【名前】炎尾燃(ほのおもゆる)
【出典】吼えろペン
【性別】男
【初期支給品】アモールの水@ドラゴンクエストシリーズ、原稿用紙@ジョジョの奇妙な冒険、魔封じのペン@ムヒョとロージーの魔法律相談事務所
【台詞】
「リアルという名の生臭い血に汚れた手で、魂のペンが握れるかっ!!
他人を蹴落して帰った仕事場の机で、『楽しい絵空事』が、描けるかあっ!!」
「絶望の中でも光の射す方を向き、抗い戦う諦めない者たち、その思い、その全てが……『輝くヒーロー』だっ!!」
【人物】
島本和彦による漫画作品『吼えろペン』の主人公で、熱い心としょげやすいメンタルという一見相反する性質を併せ持つ「炎の漫画家」。常に装着しているラグビーのヘッドギアと、上着に羽織った赤いジャージが特徴。前向きな言い訳を得意とし、口癖は「俺が何とかするしかあるまい!」「あえて寝るっ!!」など。作品の特性上、作者・島本和彦のアバターのように見られることもある。
【本ロワでの動向】
参戦時期は、前杉英雄がまだ仕事場にいる
エピローグを参照するに『新吼えろペン』開始より前のようである。
当初はこの殺し合いを、なかなか原稿を進めない自分たち漫画家に痺れを切らした出版社の編集者たちによる、趣味の悪い「カンヅメ」イベントだと思いこもうとしていたが、登場話『
月に吼える』にて、のちに〈呪怨城〉を築き上げるホラー系扇動マーダー、エドガー・ティック(ティキ)と遭遇。否応なしに殺し合いの現実とそこにある非現実性に直面させられる。そしてティキの言葉のままにあっさりマーダー化……かと思いきや、漫画家としての意地と熱い詭弁で以て立ち直り、「まっとうに生還して原稿を上げる」ことを目標に、対主催となることを決意する。
とは言え、炎尾本人はしがない一介の漫画家。実質的には、ひとまず殺し合いに乗っていない強い実力者に合流するという方針(そしてあわよくばその人物像を今構想中のヒーローものに生かしたいという目論見)であった。
まず出会ったのは黄金バット。そのあまりのチート性能のため、棺の中に封印された状態で参戦させられていたバットさんに対し、偶然持っていたアモールの水@ドラゴンクエストシリーズを振りかけて復活させる。ヒーロー好きな炎尾は黄金バットについての知識があったため、仰天しながらも心強い味方として頼ることに。ちょうどその直後に襲ってきた会場トラップの大虚(メノスグランデ)@BLEACHをシルバーバトンで一撃オーバーキルするなどのチートっぷりを目の当たりにし、思わず「こ、これは……強いっ!絶対に強いっ!」などと口走りつつ、誰に向けてかわからない黄金バットの解説を行う。結局、神出鬼没なバットさんとはその後すぐにはぐれてしまったが、思えばこれが「便利解説キャラ」としての活躍の幕開けであった。
そう、
オールジャンルロワという馬鹿でかく広い土壌、そして無駄に弁が立つ上にノリの暑苦しい本人のキャラも相まって、炎尾はあちこちで参加者やその設定についての説明や実況役を担うこととなったのだ。思いつく限りをざっと挙げただけでも、
- 黄金バット
- バビル二世としもべたち
- 仮面ライダーBLACK RX
- 葉隠覚悟と強化外骨格
- モーメントアタッカー
- サイヤ人とフリーザ一味
- キン肉マンにおける超人
- キューティーハニー(ご丁寧に各バージョン)
- 本能字学園の極制服
等々について熱く解説を行っている。
「知っているのか、炎尾先生!」
「うむ、聞いたことがある……!」
また、漫画家という「サクシャ」として、岩崎月光を相手に激論を戦わせたり、同じ漫画家である
岸辺露伴にはヘブンズ・ドアーで本にされて読まれた後「かなり古くさいキャラしてるな……ここまで来ると今日び、逆に新しいんじゃあないか(ページは要らないけど)」などと言われたりもしている。
所属としては、紆余曲折を経たのち、王国鎮圧を終えた後のチームライトニング(
南光太郎、玖珂光太郎、ライトニング、南条光)に合流した。実物の仮面ライダーBLACK(RX)を前に、本人の困り顔やライトニングの呆れ顔もかまわずに嬉しさのあまり号泣。(※島本和彦は自他共に認める熱烈な石ノ森章太郎&仮面ライダーファンであり、石ノ森の公認のもと「仮面ライダーBLACK」の漫画(正確にはその外伝的な短編だが)も描いている)
玖珂の方の光太郎からは「昭和生まれ云々以前のノリ」と言われつつも面白がられ、同じくヒーローを愛する南条光とは電気が通じたかのように即刻仲良くなって、熱いヒーロー談義に華を咲かせていた。
結局、解説実況(+アモールの水)担当として若干浮きつつも同行することに。
炎尾「RXは言うまでもないが……式神使いの少年探偵、ヒーローを目指すアイドル、光速の女騎士……そのまま丸借りしてしまいたくなるようないいキャラクターばかりだ!なあ、ライトニングさん!」
ライトニング「私を巻き込むな。それから私は軍人だ」
南条と同様、身体的には一般人であって戦力にはなっていないが、彼らの戦いを(わりと真面目に)熱い言葉で彩り盛り上げた。「(炎尾って)なんだかこの激戦に一役買ってる気がするけど、実際はなんにもしてなくねえか!?」「確かに気のせいだ!だが……その気のせいも大事だっ!!」という読み手のやり取りが、解説役としての彼の在りようを表していると言えよう。
また、チーム入り後だと、キルラキル勢に会った時にも非常に嬉しそうにしており、鮮血に「『国電パァーンチ!』って言ってみてくれないか」などと微妙にわかりにくいネタを繰り広げたりしていた。
ロワも終盤に突入した頃、チームライトニングは、かつて倒した
王さまの城がティキたちによって呪怨の根城と化しているのを目の当たりにする。そして炎尾はと言うと、そこで再会した露伴たちから、終生のライバルにして盟友であった
富士鷹ジュビロの死を知らされる。
気の利いた言葉も捻り出せずに落ち込む炎尾だったが、てつをや玖珂、南条の励ましや、鬼龍院皐月を失いながらも戦うことを決めた執事・揃三蔵との会話によって、自分のものに加えてジュビロの原稿をも締切に間に合わせるという新たな志を抱いて立ち直り、一時チームを離れて、露伴や円宙継(エンチュー)と共に呪怨城の最深部に突入する決意をする。
と言うのも、呪怨攻略戦の策を練っていたエンチューが、炎尾自身もすっかり存在を忘れていた懐の支給品――「魔封じのペン」に言及したからだ。
エンチュー「そのペンは本来、使用者本人の“煉”(霊力)を使って悪霊除けの札を作ったり、或いは霊に『直書き』することで退霊術を使える魔具なんです。でも、このペンは――」
エンチュー曰く、炎尾本人の煉だけではなく、奇妙なほどに多くの種類の煉が少しずつ混ざり合って、ペンの中に蓄積しているという。ペンに手を触れてエンチューの読み上げる名は……これまでに炎尾がロワの中で出会い、語らい、解説してきた対主催の参加者たちの名前だった。
エンチュー「……もしかしたら、これが最後の1ピースになるかもしれない」
そして、炎尾は決意する。原稿よりも先に、今ここで、この負の怨念渦巻く呪怨の牙城で、一つの“漫画”を描くことを。
セラス・ヴィクトリアらハルバード組やてつを・玖珂達の外からの援護、そして、ジョン・マクレーンらを初めとする突入組の犠牲のもと、数多くの対主催たちの造り上げた道を、一人の元・禁魔法律家と二人の漫画家が行く。
「天国への扉」が襲い来る闇の住人たちをすら次々と『読み』捨て、エンチューの術が彼らの魂を永劫の闇へと還して行く中、配置された城内のアイテムが光を増し――――炎尾はペンを執り、溢れだす煉で、光り輝くインクで、真っ白な原稿用紙に、一度きりの“ネーム”を描いた。
炎尾「締切を控えた俺は……このロワイアルの中で、理想の『ヒーロー』を、一つの『かくあるべき像』を見つけようとしていた……」
「……だが、違う!俺と同じく、ヒーローを愛する仲間に教えられた!ヒーローに上も下もなく、一つの枠に収まるようなものでもない!」
「絶望の中でも光の射す方を向き、抗い戦う諦めない者たち、その思い、その全てが……『輝くヒーロー』だっ!!」
ペンの走る原稿用紙から、キャラクターたちの光のヴィジョンという形で、呪怨と相反する正のエネルギーの連鎖が紡ぎ出される。
高笑いと共に悪を討つ無敵の黄金髑髏が、優しく強く燃え輝く太陽の子が、愛を内蔵する変幻の乙女が、大義を貫く覚悟の戦鬼が、紫電の如き瞬撃の戦士が、自由を守る星条旗の番人が、讃歌を紡ぐ人衣の徒が、死をすら凌ぐ破天荒刑事が、不屈の笑顔のカンフースターが、沈黙のマン・オブ・チートが、そして彼らばかりでなく、思いを歌に乗せるアイドルたちを初め、戦う力を持たない者たちの姿もそこへ加わって、闇の牙城に蟠った怨念と、それに囚われた者たちを解き放ってゆく。
三日間徹夜した時以上の疲労で炎尾が膝をつき、光を失った魔封じのペンが落ちた時には、次元レベルにまで醸成されていた呪怨の術式は、完全に解体されていた。
同じ月に吠えた怪人エドガー・ティックの目論見は破れ――――そして、友の仇を討つべく身を捨てたエンチューの犠牲により、ティキ自身もまた、あるべき地獄の底へと帰って行ったのだった。
城の崩壊後、ゼブラーマンの助けによって露伴ともども脱出に成功した炎尾は、泣きはらした南条、うつむいたライトニングと、歯を食いしばったまま青空を見上げる玖珂らから、南光太郎が、仮面ライダーBLACK RXが、次元の侵食者エムラクールと共にその身を散らしたことを知らされた。
抑えていたもののタガが外れたように自身も号泣しながら、炎尾は、「胸を熱く燃やすなら、涙を流すなら、それは明日という日のために」と、かつて己の漫画の末尾に引いた「仮面ライダーBLACK」の歌を口ずさみ、己を鼓舞する。
そして、主催戦においては、再びチームライトニングの面々と別れ、露伴や平野耕太、井上敏樹らと共に「サクシャ」の一人として、黒幕たるサクシャ陣との論戦の場に挑む。
サクシャたちの計画に対し「こんな展開はボツだ!」という形で抵抗を試み、それへの結論として突きつけられた「物語に登場している時点で作者も登場人物に過ぎないし、誰が生き残って誰が死のうが現実は変わらない、最終回の後の続きは単なる二次創作でしかない」という厳然たる答えにも、「キャラクターが勝手に動くこともある。そのキャラクターに作者が動かされることもある!」という、まさに吼えペン本編のような「相対化を生む詭弁」で以て答え返して、孫悟空の元気玉へ繋げる布石を作った。
エピローグでは、炎プロダクションへ訪ねてきた岸辺露伴の持参したウサミンこと安部菜々のCDをアシスタントと共に聴いたり、露伴の奇行に悲鳴を上げたり、富士鷹ジュビロの「からぶりサービス」代筆を露伴に手伝ってもらったりしている。自身の原稿は……とりあえず、間に合わせる事が出来たようだ。
最終更新:2014年05月18日 03:19