【名前】五頭応尽
【性別】男性
【出典】双亡亭壊すべし
【スタンス】無差別マーダー
全くこれだからおもしれぇ、長生きはするもんだぜ、なぁ!!
【人物】
「双亡亭壊すべし」に登場するキャラクター。
魔の屋敷『双亡亭』に仕える人間で、烏帽子に狩衣と平安時代の陰陽師のような装いをしている。
呪術界においては"降神送鬼"の異名を取り、伝説と称されるほどの使い手で、山篭もりと仙道の修行により齢百歳にして壮年の見た目を保つ現役の仙人でもある。
体術・呪術の双方に秀でるだけでなく、憑依能力と扇子を操り無限に再生する式神・是光を相棒とし、破壊者複数人を相手取っても圧倒するほどの戦闘能力を持つ。
飄々としつつも殺人や侵略者への助力を厭わぬ外道であり、その本質は、泥努の模写した絵、そして関東大震災のもたらした焦土をきっかけに「積み重ねの破壊」「大切なものの崩壊」を見ることに取りつかれた破滅願望者。
誰も見たことのない「崩壊」=人類の滅亡とこの世の終わりを見るために、侵略者たる黒い海に協力してきた。
【ロワでの動向】
「京のォ──京のォ──大仏さんはァ───天火で焼ァけてなァ──三十三間堂がァ焼ァけ残った──
ありゃどんどんどん こォりゃどんどんどん……」
登場話でお気に入りのわらべ歌「京の大仏さん」を諳じながら、会場で威嚇用に放たれていた銃人形@からくりサーカスを蹴散らしつつ現れる。
「………これだけの魑魅魍魎百鬼夜行集めてきて殺し合いたぁ、面白ぇ趣向じゃあねえか。
なァ是光……己等(おいら)が真逆ああも簡単におっ死ぬことが出来るなんてよ」
げたげた嗤いながら式神の是光と一緒に暗躍を開始した。
序盤ではゲゲゲの鬼太郎と遭遇。
妖怪界隈と呪術界隈での知名度からか互いに相手を知っていた。
体内電気放電・指鉄砲・ちゃんちゃんことあらゆるウェポンを駆使する鬼太郎の攻撃を、素手で全部叩き落としたり捌いたりと楽しそうに戦うが、鬼太郎の体内に侵入させた是光が苦しみ出して爆裂四散したのを見て、口笛を吹きながら勝負を預けて遁走する。
続いて現れたのは、柳生九兵衛と
立花響のコンビの元。
響の歌を聴いて「歌か…わらべ唄だったら己等も好きなんでェ…」と不気味に笑ったり、九兵衛の剣戟を「嬢ちゃんその若さでなかなかやるなァ。包帯の憲兵サン思い出させんなァ」と捌いたり、「ま、ちっとも己等には届かねェエけどよ」と嘲笑しながら踏みつけ顔面に蹴りを入れたりとやりたい放題。
しかし、奮戦する二人を
黒死牟&白坂小梅が助けに入り、
黒死牟の月の呼吸の斬撃によって、首と手足をばらばらにされてしまう。
「──へっ、ここいらが潮時ってヤツか。鬼の侍サンよ、あんたのことも覚えたぜ」
首だけで喋ると、身代わりを用いてこれもその場から退散した。
また、神々の黄昏を引き起こしたトリックスターであるロキと遭遇した際には、珍しく真面目な様子で、会話をかわしていた。
応尽「百年ぽっち修行して来たが、暇潰しの読書は好きでよ…外国の奴らが信ずる神サマどもの話くらいは知ってんだよ。
アンタが本当にアンタの言う通りの存在なら……己等ぁアンタに敬意を表するぜぇ…但しこっちへのちょっかいは程ほどに願いてェね」
ロキ「人でありながら世界の滅びを見たいか、なかなか面白い。安心しろ、ここにはお前さん以外にも面白い奴はごまんと居るからな、長居はしないさ。
滅びであれ救いであれ、楽しんだもの勝ちだ。精々励めよ」
加えて、参加者相手に術の制限を試すなど、ゲンスルー同様に検証や考察らしきことも行っている。
ゴリ美「あ、あちし、何で自分で自分の首を……がッ、あッ……」
応尽「成ァる程。
ひとぉつ。体の自由は奪えても、いつもみてぇに『是光』で完全に意識を奪うまではやれねぇ。
ふたぁつ。けど、こいつみてェな人獣にもおいらの式は通じる……」
ゴリ美「が、ぐ、ごぼっ、苦し、パパ、ママ……」
応尽「みいっつ」
ゴリ美「げ、ごべッ!!!」
応尽「……"爆砕念"みてェに単純で射程の短ェ術については、あんまし制限されてねえ、とォ。
行くぜ是光。弱っててもお前の使い道はあるってこった」
その後、龍脈と魔晄について探るため、緑に包まれたミッドガルに赴き、釘崎野薔薇&SCP-2800(カクタスマン)と遭遇。
『老いて死なずを仙と謂う。仙は遷。遷とは山に入る事也』と謳う応尽を「こいつ、仙人か」と看破した野薔薇は、カクタスマンを逃がして戦いを挑んできた。
応尽「ほォ、形代……芻霊か。単純だが単純故に怖ェ呪だよなァ。そいつをその歳でそれだけ修めてんのァてぇしたもんだ」
野薔薇「このジジイ……こんな精度で身代わりと呪返しを……!!」
応尽「あれも形代よ。手前の一門が使うらしい、その縛りの呪とも原理はそう変わらねえ。言っちまえば呪術、呪禁ってのは、なべて形代の見立て合いさ。後はまァ……年数だな」
そう言いながら、地に転がした野薔薇の顔を踏みつけ、「嬢ちゃん、己等と是光に呪比べすんのァ、あと八十年は早ええと思うぜぇえ」と煽る応尽だったが、野薔薇は
「くっせえから触んないでくれる? 脳味噌もツラも黴生え切ってんぞ、賞味期限切れの腐れ爺」
と折れず煽り返す。
「へっへっへ、死ぬ前にそれだけ言えりゃてぇしたもんさ──」と嘲りながら殺そうとした応尽の不意を打ったのは、逃げたと思っていたカクタスマンだった。
ミッドガル内部の汚染された土壌の魔晄をSCPとしての自分そのものに取り込み、ほとんど昇華されかけていた悪霊『いかれ庭師』の中に含まれるサボテン種に呼び掛けて無理やり動かすという奇策で、カクタスマンは野薔薇を救う。
応尽「何ィ〜〜こいつは…朽ちてた筈の地縛霊か……
しゃらくせえ!!護法地天秘法!!只今行じ奉る 難怨敵諸有障碍即疾消除!!風雪刃に乗りて鋭き事顎に似たり!!」
「来やがれ"お鋏童子"!!!」
護法童子で『いかれ庭師』を霊魂ごと狩り尽くしたのち、命を燃やしてそれを動かしていたカクタスマンも、応尽によって倒される。
最後にトゲのパンチを繰り出すも、それはせせら笑う応尽の衣の胸元を空しく掠っただけであった。
首尾よく魔晄の力を取り込んだ後は、会場の支給品から知ったシェム・ハの存在、その依り代になりうる少女の事を知り、一種の保険として興味を持つ。
そして小日向未来とギルガメッシュのコンビを遠隔操作の童子で急襲、隙を突いて誘拐した未来を、新生滅亡迅雷net組へと面白半分で提供。
応尽「よお〜す、あんた等人類滅ぼしたいんだってなァ。おもしれえ話があるんだが聞かねえかな」
しかしこれは結果的に、妃(仮)を奪われたギルガメッシュによる怒りの滅亡迅雷殴り込みを誘発し、彼らにとっては災厄以外の何者でもない展開となってしまった。
ちなみに応尽はギル逆襲とその予想外の強さを目の当たりにするやスタコラサッサした。なんだこのはた迷惑なおっさん……
気を取り直して散策しているうち、今度はシュヴァリエ・デオンと出会い、彼女…彼の決闘狂いを面白がってコンビを組む。
それからは支給されていた婢妖@うしおととらを改造し、ゴリラマンに仕込んで他の参加者を襲わせたりもした。
刈羽蝙也によって童子が破壊され、近藤勲や阿良々木暦たちによって婢妖が祓われると、デオンを近藤たちにけしかける。
仲間を逃がして一人戦う近藤が覚醒してデオンを押し始めるのを見、式神・是光を操って近藤の動きを止めることでデオンに殺害させた。
デオン「………オウジン、貴様」
応尽「あ〜らら、余計な横槍だったか?
けどよう、結構ヤバそうに見えたぜぇ、デオンちゃん。
己等たちァお仕事仲間、付かず離れず…だろ?」
デオン「手は組んだが……僕の決闘を邪魔する事は許さない。次に手を出せば離れるのはお前自身の胴と首だと知れ……小賢しい身代わりでは無く、な」
応尽「おー怖ええ、わかったわかった。戻りな、是光」
それから、精神を磨耗されきって一人放浪していたヒカルドを見つけ、言葉巧みに懐柔して手駒とすると、ドルリー・レーン王立劇場に「付喪神の素体」としても優秀な、脱出用支給品があることを知り、デオン・ヒカルドと共に劇場組へと奇襲をかける。中盤の山場の一つと名高い劇場決戦がこれであった。
「下らねぇ芝居に興じてるトコロ悪いんだがよォ……面倒くせぇから死んでもらうぜぇ」
そして間髪を入れず、一番弱いと見た夜凪景へ向けて『是光』を放つ。
夜凪の顕現させた「生き霊」の片鱗に是光が気圧された隙に、
灰色の服の男(グレイ)に割って入られ、マヤを攻撃しようとした応尽本人と暴れ始めたヒカルドはアマイマスクに止められたが──
姿を隠していたデオンが、殺意の剣となって夜凪へと襲いかかる。
グレイ「デオォォォォン!!」
応尽「……ははははは!!伏兵がいねえって誰が言ったよ!!」
呵々大笑する応尽。
ところが、これまで底を見せず安全圏から場を掻き回していた彼のシナリオは、女優としての力を燃やし尽くした北島マヤの、命を引き換えにした最期の即興舞台──オペラ『カルメン』をきっかけに崩され始める。
圧倒的な演技力によりカルメン刺殺の最終幕へと強制的に引きずり込まれたデオンは、夜凪ではなくマヤを手にかけてしまい、絶対の自信を持っていた剣を狂わされたことで動揺。
さらに、マヤ最期の演技指導で役者として次のステージへと進んだ夜凪が、未発達だった生き霊を覚醒させて是光を食らい尽くし、そのまま灰色の服の男との共演でデオンを撃破してしまったのだ。
マヤの舞台に自身も呑まれてしまい、消滅していくデオンを目の当たりにしてようやく放心から醒めた応尽だったが……
応尽「……ガキぃ!!やってくれやがっ…ぐおっ!!て、てめえ、護法地天ひほ、ごぼッ!?」
静かに激昂したアマイマスクの攻撃を前に、詠唱する時間すらなく形代を粉々に粉砕される。
(ちいいッ、己等の念を込めたとっときの形代がああも容易く……是光も再生できねえ、あのガキの生き霊のせいか!?くそッ……)
それどころか──
アマイマスク「本体は、そこか」
応尽「!?な、早……があああッ!!!」
ゴキボギメギボギ
ド ン
身を潜めていた応尽本体もまたアマイマスクに探り出され、凄まじい威力のパンチをもろに受けて劇場の外、遥か彼方まで吹き飛ばされてしまう。
このダメージは凄まじく、さしもの応尽も長期間の回復のための行動不能を余儀なくされる。
「がはッ、ごほッ……醜いバケモンが…結界を咄嗟に重ねがけしたってのによぅ……き、効いたぜぇえ……へ、へへ…こりゃあ、己等もそろそろやべぇか?
……いいや、まだ…まだァ」
それでもなお、狂気の瞳をぐにゃりと伸ばして嗤う応尽は、時間をかけて負傷を回復させていく。
その中で、主催者たちの抱く目的の数々を知ると、彼らの謳う「滅び」のスケールに魅せられ、賛同する。
そしてロワイアル本編の佳境、ディエゴ・ブランドーのスタンド能力による混乱に乗じ、魔晄の力を用いた陣を地へと描いて、対主催たちへの大規模な呪詛儀式を行おうと画策。
しかし、彼のその儀式は、奇しくも近藤を失ってからずっと、彼の遺志を継いで奔走していた阿良々木暦・八神マキノ・鷹取小夜らによって察知される。
マキノの諜報、小夜の霊的探知、そしてアララギの怪異殺しの欠片によって陣を破壊され、さらにそこへ、
「……また会ったね、ジジイ」
古賀のり夫らの助力で送り出された野薔薇が現れる。
対峙する応尽と野薔薇。
加えて、単独行動を取っていたかの真祖たるアルクェイド・ブリュンスタッドまでもがやって来た。
アルクェイド「……変な血の匂いがしてるから来てみたけど、なんか死徒と違うわね。シオンと同じで半分くらい……いやもっと薄いやつ? ここまで人間に近いのってはじめて見たかも」
阿良々木「……吸血鬼!?」
赤みがかった月の下、場面はまさに、伝奇系参加者の大集合の体を成した。
その下で、応尽は。
「……くくっ、くっくっく……京のォ………京の………大仏さんはァ───天火で、焼ァけてなァ……三十三間堂がァ、焼ァけ、残った……ありゃどんどんどん こォりゃどんどんどん……」
破滅の願いを唄いながら、破壊された呪式から吸い上げた力を、術を解放させてゆく。
「「「「「護法地天秘法」」」」」
顕現させた自身の形代、その全ての霊力を使いつくし、己の持つうちで出せる護法童子を全て解放する『加幻満流・百鬼夜行』。
月下に、まさしく平安の闇に跋扈した百鬼夜行のごとき、無数の鬼神の姿が現れ蠢く。
阿良々木たちとアルクェイドがその悪夢のような群れに呑まれていく一方で、力を解放した応尽と野薔薇が激突した。
"負の思念が呪力になる"呪術廻戦の世界観においても、願いからして規格外の規模の呪力を備えた応尽は、かつて同様に、いやそれ以上に、野薔薇を圧倒。
致死の陣形で迫り来る野薔薇の術式を悉く受け、返し、弾きながら嗤い猛る。
それでも、「黒閃」によって応尽の結界を叩き割った野薔薇だったが、全ての釘を使い尽くし、金槌も折られ、拳と念力とで、見るも無惨に嬲られていく。
「八十年は早ええ、って己等ぁ言ったよなァ…… 忘れちまったか?
呪術ってのは念の勝負だがよ……ションベンくせぇ嬢ちゃんのショボい恨みつらみなんぞ、こんなもんってえ事だよ」
肋を踏み砕き、鼻を折り、蹴り飛ばして、山羊のように伸びた瞳で、応尽はげたげたと嗤い続ける。
しかし──血反吐を吐きながら、ぼろぼろの顔で野薔薇が笑い返したとき、空気が変わった。
「ダニエルはさ……バカで、無鉄砲で、優しいやつだった。……誰かさんを思い出すくらい」
「ははははは、可哀想によ、アタマがおかしくなりやがったか?
てめぇにはもう、一本の釘も残ってねえ……」
「──覚えてる、って言ったよね。"ヒーロー"」
「…………あ?」
アイテム番号: SCP-2800
オブジェクトクラス: Safe
──SCP-2800は以下の異常な能力を示しました。
──体の表面全体から素早く2-3cmの棘を生やす能力。棘は自然に抜けるが、SCP-2800が自発的に分離することも可能。
──『一緒にぶちかまそうぜ』
それは、小さな棘だった。
呪術師・釘崎野薔薇の懐にひとつ。
呪禁仙人・五頭応尽の胸元へとひとつ。
SCP-2800"カクタスマン"が最後に遺した、ほんの小さな仙人掌の棘。
釘崎野薔薇が受け取った、一人のヒーローの『釘刺す脅威』。
"仙人掌・因果"
二つの「棘」を媒介に、残された呪力を極限まで打ち込まれた巨大な緑の棘釘が具現し、不死の仙人をその核ごと打ち貫く。
「ご、ほ…ッ…!?
な、何だと……お、己等の、じ、呪核を……ぐああああ……」
串刺しとなった自身を、信じられないような目で見ながら、応尽は絶叫した。
見れば、『加幻満流・百鬼夜行』もまた、阿良々木たちの決死の戦いによって滅ぼされ、月の下で消え去って行くところだった。
(畜生……畜生……有り、得ねえ………)
核を失い、仙術の呼吸も出来ず、生気を失ったミイラのようになりながら、這いずっていく。
それでもなお、張り付いた狂気の笑みは、三日月の亀裂を象ったまま。
「は……はは……ははは……己等ぁ、この世界がぶっ壊れるのを見てやるんだ……この眼で……この世の、終わりを……見るまで……」
しかし、彼の行こうとする先に、彼女は──釘崎野薔薇は、すでに立っていた。
「てめえ一人で
勝手に終わってろ!!」
一喝と共に、渾身の力でぶん殴られた応尽は、紙屑のように吹き飛び、転がっていく。
その脳裏に、かつて
坂巻泥努の告げた言葉が、フラッシュバックする。
『意思の力、心の力……意力。それが貴様らには足りん──』
地に転がった応尽の体はすでに、今まで重ねた年月のつけを払うがごとく、塵になりながら滅び始めていた。
「……お、己等の力が………心の力が、足りてなかったってえのか……
あ、あのちんけなサボテン野郎……醜い怪物野郎……ヒーローとかいうバカなやつらよりも、あの何でもねぇガキよりも………
こんな青二才、よりも……」
「気づくのが百年遅えよ、爺さん」
野薔薇の言葉を最期の記憶に、破滅を願う仙人は、狂気に取りつかれた「人間」は、月下の舞台から消滅した。
◎◎◎
狂った行動原理と狡猾で抜け目のない立ち回りで以て、あらゆる場を引っ掻き回したが、一人の女優の舞台をきっかけに目論見を狂わされ、呪い殺したサムライの遺志を継いだ少年少女に術を破られ、最期はかつて嗤ったヒーローの遺した棘で以て、完膚なきまでに敗北した。
狂気の役者、そして呪いにおける「因果応報」をこの上もなく体現したキャラクターとして、オールジャンルロワイアル3を彩った名キャラクターだと言えるだろう。
最終更新:2023年09月10日 10:44