25.
TV『今年もオタク最大の祭典、通称コミケが開催し…』
銀「この暑い中であんな人ごみの中によく行こうとするわねぇ…」
雛「本当なのよ」
雛銀「あっ、紅お姉ちゃんだ!」
銀「えっ!? どこどこ?」
雛銀「ここなのぉ」
TVを指差す。
銀「…ホントだ…しかも何て格好してるの…」
雛「…これって雛銀燈が見てるプ○キュアなのよ…」
銀「これでまたお金が無いって月末に言うのよねぇ…」
26. 番外編
雛「真紅…駄目なの…」
紅「ふふふ…本当にそう思ってるの? ここはもう固くなり始めてるというのに…」
妖しい笑みを浮かべ雛苺の胸の先端を摩る真紅。
雛「んあっ!」
紅「水銀燈も最近仕事で忙しいから…。こういう事もしてなくてムラムラしてるんじゃない?」
雛「そ…そんな事…」
紅「ずっと子どもだと思ってたけど、もうそんな声も出すのね…。こっちまで興奮してくるのだわ」
雛「…真紅…今なら友達のよしみで冗談で済ませてあげるの…だから…」
紅「悪いけど冗談じゃないのだわ。…それに、もうここまで来て終わりにするのも惜しい気がしてきたわ」
そう言うと服のボタンを外し、中に手を滑り込ませ直に雛苺の胸に触れる。
雛「いやぁっ! …す…水銀燈…助けて…!」
紅「そう嫌がられるとますますそそるのだわ。もっと声を聞かせて…」
柔らかく触れるだけだった手を変えて激しく揉みだした。
雛「あぁっ、いやぁ! 止めてぇ!」
紅「そろそろ本格的に頂くのだわ。大丈夫、水銀燈には秘密にしとくから…」
空いている片手でスカートのホックを外して脱がし、更にそのパンツの中に手を
銀「…へぇ…職場のパソコンでなかなか面白い物を書いてるじゃなぁい…」
不意に名前を呼ばれ、真紅はロボットのようにぎこちなく後ろを向く。
そこには口元は笑ってるが目には殺気がこもっている水銀燈が居た。
紅「す、水銀燈…」
銀「…真紅ったら、うちの雛苺の事そんな目で見てたのねぇ…」
紅「ち、違うの! これは今浮かんだネタを雛苺の名前を借りてメモってただけで、そんな気はさらさら…」
銀「…なら良いけどぉ…。ホントにやったら…殺すわよ」
ドスの効いた声で言われ、真紅の全身から嫌な汗が噴出した。
紅「はっ、はいぃ! どうもすいませんでした!!」
銀「……ならよろしい」
そう言って水銀燈はその場を去り、真紅の全身から力が抜けていった。
紅「…あの“殺す”は本気だったわ…」
もう少し自重しよう、今更ながらそう反省した真紅だった。
27.
薔「こんにちわ、遊びに来たよ…」
銀「やぁ、いらっしゃあい」
雛「うちに来るのも久しぶりなのよ」
雛銀「ばらしーお姉ちゃん、いらっしゃいなのぉ!」
薔「雛銀ちゃん、こんにちわ…久しぶりだね…」
雛銀「そうだねぇ! 今日は何して遊ぶのぉ?」
銀「きらきーもいらっしゃぁい」
雪「お邪魔しわすわ。雛銀燈ちゃんこんにちわ」
雛銀(ビクッ)「きっ、きらきーお姉ちゃんも……」
雪「お久しぶりですわね。元気そうでなりよりですわ」
なでなで
雛銀「~~~っ…!」
雛銀(じ~… ←雛苺の後ろに隠れてる)
雛「そんなに警戒しなくても大丈夫なのよ」
銀「そうよぉ。別に何も怖くないわよぉ」
雪「…雛銀燈ちゃん、こっちにいらして下さい」
雛銀(フルフル ←隠れたまま首を横に振る)
雪「完全に嫌われてるようですわね…」
薔「きらきー姉ちゃんが前に脅かすから…」
前遊びに来た時。
雪『はじめまして、雛銀燈ちゃん。苺お姉さまと銀お姉さまの昔からのお友達で、雪華綺晶といいますわ』
薔『私は薔薇水晶だよ…』
銀『ばらしーお姉ちゃん、きらきーお姉ちゃんと呼んであげなさぁい』
雛銀『ばらしーお姉ちゃん、きらきーお姉ちゃん、はじめましてなのぉ!』
薔『ふふ…可愛いね』
なでなで
雛『よかったねなの、雛銀燈』
雛銀『えへへー』
雪『本当可愛いですわ。目元なんて苺お姉さまにそっくりで…』
そのまま雛銀燈の両肩を持つ雪華綺晶。
雛銀『う、うゆぅ…』
雪『可愛すぎて…食べちゃいたいくらいですわ』
目を見つめたまま顔を覗きこんでくる雪華綺晶。
雛銀『う…うえぇ…!』
銀『ちょっときらきー、雛銀燈が怖がってるわよぉ』
雪『これは失礼しました。だって本当に美味しそうで…ジュルリ(ワザとらしく)』
雛銀『うっ、うわぁ~ん!! このお姉ちゃん怖いよぉ~!! うわぁぁ~ん!!』
銀「あれから大変だったんだからぁ…」
薔「そうだよ…もう、きらきー姉ちゃんもいたずら好きなんだから…」
雪「いやいや、調子に乗りすぎましたわね」
雛「本当なのよ…。雛銀燈、もう大丈夫なのよ。怖くないのよ」
雛銀「…本当?」
雪「ええ。仲直りのお印に、キャンディをあげますわ」
雛銀「キャンディ? …じゃあ、もらうのよぉ」
少し警戒しながら雪華綺晶に近付く雛銀燈。
雪「はい、キャンディですわ」
雛銀「うん、ありが…」
ガシッ(雛銀燈の腕を掴む雪華綺晶)
雪(クワッ! ←怖い顔)
雛銀「ひっ、ひやぁーー!!」
猛ダッシュで雛苺に泣きつく雛銀燈。
雛銀「やっぱ怖いのよぉ~!! うわあぁ~ん!!」
雛「……きらきー…何考えてるの…」
雪「可愛すぎていじめたくなってしまいまして、ついうっかり」
薔「つい、じゃないよ…もう…」
銀「…きらきーにも困った物ねぇ…」
雛銀「わたしは食べても美味しくないのよぉ~!! うえぇ~ん!」
誰にでもなつく雛銀燈ですが、雪華綺晶だけは苦手なようです。
イラスト (ID:i5MBsAtF0 氏)
28.
雛銀「ねぇねぇ銀ママぁ~。こんなの見つけたのぉ」
雛銀燈がアルバムを広げて持ってきた。
雛銀「これって雛ママと銀ママなのぉ?」
銀「あら、懐かしいわねぇ。これ結婚する前の写真だわぁ」
雛銀「何年前なの?」
銀「そうねぇ…6年ぐらい前かしら。あなたが生まれる前よぉ」
雛銀「ふ~ん。これどこなのぉ?」
銀「これねぇ、確か水族館よぉ」
雛銀「水族館? わたしも行きたかったのよぉ」
銀「そんなこと言ったって、あなたまだいないものぉ。連れて行きようがないわぁ」
水銀燈は懐かしそうにパラパラとアルバムを捲っていく。
銀「…本当懐かしいわぁ…やっぱりあの頃から結構時間過ぎてるのねぇ…」
雛銀「ねぇねぇ銀ママぁ。昔の雛ママってどんな人だったのぉ?」
銀「そうねぇ…甘えん坊だったわぁ」
雛銀「雛ママが?」
銀「ええ。デートの間はずっと手を離さなくて、あちこち振り回されて…結構子どもっぽかったわよぉ」
雛銀「うそだぁ~」
銀「本当よぉ。…ま、そんなところが可愛くて好きだったんだけどねぇ」
雛銀「へぇ~。それで結婚したのぉ?」
銀「確かにお互い好き合ってたってのもあるけど、あなたが出来たからの方が強いわねぇ」
雛銀「わたしが?」
銀「そう。いわゆる出来ちゃった結婚ってやつねぇ」
雛銀「そうなんだぁ」
銀「でも…私は幸せよぉ。あなたと、雛苺と一緒に生活してて」
雛銀「わたしも雛ママと銀ママと一緒で、すっごく幸せなのぉ!」
銀「ふふ…そうねぇ」
ガラッ
雛「ちょっと水銀燈! 勝手に貯金下ろしたでしょ!」
銀(ギクッ)「な、何のことぉ? 私には何の事だかぁ…」
雛「とぼけるんじゃないのよ!!」
銀(ビクゥッ)
雛「何だか今月お金が少ないと思って通帳見てみたら…!」
銀「…ご、ごめんなさい…今月ちょっと使いすぎちゃってぇ…」
雛「別に下ろすなとは言ってないの! 勝手に下ろすのがいけないのよ!」
銀「だって言っても貸してくれないじゃなぁい…」
雛「使い方に問題があるからなのよ! 大体今月は…」
ガミガミガミガミ
雛銀「……雛ママが甘えん坊…なんだか信じられないの…」
29.
深夜。
ぷ~ん…
雛銀「……」
ぷ~ん…
雛銀「…うるさいのよぉ…」
雛銀燈は蚊の羽音で目を覚ました。枕元のライトを点けて蚊を探す。
雛銀「…いたのぉ…」
やがて蚊を見つけ、それが止まるタイミングを待つ。
そして、それが止まった。
雛銀「今なのぉ!」
ばっちん!
銀「いったぁ! いきなり何ぃ!?」
雛銀「銀ママぁ。顔に止まった蚊を潰したのぉ」
銀「……もう…びっくりしたぁ…やめてよねぇ…」
雛銀「はーい」
銀「さ、潰したんなら寝なさぁい。私も寝るわぁ…」
雛銀「おやすみー」
数分後。
ぷ~ん…
雛銀「…またいたのぉ…」
――中略――
ばっちん!
雛「なっ、なんなの!?」
雛銀「雛ママのホッペに蚊が止まったのぉ」
雛「はあ…それを潰してくれたのね…ありがとなの…」
銀「またぁ…? 蚊取り線香無かったっけぇ…」
雛「ちょっと探してくるの…」
少しして。
雛「…ちょうど切れてたの…」
銀「えぇ…? そんなぁ…」
雛「…雛銀燈、もう蚊なんて相手にしないで寝るのよ…」
雛銀「えー」
銀「相手にしても良いけど私達起こさないでねぇ…」
雛「まだ2時…ヒナも寝るの…。雛銀燈も寝るのよ…」
雛銀「分かったのぉ…」
ぷ~ん…
ばっちん
銀「痛っ!」
ぷ~ん…
ばっちん
雛「うゆっ!」
そのまま朝に。
銀「…寝不足だわぁ…」
雛「…うぃ…同じなの…」
雛銀「すぅ…すぅ…」
銀「…本人は気持ち良さそうに寝てるわねぇ…」
雛「…今日朝一で蚊取り線香買ってくるのよ…」
銀「頼んだわよぉ…」
30. 番外編(http://rozen-thread.org/2ch/test/read.cgi/news4vip/1211976947/102-104 の続き)
結局真紅は水銀燈家を追い出された。
紅「雛銀燈ちゃんのことになると頭が固いんだからまったくもう…ちょっとした冗談なのに…」
ブツブツ文句を言いながら真紅は住宅街を歩き続ける。
紅「…ここから一番近いのは蒼星石のとこね。ここなら歩いて三十分ぐらいで着くはず…」
記憶を頼りに、蒼星石の家へ向かっていった。
二人の家兼営業所に到着。
紅「こんにちは~」
蒼「は~い…って、真紅。どうしたの?」
翠「あれ、真紅じゃないですか。今日は定休日ですよ?」
紅「やあ蒼星石、翠星石。実は折り入って相談が…」
真紅は事の経緯を二人に話した。
蒼「…それで明後日までここに泊めて欲しいと?」
紅「そうなのだわ。お願いできる?」
翠「まあ、それぐらいなら構わないですけど」
蒼「でも最初水銀燈の家に行ったんだよね? 何があったの?」
紅「かくかくしかじかなのだわ」
蒼「……そりゃ真紅が悪いよ…」
翠「…言っておきますけど、そんな胎教に悪いようなことしたら即、叩き出すですよ」
紅「分かってるわよ。それじゃあお願いね、ありがとう」
夕方ごろ。
紅「それにしても大分お腹大きくなったわね。今何ヶ月目?」
翠「もう7ヶ月入ったですぅ」
紅「そうなのね。体の調子はどう?」
翠「今は落ち着いてるですよ。ちょっとお腹が重たいですけど」
紅「まだ仕事やってるようだけど、大丈夫なの?」
翠「力仕事はほとんど蒼星石がやってくれてるですぅ。私は事務仕事がメインですよ」
紅「それなら安心していられるわね」
蒼「二人ともご飯出来たよ。もう食べようか」
紅「あれ、今日は蒼星石がご飯作ってたの?」
翠「休みの日は蒼星石が作ってくれるんですぅ」
紅「相変わらず仲良くて良いわね。羨ましいわ」
翠「じゃあ早く相手見つけるですよ。それじゃ、頂くですぅ」
紅「ええ」
紅「………」
蒼「翠星石、あ~ん♥」
翠「あ~ん♥」
蒼「どう?」
翠「すっごく美味しいですぅ。お返しですぅ、あ~ん♥」
蒼「あ~ん♥」
紅(……料理は美味しいのに…甘い空気のせいであまり食欲が湧かないのだわ…)
夕食後、お風呂を借りた真紅。
紅「ありがとう、良いお湯だったわ」
翠「そうですか。じゃあ私達も入るですぅ」
蒼「そうだね、入ろっか」
紅「えっ? 二人一緒に入るの?」
蒼「? そうだよ?」
翠「いつもの事ですぅ」
紅「…あ…そう…いつもの事なのね…」
蒼「うん。じゃあ翠星石、今日も背中流してあげるね♥」
翠「もう、いつもそうやってくすぐるんですからぁ♥」
蒼「だって翠星石の背中綺麗なんだもん♥」
翠「蒼星石のえっちぃ、ですぅ♥」
紅(…頭痛がしてきたのだわ…)
そんなこんなで寝る時間になった。
蒼「じゃあこの部屋を貸すね」
紅「ありがとう。今日は見たいテレビも無いし、このまま寝るわね」
蒼「分かった。おやすみ」
紅「おやすみなさい」
紅「何だか意味も無く疲れたわ…。…ん…?」
壁の向こうから声が聞こえてくる。蒼星石と翠星石のようだ。
蒼『じゃあ今日も抱きしめてあげるね♥』
翠『蒼星石ぃ…あったかいですぅ…』
蒼『可愛いよ翠星石♥生まれてくる子も翠星石に似て可愛いだろうね』
翠『きっと蒼星石に似てカッコイイですよぉ♥』
蒼『楽しみだね、翠星石♥』
翠『本当に楽しみですぅ♥』
壁越しにイチャイチャ♥イチャイチャ♥
紅「………」
次の日。
蒼「え、帰るの? もう一泊するんじゃなかったっけ?」
紅「…急用を思い出したのだわ…。泊めてくれてありがとう。それじゃ…」
蒼「そう…それじゃあね」
翠「さよならですぅ」
紅「うん…」
紅「……もう一日一緒に居たら精神的に死ねるのだわ…」
真紅に二人のラブラブな空気は辛かったようです。
31. 番外編(http://rozen-thread.org/2ch/test/read.cgi/news4vip/1212656655/8-9,25 の続き、書き込みから)
紅「雛銀燈ちゃん、美味しい飴をあげるわ」
雛銀「ありがとう紅お姉ちゃん!」
真紅から飴を貰い、それを嬉しそうに口の中に入れる雛銀燈。
紅「美味しい?」
雛銀「うん!」
満面の笑みで雛銀燈は頷く。
だがそれを舐めていると、段々顔が赤くなってきて目がトロンとしてきた。
紅「どうしたの?」
真紅が渡したのは媚薬入りの飴。それを知っていながらわざとらしく尋ねる。
雛銀「紅お姉ちゃん…何だか…体が熱くなってきたのぉ…」
紅「それは大変だわ。すぐに診察しないと」
雛銀「診察ぅ…?」
紅「ええ。だから服を脱いでここに座って」
雛銀「…分かったのぉ…」
真紅の企みも知らずに言われたとおりにする雛銀燈。
雛銀燈は真紅の目の前で服のボタンに手を掛け
金「…またそんなの書いて…呆れたかしら…」
後ろから真紅のパソコンを覗き込んだ金糸雀は心底呆れたように溜息を吐いた。
それを気にせず真紅はパソコンを打ち続ける。
紅「いいじゃない、ちょっとした暇つぶしよ。これで意外とネタも浮かぶんだから」
金「興味無いかしら…また水銀燈に見つかったらどうするつもりかしら」
紅「大丈夫よ、水銀燈は今会議中だからあと一時間は帰ってこないわ」
金「だからってねぇ…。…あ…」
やれやれと金糸雀が首を振ると、水銀燈が扉の前に立っているのに気が付いた。
金糸雀と真紅の様子に気付き、その隣に音も無くやってきてパソコンを覗き込む。
だが真紅はパソコンに夢中で気が付かない。
紅「…それでここから…ふふふ…」
銀「………」
金「…し…知~らない、かしら…」
金糸雀は逃げ出した。
紅「う~ん、なかなか面白いのが書けたわ。ねえ金糸雀、これ本にしたら受けると…お…も……う…?」
伸びをしながら金糸雀がいた方向を向き、それで水銀燈に気がついて時が止まった。
水銀燈はこめかみに血管を浮かべ、氷の笑顔を張り付かせながらパソコンを眺めている。
銀「さぁ…? オタクの世界には興味ないわぁ」
紅「す、水銀燈…。会議は…」
銀「予定より早く終わったわぁ。それで戻ってきたら…。雛苺だけじゃなく雛銀燈までねぇ…」
紅「…そ、そうだったのだわ! 午後に重要な打ち合わせがあったのだわ! もうそろそろ…」
ガシッと真紅の方を掴む水銀燈。
紅「ひっ!」
銀「……」
それから1週間、真紅は会社を休む羽目になった。
32.
雛銀「……」
雛「…正直に言うのよ」
雛銀「……」
雛「押入れの奥に隠してあった割れた花瓶…雛銀燈がやったの? どうなの?」
雛銀「そ…それは…」
雛「…どう、なの?」
背けた雛銀燈の目を厳しい目で覗き込む雛苺。
それで観念したのか、雛銀燈の目から大粒の涙が流れ始めた。
雛銀「…う…うぅ…ご…ごめんなさい…!」
雛「…どうして隠したりしたの?」
雛銀「だって…! だってばれたら…怒られると思ったんだもん…!」
雛「…そうよ。ヒナは怒ってるのよ」
雛銀「ひ……」
雛「でもね、ヒナは花瓶を割ったから怒ってるんじゃないの。素直に言わなかった事に怒ってるのよ」
雛銀「え…?」
雛「初めから素直に言えば怒ったりしなかったのよ。嘘つきは泥棒の始まりっていうのよ。泥棒になりたい?」
雛銀「…やだ…」
雛「でしょう? だからこれからは嘘ついたり隠したりしないで素直に言うのよ。そうすれば怒らないから」
雛銀「うん…わかったの…」
雛「分かったなら良いのよ。怪我は無いの?」
雛銀「大丈夫…」
雛「なら良かった。次からは気をつけるのよ」
雛銀「はい、分かりましたなのぉ」
銀「……」
それから1時間後。
銀「ね、ねぇ雛苺ぉ…」
雛「どうしたの? 急に改まって」
銀「確か雛苺って、大切なピンクのリボン持ってたわよねぇ…?」
雛「うん。新婚旅行のお土産で買った…それがどうかしたの?」
銀「実はねぇ、前にそれで雛銀燈とあや取りして遊んでたのよぉ…」
雛「そんな事してたの? …まぁ、それぐらい別に…」
銀「それでねぇ、途中で絡まっちゃってぇ…解こうと思って引っ張ったらぁ…」
雛苺から目線を逸らしたまま水銀燈はポケットから手を出した。
銀「…こう…なっちゃいましてぇ…」
その手には千切れたリボンが握られていた。
雛「なっ…!!」
銀「…ご、ごめんなさぁい…こうなっちゃって…。…でも、素直に言ったから許してくれるかなーって…」
雛「…す…!」
銀「……あの…」
雛「水銀燈ぉーーー!!」
銀「雛銀燈に言ってた事と違うわぁー!」
雛「水銀燈は大人でしょ!!」
33.
水銀燈家に金糸雀が遊びにやってきた。
雛銀「カナお姉ちゃん、いらっしゃーいなのぉ」
銀「また何か大きいカゴ持ってきたわねぇ…洋服?」
金「違うかしら。今日はお友達を連れてきたかしら」
雛銀「おともだち? カナお姉ちゃんの?」
金「そうかしら。さあ、出てくるかしら」
カゴを床に置き蓋を開けると、中から茶色いネコが出てきた。
雛銀「ネコさんなのぉ!」
金「ピチカートって言う名前かしら。ほら、名前呼んであげてかしら」
雛銀「こんにちわなのぉ、ピチカート!」
雛銀燈が名前を呼ぶとピチカートは挨拶代わりかニャーと一鳴きした。
金「よろしくね、だって」
雛銀「よろしくなのぉ!」
銀「でもいつから飼ってたのぉ? 全然知らなかったわぁ」
金「先週ぐらいかしら。みっちゃんが友達から貰ってきたかしら」
雛「今いくつなの?」
金「まだ半年かしら」
三人が話をしてる間にもピチカートと雛銀燈はじゃれあっていた。
雛銀「きゃっきゃっ、ホッペ舐めちゃくすぐったいのよぉ」
金「どうやら雛銀ちゃんを気に入ったみたいかしら」
銀「よかったわねぇ、雛銀燈」
雛「ほら、写真撮ってあげるのよ。こっち向くの」
雛銀「ほら、ピチカート! チーズ!」
そんなふうに過ごしていると玄関のチャイムが鳴った。
銀「はぁーい」
玄関を開けると真紅が立っていた。
銀「真紅ぅ…。どうしたの?」
紅「ちょっと近くまで来たから寄ったのだわ」
銀「…まぁ、いいけどぉ…」
金「あれ、真紅かしら。どうしたのかしら?」
雛銀「紅お姉ちゃんなのぉ」
雛「いらっしゃいなの」
紅「近くまで来たからちょっと寄ったのだけど…」
真紅がピチカートに気が付いた。
紅「ね、ネコ…!」
金「ああ、この子ピチカートっていうかしら」
雛「金糸雀のネコなのよ」
紅「そ、そう…」
銀(そうだ)「雛銀燈、ピチカートが真紅に挨拶したいってぇ。挨拶させてあげなさぁい」
雛銀「分かったのぉ。ピチカート、紅お姉ちゃんなのよぉ」
ピチカートを抱っこして真紅に近付く雛銀燈。
紅「ひっ、ひい! わ、悪いけど用事が出来たのだわ! さよなら!」
ネコを怖がって真紅はさっさと水銀燈家を出て行ってしまった。
雛銀「うゆぅ…?」
銀(…家もネコ飼おうかしらぁ…)
最近真紅が色々危ないと感じてきた水銀燈はそんな事を思った。
イラスト (ID:if+p+eii0 氏)