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『七夕』

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rozen-yuri

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『七夕』


「ふんふんふふーん」

鼻唄を歌いながら、ご機嫌な表情で笹に紙を付けている翠星石の姿があった。
今日は、一年に一度織姫と彦星が逢える日、なんてロマンチックな伝説がある七夕であった。一見、ロマンチックな事は毛嫌いしそうな彼女だが。

「こうして短冊に願い事を書いて笹に吊せば、きっとお星様が叶えてくれますよねぇ~…」

いつもより乙女オーラ八割増しな翠星石であった。

「張り切ってるね」

そんな様子を微笑ましい表情で見守っているのは、料理に励む蒼星石。

「お願いなんて書いたの?」
「あっ…!み、見ちゃ駄目です!!」

純粋な興味で、先程翠星石が吊した短冊を覗き見ようとした。だが、何故か顔を真っ赤にした翠星石に、全力で阻止されてしまった。

「お、乙女のプライバシーを覗くんじゃねーですぅ!」
「ご、ごめん……」

一言残すと、蒼星石は台所に向かった。

「……見せられる訳、ないじゃないですかぁ……」

ちら、と視線を向けた短冊には、蒼星石という文字が見えた。

―――――

「翠星石の願い、かぁ……」

願い事に関しているとは知らない蒼星石は、調理をしながら姉の願い事について考えていた。

「欲しいものがあるとか……それとも痩せたいとか……?」

さりげなく予測として出た言葉だが、実は間違ってはいない事を誰も知らない。

「んー…………熱っ!」

意識が完全に明後日の方向へ向いていたので、自分が火を扱っていた事を忘れていた。とっさに水道の蛇口を捻り、大した事にはならなかった。

「……考えすぎるのもあれ、かな。翠星石の願いは翠星石のものだし、僕が関与する事じゃないか」

結論は出た。
ようするに気にしなければ良いのだ。

「さて、料理に集中しよう」

―――――

「ごちそうさまでした、ですぅ」
「ごちそうさまでした」

お互い自分の両手を合わせ、食べ物に感謝する。

「やっぱり蒼星石は料理上手ですねぇ」
「翠星石には敵わないけど」

にこやかに談笑を交した。

「あ、天の川見えますかね?」
「行ってみようか」

七夕の夜と云えば、天の川。
そんな結論に達した二人は、庭へと足を運んだ。
「あ、よく見えるね」
「わぁ…綺麗です……」

視界には、字の如く川の様な星が溢れんばかりに輝いていた。二人は暫しみとれていた。

「(………い、今なら……!!)」

翠星石は、未だ天の川にみとれる蒼星石に向き直し、お互いの距離を縮めた。

「蒼星石」
「ん?な…」

恐らく、何?と言う筈であっただろう唇を、己の唇で塞いだ。
一秒が長く感じる時を過ごし、そっと唇を離した。
「織姫と彦星、今頃再会してますかね?」
「…えっ…と……多分……」

はっきりとするべき言葉は滞り、視線が泳いでいた。そんな様子を見て、翠星石はくす、と笑った。

「さ、冷えちゃいますから戻りましょうか」
「う、うん…!」

夜であるにも関わらず、二人の頬が赤いのはよく分かった。そんな二人は、仲良く手を繋いで屋内に戻った。
二人が通りすぎた笹に吊された、翠星石の短冊には………否、これは画面の貴方のご想像にお任せしよう。



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