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『迷いと快楽と』

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rozen-yuri

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『迷いと快楽と』


 nのフィールドの何処かの世界。真っ暗な空よりも深い黒が、佇んでいた。
 何故かしきりに辺りを気にしていた。まるで何かを待っているように。
 一部分を見て、ふと口の端を釣り上げて笑みを浮かべた。黒、水銀燈の視線の先には、同じ黒い帽子を被り、同じ少女人形がこちらに向かっていた。

「………いらっしゃぁい、蒼星石ぃ」
「…………」

 蒼星石と呼ばれた人形は、返答もなくただ俯いていた。そのオッドアイの瞳には、少しだけ悲しさと迷いが現れていた。

「…悩んでるのぉ?」
「…………」
「そりゃそうよねぇ。真紅や雛苺、双子の姉である翠星石を裏切っているようなものだしねぇ」
「っ……」

 手に込める力が強くなった。

「…ま、私は貴方が来てくれたの、嬉しいけどねぇ」
「………」
「そんな迷い、すぐに分からなくしてあげるわぁ」

 そう言いながら蒼星石に歩み寄り、真っ白な両掌で頬を包み込む。子犬のような瞳で見つめる蒼星石の唇を奪った。暫くして、唇を割って舌を絡ませた。

「ふ……んんっ…」
「ん……はっ……ふふ、可愛い…」

 一旦唇を離すと、銀色のアーチが描かれ、ゆっくりと下に落ちた。

―――――

「ふぁっ…あ…ん…!」
「ふふ、此処が良いのぉ?」

 体育座りのような体制で、壁に背を預けて座る蒼星石。そんな蒼星石の脚と脚の間に指を侵入させ、秘部で上下させる水銀燈。
 蒼星石の瞳には先程の悲しさも迷いもなく、ただ快楽に染まっていた。

「……ねぇ、蒼星石ぃ」
「ひゃ…んっ……な、に…?」
「……私の事、好き?」
「はっ……す、きぃ…!」
「……ありがとぉ」

 普段の彼女からは想像もつかない、優しい笑みが溢れた。
 と、同時に上下させる指を激しくさせた。

「ひゃああっ…ん、あぁっ…!」
「もう限界かしらぁ?」
「やぁ…も…っ…い…あぁぁあぁああ――っ!!」

―――――

「大丈夫ぅ?」
「う、うん…」

 乱れた着衣を整えると、水銀燈に手助けされながら立ち上がった。うまく脚に力が入らないのか、足取りが不安定だった。

「…本当に大丈夫?無理しなくていいのよぉ?」
「へ、平気だよ。じゃあ、戻るね」

 不安定な足取りのまま、蒼星石は元の世界へ向かおうとしていた。

「……蒼星石ぃ」
「…何?」
「……明日も、来てくれるぅ?」

 妙に弱々しい声で、言った。そんな水銀燈に違和感覚えたのか、不思議そうに振り向く蒼星石だが、すぐに笑みを浮かべて言った。

「…うん」

 少し赤みを帯びた頬のまま、駆け足で走って行った。そして姿は見えなくなった。

「………いっそ、奪ってしまった方が…楽なのかしら……」



end
 

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