『二人だけの花火大会』
「どうしたの?突然花火がしたいだなんて」
「…最近、仕事ばっかりで寂しくなってしまって……迷惑でしたか?」
「…ううん、寧ろ嬉しいよ」
双子姉妹は大人になり、違う道を歩んでいた。今までの仲の良さが嘘のように、お互い仕事に熱中していた。
そんなある日、翠星石はふと寂しさを覚え、久々に蒼星石に電話した。一緒に花火大会しよう、と。
蒼星石も、久々の翠星石の声に安らぎと寂しさを感じ、快く了承した。
―――――
「水は用意したよね」
「ばっちりですぅ」
人気もなく、辺りに目立ったものが無い場所に、二人は花火や水の入ったバケツを置いた。翠星石は早速花火の袋を開け始めた。
「蒼星石、これやるですぅ!」
「ふふ、はいはい。(……翠星石は、変わってないなぁ)」
子供のようにはしゃぐ翠星石を見て、何故か安心感を覚えた蒼星石だった。
「……よし、」
「おぉ!付いたです!」
ライターの火によって、翠星石が持っていた花火に緑色の火が付いた。
「ほら、蒼星石も!」
「うん」
翠星石の花火の火が、蒼星石の花火に火を着けた。
翠星石と蒼星石の瞳には、緑色と青色の火が輝いていた。
「綺麗です…」
「そうだね…」
暫く見つめていると、ふと緑色の火が消えてしまった。
「も、もう終わりですか……おっと、次を蒼星石から貰わないと…」
慌てて新たな花火を用意し、火を貰おうとするが、あと少しのところで青色の火は消えてしまった。
「なー!?」
「まぁまぁ。またライター付ければ火は付くんだし」
「でも……蒼星石の火が欲しかったですのにぃ…」
「え……?」
顔を赤くして、ポカンとする蒼星石。翠星石の言葉はまるで……。
「蒼星石、次お願いするですぅ!」
「…え…あ、う、うん…」
―――――
「最後は…線香花火だね」
「あ、良い事考え付いたです。同時にやって先に落としちゃった方が、残ってた方の言う事を聞く、とかどうです?」
「うん、良いよ」
二人は同時に線香花火に火を付けた。パチパチと音をならし、金色の火花を帯び始める。
暫くすると、片方の火が地面に落ちた。
「し、しまったですぅ~……」
落ちたのは翠星石の線香花火だった。
「僕の勝ちって事で良いのかな?」
「むぅ……悔しいですけどねッ」
言い出しっぺの翠星石は、明らかに不機嫌そうな表情だった。
「んー……それじゃあ………」
暫く考えるそ振りを見せると、線香花火をわざと落とし、いきなり翠星石を抱き締めた。
「ほぁっ!?そ、そうせ…っ」
「暫く、こうして良いかな?」
「……全く、蒼星石は甘えん坊ですね」
二人は暫く、そのまま抱き合っていた。
大人になって、忘れかけていたものを取り戻すように。
end
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