【名前】ノリス・パッカード
【性別】男
【出展】機動戦士ガンダム 第08MS小隊
【所属】関西軍

【設定等】
ジオン公国軍に所属するベテラン軍人。階級は大佐。
大恩あるサハリン家に絶対の忠誠を誓い、ギニアス・サハリン少将の元で副官を務める。
アプサラスの開発に没頭するギニアスを、軍令面で補佐代行していた。

個性的な髪型(モヒカン?)に三白眼で骨ばった顔つきの強面、恰幅が良いと表現するよりもゴツいと表現した方が適切な、屈強な体型をした男性である。

性格は軍人としては実直で鷹揚自若、見た目通りの武人気質。
私人としては礼節を弁えた紳士的な人物で、その心には優しさと強さを秘め、他人の心の機微にも敏感である。
高級将校でありながら気さくな面を持ち、部下からの信頼も篤い。

幼い頃から仕えて面倒を見ているアイナには忠誠心以上の父性愛にも似た感情を寄せており、彼女からも親代わりと慕われていた。
彼女のためなら自らの命を投げ出すこともいとわない覚悟を持っている。

パイロットとしては高級将校クラスの地位にありながら、モビルスーツ以外にも戦闘機の操縦技術に優れる。
その腕はジオン公国軍でも屈指のもので、後述するケルゲレンの脱出ルート確保戦においてサンダース(連邦軍の08小隊員)からも一目でエースと認識されたほど。
指揮官としての戦術眼も優れ、戦場での駆け引きにも熟達している。
(渋百科より流用部分あり)

参戦時期は(陸戦型)ガンダムと交戦したことがあると語り、アイナの想い人を知らないので最低でも第三話以後第十話前である。


【今大戦での動向】
関西軍が起動した異世界召喚装置により、大東亜共和国の関西軍側の本拠地、大阪に召喚されたノリス。
幸いなのか不幸なのか、何人も眠る大部屋でアイナをすぐに発見することができた。
眼を覚ますといつの間にか首輪をはめられており、村田ユリカと名乗る少女から「この内戦状態の大東亜共和国のために、皆様には戦争をしていただきます」と共和国の関東側を牛耳る関東軍との戦闘を強要された。
首輪は爆弾が入っており、裏切り防止のためにつけており、明確な叛逆行為があれば即首輪を爆破すると脅されるのであった。

……これだけで関西軍とやらはまともな軍隊じゃないとノリスは思い、他何人かも批難の声が上がったが、すぐにユリカの手によって関東軍の所業を綴った映像が流された。
それは暴力・略奪・虐殺・レ〇プ......敵軍によりあらんかぎりの非道が戦場で行われていた、という内容だった。

アイナ(酷い...人のやる所業じゃない)
ノリス(落ち着いてください、アイナ様、あれはプロパガンダです。
    騙されてはいけません)
アイナ(ノリス...ありがとう、危うく流されてしまうところでした)
ノリス(この世界から脱出する手段があるかもしれません、それがわかるまで耐えて待つのです)

映像が流され、アイナのように騙される者も何人かいたが、ノリスはこれは『我々』に戦うための大義を刷り込むためのプロパガンダであるとすぐに見抜いた。
とはいえ、首輪を外す方法もこの世界から脱出する方法もまだわからないので、しばらくは関西軍の一員として戦うことを決める、
だが、一番はアイナを守ることであり、そのために身を差し出す覚悟がノリスにはあった、


場面は変わり、新潟の越後基地にノリスとアイナ、知り合ったラクスと共に配置されることになった。
しかし配置からまもなく、いきなりの関東軍側からの奇襲。
遠方からの砲撃が、基地の中央を抉った。

危うく飛散した瓦礫と炎がラクスに直撃するところだったアイナに庇われ、なんとか一命を取り留める。

ノリス「アイナ様ーッ!」
ラクス「アイナさん!」
アイナ「私は大丈夫、かすり傷よ」
ノリス「この覚えのある砲撃、連邦のタンクか!」

アイナは幸いにして命に関わる手傷は負っていなかった。
それに安心している暇はノリスにはない。
ノリスはこの砲撃がガンタンクによるものだと見抜いた。

ノリス「ラクス嬢、アイナ様を頼む」

負傷したアイナがラクスと共に大阪へと搬送される。
ノリスはラクスにアイナを任せて、味方の援護のため、そして基地から脱出するアイナの装甲車を守るために越後基地での戦いに参加する。
そのために戦うための搭乗機を探すノリスだったが。

ノリス「MS格納庫は先程の砲撃でやられたか!
    せめてグフかザクが欲しかったが」

ゲッタ「おい、オッサン」
香織「ノリスさん!」
ノリス「ゲッタ・セドリックにカオリ・クゼ!無事だったか!」

ゲッタと香織はこの越後基地にて知り合ったヴァンツァーのパイロットたちだ。
ヴァンツァーに乗って迎撃に出る二人にノリスは何か良い機体はないかと聞く。

ノリス「この際、戦えるなら戦車でも飛行機でも何でも良い。
    何か良い機体はないか?」
香織「そう言えば、あそこの格納庫に機体があった気がする」
ノリス「そうか!恩に着る!」

そしてノリスは倉庫へと走り出した。

ノリスが機体を探している間、越後基地の内側にもMSストライク・ダガーなどの機動兵器による攻撃を受けていた。
このダガーに乗るのは関東軍のスレッタ・マーキュリー。
香織のゼニスとゲッタのギザの2機は同時に相手をするが、不利であった。
格闘戦でゲッタ機を中破させると後ろから援護射撃をしていた香織機に肉薄する。
弾幕もかわしてビームサーベルを振るったところで、倉庫から出撃したノリスの機体はミサイルを発射して、香織のゼニスからダガーを引き離した。

ノリス「友軍の撤退まで時間を稼ぐぞ! 基地から引き離すのだ!」
スレッタ「ホバークラフト? うわっ!?」

体制を立て直したゲッタの攻撃を咄嗟にかわしながらスレッタはノリスの珍妙な機体を警戒した。

ノリスが乗っている機体は『ファンファン』。
地球連邦軍のミサイルを積んだホバークラフト。
足は早いが紙装甲の上装弾数も少ない、とMS相手には心許ない性能だったが、ノリスはこれを己の技量とゲッタ・香織との連携で戦うことを決める。

運動性の高さから来る小回りを生かし、スレッタによる射撃を躱していく。
そしてゲッタと香織も黙って見ているわけじゃない。

香織「これでも喰らいなさい!」
ゲッタ「くたばれ!」
スレッタ「邪魔を!ああッ!!」

ノリスが囮になったことで、気を取られたスレッタのダガーにゼニスのミサイル攻撃と、ギザのパンチが左足に集中し転倒させた。
さらにファンファンの攻撃がダガーの盾を、ゼニスのショットガンがライフルとサーベルを破壊する。
回避も防御もできなくなった、その追い込まれぶりにスレッタは恐怖で絶句。

スレッタ「あ、ああ......」
ゲッタ「ゲームセットだ」
香織「真一の仇!」
ノリス「怯えろぉ!!すくめぇ!!
    MSの性能を生かせぬまま、死んでゆけえ!!」
スレッタ「こないで!!」

失禁するほどの恐怖を覚えたスレッタは最後に残ったバルカンを放ち足掻くが、うろたえ弾のせいか接近するファンファンに当たらない。
ノリスはトドメのロケットを放たんとした。
そしてダガーはロケットの直撃で爆散

したかに見えた。
ノリスはロケットが当たる寸前にポージングを決めた筋肉男の彫像がダガーを守ったのを見逃さなかった。


ノリス「むぅ!?何奴!!」
アームストロング「悪いが、これ以上仲間を殺させるわけにはいかんのでな」

関東軍の筋肉もとい錬金術師アームストロングが気絶したスレッタを抱える。

アームストロング「悪いがここは退かせてもらう。
         貴殿たちの戦いは実に見事。
         できればこんな下らぬ内戦で会いたくはなかった」
香織「逃がさない!」

スレッタを抱えたアームストロングは脱兎の如く逃げ出す。
香織は追撃のためにショットガンを乱射するが錬成された岩の壁に阻まれ逃げられてしまった。
深追いは禁物と、ノリスは追いかけようとする香織を制止する。
時を同じくして同じジオン軍(実はパラレルワールドのジオンの上、裏切って南洋同盟に下ったことを隠しているが)のダリルがアッガイによる狙撃によって関東軍のガンタンクを仕留めたと連絡が入る。

基地には一時の平穏が戻り、かつ追撃戦を行うために兵士たちが基地内に集結する。
しかし、その時である、たった一個の爆弾が上空高高度から落とされた。

香織「なに?爆撃!」
ゲッタ「あんなの1個じゃ今さら戦況は覆らねえぞ」
ノリス「待て、様子がおかしい」

爆心地に近い周りのモブ兵士たちが苦しみのたうち周りバタバタと倒れていく。

香織「毒ガス?!」
ゲッタ「前言撤回、やべえぞ!」
ノリス「機体を捨ててファンファンに乗れ!急ぎ離脱するぞ!」

ヴァンツァーの速度では毒ガスを振り切れないと見たノリスは香織とゲッタをファンファンに乗せ、ギリギリで離脱した。
皆パイロットスーツ着てるとはいえ宇宙での戦いを想定してたわけじゃないから酸素残量が心もとない。
そしてノリスの想定では相当な効果範囲と読んでいる(ジオンの開戦初頭の毒ガス使用の経験からである)。
ここでジャブローの地下要塞でも使われてるファンファンの小回りを活かして毒ガスの周りが遅いであろう排水路に川の上を走って入り込んだのだが。

香織「たしか、シャロ!? なんでここに!?」
シャロ「……誰?」

そこに居たのは桐間紗路だった。
……実はこのシャロ。
関西軍にいるシャロではなく、世界線が微妙に違う人型ホムンクルスと化したシャロであった。
流石のノリスたちでもそれを見極めることができず、ファンファンに乗せていくことに。
幸いなのは仲間のフリをして不意打ちでノリスたちを喰うことも考えたシャロだが、相手には数が居ていくら人型ホムンクルスとはいえ多少回ってきた毒で衰弱してるので下手に動けなかった。
味方のシャロだと誤認した香織から毒のことを聞いて、次に休憩でファンファンを止めた瞬間を見計らって関東軍の越後以外の基地に戻っていった。

ノリスたちの視点からすると少し目を放した隙にシャロがいなくなったように見えた。
そして毒ガスの大部分が晴れたことも地下で電波が届かないのと周波数がわからないのもあって通じていない。
一方関東軍はシャロから情報を手に入れたため尖兵を送り込んだ。
ファンファンが地下道から出た先には最前線として荒廃した富山県、周りは瓦礫だらけ……そんな中で現れたのは。

宿儺「待ちくたびれたんだ、少しは楽しませろよ?」

これまで手に負えない呪霊を出すことに及び腰だった関東軍だがなりふり構わない攻勢をかけるようになった。
いくらノリス・香織・ゲッタでも、首輪であらかた制限されてるとはいえ宿儺には現状勝ち目ゼロ。
ファンファンはスレッタ戦で弾切れ。

明らかに強敵である異形・宿儺を前に万事休すだった三人だったが、そこへ越後基地から移動してきたヒロがやってきた。
ノリスたちは宿儺と互角の力を持つヒロのおかげで関東軍の魔の手から逃れ、アイナの待つ大阪に戻ることができるようになった。
ヒロ的には戦闘の邪魔だから逃がしただけだが、三人にとっては恩人であった。

一先ず、大本営である大阪を目指すことになる......のだが、ここでノリスが

(そういえば、異世界召喚装置とやらの出所はどこだ?
なぜ64人しか召喚できなかった?
アイナ様には申し訳ないが、味方に見つかるまでの時間はそれを確かめるチャンスなのではないか?)

と、脳裏に過り、大阪への合流は後回しにしてしばらく情報収集することになった。


ノリスたちはなんとか石川との県境までは辿り着いたんだけどついにファンファンがガス欠になってしまい、放置することになった。
大東亜共和国は鎖国体制で外人が珍しい上に被災地は長らく放置されていたので警戒されないように香織が聞き込みへと行くと

香織「なんか、変な黒いやつがいたとか、変なドラゴンがいたとか、突然ラジオが聞こえなくなったとか……」
ゲッタ「なんだそれ?」
ノリス「ラジオが聞こえない……ミノフスキー粒子の電波障害か? まさか……」

当然何も知らない民間人からはギャオスらしきものの目撃情報もドラゴンと思われたようだ。
それはそれとしてノリスはここでアプローチの使用を疑うことに。

ノリスたちがファンファンでの旅の中で掴んだ情報で気になる事が数点あった。

  • 元々BR法などでディストピアと言えた大東亜共和国がよりおかしくなったのは議事堂後ろに建造された用途不明の塔ができてから。
  • どうやら今の参戦者が来る前にも異世界召喚装置は何度が稼働している様子。
 つまり、自分たちより前にこの世界に呼ばれた存在がいたらしい。
 ひょっとすると、前にも呼ばれた存在はまだこの世界にいて、今の関東軍か関西軍に紛れてる可能性があるということだ。

余談だがノリス・香織・ゲッタが関西軍の本拠地に戻るまでの期間が読者から「ぶらりファンファンの旅」とか言われてた。
実際は戦場で戦ってるだけでは見えてこない大東亜共和国の困窮した情勢を知ったりと結構シリアスなのだが。
最前線ではインフラが壊滅したため食糧供給も滞り、安全な飲み水も乏しく、蛇とか蛙とか虫とか焼いて食べるしかないということもあった。

ノリス「正直……軍隊の飯の方が旨いな……」
ゲッタ「ああ、パラダイスバーガー喰いてえ!」
香織「江洲衛府島特有の南国の味付けが恋しい」

そして、こんな一幕も。

香織「……パパ、おにいーちゃん!」
ノリス「パ、パパ?私に言ってるのか?」
ゲッタ「なんだよ、いきなり」
香織「えへへへ、ちょっと冗談言ってみただけ」

このように石川県にて情報収集をしていたノリス達だが、途中で佐渡島奪還作戦から撤収してきた関西軍に見つかってそのまま回収されていった。
もっとも越後基地から今までロストしていた兵士程度にしか思っていなく、特に不審がらずに軍の基地までの移動に同伴させられた模様。
その際に病室にいるアイナから筆談でラクスがアプサラスⅡで佐渡島攻略に貢献したことを聞いて、ノリスは内心心を痛めていた。
そして基地に着いたら今度は浜名湖戦線の情報も断片的に入手し、戦場に現われた巨大MAの映像を見てそれがアプサラスⅢ、つまりもう一人の守るべき存在であるギニアスが向こう側にいることを察してしまった。

ノリス(不覚……情報収集のためとはいえ、ラクス嬢の心を傷つけさせてしまった……よりによってアプサラスで。
    それに完成したアプサラスがあるということはギニアス様は関東軍におられるのか……?)

ノリスの中で不安は尽きない。



そして次の桶狭間の戦いはユリカ曰く激戦になると両軍で予想され全体的に武装の強化を推奨された。
ノリスたちは、ゲッタは格闘適正のあるヴァンツァー・ナムスカルに、香織はゼニスの後継機であるゼリアに修理装置バックパックのリフをつけ、隊長に任命されたノリスは原作搭乗機と同じグフカスタムに乗ることになった。
一方怪我が治ったアイナは、ラクスが乗らされていたアプサラスⅡに乗って出撃することに。
またブレイバーンのパイロット候補生に選ばれたちよをどうするか迷うブレイバーンだったが、ここでノリスたちから助言を行った。

アイナ「彼女をあなたに乗せてあげてください」
ノリス「最前線で戦う必要はない、後方支援を頼む」
香織「なんなら戦ってるふりだけして誤魔化しても良いから」
ゲッタ「戦意のねえ奴に無理して戦わせんな、てめえは守ることだけに専念してな」

ブレイバーンは苦渋の選択の結果、ちよをパイロットに任命することに。


数日後、始まった桶狭間の決戦。
最前線で戦うノリスのグフカスタムの姿があった。

織莉子「ここまで来れば……!」
スレッタ「逃さないっ、堕ちろぉ!」
スペルビア「! 敵だ!」
スレッタ「なっ、キャァ!?」

ノリス「間に合ったな……攻撃を開始する!」
シロー「あのグフ、まさか!」

スペルビアにガトリングが突き刺さり、コックピットに当たる寸前で物陰に転がり込む。
原作を再現するようにEz-8に乗るシローとノリスが同じ戦場で対峙した。
戦いの混戦の中で香織は赤倉(ドム搭乗)、ゲッタはアイナの護衛に回した。
そして負傷した織莉子をモブ兵士に医療テントまで運ばせた。


ヒリついた空気の中、戦いが始まろうとする関西軍のノリスたちと関東軍のシローたち。
しかし、その前にデラーズが待ったをかけ、ノリスに通信する。

デラーズ「その動き、ジオンの将兵だな、儂はデラーズだ」
ノリス「デラーズ…? エギーユ・デラーズ大佐か!」
デラーズ「ジオンの将兵並びにノリス・パッカード大佐なら聞いてくれ。
     ギニアス将軍が先日、浜名湖で亡くなった」
ノリス「ギニアス様が戦死……」
デラーズ「否、病死だ。だが誉れ高き最期であった」

ギニアスはやはり関東軍にいたという予想は的中していた。
だが病死してしまったらしい、デラーズの言葉が嘘でなければ『夢』は叶えたようだが。

ノリス「デラーズ大佐、申し訳ないが私にはまだアイナ様が残っている。
    剣を納めるわけにも兵を退くわけにも行きません」
デラーズ「恥ずかしながら今の我々も首輪付きだ、死にたくなければ同じジオンの武人相手でも戦う他あるまい」



デラーズ「もうすぐ『時が来る』。
     今は互いに武人同士として撃ち合おう。
     ジオンの将兵なら簡単に死んでくれるなよ?」
ノリス(時が来る? いったいなんのことだ?)

ギニアスの訃報を伝えた後、ノリスとデラーズたちは激突した。
余談だがデラーズの今の階級は中将だが一年戦争時の階級は大佐であり、デラーズフリートを知らないノリス視点では間違っていない。

この時、ノリスとデラーズは互いにプリセットの近接モーションしかしないことで上手く手加減しあう。
どっちも自分専用のカスタム機だから素の量産機よりも動きにバリエーションがあるのだが、ヒートサーベルとかで切りかかる時だけは教科書通りの動きしかしないことで、操縦にブランクがあるデラーズでも互角の戦いをしているように素人には見せかけられていた。
そうして稼いだ時間でモノアイによる発光信号が出された。

ノリス(ム……この発光信号は「0103」……「アプサラス」……「ミノフスキー」……まさか!)

ノリス「大佐、公国軍が相打つのは忍びない。宇宙市民の「解放」、その志はまだありますかな?」
デラーズ「! 無論、その為にこの戦場に拉致されようとも同志を集めてきた。ギニアス将軍の才気がそれを実現したのだ。」
ノリス「……私も同じです。ですが「オデッサ」へ降下した時のように苦戦を強いられています。」
デラーズ「……こちらも似たようなものだ。「キリマンジャロ」での苦戦を思い出す……さあ、ゆくぞ!」

デラーズが出した発光信号は一年戦争の開戦日、ジオン公国が連邦の首輪から解き放たれるべく戦いを始めた日。
それを見たノリスはデラーズが首輪解除を狙ってること、そして生前のギニアスが動いていたことを察した。

一方、シローは途中でデラーズとノリスがお互い手加減して戦ってるまでは見抜いた。
そこから通信でも何らかの符丁でノリスと通信しているのもわかった。
しかしデラーズはイオも言ったとおりギレンの親衛隊で、直接じゃないにしろ毒ガスやコロニー落としに関わったジオンである。
デラーズを信じるか謀殺するか、シローの中で葛藤が広がっていたことをノリスもデラーズも知らない。


葛藤はやがて決意に変わり、シローが手を抜いているノリスを見破って無防備な背中を晒すようになったことで戦況は五分になった上に関西軍モブの流れ弾をノリスと戦うデラーズに向かうようにしむけさせるようにする。
この場でノリスに自分を狙わないなんらかの事情があることに賭けてスレッタを襲おうとしたモブ機を堕としてビームサーベルで更に一機を大破させた後。

シロー「みんな、今のうちに脱出だ!」

狙いはデラーズを孤立させてモブに襲わせるないしはノリスと別れされることであった。
関西軍のモブロボ軍団に囲まれるデラーズのドム。

デラーズ(アマダ少尉にしてやられたか。
    否、敵を欺くために味方を欺きすぎた儂の落ち度か)
ノリス(デラーズ大佐、やむを得ません。
   『捕虜』という形であなたを保護します。後は運次第になりますが)
デラーズ(すまぬ)

デラーズとノリスは一芝居をうち、ドムのモノアイがグフカスタムのガトリングで吹っ飛び、脚部もソードで分断された。
デラーズはこうしてノリスの手により関西軍の捕虜となった。

デラーズ(儂が捕虜になったということは溝口三佐にGUSOHの権限が移譲される、かくなる上は)

ヨンファと関東軍が凶行に走ると読んでノリスに情報を流そうとするデラーズ

だがその時、ノリスのグフからオープン回線でジャズが流れ出す

ダリル「奴だ……!」
ノリス「む? なぜ貴官がここに──」

突然のことが相次ぎ困惑するノリスのレーダーに映るのはダリルのジムスナイパー。
イオはデラーズがわざと敵に捕まって毒ガスを撃ち込むんじゃないかと思って無茶な行動をとろうとしていた。
この直後にノリスは最悪のニュースを聞く。
アプサラスが後方で撃墜された。
それを聞いたノリスは大急ぎで後方へ走る。

ダリル「クソッ、この機体じゃ白兵戦は部が悪い、せめてサイコ・ザクだったなら!
    大佐、射撃は受け持つのでグフで白兵戦をお願いし......大佐、どこへ!?」
ノリス「アイナ様ァーー!!」

ノリスはダリルとMS部隊とデラーズを置いて去っていった。
それだけアイナの方が大事だったのである。
上空ではヨンファが関西方面へ放たせたミサイルが巡行し、EMPが作動してミサイルと首輪が無力化される。
それさえも今は無視して後方へグフを走らせる。



ノリスが後方にたどり着いた時には穴だらけになって撃墜されたアプサラスⅡ、大破し乗り捨てられたナムスカル。
そして穴の空いたコクピットから黒煙を吹き上がる先ほど見かけたEz-8だった。
ノリスは辛うじて生命反応があったEz-8のコクピットをこじ開けると、そこには身体のあちこちに、特に腹に風穴があき虫の息のシローと彼が大事そうに抱えるヘルメットに入ったアイナの生首があった。

ノリス「アイナ様、そんな......!私は守りきれなかったというのか......!」
シロー「あんたはノリスだったな......アイナを守りきれなかった......敵討ちすらも......」

血の滴るヘルメットを大事に抱える虫の息のシロー。
ノリスもただ、涙を流すしかなかった。

ノリス「言え!誰がアイナ様を殺したのだ!ゲッタやちよも殺されたのか!?」
シロー「アイナを殺したのはグリーグだ、赤いヴァンツァーに乗っている……ゲッタかどうかわからないが捕虜になりかけた男はヒーローみたいなロボットが離脱させた」
ノリス「ブレイバーン、か」

ゲッタやちよ、ブレイバーンはまだ生存していることがシローの口からわかった。

ノリス「最後に言い残すことはあるか?」
シロー「ギニアスは言っていた、アプサラスはアイナとノリス以外乗せるな、と」
ノリス「ギニアス様が…」
シロー「パスコードはアイナの誕生日を逆さにした数字だと教えられた……パスコードがない限りアプサラスⅢは動かない、ハズ」

シロー「頼む、アプサラスⅢを関東軍に使わせない、できるならこの狂った戦争で間違ったことに使わないでくれ……ギニアスだってきっと望まない。
    ……俺ももう逝くよ……アイナに会える資格あるかな……」
ノリス「……結果はともかく、アイナ様を守ろうとしたのだ、同じ場所に行けるさ」
シロー「ありがとう、ノリス・パッカード……」

シローはアイナの首に身を寄せるように事切れた。
ノリスもまた、ギニアスだけでなくアイナを失ったことでグフのコクピット内で自害を考え、自分のこめかみに拳銃を向ける。
だがその寸前に二つの映像が目に入った。

一つは香織の乗るゼリアと赤倉のドムとブリジットの関西軍の兵。
もう一つはブレイバーンおよびゲッタたちがデラーズ(とイオ)に接触し、首輪を外してもらっている姿だった。
それを見てノリスは考え直し、自害をやめる。

ノリス「そうだ、私にはまだやるべきことがある。
    アイナ様の仇討ち、ギニアス様のアプサラスの悪用の阻止、そして若者たちを狂った内戦から守ることだ」

その願いは関西軍に残ってもできることであり、第三勢力に入っても実現できるだろう。
しかし、二つに一つは取れない。
関西軍か第三勢力か。
主戦派か反戦派か。
香織か、ゲッタか。
ノリスは決断せねばならない。



決断した結果、ノリスはゲッタら、ブレイバーン組および第三軍に合流することにした。
関東軍のグリーグは憎いが、関西軍もアイナやラクスに戦いを強いたまともな軍隊ではない。
ならば関西軍もまた、打ち倒すべき対象だった。

ゲッタ「すまねえノリスのおっさん……アイナを守れなかった」
ノリス「……おまえのせいではない」

ゲッタはアイナを守れなかったことに自責の念を覚えていたが、ノリスは許した。
少なくともゲッタはアイナを見捨てて逃げたわけではないのはブレイバーンから聞いたからだ。
結果は伴わなかったが、守ろうとしていたのは確かだった故に。

そしてノリスはさっそくゲッタに首輪を外してもらった。
その時である、ノリスが乗っていたグフカスタムがミサイルとバズーカの二撃を受けて大破した。
仮に首輪解除のためにグフを降りてなかったらノリスは死んでいただろうか。

撃ったのは関西軍の主戦派の急先鋒である赤倉のドム、その横には香織の乗るヴァンツァー...ゼリアもいた。
その香織が二撃目を放とうとした赤倉に待ったをかけてノリスとゲッタに呼び掛ける。

香織「ノリスさん、ゲッタ、関西軍を裏切る気なの!?」

陸戦型ガンダムに乗るイオやほむら、ブレイバーンは迎撃の態勢を取るが、ノリスとゲッタも同じく待ったをかける。
2人は仲間だった香織を説得するつもりだ。
周囲は固唾を飲んで見守る。

ノリス「香織、おまえこそこちらに来ないか!」
ゲッタ「関東軍もアレだが関西軍もまともな軍隊じゃねえ、首輪を外して自由になろうぜ」

だが、香織の返答は2人にショットガンを向けることだった。

香織「私はそっちに行かない。
   恋人を、ロックスを生き返すには軍に残るしかないの!」
ゲッタ「正気か!軍が約束を守る保証なんてねえぞ」
香織「そっちには召喚装置自体がないし、生き残れる保証もない。
   あなたたちこそ、まだ間に合う、軍に戻って!
   少なくとも虐殺行為を行い、大量破壊兵器を平気で使う関東軍よりはマシよ」
ノリス「......それはできん、関西軍はアイナ様や多くの者に首輪をはめて殺し合いを強要した、私が抜ける理由としては十分だ」
香織「そんな......!」
デラーズ(パッカード大佐、そろそろ行かねば)
ほむら(会話中に他の敵が集まってるわ。
    このままだと包囲される)
ノリス(わかった)

香織「……もう、私たちは敵同士なんだね」
ゲッタ「クッ……」
ノリス「是非もない」

赤倉「話はもう終わりだ。こちらにも引けない理由がある以上、死んでもらうしかない!」

赤倉ドムの後ろには大量のモブ兵士たち。
現状のイオたちの戦力ではとうてい捌ききれない。
この場は逃げる他なかった。

ノリス「正直、戦場で会いたくないが」
ゲッタ「香織、俺はおまえが考え直すの信じてるぜ!」
香織「逃がすとでも!」

ノリスとゲッタはブレイバーンに捕まり、イオたち陸戦型ガンダムと共に戦場を離脱すべく逃げ出した。
香織もゼリアのショットガンを放つが、一発もブレイバーンには当たらなかった。
ひょっとしたらわざと外したのかもしれない、とノリスは考える。

この後、突如現れた巨大兵器ヴェルム・ヴィータと潜水艦グルヴェイグの砲撃の嵐の中。
辛くもモビルフォートレスと言われる巨大なゾックにたどり着けたノリスたち、またシローの戦友だと名乗ったイオ・フレミングにそのシローの訃報を伝えた。
何やら自己嫌悪で曇ってたが、今は構っている余裕はなかった。
ゾックで潜航し、第三軍一同はデラーズが秘密裏に拵えていた秘密基地「茨の園」にたどり着いた。



大東亜共和国では関東軍は第三軍へのバッシングが行われていた。
どうやら今までの毒ガスでの虐殺やEMPにより未遂に終わったが関西都市への無差別なミサイル攻撃などは全てデラーズと死んだヨンファに押し付けられていた。
一方、関西方面では黒いドラゴンと黒づくめの怪人――ギャオスとグラトニーが奈良県で暴食の限りを尽くしていることを知る。
すぐにでも奈良県への救援に向かうべきだと言う者も多くいたが、第三軍は関西・関東軍に比べて物資も兵力も限られている。
焦って突っ込もうものなら挟み撃ちに会いかねないと月とディオの弁にはノリスも理解が及んだ。
単純に第三軍は戦力不足であるからだ。

しかし、デラーズは奈良県の救援及び関西軍関東軍に第三軍が並び立てる策があると言う。
それは関東軍の浜名湖基地にはイオの愛機であるアトラスガンダムとアプサラスⅢ、ブレイバーンをパワーアップさせるバーンドラゴンがあり、関東軍から盗む計画をイオがデラーズやゆきに進言したという。
それだけの戦力、特にアプサラスがあれば関東軍の超巨大MA(ヴェルム)や関西軍の潜水艦(グルヴェイグ)にも対抗できるだろう。
また、防空網の中枢にしている要塞に再建造したグワデン破壊作戦も同時に進行される。
さすれば空を飛ぶアプサラスⅢも通過しやすくなるのである。


そしてイオが乗っていた陸戦型ガンダムはノリスに譲渡され、今後の作戦のためにカリカリにチューンナップされることに。
ノリスの乗機となったガンダムは、アイナを守ろうとした男シローの機体Ez-8に良く似た色に塗り替えられた。
ただ、ノリスの改造案ではブレードアンテナは2本、肩にはガトリングガン、ビームライフルはガンキャノンに近いもの、ビームサーベルは予備を含めて3本も背中についていたり、その顔つきはまるでドクロのようと評される。

ノリス「まさか自分が辛酸をなめさせられたガンダムに乗る日が来ようとは……」

なお、読者からは復讐のレクイエムのガンダムEXじゃねーか!とツッコまれたという。

ガンダムEX改造終了後、改めて作戦を確認するノリス。
この作戦は強襲による迅速な目標達成が必要だからノリスの他にゲッタとブレイバーンも参加予定するとのこと。
そしてデラーズがノリスからパスコードを聞いているのでアプサラスⅢを強奪する役になった。
それとイオとデラーズは生身で潜入することになるから護衛で何人か付き添う予定である。

デラーズ「パッカード大佐、貴殿はアプサラスに乗らないのか?」
ノリス「大佐...じゃなかった、中将。
    アイナ様やその想い人さえ守れなかった私にギニアス様の傑作に乗れる資格はありません。
    私の棺桶はイオ・フレミングから譲り受けたこのガンダムとします」

ノリス「ただ、2点、間違っても民間人の虐殺には使わないでください。
    そしてこの内戦が終わったらアプサラスを破壊してください。
    成すべきことを成したらギニアス様の元へ送ってあげたいのです、大量破壊兵器ではなく、内戦を終わらせた礎として」
デラーズ「......わかった。約束しよう」

また、機体がないなったゲッタがブレイバーンの新たな乗り手になったとのこと。
ノリスは「浜名湖にはグリーグが現れるかもしれない、そうならば私はグリーグを殺しに行くがそれでも良いか?」の問いに対してゲッタは「隊長はこの戦争で狂っちまった。俺にはあの人を殺すことはできないかもしれないから、アンタに任せる」と答えた。


イオ・デラーズ護衛メンバーは鬼龍、橘、ダクネス、レン、土方で確定。
そしてイオ・デラーズ・ノリス・ゲッタ・ブレイバーンは護衛メンバーと共に浜名湖に向こう事になった。



浜名湖に到着し、遠目で基地内にいるグリーグの赤いフロストを発見したノリス。

ノリス「……ッ」ギリッ
ゲッタ「ノリスのおっさん……」
ブレイバーン「気持ちはわかるがまだ早い」
ノリス「ああ、わかっているデラーズ中将とイオの準備が整うまでは怒りをこらえて見せるさ」

ノリス「だが、時が来ればこのガンダムでグリーグを殺しに行く。
    それからはただの私闘になるだろう。
    フッ、私もフラットランダ―共と何も変わらんな」

しばらく経った後、浜名湖基地で異常が発生し、焦るグリーグ。

グリーグ「何!?警備の連中は何をしてやがった!」

急いで基地に戻ろうとするグリーグのフロストだったが、そこへガトリングガンが叩き込まれた。
魔改造されたフロストによるナノラミネートの恩恵で大したダメージにはならないが、被弾の衝撃で足は止められる。
振り向くとEz-8によく似た改造ガンダムが迫っていた。

ノリス「グリィーグ!! 貴様は私が討つ! ここが貴様の死に場所だあ!」
グリーグ「Ez-8!? シローの甘ちゃんは殺したハズだが……
     チッ、地獄の壁を抜けられると思うなよ。
     もう一度、地獄に叩き落としてやる!」

浜名湖の前で復讐のレクイエムが奏でられる……



グリーグ「とっておきだ、これでも食らいなッ!」
ノリス「なに!? ぐああ!」
ゲッタ「ノリスのおっさん!」
ノリス「だ、大丈夫だ、だが盾が一発で粉々になるとは」

グリーグのフロストが持っている武装は威力・命中精度共に最強のヴァンツァー用ライフル ツィーゲ。
例え、いかなガンダムでも盾で防御しなければ装甲を貫徹させられる代物であった。
一方でモブヴァンツァー部隊も同伴させていたが、漸く本気で戦えるブレイバーンとガンダムEXに乗る本気のノリスの前では僅かな時間稼ぎくらいしかならず、あっさりと撃墜していく。

しかし、グリーグとの戦闘の最中に浜名湖基地に落ちる砲撃。

ノリス「奴らめ…自軍の基地ごとアプサラスを吹き飛ばす気か!」
ゲッタ「あの戦車モドキをぶっ潰さねえと!」

スレッタ「行かせません!」
スペルビア「行かせんぞ!ブレイバーン!」
ゲッタ「くそっ、邪魔しやがって」
ブレイバーン「スペルビア!この戦争に加担する気か!」
スペルビア「全ては武人として果てるため、推して参る!!」
ブレイバーン「……くっ、『変えられなかった』ということか、やむを得ない。ここで討たせてもらう!」

グリーグ「これで1VS1だな髑髏のガンダム!」
ノリス「望むところだ。例えここが死に場所になったとしても、貴様を討ち、仲間を守らせてもらってから死のう!」

スペルビアはゲッタとブレイバーンに任せ、フロストとガンダムEXは今、意地と信念がぶつかり合う。
だが魔改造されたフロストはとにかく硬い。
ガトリングもビームライフルもビームサーベルも大ダメージには繋がらない。
ただ、先ほどブレイバーンがブレイドで攻撃した際、質量を伴った物理攻撃は効くのは思い出したのでモブヴァンツァーから奪ったロッドを拾い、メイスのように振るって戦ったが、いささか6m程度のヴァンツァー装備に対し18mのMSのマニュピレーターでは小さすぎるため効率が悪い。


一方で、土方の活躍によりバーンドラゴンの奪取に成功したらしく、ブレイバーンの指示通り、合体を行ったゲッタ。

しかし……

ブレイバーン「BURN! BURN! BUR......
       ユ、ユユユユユユユユユウスケェ!!?」
ゲッタ「なんだこりゃあ! うわああああ!!」

ブレイバーンがバーンブレイバーンになる直前、ブレイバーンの装甲が汚濁で黒一色に染まる。
明らかな異常事態だ。

ノリス「ど、どうした、ゲッタ!
    応答しろブレイバーン!」

ノリスの通信も虚しく、ブレイバーンからの返事はなし。
その異様さに戦っていたスレッタたちも警戒から距離をとっていた。


グリーグ「迂闊だな!」
ノリス 「むぅ!? ちぃ、冷却系をやられたか!」

この状況にいち早く動いたのはグリーグ。
僅かな隙を見逃さず、僅かに残るノリスのガンダムの盾ごと打ち抜き無視できないダメージを与える。
戦わずとももって数十分の状態に追い込まれたノリスが反撃するも、ナノラミネートアーマーの前にライフルのビームは弾かれる。

ノリス 「ビームコーティング、どこかの世界では実用化されていたということか……ぬぅ!」
ゲッタ 「なんだこのクッソ汚い泥!? あ゛あ゛あ゛!!」
グリーグ「! ゲッタ!」

だがその時ブレイバーンからの回線が繋がりゲッタの悲鳴がグリーグの耳に届く。
今度はその隙をノリスが見逃さない。
足の裏ならばナノラミネートされていないのではと攻撃、かわされるが破片で損傷させ機動力を低下させる。

ダクネス「──ようやく繋がった! 鬼龍どこにいるんだ? こちらは合流予定地だ」
鬼龍  「浜名湖だ、ガンダムが目の前にいる」
ダクネス「何を言っているんだ? 基地からロボットが出て行ったが、ま、まさか」
鬼龍  「いい機会だからコイツで闘ってみたかっただけだ!」

そこに現れたのはなんかデッカい盾を持ったMSに乗った鬼龍!
砲撃の損傷が薄かった機体を(反乱軍の打ち合わせにもなく勝手に)強奪して戦場に現れた。

グリーグ  「邪魔だクソゴミ!」
鬼龍    「あっ一発で墜ちたッ」
ノリス   「鬼龍!」
ブレイバーン「ユウスケエエエエエ!」

が、ツィーゲの一撃で盾ごとMSを粉砕され撃墜された(この時、鬼龍はまだ生きていたが、後に事故死同然にスペルビアに首を斬られる)。
鬼龍のあまり意味がなかった援護であった(厄介なツィーゲの弾を無駄遣いさせたため、役立たずとまでは言わないが……)。

そして暴走したブレイバーンの放った光線は味方がまだいるかもしれない基地を貫通して町まで届き、結果的に民間人の虐殺を行ってしまう。
ブレイバーンの突然の暴走理由は不明だが、少なくともゲッタと二人の意思によるものではないのは明白だ。

ノリスはとにかくゲッタのためにもグリーグ撃墜を急ぐ。
だが、下手にジオンの技術の延長線上でビームコーティングだと考えてしまったのが明暗を分けた。
乗機が長く持たないのもあって機動力が下がったところに一気に畳み掛ける。
装甲が厚くても実弾武器を近距離から叩き込めば勝機はあると踏んだのだが、ライフルの照準を合わせる時間がないと見たグリーグはタックルで崩しにかかるが、その瞬間ガンダムEXのガドリングガンがゼロ距離から放たれた、が。

ノリス「なっ、がああっ!!」
グリーグ「こいつはビームを弾くだけじゃねえ」

だがナノラミネートアーマーは実弾武器にも高い耐性を発揮する。
質量の絶対的な不足から軽微な損傷を与えただけ。
対するノリスは機体はもちろんコックピットの中のノリスも衝撃で目眩を起こす痛打を食らった。
倒れたガンダムEXにグリーグはツィーゲとマシンガンの交互撃ち(スキル:Switch)でトドメを刺さんとする。

グリーグ「死にやがれガンダムモドキ!」
イオ「やらせるかよ!」
グリーグ「どわっ! 左腕が!」

間一髪、イオが奪取に成功したアトラスにより放たれたレールガンがフロストの左肩に命中。
こちらは質量的には十分であり、マシンガンを持っていたフロストの左腕を破壊した。
ライフルもまた、ガンダムEXを掠めただけで命中せず。
その隙にイオはノリスのガンダムを助け起こす。
グリーグはこの時、追撃を躱すために物陰に一時退避し、空爆の指示を出していた。

イオ「まだ死ぬんじゃねえぞノリス」
ノリス「少し目眩がするが、私は大丈夫だ。だがゲッタとブレイバーンが見ての通り暴走しだした、アプサラスもあがってこない、状況は最悪だ」

この後、ダクネスたちの通信からデラーズたちの死とアプサラスの全損を知るイオとノリス。

イオ「デラーズ、そして橘まで……」
ノリス「わかったーーアプサラスが手に入らない以上、もはやこの作戦は失敗だ。
    ダクネスとレンは先にゾックに戻れ。
    30分して我々がこなかったら死んだと思って先に帰還しろ」
ダクネス「しかし……おまえたちはどうなる!」
ノリス「私たちは関東軍と暴走したブレイバーンを止める。さもなくば、今度こそ逃げ道がなくなるか民間人の被害が増えるだけだ。

    ……イオもそれで良いか」
イオ「ああ……あの世でハゲに笑われたくもないからな」

ノリスとイオの言葉から剣崎が死ぬ間際に見せた覚悟のようなものを感じ取ったレンは、ダクネスの手を取る。
ダクネスは悔しさを滲ませながらも、レンの言葉に従い、海にいるゾックへと退避した。
そして殿を務めることになったノリスとイオに通信が入る。
通信元は暴走中のブレイバーンのコクピットからだった。

ノリス「ゲッタ! 生きていたか!」
ゲッタ『今はな……』
ノリス「待っていろ、今助け出してやる」
ゲッタ『無理だ……直に俺はこのクッソ汚い汚物のせいで完全に怪物になるユウスケ……』

ゲッタの半身は既に怪物化していた、おそらく数分もすれば完全に怪物となるだろう。

ゲッタ『ブレイバーンももうダメだ……俺諸共殺してくれ』
イオ「いいのか……?」
ゲッタ『仲間まで殺したくない……ブレイバーンだって望んでいない。
    こいつを倒すヒントをやる……こいつは一見元気に見えるが大技の使い過ぎでエネルギーがあまり残っちゃいない。
    撃ててあと一回撃てるかどうかだ……』

ゲッタ『ユウ…スケ……もう限界だ、俺も意識を保ってられない』
ノリス「ゲッタ!」
ゲッタ『なあ、ノリスのおっさん……また、香織とアンタとでファンファンで気楽な旅がしたかったなあ……』
ノリス「ゲッタ……」

そこでゲッタからの通信は途絶えた。
直後、グリーグの指示で開始する空爆。
夥しい数の航空機がミサイルや爆弾がイオやノリス機、ブレイバーンに向けて放たれる。

ノリス「イオ!、冷却装置がやられている私では逃げ切れない!
    アトラスなら逃げ切れる!貴殿だけでも逃げろ!」
イオ「馬鹿言うな、なんとか迎撃する!」

イオは諦めずにレールガンで航空機を落としていくが、とても空爆を防ぐには足りない。
グリーグは勝ったな、と思い、笑みを浮かべる。

ゲッタ『ユウ…させるかよ…スケ』

その時、一瞬、ゲッタから通信がまた入った。
その直後、ブレイバーンから泡状の物体「勇導操波(ブレイ・ザ・サモン)」か放たれた。
泡に包まれた誘導ミサイルが関東軍の航空機に向かい、半壊させた。
更にブレイブトルネードアークで残りの航空機も全滅させたが、明らかにエネルギーが足りてないのか、浜名湖基地を壊滅させた時のそれより細くなっていた。

グリーグ「なんだとう!?」

イオ「助かったのか?」
ノリス「ゲッタ……助けてくれたのか……
    待て、ブレイバーンはエネルギー切れを起こしている。
    二人を『救う』には今しかない!」
イオ「おう!」

二機のガンダムは左右から動きが鈍くなったブレイバーンおよびゲッタの介錯を行うために突撃を敢行する。
両サイドから至近距離からのビームサーベルとレールガン発射でコクピットのある胸に向けて攻撃する2機のガンダム。
ところが、ダメージ自体は入ってるもののバーンブレイバーンの装甲を貫くにはいささか火力が足りてない。
ブレイバーンは二機をキックしてカウンターを叩き込んだ。

イオ「やべっ……」
ノリス「バーンブレイバーンの硬さを見誤ったか!」

再び万事休すの二人だったが、そこへグリーグの放ったツィーゲライフル二発が、ジュマバーンの胸に着弾し、コクピットを貫徹した。

ノリス「おまえは!」
グリーグ「勘違いするなよ、おまえらを助けたんじゃなくて部下の不始末を見てられなかっただけのことよ、次は殺すからな」

ゲッタ『ありがとうな、隊長……』

ツィーゲによりコクピットごと貫かれたゲッタは死亡。
ツィーゲが弾切れを起こしたグリーグおよび気絶したスペルビアとスレッタは退却した。
一方のブレイバーンはパイロットを失いながらもまだ稼働していたが、イオが頭部に向けて何発もレールガンを叩き込んだことにより頭部を喪失
今度こそ暴走していたブレイバーンは機能を停止した。

ブレイバーンが落ちた後、第二派の空爆が始まろうとしていたが今度は冷却系をやられているガンダムEXでも逃げ切れる程度の猶予があった。

イオ「いくぞノリス……バス(=ゾック)には乗り遅れたが、まだ俺たちは生きてる限りやらなきゃなんねえことがある」
ノリス「ああ……!」

ノリスはゲッタの死に悲しみを覚えながらもイオと共に浜名湖を後にした。
ひとまず浜名湖から海岸方面へ後退したイオとノリスだが、彼らが知らぬ内に関東軍の増援MS部隊が迫りつつあった。
そのまま追い詰められていたら終わりだったかもしれないが、その前に第三軍からの通信が入り合流地点へと向かう。
そして浜辺に着いたころに味方のアッガイが現れ、2機を回収して冲にある潜水艦まで逃げ切ることに成功。
ちなみに潜水艦には既に収容されたラクレスと可奈美もいた。
2人は防空網破壊作戦に駆り出されていたはずなので話を聞くと、防空網のグワデンの破壊には成功したものの、多大な犠牲があったこと、加えて関東軍自体が追い詰められたグワデン要塞を味方ごと爆撃したことを伝えられた。

しばらくして潜水艦も秘密基地・茨の園に到着。
可奈美が無事に帰ってきたとたん抱きついて涙を流しながら「よかった」と言うさやか、イオとノリスの無事を喜ぶレン達が迎えにきていた。
しかし、犠牲はあまりに多く、バラートが命令を無視して奈良に無断出撃し、ギャオスとグラトニー討伐こそ成功したもののこちらも犠牲者多数。
さらに茨の園でもちよが未知ウィルスに感染し、怪物化、ディオたちも感染し、こちらはMURのせいで糞まみれになりこそしたがワクチンが間に合い助かったそうだ。
しかも、ウィルスの感染源はブレイバーンだったという……件の暴走は感染に完全に気づいていなかった自分たち第三軍の手落ちだった。

そして第三軍のブレイバーンによる民間人虐殺報道は関東だけでなく関西にも響く。
これは事実であるので、第三軍の世間からの当たりは強くなることになる。
幸いにしてギャオスたちを退治してくれた奈良県民は受け入れてくれたので、次の作戦の立案まで第三軍は奈良で休息を取ることに。

そこでマサツグたちを中心に孤児院が開かれる。
仲間たちはそれぞれのやり方で孤児院の子供たちに接していた。
一方ノリスは孤児たちを見てアイナやギニアスの幼少期を思い出し、守りきれなかったことを一人涙し……自分はここにいるべきではないと思い、倉庫の方へ向かった。

ノリスは対グリーグの魔改造フロストもといナノラミネートアーマー対策に、秘密基地でヴァンツァーのロッド系武器を束ねて合体させて、ガンダムEX用の巨大メイスを整備兵に頼んでおり、それが奈良の倉庫に届いたことを知ったため、向かったのだった。
だが、それからまもなくしてどこの軍かわからない航空機により空爆が行われた。
ノリスは幸いなことに、秘匿された倉庫にいたため、空爆の被害を免れたが、外に出ると孤児院が燃えているのが見えた。
第三軍の仲間の被害は偶然も重なりなかったが、孤児院にいた子供たちはほとんど死亡。
悲しみにくれる仲間たち、そして自分たちをこの前まで応援していた奈良県民たちも「奈良県から出ていけ」と檄を第三軍に飛ばしていた。
一見、心無いように見えるが第三軍が奈良県に留まっている限り、再び爆撃される危険があったため、致し方ないことだとノリスは理解する。
第三軍は奈良県から出ていくが、秘密基地も同様に爆撃を受けたことを知り、これからはより限られた物資と戦力で関東軍と関西軍と戦わなければならないことを知る。
世論はプロパガンダ抜きにしても第三軍をバッシングしているため援軍はない、状況は最悪であった。

そして関東軍がいよいよ関西軍の本拠地である大阪に攻め込もうとする情報が手に入る。
関東軍か関西軍がもう一つの召喚装置を手に入れれば、どちらかの軍の天下になってしまう。
特に関東軍の危険さは関西軍のそれとは比べ物にならない故に、絶対に手に渡ってはいけないと第三軍は大阪に進軍せざるおえなかった。


余談だが、大阪市に突入する関東軍だがここで意外な問題が発生。
道が避難民や様々な障害物で溢れかえり物理的に前に進めない。
やむなくネームドなどが先行して戦車の突入を待つことに。
このおかげで反戦派がリーダーをどうするか考える時間が産まれた。

月「これまでのような状態じゃバラバラにやられていく。明確なリーダーが必要だ」
月(とはいえ、多数決で決めるなんてことになったらゆんゆんたちになりかねない……僕がナンバー2になったところで指揮はとれない。
  ラクレスをリーダーにしたいが、美岬やエースあたりは声を掛ければ納得するだろうか)
ノリス「だが、一軍のリーダーを互選で選ぶというのは」
ノリス(デラーズ将軍がいれば……いや、先立った者にそれを期待することはできぬか)
月(…………そう言えばこの人、軍隊の指揮もできるんじゃないか?)

この結果、月的にはラクレスとノリスがリーダー候補になった……けど問題は誰もノリスの名前を挙げてなかったことだ。
当然だ、ここまでノリスは第三軍の味方からそこまで信用を積み重ねていない。
イオやダクネスたち以外はノリスの能力が全員に知れ渡ってるわけじゃないし、他のメンバーとも交流が乏しい。
ノリス自身もゲッタをむざむざ死亡させた件もあり、指揮への自信を失っていた。

なお、リーダーの件に関しては、マーベラスの「リーダーが決まらないなら部隊を結成してそれぞれの部隊のリーダーを決めればいいんじゃねえか?」という案で決定した。

そして開戦する大阪市での戦い。

エースやマーベラスは関西軍が火力の高い兵器(グルヴェイグ)を持ってることを奈良の一件で知ってるから、その存在を第三軍に話した。

エース「アレが手に入れば俺達が有利になるかもな。それに関東軍も似たような戦力を持ってる可能性がある」
マーベラス「関西軍がこれだけの兵器を持ってるんだ、対抗してる関東軍もそれ相応の兵器を持ってるに違いねえな」
エース「関東軍に対抗するために俺はこれを奪い取りたいが、関西軍にはロボットが多かった。それに対抗するためにイオとノリスは必須で、他にも何人か戦力がほしい」

そしてエース・マーベラス・イオ・ノリス・キャスターめぐみん・ゆんゆん・ゆき・妄想ウォーズめぐみん・ブロリー・マサツグ様・ダクネスの11人が大阪湾のグルヴェイグ攻めのメンバーとなり、残る10人のロリカイザー、レン、美岬、ワンフォール、月、ラクレス、ディオ、天子、さやか、可奈美は大阪城の異世界召喚装置強奪のメンバーとなった。

ノリスのガンダムEXはドダイに乗り、上空から潜航するゾック・アッガイの援護を行うことになる。
ところが関西軍の海上をホバリングするヴァンツァー部隊の展開が予想より早く、アッガイ・ゾックは爆雷を受けてしまう。
そのヴァンツァー部隊を指揮していたのは香織の最新鋭ヴァンツァー・ゼニスVだった。
そのまま浮上したゾックを落とそうとする香織のゼニスVであったが、そこへノリスのガンダムEXがドダイに乗って立ち塞がった。

ノリス「香織!」
香織「悪いけど、今度は死んでもらう…この前私はそういったよね!」
ノリス「ああ……こうなってしまった以上、是非もない、だが戦う前に香織に伝えたいことがある」

ノリス「……ゲッタが死んだよ」
香織「!!、誰が殺したの?」
ノリス「殺したのは関東軍にいた奴の隊長、だがアレはまだ介錯に近い……本当に殺したのはブレイバーンに仕込まれていた謎のウィルス、それに気づけなかった私たちの責任だ」

ノリスはゲッタを失った後悔を香織に告げる。
この最中、ノリスの支援もあり難を逃れた第三軍のネームド達、しかしゾックの損傷により海を進むのが不可能になったため陸地に上がって移動を開始した。
そしてグリーグのフロストおよび関東軍ヴァンツァー部隊もまた、ノリスと香織ら関西軍ヴァンツァー部隊の間に割り込むように乱入、三つ巴の戦いが始まった。

グリーグと香織とノリスの戦いは……
ヴァンツァー乗りとしての経験値と、ノリスのガンダムの持つメイス以外が有効打になりにくいグリーグが優勢。
ヴァンツァー部隊も関東軍側が勢いを増していく。
ノリスと言えば、現状はドダイ以外孤立無援状態だ。

このままではグルヴェイグに関東軍のヴァンツァーが取りついてしまうだろう。
それでは守護対象であるアウラ(村田ユリカの正体)の身に危険が迫るため香織としてはよろしくない。
ヴェルム退治のためにグルヴェイグを奪いたいノリスとしてもそれでも面白くない。

そこで……

ノリス「香織……あの赤い奴が倒れるまでで良い、手を組んでくれ」
香織「いちおう敵軍であるあなたと?
   最終的には撃ち合うのよ」
ノリス「ああ……だが私としてもあの潜水艦を沈められても困る。
    私はアイナ様の仇を討ちたい、おまえは潜水艦を守りたい。
    このままではどちらの願いも叶わぬ!」

香織の決断はーーー



香織「……ええ、わかったわ。
   赤いヴァンツァーが倒れるまでよ。

   ノリス隊長」
ノリス「ああ!助かる」

香織は味方ヴァンツァー部隊に向けて『一時的』にガンダムEX(とドダイ)が仲間である識別信号を送る。

グリーグ「雑魚がちょろちょろしやがって!
     地獄の壁の厚さを思い知れ!」

ノリス「地獄の壁を突破するぞ、三人で!」
香織「……三人?」
ノリス「旅の仲間だったゲッタがヴァルハラでこの戦いを見守っているだろうからな!」
香織「……ええ!!」

通信の中で確かに香織の微笑むような息遣いを感じたノリスもまた笑みを浮かべてグリーグとの決戦に臨むのだった。

最初は優勢だったグリーグだが、前衛のノリスと後衛の香織の息のあった連携に次第に押され始める。
ノリスのガンダムにはツィーゲで一気にカタをつけようとするが、ナノラミネートの恩恵を受けているとはいえ、衝撃は殺せない。
狙いをつけようとすると、香織のゼニスのショットガンが火を吹き邪魔をされ、衝撃で狙いがつけられないのだ。
マシンガン程度の打撃はすぐにバックパックで修理されてしまう。
香織の的確な援護もあり、とうとうメイスが届く距離まで肉薄したガンダムEXとフロスト。
だが、グリーグには奥の手があった。

グリーグ「裏切った甘ちゃんの亡霊が!喰らいやがれ!」
ノリス「ぐお!モニターが!」

シローを殺した時と同じようにグリーグはフラッシュを使い、ガンダムEXの視界を潰した。
ついでにモブの乗ってたドダイは視界が見えなくなったことで操縦ができなくなり、海に墜落。
ガンダムEXもまた海に落ちた。
グリーグはそのガンダムを盾にし、香織からの射撃から身を守った。
あとはガンダムのコクピットにツィーゲを叩き込むだけ……

グリーグ「勝ったな」



ノリス「まだだ!香織!私の眼となれ!」
香織「了解!、右に回避!」
グリーグ「なんだと!?」

視界が全くゼロのハズのガンダムは、フロストのツィーゲを右に避けて回避する。
さらに

香織「後退!沈んで!左、左旋回!盾で正面を防御!
   六時の方向にガトリング!
   真正面にライフル!
   左側面は盾で殴って!」
グリーグ「こいつ、カメラをやられてるハズなのに…!
     しかも動きにくいハズの水中で!」
ノリス「私は香織の言葉を信じている!
    そしてガンダムの厄介さと汎用性は痛いほど知っている!」

グリーグは周囲のヴァンツァー部隊をもけしかけたが、逆にほとんどが被弾・返り討ちにあいヴァンツァーは次々に撃墜されていく。
一重にノリスの操縦センスと香織の的確な指示と頭の回転の速さ、何よりお互いへの信頼からくる連携の強さであった。
ならばとグリーグは

グリーグ「アイツが指令を出してるのか?
     だったら!」

グリーグは標的をノリスから香織のゼニスVに変更。
ツィーゲの弾丸がゼニスVのコクピットを貫通する。

ノリス「香織!」
香織「……危ないわねえ!」
グリーグ「!? コクピットは貫いたはず……なっ!?」
香織「スフィアになってなきゃ、首が吹っ飛んでたわ」
グリーグ「こいつ人間じゃなかったのか!」

吹き飛んだゼニスVのハッチの中をよく見ると、香織らしき球体がハロみたいに喋っていた。
これこそ彼女の真の姿である魔人セラフィムから分離したスフィア「ダアト」
弾丸に貫かれる寸前に彼女は元の姿に戻り、直撃を躱したのだ。

香織「まだ機体は……ギリギリだけど動く!」
グリーグ「クソが!」

『Guide』

人間の姿に戻った香織はミサイルでグリーグに反撃する。
それは頭部に命中し、大したダメージを与えられなかったがツィーゲライフルのリロード時間を延長することに繋がる。

香織「ノリス隊長! 今、爆音がした方向に赤い奴がいる! そのまま直進!仕留めて!」
ノリス「了解した! 『娘』の言葉、信じるぞ!」
香織「娘……!」
グリーグ「クソッ、まだマシンガンがある!」
ノリス「負けるかあ!!」

ガンダムEXがバーニアを全開にする。
グリーグに向けて最後の突撃だ。
フロストのマシンガン攻撃は間に合わない。

『First』

香織「メイスはフェイント!盾で殴って!」

ガンダムはメイスをフェイントに使い、回避できたと油断したフロストに対し、左手の盾がひしゃげるほどの重い一撃を与えた。

『Stan』

グリーグ「ぐあっ!」

その衝撃はナノラミネートでは殺せず、パイロットであるグリーグを一瞬怯ませた。
そして

香織「そのままトドメを!やっちゃってお父さん!」
ノリス「応!」

『Double』

右腕から放たれた渾身のメイスの一撃がグリーグの乗るフロストのコクピットを叩き壊した。

グリーグ「俺たちの戦法が通用しないのかーッ!!」

グリーグは即死ではなかったものの、撃墜されたフロストは海に沈んでいき、穴が空いたコクピットが漏水。
さらに破損した機材からの感電により、息絶えた。
地獄の壁は、今、崩れたのだ。



「仇は討ちました、アイナ様......」

ノリスの胸に去来するは、仇を討ったことへの高揚よりも、虚しさだった。
生前のゲッタからグリーグのことは聞いていた。
あの男も大切な者たちのためだけにこの無情な戦争に介入していただけのこと。
立場が違えば自分もああなっていただろう。

ノリス「さて、まだ私にはやることがある。モニターも復調してきたな」

グリーグを討ってもアイナは帰ってこない。
だが、まだ大人として第三軍のガンダムパイロットとしてやることが残っている。
モニターが今、復活した。



ノリス「アイナ様、申し訳ありません。
    皆の者、私は帰れそうにない。
    ……ここが死に場所になりそうです」

モニターが復活してノリスの眼に入ったものは、グリーグという統率を失って関西軍ヴァンツァー部隊に追い払われる関東軍ヴァンツァー部隊の姿。
そして、自分のガンダムのコクピットにゼロ距離からショットガンの銃口を向ける香織のゼニスVだった。
いかなガンダムとて、これだけの至近距離から撃たれればコクピット大破は免れない。
肩のガトリングは弾切れ、ライフルやサーベルにメイスは香織が引き金を引く方がおそらく早い。
ノリスの"詰み"であった。

銃口を向けられたノリス。
しかし、ショットガンの引き金は一向に引かれる気配がない。

ノリス「どうした……覚悟はできてる。一思いにやるが良い。恋人を助けたいんだろう?」
香織「……卑怯だよ」
ノリス「何?」

穴の空いたゼニスのコクピットの中の香織を良く見ると香織はポロポロと泣いていた。

香織「私を毒ガスから助けてくれた恩人を、短い間でもお父さんみたいだった人を、人間じゃない私を娘だって言ってくれた人を……撃てるわけないじゃん……!」
ノリス「香織……!」

香織の中ではノリスやゲッタはいつしか、恋人のロックスと同じくらいかけがえのない家族になっていたのだ。
恋人は召喚装置で蘇生させたいが、家族に引き金を引く非情さが、香織には足りなかった。
一方のノリスは本当に自分とゲッタが香織に愛されていたことを思い知らされた。
本来なら香織を討つ絶好のチャンスであるハズが、愛ゆえにノリス自身も香織を討つことをためらうのであった。
ひょっとしたら、アイナの次か同じくらいに父性愛が湧いたのかもしれない。
だが、この均衡はいつまでも保ってられない。
香織がやらなくても周りのヴァンツァー部隊がノリス機を墜とすだけであろう。

そこへ通信が入る。

アウラ「香織!至急、その男を殺さず捕虜として捕らえろ!」
香織「アウラ……なんで?」
アウラ「カルラが関東軍に撃墜され、赤倉が死んだ」
香織「樹が!?」
アウラ「ラクスは無事じゃが、第三軍に捕らえられたらしい。そこからどうなるか見当もつかん。

    そやつは首輪をかけて人質交換のための材料、こっちの戦力として関東軍と戦ってもらうか
    ……少なくともそのガンダムだけでも無傷で欲しいだけの利用価値はある」
香織「了解」

ノリス「……何が起きてる?」
香織「非常事態よ、あなたたち第三軍にとってもね。
   黙ってついてきて、『お父さん』」

そして、ノリスおよびガンダムEXは捕虜として捕獲され、ゼニスとガンダムはグルヴェイグの格納庫に収納、ノリスは武装解除のために丸裸にされた後に首輪をつけられて連行された。
その後、ダクネスとゆきも全裸に首輪をつけられた状態で同じ部屋に連行されてきた。
状況だけ見るとここにきて振り出し……いや、マイナスからのリスタートである。
見るからに焦燥しているゆきとダクネスの二人を見つめ、アウラは二人に対し「貴様たち何のために戦争を止めようとした?」と問う。
アウラとしては第三軍と関東軍潰し合わせるか、返答次第でここで始末するか考えているようだ。
ノリスは成り行きを静観する……自分もまた復讐のために第三軍として戦っていただけと思わされたからだ。
弱々しくもダクネスが言い返そうとしてアウラに論破される。
第三軍がせめて大人しくしていれば浜名湖での民間人虐殺や奈良県でのギャオス・グラトニーの暴虐、今火の海になっている大阪の被害も拡大しなかったからだ。
第三軍はいつの間にか自分たちがヒーロー気取りで戦火を拡大させていたことをアウラによってわからされる形となる。
だが、ここまで沈黙を貫いてきたゆきが口を開いた。

この後のノリスの戦いの結末には複数の世界線が存在する。

+ ...
【Dルート】
ゆきが暴走し、手術を受けBFDと融合したが、そのゆきはスレッタの乗るヴァルプルギスナハト(魔改造クスィーガンダム)に返り討ちに会う。
この後、ノリス自体はどのような戦いをしたのかは不明。
しかし、どのような戦いをして生き延びたとしても最期はスレッタによる大阪城の前にできた巨大ジャンク(=巨大融合炉)を暴走させて大爆発に巻き込まれてしまい全員死亡する。
関東軍・関西軍・第三軍ともに全滅、大東亜共和国は崩壊・科学汚染により再起不能の憂き目にあう。

+ ...
【Cルート】
途中経過は後述のAルートと同じだが、可奈美が最後の最後で暴走・発狂。
ラクスの肉の芽が取れていないままディオを殺害してしまい、ラクスが醜い怪物となってしまう。
幸い、戦争自体は関西の勝利で終わり、ゆきのおかげでアウラが光堕ちしているおかげで契約失敗→ダクネス・ノリスの首輪爆破はしないでくれた代わりに香織やラクス以外は首輪をはめられて、興国(元共和国)の復興や混乱がおさまるまで傭兵として働けと言われることに。
アコードのラクスが使えなくなったため、外交無双もできなくなり、Aルートと違って復興が進みづらくなったり再び関東軍の残党が各地で暴れるなど混乱が続いてたから召喚者の手を借りるのもやむ無しだった。
ノリスと香織は本物の親子のような関係になるが、復興の余裕がなくなったことで予断を許されない日々が続く。

+ ...
【Bルート】
「自分たちが悪いか良いか、もうどうだっていい、スレッタさえ、関東軍さえ殺せれば」とDルートと同じくマイキーを殺したスレッタ相手にゆきの復讐心が暴走。

ゆき「――だから、関東軍を滅ぼすために、ぼくに力を与えてくれませんか。アウラさん」
アウラ「今のお前たちに何が出来る? ただの無力な愚か者に過ぎないお前たちが?」
ゆき「わからない。でも、無理やりぼくを強化して特攻兵器にでも出来る手段を、アウラさんが持ってるはずです。それでどうとでもしてください」
アウラ「……貴様」

ゆき「できないんですか?なら、関東軍に滅ぼされるだけですね」
ダクネス「ゆき、おまえ……」
ノリス「自棄になるな!、もっと他の方法だって」
ゆき「うるさい!、僕はスレッタとその後ろにいる奴らさえ殺せればそれで良いんだ!
   例えこの身がどうなろうとも、あの怪物だけは殺す!」
アウラ「……良いだろう、鉄砲玉がお望みなら叶えてやろう」

そして手術室へ連行されるゆき

アウラ(所詮第三軍は、大義をもたず、大局も見れぬ、相応の覚悟もない愚者の集まりに過ぎなかったか)

最終的にアウラがゆきの提案を了承。
保有している実験用の薬剤やらその他諸々をゆきに打ち込み、BFDごとゆきを強化することに。
ダクネスとノリスが思わず声を張り上げ反対するも復讐に囚われたゆきの耳には届かず、いずれもアウラに論破されていったことでこれ以上何も反論できなかった。

そしてゆきの要望通り薬品は投与され、新たな力を得たゆきはBFDと共に――いや、薬品投与の結果BFDの憑依召喚(ポゼッション)が可能となったゆきは醜い姿となり、黒羽をはためかせ魔女の元へ向かう
だが、結果は見るも無残な返り討ち、スレッタの機体こそ落としたが、関東軍のヴェルムと機動部隊がグルヴェイグに迫る。

アウラはひたすらに癇癪を起こし、とにかく使える戦力は全部投入。
香織のゼニスVはもちろんのこと、さっき捕まえて首輪を再装着したノリスやガンダムEX、仮面ライダーナイトに変身したダクネスも投入した。

アウラ「者共、なんとかせい!」
ノリス「やっている!」
香織「敵の数が多すぎるのよ!」
ダクネス「まずい、押しきられるぞ!」

ノリスたちも必死に戦い、モブの関東軍ロボを次々と倒しているがそれでも数を減らしきれない。
グルヴェイグは既に関東軍の機甲部隊・航空部隊に包囲されていた。

グルヴェイグの船上から必死に迎撃するノリス・香織・ダクネス(とモブ関西軍兵士)
しかし、敵の数は圧倒的で、陽電子砲は次々と破壊され、とうとう片手で数えられるぐらいしか残らなくなった。

そんな中でノリスのガンダムと香織のゼニスも装甲劣化させるをアシッドボムを喰らってしまう。
次に敷島の震電から放たれたロケット攻撃が、香織のゼニスに向かうも、ノリスのガンダムEXがゼニスを庇い、コクピット近くに爆撃を受ける。

ノリス「香織、無事か……!」
香織「ノリスさん……私は大丈夫です」
ノリス「そうか、よかった……」

コクピット破損により致命傷を受けたノリスとガンダムEXはグルヴェイグの船上で倒れて命を失なった。

香織「よくも!よくも!」

香織はノリスを奪われた憎しみのままに空の震電に向けてショットガンやミサイルを乱射するが、すぐ後に陽電子砲の前に誘導されて彼女もまたノリスの後を追い、グルヴェイグは撃沈。
第三軍・関西軍は撃滅され、関東軍が勝利……そしてヴェルム・ヴィータによる地獄が始まろうとしていた。

+ ...
【Aルート】
ゆき「ぼく達は、楽な道に逃げていただけだった」

ゆきは贖罪と覚悟を決めていた。

ゆき「――だから、関東軍を倒すために、ぼく達に力を貸してくれませんか。アウラさん」
アウラ「今のお前たちに何が出来る? ただの無力な愚か者に過ぎないお前たちが?」
ゆき「わからない。でも、無理やりぼくを強化して特攻兵器にでも出来る手段を、アウラさんが持ってるはずです。それでどうとでもしてください」
アウラ「……貴様」

ゆき「関西軍は、ぼくに全ての罪をなすりつけることだって出来ますよね?」
  「関東軍を倒したら、僕にすべての罪を背負わせても構いません」
  「その代わりーーぼくの仲間を、東卍のみんなやロリカイザーさん達を、この戦争に巻き込まれたみんなを元の世界に帰してください」
  「そして、今度こそこんな悲劇が起きない世界にすることを約束してくれませんか」

アウラ「……よかろう」

ダクネス「待てゆき!」
ノリス「その役目は私がやる!」
ダクネス「いや、私が」
アウラ「残念じゃが、そなたらに適正はないと出た、諦めるのじゃ。
    そなたらにはラクスとの人質交換または奪還などの別の仕事をしてもらうつもりじゃから彼の覚悟に水を差すな」

ゆきは覚悟の上で手術を受け、薬品投与の結果BFDの憑依召喚(ポゼッション)が可能となったゆきは黒い羽をはためかせ、自分たちが生み出してしまった破滅の魔女スレッタへと挑んでいく。
そして、しばらく経った後、情報が入る。


モブ兵A「関東軍の巨大MS・巨大MA共に撃破されました」
モブ兵B「それと同時に関東軍は混乱を起こしているようです、撤退している部隊も……奪取されたクスィーはともかく、巨大MAが関東軍のコマンドポストだったんでしょうか?」
モブ兵C「出撃した月見由紀雄、巨大MSと交戦後、生体反応ロスト……死亡した模様」
アウラ「そうか、『第三軍の黒幕』は死んだか」
ダクネス「ゆき……そんな……」
ノリス「くっ……私はみすみす年端もたたぬ若造を死なせてしまったのか、だが立派な戦士だった」
香織「……ノリスさん」

ゆきの訃報と悲壮な覚悟にダクネスとノリスは悲しむ。
余談だが、この頃には2人とも首輪はそのままだが衣服くらいは返却されている。

アウラ「犠牲は多かったが、我が軍の勝利だ。
    関東軍と第三軍に降伏を勧告しろ」
ダクネス「これで、全てが終わるんだな」
アウラ「約束は約束じゃ、関東軍から召喚装置を奪取した後、生き残りの第三軍は元の世界に送還を行う。
    また、香織には恋人の蘇生も行おうぞ。
    良く働いた赤倉たちも可能なら蘇生を試みたいが、敵軍のルルの数次第では時間がかかるとは留意してくれ」
香織「ありがとうアウラ」



アウラ「――ただし、その前にお主らに三つほどやって欲しい仕事がある」
ノリス「三つ?」
アウラ「一つは生き残った第三軍への事情説明し、武装解除させること。
    まだ戦いたがる者も出るじゃろうがダクネス、ノリスが使者となれば話も通じやすいじゃろう」

アウラ「二つ、ラクス・クラインを無傷でこちらに返させること。
    我がディスティニープランや今後のこと、そして妾の後継者として彼女が必要じゃ」

アウラ「そして、三つ……これが一番重要かもしれぬ。
    夜神月からデスノートを没収または破壊、それができぬか従わぬなら抹殺せよ」
ノリス「なに!?」
アウラ「そしてもう一人、ディオ・ブランドーは確実に殺せ。
    夜神月の方は説得の余地があり、従うなら送還しても良いが、こちらは送還も危険じゃ」
ダクネス「仲間を殺せというのか!できるわけがないだろう!」
アウラ「……ふむ、真実を知らぬようだな。

    二人の詳細なデータを出せ、ディオに関しては未来の悪行の数々もな」

モニターに映し出される、元世界における月とディオのさらけ出された本性。

ダクネス「これは……!嘘だろ……」
アウラ「全て真実じゃ。今は召喚したことにさえ後悔を感じておる」
ノリス「この情報が本当なら奴らはとんだ狸だな」

月の真の目的は新世界の神となること。
そのために犯罪者だけでなく、罪のない者も手にかけている。
犯罪者だけを殺していたのは嘘っぱちであった。
とはいえ、こちらはデスノートさえなければただの人間であり、「まだ」話の通じる部類である。

問題はディオおよびDIO。
単なる吸血鬼ではなく、彼の進む道は屍の山が積み重なっており、巻き込まれて殺された罪なき人々の数は月の比ではない、生まれついての邪悪といった超危険人物であったのだ。
そんな執念深いディオがアウラたちに報復しないはずはない。
さらに後年にはDIOとなったディオはスタンドを習得し、時さえ支配できるようになってしまえば手のつけようがなくなってしまう。
仮に元の世界に強制送還しても無限とも言える寿命を持つ吸血鬼だ。
長い年月をかけて召喚装置と同じメカや、異世界を移動できるスタンド使いを手中に納める可能性はあるとアウラは睨んだ。

アウラ「どうじゃ?この三つの仕事をやり遂げれば元の世界に返してくれようぞ。
    やらぬなら、その首輪をこの場で爆破させてもらう」
香織「お願い!引き受けてノリスさん、ダクネス!」


ダクネス「わかった。その依頼、引き受けよう。……それにしても、まさかこんな危険人物が紛れ込んでいたとはな。私自身としても、仮面ライダーとして。騎士として。こんな奴は放置しておけない」

ダクネスはディオ(と月)を倒すことを決意した。
ノリスの選択は――

ノリス「その情報が本当か嘘かはまだ疑わしい……だが、行けばわかることだ」

ノリス「月は名前を書いただけで殺せるノート、ディオは妖しい術を持っている。
    仮に敵対するなら、対異能バリアというものを私のガンダムにも搭載して欲しい。
    できぬなら、いっそ首輪を爆破しろ。
    月とディオがデータ通りの者じゃなかった場合も、自分でこめかみを撃ち抜く。
    おまえへの報復は仲間がやってくれるだろう」

ノリス「……それから香織の首輪はいいかげん外してあげて欲しい、戦争には勝った、香織には貴殿を裏切る気はない、それがわかっただけでも良いだろう」
香織「ノリスさん......」

ノリスの覚悟ある言葉を聞いたアウラは彼の言葉通り対異能バリアを搭載することにし、同時に香織の首輪を解除した。
ノリスの顔と名前はディオに知られており、デスノートで真っ先に狙われるのはサイズ的にも武装的にもガンダムという圧倒的なアドバンテージを誇るノリスだと思ったからというのもある。
とはいえガンダムEXはグリーグ戦での激戦でボロボロであり、修理は受けはしたがもってあと一戦が限界であろう。
それでもノリスはアウラの言葉が真実か見極めるためにディオと月がいるであろう大阪城へ香織とダクネスと共に向かう。

新たなドダイにガンダムを乗せて移動するノリスたちはまず始めに湾岸部にいためぐみんとマサツグと遭遇する。
生き残りは二人だけ……イオやマーベラスたちは死んだらしい。
大破したアトラスやミンチより酷い状態になったイオの遺体を途中で発見し、唯一無事だったレールガンをサルベージする。
関西軍の使者として事情を説明し、元の世界へ戻るために他の仲間も探す旨も話し、二人も同行することになった。



そしてとうとう、その時が来た。
召喚装置がある大阪城跡地にめぐみん、マサツグ、ダクネスを乗せたガンダムEXとゼニスVがドダイから地上に降りた。
ここにアウラ以外の生き残った戦士たちが一同に介する。

ロリカイザー「おい、なんで関西軍の機体がいるんだ?
       それにダクネスの首輪は……?」
ダクネス「すまない、第三軍は……形式上ではあるが、関西軍に敗れた形になる。
     ゆきが全ての我々の罪を背負って死んだ」
レン「そんな……」
ダクネス「その代わりだが、降伏と武装解除、ラクスを無傷で関西軍に返すことを条件に元の世界に帰すと大将は約束してくれた」
美岬「本当ですか!」

ダクネス「だが、すまない。もう1個条件があるんだ」
ノリス「ディオ、少し話がある、そして月の居場所を知るものはいないか?」

ダクネスはナイトに変身して剣を、ノリスと香織はロボの銃口をディオに向ける。

ディオ「月は三浦に殺されたが……そんな物騒なものを向けて何の真似だ?まるで話というより『脅迫』のようだが……」

ダクネス「月が殺されたというのは本当か?」
可奈美「はい、本当です。私も見ました。ところでこの状況は……」

ロリカイザー「ダクネス母ちゃん、いくらなんでも唐突過ぎてわけがわからねえよ。たしかにディオは倫理観がおかしいとこもあるけどさ、仲間だろ?」

ダクネス「……私も仲間だと思っていた。ディオの実態を知るまではな……」
ディオ(まさかこいつらにこのディオの素性を知られたのか?それはまずいッ!しかも相手はダクネスはともかくロボット二体が厄介だ。ノリスの乗っているロボットは特に負傷が目立つが……)

そんなことをディオが考えてる間にも、ダクネスはディオの素性をみんなに説明した。
ロリカイザー、美岬、レンにとっては疑似家族のダクネスと今までそこまで関わりがなく、死刑囚とはいえ殺そうとする倫理観の持ち主だと先程の言い争いで判明したディオだ。
必然的にダクネスの話を信じる。
その時は可奈美だけがディオを擁護していた。
ダクネスまノリス、ロリカイザー達は可奈美の言動から彼女の様子がおかしいことを察する。。
だが香織は可奈美の人物像を知らない。とにかくアウラやノリスのためにディオを殺そうと銃を撃とうとした瞬間……

ラクス「皆さん、一度落ち着いてディオさんと話し合いましょう。ディオさんは悪人じゃないはずです。きっと何かの誤解でしょう」

それまで黙視していたラクスがディオの前に立って庇ったせいで香織の動きが止まる。
香織はラクスに対して仲間意識がある。
それにラクスがこんなふうにディオを擁護するとは思わなかった。アコード能力を知ってるから特に衝撃が大きかった。

二人に隙が生じ、それはロボットを厄介だと思っていたディオにとっては最高にハイな瞬間だ。
この隙を逃すディオではない。

ディオ「ラクス、可奈美、それにロリカイザー達。今から俺がすることは『正当防衛』だ。
    関西軍に感化されたのかもしれないが……何もしてない俺を裏切って武器を向けてきた方が悪い。関西軍め、卑劣な真似をする!」

ディオはあくまでダクネスやノリスが関西軍のせいで裏切ったということにしようとする。

ちなみにダクネスやロリカイザー達の方は「とりあえずもう少しディオさんと話しませんか?」と可奈美が刀を構えて牽制する。
剣がなかなか当たらないダクネスはただの牽制のつもりで剣を向けただけ、フィジカルはともかく、可奈美に剣技で勝てるとは思っていない。
それにダクネスにも、ロリカイザー達にも可奈美と戦う理由はなかった。

ラクス「みなさん落ち着いてください! 今はこのようなことをしている場合ではありません!」
美岬「でも関西軍の黒幕?の言うことだけれど、ダクネスさんが信じているなら私も信じられます」
ノリス「関東軍が統制を取り戻すまでどれだけ時間があるかわからんのでな、ここは我々を信じてほしい」
レン「事情が飲み込めないけれど……たしかにさっきのディオさんの言ってたことは……」
ディオ「待て! 俺達に首輪を着けて殺し合えと言った張本人の情報を信じる気か!? しかも勝手に降伏してるんだぞ!?」
ロリカイザー「そこは確かに気になるんだけどな、いまさら嘘つく必要あるか?」
可奈美「うーん、こうしてケンカしてるんだから、あるんじゃない……かな?」
ダクネス「わざわざ私たちを騙すためにアウラがそんなことをしたとは考えにくい、そうだろう!」
香織(ノリスさん、狙えますか?)
ノリス(ダメだ、ラクスに当たる、対人用の装備は無い)
ディオ「いいやこれが黒幕の狙いだ! 俺たちを仲間割れさせようとしているプロパガンダだ! 今までもそうだったろう! 奴らの狙いは俺たちを排除して異世界召喚装置を手に入れることだ!」
ロリカイザー「なあ、やっぱりコレ壊さないか?」
香織「待って、装置を壊す?」
レン「あ、今はとりあえずそれはやめようってなったから──」
ラクス「それよりも街の消火活動と被災者の方の救助を──」
ダクネス「待ってくれみんな! 話を戻そう!」
可奈美「ディオさんウンチまみれで戦ってたんだよ! 悪いことする人の顔してないでしょ!」
美岬「まず武器を下ろしませんか?」

話しは平行線で噛み合わない。
ラクスと可奈美がディオを庇うように不可解な行動を見せた。
ゆえに、先に得た情報の中で該当する能力に思い当たりノリスは推測を小声で述べる。

ノリス「…どうやら、ラクス嬢と可奈美は肉の芽を埋め込まれたようだな」

召喚装置を破壊されたくない香織、ノリス、ダクネスは仕方なく武器を下ろす。

めぐみん「それにしても、召喚装置を使うためなら死刑囚を酷い殺し方してもいいってディオが言ったって本当ですか?」

ロリカイザー「本当だぜ。この召喚装置、人間電池ルルって言うのに変えられた死刑囚を消耗して動くらしい。その末路が……アレだ」

召喚装置の横に無造作に捨てられた遺体の山を指さすロリカイザー。

マサツグ様「これは……イジメなんてレベルじゃないな。もはや虐殺だ……」

召喚装置の使用方法があまりにも残酷過ぎて、流石のマサツグもドン引きする。

レン「ディオさんは死刑囚は生きる価値もない屑だからって召喚装置を使うことに躊躇いがなさそうだったよね」

美岬「ルルになった人達は生き地獄を味わうだろうから、死が救済になるみたいなことを言ってましたよね」

ダクネス「なん……だと……?この召喚装置は本当にそんな使用方法なのか?」

ラクス「はい。嘘はついてませんよ。でも人間電池ルルに変えられた人々を救う方法はディオさんの言う通りなのかもしれません……」

ラクスは召喚装置の使用方法を肯定した上でしっかりディオを擁護する。
それは肉の芽を植え付けられる前の彼女を知る者が見れば違和感を覚えるような言動だった。

ノリス「ラクスが死刑囚を酷たらしく殺すなんて言わないと思うが……」
ラクス「反戦派のみんなで言い争う時間があるなら戦災で苦しんでる人を助けるべきだと思いますが……」

ロリカイザー「いや……顔はちょっと人相悪いしこいつ死刑囚なら酷い殺し方をしても良いって考えだから倫理観も崩壊してると思うぞ?」

レン「うん。ロリカイザーちゃんの言う通り、召喚装置を使うためなら死刑囚はどうなってもいいみたいなこと言ってたよね」

美岬「それで召喚装置を壊すって話が出たんですよね」

香織「待って!その装置は大事な物だから壊しちゃダメ!」

ディオ(装置を破壊されるのはコイツにとっても困ることか。ならば!)

ディオ「とりあえず美岬が言う通り、武器を下ろしてくれないか?お前たちのやってることは脅迫と何ら変わらない。もしも武器を下ろさないなら、この召喚装置を壊す」

ディオはそれまで装置を壊さないよう言っていたが、ここで態度を変えて装置を壊すと言い出した。
装置を巡って今にも戦いが起きそうな第三軍プラス関西軍の2人。
このまま仲間同士での殺し合いが起きるかもしれなかった時に一機のドローンが現れた。
そのドローンにはモニターがついており、それはアウラの顔を映していた。

アウラ「やれやれ、見てられんわ。
    どうやら召喚装置の件で揉めているようだな」
ディオ「村田ユリカ?いや、ラクスからおまえこそ関西軍の黒幕のアウラと聞いている。
    その黒幕がなんのようだ!」
アウラ「召喚装置を破壊されては困るからな、だから代案を持ってきた」

アウラ「まず一つ、召喚装置に人間を電池とするルルを使うのをやめる」
香織「ええ?!」
ノリス「それだと装置が動かないのでは?」
アウラ「いや、人間をルルに変えるナノマシンは所持してる……ということはだ、このナノマシンを解明すれば人間をルルにする必要がなくなり、別の何かでルルの代わりをさせることも出きるかもしれんのだ」
ロリカイザー「確かにそれなら召喚で人死にはなくなるが……」
レン「そんなにうまく行くものなの?」
アウラ「無論、時間はかかるじゃろう。
    1年か5年か10年かそれ以上か、長い年月がかかるじゃろう。
    じゃがもし、待てるのならばその数年後には元の世界に帰し、蘇生を約束したものには召喚による蘇生を行おう」

ディオ「戯れ言だ!みんな騙されるな!」
アウラ「妾は嘘は言っていない、代用ルルが百年経ってもできない可能性だってある。
    じゃが、第三軍……いや関西軍の罪すら被ってくれた男、月見由紀雄と約束した。
    それを破りたくないだけじゃ。
    そして、そんな男が守った者たちが、我ら関西軍を苦しめた者らが下らぬいさかいで消えてゆくのは見ておれん」

アウラ「さあ、選ぶのはそなたらだ、どうしても妾を信じられるぬ者や何年も待てぬ者がいるなら召喚装置を破壊するが良い、幸いそこのディオは壊したがっているようじゃの」
ディオ(この女……ヌケヌケと)

ロリカイザー「……確かにルルにされた人を使わないならその方が良いな」
ダクネス「もしそうなら召喚装置を壊す理由もなくなる」
レン「帰るのに何年かかかるみたいだけど、それくらいなら我慢できる」
香織「私は待つわ! 何10年経ってもロックスが蘇生できるなら!」

ノリス「ちなみにだが、関東軍側でルルにされた人々はどうなる?」
アウラ『可能な限り保護し善処を取り計らう。少なくとも理由もなしに殺したり、召喚装置の動力にすることはないと思え』
美岬「お、お願いします」

ディオ「嘘だ!みんな騙されるな!」
可奈美(彼女の言ってること、本当なの?)
ラクス(モニター越しではアコード能力が使えなくて本心が見えません)
アウラ『仮に妾が少しでも約束を破る素振りを見せたら遠慮なく妾の首を跳ねに来るがいい』
マサツグ「言ったな?」
めぐみん「嘘だったら私の爆炎でぶっとばします」
アウラ『良かろう……その時は殺しても構わん。
    妾も召喚したそなたらには責任を果たさねばならぬし、そなたらもそなたらで生き残るために悪戯に戦火を広げた、だが、これで手打ちにしよう。
    ......最も、妾も含めて戦争には皆疲れたように見える。
    戦いはもう終わりにしようぞ』

モニター越しではあったが、確かにアウラは疲れているようには見える。
少なくともアウラ自身はここまで言ったことに嘘をついたつもりはない。
アウラは先に亡くなったゆきの覚悟に感化しダリル等を失った悲しみから『光堕ち』していたのである。

ノリスはアウラに問い掛ける。

ノリス「ラクスと可奈美に肉の芽が埋め込まれた可能性がある。何か対処法はないだろうか?」

ディオ(肉の芽のことがバレてるだとォ!?)

アウラ「くう……最悪の洗脳装置である肉の芽を植え付けられたか。
    あれは寄生されたら最後、外すのは難しい、波紋使いと超精密な医療機器が同時に必要じゃ。
    後者はなんとかなるかもしれんが、波紋使いの方はどうにもならん」
ノリス「ならば、ディオ自体をーー」
アウラ「ダメじゃ、肉の芽を植え付けられた状態でディオ殺したら最後、ラクスと可奈美は不死身でありながらなにもできない怪物と化す。
    生き地獄を与えることになるぞ」
香織「じゃあ対異能バリアで!」
アウラ「洗脳自体はどうにかなるかもしれんが、一時しのぎにしかならんし、おそらく肉の芽自身は外れん、どうすれば……」
ノリス「打つ手なしか……」
ディオ(これはどうにかなりそうか?)

美岬「待って!、私は肉の芽をはずせる人……春日一番さんを知っている!」

美岬は説明する。
春日一番とは美岬のいた架空世界の人物であり、彼は壮絶な殺し合いの中で、心意に目覚め、その高すぎる妄想力を力に変える術を覚え勇者へと覚醒した。
仮に召喚装置がルルの代用品を使って彼を呼び出し、彼女らを救う妄想を思い付いたならば――
もしそうでなくても広く混沌な架空世界、帰れればラクスたちを救う術は見つかるだろう。

香織「ルルの代用品探しで時間はかかるかもしれないけど、ラクスたちは助かるかもしれないのね」
ノリス(エースの力も大概だったが、妄想を力に変えられるなんて、異世界は広いな……)
美岬「ええ、春日さんならきっと!」
アウラ「なるほどのう」

アウラ「ノリス、ダクネス、香織!
    契約変更じゃ!
    ディオは殺さずに捕らえろ!
    こやつは首だけになっても生きながらえる吸血鬼!
    ちょっとバラバラにしても死にはせん!」

真実を知られ、もはやディオを支持するものは誰もいない。
いちおう、ラクスと可奈美を気遣って殺されないようだが、それではアウラに報復できず、おそらく一生檻の中か、肉の芽を外せる者が召喚されればどのみち殺される可能性大だ。

ディオ「この、モンキーどもがあ!」
ダクネス「ここまでだディオ、大人しくお縄につけ」
ディオ「まだだ!ヌケサクになったおまえらと違って俺は一人でも反逆を続けてやる!
    ラクス、可奈美!時間を稼げ!」

ディオが命じると肉の芽の効果なのか、ラクスと可奈美は本人の意思と関係なく体が動き、その体を使ってディオを捕まえようとした者たちの行く手を阻む。
ディオは戦場の黒煙が日光を阻んだ内に逃走。

しかし、ラクスと可奈美では全員を抑え込むのには無理があり、何人かが彼女達の妨害を突破してディオを追いかける。
対してディオは焦る様子もなく声を張り上げる。

ディオ「いけ、屍生人(グール)ども!」

すると物陰や天井などから突如として人影が飛び出し、追跡者たちに襲いかかって来た。
実はこれより数刻前、ディオは力を取り戻すべくモブ兵士達の血を啜ると同時に生死を問わずエキスを注入し屍生人という手駒を用意していたのだ。
元々その時点では自己の弱体化に加えて戦争の雌雄・大阪城にいた第三軍の生死も分からなかったため、如何なる状況になろうとも対応出来るように戦力を確保していた。
まとまった数の屍生人に囲まれるダクネス達、この状況ではノリスや香織も味方やラクス達を巻き込む危険性があるため下手に火器を放つわけにはいかなかった。

『NASTY VENT』

そこでダクネスはナスティベントを使用。
屍生人の群れにダークウイングが超音波攻撃を放ち、撹乱させる。
その隙にダクネスやノリス、香織はディオを追跡する。

ディオ(何ィ!?そんな便利な能力が使えるのか、仮面ライダーとやらは!)

一瞬だけ動揺するディオだが、ここで逆転の発想をする。

ディオ(だがあの能力……なかなか使えそうだな)

そこでディオは空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)をダクネスに向けて放つ。
突然の攻撃だが孤児院でもディオが披露していたのを見たからギリギリ回避出来た。
冷や汗を流すダクネスだが……その直後にディオが迫ってきた!
そして回避行動による隙が出来たダクネスのベルトからカードデッキを握り、奪い去る

ディオ「たしかこう使っていたな?変身」

ダクネスはディオを発見した後に変身した。
それはつまりディオに変身方法を見られてしまったということだ。

ダクネス「返せ!それは私の誇り――」
『SWORD VENT』

無機質な機械音が鳴り響き、ウイングランサーがダクネスの土手っ腹を貫いた。

ダクネス「がはっ!」
ノリス「ダクネス!」

ノリスは咄嗟にディオを攻撃しようとするが、ディオはダクネスの頭を掴み、盾代わりにした。ノリスは攻撃を急停止せざるを得ない。
ダクネスはタフだ、加減した一撃ならば、まだ息は残るとディオは推測していた。
もっともダクネスが死ぬのは時間の問題だろうが、それまでは盾として有効活用しようとディオは考える。

そうすることで厄介なノリスや香織の攻撃を凌げると思ったからだ。
事実、攻撃を躊躇ったノリスの乗るガンダムEXには隙が出来た。
ディオはそれを見逃さず、しっかりとカウンターの一撃を見舞う……が、その瞬間にナイトの変身が解けてしまう。

ディオ(対異能バリアには仮面ライダーの変身を無効化する力もあるのか、だが!)

生身になったディオはこれまでの激戦で脆くなったガンダムEX、その右足に拳を叩き込む。
するとディオの剛力を受けたガンダムEXの右足の装甲にヒビが入り、このままいけばガンダム相手でも勝てるとディオは確信した。

次にレンたちの援護を受けた後に、サンライトハートの力で強引に屍生人の群れを突破してきた美岬が現れた。
美岬が目にしたのは瀕死のダクネスと、苦戦しているノリスと香織のガンダムとゼニス。
まずは味方と瀕死のダクネスを救うため、ディオに向けて槍で突進した。

ディオ「無駄だ、これでも食らえ!」

ディオは慌てることなく、そこらに転がっていたモブの死体を蹴って出した血の目潰しを美岬に浴びせて突撃を失敗させ、後の先によるカウンターでサンライトハートを持っていた両手を気化冷凍法でガシャンと砕いた。

美岬「私の腕がぁぁぁー!」
ディオ「チッ、体が馴染みきってないせいか、気化冷凍法はまだ威力が低い。
    が、新しい盾が手に入った」

ディオはもうすぐ死ぬであろうダクネスの代わりとして美岬を新しい盾に使う。

ディオ「こっちはそこのマゾ女よりは長持ちしそうだなあ」
ノリス「卑劣な……武人の風上におけない奴め!」
ディオ「プライドなどとうの昔に鼠に食わせてきたわ、このディオにあるのは征服して支配することのみ、どんな方法だろうが勝てば良かろうなのだ!」

ロボには対異能バリアがあるので、サンライトハートは意味なし。
ディオは核金に戻ったサンライトハートをダクネスへのトドメとして、動けない体にぶち当てた。
ダクネスの当たった腹から更に飛び出す鮮血。

ディオ「大当たりだ!」
香織「こいつ、なんて奴なの!!」
美岬「ああ……ダクネスさん……!」

ダクネスはおそらく死ぬであろう、なんとかディオを逃がさないようにしたいが押されている。
そこへプリティゲイマジェスティに変身したロリカイザーが舞い降りる。
ロリカイザーはBB軍団を召喚し、ディオを逆に追い詰める。

それでもまだ、地下鉄へ逃げることを諦めないディオ。

しかし、ここでノリスと香織が動く。

ノリス「倍返し、だ!!」
香織「ここは通行止めよ、他を当たりなさい」
ディオ「貴様らあああああああ!!」

逃げ道になるハズだった、地下鉄の入り口がガンダムEXの放ったレールガンとゼニスVのミサイル攻撃が命中し、地下鉄への入り口が瓦礫で塞がれた。
そして、死んだと思われたダクネスがディオに投げ込まれた核鉄により奇跡の復活を果たし、サンライトハート・『オーバードライブ』によりディオを倒す。
そこへさらに肉の芽から自力で解放し、ラクスをも救った可奈美が崩壊するディオの肉体から追い打ちをかけるようにその首を斬首した。
しかしそれは殺すためではない、ディオを助けるための行為だった。
吸血鬼であるディオは首だけになっても死なない、あとは封印するだけだ。


可奈美「香織さん!」
ノリス「これを使え!」
香織「わかったわ! みんなどいてどいて!!」

香織はノリスから比較的小さくて頑丈そうな鉄のコンテナを、可奈美は首だけになったディオを香織のゼニスにパスした。
するとディオの首をコンテナの中に閉じ込めた後、修理装置バックパックで溶接して無理やり封印し、自力での脱出はもはや不可能にさせた。

香織「ふう、これで契約は成立よね、アウラ」
アウラ『うむ、ラクスが肉の芽から解放された時点でディオは殺しても良かった気もするが、まあ良しとしよう。
    ……我々の戦争はこれにて終わりとしよう』

ノリスたちはアウラからの契約を成し遂げた。
その証なのか、ラクス含め首輪が遠隔で解除された。


【関東軍 召喚者全滅及び降伏】
【第三軍 数名が生存(形式上は、降伏)】
【関西軍 勝利】


内戦は終戦した。
この後アウラにより大東亜共和国からBR法とそれを支持する勢力が一掃され、鎖国体制も解除。
大東亜共和国は大東亜興国とその名を変えた。
そして一年の時が過ぎた。




『嵐の中で輝いて』

ヴェルムが倒された爆裂魔法の爆心地にできた慰霊の公園。
何十万人もの名前が刻まれた数え切れないほどの石碑の一つに、当時の大東亜共和国では見慣れないアルファベットの名前が3つある。
それを眺める一人の白人の中年男性は、凍りつくような嵐の中、何時間も立ち続けていた。

中年男性ノリスは終戦から一年の間に親子同然となった香織と共にここで花火を見る約束をしていたが、香織にタクシー代わりにもってきたファンファンのコクピットに忘れ物をしたから取りに行って欲しいと頼み込む。
香織は忘れ物とやらを取りにファンファンへ戻った。



「人の生は何を成したかで決まる……ギニアス様は夢を成し遂げられた。立派です。
 アイナ様、貴女の望みがこの戦いを止めることなら、それを助けるのがサハリン家に仕える私の役目。私は……役目を果たせたでしょうか?」

ノリスはあたりを見渡す。
あの戦いが終わってちょうど一年、依然として大阪の復興は進んでいない。
折れた通天閣はスクラップになり、焼け落ちた大阪城には仮設住宅が並び、火の海と化した大阪市内からは工場が消えた。
近畿では奈良についで人口が少なくなった大阪に、かつての盛況ぶりは見られない。
それでも大東亜興国全体では復興は進んでいる、
グリーグが撃墜されるまで使わなかったか最後のGUSOHや、様々な理由で実戦で使われることの無かった危険な兵器は、その本領を発揮しなかったことでギリギリで国の形を保てたのだ。

「アイナ様、やっとそちらに合流できそうです。自分は死に場所を見つけました」

ノリスは石碑に背を預けると、こめかみに拳銃を当てた。
海の向こうに見える神戸では、内戦終結の記念日に外国の代表を招いての式典が行われている。
かつての大東亜共和国では考えられなかったことだ。

パァンと音が鳴って、慰霊に来ていた人は空を見上げる。
凍りつくような強い風でさえ
その空に輝く花火を消したりなんてできなかった。



香織は終戦までの一年の間、ノリスとは本物の親子のような暮らしをしていた。
その暮らしでもノリスの心の傷は癒しきれなかったのか…否、逆に心が満たされきったからこそこの結末になったのである。

使い出されていた香織はファンファンの中でノリスが香織や仲間たちに当てた遺書を見つける、ノリスの顛末を知った香織はもちろん仲間たちも涙するしかなかった。

『私にはどうしても行かねばならない所がある。
 みんな、本当にすまない。
 娘よ、ありがとう。
 越後のあの日からずっと、香織とゲッタに会えて本当に良かった』

後年、ノリスが乗っていたガンダムEXは修繕され、香織が引き継いで搭乗。
かつて復讐の鎮魂歌を奏でていたそのガンダムは、今は大東亜興国を守るための礎となっている。
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最終更新:2025年05月25日 19:06