遂に
デッドエンドを打ち倒した対主催組たち。犠牲になった阪口たちを弔うが、そこに赤青組が合流する。
忌影丸のてめえは好きに生きろという残留思念をビクトリーマンに伝える。
思うところがあったのか、ビクトリーマンは離脱する。
ビクトリーマンと入れ替わりで雛が加入する
「短い付き合いになるけど、よろしく」
薄幸そうな笑みを浮べる雛に、紗世鬼が何かを感じる
羽亜兎はころび3号を未確認生物と勘違いして、興味を持つ
彼と一緒に千聖の作ったパワードスーツを眺める
その時一発の銃声が響いた
パワードスーツを羽亜兎が触ったときに誤作動を起こし、羽亜兎の頭に目掛け発砲してしまったのだ
混乱が包み込む中、雛は誰にもばれないように先ほどとは違う邪悪な笑みを浮かべていた
そのころデッドエンドの束縛から解放された日高は混乱の余り逃げ出していた
しかし、エグザイルウィルスに感染し、目立つ風貌だったことが災いして、
holeに見つかったのち丸焼きにされてしまった
ライムの痕跡を追っていたチャペルが彼女に追いついた
完全なる化物と化したライムに驚愕するチャペルであったが、説得しようとする
しかし彼は気づいていなかった
無数の人間を喰ってきたライムは食欲と愛情の境界が曖昧になっていたこと
ライムがチャペルを今、『愛』してしまったこと
ライムの全身がチャペルを包み込み取り込んでしまった
「ああ!愛してる!愛してる!チャペル愛してるわ!貴方の精神が私と一緒になって、貴方の想いを私の全身で舐り尽くして、
貴方の溶け往く体が私の舌を悶えさせる!貴方の血も肉も皮も骨も脳も心も全部美味しく味わってあげる!」
330 |
災厄の少女、現れる復讐者 |
ルーク・ヘルディオス、葛城琴音、紗世鬼姫、芦塚陽菜、荒木夢無、ヒトガタグソクムシ、ハエトリグサ異常種、葛城恭介、音恋千聖、ころび3号、ライザック・ニューソン、古畑六星、青井凛吾、シルフィード、壱階雛、クリフ・シュテイル |
羽亜兎の事故死をきっかけに険悪な雰囲気が流れる
互いに責任を追及する剣呑とした空気の中、古畑が叫ぶ
「皆の不和と憎悪の化身……『災厄』はこの中にいる!」
ブルースから託された
月ノ輪の数年前に起こったロワに関する記録を読んでいた彼は、雛の正体を見破っていた
瞬間、雛が隠し持っていた拳銃で古畑を打ち抜いた
「あーあ、ばれちゃったなあ。こんなに早いとは思わなかったよ」
下種な笑いを見せ、雛は一目散に逃亡した
彼女を紗世鬼たちが追いかけるが、予想以上の足の速さに、メンバーが散り散りになってしまう
撃ち殺されたかと思われた古畑であったが、ブギーファントムからもらっていた首輪が銃弾を遮り、奇跡的に一命をとりとめていた
一方、雛を追いかけていた紗世鬼らであったが、呼びかける声がした
「貴様、ルーク・ヘルディオスだな?」
刀を持った男が、ルークに向け切っ先を向けた
皆の歩みを止めてはならないと考えたルークはここで目の前の男と対峙することを決め、離脱した
「それでは皆、アリーヴェデルチ(また会いましょう)」
331 |
血染の蝙蝠は闇夜に去りぬ |
ルーク・ヘルディオス、クリフ・シュテイル |
クリフは刀を向けながら静かに考えていた
奴は蝙蝠の一団ではあるが、奴本人が直接の仇ではない
この殺し合いから脱出するには奴を殺すことは、不利益にしかならない
それでも、今奴と戦わなければ俺は俺でいられない
迷いを捨てたクリフにルークもまた応じる
父を倒し、蝙蝠を背負う身。蝙蝠が撒いた因縁もまた背負ってやる
風が吹く。決闘が始まった
クリフの覚悟に応じ、正々堂々と戦うルーク
彼の姿にクリフは思った
奴は不倶戴天の敵であることには違いないが、奇妙な友情も感じると
それでも戦いはやめなかった
敵と友。同時に二つの関係は持てはしない
"どっちつかず"じゃ、いられない。だから彼は敵の関係を選んだ
激闘の末、二人とも遂に血の海に沈んだ
息絶え絶えになりながらも、クリフはルークに言葉を投げかけた
「最期にお前の名前を聞かせてくれ・・・俺の命が果てる前に」
「・・・僕の名前はルーク。血染の蝙蝠の名を背負いし者、ルーク・ヘルディオスです」
「・・・そうか。さよならだルーク。俺の最大の敵であり最後の友よ」
そして奇妙な友情を互いに感じながら、血染の蝙蝠と復讐者の魂は、空へと飛び去って行った
雛を捜索している最中に仲間からはぐれてしまった葛城夫妻。
雛はただ足が速いだけでなく、平和の皆無性能力を利用した事故(具体例をあげるなら突然の落石、吊り橋が切れるなど)で、集団を半ば無意識の内に分断させているのだ。
紗世鬼姫を始めとする先行した仲間達の心配する葛城夫妻であったが、ある方角から魚が焼けるような臭いを感じ取った。
それはholeによって焼き殺された日高の骸が発してる臭いであった。
333 |
解析の時間・お料理タイム |
ヒトガタグソクムシ、ハエトリグサ異常種、古畑六星 |
葛城夫妻と同じく、仲間からはぐれてしまった一人と二匹は、迷った挙句に温泉宿を発見する。
呑気に風呂など浸かっている暇はないと思われるが、構造的に見晴らしもよく対主催集団の拠点としてはうってつけの場所であった。
そして古畑は追跡しきれない雛の捜索は仲間に任せ、この拠点にて今の内に首輪の解析を始めるのであった。
一方、グソクムシとハエトリグサの二匹は熊肉、道端で拾った何かの肉を使って料理を始めるのであった……ちなみに熊汁の出汁にはグソクムシの脱皮後の殻が使われている。
334 |
科学者の考察 技術者の受難 |
音恋千聖、ライザック・ニューソン |
雛追跡の途中でデッドエンド戦でのダメージが祟り、千聖のパワードスーツが故障したため、二人は雛捜索を断念するしかなかった。
パワードスーツを二人で修理するがてらに、千聖の技術力に眼をつけたニューソンは彼女と技術談合を始めた。
ニューソンによると、会場からの脱出自体は二人の科学力と技術力を合わせれば元の世界へ戻るための装置を創り出すことは可能である。
しかし、この殺し合いの“主催”ないしは“黒幕”を倒さねば月ノ輪や雛と同じくまた殺し合いに招かれる結果が見えている。
その倒すべき主催者達については、霊能者である青井の言葉から死んだ人間の魂は会場に留まれないことを知り、そこから魂を集められる装置もしくは存在を保有していることを推測できる……すなわち、魂の行き着く先こそ主催の居場所であるのではないかということだ。
それに思い至ったニューソンは周辺の魂の動きを感知し、追跡する発信機を開発中であるとのこと。
もちろん、肉体から魂を取り出すには誰かが死ななければならず、人身御供に対主催の仲間を使うわけにはいかないので、ニューソンはマーダーを生贄にしようと言うが千聖はこのやり方に難色を示す。
だが、主催の居場所を特定できなければ殺し合いは終わらないとニューソンは良い、千聖自身もこれまで死んでいった仲間や阪口の犠牲を無駄にしたくはなかったので、最終的にマーダーに犠牲になってもらうという形でニューソンの案を受け入れた。
方針が固まった二人は、発信機の完成と、修繕中のパワードスーツに脱出のための装置を組む込む改修作業を急ぐのだった。
335 |
追跡は困難を極めたり |
紗世鬼姫、芦塚陽菜、荒木夢無、ころび3号、壱階雛 |
紗世鬼姫、芦塚陽菜、荒木夢無、ころび3号の四人はもっとも、雛に近い追跡グループであった。
しかし、彼女を追い詰めるまであと一歩のところで雛の平和の皆無性能力が発動し、突然近くにあった建物が崩れ出し、紗世鬼姫を除く全員が瓦礫に飲み込まれてしまった。
幸いにも夢無のタフさ、陽菜の柱を折る能力、ころび3号の装甲により、三人とも命に別状はなかったが瓦礫の下敷きになったことで動けなくなってしまう。
雛を取り逃がすわけにもいかず、ただ一人瓦礫に飲まれなかった紗世鬼姫は夢無からタロットを預かり、単身で雛を追うことになった。
336 |
サンキューシルフ |
青井凛吾、シルフィード、hole |
これまで一緒に同行していた羽亜兎を喪い、悲嘆にくれる青井。彼を励ますシルフィードであったが、そこへ殺戮兵器が来襲する。
圧倒的な力の差の前に絶望する青井であったが、シルフィードが彼を庇う。受けた借りを返すために。
青井はシルフィードに促され逃げ出すが、彼女を置いて逃げたこと、自分に力がないこと、また友人を失ったことに涙する。
holeは無残に転がったシルフィードの死体を冷たく見下ろしていた。
放送を聞いて残り人数がわずかであることを知り、優勝を目指して動こうとする葉耶
「そうはいかせんぞ!」
そこへクロスフォードが卑劣な不意打ち。
宇宙騎士を名乗る男に対し、葉耶は騎士なら馬鹿みたいに正面からかかってくるだろうと侮る。
しかしクロスフォードにとって騎士道とは己の心に化したハンデのようなもの。
邪悪な相手には騎士道振るう必要なしと、何食わぬ顔で爆弾だのトラップだの活用しまくりで、ついには葉耶にも卑劣と言われる始末。
最終的にはクロスフォードが葉耶を討ち取るが、最後のあがきで葉耶に呪われた
338 |
呪いと報い、そして救い |
葛城琴音、葛城恭介、紗世鬼姫、壱階雛 |
雛に追いついた紗世鬼は彼女を説得する。もうこんなことはやめようと。
だが雛は自分を受け入れてくれなかった世界への憎悪を露にして、これからも生き続けてやると叫ぶ。
呪いを世界に振りまきただ一人、誰も自分を愛してくれない絶望。それを紗世鬼は良く知っていた。
恭介と琴音が二人の元にたどり着いたとき、紗世鬼は決意を固めていた。
「さよなら、琴音さん」
そう告げると紗世鬼は一枚のタロットを発動した。
『吊された男』
発動者と対象を地獄へと送るタロット。
紗世鬼はわかっていた。自分たちは呪いを振りまく存在。この世にいてはならない。
今まで呪ってきたならば、報いを受けなければならないと。
地獄へ堕ちる恐怖に雛は泣き叫んだ。
そんな雛を紗世鬼は優しく抱きしめ子守唄を歌った。
それは雛が初めてもらった愛情。
絶望に満ちていた雛の顔から徐々に顔から険しさが消えていく。
「琴音さん、子守唄教えてくれて有難う・・・貴女に出会えて本当に良かった・・・嬉しかったんだよ・・・」
紗世鬼は琴音に礼を告げ、雛に笑いかけた。
雛は最後にどこか悲しそうな笑顔を見せ、二人は地獄へと堕ちた。
琴音は紗世鬼と雛の名前を呼びながら涙を流し、恭介は静かに妻の傍に寄り添っていた。
脱出のため開発をつづけた二人は、発信機を完成させる。
これで主催の位置を特定する手がかりを得たとニューソンは笑みを浮べる。
しかし、全ては順風満帆とはいかなかった。二人の元へ一体の魔物が襲撃してきたのだ
死への恐怖から融合させられた魔物の血を覚醒させた羽原
暴走する魔物の前に二人は追い詰められるが、そこにビクトリーマンが乱入する
忌影丸から好きに生きろと言葉を遺された彼は、その命を持って羽原に立ち向かった
ビクトリーマンから逃げろと言われた千聖はニューソンの手を引こうとするが払われてしまう
「黙れ小娘。逃げるのなら、これを持って一人で逃げていろ。私は死ぬまで、いや死んでも全てを知り尽くしてみせる」
千聖がニューソンを見ると、彼は既に先ほどの羽原の攻撃で致命傷を負っていることに気づいた
ニューソンは言った。探知機で探知する魂はここにある。自分が死んだら自動的に魂は抜けるよう細工したと。
ニューソンの覚悟の前に、彼の意志を継ぐことを決意し、千聖は彼の発明を持って逃げた
千聖を逃がさないと攻撃を仕掛ける羽原を二人が妨げる
激闘の末、ビクトリーマンは打ち倒される。しかし誇りに恥じないよう好きなように生きたためか彼の死に顔は満足げだった
そして血まみれになったニューソンに羽原が止めを刺そうとする
だが死を前にしてもニューソンは死後の世界があるか己の身で実験できると高らかに笑った
そして羽原を前に勝利を宣言し、最後の実験を行った
340 |
ニワカ雨ニモ負ケズ |
青井凛吾、サー・クロスフォード |
青井は自分のためにシルフィードが犠牲になってしまった事実に心が折れてしまいそうになる
「大丈夫か少年!」
そこへ以前窮地を救ってもらった宇宙騎士が現れる
クロスフォードの言葉もあり何とか持ち直す
そんなクロスフォードの活躍に、卑劣な活躍だとの評価が。
341 |
約束 |
葛城琴音、葛城恭介、hole、I・ヒンデンブルグ |
紗世鬼が自ら地獄へと堕ちたことに涙を流す琴音
しかし悲劇はまだ終わらなかった。優勝狙いマーダーholeが葛城夫妻へと舞い降りた
説得を試みようとした琴音。しかし彼女に帰ってきたのは無慈悲な弾丸だけだった
恭介諸共止めを刺そうとするhole。しかし彼女に弾幕が降り注ぐ
硝煙の中、パワードスーツに身を包んだヒンデンブルグが立つ
一方恭介は腕の中で冷たくなっていく妻を前にして絶望の淵にいた
仲間を、相棒を、子供たちを次々に失い一番守りたかったものも失おうとしていた
涙を流す恭介を慰めるように琴音は子守唄を歌った
私は先に逝くけれど、代わりにみんなを守ってと。
天国で会えたならまた愛してほしいと言い残して琴音は先立った
涙をぬぐい、恭介は拳銃を握りしめ再び立ち上がった
342 |
ツグナイ |
葛城恭介、hole、I・ヒンデンブルグ |
ヒンデンブルグとholeは激戦を繰り広げていた
holeの攻撃パターンを先の戦いで把握していたヒンデンブルグは、さらに経験と地形利用、
さらには"2004年のイラク"を駆使して最強の戦闘兵器を圧倒していた。
武装を次々と破壊し、顔面を覆っていた最後の装甲を破壊したとき、ヒンデンブルグの動きは止まった
戦闘兵器の中身、それは金髪の少女であった
その姿を見た時、ヒンデンブルグの過去が這いずり出てきた
この手で討ち殺したアラブ人少女が目の前の少女と重なりこちらを視ている
その隙をholeは逃さなかった。パワードスーツに攻撃を加え爆炎に彼を包み込んだ
炎の中でヒンデンブルグは掌を、戻しかったあの過去を見つめながら最期の瞬間を迎えた
四散したパワードスーツの破片を浴びながら、holeはまだ生きていた
そこへ、妻を殺された男が銃口を向けた
拳銃一丁で立ち向かう恭介を侮るholeであったが、彼の粘りの前に止めを刺せなかった
これ以上罪を重ねるなという恭介にholeは叫ぶ
喪った友達にまた会いたいと思って何が悪いのか。
今まで殺戮兵器のようにふるまっていた少女は内心を吐露する
holeの心を知り同じ傷を感じながらも、恭介は叫んだ
「・・・俺だって会いたいさ、会いたかったさ、恭二に、亜子に、由希に、ルークに、摩耶香に、紗世鬼に、オリヴィアに、琴音に、皆に!
だけど、罪を犯したなら償わなければならない。どんな理由があろうとも!
誰かを殺したなら報いを受けなきゃならないんだッ!君も、この俺もッ!!」
彼の叫びに、holeは己の罪を自覚してしまう。
恭介の放った弾丸を彼女は躱そうとはしなかった
血の海に沈みながら、少女は涙を流す
「・・・ごめんなさい。生まれてきてごめんなさい」
息絶えたholeを前にして恭介は、地に膝をついて慟哭した
青井を生き残りの対主催組に送っている道中、クロスフォードがリリーシャに襲撃される
青井を逃がした後、一人しんがりとしてリリーシャに対峙する宇宙騎士。
襲い来る水魔法を躱しながら、持ち前の卑劣さをもってリリーシャを追い詰めるが、あと一歩のところで切先が止まる
闘いに集中していたクロスフォードは、自身に掛けられた葉耶の呪いで新たな敵が呼び寄せられていたことに気づかなかった
卑劣な戦いをしてきたクロスフォードは皮肉にも羽原の卑劣な不意打ちで命を奪われた
リリーシャと羽原は優勝を目指すため一時的に手を組み、青井を追う
逃げる青井であったが、身体能力の差もあり追いつかれてしまう
絶体絶命の危機であったが、そこに「そこまでだ!」とマルハドールが参上
さらに、漢気を思い出したミノスも羽原の前に立ちはだかる
互いに同じ姿ながらその心は対照的であった
轟から継いだ漢気と無双から得た心を振るい羽原を圧倒するが、僅かに力足りず敗北する
しかし「君は強さと引き換えに大切なものを失った…それは"オトコギ"だ…」との言葉が羽原に迷いを産んだ
一方マルハドールはリリーシャ相手にしのぎを削りあっていた
マルハドールの攻撃がリリーシャの鉄仮面を打ち砕き「ようやく"らしい"顔が見れたな」と挑発する
激高するリリーシャの猛攻をいなすマルハドールであったが、ミノスを倒した羽原が加勢に入り追い詰められてしまう
そこへ最後の援軍が。
クロスフォードの愛馬、グリンガレッドがリリーシャと羽原に不意打ちを仕掛けたのだ
その隙を逃さず、ついにマルハドールが二人を討ち取る
羽原は正気を取り戻したのか、マルハドールの攻撃をかわそうとはしなかった
一方、リリーシャは無念と哀しみを胸に果てようとしていた
ふと横を見ると青井の姿があった
ナラシューヤの残留思念を読み取った彼はリリーシャに、ナラシューヤのなかのリリーシャの思い出を伝える
確かに彼女は自分を殺そうとしていた相手だったが、それでも自分の前で悲しみながら死ぬ人は見たくなかったから
青井の想いが伝わったのか、リリーシャは最後に彼に微笑みありがとうと言葉を遺した
そしてマルハドールもまた、激戦の末力尽きようとしていた
青井は涙をこらえながら、マルハドールに精一杯笑顔を見せた
最期に彼が目にする物が、辛い物であってほしくないから
マルハドールは青井の笑顔に、「ようやく"らしい"顔が見れたな」と再び同じ言葉を伝え目を閉じた
344 |
黎明の前に |
青井凛吾、ヒトガタグソクムシ、ハエトリグサ異常種、古畑六星、芦塚陽菜、荒木夢無、ころび3号、葛城恭介、音恋千聖 |
温泉宿で料理の支度をしていたグソクムシたち一行。そこに夢無たちが合流する
自分たちも雛を取り逃してしまったと苦い表情をする
そこに恭介が現れ、雛は地獄に堕ちたと告げる
恭介の無事を喜ぶが、彼の表情には陰りがあった
さらに遅れて千聖、青井も合流するが二人もまた、目の前で仲間を再び失ったことを知らされ、生き残りは自分たちだけであることを悟る
暗い空気の中でグソクムシとハエトリグサが、元気をつける為にもお風呂に入ってご飯を食べましょうと気丈にふるまう
余談だが、千聖、グソクムシ、芦塚の女性陣の入浴シーンはしっかり描写された(一人は身長175cmの巨体、一人は蟲、一人は野原みさえと同い年とかいってはいけない)
入浴後、グソクムシとハエトリグサが腕を振るった熊汁、熊カレー、馬刺し、猪鍋をいただいた
なお、青井は残留思念をうっかり読み取って材料がなんであるかに気づいて顔に立て線が入った
食事を終えて、ブルースが残した策とニューソンの遺作の装置、それと六星の解析技術を利用して首輪を解除していく
またハエトリグサのウィルスに感染しないよう、全員にワクチンを接種した
345 |
落涙 |
青井凛吾、ヒトガタグソクムシ、ハエトリグサ異常種、古畑六星、芦塚陽菜、荒木夢無、ころび3号、葛城恭介、音恋千聖、ライム・ラティス |
首輪解除の作業中、夢無の持っていた絆のカードを見て青井は少し羨ましそうな顔をした
クラスメイトとの確かな絆を託されて、戦える力もある夢無が青井にとっては羨ましかった
そう語る青井に夢無は仲間たちの遺した思いを見ることのできるお前の方が羨ましいという
互いにない物ねだりだなと二人は笑い、これからの道を確かめ合った
恭介、芦塚、古畑の大人組は酒を交わしながら語らい合っていた
大切な人たちを目の前で失い、守れなかった自分の無力さに涙を流す恭介と芦塚。
古畑は確かに何人もこの殺し合いで失ってきた。それでもまだ失っていない彼らのために、自分たち大人が先にくじけるわけにはいかないと拳を握る
恭介と芦塚は涙をぬぐいながら、確かに頷いた
千聖はころび3号と協力して、ニューソンが遺した発信機を使って、主催者の居所を探っていた
彼の作った技術を見て、もっと彼に教わりたかったと涙をこぼしそうになるが、ころび3号の姿を見て、
今の自分がすることは失った人を引きずり過去に囚われるのではなく、意志を継いで未来を創ることだと思い直す
グソクムシは彼らを見て、逆境にも絶望にも負けない人間の輝きを見て出会えてよかったと思い
「わたしは、一億年前に滅んだ人間さんたちの遺跡を見ながら、人間さんたちに憧れながら生きてきました。
人間さんたちに一目会いたいと思いながら生きていました。
だから、ここで人間さんたちに会えたこと、そして、末井さんやハエトリグサさんや
二等辺三角形さんや
コンコルドさんやオリヴィアさんに出会えて、人間さんたちの優しさを知れて、とても幸せでした」
と自分の気持ちをありのままに伝える
(そいつら全員人間じゃねえ!!!!)と全員から内心つっこまれたのち、皆の顔にいつの間にか笑いが浮かんでいた
何人も大切な人たちを失ってきた。それでも自分はまだ一人じゃない。小さいけれど確かに存在する希望に気づけたからか。
だがその希望も突如奪われようとしていた
ラストマーダー・ライムの襲撃。
自らの気に食わないものを抹殺しようと襲い掛かってきた
グソクムシを殺そうと触手を伸ばすライム
彼女の攻撃から、ハエトリグサは咄嗟に庇っていた
ライムに捕食されながら、ハエトリグサは最後の攻撃に出た
エグザイルウィルスの体液をばらまいての無差別放出。仲間たちは既にワクチンを摂取していたため無事であったが
ライムはそうではなかった
ウィルス感染しライムは形状を保てなくなり崩壊してしまった
ライムは崩壊寸前、奇妙なことにその触手を青井に伸ばしていた
まるで助けを求めるかのように
捕食されかけて半分溶けかかったハエトリグサは自分の死を悟った
知性を得て、たくさんの思い出を手にすることができたことを感謝しながら、ハエトリグサは仲間たちにその死を見届けられた。
第六回放送。呼ばれたのは
日高敬介、赤井羽亜兎、チャペル・サンハート、ルーク・ヘルディオス、クリフ・シュテイル、シルフィード、比良坂葉耶、
壱階雛、紗世鬼姫、ライザック ・ニューソン、ビクトリーマン、葛城琴音、
I・ヒンデンブルグ、hole、サー・クロスフォード、
ミノス、リリーシャ・マイルス、羽原晃、マルハドール、ハエトリグサ異常種、
ライム・テティス
以上21名。残り8/139名
最終更新:2015年11月22日 06:14