみ使用可能な超能力が使えることを除けば、古泉はそこらの一般人と大差はない。
当然、あの化物達を相手に戦って勝てるような戦闘能力もない。
その事実に若干の失望感と不安を覚えながらも、古泉は当ても無く歩き始める。
涼宮ハルヒと彼女にとっての鍵となる少年を探すために。
当然、あの化物達を相手に戦って勝てるような戦闘能力もない。
その事実に若干の失望感と不安を覚えながらも、古泉は当ても無く歩き始める。
涼宮ハルヒと彼女にとっての鍵となる少年を探すために。
【I-7 沖木島診療所付近/一日目・深夜】
【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態] 健康
[装備] なし
[道具] 荷物一式、支給品1~3(本人確認済み)
[思考] 1:涼宮ハルヒとキョンの安全の確保。
最終行動方針:涼宮ハルヒ、キョンと共にゲームを脱出する。
[備考] 古泉の超能力は使用不可です。
[状態] 健康
[装備] なし
[道具] 荷物一式、支給品1~3(本人確認済み)
[思考] 1:涼宮ハルヒとキョンの安全の確保。
最終行動方針:涼宮ハルヒ、キョンと共にゲームを脱出する。
[備考] 古泉の超能力は使用不可です。
