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『新婚生活』

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rozen-yuri

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『新婚生活』


「おかえりなさい」

 水色の真新しいエプロンを付けた女性が、にっこりと微笑んだ。その女性の向かいには、スーツの女性が立っており、その女性もにっこりと微笑む。

「ただいまぁ、ハニー」
「………その呼び方はどうかと思うよ」
「やっぱり?一度言ってみたかったんだけどねぇ」

 先程の清楚な世界観は何処へやら。ガラガラと音をたてて崩れていく様は、誰にでも見えただろう。
 けれど、確かなものはそこにあった。

「なんたって、新婚生活初日だものぉ。色々とやってみたい事はあるわぁ」
「はぁ……程々にね?」

 二人は女性同士、つまり同姓である。同姓同士が結婚出来る筈もない。
 籍を入れている訳ではない。外から見ればただの二人暮らしに見えるが、ちゃんと式は挙げていた。親しい友人の中でだが。

「改めて。ただいまぁ、蒼星石」

 スーツの女性は、蒼星石と呼んだエプロンの女性の頬に口付けを落とした。

「おかえりなさい、水銀燈」

 唇の温もりを感じた頬を赤らめつつ、優しい微笑みで答える。
 お互い、今の幸せを実感していた。

――――― 

「す、水銀燈…くっつきすぎだよ…」
「いいじゃなぁい。夫婦なんだし」

 キングサイズのベッドの上で、四本の腕が絡み合う。
 ちなみに、蒼星石は青いパジャマを着ているが、水銀燈はキャミソール一枚だった。

「へ、変な事しないよね…?」
「そう言われるとしたくなるけど、初日はまだしないわぁ」
「初日以外は!?」
「今日だけは……」

 少しだけ警戒を見せる蒼星石を、ギュ、と抱き締める。

「貴方を抱き締めて、眠りたいわぁ……」

「……今日だけじゃなくても、良いのに…」
「…………」
「……水銀燈?」

 呼び掛けても、何の反応も返って来ない。不思議に思い水銀燈の顔を見てみると、いつも余裕の笑みを見せるその顔は、幸せそうに眠る少女になっていた。

「……水銀燈も、こんな顔するんだ……」

 暫く寝顔を見つめていた。が、ふと自分も眠気に襲われ、それに従う事にした。
 意識が完全に落ちる前に、水銀燈を、ギュ、抱き締めた。



end

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